競走馬カルテ

2・3歳重賞の出走馬を分析・記録していくブログです。

小倉2歳ステークス(GⅢ) 出走馬カルテ 2023

 

こんにちは。

 

昨年の勝ち馬ロンドンプランはスタートで大きく出遅れて直線に向くまでずっと最後方。そこからものすごい追込みを見せました。これはテンが速くなりやすい小倉1200m戦でしばしばみられる光景です。

 

小倉2歳Sでも2勝2着1回3着3回と4コーナー10番手以下だった馬が追いこんで上位入着を果たしています。やっぱりちょいちょい馬券になってきますね。追込み馬の激走は要注意です。そして、今年のメンバーにはこれは速いんじゃないの?と言う快速系がいます。この馬が激流を演出すれば今年も追込み馬に出番があるかもしれません。

 

ですが、追込み馬を意識的に狙うことは不可能ですね。この時期にそんな馬を探したっていないからです。上記の該当馬も逃げ切りだったり、先行抜け出しだったりと正攻法な競馬で勝ち上がって来た馬ばかりでした。このレースでいきなり追込み馬として覚醒したという事になります。ここに小倉2歳Sの難しさがありますね。

 

そもそも脚質が定まっていないこともありますが、頭数が落ち着きやすい新馬や未勝利ではあまりゴチャつく事がありません。ですが、重賞ですと多頭数で当たり前なので思うようなポジションが取れない馬が後方追走を余技無くされます。この想定外が思わぬ化学反応が引き起こし物凄い末脚に目覚めてしまうのでしょう。

 

ですので、これをレース前に予想するなんて出来ません。小倉2歳Sで展開想定を軸にするのはとても難しい。追込み馬来ないで!と祈るよりないと思います。

 

小倉2歳Sは9月3日(日)に行われます。前日の2日(土)には更新を終了します。出走予定馬が把握できていないので出走確認出来た馬から更新していきます。

 

予想案は各ページの最下部にある専用ページにまとめてあります。ブログカードを貼っておきますのでそちらをご覧ください。

 

アスクワンタイム

 

中京1200mを2戦して2着→1着。初戦は控えていたら1番人気の逃げ馬にまんまとやられてしまった感じ。レース上がりは同タイムで最速を記録していて内容は悪くなかった。次戦で順当に勝ち上がる。新馬戦では36.0の超スローだったが2戦目では34.0秒とスプリント戦らしく流れがガラっと変わっていた。その速い展開にも難なく対応している。このペースで脚を溜められていたのでスプリント適性の高そうな印象を受ける。序盤からガシガシと攻めていくタイプではないようで前を見据えて脚を溜めながら追走していく感じが良い。GOサインからの反応も良く追ってちゃんと伸びて来る。前走は5馬身差の圧勝。初戦からしっかりと動けているので重賞でも現状の力はしっかりと出してくれそう。気になるようなマイナス要素はなく、相手関係次第で好走の可能性はある。2戦とも道悪競馬で時計的な裏付けがないが2戦目の稍重で34.0秒の通過はかなり速い。3番手からの突き抜けは地力の高さと言えそう。この走りが出来れば持続性で劣らないかもしれない。

 

キャンシーエンゼル

 

中京1200mを新馬勝ち。1:08.7の勝ち時計は好時計。34.2-56.7のペースを2番手から押し切れるスピード能力は優秀だと思う。失速率も小さく、上がり2位で後続に差をつめさせなかった。この時計なら小倉2歳Sでも勝ち負け可能な計算は成り立つ。スタートセンスも良い方で当初はハナにたっていたががむしゃらに行くタイプではないようで2番手でリズム良く追走していたのも印象をよくする。立ち回りも良さそうなので極端にモマれなければ良い走りはして来そう。鞍上の岩田望騎手はアスクワンタイムの手綱を取っていたが2頭とも悪くない馬でどちらを選ぶかは予想の参考になりそう。

 

ビッグドリーム

 

福島1200mを新馬勝ち。3歳のトップスプリンター・ビッグシーザーの全弟になる。適性は高そうでそれを証明するように6馬身差で圧勝している。フライングの様なロケットスタートを決めて1馬身半ぐらいのリードを確保。それでも内から行きたい馬に行かせて3番手を追走。前を可愛がっている感じもあって勝負所でも馬なりのまま並びかける余裕振り。直線に入ってから追い出して独走した。鞭も使わずに後ろを確認する余裕。最後は流して終了。福島なので時計は遅かったが大物感のある走りで素質の高さは十分に伝わった。スタートが良いので序盤から先行争いには加われそう。ただ、ペースはマイル戦並みの35.3秒だったから今回は2秒はテンが速くなる。全く別物のレースをする事になるので対応出来るかが課題となる。控えた競馬が出来るので流れに合わせて差し競馬に徹して来れば面白い存在かもしれない。新馬戦の様な最速脚を繰り出せばゴール前では詰めて来れそう。

