競走馬カルテ

2・3歳重賞の出走馬を分析・記録していくブログです。

弥生賞ディープインパクト記念(GⅡ) 出走馬カルテ 2024

 

こんにちは。

 

サートゥルナーティア、コントレイルが2歳GⅠから直行して皐月賞を優勝し、ローテションの概念に変化があった頃、弥生賞上位馬が皐月賞で好走する例がほとんどなくなりました。伝統のトライアルも存在感が薄まっていくのかなぁなんて思っていたことがあります。

 

それがレース名をディープインパクト記念と改名したとん、21年優勝タイトルホルダーが2着、22年2着ドウデュースが3着、23年優勝タスティエーラが2着と皐月賞で好走するようになりました。また、後者2頭はダービー馬に輝き、タイホも秋には菊花賞を勝ち該当馬は皆クラシックホルダーとなりました。

 

DI記念入着→皐月賞入着→後の二冠のうちどれかを勝てると、GⅠ馬誕生の方程式が出来つつあるのかもしれません。とにかく、このレースから強い馬が再び現れるようになっています。弥生賞と言いうレースは無くなりましたが、重みのある存在感は取り戻しつつあります。

 

今年も無敗馬や2歳GⅠ好走馬などかなりの素質馬が集結したなという印象。このレースを足掛かりに3歳牡馬路線の勢力図が形成されていくのではないかと思われます。ヒーロー誕生の予感がする1戦です。

 

ディープインパクト記念は3日(日)に行われます。前日の2日(土)には更新を完了します。

 

予想案は各ページの最下部にある専用ページにまとめてあります。ブログカードを貼っておきますのでそちらをご覧ください。

 

アドミラルシップ

新馬戦は時計も遅く、スローのよーいドンで評価材料に乏しい。

・立ち回りや、レース振りに問題点は無く、操縦性も良さそうな印象はあった。悪い馬ではなさそうだが。

 

上記がホープフルS出走時のカルテ。

 

ホープフルSは低評価を覆して4着と好走。ただ、各馬が外に拡がった横一線の最終コーナーをインを器用に立ち回り、巧みなワープで上位に浮上出来ただけ。ドイル騎手のファインプレーであったが、末脚はジワジワだったし、追い比べで突き抜けるような感じまではなかった。器用さや立ち回りの上手さで好走した感じ。なので、末脚性能の問われる府中の自己条件で1番人気で大敗を喫している。2400mのゆりかもめ賞で7着。ゴールドシップ産駒なので距離で負けたというのではないだろう。直線での追い比べで速い脚を使えずに負けたという感じ。上がりの速い競馬に対応出来なかったのだと思う。末脚が切れるタイプではなく、35秒そこそこの脚しか使えていない馬で、ゆりかもめ賞もなんとか34.7秒で上がれたという感じ。34秒台だとこの馬にはまだ厳しく、中山に変ったとしても34秒前半を求められた時に不安が残る。洋芝の重賞を勝ったブラックホールや、道悪適性の高いライラックの下になるので高速上がりの適性は血統的にも期待出来ない。ただ、レース運びの巧みさは感じられるので、天候の助けでもあれば穴に一考したいかも。なお、厩舎の話では完成度は低く、まだまだこれからという状況らしい。ゆりかもめ賞の内容を見ると、完成にはもう少しかかりそう。

 

エコロレイズ

 

