競走馬カルテ

2・3歳重賞の出走馬を分析・記録していくブログです。

有馬記念(GⅠ) 出走馬カルテ① 2023

 

こんにちは。

 

有力馬の鞍上がJC後に一斉に決まりましたね。もっと言えば、イクイノックスの引退が決まってから一気に話が進んだという感じです。ジャスティンパレス、ソールオリエンス、タスティエーラ、スターズオンアース、スルーセブンシーズなど、全てイクイノックスの引退後に鞍上が決まっていきました。

 

イクイノックスが有馬記念に出る可能性がまだあったのでルメール騎手の動向次第と鞍上がみな保留にされていたのでしょう。有馬記念で他の馬に乗れるとはっきりしたことで次々に鞍上問題が動いた感じだと思います。それだけルメール騎手に乗ってもらいたい陣営が多かったということです。また、川田騎手、横山武騎手やその他の外国人騎手など有力ジョッキーもルメール騎手の動向に左右された面があったのだと思われます。

 

この事から分かるのがルメール騎手の優先度でありましょう。戻ろうと思えばパレスに戻ることも出来たと思いますし、スルーセブンも凱旋門賞からの連続騎乗が出来たはずです。また、ソールオももともとはルメール騎手が新馬勝ちした馬ですし。その気があればどんな馬にも乗れたはずのルメール騎手が選んだのはスターズ。これはスターズが勝利に最も近い馬としてチョイスされたと受け取って良いと思います。

 

パレス、スルーセブンも馴染みの深い馬でしたけど、ルメール騎手がこれらより上に選んだのがスターズだというのなら、この馬に逆らうのは賢くなさそうです。

 

いずれにせよ、今年の有力馬は乗り替わりが多く、テン乗りになるケースもあります。それまでとは違った側面を見せる馬も出てくるかもしれませんので、重要な予想ファクターになって来そうです。

 

有馬記念は24日(日)に行われます。前日の23日(土)には更新を完了します。更新順はファン投票による上位10頭を上から順番に更新していき、賞金順で出走が可能になっている残り6頭を更新します。10000文字を目途にして2枚目にページを移します。

 

予想案は各ページの最下部にある専用ページにまとめてあります。ブログカードを貼っておきますのでそちらをご覧ください

 

ファン投票順位

 

3位:ジャスティンパレス

 

物凄い時計勝負になった天皇賞(秋)でしたが、この馬もスタート後は気合をつけて位置を取ろうとしていました。が、あっさりと置かれましたね。鞍上もすぐに諦めたように後方待機、最終コーナーも最後方で回ってきて直線勝負に。それがハマって2着になり、欲の無い走りが好結果を生んだと言えそうです。陣営側も長距離色の強いこの馬では2000mのスペシャリスト相手に楽ではないと見ていたので、こういう勝負に出やすかったように思います。

 

これだけペースが速いと上がりがかかるのが普通です。そんな中で33秒台の速い脚を使えたのは2・3着馬の2頭だけ。後方待機はハマっていましたが、物理的にここまで脚を加速出来た事は意味があると思います。特にパレスの場合、今まで一度も33秒台を使えたことが無かったので、こういう脚を引き出せたことは収穫のある1戦でした。力のあるところをしっかりと見せる事が出来ました。今年はずっと調子が良かったですが、今の充実度は本物ですね。

 

とは言え、やはりこんな時計で走った後ですからレコードの反動はやはり気にするべきでしょう。天皇賞(秋)組でその後巻き返したのは特別な理由で負けたドウデュース(天皇賞7着→JC4着)と、札幌記念のダメージが抜けきらず8割程度のデキしかなかったヒシイグアス(天皇賞9着→香港C3着)の2頭のみ。仕上げて使ったその他は軒並み着を下げて負けています。

 

3着プログノーシスは春に2着だった香港が暮れでは5着、4着ダノンベルーガは昨年4着だったJCで6着と同じような条件で着を落として負けています。5着ガイアフォース、8着エヒトに至ってはGⅠからGⅢまで相手を下げているのに、6着、13着と着を下げています。

