競走馬カルテ

2・3歳重賞の出走馬を分析・記録していくブログです。

ヴィクトリアマイル(GⅠ) 出走馬カルテ①

 

こんにちは。

 

NHKマイルCは案の定荒れた結果になりました。今週もNHKマイルCと同じ府中のマイルGⅠですが嫌な流れはちゃんとリセットしておきたいですね。でも、ヴィクトリアMもそれほど簡単なGⅠじゃないですよね。

 

・二桁人気の成績→1勝2着4回3着2回
・1~3番人気が3着以内に2頭以上来たケース→1度だけ
・5番人気~の馬券圏内占有率→63.3%
※過去10年

 

と、ご覧の様に馬券の中心は5番人気以下の中堅どころが多く、上位人気だけで決した事は1度もありません。二桁人気もそれなりに来ています。総じて言えるのは人気馬の好走率が高くないということです。この点は先週のNHKマイルCと同じですね。こういう傾向になる背景には思い当たることがあります。

 

まず、①中距離GⅠ馬が人気になって負けるパターン

 

15年ヌーヴォレコルト(1番人気6着)
17年ミッキークイーン(1番人気7着)
19年ラッキーライラック(1番人気4着)
20年ラヴズオンリーユー(3番人気7着)
22年レイパパレ(1番人気13着)、デアリングタクト(5番人気6着)

 

と、クラシックや古馬中距離GⅠの勝ち馬が人気を吸ってコケるパターンは多いですね。GⅠ馬ではありませんでしたが14年も中距離実績が高かったスマートレイアーが1番人気で8着に負けています。春の府中は時計も速く、このレースでも2年続けて1分30秒台で決着した事があります。中距離適性馬がこの距離でスピード負けしているという事でしょう。

 

次に、②リピーターレースという嘘

 

リピーターが活躍する事で有名です。最近ですとジュールポレール(17年3着→18年1着)、ノームコア(19年1着→20年3着)といますのでそれなりにリピーターは走っています。ですが、リピーターだからと期待されて人気で負けるケースも少なくないように思います。

 

ミッキークイーン(1着→1番人気7着)
・アドマイヤリード(1着→2番人気8着)
・プリモシーン(2着→2番人気8着)

 

リピートしやすいという特徴から自然と人気を集める存在となります。前年より人気を背負うことになるのでこういった馬がコケることで波乱がおこりやすくなります。逆に上述したジュールポは7番人気→8番人気、ノームコは5番人気→5番人気と人気の上昇が見られませんでした。実はこれがリピーターの鉄則でしてホエールキャプチャヴィルシーナストレイトガールなどみんな人気を落としての好走だったのです。

 

もう終わったと思われたり、新興勢力が魅力的だったりで人気を落とすのですが、リピート走を狙うなら人気が陰った馬こそ侮るなかれという事です。人気が無くても適性だけで好走出来るからこそ2度も、3度も走るのです。これがリピーターレースの本質なのであります。去年も来たから今年もと言う安易な取捨ではなく、本当の適性を見極める事が重要ですね。

 

さて、今年人気になりそうなところは全てこの2類型にあてはまります。①ならスタニングローズ、スターズオンアース。②ならソダシ。これらがちゃんと走ってくれるなら良いんですけど、コケたら今年も、今週も。という事になります。

 

ヴィクトリアMは14日(日)に行われます。前日の13日(土)には更新を完了する予定です。今回はアイウエオ順に淡々と更新していきます。1万万文字を目安にページを増やしていきます。

 

予想案はページの最下部にある専用ページにまとめてあります。ブログカードを貼っておきますのでそちらをご覧ください。

 

アンドヴァラナウト

 

・ベスト条件

 

ワンターンのコースで距離は1600m~1800mぐらいが良いとされています。府中牝馬Sの1800mぐらいが一番良いようです。なので2つある牝馬GⅠではエリザベス女王杯よりも断然ヴィクトリアMの方に適性があります。昨年にも出走していましたがGⅠを勝つならこのレースしかないと話していました。適性ベストのここは力を入れない理由がありません。勝ち負けはともかく陣営としはここがメイチぐらいのつもりでくるでしょう。

 

・NG案件

 

