競走馬カルテ

2・3歳重賞の出走馬を分析・記録していくブログです。

紫苑ステークス(GⅡ) 出走馬カルテ 2023

 

こんにちは。

 

勝馬が本番に出走しなかった18年以外は秋華賞で必ず上位好走馬が出た紫苑S組。また、ディアドラ、ノームコアの様な海外GⅠ馬も輩出すれば、2年前の2着馬が今秋に凱旋門賞に出走するのだとか。紫苑S出走馬の活躍はワールドワイドな広がりをみせています。

 

この存在感ですから競馬関係者の評価も非常に高まり、年初には格付け審査を通過してGⅡの承認を得る事となりました。今年からグレードⅡ競走として新たな紫苑Sが幕を開けるのでしょう。もう日曜のメインだって張れるレースだと思います。今年もどんな活躍馬を輩出してくれるのでしょうか?先々を見据えた大注目なレースです。

 

さて、この時期のトライアルは牡牝に関わらずクラシック2冠目に行われた頂上決戦組が有利で紫苑Sもその例に漏れません。紫苑Sが重賞化した16年以降の7年で馬券になった21頭中の12頭はオークス出走馬。入着の内訳は3勝2着3回3着3回となっています。現状の情報ではオークス組の出走は多くなさそうですがここでオークスの分析・回顧をしておいた方が良いと思うので下記で触れておこうと思います。

 

紫苑Sは9日(土)に行われます。前日の8日(金)に更新を完了します。更新順はオークス出走馬を優先的に更新して、以降は出走が確定している順に更新していきます。

 

予想案は各ページの最下部にある専用ページにまとめてあります。ブログカードを貼っておきますのでそちらをご覧ください。

 

オークス分析・回顧

 

今年のオークスの流れは面白い。逃げたライトクオンタムの作り出したペースはこれぞ精密機械と言うべき正確さだった。1000m通過が60.0秒ジャスト、2000m通過が120.0秒ジャスト。1000m毎に60.0秒ピッタリで走っている。この程度なら稀に見るがそれだけではない。6~10F区間の各ハロンを12.0秒(×5で60.0秒)の同一ラップを踏んでいるのだから凄い。ここまでワンペースで走れる馬は初めてお目にした。折り合いを欠いて逃げたという事だがそれも最初だけだったのだろう。以降は極端に速い箇所もなく、極端に遅い区間もない。見事なイーブンペースで今年のオークスを締まった流れに演出した。

 

このコースをこういうペースなら位置取りを問わずに各馬が力を出し切れる。力通りに決まったと考えて良く、能力査定として機能している。着順=能力順として結果を鵜呑みにして良いと思う。

 

スロー区間の無いレースだったので時計もまた速く、勝ち時計2分23.1はラヴズオンリーユー(19年)のレコードに次ぐもので優秀。6馬身抜けたリバティアイランドが2着を1.0秒も千切ったために生まれた好時計だが、同タイム入線だった2・3着馬の走破時計はソウルスターリング(17年)と同タイムであり、デアリングタクト(20年)やユーバーレーベン(21年)より速い。

 

イメージ的にはリバティアイランド1頭が抜けていてその他はどんぐりの背比べ的な印象だがそんなこともなかったようだ。一塊で入線した2~6着馬は歴代と遜色ない内容でオークスを駆けた。レベルが低いとは言い難い。3着馬ドゥーラがクイーンSを勝ったことでそれを証明したと言える。リバティ以外のレベルも総じて高いと言えそうだ。

 

あとこれは蛇足だが、ライトクオンタムは次走のクイーンSでも1000mを59.9秒で走り、オークスと大体同じペースで運んだ。さらにラスト4Fを11.7秒オールとまたしても同一ラップを刻んで逃げている。メトロノームでも実装しているのだろうか?見事なワンペースを刻む馬。それだけに道中息を入れずに走ってしまうので最後は息切れしてしまうのだろう。中距離ではちょっと厳しい現実が見えてきた。ワンペースなラップになりやすい阪神1400mとかを走らせたら結構やれるのではないかと思う。その時が来たら狙ってみたい。

 

6着:ヒップホップソウル

・先行して速い上がりも使えるし、機動力もあるので中山は向いている。動きたい時に動ける自在性は目を引いた。

・素質は関係者一同期待しているが完成度が低く、左右のバランスも悪いという。成長の余地を残す。

・気性面に課題があり、乗り難しいところがある。テンションが上がらないように調整したり、コントロール性能を重視した調整をしているが、2400mは長いかもしれない。

 

