競走馬カルテ

2・3歳重賞の出走馬を分析・記録していくブログです。

安田記念(GⅠ) 出走馬カルテ①

 

こんにちは。

 

私はいつも不思議に思っているのですが安田記念はどういう訳か歴史が浅い後発GⅠと相性があまり良くないんですよね。ちょっと確認させて下さい。

 

①ヴィクトリアMの勝ち馬が安田記念を勝てないのはなぜ?

 

このパターンはヴィクトリアM創設間もない頃にウォッカが達成しているので記録ゼロと言うものではありません。が、それから府中マイルの古馬GⅠを連勝した馬がいません。私が一番最初に違和感を感じたのはやっぱり11年のアパパネの時でした。ヴィクトリアM優勝を支持されて安田記念では1番人気に。でも6着でした。ウォッカが連勝して2年後のレースだったのでこりゃ勝つだろう!って誰もが考えたのだと思います。でも勝ったのは3歳馬のリアルインパクトでした。

 

まぁ、これは昔話で片付けて良いと思うんですけど近年はさらに深刻だと思うんですよね。あのアーモンドアイやグランアレグリアでさえ2着までだったのですから。これだけの名牝ならローテとか力関係なんて些末な問題だと思ったんですけどね。なんで勝てなかったのでしょう?やっぱりダービー馬ぐらいの名牝でないと厳しいんですかね?このローテは?今年はどうなんでしょうかね?

 

なお、今年のヴィクトリアMを優勝したのはソングラインでしたがこれはグランアレグリア安田記念1着→ヴィクトリアM1着と同じパターンになります。グランアレグリアは昨年の勝ち馬だから大丈夫!とは私も当時思いましたがダメでした。ほんと、今年はどうなんでしょうかね?

 

大阪杯組が馬券絡み出来ないのはなぜ?

 

秋だと2000mの天皇賞(秋)からマイルCSに転戦すると結構結果が出たりするじゃないですか?だから大阪杯がGⅠに昇格した時に春もこのパターンが王道になるんじゃないの?って私は期待したんです。でも、あまり良い結果ではないですね。大阪杯のGⅠ昇格以降では

 

17年ステファノス(2着→7着)
17年アンビシャス(5着→15着)
17年ディサイファ(10着→13着)
18年スワーヴリチャード(1着→3着)
18年ペルシアンナイト(2着→6着)
19年ペルシアンナイト(11着→10着)
19年サングレーザー(12着→5着)
19年ステルヴィオ(14着→8着)
20年ダノンキングリー(3着→7着)
21年サリオス(5着→8着)
21年カデナ(6着→6着)

 

と言う馬々がチャレンジしたのですが18年にスワーヴリチャードが3着したのみです。でも、これっておかしいんですよね。GⅡ時代の4年間の成績は【0・1・1・3】なんです。ローテ的に結果が出ないものではないんです。また、ダノンキングリーが1着、サリオスが3着と翌年に結果を出していることからも適性が無かった訳でもないんです。でも何故かGⅠの大阪杯からだと結果に繋がりにくいのです。どうしてなんですかね?

 

なお、今年は大阪杯を勝ったジャックドールが安田記念に参加します。安田記念が初マイルと言う点で唯一の馬券例であるスワーヴリチャードと同じです。この馬も大阪杯勝馬でしたね。ジャックは東京巧者だから大丈夫!って思いたいですけどスワーヴもそう言う馬でしたよね。これだけ一致しているとジャックも3着ってことですかね?どうなんでしょうかね?

 

①や②について明確な理由は私にはわかりませんでした。でも、①のソングラインや②のジャックドールは今回人気になりそうです。これらが飛んでしまうと大変なことになります。私が感じた違和感が考えすぎである事を願っています。が、念のためにこの10年の単勝配当を古い順に列挙しますと

 

400円、170円、370円、3690円、1240円、1570円、1920円、1200円、4760円、820円

 

と、なっています。13年~15年は1番人気が勝っていますので穏当な配当でしたが、以降は単勝配当が結構おいしい。アーモンドアイが2年続けて1倍台で負けていますから余計に極端な配当になっています。グランアレグリアが勝っても4桁配当でしたから(赤字)。安田記念は単系馬券に妙味があります。ソングやジャックが負けたら今年もこういう事になりますね。

 

安田記念は6月4日(日)に行われます。前日の3日(土)には更新を完了します。今回は年齢毎に整理して更新していきたいと思います。1枚目には3・4・7歳馬の9頭を更新します。2枚目には5・6歳馬の9頭を更新します。

