競走馬カルテ

2・3歳重賞の出走馬を分析・記録していくブログです。

秋華賞(GⅠ) 出走馬カルテ① 2023

 

こんにちは。

 

アーモンドアイの時のノームコアみたいなことになりましたね。ローズS2着のブレイディヴェーグはエリザベス女王杯に回るようです。まぁ、そうですよね。同じサンデーRですから星のつぶし合いは出来ないでしょう。偉業がかかるなら尚更。2頭の対決がこの先のどこかで実現すればいいなぁと思います。

 

これでリバティの三冠達成を指をくわえて見ているより他なくなった訳ですが、そうかといって予想が簡単になったという事はないですね。絶対軸がいるので印は絞りたいところですけどそう言う思考も余計に予想を難しくさせます。

 

2着以下は混戦でオークスも2~6着馬は差のない競馬でした。距離、コースと変わる事で各馬の適性にプラスマイナスが発生しますから結果が変化する事もあるでしょう。2着、3着を言い当てるのは簡単じゃないと思います。トライアルで台頭した馬にも注意を払わないといけません。単複で勝負する訳にもいきませんし、一筋縄ではないですね。

 

秋華賞は15日(日)に行われます。前日の14日(土)には更新を完了します。更新順は分析・回顧を交えながら紫苑SローズS出走馬を1枚目に掲載します。2枚目にはオークス組、クイーンS組、抽選組の順で更新していきます。

 

予想案は各ページの最下部にある専用ページにまとめてあります。ブログカードを貼っておきますのでそちらをご覧ください。

 

紫苑S回顧

 

今年の勝ち時計は18年優勝のノームコアが持つレースレコードとタイ。稍重だった事を考慮すれば今年はすげぇとなるところだが、実のところ馬場が良馬場並みに回復していたと考えるのが妥当っぽい。9Rのアスター賞は2歳のコースレコードを記録されている。コース設定が時計が出やすい状態にセッテッィングされていたと思われる。翌日の京成杯AHでも久しぶりに1分31秒台が記録されていた。ここ2年ほどは秋の中山開催もそれほど速いものではなかったが今年は高速馬場になっていたようだ。

 

勝ったモリアーナの追い込みが見た目にも鮮やかに炸裂した。現地の話ではこのレース中に強い追い風が吹いていて後ろから行く馬に有利な状況だったかもと報告があった。鮮やかだった末脚にはそれなりの理由もあったと認識しておきたい。

 

1000m通過58.1秒は稍重なら十分速いし、先行勢力は壊滅し、前で運んだ馬も伸びを欠き、勝ったモリアーナや3着シランケドなど後方にいた馬の待機策が決まっている。展開の助けは十分あったと思うし、上述したように追い風の影響でより差しが決まりやすかった可能性もある。この2頭は力以上に走った可能性があるので注意したい。

 

インの4番手を追走したヒップホップソウルは開幕日の馬場の恩恵は受けたと思うが、先行3・4番手から完全に突き抜けていて展開に逆行した強さを示した。一番強い競馬をしたのは明白で強かったと思う。

 

1着:モリアーナ

・先行センスが高く、二の脚も良いのでポジショニングに苦労しない。折り合いに不安は見られないし、追ってからの反応も府中では機敏であった。

クイーンCは良い機動力を見せ、直線で良い末脚で押し上げた。新馬戦の時と同様でやはり府中での走りが良い。

・近走は後方で控えて末脚を生かす競馬をしているが最後は詰めを欠き取りこぼしている。後方から突き抜けられるほど脚が長くはないのだろう。

・インでロスを省き、ソツ無く乗って直線勝負に徹した方が良いように思う。

 

上記が紫苑S出走時のカルテ。

 

オークスに行きたいなぁ」とNHKマイルCの調整中に跨った横山典騎手はしきりに調教師に言っていたそう。2歳時に1800mのコスモス賞勝ちがあったので距離をこなす下地はあったが、思っていた以上に距離を克服する適性があったようだ。武藤調教師曰く2000mは守備範囲と話していたが紫苑Sの走りを見るとベスト距離と考えた方が良いかもしれない。

 