上記がオークス出走時のカルテ。

 

勝ち馬だけが抜けていたが、2・3着争いは5頭が一塊で入線する激しい争いだった。7着馬は3馬身半も離されているので、この5頭が2番手グループと言う見立てはあながち間違っていない。これに混じって6着した本馬も力上位に加えて良い1頭。ただ、この6着は地力を証明する結果ではあるが、この馬に先着した馬達とは力差を感じさせた。インを器用に立ち回り馬群を切り分けて抜け出した際には勝ち馬に迫る感じもあったが勢いは直ぐになくなり伸びは止まっていた。この止まり方を見る限りやはり2400mは長かったようだ。

 

上記の事から距離が短縮される2000mは良いだろう。中山なら立ち回りの上手さもいかせる。条件はこの馬向きに好転する。また、この馬は成長の余地を多くのこして春を終えた。左右のバランスが悪く、本格化は先と言われていた。身体の成長によりそこが改善されれば力強さが加わってくる。また、気性的に乗り難しくそれが理由で当初手綱を取っていた松山騎手はオークスの依頼を受けなかった。この点の改善があれば位置取りが良くなったり、もっと自由に乗れる。成長次第で一つ上のパフォーマンスを発揮出来る可能性が高い。どれだけ馬が変わったかは焦点になる。

 

13着:エミュー

・馬体が小さいので非力な印象。→モマれたくないのでゴチャつく位置取りを避けるようにしている。近走は後方まで下げて周りに馬がいない状況を作っている。

・どんなレースでも終いの脚はしっかりと使うが長い脚を使っている訳ではない。

・マイルは基本忙しく、騎手の進言で中距離に変更してから軌道に乗っている。

 

上記がオークス出走時のカルテ。

 

オークスは13着。最初のコーナーを後方2番手で周り、向こう正面最後方と言う運び方。この馬本来のスタイルで早めに動いてマクりにいった。が、ラスト300mぐらいではもう脚が無く、伸びは止まっていた。さすがに後ろ過ぎたと思う。ただ、どのポジションからでも力があれば来れる展開だったので力負けの評価は必用になる。しかしながら、本来桜花賞に出走する予定はなかったので臨戦過程が苦しくなっていた。それで力以上に負けた可能性はある。力は通用するので状態次第で見直しも。

 

中山1800mを2連勝していたがどちらも上がりのかかる消耗戦。上がりの速いレースだと末脚が際立たないので良馬場だったGⅠ2走はこの馬の良さが出ない条件でもあった。タフな展開を体力勝負で差し込んでくるのが好走パターン。これは陣営も認識している。それはつまり開幕週向けの馬ではないという事でもある。紫苑Sは距離やコースは問題ないが、開幕週に行われるので条件的に良いとは言い難い。道悪になった際に評価を調整する程度で良いと思う。

 

18着:キミノナハマリア

・消耗戦の体力勝負に強く持久力が求められるところでパフォーマンスが上がる。開幕週で強気に推せるタイプではない。速い上がりや決め手勝負の度合いが増すような時はこの馬の負けパターン。

・自在性や機動力のある走りをしているので立ち回りで勝負するタイプ。

 

上記がオークス出走時のカルテ。

 

オークスは最下位だった。フローラSで権利獲りに失敗したので放牧に出ていたところ2勝馬でも出れる事が分かり急遽出走した経緯。馬主歴が浅いオーナーだったのでGⅠに出れるなら使ってくださいと言う事で出走に至ったという。出走する事に意味があった。そう言う馬が終始2番手で周ってきて先頭に並びかけて直線を向けたのだから十分夢を見れただろうと思う。まぁ。力尽きるのも早かったが。

 

時計の速い決着や上がりの速い競馬にもこれまで対応出来ていたが勝った2勝は消耗戦。体力勝負なった際にパフォーマンスが上がるタイプ。フローラSを大敗したように開幕週向けの馬ではない。紫苑Sも開幕週のレースだけに馬場状況はマイナス材料かもしれない。前走(2勝クラス)が札幌の重馬場でタイム差無しの3着に走っているのがその証明。直線で狭くなり手綱を引っ張るロスがあってのもで勝ちに等しいもの。これをカウントすると3勝馬だった可能性があり、トライアルなら勝ち負けの計算は立てられる。また、コース適性も問題ない。先行力は安定していて、器用に立ち回れるので中山2000mは向いているだろう。権利獲りで来るだけに仕上げてくるだろうから、雨でも降るなら開幕週でも。馬場次第で好走の可能性を残す。