 

やはりスーパーレコードの影響は各馬平等に反動を残していたようです。タフなイクイノックスですらそれなりの反動はあったと言いますし、それ以外ならいわんをやです。天皇賞(秋)組のパレスにも注意が必要で、今となっては2着と言う結果も走り過ぎてしまったのでは?と不安材料となるかもしれません。

 

この馬の充実感ならこなしてしまうのかもなぁと思いつつ、同厩のガイアフォースは大丈夫と言いながら使ったチャレンジCであの内容。杉山厩舎もそこを見抜けなかったのかもしれないですね。前走から着を落とす可能性は考えておいた方が良さそうです。

 

さて、視点を変えて。昨年7着と負けた有馬記念の適性について確認しておきます。昨年の敗因は長距離輸送の失敗です。当時は大雪が降ったことで輸送が長引いたことが影響した模様。この時騎乗してたマーカンド騎手も最後はフラフラしていたと話していました。馬が疲れていたのでしょう。力を出し切ることなく負けていますので、中山2500mの適性で負けたとかではないと思います。今のこの馬はコースを問わず力を発揮しています。コースや条件を選ぶようなひ弱さは感じませんから条件面で評価を低くする材料は無いと思っています。

 

杉山厩舎は前哨戦をしっかりと使ってくる厩舎なので、この馬も昨秋以降はステップレースを使って目標のレースを走り、結果を残しています。そう言う意味では天皇賞(秋)が叩き台となっていたかもしれません。厩舎の話ではそんな雰囲気はなかったですけど、どうしても勝ちたいレースと言う印象もありませんでした。先を見据えていたとは思われます。秋3戦目だったガイアと違う点がこれで、救いになるところでしょう。この厩舎らしく2戦目でしっかりと仕上げて来ることも可能だと思います。

 

結局イクイノックスとは5度も走って1度も先着する事が出来ませんでしたが、目の上のたんこぶが消えた以上、この馬が今の競馬界を牽引していく立場になりました。今年先着されたのは他にスルーセブンシーズがいるだけ。やはり力は上位に評価しておく必要がありますね。相手はそのスルーセブンと未知数な3歳のクラシック馬2頭のみ。その他とは勝負付けが済んでいます。勝ち負けを前提に印をつける必要のある馬だと思います。懸念材料は天皇賞(秋)の反動だけしかないですね。

 

4位:タイトルホルダー

 

JCで5着まで。大逃げパンサラッサの2番手でレースを進めました。すぐ後ろにはイクイノックスも、リバティアイランドも、スターズオンアースもいた訳ですが、この馬だけが伸びを欠いて負けます。その原因はこの馬の性能によるものでしょう。負け方は実にこの馬らしいものだったと思います。直線で加速しない馬であり、加速失くして府中のGⅠなんか勝てるはずがありません。

 

この馬が強かった4歳時の天皇賞(春)宝塚記念、そして5歳の日経賞などは全てラストがかかる消耗戦。大差をつけて勝っていましたけど、この馬自身も直線は失速していて、2着以下の失速がそれ以上に大きかったというのが本当のところです。一応3歳まで遡りましたけど、ディープインパクト記念、皐月賞菊花賞と好走したレースを再度確認したところ、全てのレースでゴールに向かって減速していく失速ラップでした。この馬は直線で伸びて勝った経験がありません。

 

JCのようなハイラップの流れでもイクイノックスはじめ、このクラスの馬だとどんなに厳しいペースでも直線で一伸び出来る力がありますが、この馬にはそう言う力がないですね。JCで掲示板に載った馬の上がりを見てもこの馬の脚だけが遅い。直線再加速する性能が無いこの馬がこれらを相手にするのはそもそも厳しかったという話です。

 

消耗戦に強いこの馬にとってパンサのペースは向いた展開でしたけど、展開上の利をコース適性の低さが相殺してしまったという事も言えて、上がりの速いレースになりやすい府中も向いていませんでしたね。

 