6月の府中マイルでデビューしたが動ききれずに、箸にも棒にも掛からずに負けた。その後は9月まで待機し、以降は中山2000mに特化して3戦目に勝ち上がる。復帰のタイミングで10k増え、それからも馬体は増え続けており、デビューからもう30kも重い。成長期と噛み合ったからか、2戦目以降から凡走と呼べる走りがない。馬は充実しているようだ。そう思うと全体的には物足りない印象になる。序盤と勝負処の立ち回りの上手さは強調出来て、レース巧者のイメージは持てるが、どうも決め手がない。ペースの速い遅いにかかわらず、直線での伸び弱い。3~4角での機動力は目を引き、直線を良い手応えで回ってくるのだが、そこからの加速が無く、決め手の無さが際立ってしまう。競り合いで強い印象を持てない。未勝利勝ちした時のようにマクり切って、直線抜け出せれば良いが、クラスが上がるとそう言う事も簡単ではなく、前走は4着と馬券圏から漏れてしまった。これまで最速上がりを記録したことがなく、末脚に魅力が感じられない。中山経験は豊富で、馬も自然と動けている感じがあり、直線中ほどで圏内にいる事は可能だと思うが、そこから3着以内に残せるかどうかは相手次第で、重賞だと展開に恵まれるか、枠に恵まれてインをコスく回って粘り込めるかと言ったところ。地力で権利をもぎ取るのは難しいように思われる。

 

コスモキュランダ

・時計がかかる条件、状況の方が成績が良く、良馬場の標準的な流れでは力不足な感がある。

・速い脚を使えるタイプでもなさそうで、後続に並ばれたらそこから盛り返して行く力は弱い。

・スタート悪く、序盤の立ち回りも上手いとは言えない。この区間に無理してポジションを取るようだと、重賞だと厳しい。

・自分の形に持ち込むまでに力を使ってしまうタイプ。

 

上記が京都2歳S出走時のカルテ。

 

京都2歳S8着。人気の割には走ったが、それまで通りの内容で重賞では大いに弱味を見せたと思う。スタートが安定して悪いのでこの時も出負けし、後方2番手で最初のコーナーを回っていった。いつもはこの時点でリカバーして、勝負圏内に取り付いて行くが、重賞で同じ事をやっても通用しなかった。早めに動いて行ったが4角前に手応えは既に怪しい。ジワジワと伸びて来たが、失速した馬を交わしたに過ぎない。そもそも末脚に優位性がないので末脚勝負で良い処などなく、重賞なら尚更。1月に同じような条件の中山2000mの自己条件を使ったが、立ち回りは全く同じ。ただ、道中動かず、後方2番手のままじっとしていた。ラスト2F評前から動きだしたぐらいで、脚を良く溜め込んでいた。その分、ラストに脚を使えており、先に抜け出した勝ち馬をクビ差まで追いつめた。相手が弱くなっていたことも関係がありそうだが、しっかりと脚を溜める事でちゃんとした脚を使える。ただ、やはり重賞になるとその位置をそこから追い込んでも無駄だろう。序盤のポジショニングが出来るようになり、追走力を高めないと上位進出はやっぱり難しいと思う。

 

サンライズジパング

・芝のデビュー戦は大器と評判のダノンエアズロックの4着とまぁまぁだったが、以降はダート戦。

・ダート戦でのパフォーマンスは結構高く、JBC2歳優駿ではフォーエバーヤングに0.3秒差2着で、3着には8馬身差をつけている。

・ラストに速い脚を使えるタイプではない模様。中距離なら先行出来る馬なので早めの競馬から雪崩れ込むのが理想の形。

新馬戦の内容から芝でも問題なさそうに思うが、速力不足な印象もちょっとある。

 

上記がホープフルS出走時のカルテ。

 

近2走の力は本物。サンライズの馬が芝でこんなに強くていいの?と言う感じ。音無厩舎はラストクラシックに良い馬が出た。

 