 

▼以下は出走予定の馬

 

アグラシアド

新馬戦ではダービー4着馬、皐月賞5着馬と互角の末脚をつかっていた。

・3戦目あたりから行きっぷりが良くなり、レースの流れに乗れるようになりレース振りは安定している。

・昇級しながらも末脚の優位性を保っている。不良馬場でも、高速上がりが求められるレースでも上位の上がりを確実に発揮している。ただ、使える脚はそう長くないようで伸び負けるシーンも度々。

 

上記がラジオNIKKEI賞出走時のカルテ。

 

ラジオNIKKEI賞10着だったが不利があってのもの。着ほど悪い競馬はしていなかった。鞍上の津村騎手は「使える脚が短い」からという理由でインに拘って一瞬の脚で勝負する考えだった。外枠からインに潜るのに控えて後方から進めた。道中の運びはスムーズで脚もしっかりと溜っていたよう。4コーナーは上手く捌いて追い出したが、スピードに乗ったところで内外から同時に寄られて引っ張ってしまう。これで万事休す。その前走のスイートピーSも同様の乗り方でインを捌き遅れて3着までだった。インに拘った乗り方をするので馬群で詰まってしまうのはこの馬の泣き処である。本来はある程度ポジションを取った競馬も出来る。内枠ならあそこまで下げる必要がないのでレースも運びやすく力を発揮出来るだろう。ラジオNIKKEI賞もスムーズだったらもっと上の着もあったので重賞でも力は足りているように思う。内枠を引いた時は注意が必要。

 

 

 

アップトゥミー

 

2歳7月にデビューした2勝馬。勝ち上がるのに4戦を要し、1勝クラスを突破するのに3戦を要した。取りこぼしが多かったのはスタートの悪さとそれを挽回できる末脚がないから。ゲートに関しては3歳春になっても解消されずその不安は小さくない。7戦中五分に出たのは未勝利勝ちした4戦目ぐらい。ポジションを取れたことで前との差が大きくならなかったので差しが届いたという感じ。昇級してもゲートの失敗が影響し取りこぼしが目立つ。また、追い出してからの脚も短いので突き抜けが甘い。前走で初めて上がり最速を記録したほどでその末脚はなかなか際立たない。前走の最速上がりも古馬戦で3kの減量が利いた感じ。33秒台を使えたのもこの時が初めてだったので初めて背負う軽量が良かったのだと思われる。新潟・府中など直線の長いコースでの出走が多く、2勝も府中戦なので向いている印象もあるが末脚勝負が得意と言う感じはあまり受けない。中山の様な直線の短いコースで一脚で間に合うコースの方が向いているように思う。2走前の中山戦では出遅れから徐々に進出していく機動力を見せて2着しており、立ち回りは悪くなかった。中山2000mは悪くない条件だと思う。が、それもスタート次第で開幕週で出遅れたらもう巻き返せないと思う。ここまで目立ったパフォーマンスはなく、能力上位の根拠はない。国枝厩舎×金子HDの馬なので素質馬っぽい感じはあるが多分普通の馬。

 

アマイ

 

未勝利を脱出するのに11戦も要す。昇級してからは3・5・1着と好走を続けて1勝クラスを勝ち上がったが馬が強くなったとかではない。この馬の好走条件に拘った使い方をした結果良績が続いただけ。勝ち上がるのに時間が掛かった理由は致命的に脚がないこと。追い出してから加速出来た事が無い。直線では必ず追い負ける。ここまで14戦もして一度も上位上がり(3位以内)を記録した事が無いのがその証。こういう馬で勝とうとすれば前付けして雪崩れ込むしかない。それは騎手・厩舎も分かっているようで途中からスタートに全てをかけるような感じになり、発馬がどんどんよくなっていった。ロケットスタートを決める事もしばしばでこの馬よりスタートが速い馬はそう多くないだろう、と言うぐらいにスタートだけは超上手い。だから2勝はいずれも逃げ切り勝ち。しかし、二の脚もないので簡単にハナを取れることは少なく、内枠を引いてコーナリングで前に出れる時に限られる。逃げ切り勝ちした2勝はいすれもスローで内容的にも物足りない。前走も1枠からスタートを決めれたこと、函館の稍重で上がりがかっかたこと、減量器用で51kだったことなど好走条件フル装備と言う感じ。こういう競馬が通用するのもせいぜい2勝クラスまで。出走馬のレベルが上がれば前付けしても交わされると思う。開幕週の馬場を味方に付けれる恩恵はあるが基本的に速い脚を使えないのでやはり厳しいと思う。

