競走馬カルテ

2・3歳重賞の出走馬を分析・記録していくブログです。

朝日杯フューチュリティステークス(GⅠ) 出走馬カルテ① 2023

 

こんにちは。

 

サウジRCを勝ったゴンバデカーブースはホープフルSに向かうそうです。この臨戦は珍しいですね。21年の勝ち馬コマンドラインに次ぐ2頭目のケースになります。なので、今年は主力ローテであるサウジRCの勝ち馬無しの朝日杯FSになります。

 

こういう事態はちょいちょいあって、リオンディーズが勝った15年、サトノアレスが勝った16年、ドウデュースが勝った21年と3例あります。これら以外の年は必ず勝ち馬が出走して3着以内に入って来るので、サウジRCの勝ち馬から買っておけば間違いのないGⅠだったのですけど、それがいないとなると今年は予想が難しくなるのかもしれません。

 

ちなみに、サウジRCの勝ち馬がいない年に変わって活躍しているのがデイリー杯2歳Sの勝ち馬です。16年の勝ち馬は牝馬だったので例から漏れますが、15年エアスピネルが2着、21年セリフォスが2着と走っています。今年は勝ち馬ジャンタルマンタルの出走がありますから、これから買っておけばなんとかなるでしょうか?

 

それと、これまた珍しい事なのですが12年のコディーノ(朝日杯FS2着)以来11年ぶりに東スポ杯2歳Sの勝ち馬が朝日杯FSに出走する事になりました。コディーノの頃はまだ中山で行われていましたので阪神では初になります。

 

昔から東スポ杯2歳Sの勝ち馬は当時のラジ短(GⅢ)に回る事が多かったですから、遡って見ても出走例そのものがあまりなく、データ的に扱えるものではなさそうです。ただ、ローズキングダム(09年)による優勝例もあったりするので、今年の勝ち馬シュトラウスがどんな走りをするのか興味深いところではあります。

 

珍事づくめの朝日杯FSはどのような結末を迎えるでしょうか?

 

朝日杯FSは17日(日)に行われます。前日の16日(土)には更新を完了します。1枚目には前走重賞組の9頭を。2枚目には2勝馬と1勝馬の全てを更新します。

 

予想案は各ページの最下部にある専用ページにまとめてあります。ブログカードを貼っておきますのでそちらをご覧ください

 

 

札幌2歳S(GⅢ)

 

稍重で1:50.5は過去の稍重年と比べると誤差は軽微で至って標準級のものであるようだ。ただ、1000m通過62.1秒は良馬場年を含めてもあまり例のないスローペースで、後半はもう少し持続戦にして欲しかった。そう言う点で少々物足りない。

 

レースの見た目も淡泊で、1~3番手の馬がそのまま雪崩れ込み1~3着していて、上がり順もそのまま1~3位している。典型的な前残り戦となっているので強調材料に欠ける。特に2・3着馬はこのペースで前の馬も上回れないのは物足りない。着順通りの力関係で良さそう。

 

1着:セットアップ

・ゲートが上手く、出てからのダッシュも速いのでハナは楽に取れるタイプ。逃げている最中も暴走するような感じはないのでコントロールが利いていけている。

新馬戦で溜め逃げして差されたので、2走目ではタイトな展開で逃げて完封。後続を疲弊させる強気な逃げで勝ち方は良かった。

 

上記が札幌2歳S出走時のカルテ。

 

