競走馬カルテ

2・3歳重賞の出走馬を分析・記録していくブログです。

アーリントンカップ(GⅢ) 出走馬カルテ

 

こんにちは。

 

18年からこの時期に移されNHKマイルCのトライアル競走とされています。その効果もありNHKマイルCで馬券になる馬が立て続けに出てレース時期変更による効果がはっきりと表れました。続いていた本番では3着までという状況も昨年の勝ち馬ダノンスコーピオンが優勝した事で打破されました。今年のアーリントンCにも本番で好走するような馬が出現するといいと思います。

 

アーリントンCの傾向も18年以降はより単純になりました。勝つのは朝日杯FS組と相場が決まっているからです。該当年の5年中4年があてはまります。うち3頭は朝日杯FSで3着以内に走った馬だったのでまずは朝日杯FS組の精査から入るのが手っ取り早いですね。

 

しかし、今年は上位入線馬が別戦に回ったり、既に次走を済ませたりと出走がありません。現時点で分かっているのは7着馬オオバンブルマイが出走するのみです。ちょっと厳しそうですね。ただ、21年優勝のホウオウアマゾンは朝日杯FS9着から巻き返しています。オオバン朝日杯FSでは5番人気でしたから無い話ではないかもしれません。

 

アーリントンCは15日(土)に行われます。前日の14日(金)には更新を完了します。登録頭数が想像以上に多くなり、1勝馬は8頭が除外候補になります。ここからは出走が確実な2勝馬を優先的に更新していきます。

 

予想案はページの最下部にある専用ページにまとめてあります。ブログカードを貼っておきますのでそちらをご覧ください。

 

◆2勝馬

オオバンブルマイ

・走りがワンペースなので瞬発力が求められた場合に決め手を発揮出来るかは未知数。ただ、タイトな持続戦では結構強い。

・折り合いも非常に良く、ポジションが定まってからの収まりもスムーズで好感度は高い。

・馬券の中心にするだけの根拠には乏しいが、悪い馬ではないので馬券候補に数えて良い馬ではある。

 

上記が朝日杯FS出走時のカルテ。

 

スタートが上手く、序盤の立ち回りの上手い馬にルメール騎手が騎乗して出遅れるとは。さすがのルメール騎手も動かしてリカバーしていた。が、直線入り口では14番手だった。急かし気味の追走なので普通の馬なら大した末脚は使えないところだが、この馬はしっかりと伸びた。コースも狭い処、狭い処と進んでいくのだが馬をどんどん交わして行って7着まで追い上げている。先行して粘る競馬で結果を出して来た馬が末脚を使えた事の収穫は大きい。GⅠでの3位上がりも価値はある。新味を見せたと言って良く、控えれば良い末脚が使える事が分かった事はレース中の選択肢を増やすことになる。1400mで2連勝した重賞ウィナーがマイルを克服したのも良い。操縦性も良く、器用さや機動力もある。本来はスタートセンスが良いので毎度出遅れるような馬ではない。末脚と言う武器が新たに加わった事で中位ぐらいで競馬が出来れば勝ち負けに加われるだろう。同じ阪神マイルの重賞なので評価を高めに見積もれる。巻き返し注意の馬となりそう。

 

ショーモン

・スピード性能、持続力共に高いものを持っている。

・気性の悪さは結構目立つ。前進気勢が強いので放すとぶっ飛んで行ってしまいそうな危うさを感じる。

・粗削りな面が多々あり能力だけで走っているように思う。それでも良い内容で走れているので弱いという事はない。

 

上記がデイリー杯2歳S出走時のカルテ。

 

