競走馬カルテ

2・3歳重賞の出走馬を分析・記録していくブログです。

ローズステークス(GⅡ) 出走馬カルテ 2023

 

こんにちは。

 

4年ぶりに阪神1800mでローズSが行われます。外回りワンターンの阪神1800mは有力馬が力を発揮しやすい条件ですね。だからかもしれませんが紫苑Sよりも強い馬が集まったような気がします。

 

ここに出走するオークス組は4着ラヴェル、8着ソーダズリングの2頭。紫苑Sに出走したオークス組よりも強いところが来たなと言う印象です。また、オークス未出走の2勝馬に素質馬が多い。中にはリバティアイランドが条件戦を走ってたみたいな馬もいます。ローズSは良い意味でヤバいですね。

 

ローズS紫苑Sの重賞化以降存在感を低下させていますので本番でどう繋がるかわかりません。でも、今年のレースは純粋に面白いレースになると思います。


ローズS(GⅡ)は17日(日)に行われます。前日の16日(土)には更新を完了します。出走予定馬を全て把握できなかたので、出走予定の馬からオークス組→2勝馬の順に更新していきます。

 

予想案は各ページの最下部にある専用ページにまとめてあります。ブログカードを貼っておきますのでそちらをご覧ください。

 

オークス分析・回顧

今年のオークスの流れは面白い。逃げたライトクオンタムの作り出したペースはこれぞ精密機械と言うべき正確さだった。1000m通過が60.0秒ジャスト、2000m通過が120.0秒ジャスト。1000m毎に60.0秒ピッタリで走っている。この程度なら稀に見るがそれだけではない。6~10F区間の各ハロンを12.0秒(×5で60.0秒)の同一ラップを踏んでいるのだから凄い。ここまでワンペースで走れる馬は初めてお目にした。折り合いを欠いて逃げたという事だがそれも最初だけだったのだろう。以降は極端に速い箇所もなく、極端に遅い区間もない。見事なイーブンペースで今年のオークスを締まった流れに演出した。

 

このコースをこういうペースなら位置取りを問わずに各馬が力を出し切れる。力通りに決まったと考えて良く、能力査定として機能している。着順=能力順として結果を鵜呑みにして良いと思う。

 

スロー区間の無いレースだったので時計もまた速く、勝ち時計2分23.1はラヴズオンリーユー(19年)のレコードに次ぐもので優秀。6馬身抜けたリバティアイランドが2着を1.0秒も千切ったために生まれた好時計だが、同タイム入線だった2・3着馬の走破時計はソウルスターリング(17年)と同タイムであり、デアリングタクト(20年)やユーバーレーベン(21年)より速い。

 

イメージ的にはリバティアイランド1頭が抜けていてその他はどんぐりの背比べ的な印象だがそんなこともなかったようだ。一塊で入線した2~6着馬は歴代と遜色ない内容でオークスを駆けた。レベルが低いとは言い難い。3着馬ドゥーラがクイーンSを勝ったことでそれを証明したと言える。リバティ以外のレベルも総じて高いと言えそうだ。

 

上記は紫苑Sで掲載したオークスの分析・回顧を転載しています。

 

4着:ラヴェル

・スタートは全て失敗している。→桜花賞ではマシなスタートを切ったが徐々に下がり後方待機。これで脚質は定まった感じ。

新馬戦も、アルテミスSも長く脚を使っていて脚力の高さは印象に残る。

コーナリングや力んだ走りなど粗削りな面はまだ目立つ。

・3歳になり桜花賞よりはオークス向きと考えられるようになる。距離は長い方が良いよう。→桜花賞は捨てレースでオークスメイチの戦略だった。

 

上記がオークス出走時のカルテ。

 