「勝って本番に行きたい、それぐらいの能力はある」とも武藤調教師は話している。春はマイル路線をいったが常に僅差の競馬だったことからも力はそれなりにあった。オークス6着だった2着馬の完全な勝ちパターンを直線一気で差し切っていることからもオークス組に劣っていない可能性は高い。

 

その脚使うか?と思えるほど末脚は鮮烈だったが、回顧部分でも触れているように追い風の影響を受け、追い上げる馬には有利に働いていたそう。あのような末脚はハマり脚でもあるのでこの脚を常に期待して良いものかは微妙なところ。ただ、春先は後方から早めに動いてマクる強引な競馬でゴール前甘くなっていた。直線勝負にかけた方がこの馬の末脚は際立つのかもしれない。馬の力を最大限に引き出すならこの乗り方も否定は出来ない。横山典騎手もが3~4角からグイグイ動いて来る姿はあまり見たことが無いので、今回も同様な立ち回りは十分考えられる。

 

それに、こういう競馬で秋華賞で結果を出した馬もいる。19年3着シゲルピンクダイヤが同様の立ち回りで3着に来ている。この時は稍重で、1000m通過58.3秒と条件や展開が紫苑Sとほぼ同様だった。同じ事が2度起こることもあるので警戒は必用

 

 

2着:ヒップホップソウル

先行して速い上がりも使えるし、機動力もあるので中山は向いている。動きたい時に動ける自在性は目を引いた。

・素質は関係者一同期待しているが完成度が低く、左右のバランスも悪いという。成長の余地を残す。

・気性面に課題があり、乗り難しいところがある。テンションが上がらないように調整したり、コントロール性能を重視した調整をしているが、2400mは長いかもしれない。→伸びかけて止まったオークスの負け方を見るとやはり距離は長かったのだろう。

 

上記が紫苑S出走時のカルテ。

 

紫苑Sは2着でも収穫が大きい。乗り難しい馬で出して行くと行きたがるので春までは控える競馬で後方追走もしばしばだった。しかし、好スタートで先行争いに加わり、ラチ沿い4番手でレースを運べた。行きたがっているような素振りは常に出ていたが折り合いは付けられていて我慢出来ている。勝負所でも軽く促しただけで前を捕まえに行く態勢が取れており、この馬らしい機動力もしっかりとみせた。力を温存しながら1周回って来れたのは大きい。後方からマクる競馬も出来るし、紫苑Sの様な正攻法でも結果を出せて、脚質の幅は確実に拡がった。

 

レース内容も十分評価できるもの。58.1秒のハイペースで先行総崩れの中1頭だけ突き抜けた内容は素晴らしい。最後に差されてしまったのは道中で行きたがったせいかもしれないが、この馬自身もラストを加速ラップで駆けているので負けて強し。これで負けたら勝ち馬の決め手を褒めるべき。先行不利の展開でこの内容・結果は評価が高い。

 

春の競馬を終えた関係者の総括として、口向きが悪く乗り難しいということだった。紫苑Sで騎乗した横山武騎手もその点は同意している。ここまで騎乗した全ての騎手が素質の高さは一様に認めているのだが、この乗り難しさのためこの馬の優先順位が上がってこない。デビューの頃から乗っていた松山騎手はフラワーCオークスでも騎乗依頼があったがそれを受ける事はなかった(グランベルナデットを優先していた)。横山武騎手もローズSで権利が獲れたらココナッツブラウンで秋華賞を考えていたよう。乗り難しさのためにジョッキー達の評価が高まっていないのは気になる。

 

なお、この口向きの関係で左回りより、右回りの方が走りが良いとされている。オークスの敗因はそんなところにもあったのかもしれない。紫苑Sとコース形態が似ている京都コースはこの馬向きと言うことになる。

 

秋華賞出走が微妙だったので前走で仕上げていた可能性もあるが、陣営の雰囲気では勝って当たり前的なムードで、トライアルメイチの感じはなかった。秋華賞向けの余力はちゃんと残していたと考えて良い。

 