 

グランベルナデット

・中山2000mの未勝利を圧勝している。ハイペースで後半に1.4秒失速したキツイ流れを3番手で押し切ってしまったのは凄い。→2週後のホープフルSより0.4秒も速い。

・マイルの決め手比べよりは、中距離のタフな展開で強味がありそう。

 

上記がクイーンC出走時のカルテ。

 

忘れな草賞後に腸炎を発症してオークスを回避。今回はそれ以来。新馬戦はレース中の骨折、クイーンCは出遅れと負けた2敗の敗因ははっきりしている。厩舎評ではマイルのスピード勝負はこの馬向きではないということ。それでもNHKマイルC2着馬を競り落として5着入線を果たしたクイーンCから素質の高さは感じさせた。このクイーンCにはGⅠ2着馬が2頭、GⅠ3着馬1頭が出走していたレベルの高い1戦。そこで5着ならこの馬の能力も重賞級と認識しておいた方が良い。美浦所属の馬でありながらか関西の松山騎手がこの馬の為に騎乗を優先させていたほどで厩舎、騎手の評価も高い。中山2000mの未勝利を凄いタフな勝ち方をしたように中距離で地力の問われる展開で強味がある。また、忘れな草賞も歴代2位の好時計を記録して優勝。この距離2勝はいずれも時計的価値が高い。やはりこの条件で強いところがある。テンの速いマイル戦だと置かれていたが、2000mでの先行力は安定していて立ち回りも上手い。開幕週向けの脚質、能力も有している。今回のメンバーでは力上位の評価が必要になるだろう。後はトライアルをどう乗るか?足りているとは思うが賞金は微妙なので秋華賞のボーダー次第で勝負気配が変わるだろう。

 

ソレイユヴィータ

 

メイショウナルトエピカリスなどが上にいる意外と素質のある血筋。3戦目で初勝利を上げてそこから3連勝中。初戦を控えて乗ったら大した脚を使えなかったので2戦目からは先行態勢。その先行力は安定していて逃げる競馬をしたことも。デビューから一貫として中距離を使われているのでコーナー4つのコースは走り慣れている。脚は短いが追い出してからビュっと反応出来るので早め先頭からセーフティリードを確実に取れる。立ち回りの上手さを活かして一瞬の脚を上手に引き出している。折り合いに難がなく、操縦性も良いのでそう言う競馬を確実に出来るところは好印象。相手は強くなるが自分の競馬をきっちりとしてくると思う。目立った強さはないが凡走も期待しづらい走りでここも侮れない。冬の小倉や福島などで4走しており、うち2戦で道悪競馬と言う経歴。だから持ち時計には強味がない。開幕週の馬場、時計の速い決着に対応出来るかが課題となる。が、この馬の立ち回りなら開幕週の中山2000mはむしろ向いている。早めに抜け出し、馬場の恩恵を味方につけた前残りには注意すべきである。

 

ダルエスサラーム

・4戦2勝で3着以下の無い成績だが、全戦でペースは遅く、レース内容は全体的に淡泊なものばかり。地力を証明できる材料は少ない。

・1400m中心に使われているだけあって走りはワンペースだが、スピードを持続させる能力は標準以上にああると思う。

・終いは渋太く伸びてはいるが突き抜けが甘い。脚があるとは思えない。

 

上記がチューリップ賞出走時のカルテ。

 