デイリー杯2歳S3着後に休養に入り、4ケ月振りの1勝平場をすぐ勝った。2走目までの北海道戦では暴走気味に走る気性の難しい馬だったが、中央開催に移ってからはなんとかなだめて走れている。ただ、前進気勢の強さは変わらない。全力で前を追いかけてしまう。にもかかわらず、最終コーナーを力強く回って来て最後まで粘り込む競馬を続けている。心肺機能、体力面は相当高いと思われる。特に前走は味のある勝ち方。34.4-58.2の速いペースを大外枠から果敢に追いかけて直線先頭の競馬。強気に行き過ぎたせいで2着馬にインを掬われ1馬身半は前に出られてしまっている。しばらくその差は詰まらずに完全に負けパターンだった。それを坂を上ったところでひっくり返すのだから恐れ入る。速いペースで先行して、絶妙のタイミングで交わされて、それでも負けないのだから強いパフォーマンス。勝ち時計の1:33.3も1週前に行われていたチューリップ賞より0.7秒も速いものだし、アーリントンCでも余裕で勝ち負け出来る好時計。重賞でも十分やれる。と言うか、2歳時から重賞を勝てる馬と既にそう言う厩舎の評価。久々だった前走の馬体重が+22kの大幅増。成長分もあるだろうが、一叩きの効果も大きくなる。勝って同条件でもあるし、4走して全て3着以内の成績で、重賞実績もある。今回も十分やれると思うし、人気の1角を担うことになるだろう。注意すべきは気性面。新馬戦でゲートをくぐって、ぶっ壊してといろいろやった暴れん坊。厩舎もテンションをあげないようにと気性面を考慮して調整している。当日の気配は確認しておく方が良い。

 

スカイロケット

 

新馬戦で3着してから2連勝中。全戦で1400mを使われているが、スピードのある短距離馬と言う感じはしない。速力が足りていない感じがあって、促していないと位置をキープ出来ていないところがある。瞬時に加速する性能も弱く、追って追ってと言うタイプで消耗戦で強い傾向がある。この距離にこだわった使われ方をしているので適性面が重視されているのかもしれないが、距離があった方が言いように思える。マイルを試して見る価値はありそう。スピードに乗ってからの走りは力強い。未勝利勝ち時は馬群の中でマモれ、何度接触したか分からないほどの肉弾戦をクリアし、そこから来るの?と言うようなところをこじ開けて伸びて来た。完全に抜け出していた2着馬の勝ちパターンをグングンと追いつめて2馬身近く抜け出してしまった。見ためにも圧巻の走りだった。まだ全体的に動ききれていないという感じで未完成感も目立つが、レースを経験しながら徐々によくなって来ている。小さかった馬体も前走で+12kとようやく増えて来た。強くなっている最中だと思うが、悪い馬ではないので軽視する訳にいかないと思う。

 

タリエシン

 

2歳6月に函館でデビューして夏は北海道で芝を5戦。これを前期。3ケ月の間隔を空けて中央場所で砂を4戦して2連勝中。これを後期。このように前・後期で芝砂を極端に使い分けている。この使われ方からすると、時計のかかる洋芝なら芝でもいけるかも?という程度で、本質的にはダート馬と言うことなんだと思う。実際、洋芝でも芝では勝ち上がれなかった。芝適性をもう少し見るために前期の洋芝戦を分析すると、1200mの2走はスタートからダッシュが付かずに後方から。1500mの3走はペースが緩んだことで先行は出来たが追い出してからが甘い。ダッシュ力が問われる箇所でスピードに乗れない走りから芝適性にはやはり疑問が残る。続いて、距離適性を見るために後期の砂戦を分析してみる。砂の初戦では1400mを選んでいたが好位を取りながら追い出してから脚が無くジワジワ。1200mでは中位で溜められるようになり、末脚が使えるようになって、ラストの決め脚が目立つようになってきた。距離を短縮した事で走りの質がよくなり、成績を安定させている。如何にも短距離馬と言う感じである。マイルで良いイメージは持てない。以上の事から、ダートの短距離馬と決めつけて良いのではないかと思う。今回は適性面でかなり弱い。ちょっと難しいのではないか?

