競走馬カルテ

2・3歳重賞の出走馬を分析・記録していくブログです。

共同通信杯(GⅡ) 出走馬カルテ

 

こんにちは。

 

クイーンCと違って共同通信杯は10頭前後の登録に落ち着きそうなのですがメンバーの密度が非常に濃いですね。朝日杯FSの3着馬と4着馬。ホープフルSの4着馬。東スポ杯2歳Sの2着馬に、新潟2歳Sの2着馬。京都2歳Sからも4・7着馬。ここまで行われた重賞の好走馬がかなり集まりました。この他にムーア騎手を乗せて新馬勝ちした社台系の素質馬が2頭に、3戦2勝3着1回で複勝率100%の馬が1頭と凡走経験のない馬が参戦します。ぱっと見で軽視すべき馬がいないじゃないか!と思いました。予想は難しくなりそうです。

 

ところで、朝日杯FS優勝のドルチェモアが皐月賞直行となりました。距離が伸びていいイメージをあまり感じないのですが、関係者からしたらそんな事はないのかもしれませんね。ホープフルSを勝ったドゥラエレーデがドバイのUAEダービー(ダ1900m)に回りました。厩舎曰く、ダートの適性を見越してとのことですが、関係者からすれば皐月賞はドルチェモアがいるから大丈夫と言う判断が働いたのかな?という気がします。2頭は同じ勝負服のスリーエイチRの所有馬。この時期にしてGⅠ馬を使い分ける豪華な布陣は凄いですね。

 

いずれにせよ、牡馬路線の勢力図はまだまだ曖昧なまま。GⅠ馬2頭に変わる主役候補の出現が待たれます。共同通信杯からそう言う馬が出て来ても不思議ありません。先々を見据えて各馬を見ていく事に致しましょう。

 

共同通信杯は12日(日)に行われます。前日の11日(土)には更新を完了します。なお、暮れのGⅠ朝日杯FSから上位入線の馬が2頭出走しますので、簡単な回顧とともに優先的に更新しておきます。

 

予想案はページの最下部にある専用ページにまとめてあります。ブログカードを貼っておきますのでそちらをご覧ください。

 

朝日杯FS(GⅠ)

 

朝日杯FS阪神で行われるようになった14年以降、阪神JFより朝日杯FSの方が勝ち時計が遅かったのは、ダノンプラチナの14年、サトノアレスの16年、サリオスの19年とあり、そして昨年22年のドルチェモアが4頭目となる。サリオス以外はどこかイマイチで3歳以降にGⅠを好走出来た馬はいない。逆に時計が速かった年はアドマイヤマーズ、ドゥデュースなど再びGⅠを勝つ馬など活躍馬が目立つ。この事から昨年の朝日杯FS組の前途は微妙と言わざるを得ない。優勝馬ドルチェモアの勝ち時計はリバティアイランドの阪神JFと比較すると0.8秒も遅く差は大きいのではないかと思う。また、3F通過で0.4秒、1000m通過で0.8秒も阪神JFの方が速く、牝馬GⅠの方がペースは厳しかった。それにも関わらず、レース上がりは両レースともに36.1秒が記録されている。どちらのレベルが高かったかは一目瞭然である。朝日杯FSはラストの失速率をもっと軽微に留めるべきだった。牡馬GⅠの内容はかなり物足りないものである。走破時計も速くも遅くもないもので、レベルの高いレースだったとは言えない。このレース内容で、優勝したドルチェモアと3着レイベリングは早めの競馬で力を出し切っての好走であることからその地力を評価する事が出来ない。脚を余して負けた2着馬以外は少々疑わしいレースだったように思う。とは言え、3着のレイベは新馬を勝ち上がったばかりの2走目であり酌量の余地がある。デビューが遅かった馬の中2週だったことからも成長の余地はとても大きい。前走の内容だけで判断するのはさすがに早計だろう。よって、朝日杯FSでの軽視対象は最優秀2歳牡馬に輝いた勝ち馬ドルチェモアだけとなる。

 

レイベリング

・府中マイルを新馬勝ち。3F通過36.9秒の上がりの競馬で、逃げた2着馬は完璧に乗っていて普通はこれが勝つ競馬。それを後方10番手から直線だけで差し切って、最後は流す感じで3馬身差。並みの馬に出来る芸当ではない。

