競走馬カルテ

2・3歳重賞の出走馬を分析・記録していくブログです。

セントライト記念(GⅡ) 出走馬カルテ 2023

 

こんにちは。

 

菊花賞神戸新聞杯組が優勢でセントライト記念組は劣勢です。でも、昨年はアスクビクターモアがこのレース2着から菊花賞を制しました。15年もキタサンブラックが勝っています。セントライト記念組もたまに爪痕を残しますね。今年はGⅠ馬2頭がこのレースにエントリー。今年もセントライト記念組から菊花賞馬が生まれるかもしれません。

 

皐月賞馬ソールオリエンスが出走します。皐月賞馬がセントライト記念に出走してくるのは17年のアルアイン(2着)以来6年ぶり。その前年の16年はディーマジェスティが優勝。14年には新潟で行われたセントライト記念イスラボニータが出走して優勝していました。この10年で出走した皐月賞馬はたったの3頭と少ないですけど出れば確実っぽいですね。素直に信頼するべきかもですね。

 

さて、秋のトライアルはどれもクラシック二冠目組が優勢でセントライト記念も前走日本ダービー組の成績が良く、【6・5・4・20】と複勝率42.9%と優秀。大敗組からの巻き返しも目立っていて15年キタサンブラックが14着から、18年ジェネラーレウーノが16着から、19年リオンリオンが15着からセントライト記念を優勝しました。ほぼケツだった馬でもセントライト記念では強さを見せます。やはり狭き門を潜り抜けてダービーに出走した精鋭は侮れません。

 

なお、ダービー組の重要性からダービーの分析・回顧を簡単に触れてダービー出走組を優先的に更新していきます。それ以外は出走予定が確認出来た馬から更新していきます。セントライト記念(GⅡ)は18日(月)に行われます。前日の17日(日)には更新を完了します。

 

予想案はページの最下部にある専用ページにまとめてあります。ブログカードを貼っておきますのでそちらをご覧ください。

 

ダービー分析・回顧

 

世代レベルはどうなんだろうか?と言うムードで迎えたダービーだったがそれを象徴するような結果になってしまった。超スローだった17年レイデオロの2:26.9が近10年で抜けて遅いが今年の2:25.2はそれに次ぐ低速決着。レイデオロの時はあまりにも特殊なペースだったので例外的とも言えるので今年の勝ち時計の遅さには問題を感じる。オークスと比較しても1週後のダービーがこれでいいのか?と言う気がする。

 

1000m毎の通過タイムを確認すると60.4秒→61.1秒と極端にペースが遅かった訳ではない。それでも勝ち時計が遅かった理由は後半の加速が弱かったから。例えば、前半1000mの通過が本年と同程度だった過去年とラスト1000mの所要時間を比べてみると

 

23年:60.4秒→59.6秒
∟タスティエーラ

 

16年:60.0秒→58.0秒
マカヒキ

18年:60.8秒→58.3秒
ワグネリアン

21年:60.3秒→57.0秒
∟シャフリヤール ←レコード

 

 

となる。

 

今年のラスト5Fはとても遅い事が分かる。この部分は競走馬の能力を端的に表す部分である。走りを持続させる力が如何ほどあるかの指標になるところ。前半1000mの通過がほぼ変わらなかったシャフリヤールの21年は後半も速い持続ラップを連続させ、それに耐えたから当時のダービーレコードを塗り替えた。今年の後半5Fの通過時間はかなり物足りない(2.6秒も遅い)。

 

結局、レースが動く事の無いまま勝負所まで進み、持続性の問われない瞬発力勝負になったということだろう。完走した17頭中10頭が33秒台の末脚を使っている。つまり、ラスト3Fの上がりの競馬。こういう競馬に価値が無いのはしょうがない。地力の問われない展開・内容だったという事になるので結果が能力を反映したものとは言えないと思う。

 

