競走馬カルテ

2・3歳重賞の出走馬を分析・記録していくブログです。

フラワーカップ(GⅢ) 出走馬カルテ

 

こんにちは。

 

アクシデントで間に合わずここから始動したオークス馬ユーバーレーベン、2歳時からの路線変更でここから始動した秋華賞馬スタニングローズなど近2年は牝馬三冠レースで輝いた馬が出ました。しかし、これはあくまでレアケース。本当に強い牝馬桜花賞を目指すものと決まっています。桜花賞トライアルが終了した翌週に行われるこのフラワーCには強敵不在になるのが特徴の1つです。なので、勝ち上がったばかりの馬でも好走しやすい土壌があり、新馬組が【2・0・0・7】、未勝利組が【2・3・1・30】と馬鹿に出来ない好走実績を残しています。


また、フラワーCは世代最初の牝馬限定中距離重賞です。ここからは距離適性が問われてきます。マイルまでしか番組のないOPや重賞を走っていた馬は【1・4・1・35】と実に低調なものです。その反面、前走1勝クラス組は【5・4・7・40】とこのレースの中心的存在になっています。条件戦なら中距離レースはいくらでもあり、かつ強い牡馬を相手にしているので条件戦組が活躍するのも頷ける話です。能力的に劣る中途半端な重賞実績馬では距離適性を誤魔化せないということですね。

 

と申しましても、だから荒れるかと言えばそんな事もありません。1・2番人気の複勝率はともに70%でほぼ馬券になると言っていいでしょう。下級条件の馬ばかりだと能力比較が難しいですが、判断に迷った時は民の声(人気)に耳を傾けるのも悪い事ではありません。

 

フラワーCは18日(土)に行われます。前日の17日(金)には更新を完了します。出走予定馬を全て把握しきれなかったので確認出来たものからカルテを作成しています。出来上がっているものから更新し、未作成のものは最終登録を確認して更新していきます。

 

予想案はページの最下部にある専用ページにまとめてあります。ブログカードを貼っておきますのでそちらをご覧ください。

 

エミュー

 

馬体が小さいので非力な印象。モマれ弱いし、道悪や力のいる馬場は不向きな感じがする。また、スタートがあまりうまくないので好位を取れた事はない。終いの脚はしっかりと使えるが航行距離は短い。だから府中よりは中山の方が向いている。マイル戦を4戦してるが対応は出来ていたと思う。ただ、どのレースも多頭数なので捌ききれなかったり、外枠ばかりでロスが大きかったためこの馬の脚力では足りなかった。上位上がりもなかなか記録出来ずにいた。位置取りも後ろからだったので余計にそうなってしまう。マイルだとこの馬の好走条件は揃いにくい。前走で中山1800mのデイジー賞を差し切って勝利した。少頭数のレースで距離ロスやモマれる事がなかったのが最大要因。この馬の末脚でも十分に届き、ここで初めて最速上がりを記録する。どんなレースでも最後に自分の脚だけはしっかりと使ってくれるのでその点がこの馬の良いところではある。しかし、レースの内容はあまり威張れたものではない。1000m通過62.5秒のスローだったのに最後の失速は大きい。だから届いたという感じは強く、このペースで前が止まってしまうようなメンバーはあまり感心出来ない。勝ち時計も当然遅い。小さい体で頑張ってはいるが地力そのものは高いとは思えない。展開の助けは必要だと思う。印に余裕があれば。

 

エメリヨン

 

10月の府中1800mを新馬勝ち。スローで勝ち時計も遅いので数字的な価値はないが、レース振りはとてもよかった。中位で折り合いをつけて、道中もスムーズ。勝負所から持ったままで進出出来る機動力も良い。11.9-11.1-11.2と失速がほとんどなかった上がり3Fをこの番手から差し切っているのも優秀。2・3着がインから伸びて来たのに対し、こちらは外から差し切っているのも良い。脚のあるところをしっかりと見せた。2着馬が次走で勝ち上がっているのも印象を良くするところ。だが、次走の2400m(ゆりかもめ賞)で1.1秒差の大敗。出たなりで絶好位を取れていたのに最終的に最後方の乗り方はひどい。あまりに消極的過ぎる乗り方。ただ、最後は流して入線しているので、馬に何かあったのかもしれない。いずれにせよ、このレース振りでは勝負は二の次。それでも3位上がりは記録していたし、道中の流れは新馬戦より速くなっていたのである程度の持続性も確認出来た。馬自身に悪い印象は無く、マイナス査定の必要は感じない。また、3馬身差で圧勝した勝ち馬は別格の扱いが必要な馬である。2着とは0.6秒差でしかないのでそう悲観する事もない。まともにレースをしていれば上位に顔を出していたと考えられる。敗因は確認する必要はあるが、評価は高めのままで良いと思う。牡馬相手から牝馬限定に変わること、距離が1800mに戻ること、鞍上が強化されることなどを考慮すると見直しの余地は大きくなると思う。中山コースが初めてになるので課題はあるが、侮れない1頭だと思われる。