札幌2歳Sも逃げ切り、これで逃げて2勝2着1回。先手を取るまでの動きもスムーズで序盤の立ち回りは相変わらず上手い。ただ、展開には恵まれていて、スローの前残り決着。過去のレースと比較してもペースは遅く、それでいて最後の失速率は大きい。1000m62.1秒の通過で消耗戦になっており、この内容で4馬身差勝ちは他が弱すぎたのかもしれない。2・3着馬は京都2歳Sで惨敗しており、1番人気だったガイアメンテも東スポ杯2歳S掲示板に載れていない。今となっては相手にも恵まれていたようだ。また、この馬はデビュー前からダート馬と言う評価がされており、その点は鞍上横山武騎手も同様の考え。洋芝の稍重で行われた当日の馬場状況はこの馬に恩恵を与えていただろう。馬場にも恵まれていたことになる。展開、相手、馬場と考えられる全てのファクターがこの馬に向いており、とても恵まれた状況で重賞を勝ったことになる。馬にとってはラッキーだったが、こんなレース内容であるから強さを保証してくる材料は出て来なかった。札幌2歳Sよりも、好時計で勝った2戦目の未勝利戦の方が内容が濃い。未勝利勝ちの評価は高いので、前走の物足りなさだけで評価を落とすのは少々怖いところではある。果たして、どうだろうか?マイルへの適性については未知数だが、対応出来ないことは無いと思われる。先手が優秀なので自分の競馬に持っていく事はそれほど難しくないように思う。ただ、この馬の場合は自分の形が決まっているだけに、逃げれなかったり、絡まれた時にどう立ち回れるかの方は不安が大きい。この距離だと短距離適性の速い馬もいるので、これまでのペースからは2秒近くは確実に速く流れるので、これまでのリズムでは走れない。それに対応出来るかどうかが思案のしどころだが、最後の失速は大きくなる逃げ馬なのでテンから急かして行くのはあまり良い気はしないとこ。他、ダート適性もあるそうなので阪神の馬場への適応も課題に上がる。いろいろと課題が多いGⅠになる。

 

京王杯2歳S(GⅡ)

 

今年は2歳のコースレコードを記録しているだけあって、テンの3Fも、1000mの通過タイムもこの10年で最速。特に序盤の流れは速く、これを積極的に追いかけていた4着バンドシェル、5着ミルテンベルクには酌量の余地がある。ただ、ハナクビの接戦で3着に残ったオーキッドロマンスは2番手から勝ち負けを演じており、このオーキッドに3馬身半以上も離されているのは事実として重くなる。地力の問われる展開で力のない馬から脱落していったレースでもあるので、バンド、ミルテンに大きな期待はかけづらいのかもしれない。

 

4着:バンドシェル

・折り合い難とは別だが、前進気勢は強く、鞍上は押さえながら。それでも前に進んで行く感じで道中のポジションは自然と上がっていってしまう。

・ペースの速い流れを追いかけて、終始外々の追走で、最終コーナー大外回しで距離ロスも大きい。こんな雑な競馬で追い出したらビュンと加速するのだから凄い。

・最後は詰められていたがラスト2Fを加速ラップで走っているのでこれでも十分に強い。強い馬でないと勝ち切れないレース運びで能力そのもは素晴らしい。

・ただ、重馬場だったので1頭だけ際立っていたレースぶりは道悪巧者である可能性も。良馬場の走りも確認したい。

 

上記が京王杯2歳S出走時のカルテ。

 

新馬戦よりもペースの速い流れの京王杯2歳Sで、1.5秒も速い上がりを記録しているのでこの馬なりの上積みは十分にあったと言える。道悪の新馬戦で物凄い脚を使っていたので、高速決着に対応した事にそれなりの収穫はあった。レコード決着の4着も普通に考えれば悪くなく、先着された上位3頭のいないレースではあるので相手次第で好走出来る可能性もまだ残されているだろう。ただ、新馬戦から前進気勢の強い走りをしていて、シャカリキに前を追いかけてしまう所がある。京王杯2歳Sでもそう言う面は出ていたので、気性的には距離に壁を感じる。条件戦ならまだ行けるかもしれないが、GⅠだとあと1Fが長く感じられる。見た感じ、力んで走っていても決め手は引き出せているので、阪神外回りコースも悪くはないが、やはりリラックスして走れることが必要で、そうでないとマイルでより速い脚は繰り出せないのではないかと思う。現状はワンペースな走りをしていて、緩急のあるレースへの適応も弱そうに思う。スピード任せに押し切ってしまう方が良いのだろう。が、そう言う競馬で京王杯2歳Sが完敗なので、今のままならやっぱり厳しいかもしれない。

