競走馬カルテ

2・3歳重賞の出走馬を分析・記録していくブログです。

チューリップ賞(GⅡ) 出走馬カルテ 2024

 

こんにちは。

 

12月に行われた阪神JFはレコードで決着しました。勝ち時計が1:32.6でレシステンシアが19年に記録した0.1秒上回っています。これによって現3歳世代の牝馬は歴代最強と話す人が多いですね。なぜなら昨今行われている斤量増加の流れから2歳戦もそれまでより1k重い斤量を課せられています。レシステが54kで記録した時計を、1k重い55kで上回るのですから根拠としては成り立っています。

 

歴代最強と定義づけるのにそんな簡単な話でいいのかなぁなんて思ったりもするのですが、3歳牝馬のレベルが高いというのは確かに言える事ですね。無敗の2歳女王アスコリピチェーノ、牡馬なで斬りで中距離GⅠを勝ったレガレイラ、ルメール騎手がGⅠ級の素質と惚れ込むチェルヴィニアなどサンデーR牝馬の布陣は実に強力です。これらが桜花賞の中心的存在となるでしょう。

 

これに対抗する勢力があるとしたらやはり牝馬の国枝厩舎だと思います。GⅠ2着のステレンボッシュ桜花賞に直行します。また、先日のクイーンCでは3着と賞金加算に失敗したルージュスエルテも桜花賞出走を目論んでいたようです。そして、今回は2戦2勝のミラビリスマジックで桜花賞出走の権利を狙います。姉にマジックキャッスル、兄にソーヴァリアントがいるソーマジックの一族で、先日行われた京都牝馬Sを1つ上のソーダズリングが優勝したばかりですね。キャッスル、ダズリングは春のクラシックに駒を進めていましたが、ミラビリスもそれに続きたいところです。チューリップ賞の結果・内容次第で桜花賞の惑星に躍り出るかもしれません。

 

チューリップ賞は3月2日(土)に行われます。前日の1日(金)には更新を完了します。

 

予想案は各ページの最下部にある専用ページにまとめてあります。ブログカードを貼っておきますのでそちらをご覧ください。

 

エポックヴィーナス

 

阪神、京都のマイル戦を3戦して前走で勝ち上がる。リズム良く走り、前進気勢も程よくある。中団ぐらいで控える競馬をするタイプの様だが、レースの流れに合わせて位置取りを調整出来る処が良い。まだはっきりとは言えないが、スローの上がりの競馬よりも、タイトな展開や消耗戦で末脚が際立つタイプのよう。他が苦しいところを差し込んで上位に食い込んでいるので、上がりの速い競馬だと前を捉えきれないイメージ。それだけに距離が伸びて良さそうな印象を受ける。権利獲り目的のトライアルは厳しいレースにはなりにくいので、桜花賞トライアルには向かないかもしれない。弱い馬ではないので、厳しい展開になるようなら一考したい。

 

エラトー

 

7月にデビューして4着。以降は1つづ着を上げて4走目で勝ち上がる。マイル戦は新馬戦のみで、2戦目以降は中距離を走っている。ノーザンF系の素質馬と言う感じだったが、出世街道には乗れず。立ち回り上手く、追走力も良いので安定して力を発揮するが、残念ながら直線での加速が弱く、勝ち切れない。負けていた時は未だに勝ち上がれていないような馬にも差されて着を落としていたほど。2戦目までは加速ラップに対応デキず、上がりの競馬やキレ味勝負で弱味を見せている。ので、3戦目以降から逃げるようになっている。この馬の脚力からすれば当然こうなるだろう。逃げていると言っても、中距離のマイルドな流れをリズム良く走っているので、マイルへの短縮だと自分の競馬が出来ないかもしれない。2・3番手でも競馬は出来るだろうが、そうなると決め手の乏しさが脚を引っ張ることになる。いずれにせよ、前々で運んで雪崩れ込むしかなさそう。目立った時計もなく、際立つパフォーマンスも見られないし、推す根拠に乏しい。現状では条件戦をコツコツやっていくタイプの様に思う。

 

ガルサブランカ

 