ダービーの内容がレベルが高いかどうかで秋に古馬との力関係を推し測るのはかなり有効な手段。内容が濃かった2年前のエフフォーリアや昨年のイクイノックスは天皇賞(秋)を優勝したが、今年のダービーからそう言う根拠は見いだせない。だからだろうか?凱旋門賞にも行かず、秋の古馬GⅠにも挑まない。皐月賞馬もダービー馬も菊花賞を目指す異例な年となったがこういうところが影響しているのかもしれない。

 

そして、ふと思ったが。こんな低速戦でスキルヴィングはどうしてあそこまで苦しかったのだろうか?負荷のかかるようなレースではなかったと思うのだが。レース中の何かが原因とは思えない。体調面や仕上げの面に問題を求めるのが筋の様に思う。だとしたら厩舎や牧場サイドの責任は重そう。そして、やはり青葉賞からの臨戦そのものに問題があるのだろう。残念でならない。

 

 

2着:ソールオリエンス

・走りの質やレース振りには素質馬の片鱗。510kの大型馬で走りも雄大。スケール感は隠しようがない。

 ・京成杯はレースの内容や出走馬の質が悪いので評価を高く出来ないが、瞬時にギアがトップに入る瞬発力の性能は素晴らしかった。→皐月賞でも豪脚炸裂。助走区間もなしにギアトップ出来る瞬発性能はとても素晴らしい。

皐月賞でもコーナーで膨れてしまう。中山での走りの質は相変わらず悪い。結局、中山コースを器用に立ち回れる馬ではなかったということになる。

京成杯から3ケ月振りで動けずに後方に置かれてしまったという。休み明けは注意。

・横山武史騎手曰く、この馬はリバティアイランドより弱いそうだ。

 

上記がダービー出走時のカルテ。

 

ダービではレースが流れなかったので3~4角で馬群が密集し一塊となった事で身動きできなかったのが敗因で力負けと言う事は全然ない。ただ、意外だったのは末脚が際立ったなかったこと。京成杯でも、皐月賞でも追い出して一瞬でトップスピードに加速出来た瞬発力を高く評価していたのだが。ダービーでも馬群を捌けば瞬時に差し切るんだろうなと見ていたが追い出してもじわじわだった。この区間ではほとんどの馬が33秒前半で走っていたので周りの馬の脚も速い。上がりの競馬のよーいんドンだとさすがに厳しかったという印象。そもそも京成杯皐月賞もハマり脚。脚力は同世代では圧倒的だが、レースの内容が軽くどの馬にも余力がある場合はこういう事も起こってしまう。地力の問われる展開やタフな流れでこそその末脚も際立つのだろう。力差が問われないレースだったこともこの馬の敗因だったかもしれない。そう言う意味では不向きな展開で2着を守った事は評価したい。セントライト記念の組み合わせなら力上位は揺るがない。中山より府中の方が良いとされているのでコース変わりはプラスにならないが中山の外回りはお結び型でコーナーが緩いのでマクりやすい。皐月賞よりは良い条件である。また、距離も長い方が良いとされているので2200mの距離も無問題。この条件でも力を出し切る事は出来る。極端なスローペースにでもならない限りは勝ち負けを演じる事だろう。なお、春先からずっと言われている事は本格化は秋か来年かと言われていた馬。ひと夏越してどのぐらいの成長があるだろうか?それ次第で春より数段強くなっている事もありうる。

 

9着:シャザーン

・未勝利戦では後半を57.8秒で駆けた点で評価が高い。最後の1000mを失速無しで駆けた持続性は高めに見積もる事が可能。

・レース上がりが33.8秒だった上がりの速いすみれSを最後方から差したのは優秀である。阪神の内回りで33.1秒の切れ味はほとんど見た事のない快記録。

・先行、追い込みと脚質に幅があり、どんな立ち回りも可能な点も操縦性の良さを感じさせる。

・上位馬と同様の立ち回りだった皐月賞は力差を感じさせた。スローの後傾戦ばかりを好走していたので皐月所の様なタフな流れは厳しかったかもしれない。

 

上記がダービー出走時のカルテ。

 

