競走馬カルテ

2・3歳重賞の出走馬を分析・記録していくブログです。

天皇賞(秋)(GⅠ) 出走馬カルテ 2023

 

こんにちは。

 

イクイノックスを擁するノーザンF系クラブはさすがに他の有力馬の出走を見合わせていますが、現在のトップクラスはノーザンF系のクラブに集中する事無く、広く分散されています。よって変な忖度は働きませんでした。

 

ライバル関係の社台FはノーザンFに気を遣う必要がありませんからスターズオンアース、プログノーシスと言った軍団最強レベルを堂々と投入して来ました。

 

また、ドウデュース、ジャックドール、ジャスティンパレス、ダノンベルーガといった有力どころは全て個人馬主。出たいレースを躊躇する事はありません。

 

おかげで当代随一のメンバーが天皇賞(秋)に集結する事となりました。豪華メンバーになるとよく史上最強と言う言葉が使われますけど、今回の天皇賞(秋)はまさにそう言うレースでしょう。間違いなく近年最強レベルだと私も思います。迫力あるレースが楽しみです。

 

あと、イクイノックスのルメール騎手とドウデュースの武豊騎手の盾男対決も興味深いですね。武豊騎手は言わずと知れた平成の盾男。方や、フィエールマンとかアーモンドアイとかで近年の天皇賞ルメール騎手が独り占めしている感じで、現在も秋春2連勝中です。

 

数え間違いがなければその数は武豊騎手が14勝で、ルメール騎手が7勝とぴったりのダブルスコア。ただ、在籍期間を考えればほぼ互角と見ても良いと思います。そんな二人が1・2番人気濃厚な馬で激突しますからたまらないですね。新旧の盾男対決も楽しみの1つと言えそうです。

 

天皇賞(秋)は29日(日)に行われます。前日の28日(土)には更新を完了します。五十音順で更新していきます。文字数10000文字を目途に2枚目を作成しますが、今回は頭数が少ないので1枚で足りるかもしれません。

 

アドマイヤハダル

 

3歳時には皐月賞4着と走り、厩舎の期待も高い馬でしたが今はこの頃の状態に戻り切れていないようです。1年1ケ月と長い休養を経験しているのですが思うように使えない状態が長く続いているようです。前走の毎日王冠も本来は使う予定になく、オーナーの希望で予定を切り替えたもので、翌週に行われた府中のリステッドを目標にしていたそうです。OP特別やGⅢ辺りをコツコツと使っていく方が良いのだろうと厩舎では考えているみたいです。

 

ただ、復帰後の近4走はコンスタントに好走していて馬にはやっぱり力があります。上がりの競馬で速い脚も使えますし、道悪や消耗戦でも渋太い脚でジワジワ伸っびています。一連のレースを見る限り、3歳時の良い頃と比べて特別弱いという印象はあまり受けません。古馬のOPを走っていれば相手も弱くありませんから十分良い成績だと思います。多分、厩舎の期待が高過ぎるだけですね。一線級のいないGⅡ戦やGⅢ程度なら常に印のいる馬だと思いますが。

 

とは言え、いつも何かに差されてしまう決め手の無さはもどかしいところ。3戦続けて2着でしたがとにかく最後が甘くなる。毎日王冠も決まった!と思った瞬間に差されています。特に前走はGⅠ馬2頭が追い出しが遅れたところを先んじて抜け出しただけにそれでも差されたこの結果は力差を余計に痛感させます。今回はその時以上のGⅠ級が何頭も出走しているのですからこれは楽ではないですね。天皇賞(秋)のこのメンバー相手に強烈な決め手を発揮するのは不可能でしょう。

 

また、GⅡ好走の前走の走りから関係者のトーンは上がっていると思いますが、既に触れたようにGⅠ獲りを目指して使ってきた訳でもないので準備不足な面も否めません。

 

イクイノックス

 

宝塚記念に出走する際、この馬は栗東に早めに入厩して調整していましたね。その際にこの馬を間近で見た栗東人たちはイクイノックスの素晴らしさに感嘆したそうです。特にドウデュース陣営はこの馬の成長に唸っていたのだとか。まさに関西に敵なしと言ったムードですね。

 

さて、能力的な話はもういいですね。別な視点から話して行きたいと思います。

 

