競走馬カルテ

2・3歳重賞の出走馬を分析・記録していくブログです。

桜花賞(GⅠ) 出走馬カルテ②

 

こんにちは。

 

こちらのページは、

 

 

の、続きになります。↑のページではチューリップ賞組、フィリーズrv組の合計9頭を紹介しています。こちらのページでは阪神JF組、クイーンC組、アネモネS組、別路線組の合計9頭を紹介していきます。

 

予想案は各ページの最下部にある専用ページにまとめてあります。ブログカードを貼っておきますのでそちらをご覧ください。

 

阪神JF

 

ペースが超速いとは思ったが、なんと昨年で行われた阪神1600m全戦において最も速いペースであったそうだ。年齢を問わず、レースのグレードも問わず、とにかく22年で一番速かったのが阪神JFと言うこと。実際、このGⅠと古馬GⅠの通過タイムを比較すると

 

阪神JF
∟33.7-57.0=1:33.1

 

マイルCS
∟35.1-58.5=1:32.5

 

と、さすがに全体時計は古馬GⅠの方が速いが道中の通過タイムは2歳GⅠの方が1.5秒も速い。後半部分の失速率が大きくなり、時計がかかってしまったのは当たり前である。2歳馬ならいわんをや。ちなみに、阪神JFのレースレコードを記録したレシステンシアの時が

 

19年阪神JF
∟33.7-57.5=1.32.7

 

であり、やはり今年の方が気持ち速い。過去走と比較しても歴代NO1のハイペースだった事がわかる。スピード、その持続力、それを支える体力、スタミナ面などあらゆるものが求められたハイレベル戦だったという事になる。力が無ければ上位に来れないレースだったと言える。これを好走した上位入線馬は文句無し。とりわけ勝ち馬の強さは格別。ラスト3Fが11.1-12.5-12.5となっているが、本馬が先頭に立ってからは失速することなく最後まで伸びていたのだから凄い。自ら動いて勝ちに行った内容なので強さの桁が違っている。この内容をテン、中、終い良しで走れるのだから尋常な強さではない。

 

1着:リバティアイランド

新馬戦の上がり31.4秒が凄い。ラスト3Fがオール10秒台は記憶にない。鞭を抜く事もなくこれだけキレるのだからとんでもない。

・末脚以外のレース振りはまだ幼い。スタートも良くないし、前進気勢も強めに移る。競馬を教える必要はまだ多い。

アルテミスSは馬群から抜け出せず脚を余して負けたが、追い出してからの加速はやたらと速い。そのエンジンの性能はやはり凄い。

 

上記が阪神JF出走時のカルテ。

 

阪神JFの強さは上述回顧の通りで良いと思うので割愛する。こういう強さのある馬が負けるとしたらアルテミスSの様な上がりの競馬で脚を余した時ぐらいなのだろう。この時は馬群の中で競馬を教える意図のあった教育的なレースであったそうだ。よって、負けたことで陣営が凹むことはなかった。むしろ収穫ありとされ、2歳GⅠ制覇に繋がったとのこと。ここではその強さを維持出来ているか?強さは増しているか?という点で見ていきたい。レース後はNFしがらきで調整されていて3月10日に帰厩している。馬体は30k以上も増えていたそう。調整しながらの馬体増なので太目と言うことでもないのだろう。2歳時は体質面がまだ完全ではなかったとのことだったが、これだけ増えればそれも解消されるだろう。馬体に芯が入ってきたのならさらに強くなっている可能性がある。また、この馬体増から絞る調整なので負荷をかけやすい。調整過程はとても順調そうである。オークスもあるので桜花賞で完結してしまうような仕上げはしないと思うが、力を出せる状況には仕上がると考えてよいと思う。メンタル的な要因で急に走らない馬も稀にいるが、調教の走りを見る限りはそう言う事はなさそうで、走りの質もさらに良くなっているという厩舎の話。もともとおっとりとしていたそうなので気性的な問題もないのだろう。煮詰まってテンションが上がってしまうという事もないと思う。前走後にこれと言った問題点もなく、若駒らしい成長も確認出来る。以上のことから不安材料はないとしたい。負けるとしたら上述したように展開上のアヤや、不利を受けた時ぐらい。スムーズに回ってこれたら結果はついて来るパターンだろう。昨年の様な桜花賞だとアルテミスSの様に包まれて進路がないとかは考えられるので、そう言う競馬にならなければ良いと思う。