上記の事から、内回りの条件やコーナー4つのコースは不適合です。また、良馬場希望のタイプで道悪では走りの質をグンと下げます。昨秋のエリザベス女王杯と年初の金鯱賞ではこの2つのNG条件がモロに重なった事で勝負所でまるで反応がなく、いずれも最終コーナー最後方と言う位置まで下がっています。コースは今回ベストなので気にする必要はないですが、天気次第ではあります。

 

・好走パターン

 

インで脚を溜めて直線一差しと言う競馬が出来た時に限り馬券圏内に入着しています(22年阪神牝馬S2着、22年府中牝馬S3着)。こういうタイプは使える脚が長くないという馬が多いですね。実際、好走した2つの牝馬Sも抜け出したところを差されていますので。古馬GⅠを外からまとめて差し切る脚はなさそうです。また、この阪神牝馬Sが2枠2番、府中牝馬Sが1枠1番でした。内枠を引き当てる事で好走確立を高めていると言えます。実際、昨年のヴィクトリアMも外枠に入ったことでトーンが急降下しています。枠に条件は付けておくべきでしょう。脚を溜められる内枠なら評価を増した方が良いと思いますが。

 

・前走評価(阪神牝馬S5着)

 

真ん中の10番枠でしたのでそう悪い枠ではなかったですが、鞍上の吉田隼人騎手はテンから下げて行き、最後方付近で内に潜る競馬をしています。この馬の特性を考えれば悪くありません。脚を存分にタメて直線だけ外へと言う競馬。結果、直線だけで5着まで押し上げています。8戦ぶりの最速上がりを記録する事も出来ました。かつ、直線では川田騎手と岩田康騎手の肉弾戦の影響で進路を邪魔される不利もあり、追いづらくなるシーン。脚は余していた印象で、これが無ければ際どい所まで来れたかもしれません。スローでイン前有利な展開を考慮してもこの時に使った末脚は価値が高かったと言えます。ただ、スロー競馬の割には最後の1Fが1.0秒失速していたので展開はむしろ向いていました。この程度のペースでここまで失速するレースはレベルに疑問を残します。GⅠ級の担保を残せたとは言えません。

 

・今回の展望

 

ここは目標としていたでしょうが、近走不振だったので目先の勝負で一生懸命と言う感じになっていたのでGⅠを見据えてと言うような状況ではなかったですね。上がりめは多少あるでしょうが有力馬のようなここでメイチの勝負態勢と言う感じではないと思われます。ただ、適性面に強味があるようなので取捨は慎重にした方がいいと思います。特に時計勝負には自信を持っているようなところがあるのでパンパンの良馬場で、例年のように時計が速くなった時には人気以上に走る事はあるかもしれません。枠や天気など好走条件が揃い、人気馬の不発が重なった時には馬券になれることも。優先順位は低いですが、穴候補のぐらいの評価はありだと思います。

 

イズジョーノキセキ

 

本当なら有馬記念がラストランの予定だったのですが、4着と走ったことで引退を撤回して現役を続けています。有馬記念は引退レースの予定でしたからオツリを残さない仕上げが出来たこと、かつ、1枠2番からインに執着した乗り方が功を奏したことなどが挙げられると思います。究極仕上げで究極的に恵まれたレースだったと言えそうです。こういう結果がでるなら牝馬同士のGⅠで通用してもおかしくないですね。

 

・適性

 

距離は1800mぐらいがベストとコメントしていたことはありますが距離には融通性があってエ杯2200mや有馬記念の2500mなどで好走したように内回り条件だと器用さを生かして距離を誤魔化して来ます。逆にマイルは4歳3月に使ってから前走の阪神牝馬Sまでは使われることがなく、2年ぶり、12走ぶりの参戦でした。1800m中心に使われていた中距離馬で長めにブレる分には良さそうですが、短縮してプラスになるとは言えそうにありません。府中牝馬Sの優勝馬なのでコースは悪くはないですがこの距離でビュっとした脚を使えるかは分かりません。なお、道悪は割引材料との事になっていますので当日の天気で評価を調整する必要があります。

 

・特徴

 

