競走馬カルテ

2・3歳重賞の出走馬を分析・記録していくブログです。

ヴィクトリアマイル(GⅠ) 出走馬カルテ②

 

こんにちは。

 

こちらのページは、

 

の、続きになります。↑ではアイウエオ順に7頭のカルテを作成しています。ここからは8頭目以降のカルテを作成していきます。

 

予想案は各ページの最下部にある専用ページにまとめてあります。ブログカードを貼っておきますのでそちらをご覧ください。

 

ステラリア

 

・叩き良化型

 

厩舎の話では休み明けはいつもあっさり負けてしまうそうです。典型的な叩き良化型というのが厩舎の評価です。にもかかわらず1年ぶりに出走した福島牝馬Sをぶち抜いてしまいました。レース振りも悪くないもので以前の姿からは想像も出来ない復帰緒戦となりました。この休養で馬が大きく成長したのかもしれません。当然、次はさらに良くなって来るでしょう。久々を叩いた効果は大きいと思います。

 

・適性

 

桜花賞に出走出来ずに忘れな草賞を勝ってオークスに駒を進めるような馬です。このことから分かるように中距離以上に適性のある馬と見て問題ないでしょう。ここまでにも2000mぐらいが良いとか、距離が伸びて良いとか中距離志向の強い言葉が度々話されています。また、忘れな草賞を強い内容で買ったり、エ杯で2着に来たりと阪神の内回り条件の適性が高いとされています。似たような形状の福島牝馬Sを勝ったのもこの適性によるものでしょう。1周条件を立ち回りや機動力で勝負するクチで惰性をつけて回って来る条件で良い差し脚を見せます。直線でギアを上げる必要のある府中の直線でこの個性は生かされません。ダメと言う事もないのでしょうがベストコースという事にはならないと思います。実際、中京の金鯱賞や新潟の新潟大賞典のように直線長い重賞で良いものがありませんでした。

 

・GⅠ実績

 

3歳時にオークスに間に合いましたのでそこからGⅠ競走に4回出走しています。馬券実績は3歳時のエ杯2着があります。他、秋華賞が0.5秒差6着、大阪杯が0.6秒差8着とそう大きく負けていた訳ではありません。この2戦も内枠で捌けず、外枠で位置が取れずという感じで負けましたが直線はしっかりと脚を伸ばしています。GⅠの流れでも自信の力は出せていたように思います。13着と大敗だったオークスに関しては遺恨が残っています。差し馬のこの馬を先行せてソダシを潰さんばかりの競馬振りは納得できるものではありませんでした。どうしてそこまでやったんだと当時の鞍上川田騎手に敵陣営からも身内からも不満が噴出したそうです。オークスの成績は度外視で良いでしょう。なお、エ杯2着時に騎乗していた松山騎手からは「GⅠを勝てるポテンシャルがある」というコメントが残されています。適性は微妙な気もしますが通用する力は持っているようです。

 

・前走評価(福島記念1着)

 

福島記念は1000mを61.3秒で通過してからの残り4Fで11.6-11.6-11.6-11.8とほぼ失速無しの後傾持続戦が展開されました。この4F区間をタイトでワンペースなラップを長く使えた馬が上位に顔出したという事になります。弱い馬から脱落していく展開で地力の問われたレースと言えるでしょう。本馬は中段6・7番手からこのペースをマクり上げています。失速のなかったラスト4Fをより速い脚を使った事になりますから力上位の結果と見て良いでしょう。評価は高めに見積もる事が出来ます。ただ、久々が影響したのか馬群の中を嫌ったのかわかりませんがレースの序盤はかかり通しでした。それでよくこの脚が使えたなぁと思います。決してスムーズなレースではなかったですから見ため以上に強い内容です。力そのものがこのメンバーで抜けていたんだろうという事になります。3歳時の忘れな草賞を1:58.0の好時計で勝っている馬なので後半に持続力が問われる展開は元々強かったですからこの優勝もこの馬本来の姿と見て良いと思います。

 

・今回の展望

 

