競走馬カルテ

2・3歳重賞の出走馬を分析・記録していくブログです。

NHKマイルカップ(GⅠ) 出走馬カルテ②

 

こんにちは。

 

こちらのページは、

 

の、続きになります。↑ではファルコンS組、NZT組について扱っています。こちらではアーリントンC組、別路線組など残りの10頭を紹介していきます。

 

予想案は各ページの最下部にある専用ページにまとめてあります。ブログカードを貼っておきますのでそちらをご覧ください。

 

アーリントンC

 

アーリントンC組の成績は過去10年で【2・0・4・19】だが、開催時期が4月に移ってからの成績は【1・0・4・17】と変化する。2月に行われていた頃は直行してくる馬が少なかったのでその成績は18年以降の近5年に集約している。来ても3着までという相性だったが昨年ダノンスコーピオンが優勝したことでようやく勝ち馬が現れた。なんだかんだとほぼ毎年この組から馬券になる馬は出るので前哨戦としての機能性は高い。

 

今年は重馬場で行われているので前週に良馬場で行われた桜花賞と比較する事は出来ないが、3F通過で0.1秒、1000m通過で0.1秒遅かっただけなのでかなりのハイペースだったと言える。重馬場をGⅠペースで流れているので道中の負荷はかなり大きかったよう。ラスト1Fで1.2秒も失速しているようにかなりしんどい消耗戦だったと言えるだろう。

 

しかしながら、このペースは大逃げしたユリーシャだけにあてはまるラップ構成で、これを追いかけなかったその他大勢はおよそ2秒は遅い流れでレースを進めていた。ざっくりだがこの2秒を上乗せしてペースを概算すると36.1-59.7となりマイル重賞としてはかなり遅い部類に入る。公表されているレース内容とはまるで違う展開だったことは重要である。展開に乗じて好走したのは2・3番手で先行していた2・3着馬の方ということになる。前が残る展開を差して来たオオバンブルマイの走りは強さの証明と考えて良い。

 

1着:オオバンブルマイ

・走りがワンペースなので瞬発力が求められた場合に決め手を発揮出来るかは未知数。ただ、タイトな持続戦では結構強い。

・折り合いも非常に良く、ポジションが定まってからの収まりもスムーズで印象点点は高い。

阪神JFは出遅れた事で後方からレースを進めることになる。先行粘り込みの馬が末脚を使えた事の収穫は大きい。その末脚もGⅠで3位上がりとその価値も大きい。

 

上記がアーリントンC出走時のカルテ。

 

阪神JFでは出遅れていたがアーリントンCではこの馬本来の良いスタートを決めて序盤は先行集団を見やる3・4番手で流れに乗せていった。そこから押さえて7番手ぐらいに落ち着いて道中を進めていくことになる。京王杯2歳Sを勝つまではそのまま先行して押し切っていたが、ムキににならずに中団の前めで脚を溜める競馬が出来ていた。出遅れた阪神JFで末脚を引き出す競馬をしたことでレース運びに幅が出ている。唯一の敗戦は苦いものだったがそれで得た収穫は大きかったようだ。直線で外に出した時には前との差は開いていて、2・3着馬も止まらずに脚を伸ばしていた。普通の馬では届かなかったような展開を差し切るのだから末脚性能は高かったという事になる。短距離で先行していたスピードを末脚に転嫁出来ているようだ。アーリントンCを勝てたのでマイルはもう問題はないが、阪神JFで騎乗していたルメール騎手もレース後に距離適性があると話していたそう。1400mで連勝していた馬がマイルの距離で安定している。これで4戦3勝、重賞2勝と中身の濃いキャリアを積んでGⅠに挑む。生産者や馬主、そしてその馬名から地味なイメージは強いが案外馬鹿に出来ない。府中は重賞勝ちの舞台。重賞勝ちのあるマイルGⅠ。ここは力が入る。不安材料となるのは持ち時計ぐらい。NHKマイルCは時計が速くなるので高速決着に対応出来るかどうかが鍵となる。