好走した府中牝馬S有馬記念がそうであったようにインに拘り、インから差すという競馬で好走します。内でじっと脚を溜めて最後の混戦に加わってくるスタイルです。位置取りは意外と拘りがなく、前につけても、中団につけても脚が溜まればそれで良いのでしょう。基本的には先行馬群の後ろぐらいに位置取る馬ですが勝った府中牝馬Sでは4角13番手から差しています。ただ、使っている脚はそう長くないですね。3勝クラスで脚踏みしていたころから末脚の優位性は無くしていて安定して上位上がりを使える馬ではなくなっています。キレる脚は使えますが、末脚上等と言うタイプではないと思います。

 

・前走評価(阪神牝馬S10着)

 

外枠発走だったのでこの馬本来の競馬が出来る状況ではありませんでした。3~5番手のポジションで先行していましたが、外めを回っていたので距離ロスも響き、いつもの様に脚を溜める競馬が出来ていません。追って伸びるようなところはなく、川田騎手のタックルで外に弾かれて戦意を喪失した感じでズルズル下がって行きました。物凄くかみ合うと有馬記念の様に走りますが、全くかみ合わないとこうもモロいのかと言う感じです。参考外と言う扱いで良いと思います。

 

・今回の展望

 

現役を伸ばしたのですから目標は今回のヴィクトリアMです。阪神牝馬Sは叩き台と言う位置づけでした。府中牝馬Sでは賞金加算をしないと目標のエ杯に使えないのでいきなりメイチ勝負でしたが、阪神牝馬Sにはそう言う所がなく同じ休み明けでも陣営のやる気に雲泥の差を感じました。レース振りも中途半端で、岩田康騎手にも無理をさせていない感じがあって、勝つ気の見えないレースだったと思います。次へ向けてと言う姿勢がいろいろな観点から観測されました。それと、久しぶりのマイル戦に慣らすという目的もあったのだと思います。力は出せませんでしたけど流れには乗れていましたので収穫がゼロだったという事も無いと思います。よって、阪神牝馬Sの結果を重視して軽視するのは早計だと思います。型通りの変わり身を見せて来ると思います。しかしながら、調子そのものがピークだった昨秋時に至っていない可能性も高いです。終ったら引退のつもりでいた有馬記念で馬を究極的に作っていました。ので、前走時にはその反動が出ていた模様です。阪神牝馬Sに向けての調整にも順調さが無かったようです。立ち上げが遅れている感じがあるのでもう少し使い込んだ方が良いかもしれません。ここで思惑通りに仕上げるのは難しいかもしれません。

 

クリノプレミアム

 

・能力

 

GⅢではコンスタントに上位に入着し、今年は牡馬相手の中山金杯でもハナ差の2着に走るなどこのグレードの安定勢力です。ですが、GⅠ競走に出走した昨年のビクトリアMやエリザベス女王杯では大敗を喫しています。厩舎では力負けと言う評価をしています。また、エ杯で騎乗した武豊騎手はレース後にやりたい競馬は出来たと話しつつも「このメンバーでは力負けかな」と完敗の評価。力を出し切れての結果だけにこの事実は重そうです。GⅠ級の評価は難しいですね。

 

・特徴・適性

 

コーナリングが上手いので器用さや立ち回りの上手さが生きるコーナー4つの内回り条件で走りが安定しています。コーナー部分で加速して、その惰性で直線でいち早く抜け出したり、叩き合いに持ち込んで好走するタイプです。よって、直線部分で再加速するギアを持たない本馬に府中は厳しいコースとなっています。条件戦時代では新潟や府中に好走歴がありますが、OPになってからはこの条件に使われること自体が少なくなっています。GⅠヴィクトリアMとGⅡ府中牝馬Sの2走しか経験がありません。適材適所と言う言葉がありますが、この馬にとって府中が適所という事はないでしょう。ここまで28戦のキャリアの中で最速上がりを記録したのは2歳時に未勝利勝ちした時の1度だけ。このように決め手のない本馬に府中の決め手勝負は向いていません。なお、上がりがかかる分には走れるので力のいる条件、時計のかかる展開は合いますが、道悪実績はなく、重馬場だったエ杯もダメでした。雨が降ることでパフォ―マンスは上がりません。

 

・今回の展望

 

GⅠで勝ち負けを出来るような馬ではないので走れる条件を優先し、目の前にあるレースを目標にその都度しっかりと仕上げて来ます。ので、今年は既に3走を消化しています。厩舎的には中山牝馬Sの連覇が目標だった節があり、それを落としてしまった事で、前走の福島牝馬Sで何とか結果を出したいという風になっていました。GⅠ(ヴィクトリアM)よりもこちら(福島牝馬S)でメイチと明言しています。臨戦過多にメイチ走後の1戦と上積みは期待出来そうにありません。