3着:シランケド

・スタートは安定して悪く、大きく出遅れる事もしばしば。よって追走はいつも後ろから。

・いつも最速上がりを記録して末脚は際立っているが、好走した近2走もハイペースで展開はハマっている。

・次位上がりと大きく乖離している訳でもない。未勝利や1勝クラスならその末脚でも際立つが重賞で優位に立てるとは考えづらい。

・機動力を発揮したり、マクって動くことはなく、あくまで直線勝負型。

 

上記が紫苑S出走時のカルテ。

 

勝ち馬と0.3秒差の3着で、加速ラップを追い込んで食い込んだ内容は悪くはない。末脚だけはいつも際立っているのでここも2位上がりを記録している。ただ、レース振りは相も変わらず。出遅れからの後方追走で展開は味方していた。勝負所で機動力がないので、この時も直線勝負にかけたらハマっただけ。地力で上位に入着したとは言えない。末脚も最速のモリアーナより0.7秒も要していて末脚の質感は並み。その他の馬の伸びが案外だったので差しは届いたが、1・2着馬とは力差が大きく、秋華賞で逆転出来る材料は出てなこない。紫苑S内でさえこうなので、メンバーが強力だったローズS組やオークス組が加われば掲示板に載るのも指南の業だろう。その先に続くGⅢの牝馬路線なら印は回す必要はあるかもしれないが、GⅠではさすがに厳しい。

 

5着:ミシシッピテソーロ

・上がりの競馬で切れ味勝負だと末脚は際立たないが、タフで上がりがかかる展開ならGⅠでも通用する。

・末脚性能は良いが控えて脚をしっかりと溜めないと良い脚は使えない。→春競馬以降はポジションを取っても脚を溜められるようになっている。

・上がりが速くなりやすい府中よりも中山の方が確実に脚を使える。→夏の新潟で32.7秒の切れ味を発揮。初めて高速上がりを記録した。

・福島の1800mを経験したが、3~4角で手応えが怪しくなり、直線もジワジワ。小回りコースに対応出来ていない感じ。

 

上記が紫苑S出走時のカルテ。

 

やはりこのぐらいのメンバーだったらそこそこ来れてしまう。コーナー4つの1周条件も2走前より上手く立ち回れていたと思う。福島1800mは忙しかったようだが、2000mに伸びて追走が楽になった分よかったのかもしれない。今回も中段ぐらいで競馬が出来ているのでレース運びには安定感が増している。

 

ただ、展開がハマりながら末脚で遅れを取っているので実際の着以上の評価は難しい。紫苑Sに限らず、伸びて来るのはいつも勝負が決まってからなので重賞で馬券圏内を脅かすような走りは今のところ出来ていない。勝負所で押し上げられる機動力を身に着けるか、末脚の強度を上げないとGⅠではやはり厳しいのだろう。地力で上位に食い込むイメージは持ちづらい。

 

上積み面に関しては半々。5月のNHKマイルC後に2ケ月ぐらいあけたが条件戦を2戦して紫苑Sまで走っている。上がり目と言うのは期待しづらい。反面、もし秋華賞でも石川騎手が乗るのなら鞍上の慣れが見込めるので前進出来る可能性がある。

 

2走前に勝利に導いた川田騎手でもかなり乗り難しい馬だという評価をしていて、それを聞いていた石川騎手も注文をたくさんつける必要があるとこぼしていた。テン乗りでは難しいタイプのようである。石川騎手がクセや特徴を把握出来たなら2戦目でもう少し馬を上手に導ける可能性がある。前走以上の結果も無くはない。

 

なお、川田・石川両騎手は力があると馬の能力は認めていて、やはりそれなりに力はあるようだ。有力馬のコケ待ちで良ければ印を回しても。

 

9着:エミュー

・馬体が小さいので非力な印象。→モマれたくないのでゴチャつく位置取りを避けるようにしている。近走は後方まで下げて周りに馬がいない状況を作っている。

・どんなレースでも終いの脚はしっかりと使うが長い脚を使っている訳ではない。

タフな展開を体力勝負で差し込んでくるのが好走パターン。高速馬場の良馬場や開幕週のレースは厳しい。

 

上記が紫苑S出走時のカルテ。

 

全3勝は中山の中距離で重賞勝ちもあるコース。この条件で力が入らない訳はなく、厩舎も叩き台のつもりはないと話し、紫苑Sは勝ちに来た1戦だった。それはレース振りにも現れていてデムーロ騎手も取りたい位置が取れたと話す。その位置はそれまでの後方ポジションではなく、中段ど真ん中。この馬にしてみれば十分積極的な位置取りで勝ちたい気持ちは十分伝わった。

 

が、馬は人の気持ちに応えなかった。3~4コナーの反応はイマイチ。直線に入っても目立った脚を使う事も無く、バテた先行馬を交わして雪崩れ込むだけの内容。レース後の話では休み明けが影響したようで次は変わって来そうということ。見限るのは早計か?

