競走馬カルテ

2・3歳重賞の出走馬を分析・記録していくブログです。

オークス(GⅠ) 出走馬カルテ②

 

こんにちは。

 

こちらのページは、

 

 

の、続きになります。↑では桜花賞組11頭のカルテを作成しています。ここからはフローラS組などその他7頭のカルテを作成していきます。

 

予想案は各ページの最下部にある専用ページにまとめてあります。ブログカードを貼っておきますのでそちらをご覧ください。

 

フローラS(GⅡ)

 

勝ち時計1:58.9は1:58.7だった20年ウインマリリンの年に次ぐ好時計。時計だけで決まるものはでないがオークスで好走するには時計が速いことに越した事はない模様。【1・4・2・38】とこの10年でフローラS組で馬券になったのは7頭。うち、道悪のフローラSだった2頭を除くと良馬場で馬券になったのは5頭。うち、4頭が出走していたレースの勝ち時計はいずれも2分を切ったものだった。好時計だった年は他にもあるのでこれだけで絶対的な指標とはならないがフローラSを速い時計で走ることは悪いことではない。史上2番目に速い時計なら尚更だと思う。

 

ただ、レース内容は淡泊だった。1~3着馬はラチ沿いの先団~中団を追走していた馬が独占した縦列競馬。開幕週らしいイン前決着になっている。良馬場で行われていたので馬場の恩恵は余計に大きかったとだろう。こういう競馬をしていないと馬券になれないレースだったようだ。

 

そうなると最後方を追走し大外から伸びて4着したイングランドアイズの走りはとんでもない。馬場傾向も展開も向いていなかった逆バイアスの競馬でこれだけくるのだから恐れ入る。末脚は際立っていた。ちょっと厄介なのが抽選を突破したかもしれない。

 

でも、1・2着馬が物足りなかったかというとそんな事もないと思う。特に勝ち馬には警戒が必要そう。まず、好時計だったことは素直に評価すべきだと思う。また、逃げた馬がフローラSを勝つこと自体が希少な事で20年スパンで確認しても逃げ切り勝ちをしたのはこの馬しかいなかった。これはちょっとした快挙だと思う。時計的な価値も伴う逃げ切りなので評価を下げる材料も実はない。

 

2着ソーダズリングに関しては3・4番手で追走していたので逃げた勝ち馬ぐらいは交わして欲しかった。が、1000m通過60.8秒は馬場を考えれば逃げ馬に利があっただろうから仕方ない面も。逆転出来ない内容ではないと思う。

 

1着:ゴールデンハインド

・決め手勝負になりにくい中山を意識的に使っている感じ。

・スピードが求められない条件を先行して粘るのが好走パターン。

・瞬発的な速さはなくても、長く脚を使う事は出来るので消耗戦などの体力勝負では良い処があるので要注意。

 

上記がフローラS出走時のカルテ。

 

道悪など時計のかかる条件を体力勝負で好走するタイプだったので、フローラSのようなスピード性が問われるレースでパフォをあげて来るとは思えなかった。開幕週を思えば1000m60.8秒はむしろスローだがこの馬としては今までの最速ペース。後半を58.1秒でまとめているので持続的な競馬が出来た事も評価できる。それまでのレース振りとは180度印象が違っていた。これが本当の姿なのかもしれない。

 

ただ、普通に考えればそう強烈な強さだった訳ではない。これで桜花賞組を脅かすまでに台頭したとは言い切れない。中間に息を入れる区間は作っていたし脚も温存出来ていた。開幕週のイン前馬場も味方しているのも間違いない。この馬の変わり身が大きかったのは事実だが、展開や馬場に恵まれたのも間違いのないこと。GⅠの舞台で改めて真価が問われることになる。ただ、先手を取れる強味がありリズム良く行ければ渋太い事はもうわかったので後続に不発があれば残り目はゼロではないと思う。展開に恵まれれば全否定もしづらい。

 

状態面に関しては上がり目はなさそう。コンスタントに使われているのでフローラS時でさえ状態維持と言う程度で上積みはなかった。中2週でグンと良くなるのは考えづらい状況。より上のパフォーマンスを発揮するのは難しいのではないだろうか?なお、当日輸送よりも競馬場で一泊した方が良いという理由で美浦→府中だった前走でも前日に競馬場入りしている。今回も同様にするそうだ。