ただ、結果的にこれで有馬記念でどういうレースをすれば良いかがはっきりとしたと言えます。速い上がりが問われない中山コースならこの馬の弱点は気になりません。強烈にハナを主張する馬も見当たりませんので、久しぶりにこの馬の競馬が出来る組み合わせです。後続を疲弊させる逃げを久しぶりに再現できるのではないかと思います。

 

問題は、そのようなハードな競馬にこの馬が耐えられるかどうかでしょう。好走の有無はこの1点に尽きると思います。前走でもまだよくなっている最中と言う印象をうけましたので、強かった頃の状態に戻れていないと思います。絶好調時のデキになければ理想の競馬が出来ても結果は望めないと思います。

 

JC時も状態は上がり切れていなかったと思いますので、叩き3走目の今走ぐらいが良くなってくる頃合いかもしれません。そうある事を祈りたいですね。また、引退レースと発表されていますから、オツリを残す必要がありません。トラブル続きでおっかなびっくりな調整をしてきた陣営もここで腹を括って強気な調整が出来れば、強かったタイトルホルダーが戻れるかもしれません。最後に少しでも絶好調時に近づけて欲しいと思います。

 

5位:ソールオリエンス/6位:タスティエーラ

 

菊花賞の2・3着馬が轡を並べてくれましたので、同時的に扱い、先に菊花賞の回顧や、3歳世代の力関係に言及しておこうと思います。

 

菊花賞回顧】

 

ルメール騎手のドゥレッツァによる変幻自在なレースぶりが目を引きました。が、上位3頭に大きな力差は無かったと思います。勝敗を分けたのは変幻自在なペース配分によって、所々で隊列に変化が生じ、それで脚を使い切れた馬とそうでない馬が出た結果だと思います。1000m毎に分割するとどのように隊列が形成され、変化したかが分かります。

 

・最初の1000mはドゥレッツァの挙動により60.4秒のミドルペースに。

 

→長距離戦にしては速いので各馬は控えて隊列はバラバラの縦長に。いつもの菊花賞隊形です。タスティ・ソールオも中団からやや後方よりで待機。

 

・中間の1000mで64.1秒まで落としてスローペースに。

 

→遅いと思った各馬は一斉に動き出し、馬群は一気に密集隊形に変化。タスティ・ソールオは中団ぐらいまで上げるも、結果狭い所に入り動きずらい位置へ。この2頭の直接的な敗因はコレ。ドゥレッツァは2・3番手の内ポケットの絶好位へ。

 

・最後の1000mでは58.6秒まで加速してハイペースに。

 

→後傾持続戦となり、ラスト4Fで11秒台が連続し、長く良い脚が求められる。が、そう言う競馬が出来たのは勝ったドゥレッツァだけ。いち早く動けたので、脚を使い切ることが出来、かつ下り坂で勢いをつける事が出来た。タスティ・ソールオの2頭は密集馬群から抜け出せず、直線に向くまで位置取りを改善出来ないまま、直線勝負に。こうなると結果は単なるポジションゲーム。前に、内にいた馬が順番に入線したという結果に。

 

以上のように、菊花賞の勝負を決めたのは中間区間で形成された密集馬群。それにより、動きたい時に動けた馬と、そうでない馬が出た事によります。それは上位3頭が使た上がりにも連動していて、一番スムーズだったドレッツァが最速上がり、インにいけたタスティが2位上がり、タスティとは併走しながらも直線だけ外に出したロスが響いたソールオが3位上がり。

 

つまり、菊花賞の結果はスムーズに動けたかどうかだけの違いだけ。この結果を持って明確な序列が出来たとは言えないと思います。ドゥレッツァだけが抜け出したと見るのはまだ早計の様に思います。力を出せずに負けたタスティは三冠競走で連対を外しませんでしたし、枠に泣いたソールオも三冠競走で複勝圏から漏れずに走りました。3頭はまだまだ拮抗しています。皐月・ダービー・菊とタイトルを分け合ったこの3頭はこの先も我々を楽しませてくれると思います。

 

【3歳世代の力関係】

 