ノーザンFの素質馬には珍しく、天皇賞(秋)・JCを連戦するローテが発表されています。それだけ馬の状態が良いのでしょう。また、昨年の有馬記念時の話ですが、昨年優勝した天皇賞(秋)はレース後のダーメージがほとんど無かったのだそうです。ローテが決まっていたので無理をしませんでしたが、使おうと思えばJCも使えたと当時の関係者は話していました。それはつまり出れば勝てていただろうという事です。昨年の状態を踏まえてGⅠ連戦のローテが採択されたのでしょう。イクイノックスはGⅠを連戦しても力を維持出来る力強い馬なのですね。

 

だから、春競馬もGⅠを2戦も出来たのだと思います。ただ、前走の宝塚記念有馬記念のデキに少し及ばなかったという話でした。完調ではなかったということですね。ドバイをメイチで使ったダーメージはさすがにあったのでしょう。そりゃぁそうですよね。世界レートNO1を不動にするようなスーパーな走りでしたから。レースのアヤによる部分もありましたが、宝塚記念が辛勝になってしまったのにはそういう理由があったのかもしれません。

 

そうなると、しっかりと休養を取り、リフレッシュされた天皇賞(秋)なら宝塚記念以上の状態で出走する事になると思います。小さく見積もっても宝塚記念で負かしたジャスティンパレスに逆転されることはないですね。

 

ただ、秋のローテを考えると昨年勝った天皇賞(秋)よりも、JCのタイトルの方が優先度が高くなるのは想像に難くありません。また、賞金額も段違いです。JCは昨年4億円に上がったばかりなのに今年はさらに5億円になりました。天皇賞(秋)の2億円が小銭に感じます。また、ドバイシーマクラシックを勝っているこの馬はJCを勝つと追加で200万ドル付与される特典の権利を有しています。だいたい3億円ですね。つまり、JCを勝つと8億円と言う事です。

 

この状況でどちらを本線に据えるかは考えるまでもありません。この秋の目標はJCであることは明らか。この馬の場合は天皇賞(秋)すら叩き台なのでしょう。そこに隙が生じでも良いのかもしれないですね。

 

とは言え、それはイクイノックスの問題ではあって、それで他馬が有利になるというものではありません。事実、完調手前の宝塚記念を優勝しているのですから。余力残しの叩き台だとしても今のイクイノックスを撃破するのは至難の業でしょう。この馬に先着出来る可能性のあるのは極々限られる馬で、その可能性も決して高い訳ではないと思います。


エヒト

 

夏に小倉記念を勝っていますね。個人的には今年絶好調の川田騎手のベストバウトがこの小倉記念だったと思います。全体的にズブくなっていたのでテンのダッシュが遅くなっていましたが、スタートからゴシゴシと押して行って強引に好位まで押し上げます。直線で力強く抜け出した勝利は感動的でした。GⅢならまだまだいける力があります。

 

ただ、やっぱりそれ以上になると相手も強くなるので力は通用していません。前走のオールカマーでは小倉記念で負かしたマリアエレーナと併走して進めていましたが、マリアが4着するなか、エヒトは伸びを欠いた11着はちょっと情けないですね。オールカマーで騎乗した菅原騎手の立ち回りも良くなかったですが、ただ、この馬自身は自分の力はしっかりと出し切っていたと思われます。本馬は中山2200mの重賞を3走していますが、

 

22年AJC杯9着:2:13.4
23年AJC杯2着:2:13.6
23年オールカマー11着:2:13.0

 

と、このように走破時計はほぼ同じ。つまり、力は常に出し切っているのです。それで2着もあれば、大敗もある。その理由は単純に相手関係によるものでしょう。GⅡを地力で好走する事が出来ないのですからGⅠでどうこうなるとは思えませんね。さすがに敷居が高い。


ガイアフォース

 

同期のダービー馬にクビ差の2着だったり、同期の菊花賞馬をアタマ差で負かしたりと4歳世代相手に強いところをみせていて、安田記念でもトップマイラー相手に勝ち負けに加わる4着と地力の高さは随所で見受けられますが、前走の様にポカも目立つので安定感はなくなっちゃいましたね。

 