イクイノックスの妹で厩舎は木村、鞍上ルメールのコンビ。2戦1勝2着1回。いずれもスローから上がりの競馬。新潟マイルで32.8秒、府中マイルで33.2秒と上がりはしっかりとキレている。ただ、その末脚は他馬と比べて飛び抜けている訳でもなく、着差も僅かで前走は前を捕まえきれず負けている。能力だけで高速上がりを記録しているが、それでも脚を使い切れていない感じがあって、もう少し流れたペースの方が末脚は際立つような印象がある。2戦とも37秒台-63秒台の通過で超スロー。地力の問われない展開に付き合っている感じで、馬も走りにくそうに映る。力を出し切っている感じがなく、結果圧倒的なパフォーマンスを発揮出来ないでいるような感じ。もう少し流れたレースでパフォを上げるのではないだろうか?また、気性的に難しいところがあるようで新馬戦の3コーナーではがっつりとかかる。2戦目も前進気勢の強いところがあり、ルメール騎手も手綱を引っ張り位置を取りに行けなかった感じ。結構なスロー戦だから、折り合いが難しくなるのは仕方ないとこだが、現状は粗削りな印象が強い。ものは良さそうだが、まだまだこれからという感じである。

 

ショウナンマヌエラ

・ゲートが開いた瞬間に飛び出して1馬身ほど抜けていた。スタートセンスが高い。

・周りが一杯に追いながら先行するところでも拳を動かすことなく、持ったままでスイスイ進んでいく。推進力ある走りで好感。

・余力を持って直線を向けているので最後は結構渋太い。

 

上記がアルテミスS出走時のカルテ。

 

アルテミスSが5着。先手の取り方は相変わらず上手く、ポンと出て、ポンと行けてしまう。ハナの取り方に無理がなく、いつも楽に逃げれている。これで3戦連続で逃げたことになり、早くも自分の形が出来上がってしまった。似たようなコースの近2走は比較がしやすい。新潟2歳Sが35.4-59.8のペースで1:34.0、アルテミスSが35.9-60.0のペースで逃げて1:34.5。0.5秒遅く走ったら、0.5秒遅くなったという単純な話。この馬自身の走りに変化はない。ただ、もう少しレースを後傾させても良かったのにと思うところもあり、その点でちょっと物足りない。せめてレース上がりは2走前より速いものを記録してほしいとこだった。また、この2走の勝ち馬は2歳女王と幻のGⅠ馬的な馬。トップクラスとの力差は認めざるを得ない。前走で着が下がったのも相手強化によるもので、トライアルとは言え、桜花賞路線が本格化して来ると相手も強くなり、パワーバランスの面であまり強気な評価が出来ない。賞金がありながら阪神JFを回避したのは好感で、間隔があいた分成長や強さが増し、能力や強さが更新されているといいのだが、それがないならちょっと厳しい。事前の厩舎情報をしっかりと吟味して、良化の有無で取捨を決める。

 

なお、この馬を物差しにした時、アスコリピチェーノよりチェルヴィニアの方を上に評価した方が良さそうであった。

 

スウィープフィート

・気性面に幼さがり、折り合いが難しい。かと言って、1200mは身体的に忙しく、距離はマイルの方が良い。心身の適性が噛み合わない。

・折り合い重視で乗れば末脚はかなりキレ、他を圧倒出来る脚を使える。スローでも、タフな展開でも末脚は引き出せる。

・乗り方に注文が付く現状で、操縦性もかなり低い。

 

上記が阪神JF出走時のカルテ。

 