出遅れ、後方待機が常態化していたがオークスでは五分に出て先行態勢。最初のコーナーを3番手で周っていった。レース振りが急激に進化した。前進気勢が強い馬なのでこういう乗り方が良かったのかもしれない。先行勢がくずれるなか直線で先頭に立ち、ゴール前まで2着をキープしていた。力を出し切った文句のない内容で負けて強かったと思う。これだけ走れば世代の上位勢力に数えて良い。ただ、結果行き過ぎてしまったように思う。展開に恵まれていた訳ではないのでラスト100mでパタリと止まってしまった。気分よく行き過ぎてしまったためだろう。末脚でも勝負出来る馬なのでもう少しリラックスして走れるようになればいいのだが。掛かっている訳ではないが力まずに走れる様になるといいと思うので気性的な成長があると良い。なお、こういう所があるので陣営は内枠を引いてインでじっくり脚を溜めたいと話していた。中団ぐらいでその競馬が出来ていれば結果は違っていたと思う。いずれにせよ、脚質の幅は広がった。前にも行けたし、末脚勝負でもOK。春の最後に自在性が出たのは良かったと思う。ローズSは距離も短縮されるので前に行っても粘りが増すと思うし、外回りなので末脚勝負でも良い。力を出せる状態なら勝ち負けも。後は、気性を含めた成長次第。同じようにオークスで巻き返した姉は夏を越して急激に成長した。ラヴェルも大きな成長を期待したい。

 

8着:ソーダズリング

・気性に難もなく、操縦性も良くて、末脚がしっかりと使える。

・未勝利勝ちの内容が良い。35.7-59.8と速めに流れた展開を12.0-11.4-11.4の失速無しで駆けた点に強さがにじみ出ている。5・6番手のポジションから繰り出した末脚は脚力の高さを感じさせる。ノーステッキで突き抜けている。

・まだ完成しきれていない感じもあるが追ってしっかりと伸びるなど良く動けている。並みの1勝ち馬よりは全然強い。

・権利獲りのオークスは先行しての安全策。しかし、末脚は案外だった。この辺がキャリア不足の影響だと思われる。本格化は先っぽい。

 

上記がオークス出走時のカルテ。

 

オークスは8着。変な馬に先着された訳でもないのでそう悲観する結果ではない。道中に不利も無く、スムーズに捌いて追い出しが遅れた訳でもなかった。力は出し切っている。メイチ勝負明けで調子を落としていた桜花賞2着馬コナコースト(7着)にも負けているし、さらに距離ロスしてた3着馬ドゥーラにもあっさり交わされている。末脚のスケール感で負けたという感じで上位とは力差を感じさせた。それでもキャリア4戦目で初の強敵相手に良く走ったとは思う。兄弟に重賞級多数の血筋で、姉には秋華賞でデアリングタクトの2着に走ったマジックキャッスル。オークスの経験を糧に秋の飛躍が期待出来る。オークスで先着された馬はほぼ直行してここはラヴェル1頭のみ。それ以外には威張れる力関係で巻き返しは普通にあると思う。1勝馬で1450万の賞金だと出走は微妙な域。権利狙いである程度は仕上げてくると思う。阪神1800mは2着、1着で舞台条件は良い。好走注意。

 

 

▼以下は出走予定の馬

 

アンリーロード

・ポジションを取って前掛かりなレースも出来るし、控えて末脚勝負でも行ける。少ないキャリアのわりに自在性を発揮していてどんなレースも出来そう。

新馬、未勝利の内容が濃い。持続性があり他が苦しくなったところで抜けだせる。地力は高そう。

・極端なスローになった時には分からないがタイトな展開になるなら出番がある。

 

上記がチューリップ賞出走時のカルテ。

 

春は桜花賞を目指してチューリップ賞に出走するも12着大敗。出負け気味のスタートから出していったらがっつり掛かり制御不能な場面も。なんとかタイミングよく追い出せたが弾けなかった。折り合いを欠いたのはこの1戦だけなので問題視する事はないと思う。このチューリップ賞クイーンCを熱発回避した頓挫明けの1戦だったので本調子ではなかったのだろう。次戦のカーネーションCでちゃんと巻き返しているのでチューリップ賞の内容は度外視で構わない。そのカーネーションCだが物凄い切れ味を発揮して追い込みを決めた。先行馬が残っていた展開を後方から差し切った末脚に見どころがある。このレースは2着馬とこの馬だけが33秒台を記録したのみで軒並み34秒台という展開。この馬のそれは33.2秒で極上にキレている。出負けして後方で末脚を温存していたが溜めればこれだけキレるのかという感じ。末脚は安定して使う方で以前から際立つ脚は使えていた。スタートが安定しないなど課題はまだあるが騎手現役だった頃に福永調教師が認めていた。素質は上位に入る可能性がある。1800mは2戦2勝で阪神にも勝ち鞍がある。条件的にも問題なく、実績馬との力差は小さそう。権利もないので勝負鞍の可能性。