 

サウンドビバーチェ

 

・能力

 

3歳春時の話ですが、スターズオンアースと本馬の2頭の手綱を取っていた石橋脩騎手は気性面の問題がある分だけスターズオンの方が上という評価でしたが、能力は2頭に差が無いと話していました。実際、距離の長かった秋華賞でもスターズオンとは0.3秒劣っただけでしたのであながち的外れな評価ではなさそうです。その秋華賞では直線でアートハウスを振り切ってラスト1Fまでは先頭を守っていました。GⅠでもそれなりに走れています。前走はタコ負けした後の1戦だったので7番人気でしたけど、阪神牝馬Sの勝利はフロックと言い切れないかもしれません。GⅠ級はどうかも、重賞級と言う評価はちゃんとしておいた方が良さそうです。

 

・適性・脚質

 

スタートが良く、序盤の立ち回りの上手い先行馬。決め手は使えませんが前に行って粘り込める持久力のある走りが出来ます。なので、開幕馬場の恩恵を受けやすくそう言う時に好走する事が多いです。2着だった紫苑Sは開幕週の開幕日。優勝した阪神牝馬SはBコース変わりの変更初日。インコースの恩恵が強い時に良い結果を残しています。最後の1冠秋華賞に向けて2000mの距離を走りそこそこの成績を納めましたが距離はギリギリ守備範囲という感じで基本的に長いそうです。マイルぐらいの距離が良いとされています。テンションの上がりやすいので気性的にもこのぐらいの距離が良いのでしょう。それと、稍重だった阪神牝馬Sを優勝しているように道悪は相当上手いですね。勝ち上がった未勝利戦当日のメインレースはジャブジャブの不良馬場をステラヴェローチェが勝った神戸新聞杯でした。あの馬場をこなせるのだから鬼の部類に入る道悪巧者だと思います。


・前走評価(阪神牝馬S1着)

 

雨上がりの馬場で稍重まで回復していましたが翌日の桜花賞より1.8秒も時計を要していて力のいる馬場だったと言えそうです。時計の遅い決着には目をつぶっていいでしょう。ただ、36.1-59.7の通過は古馬重賞としてはかなりのスロー展開です。先行馬にそれほど負担のかかるものではありませんでした。また、馬場が回復傾向だったことからも内から乾いて行ったと考えられます。よって、強めのイン前バイアスが働いています。1~3着馬はその恩恵を少なからず受けていたはずです。そこを踏まえると勝ち馬たる本馬に強烈な印象は感じません。展開や条件がハマればこれぐらいは走れるよという事が分かっただけだと思います。GⅠで有力馬として扱えるほどの内容ではありませんでした。


・今回の展望

 

適性のところで軽く触れましたがコース変わり週や開幕週での好走が目立つ馬です。府中競馬場は今週からBコースに変わります。この馬には飛び切りの条件です。2度ある事は3度ある。この馬に激走フラグが立ったと言えそうです。この馬も春の目標はこのレースにおいていたと思います。ただ、復帰初戦の洛陽Sで想定外の負けを喫しているので前走はそれを取り繕うのに精一杯と言う感じでした。まずは立て直す事を重要視して中間の調整方法を変更するなどしていました。そう言う意味では当初の予定から狂いが生じているかもしれません。また、テンションの上がりやすい馬なのであまり強い負荷はかけられていません。GⅠ仕上げに持ってくるのは苦労しそうで、仕上げは簡単ではないかもしれません。阪神牝馬Sの内容も特別優秀だった訳でもないのでいきなり評価を上げる事は出来ないでしょう。積極的な印は難しいですね。ただ、今週も道悪になるなら評価は上げた方が良いと思います。後続の切れ味が削がれるようなら残り目が発生すると思います。

 

サブライムアンセム

 

・厩舎評価

 

もともと厩舎の評価が高い馬でしたがその評価も昨秋の復帰後の連敗で少し揺らいでいました。前走の阪神牝馬Sも藤原厩舎からは1番人気だったルージュスティリアが出走していて、こちらの方が期待が上だったみたいです。また、本馬にしてみたらその阪神牝馬Sも出走するつもりの無かったレースで、登録していた中山のダ卿CTを除外されたためにスライドしたという不本意なものでした。同じマイル戦でも外回りの大箱コースより、中山の小回りコースに適性があると考えていたそうです。だとすると府中で期待値を高くは出来ないですね。前走で1年ぶりに連対を果たしましたのでこれで厩舎の見立てがどう変化するでしょうか?