阪神JFは出遅れて初手最後方。外を回して進出する大味な競馬。良い脚を使っていたようにも見えたが、上がりは上位に入らず、意外と平凡な伸びだった。また、前走のエルフィンSも同様で上がりは4番目。3走前に物凄い末脚を発揮した末脚巧者の印象もあったが、相手強化の近2走では末脚の優位性を失っている。特に前走はインコースの利があった開催3日目で、イン突きしながら外から差されたのはがっくりとなる。相手が強くなったことで相対的にパフォーマンスを落としている様に思われ、このままでは桜花賞出走は厳しそう。今回はその為の乗り替わりなのだろうか?もともと乗り難しそうな馬なので永島騎手には手に余る感じだったので、ベテランの武豊騎手へと乗り替わるのはプラスになりそう。溜めれば脚を使える馬ではあるので、こういう馬にこの鞍上は合い、今までより一つ上の末脚を引き出すことも出来るかもしれない。分かりやすい鞍上強化で、これがカンフル剤になる可能性を感じる。また、馬の方にも良化は見られる。折り合いの難しさを2走目までは見せていたが、近3走ではその点が改善されている。エルフィンSもレースぶりそのものは良く、使う毎に良化は見られた。前走以上を引き出す余地はなくもない。

 

この陣営は暮れの2歳GⅠでは阪神JFを除外された時のため朝日杯FSに登録していたほどで、GⅠ出走の意欲がとても高い。桜花賞出走を目指す為にはここがラストチャンスであり、その為に鞍上も変えたし、状態メイチで使って来ると思われる。

 

ティールブルー

・追い出してからの反応は申し分なく、スッと加速する。結構なキレもの。新馬戦では32.9秒の上がり最速で2馬身半も突き抜けてしまう。

・気難しい面もなく、折り合いスムーズ。発馬も上手く、レースの流れに乗って追走面にも問題は見られなかった。

新馬戦では中団待機策だったが、アルテミスSでは3番手の積極策。鞍上の意のままに動けているのだろう。操縦性がよく、自在性を発揮出来ている。

 

上記がフェアリーS出走時のカルテ。

 

フェアリーSが1番人気を裏切る4着。ルメール騎手の話では位置取りが後ろ過ぎたとのこと。確かに4コーナー手前で後方3番手ではそうだろう。ただ、1・2を争うぐらいの好スタートを決めながら、好位をキープすることなく、道中で徐々に下がりながら勝負処であの位置。ルメール騎手にしては不可解な乗り方だった。序盤にポジションキープの競馬をすればインのポケットで良い立ち回りが出来たのではないかと思うとこの判断は理解し難い。ただ、こうも言っていて、レース前にうるさいところがあったとのこと。その感触からリラックスさせることに重点を置いたのかもしれない。いずれにせよ敗因はレースでの位置取りだけで、最後はちゃんと反応し、0.1秒差まで詰めてきているので力負けの感じはない。より明確な敗因が今回で分かるであろうから、それ次第で見直せる。でも、やっぱりフェアリーSのメンバーレベルは1枚落ちる印象があり、相手は今回の方が強いと思う。あのメンバーだから僅差の競馬が出来たが、同じような立ち回りになると今回も苦しいことになる。勝ち筋を見誤らない乗り方が求められる。

 

セキトバイース

 

ここまで5戦を消化している。1勝馬だが取り口は安定していて連対率は8割と大きく崩れないタイプ。程よい位置取りから終いはいつもしっかりとしている。2着が多いがタイム差は小さい。そう悪い馬ではないのだろう。ただ、結局勝ち切れないのはこの馬が弱いからで、いつも何か強いのがいるという感じ。唯一馬券から漏れたのが勝ち馬がGⅠ2着した赤松賞。ここで伸びを欠いて5着となっている。相手強化で相対的に着を下げたと見る事が出来る。成績に安定感があるのは相手に恵まれていた可能性を否定できない。ここまでのレースを見ると、前進気勢が程よくあり、走りはワンペース。マイル戦では直線でグンとした加速が出来ていない。折り合いを気にするシーンもあったので、気性的にマイルは長く感じられ、1400mベストと言う印象。そう悪い馬ではないが、マイルの重賞だと強調材料を欠き、相手も強い。

 

タガノエルピーダ

・京都1600mの新馬戦を1:34.3の好時計で勝利。2歳の新馬にはタイトな流れを3番手で力強く追走、逃げ馬との叩き合いを制している。

・まぁまぁのペースから、ラスト2Fは11.0-11.0と優秀なレースラップ。このペースを刻んだ逃げ馬も次走をあっさり。これを2着に負かした本馬は強い。

・ゲート良く、初速も速いので、楽に先行出来ていて不安のない立ち回り。勝負所でも加速ラップを持ったままで追走出来ていて、反応、機動力共に申し分ない。

・1戦1勝の牝馬が牡馬相手のGⅠは厳しいかもしれないが、ここがダメでも桜花賞までのどこかで存在感を発揮しそうな馬だとは思う。

 

