競走馬カルテ

2・3歳重賞の出走馬を分析・記録していくブログです。

オークス(GⅠ) 出走馬カルテ①

 

こんにちは。

 

リバティアイランドの桜花賞の勝ち方を見てしまうと正直もう敵なしという感じです。この馬の勝利を妨げるものがあるなら外因的なものしか考えられません。最大の敵は天気だけでしょう。週末になると雨、雨、雨で毎週馬場の心配をしなくてはならない今年の春競馬。これがリバティの最大の懸念材料となるんじゃないですか?新馬戦で31.4秒、桜花賞が32.9秒と末脚のキレ味が魅力的な馬なので良馬場の方が馬にはいいでしょうし、そうなってくれた方が予想する私達にもいいですよね。何の憂いもなく相手探しに集中できるといいのですが。

 

その相手探しはかなり難解です。桜花賞の2・3着馬も良く頑張っていましたが、距離延長で良くなるタイプもいるでしょうから2着以下までスライドするなんて事は稀な話でしょう。桜花賞の内容をよく検証する必要がありますね。

 

また、ここ4年は必ず二桁人気が馬券に絡む波乱がオークスでは続いています。19年2着のカレンブーケドールの12番人気や昨年2着のスタニングローズの10番人気とかは理解できますが、一昨年3着ハギノピリナの16番人気ってなんだこりゃ?ですよね。こんな馬に来られたら堪りません。これら二桁人気はいずれも桜花賞組以外の別路線組です。桜花賞組の馬券占有率は53.3%と半数を超えていますがそれ以外の組が馬券になる余地も小さくないですね。別路線から来る馬にも十分注意しないといけません。

 

オークスは21日(日)に行われます。前日の20日(土)には更新を完了します。1枚目では11頭出走している桜花賞組を。2枚目でその他の路線から出走する7頭を更新します。

 

予想案はページの最下部にある専用ページにまとめてあります。ブログカードを貼っておきますのでそちらをご覧ください。

 

桜花賞

 

勝ち時計1:32.1はソダシの勝った21年に1.0秒及ばないがスターズオンアースが勝った昨年よりも0.8秒速い好時計。阪神競馬場のコース変更スケジュールはデアリングタクトが勝った20年(重)から桜花賞週に変更されている。Bコース変更による馬場の恩恵を受けるので桜花賞が良馬場で行われれば1分32秒台は普通に出てしまうのだろう。今の桜花賞ならこのぐらいの時計が出ても驚くべきではないと思われる。時計的な価値は問いにくい。ただ、近2年の勝ち馬はいずれも名牝の域に達している。相対的な評価をすれば今年の内容も良かったことにするべきだと思う。

 

なお、今年のペースはソダシが勝った21年と通過タイムにほとんど変わりがない。21年の方が中間の緩みがないために今年の方が時計が1.0秒も遅いのだだが、これはつまりリバティアイランドが一緒に走っていたらソダシを差せなかったという事になる。実際、21年2着サトノレイナスも後方から追い込んだが使った上がりは32.9秒。これは今年のリバティと同じ上がりである。数字は嘘をつかない。仮に今後ソダシとリバティが対戦した時に桜花賞と同じ競馬をするならリバティがソダシを差すことは無いのかもしれない。

 

さて、勝ち馬がいなかったものとして今年のレースを見ていきたい。掲示板を確保出来た馬は前で運べた先行馬かインで脚を溜めてインから差した馬に限られた。Bコース変わりの恩恵を受ける事が出来た馬が上手く立ち回ったという印象になる。脚色で優っていたGⅠ2着馬が外から差し届かずに6着と掲示板漏れしたこともこの結果を象徴している。馬場の特徴を活かせた馬とそうでなかった馬との違いは大きい。

 