 

2着:ソーダズリング

・2月にデビューして、阪神1800mを2戦。2着、1着。どちらも上がり最速を記録している。

・35.7-59.8と速めに流れた展開を12.0-11.4-11.4の失速無しで駆けた点に強さがにじみ出ている。5・6番手のポジションから繰り出した末脚は脚力の高さを感じさせる。ノーステッキで突き抜けている。

・まだ完成しきれていない感じもあるが追ってしっかりと伸びるなど良く動けている。並みの1勝ち馬よりは全然強い。

 

上記がフローラS出走時のカルテ。

 

フローラSの末脚は案外だったが本来は中団ぐらいで脚を溜めるタイプなので前走の様な前で競馬をするのは初めてだった。開幕週の馬場や権利獲りがかかるレースだったので安全策な競馬だったがその代り終いの脚が甘くなった感はある。その辺はキャリア不足も影響していたのだと思う。2戦目までは他を圧倒する末脚を使っていた馬なのでフローラSの結果がこの馬の天井と言う事はないと思われる。今回は鞍上が武豊騎手に戻るのでフローラSとは違ったレースでこの馬の良さを引き出してくるるだろう。

 

前走時は京都競馬場のOPEN週だったのでセレモニー的な催しのため武豊騎手は京都を離れる事が出来なかったそう。マイラーズCではエアロロノアに騎乗していたが本心ではフローラSでこの馬に騎乗したかったと言う話は結構有名。それだけこの馬の素質にほれ込んでいる。デビュー前から良い馬が回って来たと周囲に漏らしていたそうだ。気性に難もなく、操縦性も良くて、末脚がしっかりと使える馬なのでこういう馬は武豊騎手と手が合っている。フローラSで先行出来たのもこの馬の自在性を証明した形になるので印象はむしろ良いぐらい。ポテンシャルの高さを期待出来る好素材である。

 

爪に弱い処があったのでデビューが遅くなったそうだが、使い出してからは大きいところを意識してゆとりを持って調整がされている。権利獲りがかかった前走は仕上げを強化していたが輸送を考慮してゆとりを残して調整されていた。その状態で重賞2着は能力の高さ故なのだろう。中2週の再輸送は厳しいが上積みは期待して良いと思う。

 

とは言え、姉、兄の成長具合からするとこの馬も良くなるのは秋以降かもしれない。まだまだ強いところと走っていない訳だし超えるべきハードルは少なくない。現状の経験値で桜花賞組とどこまで渡り合えるだろうか?ここは試金石的な評価が妥当かもしれない。

 

4着:イングランドアイズ

・折り合いに特に問題はなく阪神2000mで器用に走れていた。上がりの競馬を勝っただけなので地力の程は測りかねる。

クイーンCは出遅れてリカバーしながらの追走。タイトな展開だったので脚は溜っていたとは思えないが垂れる事無く差を詰めてきた。脚も余っていた感じだったので脚力は相当高いのだろう。

 

上記がフローラS出走時のカルテ。

 

上記でも触れたようにフローラS4着は高評価。中距離の持続戦で33.4秒の上がりはなかなか凄い。クイーンCの4着は前が止まる展開を差して来たものだが、フローラSは前の止まらない展開を差したものなので同じ4着でも価値は高い。上がりが速くても、かかっても伸びて来る末脚は展開に左右されない確かなもの。直線の長い府中で頼りになる。

 

ただ、この末脚を持ってしても馬券になれていないのは残念。この2走はともに出遅れにているのでスタートのロスを挽回出来ないまま取りこぼしている。新馬戦では先行策からハーパーを負かしているのでもう少しどうにかならないだろうか?GⅠだと前で運んでいる馬も強い。前をとらえ切るのは簡単ではないと思う。五分に出て、程よい所で立ち回り、直線に向いた時に前との差を出来るだけ小さくしておきたい。

 