 

ティニア

・控える競馬でラストに上がりの速い末脚で差して来る。2戦とも上がりは最速で不発の無さそうないい反応をしている。

・まだまだ良くなりそうな馬体、走りをしているので完成途上という感じがする。本当に良くなるのはこれからだと思う。

 

上記が朝日杯FS出走時のカルテ。

 

朝日杯FS8着以来だった前走の1勝特別を勝利。それまでは控えて末脚勝負の馬だったが、ここで逃げ切り勝ちを決めている。このレース内容にはあまり魅力を感じられない。稍重だったとはいえ、3月のレースで1:36.2は遅いと思う。逃げて記録したものだからこれ以上は無理だったと考えると評価は高くしづらい。37.1‐61.7のペースは超スローだし、最後の失速も小さくない。アタマ差の辛勝からも良いイメージにはならない。2歳時の評価を振り返ると、成長途上と言う事で厩舎でも短距離向きな適性が強いとされていた。また、朝日杯FSも良い立ち回りをしながら直線で伸びを欠いている。いかにも距離が長かったという負け方。久々の前走で馬体を10k増やしていて成長が伴ったのかもしれないが、それでもマイルで強いという印象にはならなかった。2歳時の様に控えて乗ればまた違う結果が出るのかもしれないが、現状はこの距離でドンと来いという感じはしない。将来的な可能性まで否定できないが現状はマイル守備範囲と言うに過ぎないと思う。ガチンコ勝負となると厳しいだろう。枠や展開の恩恵が欲しい。

 

ヤクシマ

・もっさりとした気性のようで前進気勢の弱い走り。随所で気合を入れられるが前との差をつめにいこうとしない。気性的に短距離馬と言う感じはしない。

・ギアがなかなか上がらない馬でトップスピードに至るには長めの助走区間を必要とする。ノンストップでスピードに乗せるタイプ。

 

上記が京王杯2歳S出走時のカルテ。

 

重賞でもそこそこ走れているように以降も崩れることなく好走し、前走でリステッド競走勝利。目立ったハイパフォーマンスはないがソツの無い走りで印象は悪くない。1200m~1400mで使われているが、短距離だとギアを上げきれずスピード負けしている印象。短距離を使い続けた事で程よい前進気勢は出てきたが、短距離馬としてはまだ弱いと思う。前走も3番手でスムーズに流れに乗れていたが3F35.2秒と1400mにしてはスローだったのが良かったのだと思う。このぐらいのペースで先手を取れるならマイルに延長しても問題ない。短距離を中心に使われているので身体的な理由はありそうだが、メンタル的にはマイルに延長して折り合いを欠くようなタイプには見えない。終いの反応が鈍いのでこのぐらいの延長ならむしろフィットするのではないかと思う。初マイルになるのは賭けかもしれないが、化ける可能性はあると思う。追えばしっかりと伸びるので今回も掲示板ぐらいは問題なく来るのではないか?それ以上は相手次第。有力馬の何頭かが失速すれば圏内にいれる可能性は小さくないと思う。

 

ユリーシャ

 

エルフィンSで負かした2着馬が桜花賞2着、3着馬がフィリーズrv勝ちと負かした相手は上等だった。桜花賞の賞金除外は無念。ここはスライド出走となる。2勝はいずれも逃げ切り。行く馬がいないので逃げた感じで生来的な逃げ馬と言う感じではない。その逃げ方もスローのタメ逃げであり、上がりの競馬で勝ち上がっている展開勝ちの内容。特別強い訳ではない。ペースの割には最後の失速も大きいタイプでいずれも1秒近く止まっている。それで勝てているのは後続の力不足や、失策によるものだと思われる。例えば、エルフィンSのコナコーストは馬群を捌けず踏み遅れていたし、シングザットソングは出遅れて馬鹿付いていたロスの大きい競馬だった。この馬の力だけで2勝したという感じはあまりない。負けた2戦を見てみると、タイム差は小さく、捌き遅れ、決め手負けと言うだけで逃げなくても競馬は出来るタイプ。弱いという訳もなさそうだ。ただ、他の馬に併せて負けたこの辺がこの馬の力量を示していると思われる。抜けた存在とは言えず、相手なりに走れる平均的な馬と言うのが妥当な評価だと思う。素質馬、力量馬相手に優位に立っているとは言い難い。馬券になるかどうかは相手次第という感じ。