 

ただ、展開はハマっていたし、得意条件な上、馬場も実績のある道悪。条件は揃っていたはずなのでもう少しらしいところを見せてくれないと好意的な話は出来ない。叩いた効果は実際ありそうだが、本番を意識せずにトライアル狙いで仕上げてしまった調整方法からも大きな上積みは期待が薄くなる。

 

条件的には秋華賞もやれて良いとは思うが、春の時点でトップクラスと力差がったことは否めず、その差が詰められたという根拠も紫苑Sで示していないため評価は上げずらい。

 

ただ、秋華賞は台風の影響を受けた事が度々あり、道悪になる事も多い。不良馬場でもグイグイ伸びた馬なので、馬場状況が味方するようなら一考したい。

 

10着:グランベルナデット

・中山2000mの未勝利を圧勝している。ハイペースで後半に1.4秒失速したキツイ流れを3番手で押し切ってしまったのは凄い。→2週後のホープフルSより0.4秒も速い。→忘れな草賞も歴代2位の好時計を記録して優勝。やはりこの条件で強い。

・マイルは向いていない感じだが、クイーンCはGⅠ2着馬が2頭、GⅠ3着馬1頭が出走していたレベルの高い1戦。そこで5着ならこの馬の力も重賞級の評価が出来る。

2000mでの先行力は安定していて立ち回りも上手い。開幕週向けの脚質、能力を有している。

 

上記が紫苑S出走時のカルテ。

 

オークスに出てれば馬券圏内はあったよ」とレース前に話していたが、紫苑Sはそう言う馬の走りではなかった。2着ヒップホップと併走していた馬がここまで負ける理由はなんだろう?仕上げの問題か、久々か、単純に弱いからか?厩舎評によると久々もあったが、ペースが厳しかったとの話。だとしたら、弱くて負けたということになる。

 

4コーナーの手前では手が激しく動いていて、持ったままで上がって行ったヒップホップとは如何にも対照的だった。また、偶然かもしれないがほぼ同様の条件だった忘れな草賞紫苑Sの走破タイムが1:59.2で同タイム。やはり自身の力は出し切ったのだろう。それに、新馬戦で完敗だったミシシッピテソーロとは着差を大きくして再び遅れを取った。

 

調教師の話では自分の競馬に徹したが、その結果がこれなので言い訳出来ないところがある。こんな馬ではないと思うのだが、負けたことで合ってしまう辻褄は結構多い。残念ながら力負けの烙印を押す必要がありそう。見直しの余地はレース中にはない。

 

あとは療養明けの久々を叩いた変わり身がどれぐらいあるかということ。クイーンCの内容から重賞でもやれる力はあるはずなので、中間の調整次第で最終的に判断したい。

 

ローズS回顧

 

日本レコードがまた更新された。1:43.0はシャフリヤールが毎日杯で記録したものより0.9秒も速い。阪神の馬場はとにかく速い。

 

通過タイムは34.4秒-57.3秒と序盤から速い流れ。これだけ速いと後半は時計がかかり消耗戦となるが前後半差はなんとゼロ秒。前半4Fと後半4Fは45.7秒でイーブンに流れた。序盤にマイラー並みの速さが求められたが後半はそれを持続させるスピードの持続力が問わた。総合的な速力がないと厳しいレース。実際、直線で3頭の斜行による進路妨害が発生、5頭の被害馬が出ている。苦しくてヨレる馬が続出するほどのハイレベル戦だった。

 

時計が速い=前が止まらない馬場と言う認識があるがさすがにこれだけ速いと前も止まる。これは時計の速い夏の小倉でも良くある事象。稀にこれだけの速さで先行してもスピードを最後まで持続させてしまう強い先行馬がいるがローズSで先行した馬にそう言う強い馬はいなかった。

