競走馬カルテ

2・3歳重賞の出走馬を分析・記録していくブログです。

クイーンカップ(GⅢ) 出走馬カルテ

 

こんにちは。

 

3月に行われるトライアル競走に先んじて有力馬がここを始動戦としたり、ステップ競走にして来ます。牡馬の場合はダービーの前に府中を経験できる共同通信杯に、牝馬の場合はオークスを意識してクイーンCに素質馬が集まって来ます。今年もその傾向は強く、共同通信杯クイーンCにもかなりの素質馬が集まってきたなと思います。

 

クイーンCには現在分かっているだけでフルゲート16頭を超える登録が予定されていて、まだ増えてくるかもしれません。このうちノーザンF産が10頭、社台F産が3頭と社台系牧場があからさまに力を入れてきました。これらには多くの1勝馬がいたり、2勝馬ながらも賞金の足りていない馬もいてどこの陣営も必死だと思われます。クラシックへ向けて時間の余裕もなくなりつつありますから勝負気配の陣営は見落とさないようにしたいところです。

 

クイーンCは11日(土)に行われます。前日の10日(日)には更新を完了します。なお、暮れのGⅠ阪神JFから上位入線の馬を含め複数の馬が出走して来ますので、簡単な回顧とともに優先的に更新しておきます。

 

予想案はページの最下部にある専用ページにまとめてあります。ブログカードを貼っておきますのでそちらをご覧ください。

 

阪神JF(GⅠ)

 

ロケットスタートのサンティーテソーロ(7着)が逃げて刻んだペースは3F33.7秒のハイペース。これは今も阪神JFのレコードホルダーとして名を残すレシステンシアが刻んだペースと全く同一のもの。しかも、1000m通過はレシステより0.5秒も速く通過しているのでかなり速いペースである。かつ、レシステが勝った19年は馬場状況が良く時計の出やすい状況だったのに対し、22年はタフな馬場状況となっていた。道中に掛かった負荷は比べもにならないほどしんどいものであっただあろう。勝ち馬リバティアイランドも含め中団以降に控えた馬が上位を独占したのも納得の結果で、差し・追込系の馬には展開が向いていたようだ。とは言え、レース上がりが36.1秒もかかっているレースなので最後は体力勝負になっている。かつ、走破時計は1:33.1とソダシが勝った20年と全くの同タイムで歴代2位タイの好時計。22年のレースは速さと体力の両面が問われたレースで総合力の有る馬が上位に来たという見解で良いと思う。

 

ドゥアイズ

・器用さがあり、操縦性は良さそうで立ち回りが上手い。現状はそれで勝負している感じが強い。

・五分の追い比べになると末脚の性能で少々劣る。ガチンコ勝負の追い比べは避けた方が良さそう。

・雨が降ったり、時計がかかる馬場は良いとの話だった。天候次第で評価を修正した方がよさそう。

 

上記が阪神JF出走時のカルテ。

 

阪神JFを10番人気で3着と気を吐く。ペースが速く、上がりがかかるしんどいレースであったが本馬は北海道のタフな洋芝で鍛えられた馬なのでこういう展開は向いていたと思われる。また、この馬も出遅れていた馬なので展開自体も向いていたであろう。徐々にリカバーしていき、ラチ沿い12番手の位置を取れた事が大きい。これで直線インを突く事が出来た。大外に振った馬は伸びを欠いていただけにコース取りが抜群だったと言える。鞍上吉田隼騎手のファインプレーはとても光っていた。でも、このように最高に上手く乗った結果なのでかなり噛み合ったレース内容だと言える。この馬自身も力はあるが、展開や適性が向いた結果であった事は認識しておく必要があると思う。例えば、本来はスタートの良い先行馬で前で運んで崩れなかった馬である。仮にゲートが決まっていたら激流に乗っていたことになるのでどうなっていたかは分からない。GⅠ3着の実績だけで人気になるなら少し気を付けた方が良いかもしれない。最後に本馬の適性や当時の状況を確認しておく。札幌2歳S以来の直行競馬だったが、この間に筋肉が付き馬体面の成長が確認されていた。その結果、ストライドが大きくなり走りの質も格段に良くなっていたそうだ。最後の伸び脚もそれまでには見られなかったものなので馬に変わり身は見られた。控える競馬でも結果が出せたのは収穫だったろう。ただ、厩舎曰く、本当は決め手勝負には向いていないらしく、前で運んで立ち回りで勝負するタイプとのこと。だとすると、府中のマイル戦はこの馬向きの条件とは言えない。阪神JFの末脚も35.4秒だったので上がりがかかったのが好走の要因でもある。切れ味が求められた時にどこまで対応出来るかが今回の鍵になるのではないか?