若い時分からクラシックを意識する評価をされていました。なので福島牝馬Sぐらいは勝って当たり前の馬だったんだと思います。GⅠでの成績もそう悪いものではないので牝馬同士のレースなら通用しても良いように思います。ただ、どうしても適性面での微妙さが目立っているように思います。適性的には阪神2000mのマーメイドSの方がしっくりと来るのですが厩舎の評価や期待からするとそう言う選択にはならないのだと思います。自分の脚だけはしっかりと使って来ると思うので直線では必ず伸びて来るとは思うのですがこの条件で届くかどうかの可能性は高くない気がします。なお、重馬場ぐらいならこなせるという話をかつてしていましたので道悪になりそれで苦しむ有力馬がいたならその隙を付く事は出来そうです。


ソダシ

 

・須貝調教師

 

共同記者会見にソダシのぬいぐるみを持参してニコニコでした。終盤にはそのぬいぐるみを胸元から顔を出す感じで抱えて終止ニコニコでした。NHKマイルCのドルチェモアの会見では怒っているような仏頂面で終止ピリピリしていました。あまりにも対照的です。この変わり身は見てて気持ち悪かったですね。

 

・レーン騎手

 

NHKマイルCに出走していたカルロベローチェもそうだったのですが、ヴィクトリアMのソダシもレーン騎手の来日が決まる前からFIXされていたそうです。その段階から勝負態勢だったのでしょう。陣営のやる気を感じさせます。特にソダシの吉田隼騎手は騎乗で失敗したという事も無かったので鞍上強化で連覇を狙っているのがミエミエです。レーン騎手器用から見られる本気度の高さは疑いようがありません。レーン騎手が調教時に良い感触を得た時とレースの結果が連動しやすいという話は昨秋のどこかで触れたと思います。今回の来日もこの傾向は当て嵌まっていると思います。NHKマイルCで騎乗したカルロは1番人気を裏切る結果となっていましたが、レーン騎手自身も2週前の騎乗で物足りなさを感じたようでこれで大丈夫?みたいな感触だったとか。実際調整も失敗していたようでして調教でのジャッジは相変わらず正確です。レーン騎手の感触は予想する上で非常に重要になって来ます。その点今回のソダシは大丈夫そうです。グッドコンディションの言葉で状態の良さを感じているようです。これならレースで良い結果を期待出来るでしょう。

 

・適性

 

3歳時に札幌記念を勝っていましたが連覇を期した4歳時には完全にマイラーになっていいるから距離は長いだろうと言われていました。コース形態的にもワンターンでスピードに乗せていく方が良いとされています。そのワンターンの府中牝馬Sでも2着と負けているように距離適性はシビアになって来ているようです。昨年勝っているので今更言うまでもありませんが府中1600mなら砂芝問わず走れるベストコース。条件的な不備はないですね。なお、ダートもこなして、洋芝の重賞も勝っていますから道悪になっても大丈夫そうです。ただ、スピード決着の方が良いという認識になっていますから良馬場の方が安定して強いというのは言えると思います。

 

・今回の展望

 

人気を背負う割にはコロっと負ける事も多いのでムラな印象もある馬ですがこと芝のマイルに限ればパーフェクトに近く5戦して4勝3着1回の成績。この内容のほとんどがGⅠでの成績。この距離の安定感は今回の出走馬においてかなり抜けた実績だと言えるでしょう。3歳の秋以降は迎え撃つという感じは無くなっていますが、牝馬同士のマイルGⅠならそのぐらいの評価を与えて良いと思います。昨年はフェブラリーSを経てヴィクトリアMを勝っちました。この勝利をきっかけにスピードで圧倒出来る芝の方が良いという事になりダート戦への出走を控えるようになっています。なので今回は今年の始動戦。5歳になっているので能力的な変化が分かりづらくなっています。強くなっているのか?歳を重ねた事で力はおちていないのか?そう言ったところが今回の焦点となってくるでしょう。これに関してはやってみないと分からないので何とも言えないですね。ただ、NHKマイルCの須貝調教師の表情とは対照的だった共同記者会見の姿からも馬が悪くなっているという印象は受けません。レーン騎手の太鼓判もありますし。昨年並みの評価はしてよさそうdす。

 

ソングライン

 

・適性

 