 

◆1勝馬

 

オーシャントライブ

 

9月の新馬戦を12番人気で勝った馬だがその勝ち方は悪くなかったと思う。2着馬は4k減が騎乗していたのでそれをクビ差差し切った内容は悪くなかった。ので、1勝特別でも5着、2着と大きくは負けていない。全戦の内容を見ても脚をシッカリと使える馬であり、道悪でも良馬場でも上位の脚を繰り出せる普通の良い馬である。ただ、惜しむらくはゲートを出ないこと。開いたのを確認してから動き出す感じで毎戦で大きく出遅れている。2戦目以降勝てていないのはこの為。リカバーしてなんとかなるような出遅れ方ではないのでレースは後方待機の一択。こんな走りでこの成績なのだから脚力の高さは十分評価出来る。それだけにもったいない。走りの質は良いし、折り合いに気なるところもない。まともにスタートを決めればそこそこやれているだろうと思う。とにかく残念な馬。スタートが改善しない限りは重い印なんて打てない。1勝クラスなら末脚だけでも圏内に来れて良いが重賞では簡単な話ではない。展開の助けは絶対的に必要だろう。

 

キョウエイブリッサ

・ダ1400mで勝ち上がった馬だがそう弱い馬ではない。芝1400mでも3着と走りそれなりの結果が出た。

・条件戦やGⅢぐらいなら無視の出来ない存在にはなれそうだ。

・GⅠ4着と良く走ったが絶好枠が好走を後押ししたし、有力馬の出遅れなどかなり恵まれた。弱い馬ではないが、そこまで強くもないだろう。

 

上記が共同通信杯出走時のカルテ。

 

共同通信杯はさすがに相手が強くブービーの11着。スタートしてから2Fぐらいはハナを切っていたが1・2着馬が交わしていった。速力の違いが明確になった感じ。しかも、その1・2着馬は本馬の上がりを1秒以上も上回っていたので総合力の違いはより明確になってしまう。もう絶望的に負けてしまった感じである。GⅠ朝日杯FSより共同通信杯の方が相手も強かったので仕方ない。それに距離も長かったかもしれない。次走に中山マイルの1勝平場で3着と一応は巻き返した。ただ、これは展開がハマっていた。この距離なのでテンに速い馬が多く、共同通信杯の様に好位を取れず、後方3番手からの追走。前掛かりなレースとなり、後半に1.7秒失速するハイペースだったので、この位置はプラスに働いていただろう。上がり2位の末脚で浮上する事が出来た。上がりのかかる流れもこの馬向きであった。それでも勝ち切れない辺りがこの馬の現在地かもしれない。この時の勝ち馬がスプリングS3着馬なのでやはり重賞級とはちょっと力差がある印象。マイルに短縮した事で走りの内容は良くなっていたが、地力勝負で勝ち負けに加わるイメージまでは持てなかった。体力勝負で強いところがあった馬なのでもっとハードな展開にならないと厳しいかもしれない。

 

シルヴァーデューク

・ゲートの出も良く、スッと好位に取り付けるスピードがある。競馬センスは高い。

・末脚の航行距離がそう長くない。重賞に入るとそれが決め手不足になってしまっている。

 

上記が京成杯出走時のカルテ。

 

決め手不足、切れ味不足を解消するために中距離の京成杯を使ったが、折り合って進みながらも5着まで。スムーズなレースだったが末脚を伸ばす事が出来ず。レースの敗因は距離が長いという事になった。新味を期待したところもあったようだが、距離適性に阻まれてしまった。よって、元鞘のマイル路線を再び歩み始めることに。が、戻ったところで決め手不足は変わらない。次走の1勝特別では2番手から伸びずバテずの競馬振りで4着まで。スローの上がりの競馬だったとはいえ、稍重で上がりそのものは時計がかかっていたのだから前走はどうにかしておくべきだったと思う。結局、重賞を走るには弱点が多すぎる。2歳の早い時期から頑張って走っていたがそろそろ限界かもしれない。厩舎の話では成長段階でパンチ不足とのことだが、3歳のこの時期でこの状況だとだすがに重賞戦線では厳しい。