牝馬のレースでしたけど、多くの3歳実績馬が出走したターコイズSに世代の力差を推し測るヒントがあったと思います。このレースはハンデ戦であり、クラシックで上位勢力に名を連ねた馬達はその実績からハンデを背負わされてしまい、ただの1頭も入着出来ずに古馬の壁に跳ね返されました。

 

ソーダズリング(フローラS2着)が53kで4着
ライトクオンタム(シンザン記念馬)が53kで5着
ヒップホップソウル(重賞2着2回)が54kで8着
コナコースト(桜花賞2着)が55kで10着
キタウイング(重賞2勝)が53kで13着

 

これに対し、勝ち馬は4歳馬で54k、2着馬が4歳馬で53kでした。このように定量戦ならあったはずの2k差が無く、3歳馬は古馬とほぼ同斤量で競馬をしたのですが、結果こうなりました。ちょっとかわいそうなハンデだったなぁとは思いますけど、2週もしたら年が明け、所詮は次に走る時に無くなっている恩恵です。よって、イーブンな状況でやるとこれだけの力差が3歳馬と古馬の間にあるんだなぁと思うところです。

 

なお、私調べではありませんが、古馬OP戦での3歳馬の勝利数を集計して過去年と比較した方がいらっしゃったのですが、今年の勝利数は断トツで低い勝利数であるようです。古馬GⅠではエ杯で3歳馬が1・3着と走りましたが、こういった一部の馬を除き、全体的にやはり少々弱いのかもしれないですね。

 

ソールオリエンス

 

セントライト記念菊花賞のレース運びから横山武騎手は「大外ブン回しばかりするんじゃねぇ~」の様な中傷を受けることになりました。でも、この2走はどちらも大外ブン回しなんてしていないですね。いずれも最終コーナーをタイトに周って極力ロスの無い動きで運んでいます。2走とも14番枠でしたがここからインに潜るのも簡単な話じゃないですし、ソールオの様な脚質の馬が枠なりの競馬をすれば大体こんなものになるものです。特にセントライト記念の時は陣営から「外を回っておけ」と安全運転の指示が出ていましたので、横山武騎手だけを悪く言うのは間違いです。

 

しかしながら、脚質を固定しすぎたのはやはり横山武騎手のせいであり、すっかり競馬に注文の付く馬になってしまいました。自在性のない、極端な競馬ばかりになっている現状は良くないと思います。それで結果が出なかったのですから、武史騎手がこのまま乗って行くのはマイナスです。ソールオも変わって行かなくてはなりませんし、先入観の無い騎手が新味を引き出してくれるかもしれません。川田騎手がまた違った面を引き出してくれると良いですね。

 

さて、上記回顧のように、菊花賞は力負けの判定は出来ません。十分上位の力を見せていますので、3歳を代表する馬として有馬記念は扱うべきだと思います。3歳馬は直近5年で【3・2・1・7】のハイアベレージなので無下には出来ません。ただ、今年の3歳牡馬は小粒な印象もあるのでそこはやっぱりちょっと難しい。また、今年は23年ぶりに春二冠の勝ち馬が菊花賞に揃って出走したことも難しい要因になっていると思います。近2年の3歳優勝馬天皇賞(秋)を勝って参戦していたので、古馬との力差を推し量れましたけどけど、今年はそれが出来ないから余計に悩ましいです。

 

そこで、世代間の力差問題は棚上げしておいて、有馬記念の適性を確認しておきたいと思います。菊花賞までの話を総合すると可能性は半々って感じだと思います。

 

まず、この馬の本質を考えると三冠の中でなんで皐月賞だったの?という感じです。距離もコースも合っていませんでした。

 

距離に関しては、かねてよりズブいとされているので2000mだと忙しいようです。実際、京成杯皐月賞も2000mを克服して勝ったという感じではなかったですからね。だからかといって菊花賞の3000m向きの馬とも思わないと厩舎は話していて、ダービーぐらいの距離が一番合っているニュアンスでした。なので、有馬記念の方が面白いかも、みたいな話は前走時からちらっとされていました。距離条件は加点評価で良いと思います。

