競走馬カルテ

2・3歳重賞の出走馬を分析・記録していくブログです。

有馬記念(GⅠ) 出走馬カルテ①

 

こんにちは。

 

2回目の中間発表ではトップ20位にも入っていなかったヴェラアズールがJCを勝った途端一気に標を獲得したようで18位まで順位を上げました。これでファン投票(ファン投票7位選出)による出走となります。日本最高賞金レースの勝ち馬なのでこの馬が出走除外になる事なんてないんですが有馬記念の意義に沿う形で出走できる事は大きな意味がありますね。

 

皐月賞馬、ダービー馬、菊花賞馬とクラシックウィナーの参戦が無いのは物足りませんが、大阪杯天皇賞(春)宝塚記念天皇賞(秋)、JCと古馬王道のGⅠ勝ち馬は全て参戦しています。GⅠ馬の数7頭と豪華な顔ぶれ。最近はJCより有馬記念の方がメンバーが集まっているような感じがしませんか?本当に強い馬は凱旋門賞に行きますし、そう言う馬は帰国後はJCより有馬記念の方が調整しやすいですからこうなるのかもしれませんね。有馬記念こそ現役最強を決めるレースにふさわしい気が致します。

 

有馬記念は25日(日)に行われますので前日の24日(土)にカルテの更新を終了いたします。ページが長くなるようなら1ページ10000文字を目安に2枚、3枚と増やしていきます。アイウエオ順で更新していきます。

 

予想案は各ページの最下部にある専用ページにまとめてあります。ブログカードを貼っておきますのでそちらをご覧ください。

 

12/22追記:ページ上段の前説部分は同じものを転用しています。①②の行き来はページにブログカードを貼っておきますのでそちらから移動されて下さい▼

 

アカイイト

 

10番人気で昨年のエリザベス女王杯を勝ってからこの1年GⅠを4戦、前哨戦のGⅡを2戦とハイグレードレースばかり6走して来ました。GⅡ2戦は叩き台名目のレースで叩いて使った春の大阪杯、秋のエリザベス女王杯がメイチの出走でした。牡馬混合のGⅠはさすがに力負けの感ですが、牝馬限定のエ杯は4着とさすがに恰好をつけて来ました。ただ、このエリザベス女王杯こそこの馬の現在地を指し示すものでしょう。昨年と今年のエ杯両方に出走していた馬が本馬を含め3頭いますが、本馬が1着→4着、イズジョーノキセキ5着→10着、テルツェットが12着→11着と着を落とすか昨年と同じぐらいにしか走れていません。今年の方がパフォーマンスが良かったという馬がいないですから、やはり昨年は出走馬のレベルが低かったという事に落ち着いてしまいます。昨年と違って今年は道悪競馬でしたのでその影響を考慮しなくもないですが、本馬に関しては時計がかかる条件の方がより良いタイプですので内容・結果はむしろ良くなってないといけません。また、エ杯時には坂路で自己ベストを記録していることからも5歳になって能力減があったとも考えられません。結局、この馬のしたことは1年かけて昨年の勝利がフロックであった事を証明したに過ぎないのかもしれません。4着と頑張たとは言え、最後方追走で末脚勝負に徹した馬の上がりが3位と言うのは威張れたものではないでしょう。中段に構えていたジェラルディーナの最速上がりぐらいは上回っていないと負けて強しとは言えません。レース内容から完敗と言わざるを得ません。この先は展開を味方にした時以外に着が上がることはないのではないでしょうか?現在のパワーバランスからすると地力を見積もりづらくなりました。

 

ただ、有馬記念に関して言えばエ杯ほどパフォーマンスを低下させる事はないでしょう。昨年のメンバーから離脱したのはクロノジェネシスぐらい。代わりにイクイノックス、ヴェラアズールとこの秋の古馬GⅠ勝ち馬がジェネシスの穴を埋めてくれるでしょう。また、昨年の1・2・5着馬が今年も出走していますから昨年並みぐらいのメンバーレベルは維持されていると思います。各馬には能力や状態などの変化がありますから微調整は必用ですが、レースレベルに極端な変化はないのではないかと思います。本馬は昨年も7着と走れていますから勝ち負けはともかく同じぐらいに走れても不思議ではないと思われます。