ダービーを目標に調整されていてダービー3勝の友道厩舎がメイチに仕上げていた。同厩舎からサトノグランツも出走していたが厩舎の評価もコチラが上でサトノに騎乗していた川田騎手も可能ならばシャザーンの方に乗りたかったのだそう。府中コースに適性を感じていた事や良馬場であることなど皐月賞より条件も格段に向上していたので厩舎のムードはとにかく良かった。が、その皐月賞を下回る6着で結果は振るわなかったのは案外。岩田望騎手は展開が向かなかったとレース後に語っているがそんな事はない。すみれSまではこういう上がりの競馬で結果を出して来た。展開はこの馬向きだっただろう。それで負けたのは道中で動かなかった騎手の責任ではないだろうか?控えすぎて動かない岩田望騎手によくある負け方だ。0.4秒差だったのだからもったいなかった。ダービーは先行有利なレースなのでもう少しポジション意識を持ってレースをしていれば結果は違っていたと思う。敗因はそれだけでその他と比べて力が劣っていたというのはなかったと思う。乗り方次第で簡単に巻き返せる範疇。ただ、皐月賞の様なタフな展開では結果がないので展開には恵まれた方がよさそう。

 

15着:グリューネグリーン

・2000mは少し長いかもしれない。勝った京都2歳Sもギリギリ抑え込んだものだし、2・3着馬は不利が合ったので恵まれた印象も。距離を克服したとは言い切れない。

スプリングSの脚質展開は悪くなかったが後方からマクるには脚力が足りない。極端な位置取りではない場所でインをセコク乗って、ロスを最小限にして、最後の一脚にかけた方がまだ走れそう。

・先行激化した皐月賞で大敗を喫した事は仕方ないが、一緒に先行していた同型と比較するとこの馬のパフォーマンスはちょっと弱い。

 

上記がダービー出走時のカルテ。

 

追い込み決着の皐月賞を先行し、先行有利のダービーを後方待機。春の2冠はチグハグな競馬となってしまう。乗り方がその時々で違うのは先行希望の調教師と後方待機を主張していたデムーロ騎手とで話が噛み合っていないから。結果、デムーロ騎手は皐月賞を前に降ろされているのだが2冠で手綱を取った石川騎手はどう思っているのだろうか?皐月賞もダービーも展開に逆行した運び方がそもそもの敗因。ただ、だとしてもやっぱり力負けだったと思う。末脚を温存をしたはずのダービーで脚を使えなかった。33秒台を使った馬がほとんどのなかこの馬の上がりは34.0秒。34.0秒台だった馬の多くは先行馬のもので控えた組みがこの末脚では評価が低くなる。皐月賞でもそうだったが不利なら不利なりに爪痕は残すべきだだろう。そう言う事が出来ていないのはこの馬が弱いから。GⅠでは通用の目途は立たない。トライアルなので少しは巻き返せそうだが入着するかどうかは相手次第と言うところ。しかし、距離2200mも純粋に長いので適性的にはきつい条件。菊花賞を目指すような馬ではないと思うのだが。

 

競走中止:ドゥラエレーデ

・好走した近3走の前提にあったのは追える外国人騎手が騎乗していたこと。剛腕タイプが騎乗していたことで力以上に走った可能性がある。

・高速馬場をこなせる根拠ゼロ。ハイペースでも粘り込める強靭さはあるが、そこから速い上がりを繰り出せたことはない。

・持ち時計もないので適性は不十分と言わざるを得ない。

 

上記がダービー出走時のカルテ。

 