 

コースに関しては、中山の4コーナーで良く膨れていたように、小回り内回りに適性がありません。陣営も府中の方がこの馬のパフォーマンスが上がると考えていました。なので、中山内回りをどう攻略するかが鍵となるでしょう。秋のセントライト記念は上手く回れていましたが、2200mは外回りコースなので今回とはコーナーの角度が違います。まだ中山を攻略出来たと考えない方がいいですね。コース条件に加点材料はなさそうです。中山コースもこれで4走目になるのでそろそろ慣れて欲しいところではありますが。

 

以上の事から、距離はプラスで、コース微妙と言うのが今回の評価となり、中山2500mがベスト条件とならいかもしれません。

 

最後に状態面を確認しておきます。今回で秋3戦目になるので大きな上積みはないかもですね。菊花賞は勝つつもりでしたから、前哨戦を使って計画的に仕上げています。一昔前なら秋3走目なんて馬は当たり前でしたが、今は狙ったレースに全力投球するのが主流です。このご時世だとこの馬は1戦多い印象になりそうです。エフフォーリアも、イクイノックスも秋2戦目でしたから、これらと比べると厳しい扱いが必要になりそうです。

 

前走以上の状態になれるとしたら、菊花賞後に馬がさらに成長した場合でしょう。未完成なままここまで来ているので、馬そのものに変化があれば、上積みを持って有馬記念に挑む事が出来ます。秋を迎えて成長はかなり進みましたが、まだ完成したという言葉は聞かれていません。伸び盛りの3歳馬にはそう言う変化もあるので、最後まで状態チェックは怠れないとところです。

 

タスティエーラ

 

3000mをここまでこなすのかぁというのが菊花賞後の印象でした。馬群に包まれてしまった不利以外は完璧に走れていたと思います。敗因は回顧で触れた通りですが、最後に瞬発力が求められるのはこの馬にはつらいところでした。長く脚を持続させることに長けているので、直線入り口からのよーいんドンは本来この馬向きではありません。ダービーではそれでも勝てましたけど、そうそう何度も勝てるような展開ではないのでちょっと厳しかったですね。菊花賞馬と比べて互角以上の評価もまだ可能だと思います。その優劣は来年以降で白黒つけて欲しいですね。

 

ダノンベルーガの話をする際は泣きごとしか言わない堀調教師も、この馬に関してはいつも順調だと穏やかに話します。よほど手のかからない馬なのでしょう。そんな堀調教師に一つだけあった気がかりが、春の臨戦過程だったそうです。共同通信杯で賞金加算出来なかった事でディープインパクト記念を走らざるを得ず、それで使い詰めの状態に馬がなっていたのだとか。ダービー勝利後も疲れが出たそうで、さらに左前脚が落鉄していたことがレース後に分かり、これはしっかりとケアせねばとなりました。よって、万全に整うまで使いたくないとの理由から8月には菊花賞直行を決定しています。

 

菊花賞で最善を尽くすための策として採られたもので、有馬記念を見据えたものではありませんが、今となってそれが吉と出るでしょう。ここはまだ秋2走目。余裕を持って暮れのグランプリにやってこれると思います。この馬の事なので特に不安材料もなく出走出来るのではないかと思います。

 

もともと成長が遅れていた馬でしたが、ダービー後の休養でしっかりとした成長の跡があったそうです。動きがダイナミックになっているとか、精神的にゆとりが出たなど、心身両面で良くなっています。その効果があり、抜け出してソラを使う事が一切なくなったとの事。皐月賞はそれで差されて、ダービーも僅差まで詰められていましたが、そう言う心配がなくなったそうです。菊花賞も後ろの馬に交わされていませんし、3歳同士で今走ったらもう差されないのではないでしょうか?