 

5着:ミルテンベルク

小倉2歳Sの勝ち時計1:08.6。今年の小倉はここ2年よりも時計がかかっていたのでこの時計で良いのではないかと思う。当時は状態落ちで使っていたようなので、僅差の2着なら評価は勝ち馬と互角で良い。

新馬戦では先行策も、小倉2歳Sは五分の出から中団待機策。ペースに合わせて変わる自在脚質。

・3ケ月振りで+14k、時計も2秒近く詰め、。2戦目の上積みも大きかった。

・厩舎の先輩、メイケイエールより素質が高いと厩舎は期待している。

 

上記が京王杯2歳S出走時のカルテ。

 

4着バンドシェルとはクビ差で通ったコースの差に過ぎず、これより弱いという事はない。ただ、モレイラ騎手が完璧に乗って、絶妙なタイミングで追い出している。あれ以上の結果は望めないのではないかと思う。2F目にクビを上げて折り合いを欠いたが、それも直ぐに収まっており、この程度で負けた理由になるならそもそも厳しいという印象。この馬も前進気性は強いので距離延長もプラス材料にはならないと思う。しかし、この馬はトレセンから当日輸送で行ける方がいい可能性がある。2戦目の小倉2歳S時は現地調整で上手くいかず体調を崩していたし、3戦目の前走も初の長距離輸送と環境の変化に敏感なところがある。阪神で使えた新馬戦ではそう言う面は見られなかったので、そこに逆転の可能性が僅かに残るかもしれない。少しでもリラックスした状態でゲートイン出来れば、前走以上があっても。なお、厩舎の先輩メイケイエールを引き合いに出し、これに劣らない素質があると言うのが厩舎評。だったらスプリンターじゃんと言う気もするが、メイケイも阪神JFを僅差の4着と走っているし、そのぐらいには走って良いような感じも。また、キャロットFはモントライゼ、スリーパーダ、プロトポロスといった早熟スプリンターを毎年のように小倉2歳Sに使って来て、そこそこの結果を残している。早いうちに稼げるだけ稼ぐというのがクラブ側の戦略。ミルテンもそう言う扱いをされているように思われる。だとしたら、2歳のうちは警戒をしておく必要がまだあり、勝てないまでも掲示板ぐらいは狙って来ると思われる。

 

10着:アスクワンタイム

・序盤からガシガシと攻めていく馬ではないが2戦目で前進気勢が強くなっていたのは気になった。

小倉2歳Sの勝ち時計1:08.6。今年の小倉はここ2年よりも時計がかかっていたのでこの時計で良いのではないかと思う。過去10年と比べても中の中で特に悪くない。

・後半3Fは11.7-11.7-11.9とほとんど失速の無い流れを追い込んで2着。脚力は高く、この流れで脚を溜めれていることから短距離適性の高さを感じさせる。

・気性面に問題がなく、控えた競馬も出来るので1F延長も大丈夫そう。

 

上記が京王杯2歳S出走時のカルテ。

 

大きく出遅れてしまった。これまでのレースでは出たなりで位置を調整していて、小倉2歳Sでも最後方まで下げていたが、今回はリカバーしていき、勝ち馬のすぐ後ろの中団まで押し上げている。このリカバー区間はこのレースで一番速いラップ10.6秒が刻まれたとこなので、ここで強引に差を詰めてしまったのは結果的に良くなかった。レースの流れ以上の脚を使っているので、この間の負荷は他馬より大きい。それで余力が残らなかったのだと思われる。追い出しのGOサインには反応はして馬は頑張っているが、そこから脚を伸ばせるような余力は残っていなかった模様。1.0秒差9着と大きく負けたが敗因は出遅れや乗り方にあったと思われる。急な乗り替わりでもあったのでその影響も考慮すべき。よって、直線の失速を距離の壁と決めつけられないところ。それまでの3戦は五分に出ているし、位置取りも問わない。折り合い面に不安もなく、操縦性も良いため、この大敗だけで不適格の烙印を押すのは少々怖い。兄ファンタジストも朝日杯FSで4着に走っていたので、普通の競馬が出来た際に走れてしまう可能性もまだ残っているかもしれない。状況、情報次第だが、見直しの余地はあるので余裕があれば穴に一考も。

