競走馬カルテ

2・3歳重賞の出走馬を分析・記録していくブログです。

神戸新聞杯(GⅡ) 出走馬カルテ 2023

 

こんにちは。

 

中京で行われた3年間は結構難しかったですね。阪神時代は人気サイドの決着が多かったですが中京では1番人気で馬券になれたのはコントレイル1頭だけでした。また、20年が14番人気3着、21年が8番人気3着(10頭立て)、22年が12番人気2着と人気薄が必ず馬券絡みするという。完璧な的中を出しにくい3年間でした。今年は4年ぶりに阪神に戻りますので神戸新聞杯にも平穏が戻るといいなぁと思います。

 

今年は皐月賞3着馬VSダービー3着馬がメインテーマになりそうな雰囲気です。3着馬同士!って言われてもなんだかなぁという気分になりますが。ダービー組もそれなりにいてタレントは揃っていますけど着順の通りに決まるとは限らないし、ダービー未出走組にも魅力のある馬はいます。確固たる主役不在な多士済々。阪神に戻っても一筋縄ではいかない流れが続きそうです。

 

神戸新聞杯は24日(日)に行われます。前日の23日(土)には更新を完了します。ダービー組の重要性からセントライト記念で掲載したダービーの分析・回顧を転載しておきます。更新順はダービー出走組を優先的に更新し、以下は出走確認の取れているものから更新していきます。

 

予想案はページの最下部にある専用ページにまとめてあります。ブログカードを貼っておきますのでそちらをご覧ください。

 

ダービー分析・回顧

世代レベルはどうなんだろうか?と言うムードで迎えたダービーだったがそれを象徴するような結果になってしまった。超スローだった17年レイデオロの2:26.9が近10年で抜けて遅いが今年の2:25.2はそれに次ぐ低速決着。レイデオロの時はあまりにも特殊なペースだったので例外的とも言えるので今年の勝ち時計の遅さには問題を感じる。オークスと比較しても1週後のダービーがこれでいいのか?と言う気がする。

 

1000m毎の通過タイムを確認すると60.4秒→61.1秒と極端にペースが遅かった訳ではない。それでも勝ち時計が遅かった理由は後半の加速が弱かったから。例えば、前半1000mの通過が本年と同程度だった過去年とラスト1000mの所要時間を比べてみると

 

23年:60.4秒→59.6秒
∟タスティエーラ

 

16年:60.0秒→58.0秒
マカヒキ

18年:60.8秒→58.3秒
ワグネリアン

21年:60.3秒→57.0秒
∟シャフリヤール ←レコード

 

 

となる。

 

今年のラスト5Fがとても遅い事が分かる。この部分は競走馬の能力を端的に表す部分である。走りを持続させる力が如何ほどあるかの指標になるところ。前半1000mの通過がほぼ変わらなかったシャフリヤールの21年は後半も速い持続ラップを連続させ、それに耐えたから当時のダービーレコードを塗り替えた。今年の後半5Fの通過時間はかなり物足りない(2.6秒も遅い)。

 

結局、レースが動く事の無いまま勝負所まで進み、持続性の問われない瞬発力勝負になったということだろう。完走した17頭中10頭が33秒台の末脚を使っている。つまり、ラスト3Fの上がりの競馬。こういう競馬に価値が無いのはしょうがない。地力の問われない展開・内容だったという事になるので結果が能力を反映したものとは言えないと思う。

 

ダービーの内容がレベルが高いかどうかで秋に古馬との力関係を推し測るのはかなり有効な手段。内容が濃かった2年前のエフフォーリアや昨年のイクイノックスは天皇賞(秋)を優勝したが、今年のダービーからそう言う根拠は見いだせない。だからだろうか?凱旋網賞にも行かず、秋の古馬GⅠにも挑まない。皐月賞馬もダービー馬も菊花賞を目指す異例な年となったがこういうところが影響しているのかもしれない。

 

3着:ハーツコンチェルト

東スポ杯2歳Sで使った上がりは33.8秒で最速。このペースでこれだけの脚を使えるなら末脚の精度は向上している。末脚の性能だけなら重賞級の評価で良い。

・長く持続性のある末脚がこの馬の良さ。一瞬で加速する性能は弱いようでヨーイドンの展開は厳しい。

ホープフルS若葉Sの様な小回り1周条件はこの馬には向いていない。コーナーで加速する事が出来ない上、直線も短いので脚を使い切れないまま負けている。

・徐々に加速してスピードに乗せていく方が良いので直線までゆったり追走していける大箱コースの方が向く。府中はGOOD。

 