クラスが上がった事で末脚が通用しなくなっている。もともとワンペースな馬で直線でギアチェンジ出来ない馬だったがこの弱点が昇級以降は目立っていて、直線で加速出来ずに負けている。3走前のチューリップ賞こそじわじわと頑張って4番手まで上がったが末脚は周りと同じになってしまい決め手を発揮出来ずに後続に差される。以降の2戦も同様でバテて止まった馬以外に馬を交わす事が出来なかった。脚力にスケール感がなく、OPでは厳しそう。脚が使えないなら先行するなりして乗り方を変えてこないといけないのだが、出遅れ癖もある馬なのでそう言う事が安定して出来ない。兄姉にOP馬が2頭いて、厩舎もクラブ側も期待しているのだがその期待に応えるのは現状難しそう。2走前に2000mの忘れな草賞に出走しているが最下位だった。直線は無反応でいつものようなじわじわ感もなかった。最後は鞍上も追うのを止めており中距離をやれるような適性は感じられなかった。3ケ月空けて7月に復帰した前走で1400mを使っている点を踏まえるとやはり適正はこの辺りか?紫苑Sへの適性は感じられない。

 

フィールザオーラ

 

勝ち上がるのに6戦かかったが未勝利、1勝平場を2連勝中。逃げ切り2連勝。頭の高い麒麟走法が特徴的。追走中も首を上手く使えないので走りの見た目が悪い。追い出してもその首は沈み込まないので追い比べで勝てた事が無い。最高に上手く立ち回ってくる事も度々あったがそれでも追い負けた。結局芝では勝ち切れず、府中ダ1600mで未勝利を脱出した。このようにこの馬もまた差しに回っては良いところが無い。早め先頭で粘り込むしか手だてがない。スタートから飛び出していくほど先行することに執着している。逃げ切り2連勝はその境地に達したと言う感じ。とは言え、逃げ切り勝ちした2勝もラストの失速は大きく、追い出しても加速出来ない点は変わっていない。前走の条件戦勝ちも減量騎手を乗せて50k台の軽量を活かしてのもの。地力はあるのかもしれないが身体全体を使って走れるようにならないとどうにもならないだろう。砂芝、マイル中距離とカテゴリーを問わず連勝したように条件はどうでも良く、この馬は適性以前の問題だろう。まずは整体にでも行った方が良いのではないか?走りそのものが変わらければどうにもならない。

 

フルール

 

7戦2勝馬。未勝利勝ちが8番人気、前走の条件戦勝ちが7番人気といずれも人気薄での勝利。ここまで新馬戦の6番人気が最高評価で人気は常にないタイプ。デビューから3戦目までダートを使っているが終始押していないと進んでいかず追走力がまるでなかった。転機になったのは芝替わり。すぅっと先行していけるほどのスピードはないが追走は楽になり、なんとか立ち回れるようになる。力のいる馬場よりも、脚元が軽い芝の方が追走が楽なのかもしれない。ただ、スピード優秀ということもないのでレース上がり33.3秒と言う上がりの速い競馬には全く対応出来ていない。ダートよりは良いが高速馬場への適性は弱く、時計のかかる芝が走り頃と言う感じ。なので、福島コースとの相性が良い。3戦して1・5・1着と凡走がない。前走も古馬相手に1勝クラスを勝ち切った。内容もこの馬にしては良く、ラスト1Fを加速ラップで差し切っている。減量騎手を器用した訳でもないので地力でもぎ取った勝利は悪くない。7戦目だったので馬も強くなっているのかもしれない。ちょっと上がりがかかる展開を我慢比べで抜けだすのが好走パターンのようだ。ので、時計の速い秋の中山開催は厳しく、開幕日のレースなら尚更。さすがにちょっと厳しそうに思う。雨でも降ってくれないと。

 

ミシシッピテソーロ

・上がりの競馬で切れ味勝負だと末脚は際立たないが、タフで上がりかかる展開ならGⅠでも通用する。

・末脚性能は良いが控える競馬で脚をしっかりと溜めないと良い脚が使えないのかもしれない。

・上がりが速くなりやすい府中よりも中山の方が確実に脚を使える。

 

上記がNHKマイルC出走時のカルテ。

 