 

クリニクラウン

 

中山ダ1200mを新馬勝ちする。この条件で度々目にする光景だが、なんかトンデモないところから飛んできた。スタートで出遅れて後方3・4番手の競馬。4角でも先行集団よりかなり後方を追い上げ始めていたところ。直線に入っても10馬身以上は差があったと思うが1頭だけ違う脚色で外からぐいぐい来て差し切ってしまった。見た目のインパクトは強烈だった。ただ、ラスト3Fがオール13秒台の消耗戦で先行馬が一様に止まっていたことが差し切れた要因。ペースを考慮すればここまでラストに落ち込むのは感心出来ないところで、負かした相手も弱かった印象がつよい。勝ち時計も標準より1秒半から2秒ぐらい遅い。この勝利はドハマり認定で良いと思う。競馬ファンもそれを認めたようで次走の府中1600mでは10番人気の低評価だった。結果も1.7秒差着の大敗。このレースでも後方からレース運んでいるが、見た感じ追走力が弱いので流れに置かれてしまっているようだ。直線勝負で挑んだが今度は新馬戦程の失速は無く、前もそれなりに頑張っていたので差が縮まる事はなかった。使った末脚もレース上がりすら上回れていないので後方待機の意味もない。4k減もあってこの末脚は情けない。多分、普通の弱い馬だと思う。流れに乗れないズブい馬なので距離が延びるのは良いと思うが、芝戦になればむしろ流れは速くなる。その流れに乗れるとはちょっと思えない。さすがに厳しいと思う。なお、2走とも芝スタートだったが、芝部分でもダッシュはついていないので芝適性は全くの未知数である。

 

ゴールデンハインド

 

スピード要素に弱い馬。まず、ラストに速い脚を使えないので決め手勝負を避ける意味合いから逃げ先行の競馬をする事が多い。馬券になった未勝利、芙蓉S、デイジー賞の1000m通過は順に63.3秒、65.1秒、62.5秒といずれもスロー。特に未勝利、芙蓉Sは自ら逃げてペースを落としていた。これだけ遅いと上がりの速いレースになりそうなものだがこの3戦は全て中山コースだったので上がりが速くなることがなく、この馬でも粘る事ができたのだろう。そう言う条件を意識的に使われているのだろうと思う。逆に府中で1度走ったアイビーSでは60.3秒とタイトな展開になったことで先行ポジションを取ることも出来ず、中位から後位へとレースが速くなるたびに遅れていった。スピード競馬へ対応力がかなり弱い。以上のことから、スピードが求められない条件を先行して粘るのが好走パターンと判断して良いだろう。とにかく競走馬としてかなりズブいフラワーCの中山コースは得意条件ということで良いが、さすがにこの馬向きのペースでレースが進むことは無いので中山でも追走で一杯になってしまう可能性はある。ズブい馬の距離短縮も歓迎出来ない材料だろう。1800mでは忙しいのではないかと思う。ただ、瞬発的な速さはなくても、長く脚を使う事は出来るので消耗戦などの体力勝負では良い処があるのでその点は要注意。道悪やタフな展開で頑張ってしまう事はある。当日の天気や展開次第で一考の余地は残しておいた方が良い。

 

セリオーソ

 