落馬失格のダービー後に宝塚記念を使って10着。インコースは力がいる状況で馬場は外差し有利になっていた。この状況でで1000m通過58.9秒は数字以上のハイペース。さすがにもたずに直線で飲み込まれた。しかし、先行組では最先着だったのだから良く頑張ったと思う。また、1コーナーの手前から勝負所の3~4角までずっと行きたがっていて折り合いを欠いていた。それでこれだから凄いと思う。3歳のGⅠ馬として恰好はつけたと思う。ただ、この馬の正体は未だに判然としない。まず、ダート馬なのか?芝馬なのか?二刀流として扱うのもいいがそれではその時々の予想は難しくなる。現状言える事は芝のスピード決着で高いぺフォ―マンスがないこと。ただ、走っていないだけかもしれないのだが時計の速い決着で評価を高く出来る根拠には乏しい。1週目の中山は特に時計が速かったので対応出来るだろうか?ともあれセントライト記念の結果でこの馬の本性に近づけるように思う。また、これは以前にも触れたがこの馬の好走記録はムーア騎手、ムルザバエフ騎手、クリスチャン騎手と剛腕タイプの外国人騎手が騎乗した時に限られていて能力以上の力が引き出されていた可能性がある。日本人が騎乗してそこまで力を引き出す事が出来るだろうか?今回は坂井瑠騎手が騎乗するがどこまで押し込めるだろう?上手に先行する騎手だとは思うが、腕っぷしが強いようには現状思えない。

 

▼以下はダービー未出走組

 

アームブランシュ

・序盤から後方で待機するスタイルで控えて溜めての直線勝負に徹している。

・自在性もなく、機動力も弱いので1周条件のレースは厳しそう。

・時計を持っていないので速さが求められる時計決着は微妙そう。

・DI記念ぐらいから末脚の強度が上がってきている。位置取りをもう少し改善すれば入着も見えてくるのだが。

 

上記が青葉賞出走時のカルテ。

 

ディープインパクト記念でダービー馬相手に0.2秒差と走り、青葉賞でも5着とGⅡトライアルでそれなりに走れている。まだ1勝馬だが2勝馬ぐらいの評価をしても良いのかも。しかし、1勝クラスでも取りこぼしているようにどこかもどかしい。以前は後方マイポジションな馬だったが3走前に2200mを使ってから立ち回りが良くなってきている。先行力や機動力が備わってきたようだ。中距離の頃は直線勝負だけの戦法だったが、中長距離を走るようになり追走面が楽になっているよう。促せば進んでいくようにはなっている。今は直線入り口で圏内まで押し上げれるので勝ち負けに加わる機会が増えてきた。ただ、そのせいか末脚のジワジワ感も増していて決め手が甘くなってしまう。脚力そのものは変化していないのかもしれない。ずっと手綱を採っている吉田豊騎手曰くスローのよーいんドンでは伸びないのだそう。タフな展開や道悪の消耗戦でパフォが上がって来るのだろう。事実、不良馬場の前走は上がり最速を記録して0.1秒差の競馬が出来ている。我慢比べの展開がこの馬にはむいているよう。中山2200mの条件は中山2000mよりは適性がある。コーナリングでモタつくので外回りコースのセントライト記念ならディープインパクト記念よりは走れる条件だと思う。ただ、時計の速い秋の中山開催はいかがなものか?時計勝負に対応出来る根拠は今のところない。一雨欲しいところ。

 

ウィズユアドリーム

 

5戦3勝馬。現在逃げ切りで3連勝中。2勝クラスを勝っていれば秋の3歳重賞で上位に評価出来る。前走で京成杯3着馬セブンマジシャンを退けているので間接比較からはやれて良い。デビュー戦からスタートが上手く、すぅーと前付け出来る先行センスがあるので序盤の立ち回りはいつも上手い。2走目の負け方を見ると急激なペースアップに対応出来ずに負けている。ギアチェンジが必要なレースは向いていないのかもしれない。逃げるようになったのもこの次戦から。2走目の様な轍を踏まないようにしているのかもしれない。実際、自分のリズムでグイグイ行ってしまう競馬はこの馬にあっている。並ばれてもへこたれないし、交わされてからも差し返そうとする根性も見せるので結構渋太い。重馬場で3馬身半差をつけていたり、速いペースで行って粘り込めるなどタフな状況で強い。単騎なら粘り込み注意になりそう。なお、2200mは2走目で敗れているが敗因は上記の通りなので距離が長いとはまだ言えない。

 