近年はこのような形がテンプレ化しており桜花賞が力どうりに決まっていない可能性が高い。Bコース変わり週になって以降の良馬場で行われた21年、22年の3着以内馬でオークスでも馬券になれたのは昨年のスターズオン1頭だけ。コースバイアスにより力差が反映していない事を物語っていると言えそうである。これもここ数年の桜花賞の特徴と言えそうである。

 

今年は2着以下から10頭がオークスに出走してくるがこれらに見かけほどの力差は無かったとしておく方が良いと思う。特に勝ちに等しかった2着コナコーストは積極的にこの恩恵を獲りに行っていてるので力以上に走れてしまった可能性もある。これならタイム差無しの3着に入線したペリファーニアの方がエライ。14番枠から余計な脚を使って4番手の位置を取りに来ていただけに価値が大きい。これらに限らず4着以下にも馬場の傾向や脚質、そして距離適性などが合いまり結果に能力が反映されなかった馬がいた可能性はありそうである。各馬の精査と前走時の状態や情報をチェックしておかないといけない。

 

1着:リバティアイランド

新馬戦やアルテミスSなど上がりの競馬で超速上がり繰り出せる。

阪神JFは22年中に行われた全マイル戦で最も速いペース。上がりのかかる展開だったがタフな展開でも1頭だけ抜けた上がりで突き抜ける。

・ペースを問わずしてとにかく1番速い上がりを繰り出せる末脚性能は同世代では抜けている。

阪神JFの内容からスピード、その持続力、それを支える体力、スタミナ面の担保がとれる。総合力も非常に高い。

・普段からおっとりとしているそうなので気性的な問題もないのだろう。

桜花賞の帰厩時には30kも増えており馬体面の成長も確認出来る。馬体に芯が入ってきたのならさらに強くなっている可能性がある。

 

上記が桜花賞出走時のカルテ。

 

近2年の桜花賞と比べても時計的な不備はないが、自身が勝った阪神JFよりも1.0秒時計を詰めて走っている。阪神JF桜花賞のペースを踏まえて2走の上がりを比べると末脚の威力はさらに増している。また、その上昇幅も他の阪神JF出走馬より格段に大きく、この馬だけが大幅な成長を遂げている。2歳時から力差を感じさせていたが、桜花賞でその差はさらに大きくなったという印象。レース運びにも能力の高さがまざまざ。あの立ち回りで差し切れる展開ではなかったし、馬場の傾向とは逆ベクトルな勝ち方。重賞を勝った程度の一般的な強さではこうならない。異常な強さだった。桜花賞では展開とかコースバイアスとかそう言ったものに制約を受けない圧倒的な力差を見せている。同じレースを10回しても10回とも差し切ってしまうだろう。

 

不安があるとしたら上述しているように天気だけ。その点は陣営も話していて「グチャグチャの道悪は嫌だ」としている。重以上では末脚のキレが薄れるかもしれない。いずれは経験するだろうが出来れば良馬場でやりたい。仕上げに関しては勝ち切れるだけの仕上げは完璧に出来ていると話していた。が、その上でオークスでのノビシロもあると話している。さらに良い状態で出走してくる事になる。

 

距離適性についてはっきりとした事はここまで話されていない。ただ、桜花賞の走りそのものがマイル適性を否定していたと考える事が出来る。道中進んで行かなかったと川田騎手が話していたことからもペースについて行けずに置かれていたと言うことなのだと思う。スピード一辺倒の適性には疑問を残したと言える。後方追走を余儀なくされた前走の走りが距離延長がプラスになる事を証明したのではないかと思う。実は2000mまででしたなんて事もありうるが、3歳同士の1戦なら残りの2Fは能力で何とかしてしまうだろう。特に問題はないと思う。

 

2着:コナコースト

・行きたがるところがあるので現状はマイルの速いペースで流れに乗せていく方が良さそう。

・この馬の良い所は末脚をしっかりと使えるところ。追い出したらビュンとくる。

チューリップ賞では出して行ってから控えるなど鞍上の指示にもちゃんと従えていた。GOサインを出してからの反応も良く、前走から操縦性は向上していたと思う。

 