 

2着:セッション

・スタートが上手でゲートが開いてポンと飛び出せる先行馬。どんなペースでもスムーズに運べてコントロール性が高いように見える。

・負けたレースは決め手負け。溜めて決め脚を引き出すよりは早めに踏んでいき脚を使い切る競馬の方が良いようだ。

 

上記がアーリントンC出走時のカルテ。

 

調教だけはとにかく動き、厩舎でも指折りの評価。当初からクラシックを意識できる好素材とされていた。が、如何せん成長が遅いためまだ体を持て余している現状だという。その物足りなさは決め手の無さとなって現れていて中距離ではギアを上げきれずに最後が甘くなってしまう。その物足りなさをマイル短縮で補いたいという事でアーリントンCで路線変更になった経緯。この目論み通りに馬が変わり身を見せた。終いの甘さは感じさせず、もう少しで勝てたという内容は現時点でのマイル適性を感じさせた。スタートをポンと出れるので中距離では常に先行して立ち回りは上手かったが、この上手さはマイルに短縮されても通用した。3番手で先行。ワンペースに走り雪崩れ込む競馬で結果をだした。マイルなら先行力やスピードで押し切れるのでギアを上げる必要がない。決め手を発揮出来ない現状はこの路線が適条件と言う事になりそう。ただ、展開には恵まれていたし、それで勝った訳でもない。決め手の問われる展開になればまだ不安もある。実績といえるものもこのアーリントンC2着ぐらいで評価急上昇と言うのも難しいと思う。成長が遅れているのも気になる材料で、本格化は秋頃だろうとのこと。素質頼みでGⅠでどこまで通用するだろうか?押さえ候補の1頭程度の評価しか現状は出来ない。

 

3着:ショーモン

・スピード性能、持続力共に高いものを持っている。

・全力で前を追いかけてしまい力みの強い先行をする。それでも最終コーナーを力強く回って来て最後まで粘り込んでしまう。心肺機能、体力面は相当高い。

・脅威的な差し返し能力。交わされてからが本番みたいなところがある。

 

上記がアーリントンC出走時のカルテ。

 

とにかく交わされてからが凄い。アーリントンCも2・4着馬に完全に交わされていて1馬身から1馬身半は前に出られている。そこから2着馬をクビ差まで追いつめるのだからこの馬の競馬にはいつも驚かされる。前走もそうだっが、3着だったデイリー杯2歳Sもそうだった。いつも飲み込まれているのにそこから盛り返して来る。単にエンジンのかかりが遅いだけという可能性もあるが、先行馬が重賞でこれだけの脚を使えるのも凄い事である。そもそも並みの先行馬なら飲み込まれた時点でゲーム終了。諦めずにゴールを目指しているエライ馬だと思う。この馬は交わされてから本番でラスト50mで大勢を逆転出来る根性が売りである。今回もゴールまで目が離せないだろう。また、アーリントンCでは気性面の進化も見られた。前進気勢の強い馬で前を行く馬を一生懸命に追いかけるところがあったが2番手で上手く我慢出来ていた。いつもなら大逃げしたユリーシャを追いかけて行ってもおかしくなかった。交わされていくときにムキになる仕草も見せずに自分のリズムを守れたのは今までにない姿だった。ようやく競馬を覚えて来たように映る。欠点を改善しながら本番に迎えるのは良い流れ。決め手のある馬、脚力の高い馬にあっという間に交わされれば厳しいだろうが、後続に可愛がられるようなら渋太い粘りを発揮していることだろう。なお、北海道の洋芝からスタートしているように、時計のかかる条件を選んで使われていた。これはパワータイプと考えられていたから。ダート馬の可能性も感じていたとのこと。だから道悪は歓迎材料ぐらいに陣営は考えている。

 