上記がダービー出走時のカルテ。

 

ダービー3着で力を見せた。発馬が良くない馬でこの時もテンから置かれてしまう。後方2番手で最初のコーナーを回っていった。1000m通過してからリカバーして上げて行きタスティエーラやソールオリエンスと同じような位置までポジションを調整していた。4コーナーでは6番手。距離が長いとこういうことが出来る。そのまま勢いをつけて先頭を伺えたかもしれないが有力馬がこの位置で脚を温存しているので周りにあわせて温存してしまった。その結果苦手なドよーいドンの競馬に付き合うハメになる。直接的な敗因はこれに尽きる。瞬発力勝負よりも長く持続性のある末脚がウリなのでこういう競馬は向いていない。あと50mもあれば全てのみ込めたと思うが脚を使い切れずに負けた印象。展開負けと言う理解で良いと思う。レース内容があまり良くないダービーだったので力を出し切れなかった馬もいるため、もう一度やれば同じ結果とは限らない。が、この馬も不向きな展開でタイム差なしに駆けたので特に問題はなく、評価は下がらない。結局、中京・府中と直線の長い左回りでしか馬券になれておらず、右回りでは厳しい結果。ただ、コナーで加速出来る器用さや機動力に欠けたるだけなので右回りの適性というよりもコース形態に依存した適性で負けていたと見るべき。阪神2400mは外回り条件なので気にする必要はなく、この条件ならダービーの再現を期待すべきだろう。末脚が生きる流れになれば。

 

7着:シーズンリッチ

・スタート下手で、出して行くと行きたがり、脚を小出しすると末も甘くなる。乗り方が難しい。→共同通信杯でスタートが改善されて五分に出れた。2・3番手の競馬が出来たのはこの馬の進化。

・強敵相手に0.5秒差で走れた共同通信杯の内容は悪くないが理想的な競馬が出来ていたので力差を感じる。

・一線級の参戦がない隙間重賞(毎日杯)なら通用の余地はある。

・末脚上等というタイプではない。加速するというよりもバテずに伸びるという末脚なので決め手勝負になるとつらい。

 

上記がダービー出走時のカルテ。

 

ダービー7着。0.4秒差は頑張った。ただ、先行有利なレースであることや、スロー展開であったことから展開は向いたクチ。勝ち馬の一列前の3番手から雪崩れ込んだだけと言う内容は強調材料に欠ける。勝ち馬に持ったままで交わされていったし、上位との力差は感じた。ただ、この馬自身はやはりよく走っている。1コーナーで折り合いを欠き、道中も行きたがるのをなだめながら進んでいたのでスムーズだったらもう少しやれたかも?と思う。また、上がりの競馬で良いところが無いので瞬発力勝負なってしまったのも不運だった。府中ではそれまで3走していたが使える脚は大体同じで34.4秒、34.3秒、34.2秒と0.1秒づつ詰めていただけで、ダービーでもやっぱり34.1秒と0.1秒縮めているのだから面白い馬だ。33秒台のキレる脚をまだ引き出せないでいてこの辺が末脚の限界なのだと思う。もともと折り合いに難しいところがある馬で馬群の中でようやく我慢していた感じだった。1コーナーで掛かったように流れが落ち着きやすい2400mは気性の面から長いと感じる。決め手の弱さを再認識させていたので今回もどうだろうか?神戸新聞杯はスローな展開になりやすいし、外回りで決め手勝負にもなりやすい。ダービー同様に適性面のズレがあるように思う。決め手の問題は身体的な問題なので難しいが、気性の面は成長次第なので改善の兆しが見られたらよいのだが。

 

8着:ファントムシーフ

・立ち回りは上手く、最終コーナーでの反応も良い。気性に難しい面もないので乗り方にも注文はつかない。評価は高めの方が良いと思う。

・追い出してからの反応は少々鈍く前の馬交わすのにモタついている。この馬が勝ったレースはいつもそんな感じ。勝った3勝はどこか危うい。決め手があるようには思えない。→使える脚は長いがその末脚を最高速度に高めるには長めの助走区間が必要。

・中山ではGⅠを2戦したがこの馬も結局中山2000mは攻略出来なかった。一瞬の加速やキレ味が他の馬と比べて劣るのでそれが機動力となって発揮されていない。→厩舎側も中山よりも府中向きとのジャッジ。