上記が桜花賞出走時のカルテ。

 

スタートから出して行き2番手の積極先。ペース、馬場バイアスからすると絶好の立ち回り。勝ちに等しい2着は良く頑張った。ただ、いつも使えていた末脚は伸びを欠いていた。積極的に運んだツケだろうか。自在性を見せた事は評価を高くすべきだが、杖脚を引き出すには溜めた方がいいのかもしれない。オークスではこの立ち回りを取るか、末脚勝負に出るかで結果に違いが出て来そう。戦前のレース戦略はチェックしておかなければならない。もし控える競馬をして来るならその末脚は追えば追うほど伸びるので距離延長はプラスになりそう。ただ、行きたがる馬なので折り合い面を考えたら前走の様な積極策も悪くなかった。気性的には延長は歓迎ではなさおう。そう言う意味ではレーン騎手への乗り替わりが吉と出ればいいと思う。鮫島騎手は桜花賞こそ上手く乗ったがエルフィンSでは御せずに負けたし、チューリップ賞も折り合いを気にして控え過ぎていた。気性面がまだ安定しないないので乗り替わりでその不安は軽減されると思う。

 

前走時の状態面についてだが調整は失敗していたそう。2週続けて強くやすりぎてしまったそうだ。デキは峠を越えてしまったようで絶好調の状態で出走出来なくなったと陣営は漏らしていた。それで2着は力の証だが仕上げが過ぎていたのならオークスでの上がり目は乏しくなってしまうかも。

 

また、本馬はデビューより馬体を減らし続けている事が懸念材料とされている。確かに8月デビューの頃から18kも小さくなっているのは問題かもしれない。こうなってくると余計な1戦だったチューリップ賞を使ってしまった事が悔やまれる。本来はエルフィンSで賞金加算して桜花賞直行の予定だった。当初予定のローテを歩けていれば桜花賞もピークで出れていたのかも。ここまではギリギリ踏ん張っている感じだが、調整過程や臨戦過程を踏まえるといろいろと余裕が無い感じ。馬体もそう。調整は難しいかもしれない。

 

3着:ペリファーニア

新馬戦は2歳戦にしては速い流れでレース内容は悪くない。中団待機から機動力あるところを見せて圧勝。印象は良い。

・ラスト3Fは最後に0.2秒失速しただけで差し馬に向いた展開でもなかったが、11.5-11.7の速いラップを突き抜けた。脚力も高そうである。

・直線手前から追いまくって先頭に立つスタイルは兄エフフォーリアに似ていた。

・馬群の中で競馬をした経験がなく、マモれた時にどうなるかなどキャリア不足故の課題は多い。

 

上記が桜花賞出走時のカルテ。

 

外枠から先行して4番手のポジショに収まるまで約2F脚を使っていた。この間は12.1-10.4とラップの忙しい区間。この立ち回りで最後に脚を伸ばせているのだからこの馬も相当強い。後方待機の組ですら上がりは33秒後半がせいぜいだったが本馬は34.1秒の脚を使っていた。この運び方でこの上がりは凄いのではないかと思う。マイル戦における持続性はかなり高いものがある。

 

3着だったチューリップ賞も8枠から同様のレース運びだった。不利枠から高いパフォーマンスを発揮出来るのだから能力の高さは間違いない。内枠だったらとも思うが厩舎的にはノンストップで進んで行けるこういう枠がこの馬には向いていると話している。馬群の中で窮屈になるよりはこの方がエンジンを吹かし切る事が出来るという見立てからである。グンと一気に加速していく脚はないからこういう考えになるのだろう。距離の忙しいマイル戦ではこういう乗り方のほうが力が出せたのだと思う。2400mまで伸びれば徐々に加速していけるのでそう言う不安は無くなるだろう。折り合いに不安の無い馬なので距離が伸びても上手に走れそうな下地もある。内めの枠を引けたら今回はチャンスだと思う。