 

・適性

 

ベストは1400mと言われていて昨秋の復帰後1400m重賞を良く選択肢に入れていました。が、結果論としてはそんなこともなく、マイル重賞の方が着が良かったり、タイム差が小さかったりとしています。今のところは厩舎の思惑は外れています。気性的には1400mの方が良いとされていて、一時は1200mと言う選択肢が持たれていたこともあるほどでした。マイルは長いという印象が根強いのでしょう。しかし、マイル戦での結果が陣営の言うほど悪くないので身体的にはマイルも十分好走範囲に入っています。いつでもどこでも折り合えるかどうかが問題の馬というこでしょう。ただ、スワンS京都牝馬Sといった1400m戦の時に限って出遅れているのでレースの流れに乗れていません。普通に出ていれば陣営が言うように1400mで強い可能性も否定は出来ないですね。好走しているとはいえ、マイル戦も勝ち切れている訳ではないので厩舎の判断の方が正しいのかもしれません。

 

・好走パターン

 

左に張る面があるので馬群に包まれている方がよく、また折り合い難もあるので馬の後ろで我慢させられる密集馬群の方が脚を溜められたり、折り合いをつけやすかったりします。よって外め追走を余技なくされるような枠よりもイン枠からじっくりと乗る方が良いです。上記で触れたようにターコイズS阪神牝馬Sもこの条件だったからと言うのは言えます。また、着は悪かったですが0.2秒差に走れていた桜花賞もこの条件にあてはまっていました。この馬もインでじっくりというタイプですね。ただ、内で競馬にするとどうしても詰まりやすくなるのでスムーズさを欠きがちです。好走したタコイズSも阪神牝馬Sもそれで負けているようなところがあるので勝ち切れないレースを続けています。そう言う意味では広々とした府中コースはこの問題を解決するきっかけとなるかもしれません。

 

・前走評価(阪神牝馬S2着)

 

スタートが決まったことで2・3列目ぐらいで流れに乗れたので包まれる不利が軽減されました。だから連対を確保できたという感じです。それでも直線では前を行く2頭が邪魔になってしまいます。我慢して、我慢してなんとか進路が取れたのがラスト100mぐらい。加速しきれないまま脚を余した1馬身と1/4の差は悔しい2着でした。スムーズだったらと誰が見ても思うでしょう。こういう競馬をしなければいけないところがこの馬の弱味になって来ます。どうしても行きたがるのでこういう競馬も仕方ありません。阪神牝馬Sでも序盤にかかり、引っ張った手綱を元に戻すのに10秒以上かかっています。力む事で最後の弾け方は変わってしまうでしょう。早く折り合いを収得した方が良いですね。レース全体を俯瞰するとイン前で運べた利は大きく、レース内容は物足りないもの。能力の高さを感じる事はありません。恵まれた結果を評価するのは難しいですね。レースに注文の付くタイプなので枠やら馬場やらに恵まれる必要がまだあると思います。

 

・今回の展望

 

新人騎手の通信機器持ち込み問題で影に隠れていましたが、岩田望騎手のフリー転身騒動も結構やばいみたいですね。厳重なオフレコ規制がかかっているので真相は知り得ないのですが、所属の藤原秀厩舎を出ていくより他なかったそうです。結果、同厩舎に管理されている本馬の騎乗もリセットされました。ドルチェモアと同じで(横山和騎手→)岩田望騎手→三浦騎手へと鞍上が変更されました。ヤネを選ばないドルチェとは違い、このサブライムは乗り方が難しいので乗り替わりのマイナスは大きいと思います。好走ゾーンも狭く、注意してても必ずかかる馬なのでテン乗りで力を発揮するのは難しいかもしれません。岩田望騎手がこの馬に一番合っていると厩舎も過去に話していました。この乗り替わりは痛いと思いますね。一発の力はありそうなので怖いところもありますが、諸々を踏まえますと手は出しにくくなっています。印に余裕があればと言う感じでしょうか?