 

上記がダービー出走時のカルテ。

 

3番人気の支持を受けながらダービーは9着。レース後の武豊騎手の話を要約すると「タメ殺ししてしまってすみません」みたいな感じだった。外枠が影響してポジションが取れずコーナリングで後方の位置に収まってしまった。向こう正面ぐらいで出して行ければよかったのだが勇気が無くて出来なかったと武豊騎手は言っている。まぁ、それはそうなのだがそれが出来ていたとしてもこの展開では厳しかったと思う。追って追ってようやく伸びる末脚はダービーの様な瞬発力勝負には向いていない。展開に最も泣いたのはこの馬かもしれない。騎手も厩舎も戦前からスタミナ勝負、持続力勝負に持ち込みたいと語っていたがそういうレースにならなかった事が敗因になる。力負けではないので1番人気3着だった皐月賞の強さに立ち戻って再評価するべきだと思う。小回り、内回りよりも広々とした大箱コースが向いていると言う理由で2歳の頃からダービー向きと言われていた。阪神の外回りなら大丈夫だろう。力を出せれば巻き返せる条件である。

 

11着:サトノグランツ

・馬はまだ完成途上で能力に身体が追いついていない。道中の追走も常に気合を付けて促す必要があり、勝負所では追い通しになる。

・直線に入ってからものみ込まれそうな感じで遅れを取るほど。追い出してからの反応も良くない。

・その代り追えば追うほど伸びるようなところがあり、エンジンがかかってからの伸び脚に見どころがある。

・3連勝の内容はいつもギリギリ差しが届く感じでゴール前では冷や冷やさせる。ただ、京都新聞杯も含めてそこまで強力な馬を差し切ってきた訳ではない。真に重賞級のメンバーを相手だと勝負所のズブさは後手を踏むきっかけとなる。

・今年のメンバーは「本格化はまだ先」と言うタイプが多い。その中でもこの馬の成長度が最も遅いような気がする。

 

上記がダービー出走時のカルテ。

 

ダービーは11着。大外枠を引いたことで友道調教師は「ワグネリアンも8枠だったので」と大丈夫だろう的なニュアンスを発していたがこれは建前とかリップサービスみたいな感じ。厩舎サイドの本音ではこれじゃダメだねと一気にトーンダウンしていた。ポジションを獲れないとダメな馬なのでこの枠は苦しく、川田騎手も内枠ならと話ていたほど。この頃は成長が追いついていなかったのでまだ自由自在に動けない。外枠から急かして好位を取りに行くような行動が出来なかった。また、スタートは五分に出ながらも隣枠の馬が落馬しておりその煽りを受けたのも最悪だったと思う。1F通過を待たずして川田騎手は先行取りを諦めて14番手の後方ポジションで最初のコナーに入っていった。関係者の話からするとこの時点でゲーム終了だった。さらに展開も悪い。エンジンの掛かりが遅いのでヨーイどんでは全く良さが出ない。レースが加速したところでは反応出来ずに立ち遅れていたのはこの馬らしいところ。直線長い府中だからエンジンは火を噴いたが時すでに遅しで前とは致命的な差が出来ていた。枠に、不利に、展開になにかとちぐはぐなダービーになってしまった。それでもその上がりは33.1秒まで加速させており2番上がりだった。やはり素質は秘めていてエンジン全開になった際の末脚には迫力がある。力負けではなかったのでダービーは度外視で良い。馬がパンとして来ればかなり上まで行ける馬と川田騎手もポテンシャルは評価していた。遅かった成長が秋になってどれほど進んだかが焦点になり、それ次第で印の重さは大きく変わる。

 

16着:ショウナンバシット

・勝った3勝は少頭数の上相手関係も楽なもの。しかし、負けた2戦はベラジオオペラとシャザーンでそれなりに強い馬と接戦した。弱いという事はないと思うが判断が難しい。

・重馬場でのレースが多いので時計的な価値を見出しにくい。実力の程を測りかねてしまう。

皐月賞では道悪適性を如何なく発揮して5着。こういう馬場は相当な巧者。ただ、上位とは力差を感じさせている。良馬場の時計勝負になった際にどうか?

