競走馬カルテ

2・3歳重賞の出走馬を分析・記録していくブログです。

ニュージーランドトロフィー(GⅡ) 出走馬カルテ

 

こんにちは。

 

昨年のレース内容次第でGⅢ降格の危機がささやかれていたNZT。なんとかGⅡのグレードを死守したようです。しかし、レース内容がしょぼくなるとレーティングが下がるので再びその危機がやってきます。ここは昨年の最優秀2歳牡馬であり、無敗のGⅠ馬であるドルチェモアにしっかりと走って頂きたいものです。

 

そのドルチェモアですが、牝馬ですとチューリップ賞、牡馬でだとスプリングS共同通信杯を始動戦にするケースが多いので、2歳のマイルGⅠ馬がNZTを始動戦とするのは非常に珍しいですね。08年に出走したゴスホークケン以来の事になります。そのゴスホは1番人気に応えられず12着と敗れていますが、ドルチェはどうでしょうか?

 

さて、近年目立っているのが桜花賞皐月賞を目指していた馬が賞金加算出来なかったり、権利を獲れなかったり、もしくは適性を重視してNZTに出走して好走するパターンです。

 

・牡馬:18年1着カツジ(きさらぎ賞)、21年2着タイムトゥヘヴン(DI記念)、22年3着リューベック(DI記念)

牝馬:19年2着メイショウショウブ(チューリップ賞)、20年2着シーズンズギフト(フラワーC)

 

クラシック級と走ってきた経験値が強味となり、相手弱化も伴うため好走しやすいのだと思います。また、中には一見するとマイラー?と言うタイプも多いですがこれらは距離を誤魔化して中距離をやっていたような隠れマイラーだったりすので気にする必要はありません。今年も何頭かいますが距離適性のイメージを正確につかむ事も重要です。

 

NZTは8日(土)に行われます。前日の7日(金)には更新を完了します。登録多数になりそうですが賞金上位でゲートは埋まりそうです。1勝馬の出番はなさそうなのでひとまず割愛しておきます。出走する事態になった時に追加更新する事にします。

 

予想案はページの最下部にある専用ページにまとめてあります。ブログカードを貼っておきますのでそちらをご覧ください。

 

ウンブライル

・スタートが下手でここまでまともに発馬を決めた事が無い。また、全体的にズブく道中は追い通しになる。

・ギアがトップに入るまでしばらくかかるが、エンジンがかかればグングン伸びる。脚力そのものは高い。

 

上記がクイーンC出走時のカルテ。

 

阪神JFが15着だったのでクイーンCの6着は巻き返した事にはなるが、全体的に物足りないものとなった。2戦2勝だったころのパフォーマンスと比較すると迫力がなくなった。相手が強くなった事で普通に力負けした格好となる。展開はハマッていた方で直線でも満を持して追い出されている。のに、最後は伸びきれない。これで距離が長いという印象が強くなってしまった。ただ、中山マイルなら距離も誤魔化す事が出来るので条件的に悪くない。また、クイーンCでは1つ良い点もあった。常に出遅れていた馬がようやくまともなスタートを切れた。道中のズブさに変わりは無かったが、それでもこれまでよりはスムーズに進めていたのでレース振りは徐々に良くなってきた感じはある。この馬なりの進化は見られた。牡馬混合とは言え、相手が弱まるGⅢならまだ見限れない。GⅠ級と言えなくなったが、関係者の話を総合すると重賞級ぐらいの評価はある。人気を落とすようなら面白いかもしれない。

 

エエヤン

 