 

2着:シンリョクカ

・勝ち上がった府中マイルの新馬戦は時計的な魅力はないが、走りっぷりにはスケール感があった。

稍重で33.4秒まで上がりを高速化させた。3.2秒も後傾した上がりの競馬を後方から差し切った内容は優秀。最後は流した感じの3馬身半差で強い勝ちっぷりだった。

・1戦1勝馬なのでGⅠで荷が重いのは確かだが、トライアルやGⅢとかなら重い印が必要になる馬だろう。

 

上記が阪神JF出走時のカルテ。

 

回避馬が出たので桜花賞出走は叶ったが、出れなければ皐月賞にも登録するなど強気な采配が話題になった。しかし、当時は見過ごされていたが実は2歳GⅠ時にも同様の采配がされていた。新馬を勝ったばかりだったので阪神JFは抽選除外の可能性が高かったため、翌週の朝日杯FSにも登録していた。この陣営はもともとそう言う強気な人達。GⅠへの意識がとにかく高い。それだけこの馬の強さに自信があるのだろう。新馬戦の内容が秀逸だったので強さはある程度理解出来ていたが、いきなりここで来るとは測り知れない強さを秘めているようだ。阪神JFも勝ち馬と馬体を併せた追走で堂々と渡り合っていた。リバティとの2馬身半差は上がり差0.4秒がそのまま着差になったもの。末脚のスケールで劣ったが、これだけハードな展開を正攻法で2着した走りにフロック性は見られない。リバティがいなければこの馬が2歳女王となり年度表彰を受けていたのかもしれない。力のない馬が来れない展開だったのでこの馬も相応の評価をしなければならない。阪神JF当時は食いが細くて厩舎も泣いていたが、パンとして来れば強くなるだろうと将来の展望を見込んでいた。その食の細さはもう無くなっていて、今は気にならなくなっているとのこと。厩舎の思惑通りならこの馬も2歳時よりは強くなっているだろう。リバティには一目置いていると思うが、それ以外には結構強気に行けそうだ。

 

11着:ラヴェル

・姉(ナミュール)も2歳時はそうだったが、本馬もとにかく出遅れる。ここまでスタートは全て失敗している。

新馬も、アルテミスSも長く脚を使っていて脚力の高さは印象に残る。

コーナリングや力んだ走りなど粗削りな面が目立つ。ここまでは素質だけで勝ち上がって来た感じ。

 

上記が阪神JF出走時のカルテ。

 