・33.1秒の上がりもこのペースならキレている方。追えば追うほど伸びる感じがあって末脚だけなら上のクラスで通用しそう。

・気性的な問題点は見られなかったし、レースセンスも感じられ、鞍上の指示にも従えており、操縦性も高い。

 

上記が朝日杯FS出走時のカルテ。

 

朝日杯FSでは14番枠でロスの大きい競馬となった。スタートは五分に出ているが、抜群のスタートだった勝ち馬が2番枠だったのでゲートから数完歩で3・4馬身ぐらいの差が出来てしまった。徐々にポジションを上げて行き、好位にたどり着けたのは5F目ぐらい。この間終始外目の追走で上位馬の中では最もロスが大きくなっている。それでも一旦は勝ち馬に並びかけ、ラスト3Fの上がりタイムはドルチェと同じ35.8秒。悪い内容ではない。インでロス無く乗れたドルチェモアとは余力の差が出てしまったが、枠が違えば別の結果だったと言えそうだ。また、勝ちに行く競馬のツケは2着ダノンタッチダウンの強襲に屈する結果を招くことになった。が、上位入線の馬では最も強い競馬をしていて、0.1秒差の3着は勝ちに等しい。負けて強しで問題はない。ただ、逆から見るとこんな強気な競馬をしなければ勝てていたのかも?と言う疑問も浮かぶ。新馬戦では後方待機から際立つ末脚を繰り出して圧勝している馬だ。終い勝負に徹していれば本当に勝っていたかもしれない。でも、まぁ新馬戦とは違った乗り方でこれだけの競馬が出来た事がこの馬のスケールの大きさを物語った。控えても、出して行っても勝ち負け出来る。この先の重賞戦線で望みを大きく持てる材料だ。自在性を証明したし、機動力のある走りも見せた。それでいて脚力上位で脚もある。本馬は非常に強い馬である。横山武騎手は他に2頭のお手馬が出走していたが迷わずこの馬を選択していた事からも関係者の期待が高いのが分かる。ドバイのセールで購入された馬で厩舎筋の評価も高い。また、同厩同騎手のエフフォーリアが共同通信杯裏の京都記念に出走するが、一時はエフフォの鞍上未定が発表されていた。鞍上は年度代表馬をも袖にしようとしたのかもしれない。やはりすごい力の持ち主なのであろう。

 

キョウエイブリッサ

・ダ1400mで勝ち上がった馬だが、先行崩れのハイペを5番手から最速上がりで差し切った内容は強い。

・芝1400mでも3着と走りそれなりの結果が出た。上がりの競馬でキレ負けしただけなのでダート上がりの馬にしては良くやった。ここでも上がりは最速だった。

・さすがに人気になりそうにないが、そう弱い馬にも思えない。条件戦やGⅢぐらいなら無視の出来ない存在にはなれそうだ。

 

上記が朝日杯FS出走時のカルテ。

 

16番人気の評価に反発してGⅠで4着。大激走だった。好走の要因はいくつも考えられる。朝日杯FSの戦前の評価は出走馬のレベルは高くないと言われていた。3着までに来た3頭と出遅れて本来の競馬が出来なかった数頭が辛うじて評価されていたぐらいで、それ以外はどんぐりの背比べと言う感じ。ロスやミスが無く乗りきれた馬が4着以下に来たという印象が強い。また、1枠1番の絶好枠が好走を後押しした。レース前もこの枠なら自分の競馬が出来ると厩舎側も歓迎しており、その言う通りになったという事だろう。勝ち馬も同枠だったしレースがしやすかったというのはある。以上のことから、有力馬の出遅れ、展開や枠などが噛み合っての好走と見る事が出来てしまう。GⅠ級の力を発揮したという評価はしなくて良いだろう。しかしながら、この馬自身が弱いかと言うとそこまで卑下したものでもない。前回時に指摘したように、グレードが下がればそこそこやれる力量はそれまでのレースで示していた。実際、2走前は勝ち馬バグダラスの3着だったが、朝日杯FSでは4着・5着と逆転した。現状言えそうなのは、上がりの速い競馬よりもタフな展開で浮上するタイプと見る事が出来る。ダートの新馬戦ではハイペースを先行しながら上がり最速を記録している。バテる事なく、ジワジワ脚を伸ばしてくるタフなタイプだと思われる。上がりのかかった朝日杯FSでも、ドルチェ・レイベリングより上がりは速かった。切れ味勝負の度合が低くなれば好走の可能性は上がってくるだろう。

