競走馬カルテ

2・3歳重賞の出走馬を分析・記録していくブログです。

秋華賞(GⅠ) 出走馬カルテ② 2023

 

こんにちは。

 

こちらは、

 

の、続きになります。↑では紫苑S組、ローズS組の9頭のカルテを作成しています。こちらのページではオークス組、クイーンS組、抽選対象馬の9頭のカルテを作成します。秋華賞は15日(日)に行われます。前日の14日(土)には更新を完了します

 

予想案は各ページの最下部にある専用ページにまとめてあります。ブログカードを貼っておきますのでそちらをご覧ください。

 

オークス(GⅠ)

今年のオークスの流れは面白い。逃げたライトクオンタムの作り出したペースはこれぞ精密機械と言うべき正確さだった。1000m通過が60.0秒ジャスト、2000m通過が120.0秒ジャスト。1000m毎に60.0秒ピッタリで走っている。この程度なら稀に見るがそれだけではない。6~10F区間の各ハロンを12.0秒(×5で60.0秒)の同一ラップを踏んでいるのだから凄い。ここまでワンペースで走れる馬は初めてお目にした。折り合いを欠いて逃げたという事だがそれも最初だけだったのだろう。以降は極端に速い箇所もなく、極端に遅い区間もない。見事なイーブンペースで今年のオークスを締まった流れに演出した。

 

このコースでこういうペースなら位置取りを問わずに各馬が力を出し切れる。力通りに決まったと考えて良く、能力査定として機能している。着順=能力順として結果を鵜呑みにして良いと思う。

 

スロー区間の無いレースだったので時計もまた速く、勝ち時計2分23.1はラヴズオンリーユー(19年)のレコードに次ぐもので優秀。6馬身抜けたリバティアイランドが2着を1.0秒も千切ったために生まれた好時計ではあるが、同タイム入線だった2・3着馬の走破時計はソールスターリング(17年)と同タイムであり、デアリングタクト(20年)やユーバーレーベン(21年)より速い。

 

イメージ的にはリバティアイランド1頭が抜けていてその他はどんぐりの背比べ的な印象だがそんなこともなかったようだ。一塊で入線した2~6着馬は歴代と遜色ない内容でオークスを駆けている。レベルが低いとは言い難い。3着馬ドゥーラがクイーンSを勝ったことでそれを証明したと言える。リバティ以外のレベルも総じて高いと言えそうだ。

 

1着:リバティアイランド

新馬戦やアルテミスSなど上がりの競馬で超速上がり繰り出せる。

阪神JFは22年中に行われた全阪神マイル戦で最も速いペース。上がりのかかる展開だったがタフな展開でも1頭だけ抜けた上がりで突き抜ける。

・ペースを問わずしてとにかく1番速い上がりを繰り出せる末脚性能は同世代では抜けている。

阪神JFの内容からスピード、その持続力、それを支える体力、スタミナ面の担保がとれる。総合力が非常に高い。

・普段からおっとりとしているそうなので気性的な問題もないのだろう。

桜花賞の帰厩時には30kも増えており馬体面の成長も確認出来る。馬体に芯が入ってきたようでさらに強くなっている可能性がある。

 

上記がオークス出走時のカルテ。

 

GⅠ3勝の無双状態の馬について改めていう事はないのだが。

 

コーナー4つのコースが初めてなのでそれを攻略できるかは未知数だが、アーモンドアイもデアリングタクトも末脚だけで圧倒してしまった。その末脚が歴代の三冠牝馬に劣らないのだから大丈夫だろう。基本的には通過点ぐらいに考えていてよいと思う。

 

気になる材料は休み明けだった桜花賞で追走出来ずに後方に置かれてしまったこと。ジョッキーカメラに収められていた川田騎手の話では進んで行かなかったとか、2着馬を交わせないかもとか話していて、その焦りが伝わっていた。今回もオークス以来の休み明けとなるので同じような事が無いかは不安材料かもしれない。

 

しかし、これにはどうも理由があったらしい。どうして桜花賞があのような走りになったのか?陣営は仕上げの問題だと話していた。さらっとした調教しかほどこさなかったがそれでも勝てるだろうという考えていたので、あまり強くやらなかったらしい。確かにそれでも勝ったが、もともとおっとりとした気性だったので気性面のスイッチが入っていなかったようだ。オークスではその辺を補う調整がされていて、精神面が破綻しない程度にヤル気を引き出すよう調整されていた。

 