昨秋の府中デビュー。2000m、1800mを2戦して勝ち上がれなかったが、中山マイルを2連勝中である。距離を短縮して成功しているのはフィジカル的なものではなくメンタル的なもの。行きたがる面が強いので中距離では最後方で折り合いをつけたり、行かしてしまって大逃げだったりと両極端な競馬になってしまった。それでもそこそこ走れていたので本質的には中距離でもこなせそうな感じはしたが、気性の分だけ終いが甘くなる。マイルに短縮して結果が出たのも頷ける話。しかし、マイルでも行きたがる気性は変わらない。序盤にかなり掛かる。この前向きさはしばらく収まらないだろう。ただ、マイルならスピードだけで圧倒出来てしまっているので基本的には強い。掛かりながらでも押し切れてしまう。もともとの身体機能も高そうな印象があり、1勝クラスではスピード任せに走って3馬身差の圧勝。かなり粗削りだが弱い馬に出来る競馬ではない。脚質的には2歳王者ドルチェモアと同型になるので強気になれる相手関係ではないが、重賞の方が折り合える可能性はある。行ってしまえば強い所もあるので案外やれるかもしれない。

 

オマツリオトコ

 

芝は3着だった函館2歳S以来の2戦目となる。2歳時に交流重賞勝ちがあり、2歳優駿ではドバイでワールドカップを勝つデルマソトカゲのクビ差の2着。概ね重賞級という評価で良さそうだが、前走のヒヤシンスSがらしくないレース振りで大敗しているのは気になる。状態面の問題であれば見直しの余地が残るが、そうでないなら問題である。交流重賞の2戦はラップ分析が出来ないので何とも言えないが走破時計から推察するとそれほど速いペースで流れているとは思えない。中央戦の内容からも速いラップへの対応力が弱く、3F通過時点で鞭を入れないとポジションキープも出来ていない。芝の函館SSも序盤に大きく置かれていて速い区間での追走力は弱かった。砂芝を問わずスピードを持続させる能力が弱いように見える。それでも成績が安定していたのは後半の失速率が大きかったからで函館2歳Sでは最後の1Fが13.1秒、2勝目だったヤマボウシ賞が13.5秒まで失速していた。だから差しが届いたという所があり、こういう消耗戦で上がりを最速化させるのが好走パターンと考えられる。逆に、ヒヤシンスSはラスト3Fがオール12.4秒で失速ゼロ。本馬はこの流れに対応出来なかったと見る事が出来る。要するに、体力勝負に強いということだと思う。失速率の低いレースだと上がりを最速化する事は出来ないだろう。こういうキャラだと良馬場の芝重賞では厳しくなる。道悪にでもならないとちょっと厳しい。函館2歳Sが洋芝の稍重だったので芝適性もあるとは言えない。と言うか、スピードやその持続性の問題なので芝適性以前の問題の様な気がする。

 

サンライズジー

 

芝で5着だった新馬戦以降の4戦はダートを走り府中マイルで2勝を上げている。大外から出遅れた2走前以外は常に2着以上の成績で安定している。良いスタートを決めてそのまま先行ポジションから競馬をしており、逃げ切りだった未勝利勝ちも含めて序盤の立ち回りは安定している。ちなみに、勝ち上がった2戦はどちらも道悪だったので持ち時計はどちらも異常に速い。馬場差があるので比較すべきではないかもしれないが、前走の勝ち時計はGⅠフェブラリーS勝ちのレモンポップの時計より0.1秒速い。タイムパフォーマンスとしてはインパクトが大きい。時計の速い決着には強いということだと思う。なので、唯一走った芝でもそこそこ走れていて、きさらぎ賞2着オープンファイアに0.3秒差だった。この芝戦でも逃げられているのでスピード性能はしっかりと見せている。ダートの芝部分でも難なく先手を取れる馬なのだから芝はほぼ大丈夫なのではないだろうか?サンライズだから砂戦に切り替えたのかもしれないが、芝の可能性をもっと追及しても良いかもしれない。ただ、芝適性より問題にしたいのは距離と決め手。ダートでも1700m以上のレースでは差されて取りこぼしているし、スローの決め手勝負で弱い所がある。こういう適性を問われると厳しくなるかもしれない。毎日杯の出走も考えていたがこの弱点からするとNZTに変更したのは良かったと思う。この距離なら持続力も持つし、決め手が問われにくい中山コースも合っている。意外とやれるかもしれない。