デビューの頃から府中の2400mを意識されていてダービーにも事前登録していたほど。2月のクイーンCに出走した経緯も府中を経験させる事が目的だった。そのクイーンCで距離適性を再認識出来たのでこの時点で桜花賞路線はきっぱりと諦めてしまう。その間に成長を促されフローラS経由で出走の運びとなった。あいにくダービーとはならなかったがオークスも狙った1戦に違いない。これだけ用意周到に進めているのだから適性面を疑問視する気にな慣れない。クイーンCの走りからも桜花賞組と伍している可能性が高い。リバティ以外とは互角な評価で良いように思う。

 

そのリバティの桜花賞の勝ちっぷりがハープスターの再現だと話題になった。そのハープをオークスで負かしたのが同馬の母。本馬がリバティを負かすようなら絵になるシーンだろう。それもまた再現。それはそれで面白い。

 

11着:キミノナハマリア

・消耗戦の体力勝負に強く持久力が求められるところでパフォーマンスが上がる。開幕週で強気に推せるタイプではない。

・速い上がりや決め手勝負の度合いが増すような時はこの馬の負けパターン。府中で強気に推せるタイプではない。

・自在性や機動力のある走りをしているので上手に立ち回れるタイプだが、特定条件で強味があるので好走条件は狭い印象になる。

 

フローラS出走時のカルテ。

 

ゲートから気合を付けて2番手先行。展開的には勝ち負け出来る位置ながら直線で失速。上がりの速い競馬に対応出来ずに負けた感じでどんどん交わされて11着。カルテで指摘したように負けたのだろう。消耗戦でパフォーマンスが上がる馬なので開幕馬場の高速決着では良い処はなかった。また、左回りの走りに疑問を感じた。コーナリングは不器用に映ったし、追い出すタイミングでバタバタしていた。よくよく見ると右回りばかりの戦績。栗東の馬が左回りの中京競馬場を通り過ぎて中山コースを2戦しているのも変な話だ。厩舎側も左回りはダメだと分かっていたのではないだろうか?最後は完全に止まっていたので適性不足に、力不足と言う感じになってしまう。フローラSの出走も試金石的な意味合いで使っているのでGⅠに混じって秀でる何かがある訳でもない。あまり言う事もない。

 

その他

 

ヒップホップソウル(フラワーC2着)

・先行して速い上がりも使えるし、機動力もあるので中山は向いている。動きたい時に動ける自在性は目を引いた。

新馬戦では時計面が物足りなかったがベコニア賞で3.9秒時計も時計を詰めておりスピード面も標準級。

 

上記がフラワーC出走時のカルテ。

 

フラワーC2着。大外枠からソロっと出て周りの動きを見ながら後方に定まる。向こう正面から徐々に進出していき3~4角でマクりをかける。4コーナーの手応えが非常に良く力強く回ってきた。後からしかけたエミューとの叩き合いで遅れを取ってしまったがレースぶりは良かった。不良馬場だったので時計的な価値は見いだせないが長く脚を使えていたし、この馬らしい機動力のある走りだった。1番人気を裏切ったフェアリーSはスタートの躓きや道中の接触など不利が重なり大敗を喫したがスムーズな競馬で巻き返したということになる。

 

という事は、フローラSの好走はモマれ弱いという事を強調してしまったように思える。素質は関係者一同期待しているところだが完成度が低く、左右のバランスも悪いという話をしていたのでゴチャついてしまったことで力を消耗したのかもしれない。馬群の中で狭苦しく道中を進めるよりも、外めをノンストップで進めて行く方がいいかもしれない。その方がこの馬の自在性や機動力をより生かせると思う。

 

ただ、気性面に課題がある。フラワーCも向こう正面では行きたがる素振りが出ていた。厩舎もテンションが上がらないように調整したり、コントロール性を重視した調整をしている。今の気性だと距離延長はプラスにならないかもしれない。この距離で前に壁を作れていないと道中でタメが利かなることも。そうなるとゴチャつく競馬を覚悟して馬群の中で折り合いをつけることも必要なのか?矛盾した個性を抱えて乗り方が難しそう。

 

身体的にも精神的にも課題が多いように思う。この中間でどこまで成長できたかは重要になってくるだろう。また、桜花賞10着馬には負けたが、フラワーC勝馬は退けてと言う結果もなんだか微妙な気がしてしまう。GⅠで強調出来る力関係ではないようだ。能力は高いようだが桜花賞組のほとんども同じように能力が高い。完成度で劣る分だけやはり不利になってしまうだろう。ここは経験値を積み重ねるだけとなってしまいそう。