 

スタニングローズ

 

・厩舎の評価

 

3歳クラシックを共に歩いた寮馬ナミュールと良く比較して話されています。早い段階から活躍していたナミュールの方が基本的には若干評価が上だったという感じです。秋華賞では距離適性やコース適性みたいなもので甲乙つけがたいという表現になりました。今度は距離適性でナミュールの方が適しているので再び評価差が発生すると思います。

 

・適性・特徴

 

マイル戦は2歳時に結構走っていましたが勝ち上がった未勝利戦を除くと、その他はマイル適性の無さで負けたのものばかりでした。脚を余したり、流れにのれなかったりとこの馬には忙しかったように思います。今では考えられないような相手に先着されてばかりでした。2歳時の出来事なのでこの頃の走りを強調してダメ出しするのは危険ですが、本格化した3歳以降の走りや強さがマイルの不適合さを逆説的に説明しているように思います。スタニングが軌道に乗って来たのも中距離を使うようになってからです。また、決め手勝負で良い所があった訳でもなく、立ち回りの上手さを生かしたり、持続力勝負で強いところがあります。マイル戦の様に一瞬で加速させるようなギアがあるようには思えません。加速に時間を要すタイプなのでマイルはやはり忙しいのではないでしょうか?そもそもこういう適性の馬なので本当の目標は大阪杯でした。体調が整わずにこれを回避しています。これを踏まえると、ヴィクトリアMの出走は適鞍を求めてと言うよりも、使う所が無かったからと解釈する方がしっくりくると思います。

 

・前走評価(中山記念5着)

 

開幕週の重賞なので逃げたドーブネが圏内に残るのは分かるのですが、60秒ジャストで1000mを通過した1800m重賞でラスト1Fに1.0秒も失速するのは解せないですね。開幕週でも先行馬にそこまで有利に働かなかったのかもしれません。1・2着は外から差して来た馬でしたので馬場差のないイーブンな環境でレースが行われたのでしょう。だとしても3番手から伸びを欠いた本馬の5着はちょっとだらしなかったですね。レース後の吉田隼騎手の話では前に壁を作れない外枠が響いたとの事です。道中で脚を溜められませんでした。それで負けたというのは別に構わないのですが、そうなってしまうと枠番に左右されることに今後なってしまいます。外目の枠に入った場合には乗り方に工夫が必要になってくるでしょう。

 

・今回の展望

 

大敗したエ杯には中2週で使ったのが良くなかったとか、外差し馬場が先行馬のこの馬に合わなかったとか敗因らしいものはあるのですが、上で触れたように中山記念の敗戦はピンと来ませんね。普通に力負けしたんじゃないの?みたいな感じも無くはありません。この敗戦自体に見直せる材料はほとんど無いと思います。でもまぁそこまで卑下するほどでもないんですが、予定していた大阪杯まで回避してしまうなど今は流れがよろしくないですね。順調さを欠いているのは否定できないでしょう。大阪杯回避で使う所がなかったとか、宝塚記念まで間が空きすぎるからとか、素人考えでもこういう事は思う訳で本気でヴィクトリアMを獲りに来ているかは微妙だと思います。厩舎の勝負度合い次第で評価を決めればいいのではないでしょうか?

 

スターズオンアース

 

・適性

 

大阪杯時の陣営からは距離が短いヴィクトリアMだと微妙だから大阪杯で結果を出しておきたいと距離適性を感じさせる話がされていました。大阪杯のレース後にルメール騎手も2400mの馬かもしれないというコメントを残しています。これは2000mでも短いという事を言っているのでマイルが適距離のはずはないですね。桜花賞馬という一面もあるので全くダメと言う事は言えませんが、古馬になると本質的な適性は問われてきますからどこまで対応出来るか?と言う評価をしないといけないと思います。

 

・評価

 

杉原騎手がスターズオンの調教をつけています。その杉原騎手は旧藤沢厩舎の調教を手伝っていました。だからあのグランアレグリアの背中も知っています。そしてスターズオンをグランアレグリア級という評価をしているそうです。この馬の名前が出てくるのですからスターズオンの器も知れてきます。やはり超強いんでしょうね。GⅠ2勝は伊達じゃありません。

 