 

ただ、桜花賞でメイチ勝負をしている可能性がある。12月暮れのデビューから桜花賞を最大目標として来た馬なので前走で結構仕上げていた。やれることは全てやったという自信が厩舎にも騎手にもあって桜花賞で全力投球と言うムードがあった。上がり目があるかは微妙になるかもしれない。

 

こういう調整法を採ったのもノドに不安があるからだと思われる。距離の長いオークスよりは桜花賞の方が息が持つと考えられているようだ。距離延長に自信のある陣営なら「大丈夫」とか「問題なさそう」と前向きな発言になるものだが、この陣営は「やってみないと分からい」とその辺は言葉を濁している。身体的にはやれても息持ちの面で強気になれないのだと思う。前走から舌を縛って陣営は工夫しているがこの点がこの馬のネックとなるかもしれない。

 

4着:ハーパー

・序盤の立ち回りがとても上手い。スタートをポンと出て楽に2・3番手の好位を取れる。距離短縮したマイルの流れにも対応出来ていた。レースセンスがある。

・瞬発的なギアチェンジは遅い印象で目一杯に追い込んでようやく加速するという感じ。→だからマイルは向いていない。

・体力はありそうなので持続的なタフな展開の方が力を出し切れるかもしれない。重賞で強い馬とやり合った方が力を出せるタイプかも。

 

上記が桜花賞出走時のカルテ。

 

オークスが楽しみ」「マイルを使うのはこれが最後になるだろう」とは桜花賞後の談話ではなく、調教に跨ったレース前のルメール騎手の話。マイル適性に疑問を持っていたようだ。発馬を決めてマイルの流れにはちゃんと乗れていて6番手を追走した。目の前にペリファ―ニアを見ながらレースを運ぶ。直線に入るまではスムーズに走れていたが追い出してから一気に突き放されてしまった。そこからジワジワ伸びて4着に上がるまでだった。脚は使い切れていない感じがした。ルメール騎手の言う通り桜花賞の敗因はマイル適性にあったと言えそうだ。レース後のルメール騎手の談話ではGOサインを出してからの反応がジワジワしていたという事。ヴィクトリアMのスターズオンアースのレース後と同じ事を桜花賞でも話している。マイラー向きのの瞬発力ではないという事を言いたいようだ。そして、距離が伸びた方が絶対に良いと言って締めくくっている。

 

オークス向きの馬という話はこれまでも幾度となく出て来た。クイーンCの内容が良かった為に桜花賞でもちょっとその気になったようだが見据えていた舞台は最初からオークス。前走の状態も良い状態だったが何が何でも桜花賞でという姿勢ではなかったのでそれなりにオツリは残していたはず。十分な上積みがあるだろう。

 

新馬戦で騎乗していた福永元騎手も素質を高く評価していたし、適性外のGⅠで4着するなど地力の高さは証明済み。陣営も逆転を諦めていないと思う。コース経験のある府中で適性のある2400mなら巻き返しは必至。

 

不安材料はクイーンCで減らした-12kが戻っていないこと。厩舎の話では成長もあるという事だが馬体面からそれは見られない。結果を出しているので輸送で気性が破綻する馬ではなさそうだが馬体はこれ以上は減らない事を祈りたい。

 

5着:ドゥアイズ

・器用さがあり、操縦性は良さそうで立ち回りが上手い。

・雨が降ったり、時計がかかる馬場は良いとの話だった。

・昨秋の休養から馬はどんどん良くなっていて力が増してきている。末脚の威力も上がって来ている。

・決め手勝負には向かない。長く脚を使ったり、タフで上がりのかかる展開が向いている。

 

上記が桜花賞出走時のカルテ。

 