 

モリアーナ

コスモス賞札幌2歳Sと勝ち時計が同一。ただ、札幌2歳は開催後半のレースで馬場差は同一視出来ない。

コスモス賞新馬戦の内容からパフォーマンスは低下していた。札幌1800mに適性のある走りとは思えず、適性外のレースを能力の高さで押し切ったという感じ。

・府中マイルの新馬戦の内容が良いので、阪神でやれる根拠になる。

・先行センスが高く、二の脚も良いのでポジショニングに苦労しない。折り合いに不安は見られないし、追ってからの反応も府中では機敏であった。

 

上記が阪神JF出走時のカルテ。

 

2番人気だった阪神JFが12着。発馬が決まり先行しかけていたがペースを考慮してか、控えた6番手。序盤の激流の影響を受けたかもしれないがレースの流れに合わせた競馬に切り替えていたのでここまで負けるのはよろしくない。4コーナー手前では手を激しく動かしていた。直ぐ後ろで持ったまま上昇を始めたリバティアイランドとあまりに対照的な手応え。直線を向くと力尽きていて無反応のまま後続にどんどん差されてしまう。レースだけ見ると普通の弱い馬である。過去走のパフォーマンスや人気を鑑みればもう少し抵抗出来ると思うのだが。鞍上のレース後談話からはこれと言った敗因は語られていない。考えられる要因はハイペースの影響を受けたというよりはモマれ込んでしまったのでそれで余計に消耗したのかな?と思う。もしくは体調面に問題あったのか?コスモス賞以来の4ケ月振りであったので仕上げ切れていなかったのかもしれない。他に考えられるのは輸送ぐらい。とにかく原因が分からない。前走の敗因が要確認で許容できるなら見直しも。府中マイルは新馬戦で優秀なパフォーマンスを見せていたので条件は悪くないはず。巻き返して良い馬だとは思うので、阪神JFの結果だけで評価を下げるのは怖い。実際、厩舎ではGⅠ級のポテンシャルを秘めると評価が物凄く高い。阪神JFもかなり盛り上がっていて勝ち負けを意識していた程。GⅢ戦ならまだやれる可能性がある。ただ、関係者の評価をそのまま鵜呑みにして良いものかは疑わしいところがある。父が調教師、息子が主戦騎手で、本馬の名付け親が元アイドルだった実の娘。家族の絆が課題評価につながっていないだろうか?クイーンCの内容や結果を持って再評価したい。

 

ウンブライル

・1400mを連勝中の無敗馬。いずれも3馬身以上の圧勝で、未だに鞭を使われていない。重賞のファンタジーSともタイム差なく走れているので重賞級の評価で良さそう。

・スタートが下手でここまでまともに発馬を決めた事が無い。また、全体的にズブく出遅れた前走は常に追い通し。

・ギアがトップに入るまでしばらくかかるが、エンジンがかかればグングン伸びる。脚力そのものは高い。

・前進気勢が弱く、追い出してからの反応も鈍いことから短距離が向いているとは思えない。距離が伸びて良さそうな気がする。

 

上記が阪神JF出走時のカルテ。

 

阪神JFが3番人気で15着。全くの案外だったがどうも度外視っぽい。レースの3日後には脚に発熱があり、翌日の検査では腱の周辺が腫れていたとの経緯が発表されている。脚元に不安が出ていたせいか、勝負所で追い出しても全く反応していない。鞍上も残り1Fは追わずに馬なり入線でこの着順。ここまで走らないのは考えづらい。脚に違和感を感じた馬が自ら加減してしまったのかもしれない。この内容をもって距離延長が堪えたとか、これが本当の姿みたいな評価は控えた方が良い。馬を見限る理由にはならないと思う。もう一度、戦前の評価を思い出しておく方が良い。ルメール騎手は兄のステルヴィアオそっくりだと話していたし、前走の横山武騎手は過去に騎乗したGⅠ馬と比較して劣らないと評価していた。名手2人の評価はとても素晴らしいもので、素質そのものはやはり高いのだろう。GⅢからの出直しとなったが、真価を問うのはこのレースの後の方が良い。ただ、1週前の時点で鞍上未定になっている。出走が本決まりではないのかもしれない。本来はルメール騎手のお手馬で、勝ち負けのつもりがあればかなり前からFIXされているはず。出走は馬の状態を見てとなるのかもしれない。状態面は要チェックになる。なお、阪神JFのレース振りは2戦目までと変わりがなかった。いつも通りに出遅れて、いつも通りの追い通しの道中。とにかく器用さが見られない。加速した時の末脚に見どころはあるが、もう少しスムーズなレース運びが出来ないと上級条件では安定さを欠く要因となる。改善されていることが望ましいのだが。ちなみに、追い出して瞬時に加速出来る馬ではないので直線の長い府中は条件的に良い。