7着:ナヴォーナ

・自主的に進んでいく感じがちょっと弱かった。

・11.4-11.4-11.2の加速ラップを差し切ってしまうのだから並みで無いのは良く解る。能力や脚力は高いものがある

・行きっぷりが物足りなかったし、直線も追い出されてからフラつくなど未完成さは目立っていた。この時期の重賞を走るには完成度が足りていない。

 

上記がアーリントンC出走時のカルテ。

 

勝ち馬オオバンブルマイと同枠だったので道中はオオバンのすぐ後ろを追走していた。勝負所までの立ち回りはほぼ同様だった。スムーズに馬群を捌けたのでこちらの方が先に進路を取り追撃態勢に入る。新馬戦の様にビュンと加速する感じがなくなっており、この辺は道悪が影響したのかもしれない。モタついている間にオオバンが外に出して一気に突き放されてしまった。同じようなところから追い出しているので上がり差0.2秒がそのまま着差に反映された感じ。加速してからは本馬も良く伸びていたが時すでに遅しだった。上位馬とは力差を感じさせたが、これはキャリアの差、完成度の差と言うことだと思う。勝ち上がったばかりの1戦1勝馬としては良く頑張った。まだまだ馬体に緩さを残している完成途上と言う話。勝負所で見せたズブさも体に実が入っていないので動ききれていないからだと思う。追い出してからの反応の鈍さも同じだろう。脚元にも弱いところがあるので道悪は不安材料とされていた。以上の事から、厩舎や関係者は素質の高さを評価しているが、この状態でGⅠで勝ち負けの仕上げが施せるかと言えば疑問の余地は大きい。また、新馬戦も内容的に価値を見いだせないないもので、GⅠ通用の目途は立っていない。厩舎側の言う素質の高さに怖さもあるが、普通に考えると厳しいのではないかと思う。

 

11着:ユリーシャ

・逃げて2勝しているがスローのタメ逃げで、上がりの競馬を勝ち上がっているだけ。特別強い訳ではない。

・ペースの割には最後の失速が大きいタイプ。いずれも1秒近く止まっている。それで勝てているのは後続の力不足や、失策によるものだと思われる。

・ラストに速い脚が無いので逃げても失速するし、逃げなかったとしても決め手で劣る。

 

上記がアーリントンC出走時のカルテ。

 

桜花賞に出れると思っていたのでスライドして使ったアーリントンCはGⅠ仕上げのデキだった。出れなかった桜花賞とほぼ同一のペースで逃げていたので出走出来ていたとしても厳しかっただろうなぁという結果になった。それにしてもアーリントンCはどうして大逃げしたのだろうか?重馬場でこのペースははっきりとオーバーペースである。だから、誰も追いかけなかった。出鼻はショーモンの方が速かったのでハナに立つまでにガシガシと押してしまった事で馬がやる気になってしまったのかもしれない。こんなペースで行っては最後まで持つはずもなく、坂の手前で完全に失速していた。それまでの2勝はスローのタメ逃げによるものでこのような逃げは本来の姿ではないだろう。ペースをコントロール出来ればここまで負ける馬ではないと思う。ただ、それで巻き返せるかと言うと怪しいと言わざるを得ない。まず、このレースは桜花賞のつもりで使ったメイチ走。中2週では調整が難しい気がする。また、重馬場をオーバーペースで行った反動も気になる。上積みをあまり期待出来ない状況ではないか?それにエルフィンSも恵まれて勝ったようなところがあり、この馬自身が強さを証明していない。GⅠで強気になれる材料はほとんど無い。


別路線

 

オールパルフェ(スプリングS7着)

 

リズム良く、折り合いはついているが前進気勢はやや強めに出ている。現状は逃げた方が良さの出るタイプに見える。

デイリー杯2歳Sの勝ち方が優秀。持続性のあるペースで引っ張り、最後は瞬発力で後続にリードを取った。走りのバランスはとても良い。

朝日杯FSは速いペースで行き過ぎた。テンが35秒台までなら大丈夫、34秒台以上なら厳しいというのが一応の目安となりそう。

 