 

言うまでもありませんが、大目標は前走だったので一仕事終えている状況にあるのは間違いありません。ただ、叩き3戦目だった昨年の有馬記念や、春のヴィクトリアMでも馬は良い状態をキープ出来ていました。上積みがあるとは言えませんが、前走並みぐらいの状態はキープ出来る馬ですね。力を出せない状況ではないと思います。

 

アリストテレス

 

昨年の6着馬ですがタイム差は1.1秒差も開いていて完敗の内容でした。同歳の牝馬アカイイトに0.1秒先着したにすぎまでん。その昨年の状態は良いものでしたからあれがベストパフォーマンスであったのでしょう。その状態からどこまで馬が良くなっているかで評価を決めて良いと思うのですが、以降は春に目黒記念、秋に京都大賞典とGⅡを2走しただけ。どちらも休み明けの1戦だったのでこれを正当に評価して良いかは難しいですが、昨年2着だった京都大賞典は58kであったのに対し、今年は57.5Kで条件面が良くなっていたのに11着の大敗です。昨年より強くなっていると見る事は出来そうにないですね。

 

厩舎側のムードからすると、出走するグレードに拘りはなく出れるレースに向けて調整して使い、出来るだけ良い状態で走らせようという程度だと思います。欲のない使われ方をしているのが現状だと言えると思います。特に目標のレースも無く、勝ち負けを意識してレースを選んでいる感じはないですね。極端に弱くなったような雰囲気は厩舎から感じられませんが、強くなっている感じもありません。控えて競馬をしても上位上がりを駆使出来ている訳でもないですし、先行しても粘りの無い走りで近2走から良い所は感じられません。叩いて変わり身を見込めるような走りには思えませんでした。3歳秋をピークに4歳以降は尻すぼみな成績で、巷で言う通り早期完結型の馬と言う印象を強くさせていると思います。今は手を出しにくい状況に陥っている感じです。

 

イクイノックス

 

この秋に行われた古馬GⅠで3歳馬が活躍しています。スプリンターズS2着、天皇賞(秋)1着、エリザベス女王杯杯2着、マイルCS1着、チャンピオンズCで2・3着。ダノンベルーガ1頭しか出走のなかったJC以外は全て3着以内に走る好走を果たしています。今年の3歳馬もなかなか強そうです。と言うか、昨年も同様の事が言われていましたからこれが今のスタンダードなのでしょう。秋競馬は3歳馬中心になりがちです。また、こういう風潮が顕著になる前から有馬記念は3歳馬の好走が目立つレースでして過去10年で【4・2・2・16】となっています。勝率でトップ、連対率でトップ、複勝率でトップと有馬記念で最も強いのは3歳馬であると言って差し支えありません。この秋の流れ、これまでのデータと能力・適性以外の諸条件は完璧です。

 

前走はダービー以来のレースでしたが、夏を越した事で馬はパワーアップしているとルメール騎手の口調もなめらかでした。パフォーマンスも圧倒的でこの馬が駆使した上がり32.7秒はちょっと異次元です。これは天皇賞(秋)史上最速の上がりタイムです。古馬でも滅多に使える脚ではないですからそれを3歳馬が記録した意味は大きいでしょう。末脚だけなら現役最強かもしれません。ダービーの2400mは距離が長いと感じていたらしくルメール騎手は後方で脚をタメていましたが、その不安の無い2000mの天皇賞(秋)はポジションを獲りに行く競馬をして中段で流れに乗せています。ダービーの様な競馬では有馬記念は厳しくなりますから、天皇賞(秋)の様なレースを見せてくれたのは良かったと思います。皐月賞は2着だったとはいえ、この馬が唯一上がり最速を記録しなかったレースでもあります。中山コースでは府中の様な競馬が出来ませんから自在性のあるところを見せたのは有馬記念への展望を明るくするでしょう。

