競走馬カルテ

2・3歳重賞の出走馬を分析・記録していくブログです。

阪神ジュベナイルフィリーズ(GⅠ) 出走馬カルテ②

 

こんにちは。

 

函館2歳S新潟2歳S札幌2歳Sと夏の2歳ステークスの勝ち馬がほとんど出走していて、これに牝馬限定のアルテミスSファンタジーSの勝ち馬を含めると重賞ウィナーは5頭にも上ります。2歳重賞は全部で11鞍ありますから半数近くを牝馬が勝ったという事になります。牝馬の方が強い世代と言うのは近年良くありますが今年の牝馬もなかなか強そうです。ともあれ、今年の2歳女王決定戦は豪華な顔ぶれとなりました。出走登録も大盛況でして最終のエントリーは29頭。うち、抽選対象は14頭(抽選で3頭まで出走可能)。現時点ではあれもいいな、これもいいなと思っていて混戦になりそうだなと思っています。

 

また、毎年恒例のことですが阪神JFの当日は香港国際競走が行われるので騎手の乗り替わりが多数発生します。有力騎手が国内で不在になりますのでどの馬にどの騎手が乗るのかも重要な予想のファクターになって来ます。ちなみに、リバティアイランドに騎乗する川田騎手は日本に居残るようですが、現在リーディングトップでこれを何とか死守したいと考えているそうです。有力騎手がいないところで固め打ちを狙っています。この週末は有力馬が集まるでしょうからGⅠ以外にも気を配っておく方がいいかもしれませんね。

 

阪神JFは11日(日)に行われますので前日の10日(日)にカルテの更新を終了いたします。ページが長くなるようなら1ページ10000文字を目安に2枚、3枚と増やしていきます。更新順は前走毎にまとめて簡単なレース分析を添えて、各馬にフォーカスしていこうと思います。

 

予想案は各ページの最下部にある専用ページにまとめてあります。ブログカードを貼っておきますのでそちらをご覧ください。

 

12/8追記:ページ上段の前説部分は同じものを転用しています。①②の行き来はページにブログカードを貼っておきますのでそちらから移動されて下さい▼

◆その他の2勝馬

 

イティネラートル

 

4戦2勝で勝ち鞍はいずれも逃げ切りだった。どちらもマイペースに落としてレース後半は上がりの競馬に持ち込んでの勝利。内容的に評価を高くするようなものではない。特に前走のりんどう賞(阪神1400)は3F通過36.0秒とマイル戦でも遅い部類に入る。ラスト2F目に10.9秒と言う速いラップを踏めたように完全なスロー競馬だった。2着馬が2番手を進んでいたのだが、この程度のペースで捉えられないようでは相手も弱いということ。地力を保証できるようなものはない。デビューの時から体が小さく400k台の小柄な牝馬なので走りにも余裕がなく奥深さが感じられない。ハナを取れなかったり、自分のペースで行けないとモロさもあるようで3戦目のすずらん賞(札幌1200)では直線で力尽き失速。招待馬の道営馬に1.5秒も離されている。この馬の取捨をする上に同型の有無は重要になるだろう。りんどう賞と同じ条件だったファンタジーSの勝ち馬も逃げ馬だったし、GⅠでこの馬の都合の良い逃げを打つのは難しいだろう。道中の圧も強まるので厳しいになりそうに思う。

 

ウンブライル

 