春はマイル路線を歩み、そこそこの結果を残してしまいました。が、これは厩舎の想定外でした。安田記念の時にも話しましたけど、本質的には1800m~2000mに適性があると言われています。そんな馬がマイラーズCを走ったのは京都の外回りコースを1度走らせてみたいと厩舎がコース適性を感じていたからです。あいにく京都外回りに古馬が走れる中距離重賞はないので、じゃぁ使ってみようか?的なお試し感覚で使ってみたのがマイラーズC。これで結果を出せてしまったので安田記念の好走へ続くこととなりました。

 

秋は本来の適性を重視して天皇賞(秋)を目標とされました。その叩き台としてオールカマーが選ばれたわけですけど、適性重視なら毎日王冠を使うべきでしたね。ただ、杉山厩舎はタレント揃い。マイル路線には3歳馬エルトンバローズをあてにしているので毎日王冠はエルトンに、ガイアがオールカマーとそれぞれ1Fづつ長い前哨戦を使われることになったのです。ただ、オールカマーの負け方を見るとやっぱり距離は長かったみたいです。

 

4歳になってからのこの馬の特徴を確認しておきますと、「ワンターンのコースが良い」「1800~2000mがベストの中距離馬」「スピードの持続性能が高く時計勝負に強い」と言う感じ。天皇賞(秋)はこの馬の好走条件にドンぴしゃり。ダービー馬、菊花賞馬と接戦の過去もあり、安田記念の結果からもGⅠ級と互角に走れる力もあります。意外とやれるのかもしれません。ここまで相手が揃わなければ重い印で扱っても良さそうな馬だと思います。使った上積みもありますし、前走以上に走れる状態も整っています。この馬自身は力を出し切る事が出来るでしょう。

 

あとは力関係次第ですね。でも、今回の天皇賞(秋)はそれが一番問題だったりするので。上から順番に扱っていくとこの馬に手が回せるかは難しいのかもしれません。


ジャスティンパレス

 

(春)の勝ち馬が(秋)に参戦するのは20年のフィエールマン以来です。この時のフィエールマンは凄かったですね。あのアーモンドアイがゴール前まで鞭を入れていましたから。かなり追いつめていましたね。ルメール騎手はアーモンドとイクイノックスを比較する事は良くありますけど、フィエールマンとアーモンドはどちらが強かったのかをちょっと聞いてみたくなりますね。パレスもフィエールマンの様に走れますでしょうか?

 

さて、上記ガイアに引き続きこの馬も杉山厩舎の管理馬です。有力馬が多数いる杉山厩舎の中でも上述したガイア、エルトンは期待が大きい馬なのですが、当然このパレスもその1頭です。ただ、前記2頭が前哨戦を使ってGⅠに臨戦していますから宝塚記念以来のぶっつけでここに挑むこの馬のローテに少々違和感を感じます。この馬自身も春に阪神大賞典を使ってGⅠに挑んでいたように、厩舎的にはステップレースを使ってGⅠと言うのがパターンです。

 

厩舎内ではステイヤー部門を担う馬なので本線としては距離延長のJCか有馬記念が本命と言う線は捨てきれません。ノーザンF産なので外厩でいきなり仕上げる事も可能ですが、天皇賞(秋)を叩き台にする考えはあるかもしれません。厩舎の戦略・思惑はしっかりと把握しておきたいですね。

 

それとは別にこの馬の天皇賞(秋)の可能性を考えておきたいと思います。昨年こそパンサラッサの猛烈な逃げで消耗戦になりましたが、基本的に天皇賞(秋)は前半ほどほどのペースで流れてから後半に後傾するレース。ラスト5Fを57秒台で走る持続力が必要になります。パレスの今年初戦だった阪神大賞典が後半1000m57.9秒になっているのでギリギリですが57秒台走破の経験があります。

 

また、5勝した全てが上がりの競馬を瞬発力で制しているので後傾するレースで強味があります。後半に脚を伸ばしてくる事は出来そうです。ので、前半部分でどの位置で追走出来るか?ということになります。長距離のスロー戦に慣れているので序盤・前半でレースの流れに乗れるかが鍵となるでしょう。

 