 

アスパルディーコ

 

アパパネの子が主戦ジョッキーだった蛯名調教師の厩舎に入った。アパパネにはずっとディープインパクトがつけられていたが、本馬からディープの全兄ブラックタイドがつけられている。夏の新潟1600mでデビューして6着。超スローの上がりの競馬に対応出来ずに負けた感じ。速い上がりを繰り出す事が出来ずにジワジワと伸びるにとどまった。その後に3ケ月空けて府中1800mで勝ち上がる。終いの反応は新馬戦とは一変していて失速率の低い流れを差し切った内容は良かったと思う。距離延長とペースが流れた事で上がりが速くなりすぎなかったのが良かったのかもしれない。現状はこの2戦の内容で分析するしかないので難しいが上がりの速い展開や切れ味勝負になると脚を使い切れないという事が言えてしまう。2戦で使った上がりは34.0秒、34.2秒と大して変わらないのがその可能性を高めている。距離もマイルが忙しかったという可能性もあるので距離短縮が良いという事は分析上からは言えない。ほぼ同じ血統構成の姉アカイトリノムスメも勝ったレースなのでこなせない事はないと思うが、その姉もオークス2着、秋華賞優勝等距離が長い方が良かった馬でもあるし。ただ、新馬戦は仕上げ途上で動けなかっただけの可能性もあるし、成長等による変わり身もあるから当然この限りではないだろう。クイーンC自体がキレ味必須のレースでもないので現状のままでも対応出来ない事もないと思う。絶対軸としての扱いは出来ないが相手候補には入れられそう。なお、まだスタートが上手くないので五分には出れていない。それでも二の脚があるのでレースの流れにはちゃんと乗せてくる。折り合い面も気になるところはなくむしろ従順に映る。ロス無く回れる器用さもあるので自身の力は出し切れる馬だと考えている。

 

アップトゥミー【除外】

 

ムードインディゴの金子ブランド。上にユーキャンスマイル、ルビーカサブランカの重賞勝ち馬がいる。大きく崩れることなく4戦目で勝ち上がった。馬券漏れは新馬戦の4着。その時は初戦から仕上げる事が無い国枝厩舎の馬らしく、ペースが上がった勝負所で動ききれずに負けてしまった。2戦目からは変わり身が見られるようになった。勝ち上がるの時間が掛かったのは位置取りが後ろになりやすい事が原因であろう。鞍上も急かして好位を取るようなことをしないし、馬も前進気勢が強くないので自然とポジションが下がってしまう。その為にマイル2戦で差し切れず3着止まり。勝ち上がった前走は1800mに延長した事で中団で運べたことで楽に差し切る事が出来た。余裕のある勝ち方だったので中距離で良い印象を強く残したと思う。マイルに戻るのは歓迎材料にはならないかもしれない。折り合って進める馬なので脚はしっかりと溜められるから終いの脚はちゃんと使えるタイプだがその末脚も豪脚と呼べるものではない。上位の脚を駆使できるかは展開やメンバーに左右されるだろう。距離短縮で位置取りが下がるとまた差し切れずというシーンは出てくるのではないか?1600mだと未勝利でも3着止まりなのだから、相手が強い重賞でより強烈な末脚を使うのは難しいかもしれない。相手候補の域は出ないだろうし、ここは何かに恵まれたいところ。

 

アンリーロード【除外】

 

シンザン記念勝ちのライトクオンタムが勝った新馬戦の2着馬。府中マイルで最速上がりで浮上していた。出負け気味のスタートだったのが悔やまれる。相手には余裕があったので逆転できていたとは思えないが五分に出てればより際どい勝負が出来ていただろう。内容は悪くなく、次戦であっさりと勝ち上がっている(阪神1800m)。今度はスタートが決まり、先行集団後ろの5番手を進む。新馬戦は末脚勝負で好走したがこの時は立ち回りで勝って脚質に幅があるところを見せた。レースセンスの有りそうな印象。2戦とも2歳戦にしては流れた展開で、特に勝ち上がった前走は1000m通過59.5秒の速いペースを前目で追走していたので内容は濃い。坂で他馬の勢いが鈍ったところでこの馬だけがグイっと伸びた。2戦の内容から平均点は高く、地力の有りそうな馬だと感じた。距離を伸ばして勝ったがマイルだった新馬戦の内容も優秀だと思うので条件戻りは悪くないと思われる。極端なスローになった時には分からないがタイトな展開になるなら出番が合って良い馬。