 

シーウィザード

・ここまでの好走はスローの上がりの競馬でのもの。タイトな展開や持続性能に関しては担保がない。地力の問われる展開に対応出来るかが課題になる。

・中山2000mの芙蓉Sの勝ち時計が2:04.4。この時計ですら辛勝だった馬。1秒も、2秒も速いホープフルS京成杯は純粋に通用しなかっただけと言う事が言える。弱い。

 

上記がスプリングS出走時のカルテ。

 

スプリングS10着。出遅れて最後方から。3コーナー過ぎから上がって行こうとしたが後方で脚を溜めていた割には追い上げが弱い。4コーナー前で鞭が数発入れられていた程。時計面の弱い馬で道悪で時計が掛かる条件は良かったはずだが、そう言うところは見られなかった。一応上がりは最速化したがケツからの競馬なら威張れたものではない。この結果から、中距離では万策は尽きた感。前で運んでもダメ、末脚勝負をしてもダメ。時計のかかるレースを望んでいたが良馬場の京成杯と同じ0.9秒差負けでは話にならない。皐月賞を諦めたのは賢明な判断。能力的に足りていない。マイルは新潟2歳S3着の距離なのでこちらの方がまだ可能性が残る。特別強かった訳でもないのだが、重賞2勝のキタウイング、共同通信杯5着ウインオーディンと互角だったことを思い出すと、この距離で怖いところがちょっとある。器用さはあるので中山マイルも大丈夫だと思う。相手次第で印を回す必要が出てくるかもしれない。

 

ジョウショーホープ

・機動力の無い走りで後半に良い脚は使えない印象。先行馬の上がりも上回れていないので末脚で勝負して良い馬ではないと思う。

・勝ち上がった2勝はラストの1Fが失速した際に差しが届いたもの。上がりの競馬で好走は期待しづらい。消耗戦の体力勝負で強いタイプだと思われる。

 

上記がスプリングS出走時のカルテ。

 

スプリングS13着。スタートで出負けしてしまったので中団後ろの後方からの競馬となった。この位置取りだと負けた事は仕方ないが、最後に脚を見せる事がなかったので評価は辛くなってしまう。本来は好位から競馬をして粘り込むのが本馬のスタイルなので、末脚勝負となったことで力を出せなかったのかもしれない。その点で見直せる余地はあるが、負け過ぎているので力負けだった可能性も考慮した方が良さそう。中山マイルは2走前にひいらぎ賞勝ちをしているので、好発を決めれればもう少しはやれるかもしれない。ただ、その時よりは2秒以上は時計が速くなるのがNZT。時計勝負に優位性がないので良馬場だと厳しくなりそう。道悪だったらとも思うが、スプリングSの負けがあるのでそれもどうかと言うことになる。今は好走の糸口が見つけられない。かつて騎乗したレーン騎手が悪い馬ではないが、重賞級のレベルではないという言葉を残していた。だとすると力も足りていないのだろう。やはり、強調出来る材料が見当たらない。

 

シャンパンカラー

・全体的な走りは概ね良好。発馬良く序盤から良い位置を取れる。差し、逃げと良い意味で脚質が定まっていない。操縦性も良く、追ってしっかりと伸びる。

・2連勝はいずれも府中のマイル戦。スロー競馬で上がりの競馬しかしていない点が気になる。同時期の同条件重賞サウジRCやアルテミスSと比較すると勝ち時計が1秒ぐらい遅い。地力の高さはまだ測りかねるところがある。

・マイル向きな前進気勢があるので距離延長でどうだろうか?