ホープフルSは13番人気で3着の大激走。しかし、フロック性が無く、地力の高さが滲み出ている。1・2着馬には力差を感じさせたが、よく見るとそんな事もない。大外強襲の1着馬とラチ沿いにいた2着馬がゴール前で接触するいう珍妙なレースで、本馬はこれに挟まれて引いてしまった。それが無ければ馬体を併せた入線で2着もあったのかもしれない。また、4コーナーで内の馬が大きく膨れて来たので、かなり外まで脹れて、5・6頭に内をすくわれてしまう。そこから差し返す脚を使っているのだから凄い。また、1・2番手の馬が雁行状態で先行して行ったため、テンが速くなり、先行馬に厳しい流れ。本馬はスタートから気合をつけてこれら2頭に並びかけていったのだから展開的にかなり厳しい立ち回りである。しかも、この流れからラスト3Fは加速ラップになっているので、この区間で脚を伸ばせた馬は相当力が抜けていたことになる。強さが数字面にも現れていて、先行位から押し切りを図ったこの馬の立ち回りは文句なく凄い。直線で不利ばかりを受けたのにこの内容は恐れ入る。スムーズだったら勝ち馬の強襲も凌げたのではないだろうか?とさえ思ってしまう。幻のGⅠ馬かもしれない。

 

次走の若駒Sもこりゃないだろう?と言う所から差し切ってしまった。積極性が無く、馬が進んで行かない感じで後方追走と、先行したホープフルSとは180度違う位置取り。坂の登り辺りから手応えが怪しく、3~4角では完全に置かれており、普通なら万事休す。最後方で直線に入っている。それでも鞭が入れられてから反応し、ラスト1Fを通過してエンジン全開、グングンと差を詰め、最後は流して0.3秒差で勝利。最後1Fのキレ味は抜群で、追えばもっと伸びた感じもあり、とび抜けた末脚性能。2・3着馬も素質馬で通っており、それらを子ども扱いする一方的な強さだった。

 

ダートもそれなりに走れていたし、前走も重馬場でここまで時計のかかかる条件ばかりなため、高速馬場に不確定要素があるが、中山で走っている限り皐月賞までは気にする必要がない。素質馬や実績馬が多く参戦するようだが、この馬中心で考えるのも無理筋ではない。なお、陣営の話では心配機能は高く、心臓の強さは相当らしい。

 

シャンパンマーク

新馬戦では37.9-64.4の超スローを5番手から最速上がりで差し切る。距離、ペースから33.1秒の末脚の質感は良い。

・道中での追走もスムーズで、追ってからの反応も良い。操縦性も高そうで、気性が気になるような素振りはない。優等生なレース運び。

・現状は良く動けており、仕上げは順調に進んでいた印象。

 

上記が東スポ杯2歳S出走時のカルテ。

 

東スポ杯2歳S7着。離して逃げた逃げ馬を除けば、前残りで決着しているので差されてはいけないレース。5番手で進めていたが、追い出してからの反応が鈍く、末脚がジリジリ。後続に差された内容はいただけない。ドスローの新馬戦では33.1秒の良い切れ味を発揮していただけに、よーいドンの競馬で遅れを取ったレース振りに物足りなさが残る。もっと末脚を使える馬かと思っていた。新馬戦の内容と違いが大きく、走り切っていないような気がする。特別な理由があるなら追及した方がいいかもしれない。上積みがあり、状態は良かったと蛯名調教師は話しており、賞金を加算して暮れのGⅠに進むつもりでいたから、状態面の理由は考えづらいところだが。レースの見た目通りなら新馬戦よりタイトな流れになったことで、末脚を発揮出来なかっただけになるので力負けとせざるを得ず、評価ダウンになる。もっとスローでないと脚が溜まらないという事なら、この先厳しくなってくる。前走敗因はしっかりと確認して再評価しておくべき。

 

シュバルツクーゲル

・中山2000mで新馬勝ち。超スローを2番手から押し切っただけで、評価材料に欠ける。このペースで後半1000mが59.1秒ではかなり物足りない。

・上がりは最速だったがラストに35.0秒しか加速出来ていないので評価の対象にならない。一杯に押しての結果だから末脚に魅力は感じられない。

・この程度の持続性と瞬発力では府中の脚比べで強気にはなれない。

・13秒台連発のペースでも折り合って走れているのは、別な意味で評価は出来る。気性に問題はないようである。

 