上記がスプリングS出走時のカルテ。

 

スプリングS組は近10年では【0・0・1・17】と言う成績。トライアルの整備が昔より進んできたのでこのローテでは結果が出にくくなっている。

 

スプリングS7着。レース後の談話では敗因は道悪と言う事になっていたが、直線の止まり方を見ると距離かもなぁという感じもある。4番手だったこの馬の前を走っていた馬が掲示板に2頭も残っていたのでペースは楽ではなかったが力があれば頑張れる展開だった。手応えに余裕を持ちながら直線をむき、馬場が伸びる外に回して、良い状態で追い出し態勢が獲れていた。勝てそうな感じも一瞬はあったのだが、ラスト1Fのところでパタりと止まっている。急に手応えを失っているのでそれ以上の距離は無理と言う感じがしてしまう。道悪が影響して力以上に負けたというのはあるかもしれないが、勝ち負けに持ち込める距離ではなかったのだとも思う。いずれにせよ、皐月賞ではなくNHKマイルCに出て来るなら問題の無い話。馬場次第で見直した方が良いと思う。と言うのも、朝日杯FS以来のレースだった前走には2歳時よりも成長の跡が確認出来るから。まず、折り合い面が非常に良くなっていたこと。前進気性の強かった馬が前を追いかけすぎずに回って来れた点で良かったと思う。次に逃げなくても競馬になっていたこと。上述したように勝負所ではしっかりと動けていてハナでなくても競馬が出来た。脚質に幅が出るのは悪くなく、選択肢が増えた。馬の走りは2歳時よりも確実に良くなっている。近2走の敗因ははっきりとしていて、GⅠでもそこそこ頑張れていたのではっきりと力が劣っている訳でもない。大穴が開くレースならこういう馬の可能性は排除できない。

 

クルゼイロドスル(ジュニアC1着)

・ゲートを出てからの二の脚が速いのでポジション取りに苦労するタイプではない。

・展開を問わず速い上がりを記録出来る末脚がある。

・府中マイルの未勝利勝ちは、サウジRCより0.1秒遅く、アルテミスSより0.3秒速い勝ち時計。同条件重賞と比べて遜色ない時計で走れている点は優秀。

 

上記がデイリー杯2歳S出走時のカルテ。

 

先にジュニアCについて触れておくと、これは素直に高評価。まず、時計が純粋に速い。同時期同条件のフェアリーSなども利用して近3年の馬場差を調べたが極端な差はなく、今年のジュニアCだけが抜けて速いものだった。冬枯れの中山で1:33.7はかなり優秀である。好時計が出るだけあってペースも速い。35.0-58.1秒で流れ、息を入れる緩みがないタイトなペースだった。これは本馬が逃げて記録したものなので余計に価値が高い。後続はこのペースに脚を失くし、本馬との差は見る見る大きくなって4馬身差の圧勝となった。逃げ方としては超強い。ジュニアCの内容にケチをつける隙はないだろう。ただ、今回はその時以来のレースになるので力関係が読みにくくなっている。5着だった昨秋のデイリー杯2歳Sではオールパルフェ、ダノンタッチダウン、ショーモンとここに出走する馬に負けていて、目立った不利も無くただ力で劣っただけと言う感じだった。また、デ杯2歳Sの走破時計とジュニアCの勝ち時計が全く同じだった。自分の時計だけは走ったと言う解釈も出来るので力は出し切っていたのだと思う。そうなると対戦比較の面からもこの馬の序列は下になってしまう。しかし、厩舎の感じだと中2週の臨戦過程が良くなかったという考えのようだ。間隔を空けた方が力を出せるという事らしいのでだから今回も久々のローテとなっている。デ杯2歳Sの敗戦を反省した結果なので当時の結果は度外視する必要があるのかもしれない。この厩舎評を鵜呑みにするならジュニアCの強い内容を根拠として印を回し押さえておくべきだろう。それが出来ないならデ杯2歳Sの結果を根拠に消すという選択になる。2択のチョイスは正直難しい。