 

ウインオーディン

・まだ力んで走っている感じはあるが折り合い面や仕掛けてからの反応は及第点。

稍重でも33.1秒の末脚を使うようにとにかくキレる脚を確実に使う。タイトな展開や上がりのかかる展開でどうかは未知数も今回(新潟2歳S)は親和性が高そうである。

 

上記が新潟2歳S出走時のカルテ。

 

2着した新潟2歳Sは連闘での好走。それ以来のレースとなる。新潟2歳Sについてはここまで何度が触れてきたがレースの評価は低い。走破タイムは過去10年では断トツで遅く、標準よりも2秒以上遅い。それだけスローに流れていたという事になるが、その割に各馬の上がりは速くなく、上位馬の切れ味も物足りないもの。36.6-62.2の通過タイムなら上がりは32秒台を出せるレースなので末脚の評価は下げざるを得ない。この馬自身は全3走で32.5秒、33.1秒、33.2秒と常に高速上がりを繰り出しているが、走った全てが上がりの速い競馬でこの馬の末脚だけが突出していた訳ではない。つまり、切れ味だけの瞬発力勝負の経験しかない。タイトな展開、上がりのかかる展開で同じようにキレる保証はなく、地力の高さはまだ未知数である。展開次第ではあるが今まで経験した事のない速い流れになった時に対応出来るかが鍵となる。今回はGⅠ級の参戦もあるので高い評価をするわけには言えない。実績もあり、悪い馬ではないが現状はデータ不足。ここは試金石となる。ただ、5ケ月振りのレースになるので馬の成長が物足りない面を補っていることはありえるので成長具合は要確認である。

 

コレペティトール

 

ここまで3戦2勝3着1回の成績。3着に負けた1戦も1番枠がアダとなり馬群で包まれて進路が無い状況だったから。むしろ良く3着に来たなと言う内容で悪くない。馬群から抜け出してから一瞬で加速出来る瞬発性能は良い。勝った2戦もラスト3Fの決め手勝負になっているので決め手勝負に強い印象がある。2戦目までは1800m戦を使い、府中1800mで未勝利勝ちを記録している。ただ、中距離馬としては前進気勢が強く、行きたがる仕草を見せている。3戦目にマイルを勝っているのだが気性を考慮した距離短縮だったのかもしれない。テンが速くなったことで1800m戦よりは位置取りが後ろになったが、ペースが速くなったことで折り合いを欠く暇がなかったという印象。中距離だとポジションを取れるが折り合いを欠き、マイルだと折り合いは付くが位置取りが下がる。どちらに適性があるかまだ分からない。ただ、1800mだと3位止まりだった上がりがマイルで最速化した。折り合いがついたことで末脚に磨きがかかった感じはする。フィジカル的には中距離でも問題ないものの、メンタル的にはマイル向きと言う感じ。今回は1800mになるので気性次第。ただ、使っている末脚は短い印象を受ける。長く脚を使う持続的な展開の経験はないし、一瞬の脚は速いが抜け出してから他馬と同じ脚色になる。脚のある馬には思えないので短い脚をどう使うかも課題である。

 

シーズンリッチ

 

新潟1800mでデビューして4着。超スローの競馬でラスト3F区間に10秒台が2発記録された切れ味勝負。上がり最速ながらも6着までが32.4~32.5秒の上がりを記録したレース。位置取りの差で負けただけという内容。2戦目が府中の1800mでこれを勝ち上がる。新馬戦でもそうだったがスタートが少し下手。ゲートが開いた1完歩目が遅い。この時はそこから出していって2・3番手まで上げていたがそのせいで掛かってしまった。直線では完全に抜け出していたが伸びきれない感じもあり2着馬にクビまで迫られてしまったのは折り合いを欠いたせいかもしれない。3走目に2000mの百日草特別。やはりスタートが悪く最初のコーナーを最後方で回る。今度は早急なリカバーはなく、徐々に進出する形で3コーナー3番手と言うレース運び。折り合いを欠くことなくいい位置まで持ってきた。が、直線に入る頃には手応えが怪しい。伸びを欠き4着。前の馬に突き放されて、後続にも差された4着は印象が悪い。後半58.0秒の流れに対応しきれずに負けた感じで持続性を感じない。大きく崩れてはいなが全3走の内容から強さを感じられるようなものはなかった。条件クラスの可能性がある。百日草特別では上位上がりも記録出来なくなりクラスが上がり末脚の優位性を失くしている。また、新馬戦の勝ち馬はきさらぎ賞の勝ち馬に完敗していて、未勝利勝ち時の2着馬はきさらぎ賞で離された4着。走って来た馬との間接比較の面からも弱い。スタート下手で、出して行くと行きたがり、脚を小出しすると末も甘くなる。乗り方も難しそうだ。