中山2000mの新馬戦を5番人気で勝利。この新馬戦はなんといって良いか分からない。まず、人気馬が総崩れとなり3連単が100万円を超えている。なので上位入線の各馬は次戦でものの見事に凡走している。2・3・5着馬は3走目を済ませているが、勝ち上がるどころかどの馬も着を大幅に下げて負けている。フロックだらけのレースだったようでそれらを相手に勝ったこの馬の評価も如何にすべきかは悩ましい。まず、良い方に解釈すると加速ラップだたレースを⑩⑩⑧⑦のレース運びから追い込んだ決め手は純粋に強烈。ギリギリ間に合ったものではなく、3馬身と一方的に圧勝しているので評価のしようがある。この馬だけがまともに走ったのかもしれない。ただ、ペースも時計も遅いし、レース内容にはまるで良いところがない。前後半で62.0-61.7と0.3秒しか速くなっていない。なんのためのスローペースだったのか?こんなレースを勝ったところでやっぱり評価を高くは出来ない。馬なり、鞭無しの楽勝だったら見方も変わるが、必死に追ってこの内容なので上積みの余地も乏しい。弱いと決めつけるのも気が引けるのだが、力を証明するものも無いから強さを期待するのは難しい。印に余裕があったらその時にどうするか考える。

 

ディヴァージオン

・展開を踏まえれば突き抜けて圧勝という流れだったが、後続に詰められてしまいアタマ差の辛勝。走破時計2:05.0が物語るように全体的に物足りない。

・クセのない乗りやすそうな感じはあり立ち回りそのものは上手いが、決め手が問われてくる上級クラスでは慣れが必要な感じがする。

 

上記がフェアリーS出走時のカルテ。

 

フェアリーSが3.0秒差のブービー。これはデムーロ騎手のヤラズで最後は全く追っていないので大敗そのものは度外視で良い。大事なのはヤラなかった理由。スタートは決まったがマイルだとテンが速いので五分に出れても中団ぐらいがやっとと言う感じ。このレースはレース史上最も速いハイペだったので以降もペースが緩む事がなかったが、本馬はこのスピードについて行く事も出来ず徐々に置かれ始めて勝負所では大きく離れた最後方付近。2000mを2:05.0で勝ったような馬には流れが速すぎた。マイルのリズムにも乗れなかった印象。新馬戦でもズブい感じは出ていたのでスピード競馬に対応出来ないのだろう。2戦目なので素軽くなっているといいなと思っていたが、そう言う所は全く無かった。新馬戦の評価を裏付ける2戦目となった。1800mへの延長でレースは運びやすくなると思うが、スローの2000mでもズブい馬にはこの距離でも忙しいのではないか?立ち回りは上手い馬なのでスロー展開に恵まれるようならコース的に大穴を期待できるが、例年通りの流れだと勝負所の3角過ぎには追走だけで一杯になっているのではないかと思う。馬が根本的に変わっていないと今回も厳しそう。

 

ドナウパール

 

阪神マイルでデビューして4着。マイルだと忙しいかな?と言う負け方。好発を決めながらペースについて行けないところがあり、促しながらようやく中団をキープしていた。また、レース上がりが33.6秒と速く、最後は瞬発力でも劣ってしまった。ただ、マイルの適性が無いというよりは動けていない感じもあったのでやれない条件とは決めつけられないのだが。いずれにせよ、次走は距離を伸ばしてあっさりと勝った。小倉の1800m戦を2馬身半差の完勝。中距離になり、追走面は楽になり気合をつけることも無く前走と同じポジションをキープ出来ていた。勝負所の手応えが他と違っていて軽くマクって突き抜けた。展開もタイトに流れた持続戦で、勝ち時計も良い。楽なペースではなかったので本馬の地力の高さが際立ってしまうレースだった。2戦目で馬自身がしっかりと動けていて変わり身も大きかった。前進気勢が強くなっていた点は気になったが、他に目立った欠点はない。フラワーC桜花賞路線から微妙にズレたレースで、有力馬が集まりにくい。故に勝ち上がったばかりの馬でも好走出来る下地があるので、この程度走れていれば通用しても不思議ない。前走が小倉戦なので長距離輸送の連続となるからその影響がないなら良い所がありそうだ。

 

パルクリチュード

 