 

上記がダービー出走時のカルテ。

 

ダービーは16着。落馬のドゥラエレーデと異常発生のスキルヴィングが後ろにいただけで実質の最下位。デムーロ騎手曰くハミを取らなかったとのことで行きっぷりが悪かったそう。最後方で1コーナー回り、道中もほぼその位置取り。展開的にはこれでアウト。直線の反応も無かったとのこと。最後の100mぐらいではデムーロ騎手も追うのは止めていた。状態は皐月賞より上がっていたとのことだったがそう言う状態に馬は無かったのだろう。すみれSで賞金を加算して皐月賞に直行する予定だった目論みが上手くいかず若葉Sを使ってしまったので押せ押せな感じがあった。ローテの狂いが大一番に影響を与えたかもしれない。馬は走っていないので参考外の一戦。皐月賞ではGⅠ級に力差を感じさせたが、このぐらいの相手なら皐月賞5着の実績はモノを言う。ダービー時の厩舎評からは阪神2400mも特に問題がなさそう。力を出し切れるなら勝負になる可能性をまだ否定できない。

 

▼以下はダービー未出走組


サヴォーナ

・上がりの速い競馬よりも前傾戦で上がりがかかる展開が得意であるようだ。

・条件戦なら印は常にいるタイプだが、末脚上等なタイプではないので重賞では立ち回り次第となる。

・2400mに拘った使われ方で2着・2着・1着と成績を安定させている。また、その上がりも2位・1位・1位と常に上位の末脚を使えるようになってきた。距離延長で末脚の優位性を得ている。

・距離適性は高いが重賞級とは力差を感じるのが実情。

 

上記が青葉賞出走時のカルテ。

 

3歳戦で長距離番組が組まれるようになって直ぐにこの路線を行くようになった馬。スタミナに強味がある。2400m以上の距離を走るようになってから馬券から漏れたのはGⅡ青葉賞の6着のみ。その青葉賞は差し追込み決着で前で競馬をしていた組には厳しいレース。4角3番手から6着に踏ん張った内容は評価できる。もっと飲み込まれても良い展開だったがバタリと止まることなくジワジワ伸びていた。GⅡ戦でもそこそこやれていた。そこから約3ケ月空けて福島の信夫山特別(2600m)を3馬身差で快勝している。スタートが悪く、後方から末脚で勝負して来た馬が信夫山特別では逃げ切り勝ちを収めるまでに成長を遂げた。競馬振りはどんどん良くなってきている。この距離の持ち時計も速い方なのでスピードもスタミナも併せ持つ適性馬だと言える。その強味を活かして春の実績馬に肉薄したいところ。ただ、その前走もお世辞にも褒められる内容ではなかった。63.6秒→62.1秒で通過した超スロー戦。タメ逃げして上がりの競馬に持ち込んだ楽な展開。勝った事はエライが内容から強調出来るようなものはあまりない。ソールオリエンス、スキルヴィング、サトノグランツなど一線級と対戦する機会も多く完敗の内容だった。重賞級とは力差を感じさせていた馬なので相手が強くなってどこまでやれるかは今も試金石の域を出ない。

サスツルギ

 

2歳8月にデビューしてだいたい2ケ月の等間隔で使われて只今5戦3勝。近2走で連勝中。出遅れ癖があり、4戦目以外全て出遅れている。負けた1・3戦目もそれで負けた感じで、スロー展開を後方追走と言う負けパターン。いずれも脚を余して入線している。能力とは関係のない理由で負けているので気にする必要はない。ほぼ出遅れているだけあって各レースで使っている脚は長い。ラスト1000mぐらいから動き出して前を捉えられるのは脚力が高い証拠であろう。特に後半に11秒台が連続する持続戦で強くタイトな展開で一つ上の末脚で上がって来る。時計勝負には強そうだ。でも、出遅れて勝負になるのは条件戦ぐらいまで。実際、クラスが上がってからは最速上がりが記録出来なくなっている。今はクセが常態化しているのでそれが理由で取りこぼす可能性はある。ダービー組を多く含む重賞では致命的になりうる。せめて五分に出ないと計算がしにくい。また、ここまで左回りに拘った使われ方をしている点も気になる。適性は関係なく新潟・府中は能力を発揮しやすいからという理由でノーザンF系素質馬が良くやるパターン。走ってみたら右回りも全然OKと言う場合も多いが右回りに不安がないかどうかは調べておく方が良い。

 

スマートファントム

 