上記が東スポ杯2歳S出走時のカルテ。

 

東スポ杯2歳Sを8番人気で2着。逃げ馬が後続を離していたレースを2番手で進める。映像から察するに1秒ちょっと逃げ馬と差があったようなので、59.1秒だった通過タイムからすると60秒ちょっとで1000mを通過した模様。実質逃げていたような競馬をマイペースで進めた利はあったと思う。実際、2~4番手の馬がそのまま1~3着した前残りの決着。展開は向いていたはず。また、1・3着馬がその後の重賞でだらしなく負けており、レースのレベルにも疑問が残る。重賞2着の実績を鵜呑みにしづらい状況。新馬戦の中身もドスロー競馬を2番手から押し切ったものであり、ここまでの2走は地力の問われない展開で好走したに過ぎず、強気になれる材料はないままである。行きっぷりや、追走力は2走目で良くなってはいて、変わり身はあった。徐々にレースに慣れて来ていて、上積みはそれなりに確認出来る。少なくともレースの流れには乗って来ると思う。後はタイトな展開になった際にどこまで持続性を発揮出来るか?次第である。なお、厩舎の話では、時計勝負や高速馬場の条件は基本的にこの馬に向かないとのこと。DI記念はスローで流れることも多々あるので、今回も本馬の好走ゾーンでの競馬になりそうだし、また道悪になれば評価を少し上げた方が良さそうである。新馬勝ちもこの条件であるし、強い馬である保証はないがレース適性とは合致している。

 

シリウスコルト

・1200mから始めてマイル、2000mと走っているが、短いところでは追走が忙しく、中距離のリズムがあっており、初めて中団位で競馬を進めることができた。

芙蓉S勝ちはペースに合わせて位置取りを調整出来る賢い一面を見せ、勝負所も促しただけで動けており、先行勢を飲み込む力上位な勝ち方。

・自在性があり、操縦性も高いので普通に良い馬。

芙蓉Sの勝ち時計は2:03.0と遅く、62.2→60.8と前半のペースの割に、後半の加速が弱いので持続性、時計面で価値は見いだせない。GⅠ通用の根拠はまだない。

 

上記がホープフルS出走時のカルテ。

 

ホープフルS6着。勝ち筋に乗った最高の立ち回り。中団待機は展開的にも良かったし、10番枠からインをソツなく立ち回る事も出来た。最終コーナーもスムーズに追い出し態勢をとれ、インから絶妙なタイミングで掬っている。三浦騎手は完璧に乗っており、これで勝てなかったのだから仕方い。追い出したら力差があったというだけの話。9月の同条件芙蓉Sの勝ち時計を大幅に詰めてこの馬なりの上積みも見せている。中山2000mの適性は高いが、この先はもう相手次第。重賞級に交じってしまうと相対的に評価が下がる。厩舎側もこの相手ならやれるかもと出走馬のレベルが高くない事に希望を見出しており、クラシックを意識出来るほどの評価ではなかったようだ。DI記念はホープフルSよりメンバーが揃っている印象なので、前走以上はどうだろうか?立ち回りは上手いので有力馬が力を出し切れない際に紛れ込むこともありそうだが、押さえの評価の域を出ない。

 

シンエンペラー

新馬戦では追い出してからの反応鋭く、抜け出すときの脚はこの馬だけ目立っていた。11.9-11.1-11.0の加速ラップを楽々突き抜けて3馬身差の圧勝。

・中距離馬としては前進気勢も程よく、スピードが勝っていることもない。溜めも作れていて、終始余裕のある立ち回りだった。

京都2歳Sの1:59.8はこのレース史上初めて2分を切る好時計。59.1秒と前半は速めに流れ、かつラスト3Fの失速率の小さいレースの中身は濃い。

・失速率が小さいため基本前残りしたレースだが、それを後方から差すのだからモノは違っている。

・直線で追い出されてからグンと加速出来るので本当にシッカリとした脚が使え、末脚に確実性があるのは良い。速い上がりも、タフな上がりも上位の末脚を繰り出せて万能的な末脚性能で評価は高い。