阪神JFでも出遅れて、これまでの全戦で出遅れている。悪いクセが常態化しているのはよろしくない。力が抜けていた新馬戦や、頭数の揃わなかったアルテミスSではロスなく周ってこれたが、フルゲートのGⅠではさすがに厳しく、かなり大外を回る結果となってしまった。内有利のコース状況でロスはさらに大きくなってしまった。ただ、だとしても負け過ぎ。全然動けていないレースだった。敗因は馬が力んで走っていた事で終いは弾けなかったとのこと。これからすると力負けではないようだが、ただこれもいつものこと。この馬の走りにはいつも力みが見られた。いつも通りの競馬をした結果と言う解釈は重要かもしれない。だとすると、力負けの可能性も受け入れるべきなのだろう。このようにこの馬には課題が多い。順に整理しておきたい。気になるのは①スタートの出遅れ②道中力んで走ること③馬体重の3点。これをどう克服するのだろうか?①スタートの出遅れは、陣営曰く、ゲートの音に驚いてしまうのでそれで出遅れているとのこと。この中間、外厩でしっかりと訓練がされたそうなので、改善されたという。今回はちゃんと出れるかもしれない。②前向きすぎる気性については、新馬戦の頃から出ていて、当時から走りがシャカリキだった。気性難という訳ではないが、馬が真面目過ぎるのだと思う。前哨戦を挟まずに本番に直行することで良い方向に出れば良いが、これはやってみないと分からない。③の馬体重は、姉のナミュールと同じで馬体がなかなか大きくならないのだとか。それでレース後のダメージも大きくなってしまうそう。この中間は2歳時よりマシになった程度で根本的な改善には至っていない模様。目方が増えてこないと思うような調教も課しにくいもの。他の有力馬と比して、成長スピードが遅い印象になる。ナミュールも本当に良くなったのは夏を越してから。現在は素質頼みのレースとなってしまうかもしれない。2歳GⅠだったらそれで大丈夫な場合も多いが、桜花賞の時期になるとそれなりの成長は必要になる。この物足りなさは桜花賞の結果に影響が出てしまうかもしれない。と、解消された課題と、そうでない課題があり、完調と言う言葉を使いづらい。果たして、この状態でどう巻き返すだろうか?力があるのは間違いないだけに扱い方は難しい。

 

クイーンC

 

勝ち時計の1:33.1は時計が異常に速かった16年(メジャーエンブレム)に次ぐこの10年で2番目に速い好時計。稍重だった事を踏まえると時計的な価値は非常に高い。だが、メジャーが桜花賞でコケているようにクイーンC桜花賞の連動性は【1・0・1・17】と薄い。馬券になったのは19年3着クロノジェネシスと、22年優勝のスターズオンアースの2頭のみ。A級牝馬でないとこのローテで活躍するのは難しいようだ。ただ、この2頭もこの時点で絶対的な存在ではなかったのでそのポテンシャルを見抜くのは非常に難しい。クイーンCは扱いにくい前哨戦である。

 

好時計が出ただけあって34.5-58.0の通過はまぁまぁ速く、最後の失速が大きくなって消耗戦。最後は地力勝負になっていたので内容的な評価は出来る結果だった。3~4着馬が10番手以下から詰めてきたなか、3番手から押し切りを図った2着ドゥアイズ、そのすぐ後ろを追走していた勝ち馬ハーパーの力は他馬よりも上だったと見て良さそう。

 

なお、ドゥアイズは直線で進路を失くしかけていたので強引に外に出した動きが斜行とされ制裁を受けている。ハーパーはその被害馬でもある。

 

1着:ハーパー

・序盤の立ち回りがとてもうまい。スタートをポンと出て楽に2・3番手の好位を取れる。距離短縮したマイルの流れにも対応出来ていた。レースセンスがある。

・瞬発的なギアチェンジは遅い印象で、目一杯に追い込んでようやく加速するという感じ。

・体力もありそうなので、持続的なタフな展開の方が力を出し切れるかもしれない。重賞で強い馬とやり合った方が力を出せるタイプかも。

 

上記がクイーンC出走時のカルテ。

 

数字的な内容は良かったし、抜け出した2着馬を交わし、詰めて来た3着馬も退けたレースぶりも強いものだった。初輸送で-12kの馬体減や直線での不利など良い状況ではないなかで結果を出したことから着差や内容以上に強い馬なのかもしれない。地力勝負で強かったのはこの馬の能力の高さを表している。決め手勝負に弱い所があるのでタフな消耗戦になった事はこの馬には向いていたと言える。スタート、先行力、ポジショニング等序盤の立ち回りは常に上手い馬なのでレース振りにも注文が付かない。マイルだとエンジン展開に時間を要するので本質的にこの距離も向いていないのだが、タフさが要求される阪神マイルは走りやすいと考えられる。クイーンCの内容からスピード勝負への耐性もかなり担保が獲れるので、ペースが流れるGⅠでパフォーマンスも上げられる可能性がある。実際、阪神JF3着馬を退けたのだから力は通用するのだろう。桜花賞では有力馬の1頭に数えて良いと思う。騎乗していた川田騎手は本番でリバティアイランドに騎乗するがこの馬の存在は厄介に感じているかもしれない。