ウインオーディン

32.5秒、33.1秒、33.2秒、33.6秒と常に高速上がりを繰り出している。末脚だけはとにかくキレる。

・上がりが速くなって当然と言うレースばかりだったが、共同通信杯ぐらいのペースでこれだけの脚を使えれば重賞でもやっていけそう。

・速い脚を使えるコースに適性ありと厩舎では考えていて中山よりも府中向きと言う評価になっている。

 

上記が皐月賞出走時のカルテ。

 

皐月賞8着後に休養に入り、8月の阿賀野川特別で復帰して2着。近2走は小回り内回りのコースをそれなりに走った。前走の阿賀野川特別は収穫が大きい。新潟の内回りはコーナーがきつく、直線も短く福島、小倉の様な小回りコースと変わらない。そう言うコースで機動力を発揮して3~4角でマクり上げた立ち回りはこれまでにないスタイル。競馬の幅が広くなった印象で良い。ただ、それまでの様な速い上がりは使えずに追い比べで劣ってしまった。皐月賞でも外を回った馬の脚力に圧倒されていたし、前走に関しても交わせそうな勢いながら逃げ馬を交わせなかった。使える脚は意外と短いのかもしれない。中途半端に脚を使うよりは直線ズドンの方が以前のように末脚が際立つような気がする。中山2200mはコーナーも緩く、マクりが決まりやすい条件で脚も溜めやすい。近2走よりは末脚を発揮しやすいように思う。だとしても結局何かに追い負けてしまうのでガチンコ勝負では厳しい。内枠を引いて道中セコク乗って短い脚を有効に使いたいところ。入着の可能性があるとしたらこういう乗り方だと思う。なお、春はまだ成長しきれていなかったそうで本格化はこれからと言う話だった。成長力で足りないところを補えていると良いのだが。

 

ウイニングライブ

 

スピードが無い。中距離のタイトな展開には対応出来ていない。未勝利脱出に7戦要したが好走出来たレースはあまりなく、出来た時は極端な道悪の時か、ハイペで上がりがかかった時か、中長距離で追走が楽になった時。また、スタートも悪いのでほぼ後方追走と言う現状。速力不足なので勝負所でも思うように位置を上げていくことが出来ない。昇級後に2600mを使っているが追走が楽になっても距離をこなすスタミナも無いようなので着差を大きくして負けている。この調子だと2勝目を上げるのにも随分とかかりそう。古馬になって重賞を走れる機会はないだろう。3歳同士で走っている今回が重賞挑戦のラストチャンスではないだろうか?記念出走と言う感じだと思う。

 

エンライトメン

 

2歳8月にデビューして前走の3歳7月の未勝利で勝ち上がった。15戦目だった。それでも新馬戦では1番人気に支持されて2着。良く動けていて勝ち負けを演じて以降も好走を続けた。が、4走目あたりから上がり目がなくなり、年末年始の頃にはガス欠で馬が動けなくなっていた。2ケ月空けて立ち直り、レース振りは良くなったがそこから勝ち上がるのに7戦も要した。結局突き抜ける脚が無いので決め手が弱い。コース、距離、回りの左右と条件を問わずそこそこ走れるのだが差して届かず、叩き合いで追い負けてと言う感じで突き抜けられない。前走も勝つには勝ったがクビ差の辛勝でラストの失速率が大きかったから間に合ったという感じ。夏の未勝利戦なので相手も弱くなっていた頃合いで順番勝ちみたいなところも。脚質自在で、折り合いも問題無く、操縦性は良く真面目に走るエライ馬だがそれだけ。これと言った長所もない。強いて言うならくじ運が良い。15戦中8回も3枠を引いている。枠には恵まれているようだ。

 

キングズレイン

・道悪や洋芝でも走れていたが中央場所の時計の速い馬場の方が走りの質が良い。

百日草特別が1800mから2000mに変更になった過去9ケ年の中で勝ち時計(1:59.7)は断トツで最速であったし、これはエフフォーリアが勝った2年前よりもずっと速い。