 

上記が京成杯出走時のカルテ。

 

クラシックを目指していたので京成杯を使ったが、レース後の談話では距離が長いという事になっている。発馬後のスタンド前では行きたがるのを押さえていたし、手応え十分に直線をむきながらあと100mのところで脚が上がった。このように気性的にも身体的にも2000mは確かに長かったようだ。2戦2勝のマイルに戻ればこういう事はないのだと思う。適条件ではなかったので京成杯を走ったことで得られた収穫はないが、レースセンスの高さ、操縦性の高さ、追い出してからの反応など全体的な走りの印象は変わらずに良いものであった。適条件なら重賞でもやれて良い馬だと逆に思った。ただ、2勝の内容も展開や相手に恵まれていたところもある。スローの経験しかないのでタイトに流れた時にどこまで脚を使えるかがまだ判然としていない。前向きさがあるのでペースが流れる方が折り合いをつけやすい利点があるがその先は未知数。主役として扱うほどのパフォーマンスはまだ見せていない。反面、スケール感があり、厩舎にクラシックを意識させた馬なのでまだ底を見せていない。いずれにせよ、今回の走りでこの馬の評価が定まる。NZTで強い姿を見せれれば主役になれる可能性も残されている。

 

ドルチェモア

・この馬の新馬戦は桜花賞2着ウォーターナビレラが勝った新馬戦と同じ。内容分析から誤差がなく、ナビレラと同等の先行力を期待していいのかもしれない。

・ゲートをポンと出てこれだけで後続に1・2馬身の差をつけられる。これでアドバンテージが取れてしまうので終いもしっかりと伸びる。

・折り合いも非常に良く、走りに無駄が無いので省エネ運航で道中を回ってこれる。騎手の指示にも従順でGOサインを出してからの反応もとても良い。

・常に完璧な立ち回りで取りこぼしは少なそうな印象。

 

上記が朝日杯FS出走時のカルテ。

 

朝日杯FSの戦前に遡れば、今年のメンバーは微妙だねと言う風潮であった。レース内容についても、ここまで何度か触れてきたように過去のレースと比べても、1週前に行われた阪神JFと比べてもいずれも物足りない。加えて、次走を済ませた3・4・5着馬が着を大幅に下げて負けている。また、本馬はこのレースで最も恵まれた馬である。イン有利だった馬場バイアスもこの馬に見方していた。最優秀2歳牡馬には失礼だが、絶対的な存在として春を迎えているとは言えないと思う。朝日杯FSのレースでこの馬が良かったのは序盤の立ち回り。この点だけは相変わらずに素晴らしい。スタートを決めて、行きたい馬に行かせて、自信は2・3番手で折り合いをつける最高の立ち回り。レースセンスの高さはさすがではある。しかし、これだけ恵まれて繰り出した末脚は平凡だったし、スムーズな立ち回りが出来ていたとは言えない2・3着馬が楽に競馬をしていたら結果は変わっていたように思う。全ての面で恵まれているので絶対王者の風格はやっぱり感じれない。とは言え、それが問題になるのは皐月賞組・桜花賞組が転戦してくるNHKマイルCになってから。皐月賞桜花賞にすら出走出来なかった馬が相手となるNZTなら有利な立ち位置は変わらないとも思う。この馬のレースセンスや器用さを生かすには中山マイルも向いている。不利になるのは他馬よりも背負う斤量ぐらい。今回までは有力な1頭で軽視するならその先で良い。

 

モリアーナ

コスモス賞新馬戦の内容からパフォーマンスは低下していた。札幌1800mに適性のある走りとは思えず、内容が良かった府中マイルの新馬戦を基準にした方が良さそう。

・先行センスが高く、二の脚も良いのでポジショニングに苦労しない。折り合いに不安は見られないし、追ってからの反応も府中では機敏であった。

 

上記がクイーンC出走時のカルテ。

 