 

2着:ドゥアイズ

・器用さがあり、操縦性は良さそうで立ち回りが上手い。

・五分の追い比べになると末脚の性能で少々劣る。

・雨が降ったり、時計がかかる馬場は良いとの話だった。天候次第で評価を修正した方がよさそう。

・昨秋の休養から馬はどんどん良くなっていて力が増してきている。末脚の威力も上がって来た感じがある。

 

上記がクイーンC出走時のカルテ。

 

出遅れた事がハマった阪神JFだったが、クイーンSでは五分のスタートを決めて中団ぐらいから徐々に進出していくこの馬本来の競馬が出来た。それで2着と結果を出せた事は意味がある。力のある馬向けのレースとなったことで能力面を再認識する事が出来た。この馬も強くなって来ている。2着に負けた原因はこの馬の弱点でもある決め手勝負になってしまったから。と言っても、上がりの競馬ではなかったので不利な展開でもなかったので相手を褒めるしかない。強いて言えば、阪神JFよりレースの上がりが1.0秒も速くなってしまったこと。消耗戦のタフな展開で強味があるのでマイル適性で負けてしまったとは言える。切れ味で勝負出来ないタイプであるが、追えば追うほど末脚の威力が増すタイプでもある。そう言う個性の馬なので直線で進路を失くし追いづらい区間が長引いてしまったのは痛かった。脚を使い切れないでゴールを迎えてしまった感は強い。スムーズに立ち回っていたらこの馬が勝っていた可能性も結構あったと思う。見直しの余地を残した2着だった。とは言え、フルゲートのGⅠだとそう言うシーンは往々にしてある。同じ事が再び起こるかもしれない。桜花賞ではスムーズに脚を使える競馬をしたい。そうすれば2歳GⅠ以上の成績を残すことも不可能ではないと思う。

 

アネモネS

 

他のトライアルと同時期に行われるレースなので関東のアネモネSには強い馬の出走はほとんどなく、本番で通用する馬はなかなか出てこない。20年スパンで08年3着ソーマジックの記録が1例あるのみ。この点については今年も同様。一連の牝馬重賞ほどの厚みが出走馬には感じられなかった。ただ、今年のアネモSはレース史上初めて1分33秒台が記録された点で注意がいるかもしれない。

 

特別速いペースでもなかったが、逃げていたのが京王杯2歳S3着、フェアリーS3着と重賞戦線をスピードを武器に好走したスピードオブライト。これで道中に緩み部分がなくなり、持続的な展開となってる。例年だと最後の1Fの失速が大きくなる傾向があるのだが、それも0.8秒にとどまったのでタイトなラップが最後まで維持された。それで好時計が記録されることに。逃げたスピードオブが最後に大きく失速したように前を行く馬には不利な展開で2・3着に追込み馬が入っている。

 

しかし、勝ち馬トーセンローリエは逃げたスピードオブを2番手のマンマークで競り潰していた。ラストの失速を軽微に留めたのもこの馬が先頭にたって失速しなかったことによる。レースレベルを引き上げる好走だった。展開に逆行した強いレース振りである。この馬の勝利自体に文句はつけられない。

 

1着:トーセンローリエ

 