・出遅れ

 

間隔を空けて使われているのでそのクセを忘れがちになりますがオークス秋華賞大阪杯と現在3戦続けて出遅れているのです。中長距離を走るようになってからテンに急かさないようになっているので余計に後方から競馬をするようになっています。2400mだったオークスは間に合いましたが、2000mの秋華賞大阪杯は届かず、スピードのある馬に遅れを取っています。今回はさらに2Fも短いマイル戦なのでこのような立ち回りはあまり好ましくありません。マイルだとよりスピード色が強まり、GⅠ級の先行馬がそう簡単に止まるとは思えません。後方から進めるのは仕方ないと思うんですけどせめて五分に出て流れには乗せて欲しいですね。ルメール騎手や陣営もそのことは十分分かっているので今回はスタートの課題に真剣に取り組んでいるようです。その効果は是非レースで出て欲しいと思います。

 

・前走評価(大阪杯2着)

 

大阪杯はレース映像やレース結果の通過順を見ると、イン前バイアスの恩恵を受けた内枠の馬や先行馬が前残りしたという風に映るでしょう。ですが今年の大阪杯はそんな単純なレースではありません。ジャックドールの逃げが絶妙かつ強すぎたことによって出走全馬がジャックのペースに潰されたというのが本当の姿です。58.9-58.5のイーブンなペース配分ですが、58秒台で逃げられて後半さらに加速されたら後ろの馬は堪らないですね。道中で息を入れる隙が無かった前半戦からさらにペースが速くなっているのですから。出走全馬が疲弊させられ後半の余力を失っています。後方で脚を溜めていた馬でさえ儘尽きている馬が多く、スターズオン以外に差を詰めて来れた馬はいませんでした。タイトでキツい展開に力のない馬が脱落したり、それを交わす事で順位が上がった馬はいましたが、ほぼ全ての馬が加速する事が出来ず雪崩れ込んだだけという結果になっているのです。ここにスターズオンの強さを確認する事が出来ます。この展開で4角9番手からクビ差まで詰めてしまうのは尋常な強さではないですね。脚力が高いだけでなく心配機能の高さが現れていたと思います。このペースで脚を溜められる馬なんてそうそういるものではありません。ルメール騎手が絶賛するのも納得です。これは負けて超強かったと思います。

 

ただ、やっぱり本当に強かったのはこのペースを演出し、凌ぎ切ったジャックである事を忘れてはいけません。出遅れていなければという着差だったようにこういう強い馬がビクトリアMにもいるなら出遅れてそれを差すのは今回も難しいと思います。それがマイル戦なら尚更です。

 

・今回の展望

 

阪神2000mと言う点で秋華賞大阪杯は同じです。この2レースの結果で与えられたこの馬のレースレートは共に113。パフォーマンスは特に上がっていないという事になりますね。出遅れて、僅差届かずという結果は共通したレース振りなのでこういう結果になるのも仕方ないのかもしれません。ただ、時計は詰まっていましたし、レース内容は大阪杯の方が圧倒的なパフォーマンスでしたから4歳になりちゃんと強くなっていると思います。馬体も大きくなっていたし、バランスも良くなっていたと帰厩時に話していましたから加齢による成長もちゃんと確認出来ます。まだ上を目指せそうな上昇曲線の最中にいると思います。

 

また、大阪杯の後にヴィクトリアMを使う事は最初から決まっていましたので状態はしっかりと整うと思います。叩き2走目ですから順調に上積む事でしょう。前走以上の状態でレースに出走してくるはずです。

 

そして大阪杯のレース後にルメール騎手は距離適性以外にも触れていた事がありました。跳びが大きいので直線は長い方が良いだろうというコメントもしています。だとすると、距離適性が微妙でもコース適性は大幅に改善される訳です。長い直線でしっかりと末脚を繰り出してくれると思います。だからこそスタートは決めて欲しいですね。直線をむいた時に出来るだけ前との差が小さい事が勝利の条件になると思います。スタートが決まったからとそれで勝ち負け確定と言うのは言えませんけど馬券圏内は確定だと思います。出なければ取りこぼしの可能性が大きくなるだけです。ただ、スタートの課題はルメール騎手も把握していますし、陣営も対策を練っているようです。ので、今回はちゃんと出てくれるのではないかと思います。

 

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