・発馬良く、ポジショニングが安定しいるし、馬群の中でも平常心で回ってこれる。気性や立ち回りに気になるところはなく、その点でも優秀。

ホープフルSでは4角11番手から3着まで押し上げている。展開に逆行したレース運びは能力面が高くないとちょっと出来ない。ラスト5Fから動き出し使っている脚も長い。

 

上記が毎日杯出走時のカルテ。

 

1番人気だった毎日杯は全く動けずに沈む。敗因はDI記念を熱発回避した影響かもしれない。が、それ以上に馬場に原因を求めた方が良いかも。レースは良馬場だったが前日の雨で稍重スタートだったためメインの頃には力のいるタフな馬場になっていた。厩舎も良馬場必須みたいに話している。トビが大きいので綺麗な馬場を馬は好むのだそう。体調面、天候などいろいろお噛み合わなかった毎日杯は度外視か?3ケ月間の間隔を空けて使った前走町田特別(府中2400m)ではしっかりと立ち直っていた。良馬場の府中はこの馬向きの条件で無難に勝ってしまった。超スロー戦だったので逃げ馬を交わすのに手間取ったがその逃げ馬はハンデ戦で自身より斤量の軽い年長馬だった。そう言う馬の勝ちパターンを崩しての勝利は評価に値する。発馬を決めて2番手先行出来たのも良い。脚質に自在性がありどんな競馬でも力を発揮出来るのは素晴らしい。既に2歳GⅠ3着の実績馬だがその際のパフォーマンスも1頭だけ飛び抜けた内容だった。世代上位と互角にやれる可能性が高い。

 

なお、春までの情報を整理するとここから大化けする可能性がある。2歳秋に百日草特別を勝った頃からピークは菊花賞ぐらいだろうと言われていた。父も母も母母も晩成型の超晩成血統。レースを使う度に陣営からはまだまだ緩いと成長は常に遅れていた。その状態でここまでの成績を残していた事はこの馬の素質の高さと言うことになる。だから関係者の期待は当初から高かった。毎日杯の段階ではルメール騎手のダービー騎乗馬の最優先候補とされていた。クラシック組とは差が大きくなってしまったが成長次第で逆転の域にいる可能性がある。

 

コスモサガルマータ

 

5戦3勝馬で勝つときは強いが負ける時ははっきりしている。その要因と思われるのが気性。ヤンチャなところがあるので新馬戦では暴れて競馬にならなかった。2番人気で大敗した京都2歳Sも気性が影響したのかも。また、末脚が超キレる馬なので持続性の問われる1周条件が合わなかった感じもあった。コーナーでの加速がズブズブで動けていない。直線長い新潟外回りの前走月岡特別が強い内容だったことからも脚を溜めて直線勝負出来るワンターンな条件が合っているようだ。その前走だがラスト3区間に10秒台を含む究極の上がり勝負を32.7秒のキレ味を発揮して差し切った。全馬の上がりが33秒秒台だったのでこれだけでどうこうはないが、2勝目の紫菊賞でも同様の上がり構成のラップタイムで33.1秒のキレ味を発揮している。上がりが高速化するレースで強いというのは言えるだろう。今の中山は時計が出やすいので馬場条件は合致しそうだ。が、この条件でも4コーナーまでに押し上げられる機動力がいる。マクりやすいコースではあるがそう言う競馬で負けているのは気になるし、中山の直線は短い。ゴールまでに間に合うだろうか?今回はコース攻略が鍵となりそう。メジャーな所を走っていないので力関係も未知数である。軽視は出来ないが今回は扱いにくい。

 

なお、厩舎の期待は非常に高い。京都2歳Sも勝てるのではないかというムードで使っていた。鞍上にムーア騎手を迎えていた点からもそれは分かる。事実、ムーア騎手も当日の星勘定に入れていたほど。前走にしても馬を選ぶ川田騎手が騎乗を受けているのだから素質があるというのは事実なのだと思われる。あまりナメない方が良いかもしれない。

 

コレオグラファー

 