 

有馬記念への課題は枠と距離と言う事になります。内枠有利な有馬記念ですから出来るだけ内目の枠を引き当てたいところです。これはくじ運なのでお願い案件では祈るしかありません。距離の適性については微妙なところがどうもあるようです。既にちょっと触れていますが、いいパフォーマンスを期待するなら2000mぐらいが良いという感じは関係者の中にはもともとあったようです。前走時も府中の2000mはベストであるという話が厩舎サイドからも出ています。有馬記念は適距離でない可能性は少なからずありそうです。また、父キタサンブラックは3000m越えのGⅠを3勝もしたステイヤーでしたが、どうも産駒はマイルよりの馬が多いとの現場の声があります。キタサン自信も母父サクラバクシンオーだからと当初は長距離適性に疑問が持たれていました。産駒にはそのバクシンオーの血が隔世的に遺伝しているのでは?なんて言われているようです。ダービーをあの内容で走っているので適性が全くないとは思えないのですが、古馬戦になると本質的な適性が問われてきますので実はダメでしたなんて事があったりするのかも。ただ、現時点ではまだ憶測の域なので有馬記念でそう言う事も分かって来るのではないかと思っています。

 

イズジョーノキセキ

 

この馬もアカイイトと同様でエ杯の成績が昨年より悪くなっています。昨年の5着は恵まれていた印象になってしまいました。ただ、本馬の場合は道悪が割引条件なので必要以上に負けた感もあり、良馬場で少々見直す事が出来ます。また、岩田騎手が競馬を教え込んできた馬だけに本番で騎乗出来なかったのは少なからず影響したはず。代打でルメール騎手を確保出来たのは良かったですが隅々まで熟知した騎手が乗れなかったのはベストではありませんでした。有馬記念はその岩田騎手に手が戻るので戦力UPは間違いありません。

 

馬の状態は5歳の秋になりようやくピークの状態にたどり付いたとのこと。有間記念への出走もエ杯前には決まっていたローテなので前走でガス欠と言う事も考えられません。前走よりは環境が良くなってきているので当日の天気次第で前走以上の走りを期待する事が出来ます。ただ、過去には1800mがベストと話していましたし、強力牡馬を相手に距離適性を大きく超えるレースで入着の期待を持つまでには至りません。ここは地力勝負は避けるべきです。考えられる好走条件は1つだけ。内枠でも引いて、出来るだけセコく乗り、岩田騎手の徹底的なイン突きが奇跡的にハマれば。それで僅かな可能性が残る程度でしょう。ただ、有馬記念は他の騎手もインへの執着が大きくなりますからそれも簡単な事ではないと思いますが。

 

なお、岩手騎手と馬主さんの繋がりは古く、岩田騎手が中央入りする前の地方競馬時代から続いているものです。馬主さんの勝負服は岩田騎手が園田で使っていた勝負服と全く同じデザインだそうです。また、生産者もこの馬の府中牝馬S勝利が初めての重賞初勝利だったそうで、苦節45年とかだそうです。人々の絆を紡ぐ馬という耳聞こえの良いイメージがこの馬にはあります。好走した時には新聞のネタに困る事はありません。

 

ウインマイティー

 

3歳時にはオークス3着などGⅠ実績もあった馬だったので関係者も期待していた1頭だったのですが、以降は長い低迷期に入ってしまいました。その原因は3歳秋の秋華賞でモマれたことがきっかけで馬が臆病になってしまったからだそうです。調整法を四苦八苦してようやく良い方法が見つかり、今は軌道に乗っているタイミングです。だからエ杯も良い状態で挑めていました。それで15着は負け過ぎだったと思います。ただ、このレースは先行総崩れのレースなので気の毒だった感じは多少あります。普通に走れれば京都大賞典3着の様に牡馬に交じってもそこそこやれる力があるので侮れないところは無きにしも。と言いたいところですが、3着とは言え京都大賞典は完敗でしたしその時の1・2着馬が出走している以上はやはり劣勢は免れません。中山2500mはこの馬の適性からすればベストに近い条件なので前走以上の走りは出来るとは思います。しかし、普通にやったら地力は何枚も足りていないのが明白です。好走の条件は有力馬のほとんどにアクシデントが襲うこと以外に考えられません。香港ヴァーズを勝ったマリリンの方が出走していればまだ目も合ったかもしれませんが、ウインの2・3番手では敷居が高いと思われます。