 

ドナヴィーナス

 

阪神1200m2着→小倉1200m1着。特徴的なこととして二の脚がとても速い。発馬も普通に良いが二の脚の速力が抜けているので楽にハナを奪ってしまう。その速さから追いかける馬もいないので2番手以降とのリードを保った単騎逃げが出来ている。前走はテンが33.1秒と本番さながらの猛烈なスピードを発揮した。勝ち時計1:08.3もかなり速い好時計。2馬身差で逃げかった。今回もハナ奪えるだろう。ただ、結局のところ速すぎる。前走は開幕週の開幕日で馬場も味方したであろう。最終日だと馬場が味方する可能性は低く、道中の負荷は大きくなるので同じペースで行くとしんどくなりそう。また、昨年の小倉2歳Sで逃げたクリダームは33.2秒で行って沈んでいるように近10年で逃げ馬で馬券になれたのはベルカント(13年2着)のみ。重賞に入ると速いだけでは通用しない。持続性の高い実力馬がいれば交わされてしまうかもしれない。実際、新馬戦では勝ち馬ミルテンベルクに遊ばれて完敗だった。そのミルテンとの再戦はちょっと分が悪い。

 

セイウンデセオ

 

小倉1200mを新馬勝ち。開幕週の開幕日で馬場の恩恵を味方に逃げ勝った。ゲートは速かったが周りの馬も同様に速く気合を付けて主張した。ハナを奪ってからはリズム良く行けていたよう。道中のリードを直線で拡げる事は出来ず最後は詰められたが1馬身差で振り切った。勝ち時計も新馬戦なら合格点で悪くない。走りそのものに目立った長所はなさそうだが良く動けていたと思う。ただ、いろいろと恵まれていた点が目立つ。馬場もそうだが、時計の出やすい状況で斤量の恩恵のある馬はやはり有利だ。大穴だった2着馬も4k減だったし、本馬の3k減も定量馬と比べてかなり有利だったと思う。1番人気だった3着馬とのタイム差が0.2秒差だったのもやはり物足りなく、この着差では3k差の優位性を否定できない。また、牝馬限定戦だったことから相手に恵まれていた可能性もある。開幕馬場、減量斤量、牝馬限定戦と大いに恵まれており、その恩恵を全て失うとなるとさすがに厳しいのではないかと思わざるを得ない。

 

フォルテローザ

 

セイウンデセオが勝った新馬戦の3着馬。1番人気だった。スタートは出たし、流れにも乗れており、内容的には何も問題はなかった。が、外枠だったので内々の絶好位と言う訳にもいかず、コーナリングのロスで直線では5・6馬身ぐらいの差が出来てしまう。1・2着馬は開幕週のインコースを立ち回っていただけにこの差は大きい。加えて、3k差、4k差と斤量差も大きかった。条件・展開に恵まれた相手に0.2秒差まで詰め寄った内容はむしろ優秀。後50mあれば差し切っていただろう。軽量の上位2頭の上がりもちゃんと上回っているので末脚も良かった。未勝利のままの重賞挑戦は楽ではないがセイウンを逆転する事は簡単だと思う。ただ、これでもかと言うぐらいに初戦から仕上げていて新馬勝ちを意識して使っていた。完全に出来ていたので大きな上積みはどうだろうか?セイウンを逆転出来たとしても他の1勝馬と比較して有利になる材料は現状ないので相手候補の域は出ない。

 

ミルテンベルク

 