菊花賞で好走するまでは厩舎の評価は中距離馬でした。この距離でやっていける素養を厩舎内で感じていたのだと思われます。全くダメとまでは言えないのだと思います。

 

ただ、だからこそここをステップレースに出来るのかもしれません。GⅠ馬になっているのでステップレースを定量で走れるメリットは大きいでしょう。また、本線を2400mとするならば中距離の流れでピリっとさせてJCへと言う筋書きも可能です。天皇賞(秋)をステップR視しそうな理由はいくらでも思い付きますね。やっぱりここが勝負走とはならないように思います。

 

ジャックドール

 

昨年の4着馬です。パンサラッサが大逃げしたことで難しいレースとなりました。1000m通過はあのサイレンススズカを崩壊させた57.4秒と全くの同タイムでした。これについて行くのは厳しかったと思います。パンサがいないことの有利さを証明したのが大阪杯の優勝と言えるでしょう。天敵不在のレースでマイぺ逃げが出来て待望のGⅠ制覇となりました。

 

この大阪杯の逃げは1000m58.9秒。しかし、ジャックはこのペースでもラスト1Fに1.1秒も失速し止まりかけていて、なんとかハナ差凌いだという内容です。この馬にはこの辺りが限界なのでしょう。

 

だとすると、藤岡祐騎手の昨年の乗り方は悪くなかったですね。パンサについて行って自滅して、参加賞みたいな出走手当だけを貰うより、4着賞金の方が馬主の為になったのではないかと思います。だから再び藤岡祐騎手が騎乗する事になったのかな?なんて思ったりもします。今年は組み合わせ的に単騎が濃厚。レースは昨年よりもしやすくなりますね。昨年のリベンジと行きたいところです。

 

ただ、当時から言っている事ですが大阪杯と言うGⅠは本当に強い馬が勝つレースではありません。阪神内回りは紛れやすい条件ですからそれで勝ち切れなかったり、力を出し切れなかった有力馬が過去に何頭もいました。特に末脚勝負型の馬には厳しく、今年2着だったスターズオンアースはまさにそれにあたると思います。大阪杯の勲章がGⅠ級の能力を保証する事はないのかもしれません。

 

この2頭の次走がそれをわかりやすく説明してくれています。スターズはヴィクトリアMで0.1秒差の3着、ジャックは安田記念で0.3秒差の5着。ご存じの通りこの2レースの勝ち馬はソングライン。ソングとのタイム差はジャックの優位性を否定する根拠になるのです。力勝負の舞台では真のGⅠ級との力差がより明確になっているように思います。今年は4着だった昨年以上のメンバーですから能力的に積極的な評価は難しくなりますね。

 

前走の札幌記念の負け方はショックでしたが、敗因は力のいる馬場状況。札幌の稍重がこの馬に適していなかったと話しています。武豊騎手の乗り方も問題があったとは思いますけど、6着という結果を深刻に受け止める必要はないと思います。距離不足だった安田記念でも5着と走れているのはこの馬の充実度の現れでもありますから、馬の状態はずっと良いように思います。

 

それに、大目標は天皇賞(秋)とされていたので札幌記念は所詮叩き台。使った事で上積みがあるか?ダメージは無かったか?をチェックしておけば良いと思います。また、札幌記念時の仕上がりはとても良いものでした。4月に優勝した大阪杯の時よりも仕上がりが良いと厩舎では盛り上がっていた程です。そこから上積みがあると仮定すれば、今年一番の状態で出走してくることになるでしょう。そう言う状態で出走出来る事を願うばかりです。

 

府中の2000mは元々この馬が拘っていた条件なので陣営にしてみれば天皇賞(秋)こそ欲しいタイトルでしょう。ただ、今回のメンバーはかなり強力で策を弄してどうにかなる相手ではありません。差しに回ってもこの相手で良い事は望めませんから、自分の競馬を貫いて全力を出し切るしかありません。逃げていれば何かが起こることもありますから。

 

スターズオンアース【回避】


ダノンベルーガ

 

デビューの頃からトモの関係で右回りだと上手く走れないと言われていましたが、それから随分経っていたし、なんだかんだと皐月賞も好走したから大丈夫だろうと思っていたのですが、右回りの札幌記念は伸びがイマイチでしたね。ただ、負けた理由はもっと別なところにあるようです。