 

予想案は各ページの最下部にある専用ページにまとめてあります。ブログカードを貼っておきますのでそちらをご覧ください。

 

3歳馬

 

3歳馬のこの10年の成績は【0・0・1・3】となっています。これは前走NHKマイルCの【0・0・1・3】と同じですね。世代屈指のマイラー古馬にチャレンジしているという構図です。毎年必ず出走してくる訳ではないのでやはり参入障壁が3歳馬にとっては高いのでしょう。今年の様に2頭出走してくるのはこれが初めてです。2頭はともにGⅠ馬ですから興味深いですね。

 

近年は21年シュネルマイスターが3着、22年セリフォスが0.1秒差4着と好走を続けています。2歳馬の育成技術が進歩してきているので完成度が一昔前より上がっていることに影響があるのでしょう。今は4k差あれば互角にやれるようになっているのかもしれません。

 

どちらも今年のNHKマイルCに出走していますのでレースについて簡単に触れておきます。このレースでは皐月賞と同じ事が起こったと考えれば良いでしょう。朝からジワジワと降っていた雨は10Rには稍重となりレースの頃に本降りとなりました。重に近い稍重だったと考えるのが丁度良いでしょう。そんな状況下で行われたレースの展開は1000m通過58.4。皐月賞が58.5秒でしたからペース的にはほぼ同じ。2F短い分だけ失速はそこまで大きくなりませんでしたが先行馬にかかった負荷は皐月賞並みだったと思われます。結果それらは総崩れとなり、勝ち馬は出遅れて後方追走だったシャンパンカラー(⑫⑬)、2着馬(⑯⑯)、3着馬(⑮⑮)と追い込み決着となりました。展開に恵まれた皐月賞馬がダービーで着を落として負けたようにNHKマイルCも力通りに決着しなかったのかもしれません。

 

シャンパンカラー

 

3着のNZTも1着のNHKも私は無印にしているのであまり良いことを言えないんですけど。印象としては無難な馬でどんぐりの背比べだった3歳マイル路線では入着ぐらいはあっても良い馬だなとは常に思っていました。ただ、パンチ不足な感じもあって、地力の高さが証明されていた訳でもなく、突出して何かが秀でていたという事もないんですよね。何もかもが平均点過ぎなので何かを消さないといけないとなるとこの馬がそれに該当してしまいました。だから近2走の入着も、あぁやっぱり来ちゃうのかぁという感じで好走自体は驚きはありませんでした。

 

とまぁ、そう言う印象なので古馬に混じって好走出来る根拠は出てこないと思います。NHKマイルC優勝も以下の点で恵まれていると言えます。

 

①持ち時計が弱く、決め手の無い本馬にとって時計のかかる道悪は向いていた
②先行総崩れのレースを出遅れたことで勝ち筋に乗れたこと

 

以上の事からNHKマイルCを地力で勝ったという認識は持てません。厩舎としても今年のメンバーだったらチャンスがあるという感じで強気であった訳でもなかったですね。3歳マイル路線も低調な感じはしましたからそれで勝てたという所はあるでしょう。かなりのメンツが揃った古馬相手に強調出来る材料を見つけるのは難しいですね。この馬自身は真面目に頑張ってくれると思いますが。力関係は厳しいと思います。

 

でも、週末は天気が荒れ模様であることと、中山で結果が出なかった馬だから府中の方が良いことなど条件はこの馬向きのものが揃います。これに4k差の斤量の恩恵を受けます。条件や状況に恵まれる事で今回も足りない部分が補完されそうなのは良いかもしれません。

 

ドルチェモア

 

無敗で2歳チャンピオンになった馬ですがこの馬が特別強かった訳ではないという事はここまで何度も触れたきましたので能力的な話は割愛したいと思います。ただ、看板に偽りありとまでは申しませんがその看板に拘り過ぎるのもいかがなものか?という風には思っています。安田記念への出走も不本意な結果からこのままで終われないみたいな意地っぽさを感じてしまいます。

 

安田記念出走のプランは当初からあったのかもしれんません。年末だったか年始だったかに発表された春のローテはNHKマイルCに直行するというものでしたから。NHK後に安田記念の出走が視野にあったんだろうなとは思います。でも、NZTを使ってしまいました。手薄な重賞ながらGⅡレースで賞金は高額。最優秀2歳牡馬がそんなレースに出ればただ貰いです。そんな感じの出走でした。それで勝てれば良かったですが負けてしまったのは良くないですね。欲目をかいた余計な1戦になっていると思います。負け方もだらしなかったので評価を一層下げてしまいました。当初の予定通りならそれなりに評価のしようもあったのですが。また、前走を最大目標と言って使っていますから古馬と渡り合えるような上積みは期待出来ないと思います。