桜花賞では初めて馬券から漏れてしまったが5着なら悪くない。相変わらず安定した成績を残している。5着の敗因はスピード負けとか決め手負けとかの類でこの馬もマイル適性で負けたクチ。いいスタートを決めていたがテンが速い流れだったので中団に控える形になった。そのままゴールまで速いが流れが持続していたら良かったが、中間でペースが緩んだことで上がりの速いレースになってしまう。消耗戦で脚を持続させて良いタイプでこういう展開だと脚を使い切れない。3着だった阪神JFや2着だったクイーンCはタフな消耗戦的レースだったので上位に迫る競馬が出来たが、上がりの速い競馬はこの馬の適性からはズレている。力負けと言う評価にはならないので上位評価のままで良いと思う。

 

北海道で走っている頃は目立つ話も無かったが2歳秋頃から馬は成長期になったようで馬体が増えた、肉体的に成長した、精神的に成長した、操縦性が良くなった、体幹が良くなった、終いの反応が良くなったなどの話がレースを使う度に必ず出てくるようになった。馬がどんどん良くなっているのが伝わって来る。成長を疎外しない良い循環でレースを使えているのは非常に印象が良い。今回はレース間隔は短いのでそういう話は出てこないかもしれないが調子を落として出走するケースはちょっと考えられない。

 

クラシックの渦中にいたので近3走はマイル走ったが、元々は北海道の中距離戦から初めている馬。距離が延長してダメと言うこともないだろう。「東京を経験させたい」と言う理由からクイーンCを使っているのでオークスを意識していなかったはずはない。近3走は全て狭い所を突く競馬だったが、本来は追えば追うほどその末脚は伸びる。スムーズだったらもっと違う脚を見せられるだろう。直線長い府中コースは良い。距離延長も含めて条件が良くなる点が目立つ1頭。前走以上の走りが計算できる馬。

 

6着:シンリョクカ

新馬戦で見せた末脚は優秀。3.2秒も後傾した上がりの競馬を後方から差し切ってしまう。最後は流す余裕を見せて3馬身差。スケールは大きい。

阪神JFのレースにも見どころはあった。勝ち馬と馬体を併せた追走で堂々と渡り合っていた。末脚のスケールで劣ったがハードな展開を正攻法で2着した走りにフロック性は見られない。

・レースの流れに左右されずに必ず上位の末脚を使える。脚力が高い証拠である。

 

上記が桜花賞出走時のカルテ。

 

インで溜めてインを突かないといけなかったのが桜花賞。11番枠から上手い事インには潜れたが直線では早めに外に出してしまった。結果、インを突けた5着ドゥアイズを交わす事が出来ずに6着。また、イン溜めイン突きで2着した阪神JFとも対照的だった。阪神JF桜花賞との違いは枠の違いと言う事で片付けられそう。条件や状況が噛み合えば上位入線の目は常にある馬だと思われる。桜花賞でも3位の上がりは記録して末脚は伸ばせていてそれなりに爪痕も残せた。少なくとも阪神JFの2着がフロックで無かった事は証明出来たと思う。

 

ただ、暮れの阪神JFと比較すると0.4秒差だったリバティとのタイム差は0.2秒開いたし、0.4秒差だった上がり差も0.9秒も大きくなってしまった。勝ち馬の成長度が上を行っている。これだとさすがに逆転は厳しいと思う。

 

3走目が済んだので脚質や個性はだんだん見えて来た。ここまでを振り返ると脚を溜めて末脚で勝負するのが良いのだろう。その末脚には万能性があり、どんな流れにも対応出来る。新馬戦では超スローの上がりの競馬を差し切っているし、阪神JFの様なタフなレースでも終いを伸ばした。展開に左右されずに上位の末脚を使える点はリバティと同様。こういう馬は大体強い。切れ味もあるし、長い脚も使えるので脚さえ溜めれば最後は必ず伸びて来れるだろう。GⅠでもある程度通用している末脚なので今回もゴール前ではそこそこ来ていると思う。リバティには劣っても、その他と差があるようには思えない。もう重賞級ぐらいの評価はしても良いと思う。

 