ここまで9戦2勝。4走前から徹底的に後方待機を貫いている。ポツンもしばしば。それまではレースの流れに合わせたポジションで競馬をしていて上手に立ち回れていたのにどうしてそんなに拘るのだろうか?確かに控えて良い脚は使えているが他の上位上がりの馬と上がりタイムはそれほど変わらない。だから末脚が際立つこともなくいつも好走止まり。前走の香嵐渓特別を勝てたのもたまたま。後方からイン突きしたら前がぽっかり空いたからコーナリングでワープ出来た。それでもクビまで詰められているように突き抜けた訳でもない。このスタイルで使える脚はそう立派なものではない。この末脚では有力馬が揃ったトライアルだと届かないと思う。また、セントライト記念神戸新聞杯に出走している馬とは結構戦っていて完敗の連続なのが現状。阪神2400mはゆきやなぎ賞、アザレア賞と2走しているがどちらもサヴォーナに0.4秒差負け。この2レースはペースが全然違うものだったが展開に左右されない負け方は2頭の力差を如実に表しているいると思う。それに2400mも微妙に長い印象。その後に2000mを3戦しているのもそのためではないだろうか?適性もズレているかもしれない。

 

ナイトインロンドン

 

2400m~2600mの距離で現在3連勝中。4馬身→3馬身→2馬身と着差は小さくなって来ているがしっかりと抜けだして勝っているので強い。末脚はいつも際立っていて4戦つづけて上がり最速を記録している。しかも先行ポジションからこの脚を使っているので取りこぼす感じが全然ない。2走前の2勝目はダービーの3週間後に行われた同条件だったがダービーより勝ち時計が速い。出ていればそこそこやれていたのかもしれない。生来的におっとりしているようで前進気勢がほとんどない。当初は全然動けずに2戦目の直線を向くまでは本当にズブい馬だった。が、この2戦目の直線でインから追い出したらグイグイと伸びて僅差の2着に好走する。10番人気だった。この走りを見て騎手も厩舎も本気になった感じ。それまで馬まかせに後方を追走していたが、3走目から気合を付けて位置を取るようにしている。これで馬も目覚めたのか以降のレース振りは安定している。自主的な追走力は以前ないままだが促されればちゃんと動けて勝負所の反応も悪くない。GOサインが出されるまでは反抗することなく無駄がない。レース中のオンオフが出来ていて素晴らしい。スタミナに裏付けられた脚力は高く追えば追うほど伸びる感じがある。スピード負けを理由に長距離を走っているようなエセステイヤーとは思えない。真の長距離適性のある馬と言えそう。前走は札幌の2600mの2勝クラスを勝っているが、見た感じ小回りは忙しい印象だった。外回りの阪神コースは向いているだろう。強敵を相手にするのは今回が初めてになるので力関係だけ。当然無視は出来ない。

 

バールデュヴァン

 

芝1200mで勝ち上がれず、ダートに路線を変えて勝ち上がり、そのダートも頭打ちになって、芝に戻したらなぜか中距離で好走を続けている。一貫性のない妙な戦績。全体成績は10戦2勝。ちょっと理解に苦しむが、この馬の戦績に辻褄を求めるとしたらスピードのなさを指摘するとよさそうだ。芝1200mで勝てなかったのも速力不足、それを補うためにダートに行って良さがでて、でもクラスが上がって砂の短距離では厳しくなって、追走面が楽になる中距離で脚を溜めたらそこそこの末脚が使えるようになって、だったら北海道で洋芝使おう!みたいにな感じだと思う。また、幸運なことに北海道では道悪ばかりのレースを使う事が出来た。だから勝てたし、昇級した2勝クラスも4着とまぁまぁ頑張れた、ということではないだろうか?全て仮説だが速さの必要ない条件を追求したらこうなったと考えると全体的にしっくりとする。好走ゾーンが非常に狭く、時計の速い中央場所の外回りは全然ぴんと来ない。速い上がりを使えた事もないのでこの条件で決め手を引き出せるとは考えにくい。

 

ビキニボーイ

・ペースアップしてからの動きがとにかくズブイ。先行する事でズブさを帳消しにしたが、直線では追っても追っても追い足りないという感じで伸びが鈍い。

・鞍上のリアクションはいつも激しく、そこまで追わないとダメなのか?という感じでかなり厳しい。

 

上記が京都2歳S出走時のカルテ。

 