 

イングランドアイズ

 

阪神2000mで新馬勝ち。五分のスタートから急かす事なく出たなりで好位を取れる先行力は良かった。ゴチャついた最初のコーナーで少しクビを上げたが以降は折り合いに問題はなく、スムーズに回って来れた。レースが62.7秒のスローで流れ、3角を過ぎても急激なペースアップもなくラスト3Fの上がりの競馬となっている。持続力の問われないレースでこれから評価出来るものは折り合いと器用さぐらい。上がりの競馬と言っても1周条件のレースなので目立った瞬発力を発揮したようには見えない。前付け出来ていたので展開も向いていたと言わざるを得ない。かつ、1番人気ハーパー(クイーンC出走予定)が4コーナーで外に膨れてしまった事で急に進路が開かれて楽なレース運びが出来た点は勝因として上げておくべきかもしれない。ハーパーが再び伸びて馬体を併せて来たのを凌いだ根性は良かったが、これもハーパーがエンジンを再点火できなかった事が大きいため高い評価をすることが出来ない。むしろクビまで詰め返されてしまったのを物足りなさとして捉えるべきかもしれない。ペースを考慮すれば末脚もそう速いものではないので府中の決め手勝負で良いという感じでもない。現状は並の評価が妥当そう。もう少し様子を見たい。

 

ウヴァロヴァイト

 

札幌2歳S2着、暮れの2歳GⅠ3着のドゥアイズは新馬戦では5番人気で単勝配当は2,840円もついていた。その時の1番人気が本馬。デビュー前から調教をつけていた横山武騎手が良い2歳馬を見つけた!と本馬のポテンシャルに惚れ込んでいた。その新馬戦ではインを器用に回れていたドゥアイズに対し、こちらは外を回るロスが響いた敗戦でタイム差無しの2着なら同等の力があったと見て良い。なので、次戦(府中マイル)であっさりと勝ち上がるのだがこのレース内容が良い。34.9秒-59.7秒の速い流れを加速ラップで差し切ってしまうのだから地力が高い。それを思うと同条件だった赤松賞の3着は物足りなく映る。未勝利時と真逆のドスロー(37.3秒-63.3秒)の展開で脚を余して負けてしまった感じ。一応上がりを最速化(33.3秒)したし、0.1秒差なら悪くはないが、瞬発力勝負で弱さを見せたことにはなる。GⅠ級の馬なら持ったままで突き抜けていただろうし、そう言う馬なら上がりも32秒台を記録出来ていただろうからそこまでの評価は下せなくなった。ただ、重賞のクイーンCでそこまでペースが遅くなる可能性は低いだろうから未勝利勝ちのパフォーマンスを見直すべきで、これだけ走れていれば重賞級のは評価はして良いと思う。府中マイルも3戦連続となり走り慣れている点も強味で普通に巻き返せる条件。レース振りも優等生と言う感じで粗がない。スタートも良く、二の脚もあるので楽に好位ポジションを取れる馬。折り合い面に難は無く、操縦性も良い。馬群の中でもスムーズに走る。追ってからもちゃんと反応するので終いは確実に来ると考えて良い。今年はレベルの高いメンバーが揃ったが、この馬も有力候補に入るのではないか?

 

エバーハピネス【除外】

 

1800mから使われ始めたが距離が長かったような負け方を2戦した。手応えの割には最後に詰め切れない感じだった。これで見切りをつけたのか3戦目からマイルへ。負けたレースでも最後に差を詰めてこれるようになり、4戦目に勝ち上がる。前走のベコニア賞も33.1秒の最速上がりを駆使して猛追して来た。ひとまずベスト距離と言う事で良いと思う。既に5戦も消化しているので2・3歳の重賞や特別戦で人気になったり、好走している馬には大体負けていて、ここ出走の馬とも何頭か対戦をしており相手関係はちょっと分が悪い。それでも走りはいつも安定していてここまで3着以下の無い成績はある程度評価しておく必要がある。この馬の武器は自在性のある脚質としっかりとした末脚にあると思う。レースではいつも1番良いスタートを決めるぐらいで抜群に上手い。そのまま逃げる事も出来るのだろうが、レースの流れに乗って位置取りをいつも変えて来る。先行する事もあれば、中団待機、後方待機とその時々のペースに併せてベストポジションを取っている。レース展開に左右されない走りは印象が良い。操縦性も高い馬なのだろう。後方から鋭い脚を使う事も度々あってマイルの決め脚勝負でも対応可能な走りを見せている。時計的にも合格点だし、近2走のレース内容も高めの評価が可能で地力はあると思われる。地味な印象もあるがさすがノーザンF生産馬と言う感じ。人気にはなりにくいタイプだがそれ以上に走る可能性は高いので印を回しても良さそうな気はする。