 

ココナッツブラウン

 

4戦して2勝2着2回で連対率100%を維持。負けた2敗もタイム差がほとんどなく、ヨレた馬を捌くのに手間取ったり、コーナリング中にインの馬が膨れたりとロスのあるもので、その間に出来た差を詰め切れなかっただけ。どちらも勝ちに等しかった。2月にデビューして間隔を空けたが6月の函館戦からコンスタントに3戦していて今は順調そう。走りに気になる点はなく、操縦性もよく、追ってしっかりと伸びる良い馬。新馬戦こそマイルで多少モタついたが北海道の1800m3戦は楽に追走出来ている。追走中に脚を溜められて常に脚力上位の競馬をしている。ハイペを先行して早め先頭から抑え込んだ2戦目も良いし、洋芝で加速ラップを差し込んだ近2走の内容も素晴らしい。現状は欠点がない。力関係次第だがここでもと思わせる。脚はかなりある方だと思うので直線勝負の追い比べでも良い所はありそう。

 

コンクシェル

 

箸にも棒にも掛からなかった馬だったが馬体が絞れてからは軌道に乗って来た。また、13番人気で激走したアネモネSから付けたブリンカーの効果も大きかったという。桜花賞こそ力負けだが自己条件では常に上位を争う存在に。安定した先行力に立ち回りの馬さなどが噛み合い以前とは別馬の様に動けるようになった。ただ、決め手が弱く前の馬を交わす事が出来ない。先行馬なので仕方ない面もあるが同じ馬に2度先着されているように追い比べで力差が出てしまう。それを解消ためか2走前からハナを取るようになり2連勝した。自分の形を見つけた感じ。決め手勝負を避けるために逃げているのでスローで逃げたりなんてしない。タイトな展開で引っ張って直線に入る前から後続を離しにかかる。流れていたペースをさらに吊り上げてしまうのだから後続は堪らない。この馬自身も最後は失速するがその頃には後続の疲弊も大きくなっているので差が詰まる事が無い。5馬身差、5馬身差と着差を大きくして勝ち切っている。今は強い逃げ馬。前走で古馬相手に2勝クラスを突破していることからも地力上位の評価が必要になる。後は重賞級を相手にどこまで凌げるか?と言うところ。GⅠ級相手に楽ではないが2・3着の残り目はありうる。

 

セーヌドゥレーヴ

 

勝ち上がるのに5戦を要したが力負けしていたということは無く、走りの内容や末脚は常に上位だった。レースセンスが良いのでいつもインの好位を取って立ち回るのだがそれが悉くアダとなり直線の捌きで追い出しが遅れて負けていただけ。モマれ弱いという事かもしれないが、騎手が何とかしてあげるべきだったとも思う。抜けだしてからは結構よい脚を使って追いつめてくる。未勝利勝ちした時は全てがスムーズに運び強さを再認識させた感じ。昇級して3・1着とクラスの壁も感じさせずに勝ち上がっている。特に癖も無く、操縦性の良さそうな走りをしていた。そう悪い馬ではないと思う。ただ、2走前の府中1800mではスムーズに追い出し差してきたが追い比べで劣ってしまった。手応えの割に伸びきれなかったあたり距離に壁があるのかも。次走で1500mに短縮して勝ち上がっている点も気になる材料。また、未勝利勝ちまではいつも2位上がりを記録していたが、1勝クラスの2戦ではいずれも上がり3位と徐々に末脚の優位性を失いつつある。最速上がりを記録した事が無いようにクラスが上がると決め手負けの機会が増えるかもしれない。