上記が阪神JF出走時のカルテ。

 

牡馬相手の朝日杯FSに出走し、牝馬ながらに3着と気を吐く。展開的には最も強い競馬をした評価が出来る。2・3F目に10秒台が連続した激流でこれを3番手で追走。ラスト1Fの失速は1.1秒と大きく、基本的には追込み有利な流れ。事実、先行勢力は直線中ほどでは後続に飲み込まれており、この馬自身も馬体を合わせられて、交わされそうな情勢であった。が、そこから再度伸びるのだから超強い。展開ハマりの4着馬に抜かせなかった勝負根性は実に立派。相当タフな競馬を強いられており、新馬を勝ったばかりの牝馬がここまでやるか?と言うハイパフォーマンスである。心臓面の強さや、持続性の高さなど重賞級の評価を与えるべき。新馬戦ではスローの上がりの競馬を最速上がりで対応しているし、GⅠのタフな展開でも脚を持続させており、どんな展開でも崩れないのは信頼性を高める。現状は安定して前で運べる先行馬で、序盤の立ち回りに上手さがある。現状の欠点は少ない。ただ、勝ち時計は0.3秒詰めたに過ぎず、レコード決着した阪神JF組とは持ち時計の面で強気になれない。牝馬同士ならとも思うが、その辺に落とし穴があるかもしれない。

 

なお、2歳GⅠでは阪神JF朝日杯FSの両方に登録。関係者はGⅠに使う事に強い拘りがあるよう。GⅠ3着馬とはいえ賞金加算の無い1勝馬権利取りへの意欲は高くなっているはずで、勝負仕上げに近い状態で出走してくると思われる。

 

ハワイアンティアレ

 

新馬勝ち後にエルフィンSに出走して7着。どちらも京都のマイル戦で、1000mの通過も大体同じ。新馬戦では中団待機から加速ラップを差し切り、良い瞬発力を見せたが、エルフィンSでは末脚は際立たなかった。それでも新馬戦より速い上がりを使えており、末脚の質感も良くなっていた。それで負けたのだから相手が強かったというほかない。道中に目立った不利もなく、鞍上の指示通りに反応しているので特別な理由がない限り実力通りなのだと思う。430kと馬体も小さく、現状は馬力不足なのではないだろうか?

 

フルレゾン

・スティールブルー(アルテミスS3着)が勝った新馬戦で3着だった。出遅れ分を回収できず負けたが、末脚は勝ち馬と同タイムで重賞級の評価も可能かも。

・未勝利勝ちは展開的にハマっていたが未勝利レベルで1:33.3は好時計(阪神は高速馬場だった)。それなりに価値がある。

・ここまでの2戦を見ると少々行きたがるところがある。我慢出来ているので問題視する必要はないと思うが、馬が一生懸命過ぎる感じで、走りに滑らかさが無い。

 

上記がデイリー杯2歳S出走時のカルテ。

 

デイリー杯2歳S10着(11頭立て)。スタートしてすぐ行きたがり、最終コーナー手前まで折り合いを欠いていて、ずっと首を上げたままのレース。これでは脚もたまるはずがない。ムーア騎手なので最後まで一杯々々に押していたが、弾ける気配は無く、ジワジワ伸びる感じも無い。新馬・未勝利の内容から能力があるのは間違いないのだが、この時から行きたがるところは見せていて、気性面に課題あり。普段の調教からもムキになるところがあるようで、厩舎も工夫しながら改善に努めている。気性面が能力を妨げており、早期に改善しないとクラシックが見えてこない。その後、1月下旬の白梅賞に出走も、馬場入り後に放馬して出走は回避。テンションの高さはより悪くなっているよう。常識的に考えると約1ケ月で根本的な解決に至るとは思えない。一応確認してから取捨はするが、ちょっと厳しそう。無印にしたとしても他馬に影響を与えそうで、いずれにしても怖い馬。