 

セッション

・スタートが上手でゲートが開いてポンと飛び出せる先行馬。どんなペースでもスムーズに運べてコントロール性が高いように見える。

・負けた2戦は決め手負け。溜めて決め脚を引き出すよりは早めに踏んでいき脚を使い切る競馬の方が良いようだ。

 

上記がディープインパクト記念出走時のカルテ。

 

スムーズに立ち回ったDI記念が7着。力は出し切ってのものでこの時点での力負け。決め手勝負に弱い馬なので先行から早めの競馬を試みていた。が、勝負所から競り合う形となり、有力馬を相手にそれ以上前に出る事はなかった。ガチンコ勝負で力の差を感じさせる負け方。最後までジワジワ伸びたが後続にもどんどん交わされてしまってこの着に。言い訳が出来ない内容で重賞レベルに及ばなかったという事になる。もともと決め手負けするような馬なので後半に速い脚を使う事が出来ない。だから中距離を走っていたようなところもあるのでマイル重賞へのチャレンジは賛成しづらい。この距離の適性馬相手だと厳しいままかもしれない。スタートが決まる馬なので序盤が速くなっても流れには乗れると思うし、程よいポジショニングも可能だろう。しかし、マイル戦の決め手勝負に対応出来るような脚を使う姿はイメージしづらい。ここまでダメ出しするような悪い馬ではないのだが、今回は適性面で強気に評価出来ない。

 

ドクタードリトル

・道悪はド下手だと思う。良いキレ味がある馬なので道悪だと脚を使い切れずに負けてしまう感じ。

・内回り条件と外回り条件の比較からコーナーで上手く加速出来ていない。機動力も弱いように思う。ワンターンの条件の方が末脚は際立つ。

・最速上がりも度々記録しているし、33秒台の良い末脚を使える。10秒台まで加速した区間でも差を詰め来れるので瞬発的な性能はかなり高いと感じた。

 

上記が毎日杯出走時のカルテ。

 

毎日杯4着。スタートは決まっていたがいつものように馬の気にまかせて中団馬群の後ろに陣取り、勝負所まで動くことなく脚を溜めていた。直線はインの狭いところに入ってしまい追いづらいシーン。進路を取ってからは伸びたが脚を余してなんとか4着に上がった。上がりは2着ノッキングポイントと同じ35.0秒で最速。やはり終いの脚には見どころのある馬だ。道中は本馬の目の前にノッキングが走っていたのでついた着差はスムーズさを欠いた時に出来たものとなる。脚を余さずに走れていれば単独で最速上がりを記録したことになるし、スムーズだったらノッキングや勝ち馬とも馬体を併せていた事になる。と、考えると悔しい競馬だった。序盤のポジショニングに執着しない馬なのでこういう所がアダになって勝ち損ねているのかもしれない。ただ、脚を溜めて行く方針がこの陣営では決まっているので序盤に急かして行くのは良くないのだろう。だとしたら立ち回りで負けるのは仕方のない話。なお、陣営からは良馬場希望という話が具体的に出始めてきたので当日の天気は重要な要素になる。中距離中心のキャリアなのでマイルは初経験。ここまで距離を縮めて有利になるような感じは特にないが、溜めた競馬の切れ味勝負なので距離は関係ないかもしれない。マイラーのキレ味に自慢の決め手が通用するかの勝負となる。

 

トーホウガレオン

・勝ち切れない競馬を続けたがそれなりの相手と走っていたので仕方ないところもある。派手さはないが地味に良い走りをしている。

・決め手不足も勝ち味に遅い原因。控える競馬で負けていた感も強い。

・先行力が安定してきて、直線ではしっかりと抜け出せてくる。レース巧者のイメージが増して来た。

・先行するようになってから前進気勢も出始めてきた。中距離中心のキャリアだが今の気性ならマイルは向いているかもしれない。

 