 

フォーチュンコード

 

3走前まで7戦未勝利。出遅れたり、動けなかったり、脚も使えなかったりで箸にも棒にも掛からないような馬が2走前の未勝利を10番人気で勝利すると、前走も10番人気で勝利した。急に差し脚を活かせるようになった。2戦とも直線に入った頃は後方にいたのだが、小回り内回りの短い直線だけで差し切ってしまう。この変わり身は理解に苦しむ。展開的にはハマっているがドハマりしているほどではないので馬自身の変化もあるように思う。時計も標準的だし勝った2勝にはケチをつけるような内容はないと感じる。ただ、地力勝負で勝ち切っている訳ではないので評価を大きくすることには抵抗を感じる。徐々に立ち回れるようになってきたが、勝負所ではまだまだズブイし機動力はない。現状は直線勝負の競馬しか出来ない。外回り条件なのでそれでも良いが開幕週を直線だけで挽回出来るような脚力があるようには現状思えない。素質馬揃いの重賞で力通りに決まりやすい条件だから厳しいと思うのだ。

 

ブライトジュエリー

・既走馬相手の未勝利(中京2000m)でデビュー勝ち。翌日の金鯱賞より1.5秒遅いだけの勝ち時計は優秀ではないか?

・失速なしのラスト3Fを差し切った内容は評価出来る。1.7倍の1番人気を4馬身差ちぎった勝ち方はインパクトが大きい。

・器用さや機動力にも見どころがあり、立ち回りも上手い。追い出してからの反応も良く、初出走にしてはよく動けていた。

 

上記がフローラS出走時のカルテ。

 

3着だったフローラSはラチ沿いを前から1・2・3番目の順で走っていた馬がそのままの順番で入線した楯列競馬で開幕週にありがちな強烈なイン前バイアスに乗ってのもの。馬場の恩恵を受けた好走である事は否めない。が、同時にオークス8着とそこそこに走った2着そーダズリングと遜色ない走りをしていたという事で価値は高い。7月の古馬に混じった1勝特別を無難に突破しているようにやはり力がある。その前走は中京2200mのマカオJCTだった。2000m通過のタイムが未勝利勝ちした時の勝ち時計(中京2000m)を1秒近く詰めたものになっていてこの馬なりの上がり目も確認出来る。まだ3走しただけだが1戦毎の上積みは大きいように思われる。デビュー戦こそスタートでもたついたが今では楽に先行態勢をとれていて立ち回りに不安がない。狭いところに入ってもひるまないし、馬群を捌く歳の脚捌きも非常に器用でスピードを殺すことなく馬群を抜けて来る。器用な走りは印象的。しっかりと末脚も伸ばせるし、近2走の内容から持続性は高い。操縦性も高いので騎手の思うように動いている。スムーズに走れば凡走はまず考えられない。現状のマイナス材料は出自が地味なことぐらい。社台系の素質馬とも互角にやれる。

 

ブレイディヴェーグ

 

この馬はベタ褒めになってしまう。極端な言い方をするとリバティアイランドが条件戦を走っていたようなもの。そう思わせたのは新馬戦でのキレ味。2着だった新潟1800m戦の末脚は32.3秒と極上の切れ味だった。しかもこれは稍重で記録したもの。新潟マイルの良馬場でリバティが記録したのが31.4秒。距離、馬場を考慮すれば2頭の末脚はそう変わらないのではないか?と思う。以降も稍重で33.3、良馬場で33.6(鞭無)と末脚はいつも速い。馬場や展開を問わずにこれだけキレるのは脚力が相当高いからだろう。2戦目まではスロー競馬だったので上がりが速くなる理由はあったが、前走の府中2000m戦は58.9のハイペを6番手から繰り出したもの。末脚の質感も重厚で抜けた末脚を発揮している。また、この前走の勝ち時計は開幕週で行われたフローラSの9週後のレースだったがその勝ち時計が1.4秒も速いのだからたまげる。10週に渡って行われた開催の開幕週より最終週の方が時計が速いなんてことがあってよいのだろうか?しかも、条件戦と重賞で。時計的価値は十分過ぎる。道中の追走力もあるし、折り合いに気になる手もない。騎手の指示にも従えていてGOサインを待てる余裕もある。唯一の欠点はスタートが悪い事。立ち上がるようにゲートを出るので全戦で確実に出遅れている。新馬戦の敗因もこれ。スタートが改善されてしまうとさらに高いパフォーマンスを発揮しそうで怖い。今回も勝ち負けになる前提で扱った方が良いかもしれない。もしローズSの勝ち方が強すぎた場合サンデーRはどうするのだろうか?同馬主の三冠達成を阻んでしまうかもしれない。