11月の福島ダ1700mでデビューして逃げ切り勝ち。スタートは五分だったが、二の脚が利いて外枠からハナに立てたスピードは良い。ダートの中距離で10秒台のラップを刻んで行けるのだからスピードがある。以降は13秒台を連発してスローに落としている。緩急の使い分けが上手く、気性的に賢い印象がある。4角手前では奇襲気味にマクって来た馬に一端は前に出られるがコーナーリングで先頭を奪い返して逆に突き放す完勝。スピードだけでなく、パワーも兼備したポテンシャルは評価が高くなる。次走に芝1400mの紅梅Sを使うのだが、新馬戦からの条件変わりが激しい。この時期は牝馬限定の中距離戦はないので苦肉の選択肢という感じだろうか?しかし、本馬のスピード適性はこのレースにもしっかりと対応していた。五分の出から先行集団の後ろぐらいをキープ出来ていて短距離のスピード競馬でも自然と流れに乗れている。勝ち負けの競馬に持ち込んでの4着はこの馬の対応力の高さを物語っている。また、決勝点前では勝ち馬の斜行により、1・2着馬の間でパチんとされて手綱を引っ張る大きなロス。勢い十分に叩き合いに持ち込めていただけに、これが無ければ勝てていた可能性も否定できない。初芝だったことも踏まえると評価高めで良さそうだ。中距離をこなす可能性を新馬戦で見せているので距離延長に不安もない。消耗戦に対応出来る体力もあり、速いラップも刻めて、ハイペースの流れにもついていける持続力もある。芝の1800mは未経験だが通用の下地は確認出来る。むしろ欠点が見えないぐらいで普通に強いのではないかと思う。今回も初条件だがしっかりと走れる可能性の方が高そうだ。

 

パルティキュリエ

 

府中1600mを2戦して2着、1着。新馬戦はテンよし、中よし、終い良しのバランスの良い持続戦、未勝利戦はその新馬戦より1秒半ぐらい速いペースで進行してラストが時計のかかる消耗戦。2戦の中身が良いので走破時計も2歳戦としては優秀。いずれも同時期に行われたアルテミスSよりも時計が速い。持続性や地力の問われる展開で勝ち負けを演じて来たのは良い印象。スタートの良い馬で、出たなりで2・3番手の位置が取れるためレース振りは常に安定している。かつ、タイトなラップ構成になっても終いに脚を使い抜け出せている点は評価を高くすることが出来る。新馬戦は勝ち馬のすぐ後ろのポジションから追い出したのだが、上がりで勝ち馬に劣りその分だけ負けてしまった。この勝ち馬は次走で赤松賞2着とそれなりに走っているので相手も弱くなかった。この新馬戦で決め手負けしたからか、2走目では速い展開を2番手から積極的に乗っている。なので最後は苦しくなったが後続に差を詰めさせることなく押し切った。この2戦の内容からすると決め手勝負になりやすい条件よりは、よりタフな展開を持続性で乗り切るレースの方が向いていると言えるかもしれない。距離延長で決め手勝負になりにくい、中山1800mは府中マイルよりもレースはしやすくなる可能性がありそう。序盤の立ち回りも上手いし、折り合いを欠く感じも今のところないので条件が変わっても力を発揮するのではないかと思う。

 

※1週前の段階で回避話が出ていたようなので状態面のチェックはしておいた方が良い。

 

ヒップホップソウル

・動きたい時に動ける自在性は目を引いた。

・前を可愛がる余裕を見せ、3馬身ほどの差も一気に詰め、手綱を押さえる余裕すらあり、最後は流して4馬身差の圧勝。新馬戦の内容はインパクトが大きい。

・時計面が物足りなかった新馬戦だったが、2着に負けたベコニア賞で3.9秒時計も時計を詰めた。スピード能力にも特に問題はない。

・先行して速い上がりも使えるし、機動力もあるので中山マイルは向いていそう。

 

上記がフェアリーS出走時のカルテ。

 

1番人気だったフェアリーSで11着。直線で追い出してから全く反応がなく、ずるずると下がる。スタートがちょっと悪かったこと、ポジションが悪くモマれてしまったこと、これまで経験したことのない速い展開で馬が疲れてしまったとか敗因らしいものは思いつくが負け過ぎな印象が強い。ハイペの展開をマクって動く強引な競馬もあまり良くなかったと思う。が、2番手で競馬をしたスピードオブライトが3着に頑張っているのでそれだけを理由に出来ない負け方ではあった。むしろマクりのタイミングはドンピシャぐらいにハマっていたと思うので負けるにしてももう少し上の着に踏ん張っていて欲しいところだった。あきらかな失速は力不足か、状態不足のどちらかということになる。前者は考えづらいので敗因はしっかりと確認しておきたい。厩舎の評価は完成はずっと先と言うもので、左右のバランスに課題が残っているそうだ。スムーズに立ち回れないとまだ厳しいのかもしれない。2戦目までの内容がとても良いのでこんなものではないと思うのだが、展開や相手関係などに恵まれる必要があるのかもしれない。もう少し具体的な敗因が分かればその際は見直したいが。

 