上記がシンザン記念出走時のカルテ。

 

シンザン記念3着以来の3ケ月振りとなる。その前走はハイペースで飛ばして行く2頭から距離をとった3番手で運び、直線でも渋太く伸びた内容は客観的に悪くない。ただ、1・2着馬の次走があまり感心出来ない内容であったし、その他の馬は1勝クラスでもどうか?と言うメンバーだったので、3着という結果は相対的に見ると評価を高くすることが出来ない。この馬自身は良く走ったがメンバー的には今回の方が強いかもしれない。標準以上の馬ではありそうだが今回の評価序列は微妙になりそう。それまでの全戦で3位以内の末脚を使えていたが、タイトな展開で使えた末脚は7頭中の4番目。逃げ馬も交わせなかった事を思うと重賞に入ると末脚の威力も相対的に下がっていたようだ。アーリントンCで入着出来るかどうかは相手関係によってしまう。枠や予想される展開から恵まれた状況が整わないと印は回せないかもしれない。なお、厩舎によると臆病なところがあり、前の馬のキックバックにも気を使うという。だとすると少頭数だったことはこの馬には幸いしていた。フルゲートの競馬だとハードルはさらに高くなる。

 

ナヴォーナ

 

1戦1勝馬。2月の府中1600mを新馬勝ちしている。五分の発馬だったが気合をつけていないと前に進んで行かない感じで中団後ろぐらいでようやく落ち着いた。自主的に進んでいく感じがちょっと弱い。レースは37.0-62.3のスロー戦だったのでこの位置取りから良く勝てたと思う。11.4-11.4-11.2の加速ラップを差し切ってしまうのだから並みでないのは良く解る。能力や脚力は高いものがあるに間違いない。これが2歳重賞とかなら本命印で行ける馬だろう。しかし、もう能力だけでうっちゃれる時期ではない。今の重賞を走るには完成度が足りていない気がする。3歳の4月ではキャリア差が与える影響は大きいし、この馬自身も行きっぷりが物足りなかったし、直線も追い出されてからフラつくなど未完成さも目立っていた。それでも勝つならバケモノだが、スローで時計も遅く、上がりの競馬だった新馬の内容からそこまでの迫力は伝わってこなかった。無印にする根拠もないのだが、積極的に買える材料がある訳でもない。2戦目の変わり身が大きくなっていると良いのだが。

 

ランスオブサウンド

 

2歳12月の最終日にデビューして新馬勝ち(阪神マイル)。ペースは遅く、勝ち時計も遅い。前で競馬をしていたので展開は向いていたクチ。上がりの競馬を33.6秒の末脚で押し切った。レース内容的に強さを感じるものはないが、レースぶりは良かった。好スタートで先行したが外から殺到して来た先行勢に包まれてモマれてしまう。が、馬は落ち着いていた。折り合い面も気にならなかったので脚も溜められていたようで悪い印象はなかった。2走目の君子蘭賞(阪神1800m)は五分のスタートからペースが遅いと見るやハナに立つ積極策。まぁまぁのペースで逃げて2着に粘る。勝ち馬には圧倒的に負けたが後方から追い込んできた3・4着馬の猛追をハナ差凌いでいる。ハナに立つ際にちょっと行きたがっていたし、最後は止まりかけていたので距離が長かったかもしれない。フローラSなどのオークストライアルではなく、牡馬相手のアーリントンCにエントリーしていることからも厩舎もマイルが良いと考えているのだろう。新馬勝ちした条件なので悪くない条件。目立って強い何かがある訳もないので評価は高くしきれないが、相手次第でやれても良さそうなところはある。

 

アイルシャイン

・不利だらけの新馬戦、4コーナーでは前とかなり離された後方だったが直線だけで差し切った。坂を上る時の末脚は迫力があり力強い走り。

・内々追走していた走りもスムーズで折り合いもばっちりとついていて賢い印象。

・時計面も悪くないので標準級の力はありそう。

 