これが桜花賞で進んで行かなかった要因とされている。こういう失敗があるのは経験値として良い。桜花賞の様な事が無いようにしっかりと気持ちを乗せた調整をして来ると思われる。

 

この馬のライバルになりえたローズS2着馬をエリザベス女王杯に回していることから、この馬の次走はJC当りを見据えているのだろう。秋華賞でメイチな仕上げは考えにくい。が、既に触れたようにさらっとした仕上げでも勝ててしまえる力関係。余力を残すだろうからオークス程の圧勝劇にはならないかもしれないが、2着馬の2・3馬身は前にいれると思う。負ける前提は成り立たないし、既に王手は打たれている。

 

2着:ハーパー

序盤の立ち回りがとても上手い。スタートをポンと出て楽に2・3番手の好位を取れる。距離短縮したマイルの流れにも対応出来ていた。レースセンスがある。

・瞬発的なギアチェ ンジは遅い印象で目一杯に追い込んでようやく加速するという感じ。→だからマイルは向いていない。→桜花賞はマイル適性で後れを取った。

・体力はありそうなので持続的なタフな展開の方が力を出し切れるかもしれない。重賞で強い馬とやり合った方が力を出せるタイプかも。

 

上記がオークス出走時のカルテ。

 

リバティとは終始付かず離れずの位置で競馬をしていたが、3~4コーナーでの手応えが悪く、リバティから遅れを取ってしまう。直線に向いても持ったままで上がっていく勝ち馬に必死で手を動かし抵抗していたが虚しい感じになってしまう。この立ち回りでは逆転は難しそう。ただ、回顧でも触れているように20年デアリングタクトや21年ユーバーレーベンよりも速い時計で走破しており、この馬の走りも歴代オークス馬と劣らない。良く走れていて、この馬が弱いということもなく、ただ生まれたを年を恨む他ない。

 

3歳になり馬体を減らし続けていたが、オークスでは2週続けて負荷をかける強気な調整で、しかも馬体を増やして出走していて驚いた。当初よりオークス向きとされてきた馬で、その目標のレースに馬の状態をMAXに仕上げられる友道厩舎の厩舎力はさすが。ただ、距離適性で2着に来たところもあるので秋華賞では2着安泰と言える立場にないかもしれない。2400mが長くて負けたラヴェル、シンリョクカ、ヒップホップソウルらは2000mへの短縮がプラスに出る可能性があるため、これらより評価を上には出来ない気も少しする。

 

阪神2000mでデビューしているのでコーナー4つの経験はあるのだが、この時の敗因が最終コーナーで膨らんでしまったロスが響いてのも。操縦性も良く、器用な走りを続けているのでもう大丈夫だと思うが、コース適性があると言えるかはまだ分からない。

 

なお、オークスのレース後に、まだクビを上手く使えていないからとルメール騎手は成長途上を敗因の1つに上げていた。ひと夏越しての成長は課題としてあり、それ次第で評価は何枚かは上げられる。オークスで付けられた6馬身差を縮められる可能性もなくはない。

 

5着:シンリョクカ

新馬戦で見せた末脚は優秀。3.2秒も後傾した上がりの競馬を後方から差し切ってしまう。最後は流す余裕を見せて3馬身差。スケールは大きい。

阪神JFにも見どころはあった。勝ち馬と馬体を併せた追走で堂々と渡り合っていた。末脚のスケールで劣ったがハードな展開を正攻法で2着した走りにフロック性は見られない。

・展開に左右されず上位の末脚を使える点はリバティと同様。こういう馬は大体強い。切れ味もあるし、長い脚も使える。脚さえ溜めれば最後は必ず伸びて来る。

 

上記がオークス出走時のカルテ。

 

手薄な重賞を狙っていればとっくに重賞の1つでも勝っていたのではないだろうか?新馬戦勝ち後はGⅠばかりで崩れないのだからエライ。抽選に漏れれば朝日杯FSへ、抽選に漏れれば皐月賞へと出走が危ういところでは常に牡馬GⅠに登録していたほどで、関係者はいつも強気でGⅠ以外は走らないという気概が伺える。それだけの能力を陣営は感じ取っているのだろう。

 

だがしかし、今回に限っては事情がいつもと違うよう。秋華賞の他に前日の府中牝馬Sにも登録し、両睨みの状態。強気にGⅠに拘っていた春までとは感じが違う。秋華賞の条件に何か不安でもあるのだろうか?ちょっと気になるところである。でも、出てくればやはり無視出来ない1頭。GⅠで2・6・5着の成績は世代TOPクラスにの成績だ。出走してくるならやはり怖い。