 

上記がホープフルS出走時のカルテ。

 

ホープフルS2着。まず強調しておかなければいけないのは仕上げ途上でこのレースを使っていたこと。京都2歳Sの疲れが残っていたので当初は出走のつもりが無く、予定変更により急仕上げ気味な状況だった。皐月賞への試走的な意味合いがあったようで、トライアルの叩き台の様な体。この状態で2着なのだからやはり力がある。メイチに仕上げていたレガレイラとは雲泥の差でありながらあの着差なのだから勝負付けはまだ済んだとは言えなそうである。負けて強しで良いと思う。

 

先行不利な流れを3・4番手から抜け出していたし、レガレイラと並んでからまた一伸びする根性を見せていて、見どころがある。世代トップクラスの1頭と認識して良いと思う。しかしながら、4コーナーで本馬が膨らんだことにより多くの馬に被害をもたらしており、ゴール前ではラチ沿いにいたにも関わらず、大外強襲のレガレイラと接触するまで外に大きくヨレている。ヨレた件についてだが、新馬戦でも同様に振る舞っており、調教でもそう言う点が見られるそうで、生来的なものであるそう。ここまでは恰好がついているが、相手が強くなっていくこの先はヨレ癖はどこかでこの馬の脚を引っ張るかもしれない。

 

また、コーナーで膨らんだ点も気になるところでタイトなコーナーで器用さを見せれなかった。京都2歳Sも内回り条件を器用に乗った印象は持てず、コーナー4つの条件を攻略出来ているとは言い難い。近2走は鞍上の功績が大きく、モレイラ騎手、ムルザバエフ騎手と言った名手が腕でカバーしていた。日本人騎手にそんな芸当が出来るだろうか?→厩舎的に坂井瑠騎手かと思っていたが、川田騎手が騎乗とのこと。ベテランなら上手く乗りこなしてくれるだろう。基本的に中山より府中向きと思うが、この方が鞍上ならこの条件でも評価は落とせない。

 

ストーンズ

 

12月の阪神2000mを1着し、1月の若駒Sを5着(8頭立て)。立ち回りは良く、先行出来るセンスもあるのでレースの流れにはちゃんと乗せて来る。が、とにかくスケール感がなく、モノはあまり良くなさそう。目立っている欠点は追い出してからの脚が無いこと。2・3番手から進めた新馬戦は、62.5秒→61.9秒と前半スローから後半スローと言う感じで印象が悪い。持続性のある馬なら60秒は普通に切れるはずで、0.6秒しかレースを加速させられなかった点は大いに物足りない。4角で前を飲み込んで、そこから突き抜けていれば恰好良かったが、ジワジワとして伸びきれず、鞭を連打されても加速出来ない。前残りの展開であったはずだが、後ろの馬に詰められてハナ差凌いだ辛勝は評価出来るものではない。2走目の若駒Sの1・2着馬は重賞級の評価のある馬で、それらに着差を大きくして負けているので純粋に力が足りていない印象。良いところに付けて直線を向いて来るとは思うが、そこから加速する事が出来ないので、前も交わせないだろうし、後続にも差されて負けるだろう。ただ、2戦で騎乗していたモリス騎手の乗り方は馬への負担が大きかったように映り、デムーロ騎手に乗り替わることで、違った面を見せる事はあるかもしれず、そこに不確定要素がちょっと残っているかもしれない。

 

ダノンエアズロック

 

この馬が一番強いのかなぁ?なんて漠然と思っていたが、レースの内容や数字面を見てみるとそんな事も言えないようだ。新馬戦の2着馬は7戦して未勝利、3着馬はシンザン記念18着、アイビーSの2着馬は京都2歳S9着と負かした相手は結構弱い。ちなみにアイビーS3着時のレガレイラだが、当時皮膚病を発症しており、内臓面が整っておらず、「万全とは程遠い状態だった」とホープフルS時に当時の敗因を語っている。エアズロックの無敗にはこういう理由もあるのかもしれない。