安田記念の勝ち馬なのでマイラーであることに間違いはないのですが昨秋はそのマイル適性をスプリント寄りに修正しています。遠征回避でしたがブリーダーズCへの遠征を予定していました。当地のスピード競馬に対応出来るようにとそのような調整がされていたのです。その意図で勝ち負け度外視でセントウルSに出走していた経緯があります。また、今年初戦のサウジ遠征でも1351スプリントに出走していたので今はスプリント寄りのマイラーと言う感じかもしれません。この距離を走るのは安田記念以来となりますが府中のマイルはタフさも要求されますから如何に昨年と同じ状況に戻せているかが鍵になると思います。なお、道悪の適性についてはこれと言った経験はありませんが過去にマイナス材料になると話しています。

 

・前走の敗因

 

サウジに遠征して1351スプリントの連覇を狙っていましたが出遅れて後方儘尽という内容。結果はブービーでしたが決勝点でクビだけ交わせて10着に上がったというものでほぼ殿負けでした。厩舎では仕上げの問題だとしています。優勝した昨年は暮れに1戦していたので馬が動ける状況にありましたが、今年は5ケ月振りの休み明けでしたので久々も影響したかもしれません。秋にアメリカ遠征を頓挫していたので状態も本物ではなかったのでしょう。確かに全然動けていないので力で負けたという気はしません。度外視が必要かもしれません。

 

・帰国後の調整

 

サウジの1351スプリント以来の出走は昨年と同様です。その昨年は海外遠征の影響は全くなく、むしろ過去一番のデキに仕上がったそうです。遠征の影響は残らない馬のようなので今年も影響は考えなくて良いと思います。帰国後の調整が精力的で本数や負荷などかなり密度の濃いものをこなしています。これだけの調整が出来るという事は輸送の影響が全くないからだと解釈できます。

 

・今回の展望

 

仕上げ足らずだった前走から帰国後の調整はかなり負荷をかけてやっているようです。それだけに急仕上げと言う気もするのですが。ただ、概ね順調に仕上がっているようでさらに上を目指すために負荷をさらに強めているという状況です。辻褄合わせの調整でないのは間違いないと思います。これなら過去一番のデキだったという昨年程度の状態に持って来れていると思います。また、近走のイメージが良くなかったこと、昨年がスムーズさを欠いて取りこぼしてしまったことなどからヴィクトリアMへの勝負意欲は高いように見受けられます。陣営にしてみれば置いて来た忘れ物を取りに行く感じでしょう。能力低下の話も特に聞かれませんし、昨年のレースを見る限り勝ったソダシと力差があったようには思えません。マイル路線から逸脱したので存在感が薄れたように感じますが元に戻れているならこの馬も勝ち負けを期待出来る存在です。人気が落ちるような狙ってみたい1頭です。

 

ディヴィーナ

 

・適性

 

デビューが遅く同期の牝馬オークスで覇を競った前日の中京戦に初出走。そこを出たとこ勝ちします。当初は中距離を使われていましが2勝目を上げられませんでした。適性を誤魔化して秋華賞でも目指していたのでしょう。3歳暮れにマイルに転向してようやく軌道に乗りました。3勝クラスを勝った勢いで昨年のヴィクトリアMに出走しています。右回りでもちゃんと走れていますが中京・新潟など左回りのマイル戦に拘っていました。この条件で行われるビクトリアMはこの馬にとっては良い条件です。ただ、マイルまで短縮しても折り合いをつけれないでいます。この距離でも前進気勢が強く出ていて武豊騎手でも福永元騎手でも御すのに苦労しています。2走前に1400m重賞の京都牝馬Sに出走したのも気性を考慮しての采配です。マイル戦だと折り合い重視で控えるしかないという感じになっています。それでも直線で弾けません。控えて乗っても行きたがるので脚を溜めれていないようです。条件戦ならこれでもどうにかなるのでしょうが重賞ともなるとそうもいきません。

 

・今回の展望

 

3勝クラスを勝ち上がったばかりで昨年の当レースに出走して11着でした。マイル路線に転向してから軌道に乗って勢いがあったことや母が連覇したヴィルシーナだったりといろいろと不気味に映ったりもしたのですが力負けを痛感させた負け方でした。これだけなら実績不足という言葉で片付けられたのですがその後1年をかけて力不足を証明する格好となっています。関屋記念京都牝馬S阪神牝馬Sと重賞経験を積んで来ましたが未だ一桁着順で入線した事がありません。今回出走のメンバーにもいたるところで負けています。やはり気性面の課題がこの馬の大成を妨げています。厩舎の話を総合するとGⅢぐらいなら勝てる力量はありそうですがGⅠ級が何頭もいる今年のメンバー相手に好走を期待するのは難しいです。