 

デイリー杯2歳S(GⅡ)

 

勝ち時計1:34.5は京都で行われた直近10年(10年~19年)においては2番目に速い好時計だった。エアスピネル(15年)、ジャンダルム(17年)、アドマイヤマーズ(18年)らGⅠ級が勝った年よりも全然速い。これが稍重で記録されたものなので価値は自然と高くなる。3F通過35.0秒はこのレースではハイペースな部類(普通は35秒台後半で36秒台も珍しくない)。馬場状況を加味すれば結構タフなレースであったよう。勝ち馬以外の先行馬が崩れているのはその為だろう。差し有利な展開。2・3着馬は展開を味方に出来ていたが、8着馬は6番手から脚を使えていないので物足りない。道中3番手の前ポジションから2位上がりで突き抜けた勝ち馬は文句のつけるところはない。

 

1着:ジャンタルマンタル

新馬戦は楽に勝って、通過点を通過しただけと言う感じ。3番手から簡単に抜け出している。ペースや勝ち時計も2歳の新馬戦なら十分評価できる。

・スタートも、序盤のポジショニングも良く、仕掛けてからの反応も機敏で、直線で鞭が入ってからグンと加速しており、勝負所の立ち回りにも全く問題がない。

・2着に2馬身半差だが鞍上が後ろを確認して追うのを止めたほど。手応えに余裕があった。最後まで追われてないし、全力を出し切ることなく勝ち上がる。

・程よい前進気勢もあったのでマイル戦でも大丈夫だと思う。

 

上記がデイリー杯2歳S出走時のカルテ。

 

無傷の2連勝で重賞制覇。社台Rでは2歳世代のエース格として期待されている。今回は相性の良い鮫島騎手から川田騎手に強化しており、来年以降の活躍も見こされているようだ。デイリー杯2歳S新馬戦同様にとても楽に勝った印象。インの3番手から抜け出して、突き抜けて、最後に流して入線する様は新馬戦とまるで同様。距離は違っていたが、立ち回りに齟齬がなく、走りは常に安定している。着差タイム差もほぼ同様であり、相手強化の1戦でも力の優位性を保てている。末脚も良で34.6秒、道悪で34.7秒と変化はなく、距離・馬場に変化があっても末脚に影響を受けない。条件に左右されない強味は初コースの阪神でもある程度のパフォーマンスを保証してくる気がする。パフォーマンスが極端に変化することはなさそう。初戦は余裕残しで使っていたから-6kと馬体は減ったが、レース前の話ではもっと絞れているように話していたから、さらに絞れる余裕がある。仕上げの面でもまだ上積みが期待出来る。ここまでは全力全開と言う感じにはなっていないので、まだ上のパフォーマンスを引き出せそう。また、楽に勝っていると言っても、2戦とも評価出来る時計で走れているので能力の一端は示していると言える。しかし、気になった点もデ杯2歳Sにはあって、クチを割って追走している区間が長かったので、そこは気がかり。2戦目で行きたがるところが出ているように思われる。さらなる相手強化ではこういう所は弱点になりうる。この中間もその辺に気を付けた調整がされているよう。使ったことで馬のテンションに変化が出始めているのかもしれない。スムーズに周って来れれば勝ち負けの確立は高いと思うが、不安材料を抱えている可能性は認識しておきたい。

 

2着:エンヤラヴフェイス

・同条件を経験した馬と比べると勝ち時計は抜けて速い。

・二の脚で先行し2番手から競馬をした序盤の立ち回りは良いが、終いの反応は鈍い。鞭を2・3発入れたてようやくエンジン全開となった。

新潟2歳Sは周りに馬がいたことでヤル気を失ってしまったそう。メンタル面に不安あり。

新潟2歳Sでは後方から末脚を繰り出すことが出来ていない。新馬戦でもそうだったが、ラストに速い脚を使えない模様。

 