 

府中1800mを2戦して2戦2勝。前走アイビーS(良馬場)の勝ち時計は稍重だった新馬戦の勝ち時計より0.1秒遅い。それだけ遅いペースだったということなのだが、時期的馬場的に見ても少々違和感がある。同時期におこなわれた東スポ杯2歳Sの勝ち時計よりも1秒半は遅いし、時計的に評価を高める材料に欠けている。それでも楽に勝っているのなら評価のしようもあるが、2戦ともラストは一杯に追われたものであり、その時点での力は出し切っている感じ。後のGⅠ馬を完封しているので下馬評は高くなりそうだが、レースの内容を見るとそこまでのパフォを発揮しているとは言い難い。本当のところはどうなんだろうか?

 

レース振りを見ると発馬の上手い先行馬。2戦とも抜群のスタートを切り、1・2番手にすぅっと落ち着く。前進気勢が強い訳でもなく、中距離のリズムでテンポよく進んでいき、道中の走りは良い。新馬戦では道悪だったので弾けっぷりはイマイチも、前走では63.1秒のスローからレガレイラと同タイムの32.7秒の最速上がりを記録。こういう末脚を使える辺りやはり素質はあるという事か?

 

府中を2戦しているので中山への対応が鍵も、末脚で勝負している馬ではないのであまり気にしなくても良く、DI記念でも普通にレースの流れには乗れていると思う。あとはこの馬がどれだけ強いか?と言う事になるのだが、その点に関しては未知数としておくべきと思う。果たしてどうだろうか?

 

トロヴァトーレ

 

新馬葉牡丹賞と中山2000mを2戦して無敗。33.8秒、33.9秒と中山で確実に33秒台の上がりが使えるのだから相当な脚持ち。しかも、1度も鞭を使わずにこれだけキレているのだからちょっと抜けて強いかもしれない。中団に付けて、3~4角で差を詰めて、直線入り口射程圏と立ち回りも安定してこのコースの勝ち方を熟知しているよう。走り慣れたコースで特に不安要素がない。道中の追走も力強く、いつでも弾けそうな感じで脚を溜めて回って来れている。

 

開幕日と最終日の違いはあるが葉牡丹賞ホープフルSより0.2秒劣るだけであり、時計的な価値は十分にありそう。また、直線で前が壁で追い出しが遅れてのものなのでスムーズだったら、時計も詰められていただろうと考えるのは無理筋ではない。かつ、そこから直線短い中山で2馬身抜けるのだから凄い瞬発力である。GOサインを受けてからトップスピードに至る反応がとにかく早く、追えばしっかり伸びるのでよほどの不利が無い限り、力は出し切れる。

 

2戦のレースを見ると全力を出し切らないまま連勝を続けているように思われ、まだまだパフォは上げられると思う。ルメールビュイックと名手によるリレーで今回ルメール騎手に手綱が戻る。一連の鞍上配置からも関係者の期待は小さくないだろう。当然有力視すべき存在で、牡馬クラシックの主役になれる可能性もあるかもしれない。

 

ニシノフィアンス

・中山1800mを逃げ切り。ハナに立ち自身に有利なペースメイクで前残りした。ペースは超スローで時計も超遅く、数字面は大いに物足りない。

・ラスト1000mも60秒を切れておらず、持続性に疑問が残る。

・直線を向いてからの伸びも力弱く、後続の追撃を何とかしのいだという感じで末脚に魅力がない。

 

上記が京成杯出走時のカルテ。

 