府中も新馬戦で経験しているし、今回は輸送もない。距離も問題なさそうな事を話している。条件面は近2走のGⅠよりは好転しそう。前走以上の結果はあって良いと思う。

 

8着:ライトクオンタム

・府中1600mの新馬戦をタイトな展開で流し逃げ切り勝ち。気合を付けた程度で楽勝。全力を出さずに勝った感じでまだ上がありそう。

シンザン記念の勝ち方はインパクトがあったが、レース内容、時計的な価値、出走馬のレベルとあらゆる面が物足りないものでGⅠに目途の立つものではない。

・2戦しか走っていないのでキャリア不足な面は否めない。初戦が逃げ切り、シンザン記念が最後方からと両極端な競馬しかしていないのも気になる。

・走って不思議ない馬だがレースはまだ粗削りで不安材料は案外多い。

 

上記が桜花賞出走時のカルテ。

 

序盤にクビを上げて制御不能みたいになっている。パトロールを見ると前の馬が行こうとしていた進路を塞いだところから気難しさを出している。しばらくしたら再び同じ挙動をしている。モマれる競馬でモロさがでたのだろう。こういう経験をしてこなかったのでキャリア不足の面が出てしまった。この馬はこの辺りでレースが終了してしまった感じ。追い出してからの反応は鈍く、鞭が入っても伸びる感じはほとんどなかった。

 

敗因そのものははっきりとしているが、だからと言って巻き返しの材料があるとは言えない。それまでの内容からGⅠで積極的に評価出来る材料は乏しかったから。せめて桜花賞で力を出し切れていればまだ序列の付けようはあったのだが。

 

厩舎としてもそこまで自信があったという訳ではなかったよう。2番人気だったがそんな甘いものではないと畏まっていた。強い相手に勝ってきたり、きつい展開を乗り越えてきた訳でもないので強さに自信がもてないと話している。前年のウォーターナビレラ程の自信には全然至っていなかった。能力があることは認めつつもGⅠ級かただの重賞級かで迷っているような感じだった。

 

距離延長に関しては前進気勢の強いタイプではないので対応は出来ると思う。しかし、阪神から府中に変わる事でマイナスな材料は出てくる。右に張るところがあるので右回りの阪神はレースがしやすいと武豊騎手は話していた。中京のシンザン記念での事を言っているのだと思う。普段の調整からもそう言う面は出ていたとのこと。調整期間が長かったので徐々にマシになって来たという話はあったが、もう大丈夫と言う話にはなっていない。左回りの府中は現時点で良い条件でないかもしれない。

 

オークスに関してはゴチャつかずに、スムーズに周って来れれば桜花賞の様なレースにはならないのかもしれない。終いの脚もしっかりと使ってくれると思う。ここで能力が開花したらと考えると怖い所もある。ただ、武豊騎手が騎乗するのはフローラS2着のソーダズリング。馬主は同じだし、こちらもお手馬ではあったが幸四郎厩舎の馬を優先しない時点で期待の程は大体知れてしまうもの。自然と評価は下がってしまう。

 

10着:エミュー

・馬体が小さいので非力な印象。→モマれたくないのでゴチャつく位置取りを割けるようにしている。近走は後方まで下げて周りに馬がいない状況を作っている。

・どんなレースでも終いの脚はしっかりと使う。ただ、それほど長い脚を使っている訳ではない。キレる脚は意外と短い。

・マイルは基本忙しく、騎手の進言で中距離に変更してから軌道に乗っている。

 

上記が桜花賞出走時のカルテ。

 

五分の発馬が決まって追走せずに徐々に下げて後方で控える。スタートが良かったのでラチ沿いのポケットを追走する事が出来た。本馬を含めて5~6頭の後方待機組がいたがこれらの中では最も恵まれた進路を取ることが出来た。ので、勝ち馬以外の追い込み組では最先着している。ラチ沿いのグリーンベルトを走れて、コーナリングにより通過順を簡単にあげる事が出来たのも大きかった。ただ、その割に使えた脚は短かった印象。外を周ったラヴェルには僅差まで詰められているし、上がりはキタウイングを上回れていなかった。コース取りの妙でこれらに先着したに過ぎないのでやはり力差は感じ差せた。ただ、以下の点を踏まえると良く走ったという評価は出来る。