 

マスクトディーヴァ

 

3戦2勝馬。2勝はいずれも道悪で、良馬場で好時計決着だった忘れな草賞は10頭立ての7着。良馬場の時計の速い決着に弱味があるかと思ったがそうではなさそう。忘れな草賞阪神内回りを攻略出来ずに負けたのだと思う。立ち回りの拙さや機動性の無さなどが敗因ではないだろうか?3~4角の加速処でゴリゴリと押したが動けずにマクれなかった。最終コーナーも大きく膨らんでコーナリングにロスがある。直線では前との差が大きくなっていた。コーナーがキツイ中京2000mの新馬戦でも最終コーナーの挙動に違和感がある。コーナーでの加速が上手く出来ない馬なのだと思われる。勝った2勝は直線長い中京と阪神外回りの1800m戦。ぞのいずれも直線ズドンで決めている。また、ギアチェンジもあまり早くなく、エンジン点火には時間がかかる。全体的に器用さがないので大味な競馬しか出来なかったのではないかと思う。しかし、繰り出す末脚には破壊力がある。追えば追うほど伸びる感じ。忘れな草賞でもギアトップになってからの加速は速く4・5馬身ぐらいの差を一気にに詰めていた。正味1Fの末脚で上がりを3位まで押し上げている。ので、良馬場も問題無く、キレる脚も行使可能だと思う。その末脚を中断くらいから使えるので追い比べに持ち込めれば足りない事はない。本番で推せる現状ではないが、阪神外回りのローズSはこの馬の適性範囲。

 

マラキナイア

・気合をつけてようやく先行出来る程度でマイルをやるには少々ズブイ。道中もほぼ追い通し。

・エンジンがかかってからは力強く伸びる。兄ステイフーリッシュ同様にタフな展開で強さを見せる。地力そのものは高い。

・デビュー当初はマイル戦でも辛うじて形になっていたが徐々にレースの流れに乗れなくなってきた。本質的な適性が出始めているのかも。瞬発的なスピードが弱い。

 

上記がチューリップ賞出走時のカルテ。

 

予てから話しているようにステイフーリッシュの妹にあたるこの馬にマイルは短い。2歳の暮れからこの距離で流れに乗れなくなっている。3戦して後方追走を余技なくされていた。マイルでの決め手比べに強味もなく、ラスト3区間に10秒台を含んだチュリップ賞では末脚もジワジワになっていた。その次走でマイル戦を勝ってはいるがこの時はペースが2秒前後速まったハイペの消耗戦。他馬が疲れたところでグイっと伸びて差しが決まった展開勝ち。この勝ち方からもタフな展開で強味があるのがわかる。2着に負けたが前走は1800m戦で好発を決めて4番手先行。マイル戦から戦法ががらりと一変したように中距離の適性を感じさせた。勝った逃げ馬に上手く乗られたことや、直線包まれて追い出しが遅れたなど力負けは喫していない。長めの距離での潜在的な適性は高いと思う。強敵相手に通用した戦績がないので力関係は分からないが、ここまで走ったアルテミスSチューリップ賞よりは良いレースはすると思う。2歳の頃から素質馬として使われていたのでその辺は注意。やれて不思議ない。

 

ユリーシャ

・逃げて2勝しているがスローのタメ逃げで、上がりの競馬を勝ち上がっているだけ。特別強い訳ではない。

・ペースの割には最後の失速が大きいタイプ。いずれも1秒近く止まっている。それで勝てているのは後続の力不足や、失策によるものだと思われる。

・ラストに速い脚が無いので逃げても失速するし、逃げなかったとしても決め手で劣る。

 