 

3歳で好走した2頭は安田記念も視野に入れた使われ方をしていました。3着だったシュネマはディープインパクト記念からNHKマイルCと間隔が空いていましたし、4着だったセリフォスは本番ぶっつけでNHK・安田の2戦と最初から決まっていました。今回のドルチェ陣営にはそう言う計画性を感じません。等間隔でレースを使って3戦目。この臨戦過程は今のご時世でプラスにならないでしょう。

 

一応、らしさの欠片もなかったNZTとNHKのレース振りを見直してましょう。どちらも同じ負け方ですよね。稍重馬場を先行して力尽きて止まるという。NZTが35.0-57.7で、NHKが34.3-58.4というペース。馬場状況を考えると先行馬にはきつい展開でした。馬場と展開のダブルパンチで負けたというのはあるかもしれません。しかしながら、朝日杯FSは34.1-57.8のペースを乗り切って優勝していますからペース的には今年の2戦より速いものでした。ということは、単純に道悪がこの馬の脚を引っ張ったと見て良いのかもしれません。だとすると、今週末の雨予報はプラスにならないですね。また、今年2戦はシャンパンに2戦2敗の状況ですから良馬場にならない限り逆転の目途は立ちません。

 

4歳馬

 

この世代の10年間の成績は【5・7・4・40】で全ての世代を超越した成績を残しています。また、4歳世代が強くなってきたのは最近の事で近5年で4勝2着2回3着2回と言う成績で急激に存在感を増しているところです。出走数が2頭しかいなかった21年こそ馬券絡みはありませんでしたがそれ以外は確実に来ているという印象。3着以内に2頭以上の4歳馬が絡む事も珍しくありません。今の安田記念において馬券の中心は4歳世代と考えて差し支えないでしょう。

 

今年は6頭の出走でうち2頭がGⅠ馬であり、その他にGⅠ入着馬が2頭いるなど陣容は充実しています。4歳馬の多くに出番がやって来そうです。

 

ガイアフォース

 

菊花賞で1番人気に支持されていた頃のこの馬の厩舎評は「スタミナが無尽蔵」というもので3歳春期から菊花賞向きとされていました。後に天皇賞(春)を勝つ同厩ジャスティンパレスよりもガイアの方が上に来るという見立てを厩舎ではしています。ただ、当時を振り返ってみると「3歳馬同士なら」とか、「やってみないと分からない」けど「大丈夫だと思う」みたいにステイヤーとしての評価には微妙さも感じさせていました。

 

そもそもジャスティンだって中距離馬だろうみたいな評価でしたから杉山厩舎の適性分析の甘さが目立っていたと思います。そんでもってガイアはAJC杯を負けたし、ジャスティンは阪神大賞典で強かったしということで別々な路線で使い分けられたのだと思います。

 

さすがにマイル戦の参戦だったので少々驚きましたけど。でも、実はコテコテのマイラーでした!って言う事でもないようです。AJC杯後に再評価となった訳ですがその際に考えられたのが

 

・ワンターンコースの方が良いのでは?
・1800~2000mぐらいが良いのでは?
・京都外回りの下り坂を上手く利用出来そう

 

といった事でした。ただ、4歳の古馬になったガイアに上記を満たす条件のレースはありませんでした。私もそう言えばと思いましたが京都に1800mの古馬重賞ってないんですよね。2000mは内回りですし。全ての条件を満たしてくれる条件がなかったので、じゃぁやってみようか?的に使ったのがマイラーズCだったのです。お試し感覚に近かったと思います。

 

それで2着と走れたのですから厩舎の見立てもまんざらではなかった訳ですが厩舎の本音としてはきさらぎ賞(京都・外回りワンターン・1800m)の様な条件がベストと考えていますのでマイラーズCは距離適性よりもコース適性が理由で好走したという評価が良いのだと思います。

 

マイラーズCは前が残っても良いような流れでしたからそれを後方から差してきたのはこの馬の地力の高さを示すものだと思います。同期のダービー馬にクビ差の2着だったり、同期の菊花賞馬をアタマ差で負かしたりとこの世代のトップクラスにいた馬でしたからマイラーズC2着の地力はさすがだなと思います。

 