 

シングザットソング(桜花賞7着)

・レース上がりよりかなり速い脚を使う。脚力そのものは高いのだと思われる。

・狭い所にも躊躇なく突っ込んで行けるので進路があればどこからでもやって来そう。

フィリーズrvで初めてスタートが決まった。好位を取れて、折り合いもついていた。テン、中、終い全てが良い立ち回り。地力勝負で勝てた事は評価を高く出来る。

・先行出来た代償かそれまで見せていた強烈な末脚は発揮されなかった。

 

上記が桜花賞出走時のカルテ。

 

桜花賞組の過去10年の成績は【2・2・0・12】で、連対率ならどの前哨戦よりも高い数字になっている。強敵を相手にクラシックを歩んだ馬にとってマイル路線の馬は与しやすいのだろう。力上位であることが多い。

 

桜花賞は0.8秒差の7着。11番枠の馬がインポケットの4番手を追走しているのだから驚いた。2走前まではゲートや序盤の立ち回りがボロボロだった馬が良くそんな位置を取れたなぁと思う。岩田望騎手の導きも素晴らしかった。インコース優勢の馬場状況でこの立ち回りは完璧に乗れていたと思う。ので、結果は重く受け止めざるを得ない。目の前の馬が2着馬、左隣りの馬が3着馬だったレースでこの馬も勝ち筋には乗れていた。にもかかわらず直線追い出されてから伸びないのだから仕方ない。純粋に力負けという事になる。フィリーズrvと併せて考えると、序盤の立ち回りは大幅に改善されたが強烈な末脚と引き換えになっている。かつての様な決め手を期待するのはもう難しい。弱メン相手のGⅡではそれでも勝てたが、トップクラスが集うGⅠでは決め手が平凡になってしまう。ただ、脚質が定まるのが遅かったのでまだ試行錯誤の余地がある。GⅠだと正攻法のレースでは厳しいが、中団ぐらいで脚を溜めれるなら強烈だった末脚が復活する可能性はあるのではないか?と思う。桜花賞も負けたといは言え軽視して良い程には負けていない。NHKマイルCの相手ならメンバーは若干楽になる。乗り方一つで巻き返してよいだろうと思う。

 

ダノンタッチダウン(皐月賞18着)

・大事に乗り過ぎているのでいつも直線だけの競馬。よって、末脚以外に褒められる点が無い。展開の恩恵は受けているのでそれでも勝てないのは位置取りの問題。自在性をみせないとGⅠでは厳しくなる。

朝日杯FSではさすがにポジションを取りにいき相応の自在性を見せた。やれば出来る馬なのだろう。展開に逆行しながら2着に来た内容は評価出来る。

 

上記が皐月賞出走時のカルテ。

 

皐月賞組の過去10年の成績は【2・1・1・10】で、勝利率は桜花賞組を上回り、複勝率はどの前哨戦よりも高い数字になている。馬券軸なら皐月賞組と言う感じもある。桜花賞同様で牡馬クラシックの皐月組もこのレースで優位性がある。19年優勝のアドマイヤ―マーズの様にマイラーが背伸びしてクラシックを走っているというケースも多いので、距離短縮で強さを見せる。

 