 

まず直接的な敗因は道悪であるようです。ドバイでも騎乗していたモレイラ騎手はその時と比較して良馬場の方が良いと話していました。また、スタートして挟まれて、進路が取れずに、馬場の悪いインで運ぶ事になったのも良くなかったとモレイラ騎手は回顧しています。

 

また、仕上げ的にも満足いくデキにはなかったようです。ドバイ帰国後に完全に緩めていたので息持ちが悪く、万全な状態には仕上げられていないと厩舎も話していました。堀調教師は外国人騎手にあわせてレースを選択する事が多いので、モレイラ騎手の免許が発効されるこの札幌記念に合わせて調整していたようです。が、ちょっと急仕上げだったみたいですね。

 

このように札幌記念は調整面、条件面において勝ち負けを期待出来る状況ではありませんでした。状態面から見ても明らかな叩き台。物足りなかった結果は見ない事にして、使ったことでどれほど上昇出来ているかをチェックすべきでしょう。前走がこの馬の本当の姿でない事は確かです。

 

懸念材料とされていた右トモの状態は改善されていることはなく、今もそこをケアしながらの調整がされています。ここまでくると本当に良くなるんだろうか?と言う気さえして来ます。左回りなので今回問題視をする必要はないのですが、3歳の頃から目に見えた上昇度が無いのは気になるところです。有力馬がひしめく今回のメンバーで強調出来る材料はなく、前走の負け方からイメージは良くありません。積極的な評価材料が欠けているのは事実でしょう。

 

ただ、前走時の厩舎の話からすると能力が低下した、弱くなったという感じは一切なく、変わらずに大きいところを狙える力がある事を堀厩舎は信じているようです。昨年の3着馬であり、JC5着、ドバイタターフ2着、負けたと言っても前走も4着。この1年は上級グレードばかりを走って掲示板を下回りませんでした。

 

特にドバイの2着は価値的にも十分でしょう。勝ち馬は3連覇となったような世界の強豪でしたし、同レースには同年齢のGⅠ馬セリフォスがいてこれも退けています。GⅠでも高いレベルで走っています。ドバイの地でこれだけの走りをすればダメージが残るのも当たり前で、それはイクイノックスにもあった事です。帰国後に完全リフレッシュを図ったのも理解出来る話です。前走からの上積み次第で評価を上げられる1頭だと思います。

 

また、この馬はダービーも、JCも府中の2400mで伸び負けて圏外になっている馬です。2000mの方がパフォーマンスが良いと思います。ドバイも1800mのターフに出走していましたし。距離は長すぎない方が良く、左回りの府中2000mは現状考えられるベストの条件だと言えるでしょう。鞍上のモレイラ騎手も連続騎乗の3走目。より力を引き出してくれると思います。

 

以上の事から、勝ち切るまでの強力なプッシュ材料には欠けますが、入着の可能性を全否定出来る根拠もないですね。走られて不思議ない1頭ですから取捨は慎重にした方が良いと思います。

 

なお、これは因みにですが。堀調教師は昨年の天皇賞(秋)3着、JC5着で鞍上だった川田騎手の乗り方に不満を持っていたようです。この鞍上じゃなければもっと良い結果だったろうと考えていたのだとか。このコンビは確かにピンと来ませんでしたね。堀調教師は国内GⅠを15勝していますがこのうち12勝が外国人騎手によるもの。情に左右される日本人騎手よりも、合理的でビジネスライクに付き合える外国人騎手の方が付き合い易いのかもしれません。


ドウデュース

 

状態次第だとは思うのですが、この馬はこの秋3戦を考えているみたいですね。でも、そうですよね。ダービー後はGⅡ1勝しただけで稼げてませんから。使わないともったいないし、私達もつまらない。まずは復帰1戦目の天皇賞(秋)の走りに注目してみたいと思います。

 

先週、youtubeのおすすめに武豊騎手がドウデュースの皐月賞京都記念を回顧していた動画が上がっていたので視聴しました。この動画にはこの馬が天皇賞(秋)向きな馬であるヒントが非常に多くちりばめられていました。かいつまんで紹介したいと思います。

 