上記がNHKマイルC出走時のカルテ。

 

アーリントンCNHKマイルCは道悪のハイペースを前で運んだものなので敗戦自体は仕方ない。しかし、前走(新潟の3勝クラス10着)は負け過ぎ。このレースもハイペのレースだったので展開はきつかったが、5k差重かった逃げ馬が3着に粘っている点で力差を感じてしまう。状態面に不備でもあったなら考慮するが特に無ければここも厳しいだろう。2勝した内容はいずれも逃げ切りだがスローの後傾戦でのも。強さを証明する内容ではない。桜花賞2着馬やフィリーズrvをエルフィンSで負かしているが、これはこの2頭に不利があったりしたからで力でねじ伏せたとは言えない。底を見せている感じもあるので展開に恵まれたとしてもどうだろうか?

 

ラファドゥラ

 

12月にデビューして2・2・3着と勝ち上がれず。5ケ月の休養を挟み馬が良くなり2連勝。負けていた頃は最後の一脚が足りずに伸び負け、決め手負け。末脚に強味が無く取りこぼしていたがこの点が休養を挟んで改善された。馬体重は変わらなかったが中身が伴ったのか終いの脚に力強さが加わりグイグイ伸びるようになった。未勝利勝ちが3馬身差で、前走の織姫賞が後方3番手からマクる競馬で豪脚を見せた。もともと先行ポジションをスムーズに取れる馬で最初からよく動けていた。初めて出遅れた前走でも追い込みに切り替えられていたように対応力も高い。未勝利勝ちがハイペースを先行して突き抜けていることからも地力もある。騎手を困らせるような馬でもないのでレースに注文が付かない。強敵相手は初めてとなるので力関係の担保はないが評価を低くする材料もないので入着しても驚けないと思う。ここがダメでもこの先の古馬牝馬重賞で常連になっているような気がする。

 

リサリサ

 

短距離の差し馬。1200m~1400mで3勝している。2歳時は3戦して勝ち上がれなかったが3歳になり馬体を20k近く増やしてからパワ―アップ。終いの脚を活かせるようになってきた。1200mで未勝利を脱出したが、1200mだと置かれ気味になるので1400mの方が追走が楽になり成績がより安定した。この距離で2勝クラスを突破して3勝クラスでも僅差の競馬をしている。この距離ベストは間違いないと思う。短距離戦は前傾ラップになりやすいのでラストに失速するレースがほとんど。この馬も好走パターンもまさにそうで前を行く馬の勢いが鈍ったところを差して来る。だから上がりがかかる道悪競馬は本当に得意で凡走がない。逆に失速しない加速ラップを脚力の高さで差し切るようなシーンはなく、3勝クラスの前走もそれで負けた感じ。距離適性はわからないので言いようがないが、阪神1800mだとラストが上がりの競馬になることは珍しくないのでこの馬の好走パターンからは外れそう。

 

ルクスドヌーヴ

 

ここまで7戦2勝。目を引くようなパフォーマンスや特技はなく、コツコツ走って恵まれた時に勝利を上げるという感じ。1勝目はスローで逃げて展開勝ち、2勝目は2k減を器用して51kで勝ち上がっている。3歳になり立ち回りが安定してきたのでレースの流れには乗れるようになり、折り合い面が気になるようなところもない。レース振りは悪くない。ただ、末脚が際立つことはなく、追い比べで強い訳でもなく、速い上がりを記録したこともない。一言で言えば決め手不足。阪神外回りは決め手必須なところがあるので素質馬多数のこのレースではちょっと厳しいだろう。全体的に平凡に映り強調材料が見つけられない。こういう馬がどう走ったら重賞で入着出来るかを考えたが正直何も思い浮かばない。

 

レミージュ

・何もかもが並。2連勝の内容に目立つものはなく平凡なものに映る。

・逃げ切ったエリカ賞は展開に恵まれたもの。逃げ馬としはそこまで強くはない。逃げれば常にに好走という事はないだろう。入着の可能性は展開や相手関係による。

 