川田騎手としては皐月賞で乗りたかったのはフリームファクシの方で、本馬に気が合ったということはないそう。師匠の安田隆調教師のラストクラシックの為にこちらを優先したようだ。その皐月賞は距離は持つと考えていたが直線の短いコースへの適性に疑問を感じていたよう。そういうこともあり勝負掛かりと言うことはなかった。安田隆調教師も次に繋がるレースが出来ればと話すにとどめていた。しかし、その「次」と言うのはNHKマイルCではなく、ダービーと言う認識だった。適性を考慮してこちらに回って来たならここは勝負態勢をとってくると思われる。と言うか、本当は皐月賞NHKと言うことでもなくて、NHK→ダービーと言うのが当初の目標であったらしい。NHKを軸にローテを変更しているようにここが勝負の鞍と言う認識で良いと思われる。最下位だった皐月賞の結果は度外視して改めてその可能性を考えた方がよいと思う。

 

成長が遅いとのことで調教で負荷をかけきれないところがあったが、3歳になってもその点に変化はなかったらしい。まだ緩さを多分に残している現状。それでも、兄のダノンザキッドよりは素質が上と断言しているので本格化前でも侮れないところがある。皐月賞について簡単に触れておけば、距離、コース以前に重馬場でノメりっぱなしで力を出せなかったという事。川田騎手も勝負所で手を動かしていたが全く進んで行かなかった。ので、直線に入る前にはもう諦めて追っていない。レース後にこれが精一杯と言うコメントを残していたが、全然一杯には追っていない。次を見据えたヤラズ認定で良いと思う。良馬場で見直す余地は大きい。それと、後方待機一択だった馬が先行して最初のコーナーを4番手で回っていた点は評価しておきたい。こういう競馬が出来るなら中団ぐらいで脚を溜める競馬が出来ると思われ、2歳時より良い立ち回りが期待出来る。末脚が自慢の馬なので府中替わりも歓迎材料で、距離短縮は言うまでもない。条件ははるかに好転する。天気次第で大きく巻き返して良いと思う。

 

ただ、どうも週末の天気が怪しい。皐月賞の話からすると道悪はド下手の可能性がある。この際は割り引きが必要になる。だが、中山と府中では水捌け能力が段違いなので注意したい。当日の回復次第では勝負になっても不思議ない。

 

フロムダスク(サウジダービー9着)

新馬戦でも逃げ切り勝ちしていたが、京王杯2歳Sも逃げて2着。もう少しで勝てたという走りで行くとかなり粘り込まれてしまう。

・馬体を併せた雁行状態でも最後まで譲らないし、へこたれない。単騎でなくてもハナに立ててさえいれば力を出し切れる強さがある。

 

上記が朝日杯FS出走時のカルテ。

 

6戦しているが、逃げ3戦、出遅れ3戦と言う両極端な競馬振り。逃げれば全て3着以内に走れていて、行ききればなかなか渋太い。稽古でも後ろから突かれた方が反応が良いという。逆に、出遅れるとまるでダメで後方儘尽の結果になってしまう。出遅れても脚を使ってくれれば良いがそう言うところがまるでない。後半に加速するという事が出来ないのだろう。生来的なスピード馬で逃げてこそと言うキャラが確立していると見て良い。出遅れればもう来ないので、逃げれた場合を想定して評価して、それで足りるかどうかということを判断すれば良いのだと思う。触れたように行けばそこそこ粘る。マイルの時に限って出遅れているので本質的な距離適性は判然としない。ただ、実績のある1400mでも勝ち切れていない。2走前のクロッカスSではマイル戦並みのスローで負けていてるのでこの距離ですらこなせているとは言いづらい。厩舎でもいかにも外国産のスピード馬と言う評価なので距離延長が良いという観測は安易に出来ない。また、逃げ馬と言ってもロケットスタートでぶっ飛ばして行くタイプではなく、二の脚でスピードに載せていくスタイル。スタートも安定していないので行く馬がいれば逃げれるとも限らない。今回のメンバーにはスタートが抜群に上手い馬が何頭かいるのでそれらを制して楽逃げに持ち込む事は難しいかもしれない。まず、楽なレースにはならないだろう。抜群な実績や目立ったパフォーマンスも残せていない以上評価を高く見積もることは難しい。

 

 

NHKマイルC(GⅠ)の予想案はこちら▼