 

ブルーアイドガール

 

新馬勝ち後にエルフィンSに出走して7着。どちらも京都のマイル戦で、1000mの通過も大体同じ。新馬戦では中団待機から加速ラップを差し切り、良い瞬発力を見せたが、エルフィンSでは末脚は際立たなかった。それでも新馬戦より速い上がりを使えており、末脚の質感も良くなっていた。それで負けたのだから相手が強かったというほかない。道中に目立った不利もなく、鞍上の指示通りに反応してタイミングを逸することなく追い出せているから力は出し切っている。特別な理由がない限り実力通りなのだと思う。430kと馬体も小さく、現状は馬力不足なのではないだろうか?

 

ミラビリスマジック

 

母は重賞馬を多く輩出するソーマジック新馬勝ち後に菜の花賞に出走して、中山マイルで2戦2勝。序盤に少々い行きたがるが直ぐに収まり、以降は騎手の指示通りに動く。レースを覚えてくれば解消してくるレベルで気性難と言いう事はない。勝負処ではGOサインを待てる余裕があり、追い出す際の反応も鋭敏。ゆっくりめのペースから楽に抜け出して勝った新馬戦は特筆するべき内容ではなかったが、タイトな展開を5・6番手から差し切った菜の花賞の内容は力上位だった。中弛みがなく、11秒台が最後まで持続した流れでも脚を溜めながら進められており、末脚を使えた点は評価を高くして良いところ。この際の勝ち時計1:33.4は1週前に行われた同条件重賞フェアリーSのそれを0.6秒上回る好時計。レース内容も、時計面もフェアリーSを上回っているので重賞級の評価が可能。見た感じまだ緩さが残っているように思うが、パンとして来れば血統通りの活躍を期待して良いと思う。良くなる余地を多分に残している現状だとは思うが、今の状態でも権利ぐらいは獲れるかもしれない。中山の経験しかないため、強さより上手さが目立つレース振りなので、末脚勝負の要素が高い阪神マイルで強烈な脚を使えるかが課題となる。が、マジックキャッスル、ソーダズリングのふた姉も終いの脚は使えていたのであまり気にしなくて良いかもしれない。

 

ラヴァンダ

 

4戦を消化しており1勝3着3回で負けた時でも接戦になっている。成績が安定しているように、競馬振りに注文が付かず、常に力を出し切っている。それだけに僅差とは言え負けた3戦は結局力負けなのだろう。いつも不利を受けずにスムーズな立ち回りで直線を向いて来るが、追い比べで劣ってしまうので脚力不足という印象。控えて差す競馬をしてダメだったの、前走で先行策を試したところ、結果は同じだった。どんな競馬でも力を出せるのだから悪い馬でないが、現状は力不足の評価が妥当なように思われる。自己条件なら勝ち負けに数えて良い1頭だが、トライアルでは相手も強い。これまで以上に末脚は目立たないと思う。有力馬のコケ待ち。

 

ラーンザロープス

・2走前から折り合い面に難しいところが出始めているが、それでいて常に最速上がりを記録して好走を果たしている。気性難だけで軽視できない馬。

・消耗戦で脚が使える馬なので持久戦になれば強味が発揮されるが、持ち時計がなく、速い上がりを使った事がない。

 

上記がシンザン記念出走時のカルテ。

 

シンザン記念の4着は強い内容。テンが34.3秒と速くなり、先行総崩れになったレースを2・3番手の積極策。周りが失速するなか、ラスト1Fで最加速出来ており、内容が濃い。加えて、外差し馬場をラチ沿いから伸びたのだから実にエライ。牡馬に混じった重賞で牝馬のこの馬が一番強い競馬をしたと言っても過言ではない。馬場を味方にした3着馬に競り落とされたが、その後きさらぎ賞で僅差の2着と走っており、この馬の評価も相対的に高まる。速い上がりを記録したことがないので、上がりのかかる馬場状況や展開が味方した可能性は否定できないが、ひとまずタフな競馬で強味を発揮する馬と見て間違いない。また、収穫もあった。テンションが高い馬だったので折り合い重視に乗られていた馬が先行策で破綻しなかったのは良いこと。休み明けのフレッシュな時の方が力を出すのかもしれない。弱かった体質も改善されたとのことで、加減しながらの調整が、負荷をかけれるようになりフィジカル面の成長・強化も伴った。気性面についてはもう数戦見る必要がありそうだが、馬は上昇曲線に入った模様。前走以上に注意したい。