 

この馬のレーススタイルは中段ぐらいを追走して末脚で上位に迫る立ち回り。末脚型だが極端な後方ポジションを追走するようなことはない。スタートセンスも普通にあり、オークスでは1番速いスタートをしていた。そこから徐々に位置取りを調整して程よいところに収めている。操縦性が良い証拠で気性も従順。鞍上の指示通りに動ける。GOサインが出されてから追撃態勢への切り替えがいつもスムーズで機敏。レースの立ち回りに不安材料はない。内回り条件でも上手に立ち回れるのではないかと思う。

 

オークスでは手応えも十分で突き抜けそうな感じはあったが、あと300mと言う所で伸びは止まり、そこからはジワジワ。この負け方を見ると距離に限界はありそうだった。また、外枠17番を引いていたので道中の距離ロスが大きかったことも要因か。レース前から陣営もこの枠は厳しいと嘆いていた。能力的にはトップクラスにいるが、それらと比べて突出している訳でもないので、楽な枠を引いたライバルにアドバンテージを与えてしまったように思う。条件さえ整えば巻き返しそうだし、2000mへの短縮もプラスに働きそう。前走以上はあると思う。

 

7着:コナコースト

行きたがるところがあるので現状はマイルの速いペースで流れに乗せていく方が良さそう。→気性的には2400mが長そう。

・この馬の良い所は末脚をしっかりと使えるところ。追い出したらビュンとくる。→追えば追うほど伸びる感じがあって距離が伸びても脚を伸ばしてこれそう。

チューリップ賞では出して行ってから控えるなど鞍上の指示にもちゃんと従えていた。GOサインを出してからの反応も良く、前走から操縦性は向上していたと思う。

 

上記がオークス出走時のカルテ。

 

オークスで評価出来るのは6着馬まで。そこから3馬身半離された7着以下はちょっと力負けだった感じでこの馬はその7着馬。上位とは力差を感じさせた負け方だった。しかし、スタートで右隣の馬に接触し、その反動で左隣の馬に接触し、またその反動で右隣の馬と接触しそうになる。これでバランスを失い、ポジション取りを失敗、インの13番手で競馬を進めることになった。スタートから大きな不利があり、これが無ければこの馬も上位に顔を出していた可能性はある。

 

道中は3着馬ドゥーラと併走する感じで、直線に入っても同じタイミングで追い出されている。ドゥーラは外に回ったが、こちらはインを掬っていい脚で伸びてきたが、使えた脚は一瞬で後はジワジワ。前との差は縮まらず、後方の馬にも交わされてしまった。ドゥーラと比較すれば末脚には格段の差があったし、それ以外にも伸び負けているので力負けな印象は強い。スムーズだったらというのはあるが、だとしても馬券圏内は厳しかっただろう。

 

ただ、どうもオークスではピークを過ぎていた感が強い。2着だった桜花賞の調教を失敗していて想定よりもやり過ぎていた。結果的にそれが功を奏して桜花賞は2着と走ったが、それでで目一杯になってしまった可能性が高い。オークス時の調教では維持しているとうコメントになっていて、状態が上がったという事はなかった。また、見る人から見れば息遣いが悪く見えたそうで調子が落ちていたと周囲の人は感じたらしい。ラストに脚が使えなかったのは状態面にも理由がありそう。

 

以上のようにレース中の不利、状態面などそれなりの敗因はあるので見直しの余地は結構大きい。デビューから負けたのはオークスだけで桜花賞までは連対率100%をキープしていた馬。評価の下げ過ぎには注意したい。

 

折り合いに難しいところがあるので2400mから短縮するのは悪くない。本質的な距離適性はたぶんマイルよりだとは思うが、3歳馬同士なら2000mは行けるもの。気性に難があっても、操縦性は良いので1周コースにも上手く対応出来ると思う。ここならまだやれる可能性はあるだろう。

 

なお、詳しくは割愛するが、今回は鮫島騎手に手が戻るが、オークスでレーン騎手に騎手変更されたのは鮫島騎手に否は無く、サンデーRによる鞍上強化策。元鞘戻りとなっているように、鮫島騎手に信用が無かった訳ではない。この乗り替わりはプラスに働くであろう。

 