 

また、通常はこの流れなら上がりもかかるものだが馬場が良いので速い上がりを記録する事は出来てしまう。ただ、それも簡単なことではなく、前半の速い流れを引き継いで失速せずに走れるのは高い持続性能が必要になる。展開そのものはハマったものだが、この速い流れで33秒前半の高速上がりを記録した1・3・4着馬は文句なしに地力が高い。タフな展開になれば確実に脚を伸ばしてくるだろう。

 

なお、出走がないのであれだが2着ブレイディヴェーグの凄さには触れておきたい。直線で捌けず踏み遅れて追えたのは正味300mぐらい。この馬は斜行による直接の被害馬ではないがゴチャついた展開に泣いたクチ。それでも使った32.9秒の末脚は特筆ものである。お世辞無しにリバティアイランドレベル。これじゃ秋華賞に出させてもらえないのも頷ける。

 

1着:マスクトディーヴァ

3戦2勝馬。負けた1戦は阪神内回りの忘れな草賞。3~4角での機動力がなかったり、最終コーナーも大きく膨らんだりと、コース形状が敗因だと思われる。

・コーナーがキツイ中京2000mの新馬戦でも最終コーナーの挙動に違和感があり、コーナーでの加速が上手く出来ない馬なのだと思われる。

・勝った2勝は直線長い中京と阪神外回りの1800m戦。いずれも直線ズドンで決めている。また、ギアチェンジもあまり早くなく、エンジン点火には時間がかかる。

・繰り出す末脚には破壊力がある。追えば追うほど伸びる感じ。加速がついてからの末脚は凄い。

・本番で推せる現状ではないが、阪神外回りのローズSはこの馬の適性範囲である。

 

上記がローズS出走時のカルテ。

 

日本レコードでの快走。テンから速く流れ、終いまでそれが持続した。地力の問われたレースを勝利したのは力の証明。34.0秒のレース上がりを0.8秒も上回る末脚は破壊力があった。勝ち方としては文句なし。

 

ただ、このレースは条件的にこの馬の力が発揮しやすいものが揃っていた。まず、この速い展開はこの馬の末脚を引き出すのに好都合であった。それまでも破壊力のある末脚を使っていたが、ギアチェンジはあまり速くなく、エンジン点火に時間がかかっていた。ローズSの様に速い流れが持続した事でスムーズに末脚引き出せた可能性はある。よーいんドンの純粋な上がり比べになった際に前走の様な末脚をひきだせるかはわからない。また、コーナリングが上手くなく、コーナー4つの1周コースだった忘れな草賞では立ち遅れていた。コーナーのキツイ中京の新馬戦でも最終コーナーを上手く回れていない。それは陣営も認めている。改善傾向にあるとしつつも上手くないとはっきり口にしている。コーナーの緩やかな外回りコースはこの馬の最も得意な条件である。

 

こういう馬なので忘れな草賞では中々加速出来ずに機動力を発揮出来ずにいた。直線に入った時には時すでに遅し。ここまで3勝全てが直線ズドンで決めているように、好走コースはまず直線が長いこと。そして、コーナーの斜度が小さい外回りコースか府中のような大箱コースが良い。秋華賞の様なコースを走るにはまだ隙がある。力があるのは間違いないことだが条件的には強くは推せない。

 

なお、陣営は権利は獲れるだろうと考えていた節があり、賞金もないくせに本番は次と秋華賞出走ははっきりと見据えていた。能力の高さを認めているからこその采配でやはり力はあるという認識が必要。オークス上位馬とも力差はないと思われる。上積みは期待出来るし、前走以上の状態で本番にやって来る。あとは、京都2000mを攻略出来るかにかかっている。

 

3着:マラキナイア

・気合をつけてようやく先行出来る程度でマイルをやるには少々ズブイ。道中もほぼ追い通し。瞬発的なスピードも弱い。

・エンジンがかかってからは力強く伸びる。兄ステイフーリッシュ同様にタフな展開で強さを見せる。地力そのものは高い。

・2着に負けたが前走の1800m戦で好発を決めて4番手先行。マイル戦で置かれていた馬がががらり一変のレースぶり。長めの距離での潜在的な適性は高いと思う。

 