クイーンSはクビハナの3着。後方待機から直線外に出して追い出して来た時の手応えがとても良く、勝てそうな感じだったが、最後に甘くなり脚色が鈍ってしまう。この負け方からすると、五分のスタートから位置取りを下げてしまったのは良くなかったかもしれない。また、1・2着馬はインの前目中目でそつなく乗っていたので差し返されて負けてしまった。直線で外を回るロスも大きかったし、負けて強しではあったが惜しい星を落とした感じ。それでも、控える競馬で良い末脚を見せた事は評価しておきたい。新味を見せたと言ってよいだろう。こういうパフォーマンスを見せてくれれば重賞級の評価も可能になる。ただ、僅差だった結果からすると乗り方が違えばとは思う。本来は先行センスが高く、序盤の立ち回りが上手い馬。二の脚も良いところがあるので好発から3番枠を活かせばインポケの絶好位を楽に取れただろうと思う。いずれにせよ、賞金加算は出来なかったので桜花賞出走が絶望的に。NZTへの出走となった。ただ、新馬戦の時と同様でやはり府中での走りが良い。だからこそ、NHKマイルCには何が何でも間に合わすべきだろう。トライアルなので今回は3着でも行ける。ここでしっかりと結果を出すべきだ。クイーンCの様な追込みの競馬をすることなく、立ち回りの上手さを生かせば中山のマイルも攻略可能だと思う。チャンスのある1頭だと思う。

 

バグラダス

・砂芝、コース、距離といろいろな条件で好走を続ける。脚質にも幅がある。どんな条件でも力を出せる万能的な馬と言う感じになって来た。

・気性的な問題点も無く、鞍上の思うままに動かせるのは良い印象。

・5着だった朝日杯FSでの追い出しの反応を見るとマイルはギリギリと言う感じ。1400mに戻すのは悪くはならないと思う。

 

上記がファルコン出走時のカルテ。

 

3番人気だったファルコンSは4コーナー手前で手が激しく動いていて手応えが怪しい。直線に向くと差を詰める事無く後続にも差されてしまう。見ようままなら弱い馬のそれ。力足らずという印象しか残らなかった。勝ちを意識した仕上げがされていたので状態面に問題があったとは思えない。血統背景からダート戦を使われていた馬なので重馬場が原因とも考えにくい。以上のことから敗因が良く解らない。それまでの戦績からすれば、勝てないまでもこういう負け方をするような馬ではないと思ったのだが。より明確な敗因があるならそれ次第で評価を変えたい。適性面を確認しておくとマイルはギリギリと言う感じ。真面目なので力んで走ってしまうため厩舎もマイルよりは1400mの方が良いとのこと。朝日杯FS5着馬でもあるし、こなせるぐらいの評価で良いがベスト距離とは言いづらい。ただ、距離を誤魔化せる中山マイルなら守備範囲という扱いでよいだろう。ドルチェモアとは再戦になるが、朝日杯FSは進路があったかなかったかの違いでしかなく当時の走りは互角だった。ドルチェがやれるならこの馬もやれて良い。ファルコンSの敗因次第だが許容できるものなら馬券的には面白い存在になるが、さて?

 

ミスヨコハマ

・先行して未勝利を脱出した馬だが控える競馬が板に付いてきた。

・内々をロスなく立ち回れており器用にインを突く競馬を続けている。ただ、インをセコク回っている割には終いの脚が少々弱く、外から来る馬にいつも差されてしまう。

 

上記が阪神JF出走時のカルテ。

 

暮れの阪神JFは9着と頑張っていた。ハイペースを失速することなくジワジワ伸びて悲観する内容ではなかった。それを思うと前走のアネモネS10着は負け過ぎ。中団から進めて、展開に乗じて3~4角でもしっかりと動けていた。ここまでは勝ち負け可能な運び方だったが、直線で追い出しても反応が鈍い。ようやく加速した頃にはもうレースが終っていた。馬体重は2歳時とほとんど変わらない462kで重めが残っていた訳でもない。反応の鈍さは仕上げの問題か、馬の成長度の問題かということになる。前者なら巻き返せるが、後者だと厳しい。この時期になると他の馬の成長も進んでくるので2歳時にあった力差は埋まるもの。デビューから馬体の増減が全くないので、成長度で他馬に劣ってしまった可能性も否定できない。アネモネSの敗因次第で評価を変えるべきだと思う。仮に、仕上げ面が敗因だとすると、上積み次第でまだ好走可能だと思う。中山のマイルも上手く運べていたし、本来は終いの脚も使える。マギれた場合に入着出来る力ぐらいはあると思う。いずれにせよ、アネモネSの敗因は確認しておくべき。判断はそれから。