脚を溜めて直線勝負のスタイル。また、スローで上がりの勝負よりはタフな展開、上がりのかかる展開で地力を発揮していた。2歳GⅠ5着や、牡馬に混じったNZT5着などレースレベルが高くなる方がパフォーマンスが上がる。NHKマイルCも7着とそれほど負けていない。この時も勝ち馬に前をカットされてブレーキをかけてしまっただけでスムーズだったら掲示板ぐらいはあったのかも。実際、この時の2着馬ウンブライルには先着経験があり、NZTでは遜色ない末脚を発揮している。条件次第で重賞でもやれる。また、NHKマイルCを期に馬が成長期に入ったよう。使う毎に馬体が増えてきているのは好材料。そして、NHKマイルCの際にハミを変更した事で操縦性が上がったという。それが影響したのか以降のレース振りは確かに良くなっている。5着だった福島1800m(松島特別)や1着だった新潟マイルの(豊栄特別)では中団8番手で競馬が出来ていた。もう後方マイポジションの馬ではない。また、それまで33秒台すら記録した事の無かった馬が前走で32.7秒と極上にキレた。これは大きな変化。ポジションを取っても脚を溜められるようになっている。春先よりは馬が強くなっているように感じる。ただ、やっぱり距離は長い模様。2走前の松島特別では3~4角で手応えが怪しくなり、直線もジワジワ。次走のマイル戦でパフォーマンスを上げたようにベスト距離はこの辺だろう。3歳の牝馬同士ならというのはあるが2000mではより厳しい印象になってしまう。

 

ミタマ

 

4月の最終週に京都2200mの矢車賞を最後方から差し切って2勝目を上げている。1週前に行われた京都新聞杯よりも1.4秒も勝ち時計が速いもので内容的には悪くない。末脚が際立たないので先行して立ち回りで勝負するタイプだったが最後方追走から最速上がりを記録した点は評価を高くする事が出来る。ただ、8頭立てのレースで2着以下のその後を見ると相手に恵まれていた可能性も高い。懐疑的な面が多少残る。桜花賞を目指していた頃は1400~1600mと使い勝ち切れなかった。未勝利を1800mで勝ち上がったように距離は長い方が良いのだろう。2200mでも勝ったし、2000mは適距離と考えられる。また、直近3走はワンターンのコースや外回りコースで走っているがこれらは本質的にこの馬向きの条件とは思えず、コーナー4つの1周条件を器用さや立ち回りの上手さで勝負した方がこの馬の力は発揮出来ると思われる。内回り条件の紫苑Sは良いのではないか?この条件なら印はいるのかもしれない。あとは4ケ月半振りの久々がどう出るだろうか?仕上げの問題やその間の成長度など未知数な面が多いので取捨は簡単ではない。

 

モリアーナ

・先行センスが高く、二の脚も良いのでポジショニングに苦労しない。折り合いに不安は見られないし、追ってからの反応も府中では機敏であった。

クイーンCは良い機動力を見せ、直線で良い末脚で押し上げた。新馬戦の時と同様でやはり府中での走りが良い。

・近走は後方で控えて末脚を生かす競馬をしているが最後は詰めを欠き取りこぼしている。後方から突き抜けられるほど脚が長くはないのだろう。

・インでロスを省き、ソツ無く乗って直線勝負に徹した方が良いように思う。

 

上記がNHKマイルC出走時のカルテ。

 

前走のNHKマイルCは6着。雨降り馬場の稍重でインの伸びない外差し馬場。1枠2番では苦しかったという印象。もっさりとしたスタートで中団後ろ、もしくは後方集団の前ぐらいを追走していた。横山典騎手はラチ沿いを避けて外に行こうとするも馬群の外に進路を取れずにいた。結局外に出す機会もないまま直線へ。直線でも外に出すのに時間がかかり、追い出した頃にはレースが決していた。脚は使っていたが6着までと不完全燃焼なレースになってしまった。当日の天気を恨むしかない。GⅠでこの着は悪くないし、力を出し切った訳でもないので悲観材料はない。今回はそれ以来のレース。マイル中心にここまで来たが2走目だったコスモス賞を勝っている。この内容がわりと良い。札幌2歳Sの勝ち馬ドゥーラと勝ちタイムは全くの同一。2着馬もドゥアイズで同じだったが、ドゥーラが0.1秒差であったのに対し本馬は0.3秒差と若干大きく先着をしている。この時はコーナー4つのコースに不器用さがあったが、今は自在性があり、器用な走りも出来るようになっているので今ならもっと上手に走れるだろう。春先は直線で追い負けるような競馬を続けていて使える脚はそう長くなかった。この馬の脚力だと立ち回りで勝負して直線一差しの競馬はむしろ向いている可能性がある。潜在的な適性を感じる。

 

ワイズゴールド【地方馬

 