 

ナミュール

 

東京新聞杯

 

牡馬なら安田記念牝馬ならヴィクトリアMと厳冬期に春のGⅠを見据えて同条件のここから始動するGⅠ級マイラーは昔からいるものです。古くは武史騎手が生まれる前の横山典騎手がトロットサンダー東京新聞杯安田記念を連覇しています。牝馬でもリスグラシュー(18年)がヴィクトリアMの試走として同条件の東京新聞杯を優勝して本番好走に繋げています。リスグラシュー阪神牝馬Sを経由して本番2着でしたが、昨年優勝のイルーシヴパンサーはヴィクトリアMに直行してソダシの2着と好走しました。ナミュールも当初から東京新聞杯をステップにヴィクトリアMを目指すローテが組まれています。リスグラシューもイルーシヴもクラシックは好走止まりでGⅠ戴冠を逸したまま4歳を迎えています。3歳で手に入らなかった勲章をヴィクトリアMでと言う強い気持ちを持っていた点でこの2頭は共通していたのですがそれはこのナミュールも同様でした。ヴィクトリアMを目指すためにも東京新聞杯で好走する事は非常に重要なことなのです。このローテを採っていることからもナミュール陣営が必勝態勢でヴィクトリアMを勝ちに来る事は容易に想像出来る訳です。ただ、リスグラもイルーシヴも2着でしたので結果までマネないで欲しいものです。

 

・適性

 

これも良くある話ですがマイル色の強い牝馬秋華賞までは中距離に対応しようと頑張るのですが秋華賞後は自らの適性を求めてそれぞれ分散していきます。ナミュールも本質的にマイルがベストだろうという評価が下されてこのローテが採用されています。自慢の瞬発力を発揮するにはこの距離が最適であると考えられました。また、飛びが大きかったり、切れ味の有る末脚を使えることからも府中コースが最もこの馬に合っているとも考えられます。赤松賞1着、オークス3着、東京新聞杯2着と凡走無く走れている事からもこのコースが現状はベストなものでしょう。よって府中のマイル戦こそこの馬の生きる道と言っても過言ではありません。なお、道悪に関しては歓迎材料ではないですが重馬場だったエ杯でも5着に走れていましたのでまるでダメと言う事ではなさそうです。でもまぁ力を出し切るには良馬場の方が良さそうですね。

 

・前走評価(東京新聞杯2着)

 

東京新聞杯では近10年で3着が1度あるだけの不利な8枠からクビ差2着と言う結果。1枠の馬に逃げ残られてしまったのなら仕方ないですね。この不利枠からよく来たと思います。枠差で負けただけでしょう。五分のスタートから折り合いを欠くことなく先行勢を見やる5番手に収まっていました。追ってからの反応も良くレース振りは安定していました。勝ち時計は近10年で最速となる1:31.8。適性の高さを裏付けるものだと思います。高速決着になりやすいGⅠですから1分31秒台を記録出来たのは良かったと思います。勝ててればよかったですが本番を見据えた前哨戦としては悪くなかったと思います。

 

・今回の展望

 

三冠競争で好走を続けた馬なので同期の強いところとはもともと差がありません。それらも適性的なもので負けたと言う感じなので本当に力差はないでしょう。今回はこちらの土俵での勝負。逆転も十分視野に入ります。1つ上のソダシ、ソングライン辺りとの力差は測れませんが不確定な要素はこれぐらいだと思います。昨年の今時分は馬体が増えてこないので調整に苦労していましたが、夏を越して成長力が出たことで馬体が大きくなってきました。今回の調教後に発表された馬体重では遂に460k台まで大きくなりました。これならしっかりと負荷を強めた調整がされただろうと推察できます。今は馬が本当に充実しています。また、陣営のやる気もひしひしと伝わってきます。管理する高野調教師はシングザットソングで今年の桜花賞に出ていましたが1番人気のリバティアイランドに対してそんなに甘くないぜ!みたいな事を言っていました。ナミュール桜花賞を1番人気で負けた事がよほど悔しかったのだと思います。それだけにこの馬にかける思いは大きいのだと思います。今回もスタニングローズとの2頭出しですが明らかに期待値でナミュールが上回っているように感じます。それは鞍上の横山武騎手も同様の様です。この馬の為にという人間側の強い想いがこの馬の背中を押しています。