9着:ドゥアイズ

・器用さがあり、操縦性は良さそうで立ち回りが上手い。

・雨が降ったり、時計がかかる馬場は良いとの話だった。

・昨秋の休養から馬はどんどん良くなっていて力が増してきている。末脚の威力も上がって来ている。

・決め手勝負には向かない。長く脚を使ったり、タフで上がりのかかる展開が向いている。→消耗戦で脚を持続させて良いタイプ。

桜花賞の敗因はスピード負けとか決め手負けとかの類でこの馬もマイル適性で負けたクチ。

 

上記がオークス出走時のカルテ。

 

8枠16番から出遅れたオークスは初手最後方。以降の道中もその付近で走っていて、16番手で直線をむく。オークスは淀みないペースで流れていてはいたが、終いも速い上がりを要求されていたので、切れ味や瞬発力で劣るこの馬がこの位置取りから上位に来るのは不可能。実際使った上がりは上から5番目で大勢を逆転出来る程の破壊力はなかった。スタートの失敗が最大の敗因。

 

なお、出遅れた要因になったのは当日のテンション。スタート前にイレ込んでいたそう。レースではメンコを外す予定でいたがそれが出来ないほどに平常心でいれなかったようだ。敗因がはっきりしているならこの馬も見直しの余地がある。

 

北海道デビューのこの馬には小回り経験が豊富。京都2000mにも適性はあるだろう。この条件だと極端な瞬発力勝負にはならず、ラスト4・5Fぐらいからレースが動きだす持続戦となる。長く脚を使えるこの馬には向いている条件。前走で入れ込んでいたのでぶっつけ本番のローテもプラスになりそう。オークスは残念な結果だったが、それ以前の成績は優秀な馬。状態や気性に問題がないなら走られても驚けない。

 

クイーンS(GⅢ)

 

オークスで精密機械の様な見事なペースで逃げたライトクオンタムがクイーンSでも見事なワンペースを刻む。またしてもラスト5区間で11.6-11.7-11.7-11.7-11.7とほぼ誤差の無い均等ラップを連続させている。序盤はゆったりめだったので1000m通過は59.9秒だが特別遅かった訳ではなく、そこからレースを後傾させているので楽な展開ではない。結果時計も速い。1分47秒台で決まることの多いレースを1:46.7なら合格点だろう。強力な古馬の出走はなかったが、レースの中身は悪くない。

 

逃げたクオンタムは失速したが、開幕週の馬場を失速のないラップで流れているので基本的には前有利。2・3着馬には先行馬が粘っているのもその証拠。これを中団からマクリ切って突き抜けたドゥーラは強いという事で良いと思う。キタウィングは自分の競馬に徹した結果で展開が合わなかったという事で仕方ないが、攻めて上がりは3位以内にして欲しいところだったと思う。評価出来るパフォーマンスを発揮したとは言い難い。

 

1着:ドゥーラ

・未勝利の勝ち時計が1:49.1。ジオグリフが勝った前年の札幌2歳と全くの同タイム。タイトな展開を2番手から上がり最速で突き抜けた内容はとても濃い。

・余裕たっぷりに勝ってしまった札幌2歳S。4番手から最速上がりを繰り出した。確実に詰めてくる末脚は信頼感がある。

阪神JFでも末脚は最速化した。爪痕は残せたと思う。これで4戦全戦で最速上がりを記録したことになる。末脚の発動率は極めて高い。

牝馬なので桜花賞路線を行ったが、結局のところこの馬にマイルは忙しく適した条件ではなかった。距離延長で見直しの余地は大きい。

 

上記がオークス出走時のカルテ。

 

札幌2歳Sを勝つ牝馬は強い。この20年で3頭いるが2頭はGⅠ馬になっている。ので、そう言う馬は王道を行くのが常でクイーンSなんか使わない。ので、同じ条件のこの2レースを勝利した馬は本馬が初めてだった。近い例で札幌2歳S2着、クイーンS1着と走ったジャンポケ産駒アヴェンチェラがいるぐらいで、この馬はそのまま秋華賞馬になった。ドゥーラにもその期待がかかる。三冠阻止なるか?とも思うのだが・・・。

 

オークスでは14番手の後方で脚を溜めまくり、直線猛然と追い出してきたが、それでも上がりの速さは2位まで。6番手という先行後ろのポジションから上がり最速をくりだしてしまったリバティアイランドの末脚には敵わなかった。末脚勝負ではやはり最強牝馬に対して分が無い。

 

ただ、秋華賞は単純な末脚勝負にならない。クイーンSを使ったのも、コーナー4つのコースの方がやりやすいとコース適性を重視したからだそう。コースが同じような形態の秋華賞なら多少の夢は見れるのかもしれない。機動力を武器に抵抗したいところである。