 

ヴェラアズール

 

JCの勝ち時計はコントレイルが勝った前年をちょうど1秒上回っていました。そんな2頭は同期生。この馬が最初から芝を使っていたらコントレイルは一冠も獲れなかったかもしれません。そこまで言うのは言い過ぎでしょうか?すみません、コントレイルはあまり好きじゃないんで。

 

JCは後半3秒近く加速した上がりの競馬。そこそこの時計では駆けましたが、頂上決戦に期待したくなる超高レベルのレースが展開されたとは言えません。また、ペースが流れなかった事で馬群は一塊となり、インポジションを取れていた馬に有利で外目追走で脚を余計に使っていた組は最後まで脚を持続できませんでした。有馬記念にはインで運んで優勝してこのヴェラアズールと外枠から外目追走で脚を失くしたボッケリーニが出走します。後者には見直しの余地が多くあると思われます。

 

こういうレースなので展開の恩恵を受けて勝ったヴェラは過大評価のの対象となるのではないかと思います。しかし、本馬の特徴はスタミナ戦で強いステイヤーと言うのが戦前の評価で、その通りならJCの様な上がりの競馬で結果を出すはずがないのです。ラストの失速が極めて軽微だったレースを後方から差し切った内容はやはり優秀なものです。レースのレベルは低かったと思われますが、それがこの馬の可能性をより大きくしたと言えるでしょう。適性外の展開でも結果を出したことにこの馬の強さを感じざるを得ません。上がりは2着シャフリヤールと同タイムでしたが、ここでも最速上がりは譲っておらず芝に転戦した全6戦で最速上がりを継続中です。瞬発力勝負でも、持続戦でも、消耗戦でもとにかく上がりはいつも1番。万能的な末脚性能は実に素晴らしい。

 

そして、タフなレースになりやすい有間記念はこの馬本来の適性に近くなります。間隔が短い事以外に大きな不安材料はないでしょう。また、内枠有利なレースで有名ですのでそれまでの様に大外一気の競馬では信頼度が上がりませんが、インをこじ開けて差して来たJCの内容はやはりこの馬の可能性を大きくしています。これならインで立ちまわっても勝ち負けに持ち込む事が出来そうです。極端な外目を引かなければ有馬記念も良いところでしょう。

 

状態面もまだ上を目指せると思います。経験が浅い分ノビシロが大きいのでまだまだMAX状態になった感じがありません。だから、当初予定の無かった有馬記念への出走にも踏み切ったのだと思います。また、JCも負担の小さなレースでしたから反動が出るようにも思えません。むしろ力を余して勝った感じもありますから、上積みがまだあっても不思議ないと思います。良い状態でレース当日を迎えられるのではないでしょうか?

 

このように不安材料らしいものはあまり見受けられないのですが、それでも注意すべき点もゼロではありません。

 

まず思い出して欲しいのが今年のJCにはシャフリとデアリングタクトの2頭しかGⅠ馬がおらず、頂上決戦とは名ばかりなレベルが高くない1戦だったはずです。この馬のキャリアで3番人気だった点もそれを象徴していたと言えるでしょう。JCの勝ち方に大きな意味はありましたが、相手が弱かったから出来た芸当とも言えます。凱旋門賞帰りの春の主役とは未対戦ですし、天皇賞(秋)菊花賞などから強力な3歳馬も参戦して来ますのでJCよりレベルは数段も高くなります。力関係に関して未知数な点はまだ多いと考えておくべきではないでしょうか?