 

この馬は皐月賞馬ソールオとは真逆の適性を持っていて、自在性があるのでコースは中山の方が良く、瞬発力ではなく持続力のある末脚を得意としています。よって、内回り条件でもしっかりと力を出すことが出来ます。今回に関してはライバルのソールオより良い条件を走ることになるでしょう。ここはやれて良い条件です。あとは、この馬も上の世代との力関係だけですね。2k差でどうにかなる程度であればいいのですが。

 

今回の鞍上はムーア騎手になります。新馬勝ち時に騎乗しているのでテン乗りにはなりませんね。堀調教師は外国人騎手を良く使う厩舎として有名ですが、誰でも彼でもと言うことは無く、レーン騎手、モレイラ騎手、ムーア騎手への信頼はいつも厚いです。完璧なパートナーシップが確立しています。レースの度にシュミレーションを頻繁に行うそうで意思疎通はばっちりです。今回もタスティにベストな競馬を調教師と騎手で模索してくれるはずです。

 

再来日になるムーア騎手ですがこの秋はがあまり良い事は無かったですが、これは京都コースを中心に乗っていたからでしょう。スノーフェアリーで2連覇したコースの割に、京都外回りの成績が良くありません。今期は物足りない活躍でしたが、京都以外のコースなら何とかしてくれるのではないでしょうか?でも、来日時に中山開催が無い事が多いので、このコースで乗っているイメージはあまりないですね。中山、どうでしょうか?

 

7位:ドウデュース

 

この馬のファン投票7位は驚いています。こんに人気がないとは思いませんでした。少なくても3歳クラシックホースの2頭よりは上だと思っていたのですが。ファンもシビアですね。陣営はこれを発奮材料として欲しいと思います。

 

JCは4着と天皇賞(秋)から巻き返す事が出来ました。最速上がりはイクイノックスの33.5秒で、それに次ぐ33.7秒の2位上がり。末脚の威力は戻ってきましたね。ただ、イクイノックスはダービーの走破時計を0.1秒上回って走りましたけど、ドウデュ0.8秒遅かったですから何となくぱっとしない感じもします。最後は3着馬と同じ脚色になっていましたのでダービーの様な目の覚めるような末脚とはいかなかったようです。

 

この伸び方を見ると距離なのかなぁ?と思いますし、道中でやっぱり行きたがっていてリラックスして走れていない風にも見えるので折り合いなのかなぁ?とも思います。戸崎騎手のレース後談話を確認しても、前走よりは良かったとしか言っていないので良く分かりません。JCのあの走りがMAXなのか?まだ上があるのか?そこが分からないと正しい評価を導くのは難しいですね。

 

JC時にも話しましたが、道中で力むと極上の切れ味は発揮されません。武豊騎手曰く「ふわっと」した感じで乗る事が大事な馬なようなので、この感覚はやはり武豊騎手でないと分からないのかもしれません。ダービーも、京都記念も最後方付近でリラックスして走らせていましたが、JCでは6番手のイン。ペースがペースだったのでそう悪い訳でもないですが、この馬にとってそれが良かったとは思えませんでした。

 

今度は武豊騎手が騎乗出来るようなので、この辺は心配がいらないと思います。少なくても物足りなかった秋2戦以上の末脚は使ってくれるのではないかと期待しています。

 

また、距離に関しては前回も話したように、ベストの2000mからマイルよりにシフトしているそうです。誤魔化しの効かない府中2400mはやっぱり厳しかったんだろうなとも思います。これなら距離は長くなっても、マイラーでも好走可能な有馬記念の方がこの馬にとってはいいかもしれないですね。府中ベストの馬ですけど、同じような阪神内回りだった京都記念を一マクリで決め手いますからレイアウト的に走れない事もないと思います。今のドウデュにはJCの設定よりも、有馬記念の設定の方が向くような気がします。

 

ドウデュも秋3戦目になりますが、この陣営は最初から秋は3戦使うと決めていましたからここは予定通りの臨戦です。走れない状態ってことはないと思います。ただ、前走の感じからすると、やはりベスト条件だった天皇賞(秋)でだいぶ仕上げてたみたいですね。結果的に不完全燃焼なレースになったので、それでガスが抜けて、JCでは天皇賞(秋)以上の仕上げになったのですが、厩舎にしてみるとあれより上があったのかぁと逆に驚いてたぐらいでした。天皇賞(秋)の仕上げが如何に高かったかが知れます。となると、有馬記念まで余力を残していたかは疑わしくなってきます。