まず、距離適性ですが当初は2000mでもギリギリだと感じていたそうです。そう言われてみれば確かにそうなのかもしれません。この馬は2歳GⅠ馬でもある訳ですが、そのタイトルは2000mのホープフルSではなく、マイルの朝日杯FSでした。当時はそう言うイメージを関係者が持っていたのかもしれません。また、回避していましたがドバイのレース選択も2400mのシーマクラシックではなく、1800mのターフの方でした。ダービーのレースレコードを持っているダービー馬には失礼でしょうが、本質的な適性は2400mではなく、2000mの方にあるのかもしれません。

 

次に前走の京都記念についてですが、2200mで道中はかなり行きたがっていたのだそうです。武豊騎手は普通の馬ならダメなレベルと話しています。折り合いを欠いたのは久々が影響したのかもしれません。が、今回も久々になるので無視の出来ない不安材料です。ただ、京都記念より1F短くなりますので折り合いの心配が軽減されるのは良い事ですね。2000mならレースも運びやすくなるでしょう。

 

そして、府中適性についても話していました。ドウデュは右手前が好きな馬なのだそうです。好きなだけでその逆がダメと言う事ではありませんが、右手前で走らせた方がストレスなく、伸び伸びと走れるだろうという意味合いの話です。なので右回りより、左回りの方がいいのではないか?だから府中は良いですよと武豊騎手は話していました。

 

まぁ、こんな感じだったのですが、これらをまとめるとドウデュにとって天皇賞(秋)がいかにベストなレースであるのかを語っているようにさえ感じます。ただ、あくまでこれらの話は皐月賞後の回顧でされたものであり、京都記念の回顧でされた話です。それらを切り抜いたもので、天皇賞(秋)の展望を話した動画ではありません。なので、よりドウデュの本質的なことが話されているのだと思うのです。しかも語っているのは武豊騎手本人。これ以上の説得力なんてないでしょう。

 

天皇賞(秋)こそがベスト、そんな真実味を感じます。GⅠ2勝も含めた過去走以上の走りを今回見せてくれるのではないでしょうか?その可能性は小さくないように思います。今まで一番強い走りを見せてくれるかもしれません。

 

だとしたら、ドウデュ陣営がここで勝負を仕掛けて来る可能性もありそうですね。我々レベルの人間ですらイクイノックスがJC本線であるという事が容易に想像出来るのですから、ドウデュ陣営がこれに気づかない訳がありません。そして、馬の本質が2400mではなく、2000mにあるのだとしたら?JCで勝負を挑むより、天皇賞(秋)で勝負する方が選択としては賢いと思います。

 

完全無欠になってしまったライバルに一泡吹かせるなら相手が本調子に至る前に仕掛けた方が良く、それがベストの条件なら尚更です。打倒を図るなら次ではなく、今回の様な気がします。

 

とは言え、秋3戦のつもりでいるので、ここであまり強気な仕上げも出来ないんですけどね。でも、そう言う事もあるかもしれないですし。ドウデュ陣営の勝負気配を敏感に感じ取れるようにアンテナを張り巡らすようにしておきましょう。


ノースブリッジ

 

昨年のパンサラッサに鈴を付けに行ったのはジャックドールではなく、この馬なんですよね。最初のコーナーでパンサの前に出ようとしていました。これでパンサがガツーンと行ってしまった感じで、パンサの大逃げを誘発した馬と言っても良いでしょう。ひょっとすると今年ハナを切るのはジャックではなく、この馬なんてこともあるのかもしれません。

 

さて、放牧に出されることなくずっと厩舎において調整されているのは有名な話ですが、その後もその方針は継続しており、在厩調整はもう丸3年になります。脚をケガした事がある馬なので、すぐに診療に入れるトレセン内にいる方が安心出来るというのがその理由だそうです。とは言え、その方針が近2走の敗因になっているといえるでしょう。

 

大阪杯の時にも話したことですが、そんな内弁慶な馬が阪神に遠征し、枕が変わって大丈夫なのだろうか?と厩舎以外の施設で1泊する事に不安を覚えたのですが、案の定馬はナーバスになってしまい、レース前に終了と言うパターンだったみたいです。

 