 

シュタールヴィント

・騎手の誘導にはちゃんと従えているし、GOサインからの反応も機敏。終いの脚はしっかりと使える馬。

・2番手から抜け出して33.7秒の上がり最速で突き抜ける。全体的に上がりの速い競馬で着差が付きにくい展開を3馬身差は力の証明。

・経験したレース内容は大した事はないが、まだ力出し切っていない印象もあり、3戦目でも上のパフォーマンスを発揮する事は可能に思う。

 

上記が京都2歳S出走時のカルテ。

 

京都2歳Sで4着。2番枠からスムーズに出てインポケをスムーズに追走していた。道中の手応えも折り合いも良かったのでレース運びに問題は見られない。2走目から先行策を採っているが、このスタイルの競馬が板について来た印象。使うごとにレースが上手くなっている。レースが加速するラスト4Fからも上手に対応していて、最終コーナーでは逃げていた勝ち馬をいつでも交わせる感じだった。が、馬体を併せて追い出そうとした時に勝ち馬が外にヨレて来たのでブレーキを踏んでしまう。加えて、反対側に他の馬が平走していたのでこれとも接触してしまう。それで破綻する事も無かったがそこまで持続して来たスピードがリセットされてしまい再加速出来なかった。それで2・3着馬にも差されてしまった。直線の不利が無かったら勝ち負けもあったし、少なくとも馬券にはなれていたであろう。京都2歳S不本意な結果。でも、それなりに収穫もあった。府中2戦の走りが良かったので、阪神内回りが課題であったが問題無くクリアしたと見て良い。やはり操縦性の高い馬で器用な走りも十分出来ていた。スローの上がりの競馬しか経験の無かったがここで60.4秒-60.1秒のイーブンペースに対応出来たのも大きい。持続戦でもパフォーマンスが落ちなかったのは評価したい。今回は未勝利勝ちした府中の1800mに戻る。トビの大きな走りをするので条件変わりはプラスになると思う。先行しても速い上がりを使えるので決め手勝負にも対応出来るだろう。今回も十分やれる条件だ。他馬との力関係だけが焦点。

 

シルバースペード

・良馬場でも不良馬場でも同じ脚を使う馬。上がりタイムは大体いつも同じで34秒台後半ぐらい。

・上がりがかかる展開ではどうにかなるが、上がりが速いレースでは出番はないだろう。

・1月の中山なら上がりは速くならないのでこの馬の末脚でも可能性がちょっとある。ただ、位置取りを覆す圧倒的な脚力はないので後方待機では厳しいままだろう。

 

上記が京成杯出走時のカルテ。

 

京成杯はケツからケツの競馬で最下位入線。前走時に指摘したことだが先行しないとどうにもならない。この馬の末脚では他馬を差すのは基本的に難しい。脚の無い馬の後方待機は無意味なことだ。速い脚がないので中山なら評価はあるが、府中に戻れば評価はゼロでよい。重賞2走の結果が完敗なのにまだ重賞を使うのか?と言う感じである。

 

なお、皐月賞時でも触れることになると思うが京成杯のレベルはちょっと疑わしいものである。スロー展開であり、当時の馬場状況なら前残りの競馬となるべきところ。が、追い込み決着となっているので違和感が大きい。レース中はどうして?と不思議だったがレース後の談話を整理したら原因ははっきりとした。先行していた4頭中3頭が距離が長いと言うことだった。適性の無い馬が止まっただけと言うことのようだ。ので、勝ったソールオリエンスの勝ちっぷりが随分と騒がれたが、着差や圧勝感のあった見た目を評価しすぎない方が良い。

 

タスティエーラ

 