 

ミッキーゴージャス(牝1勝平場1着)

 

ミッキークイーン(ディープ)にミッキーロケット(キンカメ)という野田氏の結晶的な良血馬。2月の小倉、4月の中山で中距離戦を2戦2勝の無敗馬。

 

馬良く楽に先行態勢をとれて、折り合いもつく。いずれも3角すぎで自分から動いていける機動力ある走りで他を圧倒している。早めに動き出しながら直線もしっかりと伸びて圧勝、完勝と言うレースぶり。センスがあり、騎手の思うように動けていて印象は非常に良い。強調しておきたいのは道悪の適性。重馬場の新馬稍重の1勝平場といずれも加速ラップで突き抜けているのだから凄い。タフなコンディションを加速しながら走れるのだから相当なパワーを持つ。良馬場での経験が無いので時計面の裏付けは無いが、楽に先行出来て、加速ラップを踏める馬にスピードが無いとはちょっと思えない。能力のありそうな印象はうける。

 

ただ、このレースぶりも相手が弱いから出来た芸当かもしれない。2戦のペースはどちらも遅く、上がりが速くなるのは当たり前なところもある。道中でマクれてしまうのも先行勢がだらしないからという可能性も高い。時期的にも未勝利や1勝平場のレベルは低くなっている頃合いで強敵相手に記録した2連勝とは思えない。これが年明け2月くらいの重賞だったらゴリ推ししたくもなるが、さすがにクラシックの頂上決戦だと楽ではない。馬自身も相手が強すぎて走ってて驚くのではないだろうか?競ってきた相手が違い過ぎる。

 

能力が高そうな感じはあるので印を回すのは吝かではないが、実績馬を差し置いて優先したくなるほどのパフォーマンスは2戦の内容には見当たらない。ここは試金石になってしまう。

 

レミージュ(チューリップ賞16着)

・何もかもが並。強烈なパフォーマンスを発揮して2連勝した訳ではない。

・逃げ切ったエリカ賞は展開に恵まれたもの。逃げ馬としはそこまで強くはない。逃げれば常にに好走という事はないだろう。入着の可能性は展開や相手関係による。

 

上記がチューリップ賞出走時のカルテ。

 

チューリップ賞16着。出遅れたのもあるが、中距離馬がマイルの流れに乗れず置かれてしまったというのもある。中団ぐらいで流れに乗せようとしていたがどんどん位置取りを下げて勝負所ではほぼ最後方まで後退していた。15番手で直線に入ってきたが16着で入線している。さらに1頭交わされてしまったのだからちょっと情けない。ラストに速い脚を使えないから逃げていたような馬なので後方から運んだところで脚は使えない。適性もズレていたので余計に負けたところもあるだろうが、力も足りていなかった感じ。

 

2歳時に未勝利、エリカ賞を勝ったので厩舎もちょっとその気になったが元々期待を大きくしていた訳ではない。その連勝も8番人気・11番人気の低評価だったし、展開や相手に恵まれて勝ったようなもの。GⅠでは荷が重過ぎるだろう。

 

ただ、本来は中距離の逃げ馬なのでこの馬がハナを取る可能性もある。きさらぎ賞でも出負けして後手を踏んだが2Fかけてハナを奪いにいっていた。自分の形で競馬をするしかない立場なので今回もせめてハナだけはと言う姿勢で来る可能性はあると思う。逃げ方としてはスローに落としてタメ逃げと言うキャラなのでこの馬が逃げるとなるとペースは上がらないと思う。その場合に考えられることは、

 

・距離適性の足りない馬がタフな展開にならないことで2400mを克服してしまったり

・上がりが速くなることで持久力勝負のスタミナ自慢が脚を使い切れなかったり

 

と言う事が考えられる。

 

距離適性を頼みに取捨した場合と逆の結果が起こりうるかもしれない。いずれにしても瞬発力勝負の度合が高まる事になるので決め手のある馬に有利に働くことになると思う。決め手重視のスタイルで予想する方が無難かもしれない。

 

オークス(GⅠ)の予想案はこちら▼