 

ミシシッピテソーロ

・2勝したレースは減速ナシ、加速ラップといずれも前が止まらない展開をねじ伏せている。末脚性能は良い。

・上がりの競馬の切れ味勝負では劣るが、タフで上がりかかる展開ではGⅠでも末脚は通用した。

 

上記がクイーン出走時のカルテ。

 

クイーンCが15着のブービー阪神JFの好走や、脚を余して負けたフェアリーSからすると明らかに負け過ぎ。不利も無く、レースの流れにまともに乗った結果だけに同情の余地がない。考えられるのは稍重だったのでその適性で力を発揮出来なかったか、もしくは速いペースを大外枠から出して行った事で本来の末脚を引き出せなかったかだと思う。いずれにせよ6番手で直線を向いたが追い出してからまるで反応が無かった。2.5秒差の大敗でこの馬らしくない負け方だった。いつものように控える競馬の方がいいのかもしれないし、良馬場ならまた違ったかもしれない。GⅠ5着の内容は地力の高さを感じさせていたので普通はここまで負ける馬ではない。明らかに負け過ぎているので理由ははっきりとさせておく方が良い。その敗因次第で見方を修正すべきだと思う。勝ち負けはともかく紛れて着に来るぐらいなら出来て良い馬。判断は慎重にしておきたい。

 

ラクルティアラ

 

ダートを6戦して2勝2着2回3着2回と言う成績。距離は1400mを中心に使われている短距離馬。複勝率100%を維持している馬だが、芝もマイルも初経験となる。出遅れた4走目以外は発馬を決めて、好位で競馬が出来るセンスがある。出遅れた際でも最後方から1頭だけ違う脚色で伸びてきて2着に浮上していた。脚質には幅があるようだ。臨機応変に立ち回れそうな賢い馬なのだろう。勝った2勝、負けた4敗を分析すると、周りの出方に併せた競馬をするよりは、スピードに任せて強気の競馬をした時の方が結果が出ている。特に前走の1勝平場では直線に入る前には先頭に並びかけていて7馬身差の圧勝。未勝利勝ちも同様の立ち回り。逆に、後続を待ったり、前を可愛がったりしていると最後は交わされてしまうので決め手勝負で負けていた節が強い。リズム良く行って自分のタイミングで追い出してしまう方が結果に繋がっている。なお、7馬身差圧勝の前走は不良馬場での結果であることからもスピード能力に優位性を感じる。それだけに速さを生かした短距離馬と言うイメージが強くなる。実際、前走も最後の失速率は大きかったので、1Fの延長は良い条件ではないような気がする。芝の適性については、速さがあるのでこなしそうな感じはするし、芝スタートでダッシュが付いているのでダメと言う事はないと思うが。ただ、やっぱり芝適性よりも距離適性に弱味があるように思えてならない。

 

メイクアスナッチ

・スタートセンスがあり、初戦が2番手、2戦目が逃げ切りと安定した先行力はウリとなりそう。

・前進気勢は強めに出ていて折り合いを欠きそうなギリギリのところだったように思う。出来れば前に馬を置いて進めた方が良い印象。

 

上記がフェアリーS出走時のカルテ。

 