府中1800mで新馬勝ち。良いスタートを切ったのにそこまで押すの?と言うぐらいにガンガン押しまくっていた。いかにもムーア騎手らしいところだがそこまでしないとスピードに乗れないということなのだろうか?回りもそこまで速いペースではなかったので序盤の立ち回りは気になった。もっと自らスピードに乗っていく感じなら評価はベタ褒めレベルに上げられるのだが。そのぐらい以降のレース振りはパフォーマンスが高い。先行2番手から抜け出して3馬身半差は普通に力が違う。序盤にあれだけ押していたのにラスト3Fもほぼ加速ラップで伸びている。身体的な強さが高いレベルにある証拠。同じ勝負服の2着馬を寄せ付けなかったが、この2着馬も次走の未勝利を圧勝している馬で負かした相手も上等。かつ、この2着馬の上がりが最速だったが本馬の上がりはそれに0.1秒劣るだけ。2着馬は10番手前後から繰り出した末脚であったのに対し、こちらは押し込んで先行していた馬の上がりである。強引に先行しても差し馬並みの末脚を使うのだから後続は堪らない。タイプとしてはエフフォーリアにかなり近い(勝負服も同じ)。道中はさすがに前進気勢が強くなっていたように映るが、ポジションを取ってからはちゃんと収まっていたのでコントロールは利く馬だと思う。2戦目で素軽い所が出ればポジショニングは楽になるから控えても十分に対応出来そうに思う。相手関係が一気に強くなるが通用しそうなポテンシャルを感じさせた。

 

タッチウッド

 

阪神2000mで新馬勝ち。この馬もムーア騎手で勝ち上がった。大外枠からハナを取り6馬身差で逃げ切った。ペースは遅く、4・5F目で13秒台が連発して1000mの通過は63.1秒。スタートしてから多少は押したが、1コーナーまでにハナを取れ、競り合う馬もなくマイペースで行けた。稍重だったので何とも言えないところだが、この前半に対して後半59.1秒はそんなに凄いものではない。この程度の持続戦に対応出来ない2着以下が弱かったのではないか?と言う感じがする。この馬自身の後半も持ったままの楽走だったら見方も変わるが、一杯に追い込んでのものだけに逃げ馬としては普通と言う感じがする。楽に逃げれていたし、レースの中身も弱いので着差程の強さは感じない。評価出来るのは気性の良さ、コントロールの利いた走り、上がりの競馬から繰り出した34.0秒の瞬発力と言ったところ。だが、それも地力の高さを証明したというものではない。弱い馬と言う印象はないがまだ経過を観察したい。なお、走りから見るとハナでなくても競馬は出来ると思うので逃げ馬として決めつけれられない。瞬発力はあったので控えても脚を使えるタイプではあると思う。

 

ダノンザタイガー

新馬戦は仕上げ度合が低く負けたが、2戦目は使ってからの変わり身を見せて良い勝ち方をしていた。

・完成度はまだまだで、厩舎も先を見据えて早急な仕上げをしていない。追ってフラついたり粗い部分はまだまだある。

・素質馬らしさも見えるがGⅠを目指すならもう一段上の完成度が欲しい。

 

上記が東スポ杯2歳S出走時のカルテ。

 

東スポ杯2歳Sはハイペの消耗戦。これを2着したわけだが勝ち馬とは通ったコースの差だけで悲観した結果ではない。このペースでもシッカリと脚は使えていたので地力が高いのは間違いない。レース振りも新馬戦の頃からは良くなっている。スタート良く中位で流れに乗りながら、ペースが速いと見るや追いかけずに後方まで下がる等レースの流れに合わせて競馬が出来た点も良い。コントロールが利いている。2走目までは直線でフラつくなど幼さもあったがそう言う所もなくなりつつある。段々と競馬を覚えてきてレース運びが上手くなっていた。現状のままでも十分強い。ただ、この馬の問題は完成度。新馬戦から仕上げずに使っているし、東スポ杯2歳Sでも勝ち負けの為に仕上げを上げていたという事が無く緩さを残した状態で使っている。それでいてこのパフォーマンスなのだからやはり力のある強い馬ではあるのだが。でも、仕上げ足らずの部分がレースでの物足りなさにもつながっている。1・3戦目が2着と取りこぼしているのがその証拠。新馬戦では最後に詰め切れず脚色が同じになっていたし、東スポ杯2歳Sも勝ったガストリックとは同じ上がりの34.0秒。最後に一脚足りない感じで負けている。この辺が完成度の無さなのだと思われ、突き抜けるような段階にはないのだろう。前走時でも7割程度と言う厩舎評でまだまだ馬は出来上がっていない。今回の焦点もここだけ。能力だけである程度は走れてしまうので大崩れはまずないが、前走からの上昇度がどれほどあるかで着順は変わって来そう。完成度が上がって来ればギアは一段も二段も上がるので、その時が来ればバケモノ級に化けていると思うのだけど。いずれにせよここで賞金加算しておかないと賞金的にクラシックが遠くなる。最近のクラシックは2歳GⅢ2着程度の賞金では安泰とは程遠い。相手も強くなってくるので悠長な事は言っていられないはずなのだが。どこまで完成度が上がっているだろうか?