 

オンザブロッサム

 

6月の府中マイルを新馬勝ち。11番人気の勝利で2着馬は東スポ杯2歳S2着のダノンザタイガー。大金星である。2番手から抜け出してダノンの追撃を振り切った。ただ、だから威張れるものではない。新馬戦らしく38.2秒-63.3秒の超スロー。しかもこのペースでも逃げ馬は大逃げだった。10馬身ぐらい離れた2番手を追走していた本馬は1秒半は遅いペースで逃げていたようなもの。これは明らかな展開勝利。加えて減量騎手で斤量も2k軽かったからかなり恵まれたていた。強くて勝った訳ではないだろう。それを以降の競馬で証明していくことになる。シーウィザードが勝った芙蓉Sで0.2秒差の3着。ミッキーカプチーノの勝った葉牡丹賞で2.0秒差の14着。ホープフルS時にも触れたことだが、この2走はどちらも中山2000m戦で2走の勝ち時計は5.3秒差もあった。レースの中身がまるで違う。超ドスローの芙蓉Sを2番手から前残りしたが、ペースが速くなった葉牡丹賞では3番手先行から失速していて、如何にも力のない馬のパフォーマンス。葉牡丹賞も速かったとはいえ、35.2秒-60.0秒で流れ的には至って標準的なものである。このぐらいのペースでここまで負ける馬が遡上に上がることはない。2000mが長かったという見方はまだ出来るが、今回も芙蓉S葉牡丹賞の変化と同じ事が起こるのではないかと思う。クイーンCでは新馬戦ほどの超スローな流れになることはあり得ないのだからペースの変化に合わせてパフォーマンスは低下するのではないかと思う。

 

グランベルナデット

 

社台F生産のキズナ産駒。6月の府中マイル戦でデビューして1番人気の支持を受けながら6着に。スタートで出負けしたこと、直線の進路取りをミスり踏み遅れた事が敗因。マイルの流れには対応出来ていたと思うので、距離適性で負けたとは判断出来ない。半年開けて12月の中山2000mの未勝利を圧勝した。1000m通過59.7秒のハイペースで後半に1.4秒失速したキツイ流れを3番手の積極先で押し切ってしまったのは凄い。3馬身差は力が違っていた印象。馬場差はあっただろうが約2週後のホープフルSより0.4秒も速い時計でかけた点は評価して良いところだろう。地力の高そうな馬で今回のメンバーでも素質は引けを取らないのではないか?再びのマイル戦となるので流れに対応出来るかが過大となるだろうが、多少ポジションが後ろに下がるぐらいで特に問題はないと思う。持続性の高さは見せていたし、新馬戦でも脚は使えていたので対応可能だと思われる。タフな展開になった時には結構な確立で浮上してくると思う。

 

ゴールドレコーダー

 

母ゴールドタイリン、父ゴールドアクター。馬主の思入れが強そうな馬。暮れの中山1800mでデビューして8着。着差は小さくなかったが14番人気だったし頑張った方か。ダッシュ良く飛び出して先行3番手。スロー展開で逃げ馬が勝つようなレースで沈んでしまった内容は弱い。3k減の若手騎手を器用してこの内容は着以上に弱かった。が、次戦の小倉1800mですぐ勝った。何かが変わった風には思えないが強いて言えば内枠に入れたことだと思う。スタートは上手く先行ポジションをすんなりと取れるので、インポケットの3番手で競馬が出来た事が大きい。レースを運びやすかった分だけ終いも伸びた感じ。ただ、時計は水準級だがレースの中身が特別凄かった訳でもないので強調材料はない。ラスト1Fぐらいで物凄い鞭の連打でようやく勝てた感じでレースの見た目も良いものではなかった。府中のマイル戦でも先行することは出来ると思うが、追って伸びるような馬には現状見えない。2戦とも3k減のレースだったので、今回が初めて定量戦となる。3k増でパフォーマンスが上がるようには思えないのだが。