桜花賞を除外されこちら。同週重賞になるので仕上げに問題はないだろう。考えようによっては、輸送もなく、フェアリーS2着と同舞台なのでかえって良かったかもしれない。短距離からスタートしたので折り合いに課題を抱えていたが、それまでの先行策ではなく、後方で脚を溜めることで馬をなだめた。最終コーナーも上手く捌けてロスを最小限に留められた。器用な走りが出来たのも良かったと思う。追い出してからの末脚も力強く、短距離で先行していたスピードを上手く差し脚に転化出来たのだと思う。また、ペースが速かったことも追走が苦にならなかった要因かもしれない。ただ、これでも折り合いはギリギリだったという感じもする。前進気勢の強そうなところはフェアリーSでも出ていたので、これだけでマイルは大丈夫とはまだ言えないかもしれない。気性が改善されていれば良いが、そうでなければ乗り方は難しい。フェアリーSは最高に上手く乗れていただけにその再現が出来るかどうかは簡単ではないと思う。今回もペースが流れてくれると良いのだが。重賞でやれる目途は立ったが、当日の気配は注意した方がよさそう。

 

ルミノメテオール

・2・3着馬が次走で1勝特別を勝ち上がっている。これらを外からまとめて差し切ったつわぶき賞の勝ち方は良かったし、評価は自然と高くなる。

・特徴としては瞬発性能が高いこと。新馬戦の瞬発力は特に凄かった。最後の1Fで10秒台が刻まれた超加速ラップを5番手から差し切ったキレ味は優秀。

・鞭が入るとビュッと加速する反応の速さは素晴らしい。

 

上記がチューリップ賞出走時のカルテ。

 

チューリップ賞4着。スタートが決まり、二の脚も速く好位で立ち回る。隊列が落ち着く頃にはインの3番手。枠に恵まれていたこともありラチ沿いのインポケットで競馬が出来た。ペースも緩かったので位置取りとしては絶好位。瞬発力に見どころのある馬ならこの展開も超絶好。それでも負けたのだから力負けである。距離適性で負けた感が強い。1400mを2連勝していた無敗馬だったが、最後の競り合いで劣ってしまったのは1Fが長いからだろう。最後の1Fは失速も大きかったので距離の適性があればこの区間で逆転出来ていたはず。しかし、脚色が一緒になってしまいいつもの様なキレ味を見せる事が出来なかった。この内容では本番は厳しい。桜花賞に登録もせずにこちらに矛先を変えたのは賢明な判断だと思う。中山マイルなら距離も誤魔化せる。レースセンスの高さは相変わらずだったし、中山のトリッキーマイルならこの馬の良さが存分に活かせそうだ。その上で自慢の瞬発力を使えれば勝ち負けに加わるイメージは作れる。見限る必要はまだ無いと思う。

 

ロードディフィート

 

2歳戦が開幕した週にデビューしてその時が428k。6戦目だった3月の前走が428k。これまで多少の増減はあったがなかなか体重が増えてこない。成長力に疑問が残る。走りの質や内容も大きな変化は見られず、この馬自身が良くなっている感じは受けない。前走で2勝目を上げているが条件的な変化で結果が変わったのだと思われる。1400mの走りはいいのだが、新潟や府中のマイル戦では末脚が不発になっている。厩舎の話だと追って追ってのタイプとのこと。瞬発的性能の違いから決め手で劣るのかもしれない。1400mだと消耗戦になりやすいので勝ち負けに加われるが切れる脚を要求されたり、上がりの競馬になりやすい条件だとパフォーマンスが上がっていない。こう言う特徴を裏付けているのが前走の中山マイル戦。重馬場のレースだったが最終的に不良まで悪化した日のレース。時計が極端にかかった事で上がりもかかった。他馬が苦しむ馬場で着が上がったのだと思う。道悪適性も相当高かったようで直線で前とは差があったが水かきでもついているかのようにグングンと伸びて差し切った。特定の条件が揃い好走に繋がったという印象になってしまう。NZTで好走をするには同じような条件が整う必要がありそう。現状はそれ以上の評価がしにい。中山コースも最終日が近づいているので時計はかかりやすくなっているが、良馬場だとそれなりの時計も出る。相手も強化されるので積極的な推奨材料は思いつかない。

 

NZT(GⅡ)の予想案はこちら▼