反面、レースの流れはこの馬向きのものだったとも思います。速いラップが連続する持続戦で強いので11秒台の失速無しだったラストの上がりはこの馬向きの流れだったと思います。また、すぅっと先行出来る馬が序盤に行けずにモマれていたあたりも生粋のマイラーと言う立ち回りではないと思います。この1戦だけでマイル上等の評価はしづらいですね。

 

この馬は心肺機能がとても高いので速いラップの連続をワンペースで行く性能はとても優秀なのですが、緩急のある流れだったり、ビュンと加速する瞬発力が求められるような展開になった場合は距離を問わずして取りこぼしの要因となります。安田記念ではこの馬向きの流れになる場合もあるのでイラナイと言う事にはならないんですけど、マイラー特有の瞬発力は兼ね備えていないでしょう。

 

まだマイル慣れが必要かもしれませんから前走だけで新星誕生とする必要はないと思います。厩舎も同じように考えているんじゃないですかね?ここもチャレンジ走になってしまうと思います。

 

セリフォス

 

目黒記念は恥をかきかました。◎〇▲が2~4着だったのですが、ヒートオンビートが抜け出したところで「誰だこいつ!何してくれるんだ!」って私は怒りました。鞍上はレーン騎手でした。レーン、レーン言っているのでこれは情けない気分になりました。と言うか、本当に目黒記念見ていなかったんですよ。騎手とか、馬とか。レーン騎手がいた事も分かっていなかったみたいです。ダービーに全精力を注ぎこみ、目黒記念をやる精神的な余裕がありませんでした。だから本当にやりたくなかったんですよね・・・

 

とまぁ、ここにきて絶好調に拍車がかかった感じのレーン騎手ですが安田記念で騎乗するのがこの馬です。今回の来日の一番の目玉だったようでこの馬ありきでやって来たみたいなところがあります。セリフォスに加えて天皇賞(春)のシルヴァーソニックと、ヴィクトリアMのソダシが免許交付前から星勘定に入っていたようです。シルヴァーもソダシも堅実に馬券圏内入着でしたからこの馬も上位進出の期待は高まります。

 

馬はここまでGⅠ以外は全勝と言う成績で負けたGⅠでも2、4、4、5着と掲示板から漏れた事がなく常に上位の走りをしています。3歳春まではテンションが上がりやすいところがありましたが3歳の秋頃になるとそう言う面が改善されて来て現在は気性面に注文はつかなくなりました。そうする事で脚を溜められるようになり鋭い末脚を繰り出せるようにになりました。今は末脚が際立っています。

 

マイルCSではラスト3F区間に10秒台が記録された上がりの速いレースでしたが、直線入り口で最後方の一戦にいたのに差し切ってしまったのは凄い末脚でした。相手はGⅠ級の猛者でしたから3歳馬が差し切って良いものではありません。展開がハマった皐月賞のソールオリエンス以上のインパクトだと思います。

 

前走のドバイターフも初の1800mでも折り合いを欠くことなくしっかりと脚を溜めて、前を飲み込みそうな脚を見せました。あいにく伸びが止まってしまいましたがこの止まり方を見ると距離だろうと思います。マイルに戻れば問題ないでしょう。4歳になってもちゃんと動けるところが確認出来たのは良かったのではないでしょうか?

 

状態面に不安でもあるようなら問題ですがそうでもないなら上位争いには加わって来る1頭でしょう。今週はレーン騎手も乗り慣れた馬なので思うままに動かしてくれると思います。いつでも追い出し態勢に入れるように直線に向いて来ると思います。極端な内枠でも引かない限りは末脚を全開にしてくれるでしょう。

 

道悪に関しては全くの未経験であり、切れ味もあるので不安材料となりそうです。が、雨の心配があった昨秋のマイルCS時には大丈夫だろうと厩舎では話していました。ボコボコした馬場や時計のかかるコンディションでもちゃんと走れていたのでパワーもあるという見立てでした。雨降り馬場なら分かりませんが乾いて行く過程にある道悪馬場なら問題はなさそうです。

 

ダノンスコーピオ

 

優勝したNHKマイルCの本命馬なので心情的に贔屓してしまう馬なのですが今回はさすがにちょっとなぁという感じですよね。川田騎手が師匠の馬に乗らないでよその馬にのるのですから大変な事です。それが可愛がってもらっているダノンの馬なら尚更です。つまりそう言うことなんでしょう。そう思うより他ありません。一番贔屓にしているはずの川田騎手の判断がこれですから何よりも説得力があります。この馬がソダシに先着する可能性は極めて低いのでしょう。

 