7月の函館戦から使われて3戦目で勝ち上がった。そこから3連勝で連対率100%をキープしてGⅠに駒を進める事となった。こういう成績が残る馬なので走りの質は全体的に良い。戦績表を見ると1400mを中心に使われている短距離馬だがその割には前進気勢が弱い。気合をつけていないとポジションをキープ出来ないところがある。それはマイルに伸びたアネモネSでも同じだった。スタートやテンのスピードはあるので先行センスは高いが、気性がおっとりしているので前を追いかけるような仕草がない。だから折り合い面に全く問題がなく、コントロールの効いた走りが出来ている。追い出してからもちゃんと反応するので取りこぼしが少ない。短距離をやっていたので持続性は高く、アネモネSの様なタイトな展開にも対応出来たのだろう。この相手ならと言う前提はつくが、アネモネS時に厩舎は権利は獲れると力上位を感じていたようだ。やはり弱い馬ではなさそうだ。ただ、まだ未完成な部分も多くこれからの馬とのこと。取り口が安定しているだけで圧倒的なパフォーマンスを発揮している訳でもない。一線級を相手にプッシュ出来るほどの材料は出てこなかった。また、線の細い馬で目方も無いから関西への輸送をこなせるかも問題になりそうである。本当に悪い馬ではないのでGⅢなら重い印も打ちたくなるがGⅠでどこまでやれるだろうか?

 

2着:コンクシェル

 

アネモネSは13番人気での激走だった。こういう人気の馬なのでそれまでの競走内容に見るべき点がほとんどない。勝った新馬戦も含めてになるがレースで全然動けない。レースの流れには乗ってこないし、追い出しても反応しないしで競走馬としてレースに参加出来ていない感じだった。それがアネモネSで別馬の様に動いて、直線では目の冴える末脚。どうして急にこうなったのか?アネモネSの相手が弱かったからとも考えたが、この程度の相手にも絶賛負けて来た馬なのでそう言うのは考えづらい。レースを見る限りこの変化の原因が良く分からない。ただ、きっと馬体重であろう。2走目に+18kと急激に増えていたのだが、これを減らせずに3戦して上述したとおり動けないまま負けていた。その馬体重がアネモネSで-10kとようやく絞れていた。おそらく輸送で絞れたのだろう。馬体がシェイプアップされたことで走りにキレが加わり、それまでと別馬の様な機動力も見せた。だとすると、これが本当の姿と言うことになる。以前の戦績は全て度外視して評価した方が良い。のだが、このアネモネSも展開はハマっていたし、GⅠ級のパフォーマンスを見せたと言えるものでもない。桜花賞で上位に来れる根拠なんてないし、現在の状態で数戦レースをしてくれないと本当の能力は測りかねる。他の有力馬を差し置いてこの馬をチョイスするにはデータ不足。今回は来ない事を祈るしか出来ない。

 

別路線組

 

ライトクオンタム(シンザン記念1着)

・府中1600mの新馬戦を逃げ切り勝ち。タイトな展開で流し、気合を付けた程度で鞭も使わずに2馬身半差の楽勝。

・時計面や数字面では十分合格点であり、全力を出さずに記録した内容なのでまだ上があるという感じ。

 

上記がシンザン記念出走時のカルテ。

 

07年のダイワ―スカーレットを皮切りにシンザン記念を3着以内に走った牝馬の多くが桜花賞馬となっている。07年以降7頭の牝馬がこれに該当し5頭の桜花賞馬が誕生した。データとしてはかなり強力なものである。ただ、直近の2例がその失敗例となっていて鉄板的なデータも徐々に低下し始めているかもしれない。一方、一昨年の勝ち馬ピクシーナイトがスプリンターズS優勝、昨年の勝ち馬マテンロウオリオンがNHKマイルC2着などその年のGⅠで連対を続けている。他にミッキーアイル、アーモンドアイなどもおり、勝ち馬の多くが3歳GⅠで活躍している。性別に関係なく出世レースの一面もある。今年の勝ち馬でもある本馬への期待も自然と大きくなってくる。

 