6戦2勝。失速してしまった3走前のゆきやなぎ賞の負け方が気になるがそれ以外は安定して上位に顔を出している。ゲートも安定してきたので流れに合わせたポジションにいける自在性がある。2走前は逃げ切り、前走はハイペを後方で控えてと脚質の幅が拾い。ただ、それ以外にこれと行った特徴はなく、使っている末脚も標準的。得意な展開とか、好走ゾーンとかも思い付かない。強味弱味がなく相手なりに走るという感じ。2走前には青葉賞3着馬を退けて勝ったが、前走は京都新聞杯3着馬に完封されている。4着だった前走もここ出走のウィンオーディンとほぼ同様の立ち回りで上がりも一緒と力差は感じなかった。コツコツ真面目に走り、入着するかは相手次第といったところ。強調材料も無ければ、減点材料もないので余裕があれば印を回しても良いのかもしれない。が、さすがにここは相手が強い印象。有力馬のコケ待ちか?

 

シルトホルン

・デビューから北海道で2戦したが洋芝が合わなかったようで府中の高速馬場で勝ち上がる。中央場所のコースの方が適性がありそう。

・発馬の上手い先行馬だが最後の失速は大きい。相手が強くなるにしたがって末の甘さが目立ってきて決め脚を繰り出す事が出来ていない。

 

上記がラジオNIKKEI賞出走時のカルテ。

 

2番手から粘り込んで2着したラジオNIKKEI賞は標準的な勝ち時計。この時計で走れていれば過去と比較してそう悪くはない。序盤はやや速い印象も開幕週の59.7秒通過はそれほど速いものではない。先行有利な福島なら展開は味方に出来ていた。勝ったエルトンバローズも内々3番手から押し切ったように前有利なレースだったと見て良い。また、シルト自身も時計の出やすい良馬場で良さが出るタイプなので開幕週の馬場はプラスに働いたであろう。加えてハンデにも恵まれた。通常1勝クラスを勝ち上がっていれば55kが妥当な斤量なのだがこの馬は54kと1k軽かった。にもかかわらず55kの勝ち馬に競り負けたのは力負けの印象。猛追してきた3着馬をギリギリ凌いだがその馬が2kも重い斤量を背負っていたことからもこの評価は揺るがない。展開、馬場、斤量と全ての条件がこの馬に向いた好走。重賞2着でも評価UPをするのは難しい。セントライト記念への適性は半々。今期の中山は時計が出やすいのでこの馬向きである。距離に関してははっきりと明言されたことはないが前走の1800mがこなせる範囲というニュアンスだった。重賞以外はマイル戦を中心に使われている点も長いよりは短い方と言う使われ方のように考えられる。最後は小さくない失速をする馬だし、定量戦の2200mは長いかもしれない。今は充実期に入っているそうなので調子の良さをいかして足りないものをカバーするしかない。春後半からメキメキ力をつけてきて集中力も、反応の良さも格段に良くなっているそう。馬は良い状態で出走してくるはずなので注意は必用か?

 

シルバープリペット

 

2歳6月のデビューで勝ち上がったのは14戦目。3歳5月の頃。15戦目に初勝利を上げた上述エンライトメントとは同じミルファーム。いかにもミルっぽい使われ方。因みに勝ち上がった時の2着馬がこのエンライトだったからいろんな面で似たりよったりな2頭だ。勝ち上がりに時間がかかったのは基本的な速力が無いため。12秒中盤ぐらいのラップでついて行くのがやっとだった。普通のレースは序盤に11秒台が刻まれるのでこの区間で後方に置かれてしまう。同じように勝負所の加速にも対応出来ずに前との差を縮められずに負けていた。この点は10走消化ぐらいから徐々によくなり、レース振りが多少向上。上がりのかかる展開なら加速して前との差を詰めに行けるようになってきた。この流れが出来たことで近2走の連勝に繋がった感じ。ただ、急激に強くなっているという事はなく、基本的な性能に変化はない。2連勝の内容には特筆するような強調材料もない。持続力の問われるタイトな展開では流れに乗るのは厳しいだろう。また、キャリアが多いのでここまで重賞好走馬と幾度も走ってきたが、ウンブライル、ダノンザタイガー、レーベンスティールなどGⅠ級に2.0秒前後負けて来たし、グラニット、ゴールデンハインド程度にも1秒以上で負けてきた。キャリアは積んだがその差は大して詰まっていないと思う。