上記が京都2歳S出走時のカルテ。

 

10番人気13着だった京都2歳S以来のレース。このレースは坂井、浜中、デムの3騎手が制裁を受けており、連鎖的な不利が続出。本馬も4コーナーで不利を受けている。それで余計に負けた感じはあるが、直線では伸びることなく力尽き、最後は流して入線している。不利が直接的な敗因ではなく、根本的な理由が他にありそう。距離かもしれないし、レース中の疾病、体調面等かもしれない。4ケ月半と休みが長くなっているので体調面の問題かもしれないし、距離を短縮しているので距離なのかもしれない。いずれにしても前走の敗因は確認しておきたい。というのも、人気は無かったが厩舎での評価は高い馬なのでこんなものではない可能性がある。当時騎乗していた福永師の評価もまんざらではなかった。新馬戦も不利を受けまくったレースで勝利していて、当時はしっかりとした末脚も見せていた。ここまで弱い馬とは思えない。能力以外の敗因があるなら見直す必要があるかもしれない。

 

タイセイクラージュ

・好時計決着の新馬戦を8馬身差の内容は力がある証拠。折り合いを欠きながらここまで強いのだから高い能力がありそう。

・前進気勢の強い走り。口を割って折り合いの難しそうな面が目立つ。新馬戦は粗削りな印象で能力だけで勝ってしまった感じ。

・出負けした萩Sでは後方で折り合いに専念。押してしまうとかかるのでそうせざるを得なかったよう。ただ、それで使えた末脚は平凡。

 

上記が東京スポーツ杯2歳S出走時のカルテ。

 

気性難で、コントロール出来ず、直線をむく時点で試合終了。そういうレースを続けている。東スポ杯2歳Sは8馬身差の最下位。前走のつばき賞がブービー。ハイペでもスロぺでもとにかく掛かったり、力んだりの走りで勝負所では力を使い切ってしまっている感じ。また、前走に関しては騎手のGOサインに反抗するように走るのを止めてしまった感じもある。東スポ杯2歳Sから間隔を空けていた前走だったが気持ちがリセットされていない。競馬を使う毎に前進気勢が強くなってきているので現状は救いようがない。こういう馬の距離短縮は良いのだが、2走目だった萩Sの様にラストに速い脚を使えるタイプではない。マイルの決め手比べで強味が出るとは考えづらい。距離変更が根本的な改善策となるのだろうか?新馬戦ではハイペースを押し切って8馬身差で圧勝しており、能力はあるはずなのだが、現状はメンタル面が噛み合っていない。厩舎もポテンシャルは評価しているのが。いつ走るのか分からない状況なので今は手が出しづらい。

 

 

マルチャン

 

1200mから始めて1Fづつ距離を延長し、3走目の前走でマイルを経験している。そのマイル戦で初めて馬券圏から漏れてしまったが、これは重馬場の外差し馬場でインを回ってしまったからだと思う。脚はしっかりと使えたので距離は克服出来ていたと考えたい。むしろ距離延長につれて追走が楽になっているので短距離馬ではないようにも思う。中団ぐらいで脚を溜めて、しっかりと末脚を伸ばして来る。競馬振りは悪くない。新馬戦では重賞戦線で好走をしているスピードオブライトと馬体を併せた2着であり、フィリーズrv4着のルーフとは2度走りいずれも先着を果たしている。重賞好走馬と互角以上に走れているので能力は通用しても良いのかもしれない。とは言え、スピードオブもルーフも牝馬なので牡馬相手の重賞でどこまでやれるかは試金石となりそうだが。未勝利勝ちの2走目から間隔を取り、5ケ月振りだった前走がプラス12kと成長の跡もある。一叩きの効果があれば上積みが期待出来る状態で出走出来そう。1勝馬なので強調しきれないところだが無印に出来る理由は特に見当たらない。

 

 

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