マテンロウアルテ

 

2000mだけを使い阪神、中京、中京と走り3走目の前走で勝ち上がった。瞬発力のある馬で追い出してからの反応が良い。初戦は中団で進路が取れてからグンと来て最速上がりで0.1秒差まで詰めた。近2走は逃げているのだが、直線に入ったところで後続を簡単に引き離してリードを取れる。先行してもGOサインが来てからの反応は変わらずに良い。逃げた2走でも3位上がりを記録していてラストの脚もしっかりとしている。差しても、逃げても良い走りをしているので印象点は高い方。逃げるようになった2戦目から横山典騎手が騎乗しているが、道中はスローに落としたタメ逃げ。2戦目などはそこまで落とすの?と言うくらいのドスロー。鞍上の意のままにスピードをコントロール出来るのもこの馬の良いところ。気性がよほど良いのだだろう。最後は瞬発力でビュンと動けるので、中山1800mはレースがしやすいと思う。前めのポジションで運べそうなのでこのコースに合った競馬は出来る。ゴール前ではいいところにいれそう。この馬が先手を取ると緩い流れから決め脚勝負に持ち込んでくるだろうから、今年のフラワーCはスローになるのではないかと思う。レース振りや適性に問題がなさそうなので、後は相手関係次第。この馬以上の決め手を持つ馬が何頭いるかで結果が変わる。3頭以上いれば着は厳しくなるが、そうでなければ馬券になれる。なお、何をするか分からない騎手だがこれだけ動く馬を後方に下げる事はしないと思うので余程の事が無い限り先手を取るか、2・3番手の位置取りになるだろう。

 

ミカッテヨンデイイ

フェニックス賞のレース内容が良く、この時期にこの条件で33秒台の上がりを使える馬は多くない。前年のナムラクレアに匹敵する内容。

フェニックス賞を勝つまでは1・2位の上がりを使えていたが重賞では上位上がりが記録出来なくなっている。相手が強くなって脚力レベルが相対的に低下している。

・先行策で走っていたが、小倉2歳Sからは後方待機が定着している。この頃からテンションが高くなっているとのことで思うよう名位置取りが取れていない。

 

上記がクイーンC出走時のカルテ。

 

クイーンCは15番人気で0.7秒差8着。一応は不振脱出としておきたい。凡走続きの近走からすれば馬は頑張ったと思う。後方儘尽だった馬がレース上がりを上回る脚を使って差を詰めて来た事は評価したい。テンションが高い状態が続いていたので休養効果で精神面がリセットされたのだと思われる。ただ、これだけで評価急上昇とはやはりならない。後方2番手だったレース振りに変化はなかったし、結局は止まった馬を交わしただけと言う内容で伸びている馬を競り落とした訳ではない。末脚勝負に徹しながら4位の上がりしか使えていない点は物足りないし、この脚力で後方待機は無謀無策。脚がないならもう少しポジションを修正してレースが出来るようにならないとダメ。中山1800mなら追走が楽になるので何とかならないだろうか?1200mで先行出来ていた馬なので行こうと思えば行けるはず。テンションが落ち着いて来たなら思い切った脚質転換を試みる頃合いだと思う。それで勝てる保証はないが、その方が着に来れる可能性は上がると思う。今のままなら何も起こらないのでは?脚質に関するコメントが確認出来るようならその時に再度可能性を探してみたい。

 

ココクレーター

 

10月の府中1800mで2着、2月の府中マイルで勝ち上がる。新馬戦ではここ出走のエメリオンにクビ差負け。出負けしてしまったので立ち位置が悪くなってしまったのが敗因。リカバーして中位を走っていたが、馬群の中のレースとなったので、直線で前が中々開かずに追い出しが遅れ届かなかった。ただ、勝ち馬はスムーズに抜け出していたのでそれをクビまで追いつめた走りは凄い。進路が取れて追い出せたのは残り100mぐらいでそこから一気に加速した瞬発力に見どころがある。勝ちに等しい内容だったので負けて強し。だから、次走であっさり勝ち上がる。ノーステッキの楽勝だった。スタートも上手く出れて4・5番手のポジションで運べていた。ただ、ここでも馬群が空かずに追い出すのに苦労してしまうのだが、進路が取れてからは一瞬で抜け出してしまうのだからやはり決め脚がとても素晴らしい。スムーズだったら馬なりで勝てたのではないかと言うほど手応えがあった。0.3秒差の完勝。新馬戦はスローで時計的な価値の薄いレースだったが、2戦目は標準的な流れで走れているので持続性や速力などに問題はなさそう。今回は中山に変わるが瞬時に加速出来る性能が高いので、こういう脚は中山では器用さに変わると思う。上手い事対応してくれそうだ。道悪になると未知数扱いになるが、良馬場だったら不安材料は無い。キャリア不足なので桜花賞を走らせたら厳しそうだが、フラワーCなら上位評価が可能だと思う。

