競走馬カルテ

2・3歳重賞の出走馬を分析・記録していくブログです。

朝日杯フューチュリティステークス(GⅠ) 出走馬カルテ② 2023

 

こんにちは。

 

こちらは、

の、続きになります。↑ではサウジRCやデイリー杯2歳Sなど重賞出走組組を更新しています。こちらのページでは2勝馬と1勝馬を更新します。朝日杯FSは17日(日)に行われます。前日の16日(土)には更新を完了します。

 

予想案は各ページの最下部にある専用ページにまとめてあります。ブログカードを貼っておきますのでそちらをご覧ください

 

 

2勝馬

 

エコロヴァルツ(コスモス賞勝ち)

 

福島1800mを新馬勝ちし、札幌1800mのコスモス賞も勝ち、2連勝中の無敗馬。新馬戦はありがちなスロー競馬だったので数字的な評価が出来ないが、コスモス賞の勝ち時計1:48.8はかなり速い。開幕週だったので馬場の恩恵はあったと思うが、6馬身離された2着馬の入線タイムで標準級なので、この馬の速力だけが抜けていたのだと思う。直線でも大して追われている感じがないので、まだ上がありそうな走りをしている。2戦とも力上位の立ち回りで、ここまでは力が違った印象。ゲートが速いので難なく2・3番手のポジションが取れる先行センスは好印象。道中の走りにも余裕が感じられ、待ったままで最終コーナーを回ってこれる。ただ、2戦目で前進気勢が強めに出ており、レースを使ったことでちょっとうるさくなってきたのかもしれない。ホープフルSではなくマイルのこちらにエントリーしているのもそんな背景か?力は足りているのでマイル戦への対応が鍵となるが、スピードタイプの様なので意外と行けそうな感じもある。

 

オーサムストローク(ベコニア賞勝ち)

 

札幌の1500mを2戦して3・2着と勝ち切れず、中央場所に映って中山・府中のマイルを2連勝。全戦で立ち回りが上手く、2・3番手の先行ポジションを楽に取れたり、未勝利勝ち時は逃げ切りだった。安定した先行力から終いの脚もしっかりと引き出せるので大きく崩れ無いタイプ。馬券漏れなくここまで駒を進める事が出来た。操縦性も良く、スロぺ・ハイペと流れの速さに左右されずに好走を続けている点は良い。前走のベコニア賞では2番手から11.6-10.7-11.2の高速上がりに対応し、追い出してからグンと加速出来た点も印象を良くするところで、瞬発性能の高さも見せている。レース巧者なイメージで重賞に入っても自分の力は出し切れると思う。相手関係だけだろう。ただ、時計の出やすかった秋の中山で1:34.7、府中のベコニア賞の1:37.0と2連勝した勝ち時計はかなり物足りないもので、本当の意味での持続戦を経験していない。展開に恵まれて来たという可能性は否定できないところである。また、中2週とレース間隔も短く、440k前半と身体も小さく、輸送は課題となるだろう。調整は難しそう。

 

トミノキラリ(1勝平場)

 

1200m~1400mを3戦して2勝2着1回。ここまでは短距離馬として成功している。函館1200mのデビュー戦はファンタジーS2着ドナペティが勝ったレースで、1番人気はこちらの方だった。序盤から2頭のマッチレースで競り負けて2着。札幌の未勝利勝ちもクビ差の辛勝で1200mで強かったという印象は持てない。1200mの2戦は初手から先行態勢に入り、速力で勝負していた感じだったが、1400mに延長した前走は中団から末脚を引き出す形で勝利している。競馬振りに幅が出たのは良い。出走馬中ただ1頭上がりを33秒台まで速められたのも評価出来る材料。脚はしっかりと使えている。マイルへの延長に希望の持てる勝ち方はしていたと思う。ただ、同条件重賞の京王杯2歳Sと比べるとペースも時計も遅く、それでいてこの馬以上の上がりを記録した馬が何頭もいたので、末脚の質感はまだ物足りない。余裕のある勝ち方ではなく、全力を出し切ったレース振りで、それ以上は期待しづらく、重賞級の評価は難しい。ラスト1Fは減速するタイプでもあるので、マイルへの延長も本質的にどうだろうか?なお、全戦で手綱を取った横山武騎手は札幌2歳S勝ちのセットアップの方に騎乗する。セットアップもマイル初の馬だが距離延長の馬より距離短縮の馬の方に可能性を感じての事だと思われる。