上記がローズS出走時のカルテ。

 

スタートは決まっていたが、適性が弱いマイル戦では速さに対応出来ないのでマイル戦並みに流れたローズSは徐々にポジションが下がり、中段で進めることになった。その結果展開に乗じる事が出来た。また瞬時に加速出来る瞬発力には強味がないので、上述したマスクトディーヴァ同様に速いラップが持続したことでスムーズに末脚を引き出せた。そう言う意味では展開ドハマり。

 

ただ、こういうタイトな展開やタフなレースで強さを発揮する点を再認識出来た。レースレベルが上がる方がパフォーマンスは上げられるだろう。さらに距離が延びるのも良いし、秋華賞を走るにあたり大きな不安材料はない。秋華賞はラスト4・5Fくらいから流れが速くなる持続戦なのでこの馬に不向きな瞬発力勝負になる機会は少ない。好走出来る条件と考えて良いと思う。

 

コーナー4つの条件は初めてとなるが、不器用な感じは今のところ見せていない。後傾持続の展開になりやすいコースレイアウトはこの馬に向いている。相性抜群だった川田騎手が乗れないのは痛手だが、その川田騎手も素質の高さを結構気にいっていたよう。この方がいうのなら力があるのは間違いない。春からの成長も感じられるようなので春二冠組とも互角の可能性がある。無視出来ない。

 

14着:ラヴェル

スタートは全て失敗している。→桜花賞ではマシなスタートを切ったが徐々に下がり後方待機。→オークスではさらに好発進となり、先行策で粘り込んだ。脚質に幅が出始めていて、レース振りに余裕が出てきたよう。

・長く脚を使える馬で脚力の高さは印象に残る。

・3歳になり桜花賞よりはオークス向きと考えられるようになる。距離は長い方が良いよう。→桜花賞は捨てレースでオークスメイチの戦略だった。

・前進気勢が強い馬で一生懸命走り過ぎてしまう。もう少しリラックスして走れるようになればいいのだが。→この気性から2400mは長い印象。中距離戦になる秋戦はプラスになりそう。

 

上記がローズS出走時のカルテ。

 

14着は負け過ぎという事で良いのだが直線では脚を使っていたし、不利を受けて下がってしまったロスもあった。本来はもう少し上の着に来ていたはずで、1桁着順にはいたと思われる。本馬を全否定するまでの根拠はない。

 

しかし、物足りなかったのも事実で、直線で勝ち馬と隣合せだったが手応えの差は歴然としていた。この点に関しての直接的な原因は馬が力んで走っていたからだと坂井瑠騎手は話している。速いペースを力んで追走してしまったことで消耗度が大きくなったと言うのはあるだろう。これがガス抜きになれば良いのだが。

 

いつも理由があるので理解は出来るが相変わらず思うような結果を出せない。もどかしい馬。こういう成績だと穴とか、押さえとかの評価しか出来ないので積極的には狙いにくい。力んでシャカリキに走る姿は姉ナミュールの若い時と同じだが、その姉も秋には変わっていた。妹ももう少し楽に走れるようにならないと。

 

生真面目な性格に変化はないが、馬体面の成長は姉同様に著しい。桜花賞後から変化はあり、食いがよくなって馬体に芯が入ってきた。この秋、帰厩時には30k程度も増えていて、前走時では+16k。馬体はパンプアップされていて、強い負荷をかけた調整も出来るようになっている。春よりも馬は強くなっているはずなので、好内容のオークス4着はみたいなこともまだある。そういう所で見限れない馬か?

 

前走は多少太目を残して本番を見据えた叩き台の仕上げ。上積みは結構ありそうである。スタートの悪かった馬が発馬は安定してきたし、レース振りもよくなって来ている。距離は長い方が良いとされているが、力んで走る馬ならオークスの2400mよりは2000mの方が走りやすい。距離短縮によりオークス2・3着馬を逆転出来る可能性は僅かに残している。力はあるはずなのであとは馬次第。リラックスして走れれば巻き返しはあり得る。

 

 

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