阪神1200mを新馬勝ち。快速ドナヴィーナスが逃げたレースだが一番良いスタートを決めたのは本馬の方だった。序盤は少々ぎこちなく映ったがスピードに乗ってからはスムーズに2番手を進む。前との差を2馬身ちょいぐらに保ち持ったままで追走していた。勝負所では持ったままで並びかけ直線でも軽く促す程度で鞭を使わずに交わし突き放す。3馬身差の圧勝だったがまだ本気で追われていないので全力を出し切ることなく勝ってしまった。奥の深そうな素質馬と言う感じ。2着ドナヴィーナスもすぐに勝ち上がっているようにレベルも高い。稍重だったので時計は遅かったがこちらも全力疾走した訳でもないので時計はまだまだ詰められそう。有力馬と言う扱いで良いと思う。なお、キャロットFは3年前にモントライゼが1番人気2着、2年前にスリーパーダが3番人気2着、昨年にプロトポロスが1番人気4着と近年は小倉2歳Sに有力馬を送り込んでいる。これは戦略的にそうしており、短距離適性の強い馬を見極めて使ってくる。今年はこの馬ということだろう。要注意な馬になる。

 

メイプルギャング

 

阪神1800m5着→新潟ダート1200m1着。札幌2歳Sで有力馬に数えられるギャンブルルームが勝った新馬戦でデビュー。5着なら好走と言う感じはするが圧倒的に負けていたし、7頭立てだったので下から数えた方が早い。スローで逃げていたがシャカリキな走りで中距離にしては前進気勢が強めに出ていた。直線入り口までハナを守ったが坂で鈍り、登ってからは完全に止まる。スタミナの無い負けか方なので距離短縮は良かったのだろう。芝スタートだった前走ではスタートが決まり一端はハナを切れていたほどで短距離のリズムにもスムーズに乗れたていた。ハイペースの消耗戦を凌いだ内容は悪くなく持続性は高いように思われる。ただ、ラスト1Fに1.0秒も失速している点は気になる。小倉2歳Sでは最後にここまで落ち込まないのでスピードを最後まで持続させられる事が出来るかが課題になってくる。また、我慢比べを1k減で凌いだ感じなのでそこも気になる。なお、前走も芝スタートでダッシュがついたし、新馬戦も普通に走れていたので芝替わりは問題ない。

 

パッシングシャワー

 

小倉1200mを新馬勝ち。標準的な時計で走れているし、定量でこのタイムで走れれば問題ない。2戦目で時計は詰められるだろうし、周って来ただけで楽に勝っており余力も十分。上積みは大きくなりそう。スタートを出遅れて後方からの競馬。急かしてリカバーすることはなかったが馬が自主的にスピードに乗っていく推進力の高い走りで中団くらいまで押し上げていた。最内枠からのスタートだったので馬群を捌くのに数頭分外に出していたのに最終コーナーでは再び最内にいたとても器用な立ち回り。勝負所からはこの馬だけノンストップに加速し続けていた感じで持ったままで先頭に並びかける。直線に入ってもほとんど追われなかった。併走気味だった逃げ馬が頑張っていたのでそれを振り切るのにラスト100mぐらいから手を動かしたが追ったのはこれだけ。それで抜け出してしまうのだから強い。全体的に大人びた走りで1頭だけ走りが違っていた。スタートが決まれば位置取りは良くなるし、直線でさらに伸びそうな感じもある。ここでパフォーマンスを上げて来るだろうと思う。上位に数えて良い1頭だと思う。

 

テイエムチュララン

 

新馬戦・ひまわり賞を連勝中の無敗馬。ここは連闘になる。2戦とも九州産馬限定戦。2戦とも逃げ切りがち。2勝の勝ち時計はどちらも遅く、標準的なものから1秒は遅い。特にひまわり勝は2戦目なら1分8秒台を記録していないと今年の小倉ではダメな部類で1:09.3は明らかに未勝利レベル。また、ひまわり賞は未勝利のまま格上挑戦した馬ばかりで18頭中1勝馬の出走はたったの3頭でこの3頭が1~3着しただけのつまらないもの。3F通過が33.5秒と序盤のスピードは問題無かったが、ラスト3Fの失速は非常に大きく持続性に弱味がある。これでは重賞のペース、時計に対応出来ないと思う。本馬もこのペースで苦しかったようでラチ追いからヨレてヨレて真っすぐに追う事すら出来ず、馬場の中央を超えて斜行していった。この程度の逃げ馬を交わせないような馬は単純に弱く、相手に恵まれていたと言わざるをえない。力不足ははっきりしている。また、4週しか行われない小倉開催をこれで3走目。上がり目なんてあるのだろうか?臨戦過程もよろしくない。さすがに厳しいのではないか?

 

なお、この10年で本馬の様にひまわり賞からの連闘で3着には走った馬(16年カシノマスト)がいたが、この馬はその前走で混合OPのフェニックス賞2着の実績があり通用の根拠を既に示していた。本馬がそう言うレベルにあるとはちょっと思えない。

 

 

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