 

ダノンマッキンリー(秋明菊賞)

 

阪神・京都の1400mを連勝している無敗馬。そのいずれにも時計的な価値があり、持ち時計も優秀。新馬戦は2番手から突き抜けて、秋明菊賞は出遅れて後方からぶっこ抜いてと見た目のパフォーマンスも良い。いずれも力上位の走り。ここまでは抜けて強い印象がある。先行した新馬戦では2F目に10.6秒を踏んだ序盤の速い流れを余裕で付いていき、秋明菊賞では2位上がりを0.8秒上回る抜けた末脚を使う。2着以下の走破時計は至って標準的だったが、この馬だけは1分20秒台を記録した。同条件のファンタジーSより0.3秒遅いが、2歳馬が京都のこの条件を1分20秒台で走れば立派なもの。新馬戦で持続性の高さを、秋明菊賞で瞬発力の高さを見せているので高評価出来る1頭。ノーマークには出来なそう。ただ、出遅れた2戦目で馬の後ろで競馬をする事に嫌気を出していたように見受けられる。滑らかに追走していたところ目に見えてクビが高くなり、鞍上川田騎手も追いづらそうだった。途中から外にだし、直線もかなり外を回して安全策を採っている。気のせいだったら良いのだが、そうでないなら多頭数である事が不安材料となるかもしれない。距離に関しては未知数だが、パワーのある走りをしているので体力的にはこなせて良いと思う。

 

1勝馬

 

ジューンテイク

・前進気勢はあまりなく、追走力も弱い。短距離スタートの馬だが距離はもう少しあった方が良さそう。

・ペースからすればもう少し速い上がりを記録して欲しいところ。前が止まってくれたのと、追って追ってなんとか間に合ったという感じ。末脚に魅力がない。

新馬勝ちは時計や内容的に物足りないもので、インパクトに乏しく、相手なりに走った結果で強調材料に乏しい。

 

上記が新潟2歳S出走時のカルテ。

 

新馬勝ち後に使った新潟2歳Sでは1.5秒差と大きく負けているが、その後は条件戦で掲示板を維持し、前走こうやまき賞で2勝目を上げている。ただ、成績欄が良いのは6~7頭の少頭数だったからで、混戦をこなしてきた訳ではない。特徴としては、末脚に魅力がないので追い比べで劣勢になる。他馬と同じ脚しか使う事が出来ず、直線でグンと加速する事が出来ない(新潟2歳Sの上がり33.1秒は最後方ポツンだったので度外視)。追い比べは基本避けるべきで、早めの競馬から先頭を伺い、我慢比べに持ち込む必要がある。だが、この馬はスタートでダッシュが付かないので、ここまでの全戦で出負けしている。近走は道中の追走力が上がっているので、前走はリカバー出来たが、先行力は安定していない。条件戦だから出来た芸当でもあり、この手のタイプは相手関係に左右されやすいので重賞クラスが相手だと前走のような競馬を常にするのは難しいと思う。前走の勝ち時計はなかなか優秀なので同じ競馬が出来れば、可能性はゼロではないが、如何に自分のスタイルに持つ込むかが肝要となる。スタート下手が改善されれば簡単に解消される問題だが、ここまでの5戦を見るとそれも難しいように思う。

 

タイキヴァンクール

 