 

ファントムシーフ

・2歳馬が2000mのレースで33.5秒の脚を使うのは凄いと思う。この条件ではあまり目にする事が無い切れ味。追えばしっかりと伸びる馬。

・上がりの競馬のみの戦績なので持続戦でどうかの不安はあるが、ここまで本気で追っている感じが無いのでパフォーマンスはまだ上げられる。

・立ち回りは上手く、最終コーナーでの反応も良い。気性に難しい面もないので乗り方にも注文はつかない。評価は高めの方が良いと思う。

 

上記がホープフルS出走時のカルテ。

 

GⅠホープフルSで4着とそれなりな結果を出した。結果論ではもう一列前で運んでいれば勝ち負けに加われていたのだが、スタンド前で先行馬がゴチャついていたので仕方ない面もある。馬群が密集していたので一番枠もアダになった感じで追い出しが遅れてしまった。最後は3着馬に差されてしまったが加速しきれないところを交わされたのでもう少し早く追い出し態勢をとれていれば結果は違った。力で負けたとは言えないところである。評価を下げる必要は感じない。狭い所でも破綻せずにレースに集中出来ていたし、器用なレース振りも相変わらずだった。多頭数で大きく崩れなかったのは良かったのではないか?共同通信杯は素質馬揃いのレースだが良い勝負が出来る馬だと思う。ワンターンの競馬は新馬戦以来となるが基本的には脚もあるタイプでキレ味もある方。追ってしっかり伸びるのでこの条件もやれる可能性が高い。出走馬のレベルはGⅠの前走と変わらないので力関係次第になる。

 

ロードプレイヤー

・新潟1800mを新馬戦は32.5秒の切れ味で差し切り勝ち。64.8秒の超スローであったが稍重でここまで切れるのは凄いと思う。

・2走の走りを見ると従順な馬と言う印象で操縦性は良いと思う。折り合いもばっちりで脚質には自在性がある。騎手次第で自由自在に動かせる馬。

 

上記が京都2歳S出走時のカルテ。

 

前走は京都2歳S7着。その前走だった百日草特別と同様に最後方の競馬をしている。ゲートは普通に出るが馬なりで追走するだけで、ポジション取りへの意識が無い。厩舎側の話ではおっとりした馬なので急かしたレースをさせたくないと言う考えのようだ。レースでも3~4コーナーの勝負所で動きが全くない。初騎乗だった岩田望騎手は仕掛けて行くような仕草を3コーナー辺りで見せていたが馬にその気がなかったのか、動いて行く感じはなかった。コーナー4つのコースでこの気性は相当痛い。機動力を全く発揮しないのだからこれでは勝負以前の話になってしまう。最終コーナーもほぼ最後方で回ることになってしまった。加えて、このレースは4コーナー手前で連鎖的な接触事故があったレースなのでこの馬までその被害が波及して本馬も外に弾かれてしまった。ここまでくるともうレースどころではなく、あっけなく圏外と言う結果。適性的なズレもあったし、不利もあったしで参考外のレースとなった。ただ、本レースの上がり最速馬は本馬で直線だけで物凄い脚を使った事になる。5着争いには加わってきて0.5秒差まで詰めて来た。やはり良いものは持っている。末脚の性能はかなり高い。上がりが速いレースでも、上がりがかかるレースでも常に一番速い脚を使えるのだから末脚には安定感がある。今回は走り慣れた左回りのワンターン。この馬にとっては走りやすい。同じように直線勝負でもこのコースならやれないこともない。2走前にはこの条件でGⅠ3着馬を追いつめている。条件は良くなっている。相手は京都2歳Sよりも強いのでいつものように最後方待機の競馬では絶対的な信頼は置きづらいが展開がハマった時はこの馬の末脚は脅威となるだろう。

 

共同通信杯(GⅡ)の予想案はこちら▼