 

・道悪2連勝の馬が良馬場のGⅠで走れたこと

・上がりの速いレースに対応出来たこと

・6戦目で上積みそのものが無かったこと

・中2週の輸送競馬であったこと

・結果の出なかったマイル戦であったこと

 

など。調整や適性とこれだけマイナス材料があってこれなら馬は頑張ったと思う。もっと負けるかと思っていたので0.8秒差の10着は悪くないと思う。こういう過程の馬なのでオークスで上積みなんて期待出来ないが、関東で輸送がないことや距離延長など条件面の厳しさは緩和される。桜花賞ぐらい頑張れれば人気以上には走れるだろう。

 

マイル適性に疑問を感じた菅原騎手の助言で中距離にシフトした馬なので桜花賞よりはオークスの方が向いているのは間違いない。そもそもフラワーC後にはオークスに向かう予定でいたので距離はこなせていいタイプだと思う。条件変わりでどこまで着を上げて来れるかというところ。

 

なお、馬体の小さい馬なのでもモマれない競馬を意識的にしているよう。桜花賞の位置取りもこういう事が前提にあったのだろう。すんなり先行出来ないようならポツンぎみの後方待機までありえる。ただ、そこまで脚力がある馬でもないので後方待機からだと上位まで来れる脚は基本的にはないと思う。

 

11着:ラヴェル

・姉(ナミュール)も2歳時はそうだったが本馬もとにかく出遅れる。ここまでスタートは全て失敗している。→桜花賞ではマシなスタートを切ったが徐々に下がり後方待機。脚質は定まった感じ。

新馬戦も、アルテミスSも長く脚を使っていて脚力の高さは印象に残る。

コーナリングや力んだ走りなど粗削りな面がまだ目立つ。

 

上記が桜花賞出走時のカルテ。

 

桜花賞は17番枠からソロっと乗って、直線だけの競馬で勝つ気のみえない競馬振り。直線では前が壁で捌きながらの進出でもたついてしまう。追い出し態勢に入ったところでまた壁となりちゃんと追い切れなかった。スムーズな進出が出来なったというのもあるが勝負所からのレースには迫力がなかった。最後も大して追われた感じもない。無理をしないで次につなげたという印象のレース。どうも叩き台だったようだ。

 

まず、阪神JFからの直行になった理由は、アルテミスSからの続戦でテンションが上がってしまいレース振りがチグハグになったから。数を使わない方が良いという事で春は桜花賞オークスの2戦だけとなった。テンションが上がりやすい気性も考慮され桜花賞ではGⅠを勝つような仕上げは施されていない。状態もなかなか上がってこなかったので何とか間に合ったという程度だった。

 

3歳になり関係者から聞こえて来た話は興味深いものだった。かなりマッチしそうだからレースを楽しみにしていると話されていたのがオークスだった。桜花賞では叩き台ではないとしつつも狙っていたのはオークスだったのだろう。今回に向けてのローテション、調整方法、仕上げの程度、桜花賞のヤル気の感じさせないレースぶりなどここへ向けて辻褄が合っている。

 

素質の高さは矢作調教師が認めているのだからこれは間違いがない。内容はどうあれ絶対女王に唯一土を付けた馬。適性があるレースなら再び侮れなくなってくる。最初からこちらがメイチのつもりでいたのなら要注意。人気が落ちるなら面白い存在になる。なお、阪神JF桜花賞共に8枠発走だったが本当は内めの枠で脚を溜めさせたいのだそう。そう言う枠を引けたら評価を少し上げた方が良さそう。

 