 

また、鞍上がムーア騎手から松山騎手に変わるのも戦力ダウンの評価をする必要があるでしょう。腕っぷしの強いムーア騎手だからあそこまで追えたという認識は持っておくべきだと思います。松山騎手に限らず、コロナ禍で外国人騎手が来日出来ないなか台頭した騎手はこの秋活躍出来ませんでした。外国人騎手との力差をまざまざと見せつけられたような気がしています。松山騎手にも奮起して欲しいとは思うのですが、ムーア騎手と同じ事は出来ないかもしれません。

 

エフフォーリア

 

飛ぶ鳥を落とす勢いで頂点まで駆け上がった昨年の年度代表馬でしたが、失速する勢いもこれまた凄いものでした。今年の春は大阪杯が9着、宝塚記念が6着。エフフォの1強体制が続くと考えた人は多かったと思いますのでこんな事態は考えもしなかったことでしょう。私もその一人です。春の成績を受けてまずは疲れをしっかりと取り除き、完全にリセットすることとなりました。秋は無理せず有馬記念一本で調整されています。競馬の世の常ではありますが、その間に新しいヒーローが続々と誕生し存在感が薄くなってしまったGⅠ3勝馬。この馬の取捨は最大の懸案事項です。

 

春2戦の状況を確認しますと共通していたのは1週前の段階では関係者のトーンが良くなく、最終調整を終えてから急にトーンアップしていた点ですね。宝塚記念に至ってはレース当週にブリンカーを使用する始末。それで馬が良くなったと言われてしまうと、これだけの馬ですからそうなのかもしれないなぁと思ってしまいます。今となっては急仕上げ、帳尻合わせの小手先感があったなぁと思います。

 

この馬に関しては、横山武騎手が共同記者会見で馬の状態を点数で表現する事が話題になりました。それを一つ一つ拾っていくと、皐月賞・ダービーが100点、天皇賞(秋)が120点、有馬記念が70点ぐらいであったそうです。昨年の有馬記念時は状態が上がっていなかったようですね、そんな事は言っていませんでしたけど。今年に入るとこの点数評価は無くなったのですが、大阪杯時には「有馬記念よりは良い」と言う事を話していましたが、その有馬記念の点数が低かったのでアテにしていいコメントではなかったですね。すっかり騙されました。大阪杯を叩いて宝塚記念も上向きではあったのですが、どこまで上げられていたかは疑わしいところでした。

 

横山武騎手の評価が低くなった要因は馬がズブくなった事にあるそうです。確かにレースを見ると明らかに動けていないですね。エフフォほどの実績馬なら勝負所の3~4コーナーでグーンと加速して前を飲み込むぐらいの勢いがないといけません。ですが、そう言う感じは全くなくて直線に入って交わした馬はバテた馬だけと言うのが実情です。終いの脚も使えなくなっています。馬がこういう状況にあるなら中位、後位で控えて乗っていたらダメだと思います。フロントポジションから積極的な競馬をしないと馬券になるのは厳しいでしょう。横山武騎手はそう言う騎乗をさせたら上手いので過去のイメージにとらわれず、是非そう言う騎乗をして頂きたいと思います。

 

春の振り返りをするとネガティブな話しか出来ないので、ここからは可能性の話をしていきます。体調面の他に関西圏への輸送競馬が良くなかったかもしれません。今度は関東圏のレースで輸送がありませんから、そう言う心配はなくなります。皐月賞有馬記念とGⅠ2勝の中山コースなら走らないといけない条件です。また、横山武騎手が言うようにズブくなっているというのなら2500mの距離もちょうど良いと思います。有馬記念はリピートしやすいレースなのでこのレースでの激走に注意がいるでしょう。ただ、結局のところ馬にやる気が戻っているかどうかが肝心なところです。調教で馬の調子を整える事は可能だと思いますが、馬自身にその気がないと話になりません。この点の見極めは難しいですね。でも、この点に関しては横山武騎手が全部話してくれると思います。彼は辛口評論家なのでダメな時のニュアンスは分かりやすいです。1週前調教の評価、最終追い切り後の評価、そして枠番抽選会でも機会があるかもしれません。時々のコメントだけを抽出するのではなく、一連のコメントの変化・推移で判断すれば取捨はしやすいと思います。