2歳8月に札幌でデビューして2戦目に勝ち上がったが3歳1月までに7戦を消化して頭打ち。3歳2月に地方に転出して約4ケ月間に8戦を消化してきた。自己条件では無双だったが重賞など格式の高いところでは通用しなかった。7月にはJRAに再転厩して既に2戦消化。キャリア15戦の猛者。1月までの中央在籍時は1勝クラスを突破出来なかったが、地方で4勝もしたので再転入してからは3勝クラスに在籍し夏の新潟2戦した。いずれも掲示板を確保して、上がりも1位、3位と上位の末脚を繰り出している。地方での武者修行の成果なのか終いに脚を使えるようになっている。以前の中央在籍時とは馬が根本的に変わっている。3勝クラスでこれだけ走れれば秋のトライアルなら無いとは言い切れないところ。以前はズブく、追走力の無い馬だったが今はレースの流れに乗れるようになっている。控えて末脚を繰り出すスタイルも定着した。自己条件ならいずれチャンスがある感じ。速い流れにも対応しているし、走破時計もいっちょ前になった。ただ、位置取りの不利を覆せるほどの末脚はまだ無いので脚を使っても届かないというのが再転入してからの内容。まだ自在性に弱味がある感じで直線に入るまでにもう少し上手く立ち回れてないとやっぱり厳しいだろう。1勝クラスを勝ち上がったばかりの相手となら互角かもしれないが、重賞級とは力差がありそう。

 

マイネルラウレア

ズブいタイプで後方で競馬を進めてばかり。勝負所で詰めれる機動力も無く、いつも直線勝負。

・瞬時にビュンと加速することはない。エンジン点火に時間がかかるタイプ。

・最後の1Fだけは異常に速い。ゴール前でグイっと伸びる変な強さがある。→坂を上ってから伸びるという事は平坦巧者か?

 

上記が京都新聞杯出走時のカルテ。

 

頓挫が重なった皐月賞は全く動けなかったが京都新聞杯は5着に巻き返す。この馬らしい走りで0.1秒差と際どく詰めた。ラスト1Fのキレ味は相変わらず凄まじく接戦に持ち込んでいた。ただ、上がりは33.1秒の最速だったが、瞬時にビュっと来れないところが泣き処でその分だけ届かなった。また、重賞レベルだと最後の1Fだけでは詰め切れないと言う事も露呈した感じ。もう少し早く動き出して前との差を詰めておかないと今後厳しくなりそう。ただ、変化もあった。追走力がなく、テンから動いていけないので後方追走が常だったが、京都新聞杯では発馬を決めて中段を追走していたのは大きな進歩。あいにく内枠だったので捌きの問題で踏み遅れたが、位置を取って競馬が出来た事は大きい。こういう競馬が常に出来ればチャンスは広がる。過去に騎乗した横山武騎手、川田騎手も素質のある馬と評価は悪くなかったので馬鹿に出来ない馬。一芸のあるタイプなので展開次第で出番はあるだろう。

 

ロードデルレイ

 

3戦3勝の無敗馬。脚の回転がとにかく速く、終いは確実にキレる。追い出してかの加速も素早いので直線での見た目はいつも良い。ここまでの上がりは33.2秒、33.1秒、33.4秒と常に高速上がりを繰り出す。ラスト3F区間に10秒台が含まれる速い上がりにも難なく対応してしまう。また、先行ポジションからこういう脚を使っているので取りこぼしがなく、良い内容で3連勝している。ただ、意外にも最速上がりを記録したのは新馬戦だけで他は2位上がりまで。タイム差も0.7秒差→0.3秒差→同タイム入線とクラスが上がる度に着差を小さくしている。前走の同タイム入線馬は春までの重賞戦線で完全に頭打ちだったシーウィザードと言うのも気になるところ。これに最速上がりを譲っている点でやや物足りなく映る。この馬自身に弱味はないが、相手が強くなることでどこまで通用するか?と言う気にはなって来る。春までにクラシックに乗れなくても随所に高いパフォーマンスを見せていたレーベンスティールやブレイディヴェーグの様なインパクトはないのでこれらと同列に扱うのは気が引ける。ただ、前走が半年ぶりの休み明けだった点は考慮しなければいけない。叩いた効果で上がり目もある。この馬自身のパフォーマンスは良いし、時計的にもやれて良い。評価材料は多い方なので通用しても良いとは思う。

 

神戸新聞杯(GⅡ)の予想案はこちら▼