6月の府中1400mで新馬勝ちし、10月のもみじS(阪神1400)を勝ち2戦2勝。3馬身半、3馬身といずれも着差を大きくして勝ち上がっている。未だ鞭を使われた事が無く、ノーステッキで連勝している点は強調点。半年前の新馬戦の2~5着馬は未だ勝ち上がっていないので相手に恵まれていたのかもと思ったが、ファンタジーSより0.2秒遅いだけだったもみじSの結果で十分担保が取れる。重賞級の馬と見て良さそう。ただ、競馬振りはまだ粗削り。スタートが下手でここまでまともに発馬を決めた事が無い。また、全体的にズブく出遅れた前走は常に追い通しだった。それでも前との差が中々詰まらず、交わせたのは先行集団が止まってから。新馬戦の時もそんな感じの勝ち方でギアがトップに入るまでしばらくかかる。こんな競馬でも圧勝の連続になるのだから素質が高いという事になってくる。こういう競馬振りから1400mベストの馬と言う気はしない。マイルへの延長は歓迎だろうけど、それでも短いかもなぁと思う。追ってバテず、エンジンがかかればグングン伸びる走りからすると2000mぐらい合っても良さそう。いずれにしても距離延長は問題ないと思う。また、美浦の馬だが前走で既に阪神への輸送をクリア済み。距離、輸送と不安材料にならないので相手関係以外に問題点はない。スタートをちゃんと出ること、勝負所の動きに対応出来ることなど課題は多いが勝ち負けになる1頭になりそう。

 

サンティーテソーロ

 

福島1800mの新馬戦を2番手から運んで3着。未勝利とサフラン賞はどちらも中山のマイル戦で逃げて2連勝、上がりはどちらも最速だった。逃げた事で勝っているのか?距離を短縮して勝っているのか?両方噛み合ってのものだと思うが、強いて言えば後者だと思う。新馬戦は中距離で行きたがる素振りを見せていてコントロールがちょっと難しいように見えた。距離短縮でペースが速くなった事でそう言う面は見られなくなっている。気性的なマイラーといったところだろう。逃げるようになったのは2戦目からスタートが抜群に速くなったことによる。発馬で1・2馬身のリードが獲れてしまうので先行争いを演じることも無くなった。サフラン賞はロケットスタートで2・3馬身は飛び出しており、それで場内が湧いたほど。これだけ楽にハナを獲れると無駄な力を使わずに回ってこれるので後半にも力がちゃんと残る。ペースも標準的だし、競合する馬がいなければ大体勝てそうな感じ。レースを使うことで折り合い面の進化も確認出来る。サフラン賞は未勝利より1秒近くもタイムを落として逃げれているのがその証左で流して楽勝した感じ。レース振りにも余裕が生まれている。未勝利勝ちが5馬身、サフラン賞が3馬身と着差は圧倒的。ただ、今回の課題はいくつかある。今回は同型が多いこと。この馬ほどのスタートセンスを持つ馬は他にいないのでハナには行けると思うが玉砕覚悟タイプがいればその限りではない。近2走程の楽な競馬が出来るかは分からない。次に馬体重。434kでデビューしたが2戦目で12kも減らしてしまい、3走目でも微減して前走は420k。そう言う馬の初輸送は怖いし、気性に影響しないか気になるところ。2ケ月振りのレースになるので体をどれだけ増やせるかが重要になると思う。権利があるのでGⅠ出走も悪くはないが、1月のフェアリーSだったらかなり有力だったろうにと思う。

 

ミスヨコハマ

・先行して未勝利を脱出した馬だが控える競馬が板に付いてきた。

・内々をロスなく立ち回れており器用にインを突く競馬を続けている。ただ、インをセコク回っている割には終いの脚が少々弱く、外から来る馬にいつも差されてしまう。

 

上記が京成杯2歳S出走時のカルテ。

 

見て驚いたが、ここまでの6走は全て460kの馬体重。体重の変動が全くなく、こんな馬は見たことがない。面白い馬である。京王杯2歳Sインコースの馬が前残りしたレースで、本馬は控えすぎた(⑬⑬)。器用な馬であったので3枠5番の絶好枠を生かして中位ぐらいにつけていれば一発あったのではないか?もったいない競馬だったと思う。ただ、収穫はあった。馬群を切り分けながら差して来ていて器用さを再確認出来たし、2位上がりだった33.6秒の末脚もペースや位置取りを考慮すれば悪くなく、脚力の高い所も見せてくれた。使いながらレース振りに幅が出ているので本馬の印象は悪くならない。次走で赤松賞を勝ち上がったのも納得。ペースも遅く、同条件のアルテミスSより3秒も勝ち時計が遅いので評価は微妙だが、2番手の積極先は京王杯2歳Sの敗因が活かされていると思う。3位上がりを駆使して押し切っていて、脚のあるところを再び見せた。この馬なりの収穫は大きい。府中戦に対応出来ているのも印象を良くする。赤松賞の2着・3着はデビューの頃から評価・評判のかなり高い馬であったのでこれらに競り勝っているのも価値がある。これらに挟まれながら凌いだ内容は数字以上に価値があると思う。ただ、既に6走を済ませた臨戦過多な馬で中1週、中2週の競馬となるのでローテはさすがに厳しいし、上積みはほぼ期待出来ないだろう。美浦の馬なので輸送競馬でもある。今回はかなりハードな状況だ。ここは経験を積む場となりそうな感じだと思う。春に戻ってくる頃に改めて期待したい。