 

ジェラルディーナ

 

エリザベス女王杯は前後半の差が0.1秒しかなかったほぼイーブンなペースです。理論上では前でも後ろでも互角にわたりあえる展開です。しかし、重馬場だったので先行馬の方が先に疲れてしまい壊滅状態となりました。結局、今年も追込み決着の競馬となり、これで3年間行われた阪神競馬場でのエリザベス女王杯は全部同じ結果となりました。このコースでは道中10番手以降を走っていた馬に有利だったということでしょう(馬券になった9頭中7頭がこれ)。また、勝ったのは全て8枠の馬でその内の2頭が大外枠でした。これが阪神競馬場で行われたエリザベス女王杯の結果論です。こうも結果が同じだと何度やってもこうなるのだと思います。きっと、私が生きている間に阪神競馬場でエ杯が行われる事はないと思うのですが、その時は誰か伝えて下さい「8枠の馬を買え!」と。後世に伝えておきたいデータだと思います。

 

さて、ジェラルディーナですが大外枠からスタートを決めて中段後ろぐらいの11番手を追走していきます。普通の馬場ならロスの大きい立ち回りですが、開催が進んでいた事や、当日の道悪も手伝い外差し競馬となった事が良かったのでしょう。スムーズに追いだして直線力強く抜け出しました。厩舎としてはベストパフォーマンスを発揮するならキレイな馬場で走らせたいと話していましたからタフな馬場状況を良く走り切ったと思います。厩舎の話からすれば良馬場だったらもっと凄い走りを披露していたのかな?と思うとまだ上のありそうな感じが致します。

 

エ杯時に話した事ですが、牝馬限定のGⅢではなく意識的に牡馬混合重賞を使われてきました。いずれGⅠをとの期待から目先のタイトルではなく、経験値を積む事を目的に牡馬の強いところにぶつけて来た経緯があります。今回のような骨っぽい相手と戦うのは初めてですが、これなら馬が臆することはないと思います。性別を理由に評価を下げる事は出来ません。

 

距離に関してはこれまでの経緯を整理していくと一番良いのは2000mぐらいで、距離を短くするよりは長い方が良いという感じでした。2200mはギリギリだったのかな?とも思うのですが、それも2連勝中ですからそんな事もないのでしょう。関係者の思惑以上に距離適性が長い可能性を感じます。2500mでどんとこい的な距離適性ではなさそうですが、オールカマーの様にインをセコく回って来れば距離は誤魔化せるかもしれません。やれない事はないとしておきます。

 

今年はここまで6戦を消化していますが全て重賞競走です。うち最速上がりが5度、2位上がりが1度と常に上位の末脚を繰り出せています。この中にはGⅠエリザベス女王杯や牡馬混合GⅡの京都記念オールカマーと含まれています。これだけグレードの高いレースで常に上位上がりを記録してくるこの馬の脚力は素晴らしいと思います。上がり最速キャラとは言え、キレ味だけで台頭してきたタイプではなく、良い脚を長く使える持続的な末脚です。有馬記念には適している末脚と言えるでしょう。クリスチャン騎手ならこの馬の末脚を存分に生かしてくれると思います。

 

課題はレース間隔が短くなる事だと思います。1度レースに使うとテンションが上がりやすくなるところがあったのでここまで間隔を十分にとって使われています。オールカマーからエ杯までは中6週ありましたが、今回は中5週と若干短くなっています。たった1週短いだけですがメイチ勝負の後ですからそれで大丈夫かはわかりません。有馬記念もエ杯を勝ったから使ってくるようなもので、当初から予定されていたローテションではありません。輸送に問題はないですが、この間隔でテンションを上げる事無く関東までつれて来れるかが重要になりそうです。

 

 

有馬記念の予想案はこちら▼