上記がデイリー杯2歳S出走時のカルテ。

 

3番人気7着と期待を裏切った新潟2歳Sから巻き返して0.3秒差2着に好走。その時の敗因は前に馬がいると走る気を失くしてしまうという気難しい一面が出たもの。デイリー杯2歳Sではその辺に気を付けて乗られていた。8枠と外めから運べたのも良かったのだろう。ただ、6番手の外を追走していて、勝ち馬に比べれば距離ロスが大きく、その分だけ負けたという見方になる。負けた理由はそうなるが、そうせざるを得ないのが無き処。勝ち馬と比して劣っているものは特になかったが、気ムラな性格が大きなネックと言わざるを得ない。内枠を引いて勝ち馬の様にインポケをスムーズに追走出来ればいいが、そう言う競馬が出来ないのだから泣くしかない。こういう癖はそのうち治ると思うので、案外もう大丈夫だったりするのかもしれないが、結局はやってみないと分からないところ。枠次第で評価を調整するしかいまはない。なお、デ杯2歳Sは展開を味方にしていたので最後に差を詰めて来れたが、新馬戦ではエンジンがかかるのに時間を要し、瞬時にグンと加速出来るタイプではない。タフな流れがこの馬に向いたのは覚えておきたい。ラストが加速する上がりの競馬は現状の性能ではあまり好ましくないと思う。

 

3着:ナムラフッカー

・好走したレースに地力を感じれる点はなく、使える脚も速くなく、短い。

・逃げることでアドバンテージを取っており、着順は展開に左右されている。

 

上記がデイリー杯2歳S出走時のカルテ。

 

11頭立ての10番人気で3着と激走。4コーナーも最後方で回っているように、最初からレースの流れを無視したポツン待機。ちょっと出負けしたのもあるが、意識して下げた感じ。これはペースを見こした松山騎手のファインプレー。レースの展開を大いに味方に出来た。上がりのかかる展開で、タフな流れを中間位置で追走していた各馬が伸びを欠いてところをこの馬がまとめて差してハナ差届いた。これまで先行して物足りない末脚だっただけに、控えればシッカリとした脚が使えたことで新味が出たのも収穫になる。ただ、やっぱり展開ハマりではあるので評価が爆上がりしたとは言い難く、使った上がりも最速であったが積極的に運んでいた勝ち馬のそれより0.2秒速いだけなので極上の末脚とまでは言えない。速い上がりを使えていない点でまだ信頼性には欠けている。3着とはいえ、GⅠで安泰と言う感じにはならない。このメンバーと末脚比べをしてどのぐらいの脚が使えるかを見極める必要があり、現状では速い上がりを安定して繰り出せるイメージまでは持てない。

 

8着:クリーンエア

新馬戦の直線では追い出せない不利を覆して一気に差し切った。瞬発力に見どころがあり、勝負根性も見せる。印象は良い。

新馬戦の勝ち時計は及第点で、ペースを考えると33.8秒の末脚の質感も悪くない。力を出し切ることなく勝った印象もあるのでまだ上がありそう。

新潟2歳Sでも進路を確保するのに手間取り追い出しが完全に遅れている。スムーズだったら2着はあった。鞍上はもっと上手に乗らないと。

・2戦とも進路が取れ次第直ぐに反応して、ビュっと加速出来る。瞬発力は相当高そう。追い出されるまで待っていられる賢さも印象的。

 

上記がデイリー杯2歳S出走時のカルテ。

 