だが、レースはお世辞にもレベルが高いとは言えない。7頭立ての少頭数でその多くが条件戦でも厳しいという感じもあり、質量ともに物足りなさを感じさせたれレースであった。1:33.7の勝ち時計も3日前に行われた京都金杯より1.0秒も遅いものであり、3歳の条件戦でシンザン記念を上回る時計で勝ち上がった馬もいたほど。出遅れて最後方から差し切った見た目の印象は良いが、出走していた6頭は差せて当然と言うレベルでもある。シンザン記念の内容にリバティアイランド逆転の根拠は見いだせないのではないかと思う。まだ新馬戦の内容の方が好感の持てる内容だったと思う。出遅れた事であったり、向こう正面で外に逃げ気味であったりとレース振りは粗削りな面も目立っていた。2戦しか走っていないのでキャリア不足な面も否めない。初戦が逃げ切り、シンザン記念が最後方からと両極端な競馬しかしていないのも気になる。脚質に幅がある事は良いことだが、馬群の中でモマれた経験がないのはフルゲートGⅠでは心配な材料となってしまう。強さは感じるし、奥の深そうなポテンシャルも十分感じられるが、馬券軸にするにはちょっと怖いというのが正直なところ。走って不思議ない馬だが、不安材料は意外と多い。

 

エミュー(フラワーC)

・馬体が小さいので非力な印象。

・スタートがあまりうまくないので好位を取れた事はない。どんなレースでも最後に自分の脚だけはしっかりと使ってくれるのでその点がこの馬の良いところである。

 

上記がフラワーC出走時のカルテ。

 

フラワーCの勝ち馬が桜花賞に出走してくるのはこの10年ではなく、2着馬が4頭出走していただけ。18年トーセンブレスの桜花賞4着が最高着順である。勝ち馬はでダンスインザムードキストゥヘヴン桜花賞馬となり、シーザリオオウケンサクラが2着と走ったこともあるがそれも随分古い記録になった。なお、フラワーC勝馬桜花賞出走はオウケン以来13年ぶりとなる。これはつまり勝ち馬が出走した際の連対率は100%というデータになる。近年で見ると厳しいデータではあるが、20年スパンで見ると鉄板だとも言える。本馬の結果は興味深いものになる。

 

そのフラワーCだがこの馬の勝ち方には正直驚いた。不良馬場でその脚使うか?と言う力強い末脚。馬体が小さく、非力な印象だったのでこういう脚が使えるとは想像できなかった。スタートで出負けして最後方からそろっと乗っていたが3角過ぎから動き出して大外マクりで一閃。ここまで長い脚を使えるとも思っていなかった。いろいろと想定外で見誤ってしまった。デムーロ騎手も上手く乗っていたと思う。モマれ弱い馬だったので最後方付近からストレスなく運んだ事で最後の末脚を引き出せたのだと思う。ただ、中山1800mの適性の高さも改めて感じさせたとも言える。この条件で2連勝となったがその内容も時計的な価値は低く、ペースの割に失速率は大きい。いずれも上がりのかかるレースを差し切ったに過ぎない。マイルGⅠではここまでラストは失速しないので同じような脚が使える可能性は高くない。そもそも、マイルで勝ち上がれなかったため、菅原騎手の進言で中距離にシフトした経緯がある。マイルだと立ち回りが忙しくなっていたし、厩舎サイドでも桜花賞よりはオークスに出したいと戦前から距離延長を望んでいたほど。マイルに戻すのは歓迎とは言い難い。騎手や厩舎の意図とは相違が見られ、恐らく馬主ノースヒルズの強権が発動したのだと思う。馬にとって良い選択となっているのだろうか?410k台の小さい牝馬なので輸送なども不安材料となりそうだし、間隔も短い。ハードルや課題は結構多い。狙って買える状況や条件ではなさそう。今回は怖かったら押さえる程度の評価しか出来そうにない。

 

桜花賞(GⅠ)の予想案はこちら▼