 

ナムラクレア

 

・適性

 

桜花賞まではマイル路線で頑張りました。しかし、クラシックはここまでと2歳の頃から決まっていたようでNHKマイルCに回ることなく夏のサマースプリントまで休養に入っていました。当初からスプリンターとの評価でしたし、その後の実績を見てもそれは明らかです。1400mでも1200mほどの走りが出来ないように距離に融通性の無いコテコテのスプリンターと言う評価になります。これを頭から狙うのはさすがにリスクが大きいと言わざるを得ません。そのリスクを軽減させるものがあるとしたらやはり道悪適性と言うことになるでしょう。なにせ不良馬場は2歳のフェニックス賞勝ちに、GⅠ2着と連対率100%。こなせる程度の道悪巧者とは同列に扱えないほどのスペシャリストです。今週も天気が荒れそうな予報になっていますからこの馬の出番がないとは言えなくなってきました。有力馬が道悪でコケれば桜花賞3着の実績がモノを言うでしょう。2・3着の目は残しておく方が良いのかもしれません。

 

・前走評価(高松宮記念2着)

 

不良馬場で行われた今年の高松宮記念。勝ち時計は1:11.5。同日に行われた未勝利戦のダ1200mの勝ち時計より0.1秒速いだけのものでした。さすがにこのレースで時計的な価値は問えません。求められたのは不良馬場をこなせる道悪の適性とタフな馬場を乗り切れるスタミナ的な体力面と言う事になります。クレアは出たなりのポジションで外めの10番手を追走することになりました。この馬がここまで控えたのは初めてですね。4歳になってから意識的に控える競馬を試みている最中でこの時も末脚勝負競馬となりました。勝ったファストフォースは2馬身ぐらい前を追走していたので本馬も勝ち筋には乗っていたことになります。道悪を先行した馬が苦しくなり差し決着になったので展開的にばっちりハマッていました。ただ、ファストの上がりを0.1秒しか上回れなかったので道中の位置差がそのまま着差となっています。目立った不利やミスもないので勝ったファストを褒めるしかないんですけど1馬身差の着差を思うと悔しい結果でした。控えた事で新味が出ていると言えるのですが高松宮記念に限っては控えた分だけ負けてしまったということになります。脚があれば差せていたのでしょうが少し足りなかったようです。脚質展開中なのでその末脚もまだ発展途上なのかもしれません。

 

・今回の展望

 

スプリンターの目標は高松宮記念なのでさすがにそこをメイチでやっていたはずです。上積みを期待出来る状況にはないと思います。ただ、前走の調整中は負荷をかけてもかけても全然へこたれなかったそうです。芯が強くなっているようです。これなら上積みが無かったとしても調子が落ちたとかにはならないと思います。また、高松宮記念を勝つために4歳になり調整方法を変えています。GⅠを勝つにはスピードだけではダメだと考えたのだそうです。もっと長く脚が使えるようにと3歳時までやっていなかったコース追いをメニューに加えてスタミナ面の強化を図るようになりました。この結果差し脚を上手く引き出せるようになっています。追い比べでしっかりと脚を使えるようになり1着、2着とグレードの高いレースで確実に勝ち負けしています。この変化がもしかしたらヴィクトリアMで生きて来るのかもしれません。スプリントGⅠを勝つために長めの距離に対応しようとした努力が目標ではないここで発揮される可能性は少なくないように思います。だとしたら軽視禁物となりますね。

 

ラクリスティー

 

・適性

 

1400m戦に使っていることが多いのですが厩舎の話からすると1400mにも対応出来るマイラーと言う評価になっています。マイル戦は2度しか走っていませんがいずれも勝利していて当該条件はリステッド競走のキャピタルS勝ちがあります。この距離で強いというイメージまでは持てませんが考え過ぎて評価を落とす必要はないのかもしれません。それよりもコース適性に注目する必要がありそうです。右回りだとコーナーでモタつくところがあるので左回りの方が良いそうです。