オールカマーの時は美浦の坂路が改修中で使用出来なかったので仕上げ切れませんでした。美浦から出ない事を重視しているので坂路のある外厩施設や栗東滞在とかが出来ません。例えば、レモンポップなんか出るつもりもないのにシリウスSに登録する事で栗東滞在のもっともらしい理由を作り、坂路を使ったいつも通りの調整ができました(南部杯超強かった)。こう言う選択がこの陣営には出来ないのでオールカマーの7着もも仕方ないですね。休み明けの叩き台と捉えていることでしょう。

 

このように近2走は明確な敗因があります。ただ、今回調子が上がり、完調で使えたとしてどこまでやれるか?はさすがに微妙な感じがします。府中の中距離は走り慣れていてベストな条件ではあるんですけど、脚質的に目標になりやすい先行馬ですし、超GⅠ級の決め手に耐えられるだけの持続性があるかというと、そこまで強烈な持続力はないと思います。意外と持ち時計が無いのがその根拠で58kを背負って後半を57秒台で持続させるのは難しいのではないかと思います。展開の助けは必用でしょう。

 

この陣営はいつも威勢がいいのでおっかない所はあるんですけど、「GⅠに手が届くところまで来ている」と勇んで出走した昨年が11着なので。そのコメントに信憑性はありません。今回も強気な事を言ってくると思うのですが、惑わされないようにしたいですね。

 

さすがに、メンバーが揃ったGⅠで、強調出来る材料はないですね。有力馬のコケ待ち評価が精いっぱいではないでしょうか?


ヒシイグアス

 

頻繁に大型休養する馬でここまで順調に使えていませんが、7歳になってからは状態面の問題をあまり聞かなくなりました。月イチ出走するようなことはさすがにありませんが、今年出走した3走はその度毎に良い状態でゲートイン出来ています。

 

しかし、その割に近2走の走りはあまりよろしくないですね。最低レベルを更新する走りで頂けません。これまでの良馬場のレースでは掲示板を下回ったことはなかったのですが大阪杯で7着とついに掲示板以下の結果に。札幌記念では5着と結果は悪くなさそうですがつけられたタイム差1.3秒は生涯最大のタイム差です。これまで記録した事が無い内容を記録し始めたのは気になるところです。

 

また、馬体重の変動が非常に大きくなっていて、これもどうなんでしょうか?中山記念で+14k、大阪杯で-18k、札幌記念で+16kと大幅な増減を繰り返しています。6歳だった昨年までは480k~490台で推移する馬でこれまで500kを超える事はありませんでしたが、中山記念札幌記念ではその大台に至っています。7歳になり急成長と言うのも常識的には考えづらく、馬体の維持が難しくなっている印象です。

 

このように仕上がり的には順調に使えていて、厩舎の評価も悪くないのですが、それに反比例するような結果が続いています。近2走の結果にはそれなりの敗因もあるのですが、力を発揮出来なくなりつつあるようにも感じます。

 

また7歳と高齢なのも天皇賞(秋)では歓迎材料ではありません。数を使っていないので高齢でも枯れていない、馬はフレッシュなんて例はいくらでもあるのですが、この馬の場合どうなんでしょうか?

 

天皇賞(秋)秋は4・5歳馬の活躍するレースでこれ以上の馬齢になると、10年前に6歳でエイシンフラッシュが3着した1例があるのみです。それ以上となるとかなり遡る必要があり、09年カンパニーの優勝、98年オフサイドトラップ(旧齢表記で当時は8歳)の優勝と7歳馬の勝利が2例あるぐらいです。オフサイドの時、私は本命にしていたので涙にむせんだものですが、その時も高齢馬なんてありえないと回りからは言われていました。若い馬中心の傾向は今に始まった事ではありません。

 

また、オフサイドはこの年になり七夕賞でようやく重賞初制覇、続く新潟記念(当時は右回り)も勝ち、天皇賞(秋)で重賞3連勝でした。カンパニーも現役最後にピークが来たような馬で、前走の毎日王冠、次走のマイルCSを含めて3連勝とその前後で異様な強さを発揮していました。このように高齢馬が走るには目に見えた充実度があり、若い馬を凌駕出来る上昇度が必要なのかもしれません。6歳で3着したエイシンにしてもその年はGⅠ・GⅡで馬券になり続けて高いレベルの好走を継続していました。

 