前走の京成杯は後方から猛烈な末脚で浮上した2着馬を除き、1~5番手でレースを進めた馬がそっくりそのまま6着までに収まっているイッタイッタの決着。本馬は4番手から5着している。年明けにCコース変更がされたため、中山は時計の出やすいイン前馬場。前付けしとかないといけなかったレースであり、本馬の5着もその勝ち筋に乗っての好走で、特別評価を高める内容ではない。新馬戦の時計が大いに物足りなかったので、標準級の時計で走れたことは良かったと思うが、一枠を利したコース取りも恵まれていたことは認識しておきたい。直線での脚色は他馬と同じで見どころが無い。前の馬も交わせず、後ろの馬に差されて負けた内容はインパクトに欠ける。重賞5着の割に評価材料は少ない。直線で一伸び出来なかったあたりに、底力の乏しさを感じさせる。新馬勝ちした中山1800m戦も同様で、スロー先行から雪崩れ込んだだけで後続にかなり詰められている。ラストに使える脚がないので、とにかく前で運んで粘り込むしか権利を獲る手段はないが、相手が強まるGⅡ競走でそう言う事が出来るだろうか?よほど展開に恵まれないと厳しいと思う。

 

ファビュラススター

 

府中マイルを新馬勝ちし、中山2000mの条件戦を連勝中。前走の勝ち時計は先に行われたホープフルSや、後に行われた京成杯よりも速い1:59.8の好時計。ホープフルSとはコース変更により、時計の出やすい環境だったことを考慮すべきだが、年明けの1戦であったことで1k重い57kを背負っての走りだったことを踏まえれば相殺可能でもある。

 

脚質は序盤はもっさりしていて最初のコーナーまでに中団ぐらいにつける待機策。テンからガシガシ行くタイプではなく、前走では向こう正面で後方3番手まで下げて進めている。レース中盤くらいから早めに動き、機動力を駆使しして直線までに射程圏に押し上げて来るのがこの馬の形。コーナーでの加速が速いのが良い点で勢いをつけて直線に向いて来れる。追い出してからの脚も俊敏であり、新馬戦では稍重でありながら33.9秒まで加速出来ていた。

 

ただ、キレる脚は一瞬と言う感じ。新馬戦では最後は他馬と同じ脚色になってしまったし、前走も完全に抜け出しながらクビ差まで詰められ、あと50mあれば差し切られていただろう。また、左回りだった新馬戦は最後まで真っすぐと走ったが、右回りの前走は大外から抜け出しながらラチ沿いまで一気に切れ込んでいる。左回りの方に適性が強いのかもしれない。今回は勝って同条件だが、その点が気になる材料となりそう。

 

控えて脚を使うタイプなのでこの条件で紛れて入着と言うキャラではなく、地力で上位に入線できるかどうかが問われる。横山武騎手はかなり気にいっているようで、力は通用しそうだが、展開に左右される可能性はある。条件戦までは地力の高さでこなせたが、相手が強まる重賞で同じように立ち振る舞えるかはまだ分からない。

 

レッドテリオス

 

1月の中山2000mを新馬勝ち。不良馬場で勝ち時計2:07.9というレースは評価のしようがなく、判断材料に欠ける。不良馬場でも64.6→63.3秒とレースは後傾しており、ペースはスローだったのだろう。よって、1~3着は2・3番手の馬が前残りしている。それでもレース上がりは37.8秒とかかっており、本馬の上がりも37.7秒と抜けた末脚を披露出来た訳ではない。最後は2馬身差と抜けていたが、この上がりからして伸びたというよりは2・3着馬がバテて止まったという感じ。4コーナー手前ではむしろ手応えが怪しかったぐらいで、よく辛抱したと思う。勝負処のズブさを見ると、道悪巧者と言う感じも希薄に感じられ、出走馬のレベルによる可能性も考慮しておく方が良いかもしれない。良馬場で強いのかもしれないが、現状は未知数な存在で扱いが難しい。

 

ディープインパクト記念(GⅡ)の予想案はこちら▼