7月の中京でデビューした後に3ケ月程間隔が空けられている。10月に復帰した時は+18kも馬体を増やし、500kを超えた大型馬になった。走りも力強くなり、成長の跡が見て取れる。新馬のマイル戦で逃げて3着したが、1400mの近2走で2・1着と距離短縮してパフォーマンスを上げている。初戦から逃げていたように、前進気勢のある馬なので1400mの方が向いているように思う。この距離だと周りの馬も速いので五分に出ても差しポジションに収まることが出来る。それで繰り出す末脚はなかなか力強い。身体的にはマイルも走れそうだが、1400mで良い形でハマッているので適性の高さを感じてしまう。距離慣れした前走では追走も楽になり、5・6番手の追走。そこから1頭だけ違う手応えでマクりきり、突き抜けて快勝、なかなか良い勝ちっぷり。1勝クラスや前哨戦の重賞なら印必須と言う感じ。控えた競馬を覚えたので、今ならマイルでも良い走りが出来るかもしれない。ただ、重馬場だった2走前と良馬場だった前走で走破時計がほとんど変らないのは気になるところ。ペースを考えれば、前走ももっと突き抜けても良かったような感じがする。時計面に不安材料が残っているように思う。良い馬だと思うが、いきなりのGⅠはやはり厳しい印象で、強気に推せる材料は少ない。気になって△くらいか?

 

タガノエルピーダ

 

阪神JFで抽選漏れしてこちら。兄はタガノディアマンテ(三冠競走完走、重賞2着3回)なので馬主さんの期待が高そうな感じはする。レース振りにもその片鱗は感じられる。京都1600mの新馬戦を1:34.3の好時計で勝利。着差3/4馬身は地味だが、2歳の新馬にはタイトな流れを3番手で力強く追走、逃げ馬との叩き合いを制している。この逃げ馬が刻んだラスト2Fは11.0-11.0とかなり優秀。まぁまぁのペースからこの加速ラップで逃げているのでこれは強く、実際次走をあっさりとクリアしている。この逃げ馬にしてみれば勝った馬が強かったとなり、エルピーダの素質の高さを証明しているところ。3着以下は離されており、この2頭の速力の高さに対応出来ていない。新馬レベルでは力が抜けていた。ゲート良く、初速も速いので、楽に先行出来ている。勝負所でも加速ラップを持ったままで追走出来ていて、反応、機動力共に申し分なかった。1戦だけなのであまり評価するのも問題あるが、乗り手の思うように動けそうで、その走りには信頼感がある。いきなりのGⅠは厳しいかもしれないが、2歳のこの時期ならと言うのはあって、牡馬相手でもそこそこやれてしまうかもしれない。ここがダメでも桜花賞までのどこかで存在感を発揮しそうな馬だとは思う。

 

タガノデュード

 

未勝利勝ちした前走を含めて6戦を消化している。勝ち上がるのに随分かかった。ただ、全然動けなかった新馬戦を除けば、掲示板は確保出来ており、未勝利の分際でコスモス賞に出走し3着するなど、好走していない訳ではなかった。それでも勝ち上がれなかった理由は、前走が初マイルだったように中距離でちょい足らずという距離適性にあっただろう。また、競馬を覚えるのに時間がかかったという印象も強い。使い始めた当初から機敏さのない馬で、スタート、序盤の位置争い、道中で上げていく際の挙動、勝負所での機動力と動いて行く時に騎手の手はいつも大きく動いていた。直線での加速も最初のころはまるでなかった。自ら進んでいく力が弱く、強引に動かして行かないとレースの流れに乗るのにも苦労していた。3走前からようやく行きっぷりが良くなり、ポジショニングや勝負所での動きが良くなり始める。前進気勢も出始めてきたようで、鞍上が手綱を抑えるシーンも増えてきた。使い詰めた事で馬が変ってきた感じ。勝ち上がった前走はいい立ち回りで力上位に勝ち上がっている。ただ、生来的なズブさからか時計のかかる条件でパフォーマンスが良くなっているところがある。近走の好走も道悪が味方した見方も出来る。だから、持ち時計も無く、スピード面の担保がない。この馬の速力だとマイルGⅠで評価は上げづらい。

 

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