 

ムーンプローブ

 

新馬戦は出負けして負けたが、2戦目からは抜群のスタートを決めて阪神マイルを2連勝中。ここは勝って同条件。前走はファンタジーS3着馬を退けての勝利で悪くない。発馬が安定した近2走は楽に先行ポジションを確保して高いレースセンスを発揮している。折り合い面に問題もなく、レースが加速する勝負所でも持ったままでスムーズに回って来る。直線に入る頃にはいつでも抜け出せるような体制を確実に取れてい立ち回りの上手さが目につく。全体的な印象は良い。反面、追ってからの伸び脚は物足りなさを感じる。いずれも早めに抜け出しセーフティリードをとるが、ゴール前になるとその貯金はほぼ使い果たしてしまう。半馬身、クビ差と辛勝の連続でゴール前はいつも詰められている。先行馬なので上位上がりを記録していないのは普通の事だが、重賞級の先行馬なら条件戦でも最速上がりを普通に記録するものだ。この程度の脚力ではGⅠだと迫力不足になってくる。時計的には合格点だが決め手勝負になると分が悪くなるだろう。いつもの様な競馬をしてどこまで通用するだろうか?

 

モリアーナ

 

2戦2勝の無敗馬。2戦とも上がり最速。前走のコスモス賞は同じ条件だった札幌2歳Sの勝ち時計が全くの同タイム。この時の2着馬もドゥアイズで札幌2歳Sと同じなのたが、ドゥーラが0.1秒差であったのに対し本馬は0.3秒差と着差が若干大きい。ドゥーラは開催後半のレースであり、レースにも余裕が合ったので全くの同レベルとは出来ないが、こちらも相応に評価しておく必要がある。ただ、コスモス賞新馬戦よりパフォーマンスが低下していたと思う。コーナリングは上手くなかったし、抜け出してからの失速率も大きく追って伸びているような感じはない。小回りコース、距離延長がプラスに働いた様には思えず、適性外のレースを能力の高さで押し切ったという感じが強い。このレースをGⅠの根拠とするのは少々危険。が、コスモス賞より強さが光った新馬戦は府中のマイル戦だった。阪神JFに近い条件で良いパフォーマンスを発揮していた点で今回は有力視する事が出来る。ペースが遅いのでラップ的な中身や勝ち時計から評価する事は出来ないが、上がり33.0秒のキレ味は極上の部類に入るだろう。このレースは2歳戦の開幕週である。この時期にこれだけキレるのだから素質は感じざるを得ない。札幌の洋芝で末が鈍ったのもこれで納得出来そうだ。GⅠにより近い条件でこれだけ走れれば評価を高くしてよさそうだ。総じて先行センスが高く、二の脚もしっかりとしているのでポジショニングに苦労しない。折り合いに不安も見られないし、追ってからの反応も府中では鋭敏であった。GⅠでも通用しそうな下地は十分に感じられる。

 

◆抽選突破組

 

エイムインライフ

 