デ杯2歳Sは8着。出遅れて初手最後方。そのまま待機していれば良かったが途中から前との差を詰めに動いてしまい、中団ぐらいまで押し上げている。ただ、動き出した4F目はこのレースで最もラップが遅い区間だったのでここでリカバーした大野騎手の判断は理に適っている。それで追い出したら伸びなかっただけなので力負けの評価が妥当になる。これまでも溜めて差して来る競馬をしており、33秒台の上位上がりを記録していたが、馬場状況やペース的に上がりが速くなりやすい状況だったので、デ杯2歳Sのようなタフ条件で上がりがかかる展開になるとそれまでのような脚は使えないようだ。だとすると地力の面に問題があり、GⅠで自力好走の目は無くなって来る。末脚の特徴も追い出してからビュンと加速出来る切れ味にあるので、持続性が備わっていない感じも。強敵相手の追い比べは出来れば避けたいところ。相手強化の1戦だと他に末脚上等の馬も多くなるので、その中で末脚を際立たせるのはちょっと難しいかもしれない。展開には大いに恵まれたい。

 

東京スポーツ杯2歳S(GⅡ)

 

1000m通過が59.1秒でペースは速かったが逃げ馬が4・5馬身ぐらい離した一人旅で、2番手以下はペース的に標準的であったのかもしれない。2~4番手だった馬が逃げ馬を交わして1~3着に雪崩れ込んでいる。これではただのポジションゲーム。実質的にはミドルぐらいの上がりの決着になっていたようだ。後続がだらしなかっただけかもしれないが、前残りの競馬で見た目は淡泊。それでもレースの中身に目を見張るようなものがあれば良かったが、ペースの割に後半の加速が弱く、ラスト1Fの失速も大きい。ガストリックが勝った前年は58.9秒と今年よりやや速い流れから1:45.8と走っているので、後半の持続性で今年は劣る。勝ち時計1:46.5は少々物足りない。ちなみに、11年前のコディーノ以来の勝ち馬の参戦となるが、そのコディーノは58.4秒の速い流れからラスト2Fで加速して当時のレコード1:46.0(稍重)で駆けており、11年前との比較ですら今年のレース内容は物足りなく映る。レースの中身から強調材料を見いだせない。

 

1着:シュトラウス

・不良馬場の府中マイル戦を9馬身差で圧勝。しかし、2着以下のその後を見ると相手は相当弱かった模様。課題評価禁物。

・時計的な評価が出来ないので判断は難しいが、走りの質は悪くなかった。

・サウジRCではスタートで出遅れて、2F目にガツンと掛かる。これで3着と崩れなかったことに地力の高さが感じられる。

新馬戦でも行きたがるところは出ていたので、気性は当面の課題となる。ただ、1800mぐらいなら引っ張りきった状態でも押し切れそうな力強さは感じられる。

 

上記が東スポ杯2歳S出走時のカルテ。

 

60秒前後ぐらいが標準的なレースなので、1000m59.1秒は結構速いペースである。逃げ馬が離して逃げていたのでタイトな展開で序盤は流れた。しかし、このペースでもこの馬には御しきれない。当初は3・4番手で折り合いを付けようとしていたが、直ぐに行きたがり、モレイラ騎手が腰を落としてがっちりと抑え込んでいる。収まったと思ったら、すぐまた行きたがっている。モレイラ騎手だから抑え込めたが、推進力が強いので腕っぷしの弱い騎手ならとても御しきれないだろう。この気性だとさすがにホープフルSでは難しい。この馬に緩急を求めない方が良く、距離をマイルに戻すのは賢明な判断と思う。近年の朝日杯FSの序盤は33~34秒台なので、35秒前後のペースで苦しんでいたこの馬には丁度良い流れになるかもしれない。力みも少しは抜けるのではないかと思う。スタートがまともなら先行集団に混じって早めの競馬で押し切りにかかるだろう。手綱を放せばぶっ飛んで行っくほど力強いので、直線で一旦は突き抜けていると思う。ゴール前はこの馬目掛けた攻防が繰り広げられ、そこからは根性勝負と見る。後続を凌げるかどうかだが、不良馬場を9馬身千切った馬でタフな状況でも強く、体力勝負や消耗戦はドンと来いだろう。この馬を交わすのは骨が折れそうだ。頭もありな残り目注意。

 

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