 

ニシノカシミヤ

 

2着だった新馬戦の内容からもっと弱い馬かと思ったが結構頑張っていてダートで2勝を挙げている。40.2秒-66.5秒のペースで逃げ切れず、ラスト1Fで14.0秒まで失速するのだからいい感じは持てなかったのだが。2戦目から1400mに専従するようになりパフォーマンスが安定している。中距離よりは短距離の方が良いようだ。この距離を走るようになってからは良いスピードで先手を取っていて速さは十分標準級。道中で2番手になることはあるが1400mの3戦はほぼ先手を取れていて序盤のダッシュ力はある。前走も芝部分でハナを取れているのでスタートだけなら芝でも行けそうだ。この前走が強い内容で3.6秒も前傾しているレースを押し切っている。この条件ならそこそこの馬だ。ただ、この距離の逃げ馬だけあってハイペの消耗戦でパフォーマンスが良い。ただ、これはラップのメカニズムが府中の芝マイルとかなりかけ離れている。仮にこの馬のペースで逃げれたとしてもラスト3Fは加速してしまうので飲み込まれてしまう気がする。距離は克服するかもしれないが1800mから短縮してパフォーマンスが上がった馬なので距離もいいとは言い切れない。これが芝1400mの重賞だったらひょっとしたらとも思えるのだが、今回の条件だとこの馬の良さは発揮しづらい気がする。

 

ハーパー

 

阪神2000mでデビューして2着。62.7秒のスローを2・3番手で追走。スタートも良かったし、折り合い良くスムーズで、勝負所でもしっかりと動けていたから本当なら楽勝するパターン。でも、最終コーナーを回る事が出来ず外に大きく膨らんでしまい(京成杯のソールオリエンスと同じやつ)、これが大きいロスとなる。そこからの末脚はジワジワになってしまったので2着に上がるのが精一杯だった。粗けずりな面が見えたが距離はこなしていたし、余力も十分にあった。悲観する内容ではない。中1週で阪神マイルを次戦に選び勝利する。新馬戦もそうだっがが序盤の立ち回りがとてもうまい。スタートをポンと出て楽に2・3番手の好位を取れる。2000→1600と変わったことで序盤のペースが2秒近くも速くなっていたのだがこれにも楽に対応していた。スピードに乗せていくセンスは高い。また、内回り→外回りに変わったことでコーナーの緩みが大きくなり、コーナリングも全く問題なかった。ただ、追い出してからの反応は思ったほどではなく、目一杯に追い込んでようやく加速するという感じ。瞬発的なギアチェンジは遅いと思った。陣営が初戦に中距離を選んだのもこういう理由があるのかもしれない。坂を上ってから勢いがついた程なので、まだ力を使い切れていないように思う。現状は持続的なタフな展開の方が向いていそう。同日のメインレースが朝日杯FSで時計差が1.4秒もあったがこの馬にはこのぐらいのペースの方がよかったかも。弱い馬と走るより、強い馬と走った方がパフォーマンスを上げて来る気がするので重賞挑戦のここは面白い。試金石ではあるが好意的な目で捉えたい。なお、その筋の人からすると友道厩舎が牝馬クイーンCに使う事を友道ローテとかつて読んでいた。可能性の有る牝馬を輸送して関東の重賞に使うのは、府中を経験させる目的があるのだろう。17年優勝アドマイヤミヤビ、19年2着ビーチサンバなどが具体例。相対的な評価はまだ分からないが、厩舎内の評価が高い事は想像に難くない。

 

ブラウンウェーブ

新馬戦を15番人気で勝ったが、前残りの展開を差し切って内容的には悪くない。少なくとも、評価を下に見積もる理由は思いつかない。

・出負けで2戦目を負けたが脚は使っていた。新馬戦でも2位上がりの末脚で差し切って来たので後半にしっかりと伸びて来れる。やはりそう悪い馬とは思えない。

・2戦とも時計のかかるレースだったのでスピード要素に強調点がない。が、1月の中山ならそれで構わない。

 

上記がフェアリーS出走時のカルテ。

 