 

お祭りレースでもあるので、今回も気前の良い事は言ってくると思いますけど、絶好調で出走してくるというのはちょっと考えづらいですね。全ての馬がこの馬の様に使い詰めている訳ではなく、ここが2走目と言う馬も何頭かいるので状態だけなら他に良い馬はいると思います。あまり数を使ってこなかった馬ですから、3走目と言う臨戦もこれが初めて。ローテ面は否定的な捉え方の方がいい気がしています。

 

9位:ディープボンド

 

前走のJCは相手も厳しかったですけど、その条件はもっと厳しかった印象ですね。時計勝負に弱いし、長いキャリアの中で一度も33秒台の脚を使えたことがないしで府中の高速馬場への適性が微塵もありません。

 

元来が消耗戦や体力勝負で良いので、府中の重賞で良いイメージは陣営も持てなかったようです。雨でも降らなければどうにもならないだろうと感じていたようです。タフな流れなら辛抱できますが、速いだけの流れでは脚も堪らなかったようで良いところがありませんでした。JCは参考外にしておきたいですね。

 

ただ、状態は凄く良かったそうです。秋初戦の京都大賞典をギリギリ間に合ったという急仕上げで使っていましたので、2走目の上積みがとても大きかったとのこと。相手・条件は厳しくともデキについては陣営も自信を持っていました。ここまで印の回らない馬じゃないぞと密かに激走を期待していた感すらあったぐらいです。まぁ、その状態で有馬記念を使って欲しかったとは思いますが。

 

今回は叩き3走目になりますが、初戦の仕上げが弱かったですから、まだよくなる余地を残しているかもしれません。条件的には一昨年2着があるレースですし、時計のかかる冬枯れの中山はこの馬には適しています。巻き返すことは可能で、前走の様な負け方にはならないと思います。

 

ただ、もう曲線の下り坂にいる可能性があります。6歳になり加齢によるパフォーマンスの低下が顕著です。緩やかにピークアウトしている最中だと思います。

 

今年の秋は凱旋門賞へ行かなかったので日本で走り、馴染みのないレースに出ていますが、4・5歳時は全く同じローテを走っているのが特徴的で、だから比較しやすいのですが、この1年の成績のほとんどで前年を下回る成績を残しています。適条件の天皇賞(春)こそ連続2着と成績を維持させましたが、これとて阪神→京都のコース替わりがプラスに作用したからで、その後に走った宝塚記念では兆候通りに前年を下回る成績を残しました。

 

勝ち馬こそいなくなりましたが、メンバー的には昨年以上なメンバーの様に感じられ、この組み合わせで昨年を上回る成績を残せるのでしょうか?また、この中間でブリンカーを試し始めているのも印象が悪いですね。行きっぷりが悪くなっているからこういう馬具に頼るのでしょう。やはり年相応の変化が色濃く出ているのではないかと思えてなりません。

 

それと、鞍上変更も気になる材料になるのではないでしょうか?今回は和田騎手からマーカンド騎手に乗り替わります。この馬はだいたい和田騎手が手綱を取って来ましたが、途中横山典騎手(10着)、クリスチャン騎手(1着)、バルザエフ騎手(14着)、川田騎手(18・8着)と過去に5度他の騎手が騎乗しています。馬券になれたのはフォワ賞の1度だけ。結構乗り手を選ぶ馬だったりします。

 

和田騎手以外で馬券圏に突入出来たことがほとんどなく、と言うか、和田騎手の手が離れた途端に成績が落ちるみたいな印象まであります。一流ジョッキーが乗っているので役不足だったとは思いませんけど、和田騎手との相性というか、癖を把握しているというかで、とにかく和田騎手じゃないと動かないという印象です。マーカンド騎手に物足りなさはないですけど、和田騎手じゃない事が不安要素になるかもしれません。

 

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