基本的に先行して流れに乗ってレースをするタイプのようだが、浦和の桜花賞とか交流だった関東オークスのように相手が強まるところでは追走一杯となり先行態勢をとれない。また、地方の2歳女王やJRAクイーンCに出走し11着だったメイドイットマムなど地方で強いとされる3歳牝馬には圧倒的に負けている。クラス低めのところでそこそこ頑張っているという感じ。強い地方馬が挑戦して来たというのはなさそう。芝適性は棚上げしておくが力は足りていないと思われる。

 

▼以下は抽選対象

 

シランケド

 

2歳秋にデビューしたが2戦目を取り消して長い休養を経ている。復帰早々12番人気でぶっこ抜いている。スタートは安定して悪く、大きくで遅れる事もしばしば。よって追走はいつも後ろから。それだけにいつも最速上がりを記録して末脚は際立っている。まだ3走しかしていないので距離や得意なコースなどはわからないが現状は直線勝負型なので中山内回りの紫苑Sよりは阪神外回りのローズSの方がこの馬の良さが出るように思う。3着だった1勝クラスの小倉1800mでも機動力を発揮したり、マクって動くことなく、短い直線を最後方から差し込んだもの。スタートが悪い現状では開幕週の内回り条件はいかにも厳しい。また、末脚強烈なイメージはあるが、好走した近2走もハイペースで展開はハマっていた。前走に至っては6番手から優勝した1着馬と同タイム上がりであったし、次位上がりと大きく乖離している訳でもない。未勝利や1勝クラスならその末脚も際立つが重賞で優位に立てるとは考えづらい。

 

ニシノコウフク

 

内回り、小回りの1周条件のレースで良い立ち回りを見せる馬だが近2走は力不足を感じさせる。フラワーCでは4角で先頭に並びかけるいい競馬だったが直線中ほどで伸びが止まり後続に差されまくった7着。不良馬場で後続の末脚も削がれていたはずなので力負けな印象をより強める。前走の遊楽部特別(函館1800m)は条件ベストのレースだったが派手に負けた。テンが速くなったハイペースを2番手で進めて直線失速は持続性の弱さや地力の無さを露呈した感じ。同列にいた3歳牝馬が3着と粘っていたことからも評価は辛くなる。開幕週で馬場の恩恵でもあればと思うがその前走が開幕週でのものだった。馬場が速くなればそれだけ道中のラップがタイトになるのでこの馬の持続性ではちょっと厳しいかもしれない。現状はいい所が見つけられない。前走の敗因に明確な理由があるとか、もしくは大きく成長したとかでない限りは重賞で好走を望むのは難しい。

 

マーゴットミニモ

 

6戦消化の1勝馬新馬戦から全て逃げていて馬券漏れしたのは昇級戦だった前走の5着のみ。ゲートが開いた1・2完歩目が速いのでこれだけで1・2馬身抜けてしまうような逃げ馬。二の脚も速いので逃げ争いを演じた事が無く、楽な単騎逃げにいつも持ち込んでいた。最初のコーナーを楽に周っていけるので以降はペースを落とすスロー逃げタイプ。その割に最後の失速が大きいので差し馬が間に合ってしまう。僅差負けを4戦も続けてしまった。また、距離も長いように思う。中山芝2000→中山ダ1800→函館ダ1700と3つの条件を走っているが芝砂に関わらず距離が短くなるタイミングでパフォが上がっていたりする。終いの止まり方も距離が短い方が小さいので距離をこなせるスタミナには疑問が残る。また、1勝クラスを走った前走では初めて3~4角で競りかけられて手応えが怪しくなっている。自分のペースでいけないことでモロさを見せた。この辺りに能力的な物足りなさも感じる。安定してハナを取れるところは評価したいが逃げ馬としての強さが伴っているとは思えない。でも、週末の天気はこの馬に味方するかもしれない。この馬はとてもレベルの高い雨女。不良が2回、重が1回、稍重が1回と6戦中4戦で道悪競馬を経験している。紫苑Sが台風の影響を受けるのもこの馬のせいだろう。よってダートメインのキャリアでも時計の速い決着に耐性がある。新馬戦の芝戦も今回と同じ条件でタイム差なしの3着。道悪馬場を逃がしたらと考えるとちょっと興味がある。鞍上も吉田豊騎手だけに・・・

 

 

紫苑S(GⅡ)の予想案はこちら▼