 

鞍上斎藤新騎手は阪神JF5着の結果を受けて責任を取らされた恰好だったが、今となってはチューリップ賞15着、桜花賞14着よりなんぼもマシだった。この2戦で手綱を取った戸崎騎手よりは、斎藤新騎手の方がずっと良く、このコンビだと凡走がない。ドゥーラの力を最も引き出せる騎手である。

 

ただ、第三者となってしまった戸崎騎手はこの馬を客観的に見る事が出来ていたようで、操縦性の高さはとても素晴らしいと話していた。どんな競馬も出来るとドゥーラの可能性を評価していた。実際、後方から追い込む競馬で強烈な末脚を引き出したり、札幌の重賞2勝の様に機動力や器用さを下地とした立ち回りの上手さで結果を出すことも出来ている。自在性がこの馬の最大の武器と言えそうだ。

 

これで天の助けでもあれば。道悪の経験はないが時計のかかる馬場は得意で、タフな条件になればこの馬の可能性は上がるだろう。

 

8着:キタウイング

上手い事先行出来てしまった阪神JFだったが逆に末脚は使えなくなってしまった。後方待機の末脚勝負と陣営の方針がこれで決定的になる。→桜花賞でもこの脚質にこだわりを持って強調していた。もう終い勝負の競馬しかしない。

・ハマった時の破壊力は一目置くが展開の恩恵がないとはっきりと厳しい。余程の事が無い限り△以上の印はいらない。

 

上記がオークス出走時のカルテ。

 

オークスの2400mはさすがに距離がながかったそう。大幅な距離短縮となった1800mで多少巻き返した感じ。ドゥーラより1k重い斤量を背負って0.5秒差なら悪くない。相手が強いところとばかりやっているので近走成績は良くないが能力面はまだ維持されている。

 

だが、2歳の早い時分から使われているが、成長したとか、前走より良くなっているとかの話は聞いた事が無い。弱くはなっていないが、強くもなっていないのだろう。ひと夏越しても既成勢力との差は詰まっていないかもしれない。

 

クイーンSの様なコーナー4つのコースは初めてで直線が短くなるので後方から行くこの馬には適していない。それでも直線を向くまで追い出し態勢をとることなく、じっとしていた。前が壁になっていたがじたばたせずに馬群がバラけるまで無理に動かなかった。イズジョーノキセキの強引な進路取りで接触する不利も受けている。この内容で上記の着差ならそう悲観する話ではない。

 

ただ、こういうコース形態を攻略出来たと見る事もできない。ここでも自身のスタイルを貫いた競馬をしているので直線短いコースで強気に推せる材料は出てこなかった。やればできるのかもしれないが、未知数な部分に期待出来るほど相手関係も弱くないので印を回す余裕はない。

 

厩舎サイドは小回りコースなら1800mは守備範囲と話していた。確かに、そんな感じの走りであったが、だとすると1F伸びる内回り2000mは守備範囲外と言うことになってしまう。条件や適性の合致しないレースとなりそうで楽な競馬にはならないだろう。

 

抽選対象

 

コンクシェル

アネモネSブリンカーを付けてから馬が激変しており、自己条件では安定して力を出せるようになった。

・先行しても決め手がないので前の馬を交わせない。それを解消するためか2走前からハナを取るようになり2連勝した。自分の形を見つけた感じ。

・決め手勝負を避けるために逃げているのでスローで逃げたりなんてしない。タイトな展開で引っ張って直線に入る前から後続を離しにかかる。

・この馬自身も最後は失速するがその頃には後続の疲弊も大きくなっているので差が詰まる事が無い。

 

上記がローズS出走時のカルテ。

 

ローズSでは4番人気の支持を裏切る12着。敗因は落鉄と折り合いを欠いたからだそう。落鉄は仕方ないとして、折り合いを欠いた点は気になる。モレイラ騎手の話だと外から圧をかけられたところでそれは起きたらしい。レース前には厩舎もモマれないポジションで運べれば逃げには拘らないと話していたので、この馬の弱いところが出てしまったようだ。気性的な弱点は気になる材料となりそう。ひとまず、敗因ははっきりとしているので巻き返せる余地を残している。ただ、本番では如何に気持ちよくレースが出来るかにかかっている。枠の並びや先行する馬の構成など、この馬の都合の良い競馬が適うかを考える必要がありそうだ。幸い、これと言った逃げ馬不在のメンバーでこれなら逃げる方が良いだろう。連勝中はキツめのペースで逃げて、後続を疲弊させ、消耗戦に持ち込んで圧倒するタイプ。逃げ馬としてはストロングである。この馬がレースを主導した際は地力の無い馬には厳しい展開となるだろう。ただ、条件戦とは違うので、GⅠ級の面々はこの馬のペースぐらいではなんともない。マルターズアポジーやパンサラッサの様な57秒台で飛ばしていくほどではないし、この馬自身も最後は失速するタイプなのでそれ以上の持続性はない。リバティアイランドの出方待ちでその他の有力馬が踏み遅れた場合にしか残り目は発生しないと思う。