 

・好走パターン

 

1400m中心に走っているだけあって前傾ラップのレースで強いですね。テンの速いラップを中団で追走してラスト3F区間の失速していくタイミングで上位に顔を出してきます。こういうレースばかりなので脚を溜めて決め手で勝負するという事がありません。府中マイルのキャピタルSも34.5-58.0とマイル戦にしては速いペースで流れていて最後は失速していく消耗戦を凌いだというもの。1400mの流れに近かったから頑張れたというのはあると思います。我慢比べのラストを雪崩れ込んでという印象が強いです。上位上がりをほとんど記録した事が無いように末脚勝負になると分が悪いのではないかと思います。GⅠ級多数出走の組み合わせですから仮に速いペースで流れたとしてもそこからギアを上げる馬がいます。そうなるとこの馬には苦しくなるかもしれません。

 

・前走評価(京都牝馬S1着)

 

テン3Fの通過が35.1秒と阪神の1400m戦としてはかなり遅いペース。とても重賞のペースとは思えません。前年の勝ち馬ロータスランドが脚を余して3着と負けたように最後は上がりの競馬になっています。レース内容としてはあまり感心出来ません。ラストの上がりも確かに速かったのですがこのペースならもう少し速い脚を使って欲しいと思うので物足りなかったと思います。本馬は33.5秒の速い脚を繰り出して7番手から差していますから十分強かったと見る向きも出来るのですが、3位上がりにも入れていないのでこの馬の突き抜けも甘かったと思います。スローで流れても上位の決め手を発揮出来ないのはこの馬らしいところだと思います。上がりの競馬や決め手勝負の不安をこのレースが際立ててしまったように思います。

 

・今回の展望

 

スワンS2着、キャピタルS優勝と賞金的にはビクトリアMへの出走は可能だったのですが確実を期すために京都牝馬Sで賞金を加算させたい考えがあったようです。3勝クラスを勝ち上がった昨年も当レースへの出走を検討していたそうなのですが状態が整わず回避した経緯がありました。だから今年こそ出走したかったのでしょう。出走意欲そのものは非常に高いものがあるようです。ただ、それ以外に特別プッシュ出来る話や材料ってないんですよね。走りの質もスプリントっぽい感じでマイルで強いというイメージを持つのは難しいと思うのですが。短距離馬としての成績は優秀だと思いますが決め手の問われる条件で突き抜けるイメージは湧きません。ここでは評価が難しいですね。

 

ルージュスティリア

 

・評価

 

新馬戦で負かしたのが今回1番人気のスターズオンアースということで話題になっています。そう言う馬なので2歳の頃から評判が良く厩舎も高い期待をしていました。藤原厩舎もディープインパクト産駒を預かるのがこの世代が最後になるということでこの馬には特に期待していました。また、こんな話があります。スターズが桜花賞を勝って後、川田騎手が別な馬に乗るために鞍上が未定になっていた期間がありました。この間にフローラSでルージュの手綱を取る福永元騎手にもスターズのオークス騎乗のオファーがあったそうです。しかし福永元騎手はルージュでオークスに出走したい考えだったのでこの依頼を受けませんでした。桜花賞馬を袖にする程の素質がこの馬にはあったという事になります。素質の高さを物語るエピソードです。ただ、あいにく重賞の時に限って出遅れたり接触したりと不利ばかり背負いこむ性分のようでして重賞では掲示板にすら載れていません。力や素質があっても大きいところで確実にやらかしてしまうのはこの馬の持つ宿命なのかもしれません。

 

・特徴

 

発馬の上手い先行馬。条件戦3連勝の内容もタイトな展開を前から押し切っているもので地力の高さは常にうかがわせていたと思います。終いの弾け方が甘いところがありましたが3勝クラスの長篠Sではようやく上がりが最速化して2馬身半差で圧勝となかなか良い勝ち方をしています。成長の足りていなかった馬が徐々に競馬振りを進化させながらOPまで勝ち上がって来た感じです。しかしながら折り合いに難しさを抱えていて2F目ぐらいまでは常に行きたがります。序盤にがっつりと抑え込まなければいけないので乗り方が難しいようです。3連勝中は福永元騎手が上手いことなだめていたのですが、テン乗りだった阪神牝馬Sの川田騎手はその辺の感覚をつかめていなかったのでしょう。押さえているうちにズルズルとポジションが下がってしまい、そうこうするうちに馬群に包まれてしまい万事休すとなりました。レース後に「どんどん流れの悪い形になってしまい、かわいそうな競馬になってしまいました」と語っていたのはこの事だと思います。この気性が重賞で結果を出せていない原因となっていると思います。逆の見方をするとこの気性で良く3連勝出来たというのは言えるのでやはり能力そのものは高いのだと思います。それだけに残念な印象が同じぐらい強く感じます。