上記がオークス出走時のカルテ。

 

失念していたがこの馬もオークス出走馬だった。372.8倍の最低人気ながら10着は大健闘な部類。縦長の展開の真ん中ぐらいでレースを運び。勝負所ではリバティアイランドと合わせるように直線を向いてきた。そしてここで終了。レース後半に脚を使えない馬なのでそこからはジワジワで差はひらく一方。止まった訳でもないので極端に着を落とすことなく力は出し切ったと思う。ただ、ここ出走のソーダズリングとは0.3秒差だったのでやはり意外と頑張っている。力不足は明らかだが重賞戦線で揉まれた経験をいかせば夏に勝ち上がった上がり馬よりは上かもしれない。ダメもとで買ってみるか?ただ、やはり決め手勝負の条件でそれが無いのは厳しい。適性はズレていると思う。

 

▼抽選対象(1/3)

 

アリスヴェリテ

・現状はワンペースな走りでギアがグンと上がる感じはない。重賞だと決め手で劣るような気がする。

・早めの競馬で脚を使い切る競馬が現状はあっていそう。

・マイルの距離もちょっと忙しい様に思う。→テンに忙しいこの距離では先手が取りづらい。

・管理する中竹厩舎は母ルミエールヴェリテの産駒7頭全てを管理していてこの兄弟の事を知り尽くしている。兄達同様に本馬も逃げてなんぼ的に考えている。

 

上記がチューリップ賞出走時のカルテ。

 

マイルのスピード競馬は忙しいので向いていない。ギアチェンジ出来ないので流れには乗れてもそこからさらに加速する決め手勝負に対応出来ない。馬券から漏れたのは1400m~1600mの短い距離の時だけで中距離では凡走がない。チューリップ賞以降は適性距離の中距離で好走を続けている。あいにく距離を伸ばしても決め手の無さから勝ち鞍を上げれないでいるのだが。阪神外回りや府中での出走が多いので余計に決め手の無さが目立っている。よって、ローズSのコース条件はあまり賛成できない。兄姉全てを管理する中竹厩舎は産駒の事を知り尽くしていてリアンやキメラのように本馬も逃げて決め手勝負を回避した方が良いと考えているのだが、上記2頭の様なテンのスピードがないのでそれも出来ないでいる。出たなりで中段ぐらいから徐々に先行ポジションを取りに行く競馬に今はなっている。2・3着ならこういう乗り方で良いが勝とうとしたら乗り方は難しい。いずれにせよ決め手がないので早めの競馬で脚を使い切る競馬をしないといけない。キャリアが多いので強いところとの対戦経験は豊富でそこそこやれている。並みの2勝馬よりは強いと思うのでそれらよりは優先しても良いと思うが、この条件では適性的に強くは推せない。

 

トリオンファルマン

 

3着、1着と順調に勝ち上がり、忘れな草賞を大敗しただけなので断定的な評価が難しい。まぁ強くはないとは思うが弱いと言い切れるほどの経験もないのではっきりとした事は分からない。数少ない戦績から言えることは上がりが速いレースで脚を使えていない印象。勝ち上がった2勝目が重馬場だったので余計そう思う。スローを前付けして3頭の叩き合いで遅れを取った新馬戦や、忘れな草賞でもラスト3F区間で加速が強くなったところでついていけなくなっている。不利のないレースをいつもしているので全戦で力は出し切っていると思うが、上がりがかかった2戦目と上がりの速い1・3戦目との落差が大きく感じる。それもサンプルの少ない分析なので決めつけられないところだが。いずれにせよ脚力上位と言うことはなく、使っている脚は並み。GⅠ級の決め手に対抗するようなことはないと思う。410k台と馬格がないので走りにスケール感もない。小さい馬体で一生懸命走っているなぁと言う印象しか出てこない。今回は忘れな草賞以来になるので身体面の成長は必須。

 

ベレザニーニャ

 

ローズS(GⅡ)の予想案はこち▼