16頭立ての15番人気で4着と大激走を果たしたフェアリーS。馬券にはなっていないので無印で正解だったが相馬眼に間違いはなかった。このぐらいは走れる可能性は指摘した通り。ここでも3位上がりを記録しているように脚はしっかりと使える馬である。勝ち馬キタウイングは最内をこじ開けて勝利したが、この直ぐ後ろにいた本馬は内から外へ切り替えるコース取り。距離ロスに加え、馬群を捌くロスも大きく追い出せたのはラスト1Fを切ったぐらい。そこから一気に来た瞬発力は見どころがあった。脚も余した感があり、もう50m早く追い出せていたら3着があった内容。着差ほどの力差は無い印象を受ける。とは言え、これは展開ハマりでもある。過去10年では3F通過で最速、1000m通過でも2番目に速いハイペースだった。先行馬は伸びを欠き、本馬も含めて1・2・4着馬の道中の位置取りは13番手以降からの追い込み。展開が向いていたのは明白だ。とりわけ、本馬は時計や上がりがかかった方がパフォーマンスが良いタイプである。時計のかかる厳冬期の中山コース、上がりのかかる消耗戦など他馬に比べて噛み合い度数がかなり高い。また、戦前から話していたように出走馬のレベルがかなり低い1戦で、この相手だったらやれるかもと言うのがそもそも評価。条件や相手が変わればその評価も修正の必要がある。フェアリーSがこの馬向きの条件故の好走だった事は重要なことだ。前回指摘しているようにスピード要素に強調点が無いので例年より馬場の速い今年の府中は課題とり、出走馬のレベルも比較できないほどに上がっている。クイーンCは全ての条件が悪化することになる。フェアリーSの様に無欲に追い込んでも今度は前が止まらないだろう。時計勝負にどう対応するだろうか?未知数分野なので可能性ゼロとは言えないが。

 

 

ミカッテヨンデイイ

・未勝利の分際で勝ったフェニックス賞のレース内容は良い。この時期、この条件で33秒台の上がりを使える馬は多くない。前年のナムラクレアに匹敵する内容。

・中2週間隔で今回が4走目になりローテションは少々厳しい。馬体が大きくないので状態の維持が出来ているかは重要だと思う。

フェニックス賞を勝ちまで1・2位の上がりを使えていたが重賞では上位上がりが記録出来なくなっている。相手が強くなって脚力レベルは相対的に低下した。

 

上記がファンタジーS出走時のカルテ。

 

フェニックス賞を勝つまではレースの流れに合わせてポジションを取れていた馬が、重賞を走るようになった2走前から後方待機の馬になった。スタートが悪くなった訳ではなく意図した待機策を取っている。小倉2歳Sの時からテンションが高くなっているそうで、ファンタジーSでも同様の理由でこういう策になったそうだ。小倉2歳SファンタジーSも最後は流して入線しているのでレースに参加していないという見方になる。夏秋は臨戦過多な馬だったので精神面が破綻してしまったのかもしれない。ファンタジーSは滞在競馬しか経験のない馬が初の輸送競馬だったのも良くなかったかも。重賞2走の走りからこの馬の現状を推し測るのは危険なのかもしれない。今回の休養で精神面がリセットされたり、関東圏のレースで輸送距離が短いなど条件や体調が整う環境ではある。力を発揮出来る可能性はあるので体調や精神面の状態はチェックしておきたい。ただ、今村騎手から松岡騎手に変わるので多少のテンション高なら御してしまう可能性があるのでそこは要注意。ただ、適性面からマイルに延長して良い走りができるイメージがない。好走していた頃は積極的な先行策から脚を使う競馬をしていたが、前掛かりのレースをしてもこの条件で突き抜ける脚はないだろうと思う。重賞に入ってからは末脚の優位性を失っているので待機策から末脚勝負をしても厳しそう。また、ローカルの2歳戦と素質馬が集ったクイーンCでは出走馬のレベルは2枚も3枚も上。仮にベストの状態でレースに挑めて、好走していた時のパフォーマンスを発揮出来たととしても通用の目途はちょっと立たない。初の左回りに初の距離とハードルも低くないので積極的に推せる材料はやっぱり出てこない。

 

ミシシッピテソーロ

・2勝したレースは減速ナシ、加速ラップといずれも前が止まらない展開をねじ伏せている。末脚性能は良い。

・気性面に難は感じず、目立った悪癖はスタートぐらい。それを補う末脚もあるので現状は欠点はない。

アルテミスSでは上がりの競馬で決め手負け。上がりの速さには限界があるのかもしれない。

・タフで上がりかかる展開ではGⅠでもこの馬の末脚は通用した。冬の中山は合いそう。

 

上記がフェアリーS出走時のカルテ。

 