 

・今回の展望

 

先行馬ですから自然と前掛かりなレースになりますから折り合いをつけながら如何に勝ちに行けるかが重要になると思います。これは結構難しいことではないでしょうか?末脚も立派とまでは言えないので確実に折り合いをつけないとこのメンバーで末脚は際立たたないように思います。まだまだ成長途上の様ですしGⅠに挑戦するのは少し早いかなと言う印象です。素質の高さは認めてもこれに負けない素質馬やGⅠ馬がたくさん出ている組み合わせですからそれだけで評価を上げる事は出来ないですね。

 

ロータスランド

 

・適性

 

高松宮記念を2年連続で走っていますが1200mを走っているのはこの2走のみ。厩舎の評価もスプリンターと言うのもではありません。しかしだからと言って純粋なマイラーと言う訳でもなく本当に良いのは1400mと言う事でその評価はここ数年で変わりがありません。距離融通性が高いのでどちらの距離もこなしているに過ぎません。マイルは1200mよりこなせる範疇ですが牡馬一線級に混じるとやはり力が足りてい無いという事を厩舎も認めています。強いところとガチンコ勝負では勝ち負けは厳しいようです。ただ今回は牝馬同士なので事情が違います。安田記念ではソングラインに0.4秒差、マイルCSでは3着だったソダシと0.1秒差と今回人気になる馬とも僅差の競馬が出来ています。牝馬限定戦ならマイルでも通用する可能性がありますね。どんなコースでもしっかりと走りますから府中も問題ないと思います。また、道悪もパーフェクトに近い実績を持つ馬なので天候次第で激走注意な馬になります。

 

・前走評価(高松宮記念6着)

 

2走前の京都牝馬Sで出遅れた事が幸いし良い末脚を使う事ができました。こういう脚が使えることが分かったので岩田騎手もスタートを決めながら控え過ぎてしまったようです。もう少しポジションを取っていれば3着はあったと思うとレース後に語っています。確かに追い出してからこの馬なりに脚は使っていましたがそれに優る末脚を使う馬が何頭もいたのでその脚が際立ちません。よくよく見てみると京都牝馬Sはメンバー的にもレースの内容的にも低レベルのものでその時に使った末脚を評価しすぎたのかもしれません。GⅠだとこの馬の末脚では追い負けてしまいます。結局位置取りの分だけ負けたという内容なのでそこまで悪い結果ではなかったのかなと思います。少なくとも力負けと言う評価は早計になるでしょう。本来はレースセンスの良い馬なので無理して控える必要はないですね。

 

・今回の展望

 

6歳になっているので能力の低下が気になり始めますが前走時には全盛期並みのデキにある感じでした。昨年の暮れから年初にかけては調子が落ちていましたが高松宮記念では2着だった昨年よりも良い状況との話でした。力が落ちているという事は無いと思います。不良馬場を走った反動とかは気にする必要がありますがこの馬自身は道悪巧者ですから前走でダメになるなんて事はないと思います。実際、昨年は状態が整わなかったのでヴィクトリアMではなく安田記念まで待機していた事を思うとダメージは昨年よりも無かったのだと思います。力を出せるデキにあるのではないでしょうか?ただ、時計勝負では分が悪いので一雨欲しいという事はいつも言っています。今回も時計が速くなると厳しくなるのでしょう。天気を味方につけたいところです。なお、岩田康騎手はイズジョーノキセキを優先して今回は横山典騎手に乗り替わりとなります。イズジョーの馬主さんと岩田康騎手は地方騎手時代からの縁なので馬の優劣で騎乗馬を選択したということではないと思います。

 

ヴィクトリアM(GⅠ)の予想案はこちら▼