 

ソレイユヴィータ

・デビューから一貫として中距離を使われているのでコーナー4つのコースは走り慣れている。

・脚は短いが追い出してからビュっと反応出来るので早め先頭からセーフティリードを確実に取れる。立ち回りの上手さを活かして一瞬の脚を上手に引き出している。

・折り合いに難がなく、操縦性も良いのでそう言う競馬を確実に出来るところは好印象。

・道悪実績は豊富にあるが、それだけに持ち時計がない。開幕週の馬場、時計の速い決着に対応出来るかが課題となる。

 

上記が紫苑S出走時のカルテ。

 

紫苑Sでは3番人気の支持を裏切る12着。福島・小倉で連勝して来た馬なのでレース前から平坦巧者かもしれないとの話はあり、急坂が課題になるだろうと厩舎は話していた。その不安は的中したようで坂部分で一気に減速しているので坂は登れなかった模様。今回は直線平坦の京都になるのでこれはプラスになりそうである。が、ハイペースを追走していた事で余力がなく、直線に入る頃にはヒップホップソウルに楽に交わされてしまっており、普通に力負けでもある。もう1つの課題であった時計勝負にも不安を残した形。確かに、キツいペースではあったが、このぐらいのペースなら楽にこなしてしまう馬は秋華賞には何頭もいる。さすがに厳しそうだ。また、鞍上の西村騎手は距離にも不安があったとレース後に語っていることから、距離適性も微妙なよう。直線が平坦になること以外に見直せる材料はちょっと無く、能力や適性面で強気になれない。

 

ピピオラ

 

こつこつ頑張っていたら3連勝出来たという感じで特に目立った特徴はない。勝ち上がるのに3戦要していて、この頃は最後に速い脚が使えず決め手を発揮出来なかったようだ。それでダートも1度試したのだろう。4戦目から脚が使えるようになり、それまでは伸びて来れなかったような展開でも末脚を伸ばす事が出来るようになった。そこから負けなしでGⅠにたどり着いた。マイルのワンターンを2連勝したあとに、小倉の2000mも勝ったのだがこの時は前2勝の様な脚がなく、抜けだしかけたところでジワジワとなり、アタマ差の辛勝だった。このレースを見ると、距離が長いのか、1周回る条件で脚が堪らなかったのかと言う感じがする。1度使った阪神1800mのダート戦が殿負けの2.9秒差で唯一の大敗。中距離、コーナー4つの条件でパフォーマンスを落としているのは客観的な事実としてある。ワンターンのコースで脚を溜めて直線勝負がいいのかもしれないし、純粋にマイル以上の適性が弱いのかもしれない。いずれにせよ、秋華賞の条件で走りが悪いので適性面で推せる材料は出てこない。突出したパフォーマンスもなく、標準以上の評価も出来ない。

 

フェステスバント

 

396kでデビューした馬で全体的に成長途上。小柄なので仕上げやすかったのか初戦からよく動けていたが追って味がなかった。4k減の若手を器用して早めに勝ちあがる事は出来たが力不足のまま昇級したので2勝目を上げるのに8ケ月もかかってしまう。馬体は410k台で安定したが能力そのものに変化はなく、追って味が無いのは変わらない。短距離でもロケットスタートが決まる馬なのでスタートが上手く、逃げ先行のスタイルは出来上がっている。毎度のことだが前で運んでどこまでと言う競馬になる。残り目の成否は相手関係によったり、道悪で後続の末脚が不発になったりした時。前走も古馬との4k差の影響が大きく、それで粘りこめた印象。なんとか3勝したがいろいろと恵まれないと厳しい馬で地力でねじ伏せた勝利はない。また、持ち時計もない。追って味が無いので上がりの速い競馬にも対応出来ないと思う。現状では34秒台で上がることさえ出来ないのではないか?GⅠでガチンコ勝負出来る馬とは思えない。

 

秋華賞(GⅠ)の予想案はこちら▼