 

ニシノコウフク

 

新潟マイルの新馬戦を勝った後、同じような条件の府中マイル戦を2度走る。アルテミスS赤松賞と勝ち負けに加われそうな立ち回りは出来ていたが決め手勝負で追い負ける。新馬戦ではその戦法で勝てたがクラスが上がると決め手で劣ってしまう。クラスの壁がある感じ。ラストの上がりは速くならない方がいいタイプのようだ。次走、次々走の中山で2着、3着と着を上げている。上がりが速くならないコースである事もあるが、元々が立ち回りの上手いレースセンスの高い馬なので中山でパフォーマンスが上がるのも納得出来る感じはする。前々走の菜の花賞(1600m)は枠の差で負けただけという感じだったが、前走のデイジー賞(1800m)は出遅れや直線の不利が敗因だったのでまともだったら結果は違っていた感じはする。ここ2走はちょっとした事で負けているので力負けではない。2勝馬ぐらいの評価にしても良いと思う。ただ、菜の花賞もデイジー賞もレースの内容としては淡泊なスロー戦なので地力の高さを証明する内容にはなっていない。タイトな展開でやれる持続力や体力が如何程あるかはここまでの全戦で確認出来ていない。厳しい展開になった時に入着出来る保証まではないと思う。中山1800mはレースセンスや機動力のある本馬には適した条件だが、相手候補の域は出ないかもしれない。紛れた時に入着するぐらいの力はありそうだが、積極的に推奨するにはまだ何かが足りていない。

 

フラッシングレート

 

2歳7月にデビューして小倉1800mを2戦して勝ち上がったが、クラスが上がってからはタイム差を大きくして負けている。2走前からようやくポジションを取れるようになったが騎手が促していないと進んで行けないような馬で全体的にズブさが目立つ。11秒台前半のラップだとついて行くのに苦労するタイプでそう言う区間で置かれる事も多い。勝ち上がった未勝利もハイペの消耗戦で失速率が大きくなった事で差し切れたようなもの。ここまで前を捉えに行くようなレースは出来ていない。バテた馬なら交わせるが叩き合いで勝てるイメージは湧かない。と言うか、叩き合いにも持ち込めていないのが現状でクラスが上がってからは直線で勝ち負けに加われたことは無い。一線級が出走してこないフラワーCだから検討のテーブルには乗るが、桜花賞路線の重賞だと印の必要な馬ではない。こういう馬なので器用さや機動力も欠けていて、立ち回りそのものに不器用な面がある。1800mは条件的に悪くない距離だが、重賞だと流れも速くなるのでこの馬には忙しいと思う。余程大きな成長でもない限りは厳しい。道悪で上がりのかかる展開になった時にどうにかこうにかではないか?

 

マルカシャルマン

 

10月の阪神1800mを6番人気で勝ったが、1勝クラスを2走して良い所がない。新馬戦の勝ち方自体は悪くなかったがどうも相手が微妙だったようだ。2・3着馬は3走目を済ませているが勝ち上がれていないし、この時の1番人気だった7着馬も4走目で未勝利。2番人気で5着だった馬が勝ち上がっているが7戦目の勝利だった。この馬も2k減の小沢騎手が騎乗していたので、相手、斤量など多分に恵まれていたように思う。昇級後のレースで精彩がないのは単に能力的な問題かもしれない。2走目のエリカ賞レミージュがスローに落として逃げ切ったレースだったが、インポケ3番手の絶好の立ち回りでありながら他馬に迷惑をかけながら失速していくだけだった。中京2000mの平場ではフリームファクシ、ダノントルネード等の素質馬相手に2k減の斤量で圧倒的に負けている。このレースはペースがタイトに流れたレースだったが、素質馬の様には脚を溜めきれていない。これも能力が劣るからに他ならないだろう。重賞級の馬でないのは間違いないと思う。抜けて強い馬がいる訳ではないが、それでもここは厳しいと思う。

 

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