フェアリーSが7着。GⅠ5着の結果を受けて上位人気の一画を成していたがその期待に応える事は出来なかった。ただ、フェアリーSは本当ならこの馬が勝っていた競馬だと思われる。好スタートを切り、6番枠を生かしてラチ沿い6番手を追走していて、ポジション的には絶好な所にいた。4コーナーを回る時にも力強く、しっかりと射程圏に押し上げていた。コースを選ぶ余裕もあったように映った。が、このコース選択がアダとなってしまった。鮫島騎手は外を回さずにインから捌こうと馬群の密集地に舵を切る。が、ハイペースへの影響がこの頃になると出初めていて前にいた馬が一様に下がって来たため壁となり進路が取れない。そうこうするうちに外をまくった後続にどんどんと交わされてしまった。結局外に出すのだが、追い出し態勢をとれたのは残り100mの坂下ぐらい。脚は伸ばすも時既に遅し。脚を余しての7着入線。外に進路を取れていれば抜け出せていたし、4コーナーの手応えからするとキタウィングの追撃も凌げていたのではないかと思える。これは悔しい結果だ。このペースを先行していた事も踏まえるとやはり馬は強かったと思う。フェアリーSの結果だけで見限らず、GⅠを5着したという実績は忘れてはいけないと思う。ただ、今回は条件が良くなるとは言い難い。新馬勝ちした条件なのでコースは良いが、決めて勝負は良くない馬なので上がりが速くなるレースだとアルテミスSの時のように脚を伸ばして来る事が出来ない。34秒台なら使える馬だがそれ以上になるとキツイ。また、出走馬のレベルも格段に上がるので素質馬と叩き合うと脚力は見劣りする。上がりのかかる展開になった時に3着争いに加われたらと言うところ。

 

リックスター

新馬戦なのでペースや時計が遅いのは仕方ないが、番手から抜け出しただけの内容に目立った強調材料はなかった。

・使った上がりもペースを考慮すれば少々物足りない。ワンペースな走りから雪崩れ込んだだけという感じでさらにギアが上がる感じはなかった。

・前走から間隔を空けているので馬が良くなっているようならその時は注意したい。

 

上記がフェアリーS出走時のカルテ。

 

フェアリーSは9番人気で5着と頑張った。スタートはあまり良くなかったのに、出して行って好位をとろうとしてしまった。レースはハイペであったのでここで急かしてしまったのが最後に響いてしまったか?直線ではジワジワになってしまった。しかし、激流を見越して前を追いかけすぎずに道中8番手まで下げた事で掲示板を確保出来たのは良かったと思う。2番枠を生かしてロス無く器用に立ち回れていたレース運びは印象を良くする。経済コースを走れた利は大きかったが、立ち回りの上手さを生かした好走であった。新馬戦の内容が物足りなかったがこの走りなら評価を上に修正出来る。その新馬戦は府中だったがワンペースな走りでギアの上がる感じが無かったが、中山の様な器用さを生かせる舞台の方がやっていけそうな印象を受けた。再び府中に戻るのが良いとは言い切れない気がする。決め手勝負にどこまで対応出来るだろうか?この条件だと強調材料はまだ少ない。また、新馬戦も、フェアリーSも出走馬のレベルは高くはなかったもの。今回のメンバーはかなりごっつい。力差はあると思うがどこまでやれるだろうか?厩舎内の評価もそれほど高くなく、成長して強くなったという所もないようだ。まだ強く推せる馬ではなさそう。

 

地方馬

 

メイドイットマム

 

門別でデビューして2走前から船橋競馬に転籍している。中央馬とは札幌のすずらん賞と交流重賞エーデルワイス賞の2戦で走っているがいずれもタイム差を大きくして負けている。しかし、この2走を持って力差があるとは言い切れない。いずれも1200m戦での結果であり、南関に移った2走前から距離を伸ばして圧勝しているからだ。距離適性で負けていたのが否めないのでその限りとは言えない。一応、前走は2歳牝馬の頂上決戦的なレースを4馬身差で勝っていて最後は流す程の余裕もあった。地方競馬では抜けた存在ではある。勝ち時計はマイルで1分41秒台なのでさすがに厳しいと思ったがクイーンCの前日に大雪が降った。馬場の回復次第でひょっとしたらの可能性が出来てしまった。小さく見積ってもレースの流れには乗れそうだ。近2走は初めての船橋、初めての大井と初コースでもパフォは落ちない。芝もすずらん賞で経験済み。距離もOKのようなので条件は結構そろってしまった。天の恵み雪に陣営はほくそ笑んでいるだろう。安易に消していいものだろうか?

 

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