阪神マイルの新馬戦を勝ち上がる。スローの上がりの競馬を3番手から最速上がりを繰り出している。3F通過36.8の低速ペースを33.4秒の末脚なら脚は使える方だろう。ただ、勝負所でレースが急加速するのだがこの際に他よりアクションが大きくなっていて対応出来ていない感じはあった。新馬戦で馬が動ききれていないのかもしれないと思ったが、2戦目を見ると同じ挙動になっており、勝負所で置かれてしまうクセがあるようだ。1勝クラス(白菊賞)でこれなのでGⅠの勝負所ではさらに置かれてしまうかもしれない。また、スローで地力の問われない新馬戦を勝っていたが、道中のペースが2秒近く速くなった白菊賞ではパフォーマンスを落として負けている。触れたように勝負所の反応も鈍いし、直線で脚を伸ばす余力も無いまま負けた。最後はフラフラしながら流れ込んだだけ。相手関係やレースレベルが上がったことで順当に負けた感じで、地力の無さを露呈したように感じた。道中に不利も無かったので普通に力負けとだと思われる。特別な事情や理由でもあれば考慮するが、何もないなら低評価で良いと思う。

 

シンリョクカ

 

抽選に漏れたら牡馬を相手にしてでもやるつもりだったようだ。朝日杯FSにも登録している。GⅠへの意識が相当強いのだろう。それだけに新馬勝ちの内容が素晴らしい。府中のマイル戦で雨降り馬場の稍重だったが33.4秒の末脚で差し切った。36.7-62.9秒通過の低速戦なので時計的な価値は薄いが、走りっぷりにはスケール感があった。3.2秒も後傾した上がりの競馬なので前にいる馬が有利な展開。直線を向いた時点ではやや差が開いていて、先頭を行くのは抜けた評価の1番人気だった2着馬。普通はこの馬が勝つ競馬。最後に0.1秒失速しただけのほぼ加速ラップの展開で2着馬も止まってはいない。これを差し切ったのだから実にエライ。しかも、最後は流した感じの3馬身半差。モノが違っていた印象。関係者がその気になるのも分かる。立ち回りや折り合いに気になるところも無かったし、追い出してからの反応も鋭敏。追えば追うほど伸びる感じで末脚も力強い。クラスが上がってもこの馬の末脚は通用するのではないかと思える。正直、厄介なのが抽選を突破したなと思った。1戦1勝馬なのでGⅠだと荷が重いのは確かだが、これがトライアルやGⅢとからなら重い印が集まる馬だと思う。取捨は慎重にした方が良さそうで人気がないなら狙ってみるのも面白い。

 

ハウピア

 

9月の中京芝1200mでデビューして4着だった。1200m戦にしてはペースが遅く、マイル戦並みの超スロー。最後に速い上がりを求められた上がりの競馬。本馬も33.8秒の脚は使ったが他馬も速く、差を詰め切れないまま入線する。レースレベルは低いもので、この時の勝ち馬が朝日杯FS出走の3頭に完敗の内容だった。相手もそう強い馬ではなく、これを交わせなかったのは能力に疑問符が付く。ただ、当時は仕上げ途上だったのかもしれない。序盤の行きっぷりも悪くこのペースでも追い通しの競馬で流れに乗りきれていなかった。ので、これを叩いた事で2戦目で変わり身を見せ阪神1400m戦を勝ち上がった。新馬戦より1秒近く速いペースで流れに乗れていて2番手を追走した。行きっぷりが格段に良くなっている。直線は後続の追撃を受け3頭併せの我慢比べに。そのまま飲み込まれそうな感じもあったが、坂を登ってグイっと伸びたのはこの馬だった。両隣を牡馬に挟まれて差し返した勝負根性は牝馬らしからぬもの。408kと小柄な事も踏まえると気持ちの面は強い馬のように思う。稍重で記録した走破時計は1:21.6。良馬場だったファンタジーSや、人気を集めるだろうウンブライルのもみじSと比べても優秀で馬場差を考慮するとこれら以上の価値もありそうな気がする。低レベル戦だった新馬戦に見るべきものは無かったが、未勝利の内容は評価材料が結構あって馬鹿に出来ない。ただ、やっぱり相手なりの評価が妥当の様に思う。スピード性能に高い感じは受けないし、前走も一杯々々の辛勝なので余力たっぷりに勝ち上がっている訳ではない。強敵相手に評価を上げるほどの材料はないだろう。紛れて入着ぐらいの可能性がせいぜいだと思う。

 

 

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