 

セブンマジシャン

・コーナー4つの条件で経験値が豊富。内容も悪くない。コース適性も高そうだ。→皐月賞を意識していたので中山コースを中心に使っていた。

新馬戦が2番手から上がり最速。2戦目が最後方から進めて上がり最速。真逆のレースで2勝した自在性は良い。脚質に幅があり、どんなレースも出来そうだ。

・折り合い面に少々不安あり。ホープフルSではスローで欠いていたし、京成杯の調教で跨ったルメール騎手もその点は感じたとのこと。

 

上記がスプリングS出走時のカルテ。

 

1番人気だったスプリングSは道悪になき6着。また、不良馬場の翌日で朝から快晴だった中山競馬場はインの方から馬場は乾き内有利。8枠もよろしくなかった。この枠から先行出来なかったのでレースの流れには乗れなかった。馬場に苦しみ勝負所でも動けずに。悪い条件ばかりが重なった感じの6着だった。これを機に休養。夏の小倉まで約5ケ月充電に充てた。復帰した西部日刊スポーツ杯では2着。開催初日の馬場はスローで逃げた勝ち馬に有利だったし、勝ったウイニングライブも弱い馬ではない(ここで再戦)。馬群の狭いところから差して半馬身差の内容に悲観材料はない。5番手から繰り出した末脚も上がり33.5秒と小倉のこの条件で滅多に目にする事のない高速上がり。負けてもそれなりの爪痕を残すあたりやはり弱い馬ではない。スプリングSの敗戦でトップクラスとは差がひらいた感じになったが見直しの余地もそれなりにあるのでここでもう一度その走りをチェックする必要があると思う。

 

レーベンスティー

・4戦して2勝2着2回。勝つ時は圧勝で3馬身半、5馬身と一方的に強い。負けた際もその着差はクビ差、頭差といずれもタイム差はゼロ。この2敗の3着以下は5馬身差、7馬身差と力は常に示している。

・府中1800mのラスト3Fは33.0秒と究極的な上がりで11.6-10.8-10.9とラスト2Fで10秒台を刻んだとんでもないもの。不良馬場でも最速上がりを記録するような馬で天気や馬場状況の制約を受けない末脚性能は抜群に素晴らしい。

・2・3番手で競馬をする先行馬が全戦で最速上がりで駆けているのだから取りこぼす理由は基本的にない。

 

上記がラジオNIKKEI賞出走時のカルテ。

 

3着だったラジオNIKKEI賞。勝って当たり前と言うムードだったが外枠がアダとなり残念なレースになった。2F目に10秒台を刻んだ序盤が忙しいレースだったので内の馬もポジションを取りに動いていたために内に切れ込んで行けなかった。重い斤量を背負っていたので無理して出して行かなかった感じ。最初のコーナーでは中段ぐらいにいたものもコーナリングで下がりさらに位置取りを悪くしてしまう。結果的にイン前決着で展開は向かなかった。レースの流れに乗り切れずに負けたという印象。それでも強さの片鱗は見せた。直線入り口後方からあそこまで差し込んだ末脚は驚異的。前付けして速い上がりで突き抜けるスタイルだったが、控えればそれ以上の末脚が使えることが分かった。狭いところを切り分けて器用に走る姿もこれまでなかったので新味が出たと言えそう。収穫も多い敗戦だったのではないだろうか?力負けではないことは明らかだし巻き返しの余地は大きい。皐月賞馬には一目置いてもそれ以外とは互角にやれるはず。後はノーザンFやキャロットFがどういう位置づけでこのレースを使うのかによる。トライアルで権利を獲っても本番に出走しないケースも多いのでその辺は要チェック。権利狙いで仕上げているなら勝ち負けの印でも。

 

セントライト記念(GⅡ)の予想案はこちら▼