7歳のイグアスにそういう面があるかと言うとそこまでの勢いは感じません。もともと使い込めない馬なので順調さとか充実度と言った言葉は無縁な馬でもあるので、イメージ的にもピンと来ないですね。近走のパフォーマンスの低下も気になりますし、過去に結果を出した高齢馬達と同じ状況にあるとは思えません。


プログノーシス

 

競走馬としてデビューする前から辛口の川田騎手が「重賞を勝てる馬」と評価していた馬だったのですが、脚元の弱い馬だったのでデビューは遅く、3歳の3月に既走馬相手の未勝利戦が初出走でした。そこをいきなり勝ち上がると中1周でシャフリヤールが勝った毎日杯に出走。スーパーなレコードが記録されるレースで3着と走り、川田騎手の期待通りの活躍を見せました。

 

ただ、やはり丈夫な馬ではないのでクラッシクを意識することなく、地道に裏街道を行き、条件戦を無敗で勝ち上がり、金鯱賞で重賞を制覇し、現在に至ります。使いこめなかったので半年ぐらいのインタバールを取って慎重に使われていました。が、4歳の暮れぐらいになると休み明けを1度使ってから目標のレースで勝負する2戦で1ターンのようなローテを組めるようになりました。体質は徐々に強化されています。

 

ちなみに、2戦1ターンのこのローテで使えるようになった最初の中日新聞杯では、詰めて使うのが初めてだったので調教師が少々ビビってしまい、代打騎乗だった藤岡祐騎手に「溜めて溜めて」とリクエスト。初めての連戦だったので折り合いを欠くのが怖かったそうです。その結果、後方待機を余技無くされたため、初めて馬券圏内を外す4着となってしまいました。その騎乗があまりにヒドイかったからと藤岡祐騎手には非難が集中してしまったのですがちょっとかわいそうでしたね。あれは騎手が悪い訳ではないと身内の厩舎スタッフが擁護していたぐらいです。今は2戦目でもパフォーマンスが落ちない事が分かったのでこういう事はもうありません。

 

さて、能力の方ですが、イクイノックスと比較するとさすがにこれを上回る具体的な根拠は出て来ません。けど、2000mなら何でもアリと言う感じで万能的な中距離適性の高さは感じます。中京や阪神の坂でも全然怯まないですし、かといって平坦コースでパフォーマンスが落ちる事もない。左回りでも、右回りでも安定して末脚を繰り出しますし、高速上がりも使えて、洋芝の重馬場で上がりがかっても最速で上がる。コース、展開、馬場状況とあらゆる条件に左右されない末脚の威力は素晴らしい。上述した毎日杯で上がりが2位になっただけで、その他の全戦で最速上がりを記録しています。

 

これがマイルとか、2400mとかだと少し状況が変わるのかもしれませんけど、天皇賞(秋)が2000mで行われる限り、不安材料はないですね。脚は確実に使って来れるのでその脚がイクイノックスやドウデュース相手に通じるかどうかぐらいしか考える余地がないと思います。

 

また、札幌記念では驚異的な進化を見せたと思います。スタートが下手なので後方を追走する事が多く、直線勝負がこれまでのスタイルだったと思うのですが、向こう正面からインをスルスル押し上げた自在性や、3~4角では持ったままで上位に迫った機動力は見ていて痺れました。これほど動ける馬だとは思わなかったので川田騎手の騎乗には脱帽です。乗り難しい馬で川田騎手が乗らないとイマイチみたいな感じですが、その川田騎手が乗る限り心配は無用でしょう。この方が鞍上ならどんな競馬も出来てしまうので立ち回りにも不安を感じません。

 

関係者の間では2走前の香港GⅠQE2世Cの2着が自信になっているようです。大きいところに行けるポテンシャルは感じていましたが、これではっきりとGⅠを意識出来るようになったそうです。札幌記念は勝ちに行ったレースだったので叩き台みたいな雰囲気はありませんでしたけど、今回を見据えた使い方ではあるので良い状態で出てこれると思います。心身ともに成長が進んでいて今はピークに向かって行く過程にあると思われます。パフォーマンスの質を段階的に上げている最中です。前走以上の走りも十分期待できると思います。

 

天皇賞(秋)の予想案はこちら▼