12着:キタウイング

・上手い事先行出来てしまった阪神JFだったが末脚は使えなくなってしまった。後方待機の末脚勝負と陣営の方針がこれで決定的になっている。→桜花賞でもこの脚質にこだわりを持って強調していた。もう終い勝負の競馬しかしない。

・ハマった時の破壊力は一目置くが展開の恩恵がないとはっきりと厳しい。余程の事が無い限り△以上の印はいらない。

 

上記が桜花賞出走時のカルテ。

 

後方2・3番手からの競馬。この乗り方自体は陣営が納得しているものなのでこの馬はこれで良い。桜花賞も上がりは2番目だったように自分の競馬はちゃんと出来ているのだから。しかし、前が伸びる展開ではこういう結果になるのも仕方ない。オークスもそう言う事になる。加速ラップを脚力の高さでねじ伏せてしまうような強烈な末脚は使えない。展開がハマるのをひたすら待つしかない。ただ、リバティとは0.7秒も上がりの速さに違いがあった。こういう脚はこの馬には使えないのでこの馬が優勝する可能性は極めてゼロに近い。

 

12月に阪神JF、1月にフェアリーS、3月にチューリップ賞、4月に桜花賞と休みなく使われているが使いながらの方が馬は仕上がるという考えのもと意識的に獲られているローテションなのでこれ自体は問題ないと思う。可も不可もない力を出せる状態で今回も出走してくるだろう。距離も大丈夫みたいな話は出ているので2400mでも脚は使えそうである。だからやっぱり展開次第。そう言う展開が想定できるなら△がいるし、無ければいらない。

 

14着:ドゥーラ

・未勝利の勝ち時計が1:49.1。ジオグリフが勝った前年の札幌2歳と全くの同タイム。タイトな展開を2番手から上がり最速で突き抜けた内容はとても濃い。

・余裕たっぷりに勝ってしまった札幌2歳S。4番手から最速上がりを繰り出した。確実に詰めてくる末脚は信頼感がある。

阪神JFでも末脚は最速化した。爪痕は残せたと思う。これで4戦全戦で最速上がりを記録したことになる。末脚の発動率は極めて高い。→直線で不利があったチューリップ賞では追い切れず上がりが最速化することは無かった。

 

上記が桜花賞出走時のカルテ。

 

桜花賞も出遅れてしまい初手最後方からの競馬。直線では内にシンリョクカ、外にリバティの間に挟まれて追い出し態勢に入ったがこの馬だけ脚を伸ばす事が出来ずに置かれてしまう。負けていた近2走でも脚は使っていたのでこういう負け方は想定外。戸崎騎手のレース後談話によると道中で動かして行ったことで脚が溜まらなかったとなっている。ということは、今回もマイル適性が敗因と言うで良さそう。

 

性別的に阪神JFチューリップ賞阪神マイル三部作を皆勤したが結局のところこの馬にマイルは忙しく適した条件ではなかった。また、桜花賞のような上がりの速いレースもこの馬向きではない。タフな展開で上がりがかかるレースの方が脚は使えるだろう。2400mならそう言う展開も期待出来るし、距離延長でレースも運びやすくなる。近3走の様な負け方はしないだろう。ただ、こうも負けっぱなしだと馬が以前のように走ってくれるのか?とちょっと心配になる。メンタル面に影響が残っていないと良いのだが。不本意なレースばかりを続けてしまったのは不安材料になるかもしれない。

 

この馬も狙っていたのはオークスの方だった。桜花賞で完結してしまうような調整はしていない。今回がメイチとなるように調整されているので前走以上の状態で出走してくる事になる。戸崎騎手から前任者の斎藤新騎手に手が戻るが2人とも操縦性の高さが良く、乗り味を絶賛していた。2歳GⅠ馬も負かしたことがあり、札幌2歳Sではドゥアイズも負かしていて力だけならトップクラスの中にある。この条件ならやはり巻き返しを警戒しておく方が良いのだと思う。

 

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