 

イツモニコニコ

・いつも出遅れるが二の脚良く、リカバーして先行位で競馬が出来、未勝利勝ちは逃げ切りだった。

・追い出してからの反応も良い。沈み込んでから良いフォームで力強く伸びている。終いの脚が使える先行馬という感じ。

・9月の阪神は高速馬場で時計が出やすかったので鵜呑みに出来ないが、この馬の1:21.2はかなり速い。昨年のバーラの勝ち時計を上回っている。

 

上記がファンタジーS出走時のカルテ。

 

ファンタジーSも出遅れ、前走の自己条件も(阪神1400)出遅れ。ここまで4走全てで出遅れている。どうもスタートが良くない。近2走は出遅れた瞬間に温存策に切り替えてしまっていて、いずれも直線入り口最後方。ファンタジーSは全くの無反応で、前走は反応こそ良くなっていたが末脚は際立たず。2走目まではリカバーし、速いペースを先行して一脚使えていただけに、この乗り方は不可解。デムーロ騎手は全戦で騎乗しているが、近2走の乗り方はサボタージュの様に思えてならない。力をまるで出し切れていない。1・2走目の評価は高かっただけに、これが本当の姿ではないと思うのだが。今回はマイル戦なので、1400mしか走っていないため自然と評価は辛くなってしまう。フィリーズrvなら見直すべきと思うが、この馬の評価材料とマイル戦で求められる適性は合致しない。事実、近2走で末脚不発が続いているので阪神外回りのマイル戦は厳しいと思う。厩舎サイドも瞬発力勝負は向かないと話しているので、この条件で良さが出るとはちょっと考え難い。

 

ワイドラトゥール

・序盤の立ち回りが上手く、初手がスムーズ。初速もあるので、ポジショニングもすんなりと出来ている。

・序盤からそこそこ流れていた展開を楽に追走。周りがバテるなか、この馬だけ持ったままで、いつでも抜け出せる手応え。追い出して楽勝。持続力が高そう。

・終始余力十分で、大人び立ち回りは印象が良く、力上位の走りで勝ち上がっている。本気を出さずに勝った印象でまだ上がありそうな馬。

 

上記がファンタジーS出走時のカルテ。

 

近2走はファンタジーS10着、紅梅S1着と京都1400mを連戦している。共通しているのは、テンに置かれて後方待機していることと、上がり最速を記録していること。ファンタジーSではフルゲートの8枠だったので位置が取れず、控えた格好。最後方待機から直線勝負をしたが届かなかった。ただ、上がりのかかる展開で33.6秒の末脚を使えた点は評価しておきたい。前走は出遅れてやはり後方からとなったが、今度は流れもゆっくりだったので馬群に取り付いた競馬が出来た。先行有利な展開でも差し切っており、終いの脚は良かった。これらを見ていると1400mは少し忙しい印象で、内容の良かった新馬戦のマイルの方が流れに乗れて、かつ脚も使えるのではないかと思う。全戦で最速上がりを記録しているように末脚が生きる舞台もこの馬には合うはず。チューリップ賞の条件はこの馬にとって悪くないと思う。負けたレースも含めて、良く動けていて、追い出されてからの反応はいつも良い。今のところ安定して脚を使っているので、位置取り次第でいつでも上位に食い込める可能性はある。新馬戦では初手がスムーズだったし、ファンタジーSも序盤はちゃんと走れていて、本来はポジショニングも上手い馬だと思う。追走が楽になるマイル戦ならレース振りはより安定すると思われ、チャンスの無い馬とは言えない。

 

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