ただ、前走の京王杯SCはそんな悪い状態ではなかったですね。昨秋に落ちてしまっていた体調も立て直せていて状態はとても良かったという話でした。結果は11着でしたが3~12着までがオールクビだった差のない競馬でしたから負け過ぎと言う事もないと思います。1枠がアダとなって追い切れなかった場面もありましたから力も出し切れていなかった印象です。この内容だけで見限って良いのかなぁと言う気がしないでもありません。

 

叩き台として出走していましたので状態面も上げてくるはずです。2歳の頃から休み明けを叩いた方が良く、レース振りがガラっと変わってくる事がしばしばありました。直線での反応や切れ味がぐっと良くなるので上積みが大きくなるタイプです。加えて、得意のマイルに戻ることも踏まえると前走以上に走れることは想定しておくべきでしょう。

 

また、前走辺りから左回りの方が良いという認識を示すようになりました。NHKマイルCだけでなく、富士Sでもセリフォスより2k重い斤量で接戦の3着。確かに府中マイルの走りにハズレがありません。状態面に加えて、適性面も向上する訳ですから川田騎手が乗らないからというだけで軽視すべきではないのかもしれません。

 

ただ、道悪は評価を下げる材料となりそうです。ダメと言う事もないのですがスピードタイプとの厩舎評なのでパフォーマンスが落ちる要素にはなります。天気次第で評価を前後させた方が良いでしょう。

 

ナミュール

 

まぁ、出てくるとは思いましたが。ヴィクトリアMが不完全燃焼の結果となりましたのでこのまま終われるかと言う事なんだと思います。でも、これってリスグラシューの時と同じなんですよね。予定になかった1戦を強行ぎみに出走してきて負けています。印象的に良くないですね。リスグラシューナミュールのように三冠レースを勝てそうで勝てなかった馬にとってヴィクトリアMは絶対に譲れないレースなのでしょう。思う通りの結果にならなかった反動は理性で押さえられないのかもしれません。

 

ナミュールの場合はアクシデントがあり、以降の道中も蓋をされてしまい思うように動けずに負けていました。悔しさはリスグラシュー陣営以上だと思います。このレースに向けて本当に慎重にやって来ましたから余計に悔しかったのだと思います。丹念に数を乗って、1つ1つの調教で負荷をかけすぎず、いつでも弾けられるような気性面の平穏を維持しながら態勢を整えていました。とにかく丁寧だったなと言う印象が強く、どうすれば勝てるかを追求した絶妙な塩梅の調整をしていました。これで負けた仕方ないぐらいの仕上がりで厩舎も騎手も自信を持っていたようです。力を出し切れた結果だったら納得出来たでしょうがあのレースではそれも難しかったでしょう。

 

力を出し切っていませんし、直線に向く頃には消極的な競馬になっていたことからも全力を出さなかったことでダメージは少ないと思います。が、これまで意識的に間隔を空けて使われる事が多く、休み明け緒戦の方が力を出せるタイプと言う事で秋華賞で直行ローテが組まれていた馬であり、ヴィクトリアMでも2月の東京新聞杯を使って間隔を十分に取ってローテされていました。秋華賞→エ杯の中3週でさえ結果が出ませんでしたから中2週はさらに危険な領域かもしれません。テンションが上がらないようにと配慮されている馬なので輸送競馬の連続になるのもどうなのかな?と言う気がします。

 

適性的なものは前走時に話した通りで、コースも距離もこの条件がベストで東京新聞杯では1分31秒台で走れて持ち時計もあります。道悪に関してもあまり良い印象はありませんが乗っている人からすれば全く気にならないとの事です。状態面に問題がないなら普通に印を回せる有力馬でしょう。

 

状態に関してはこの中間に大した事が出来るはずはないので調子を整える程度の事しか出来ていないと思います。出走してくるなら走れる状態にはあるのでしょう。一度使った事でより走れるようになったぐらいの事は言ってくるかもしれませんが、大きな上積みなんてないと思います。良くて維持で前走以上とはならないのではないでしょうか?出し惜しみする事になってしまった前走の余力でどこまでやれるかになると思います。

 

一流のトップマイラーが相手になりますから相手関係は厳しくなっています。牡馬との対戦は東京新聞杯で経験済みですがその時に負けた相手と再戦するのもいい感じじゃないですね。状態面に問題がなかったとしても、ヴィクトリアMよりハードルが多くなった印象は拭えません。勝ち負けを期待した印は打ちづらいですね。

 

マテンロウオリオン

 

昨年のNHKマイルCまでは連対率100%をキープしていましたがその後は全くよい所がないですね。その後に使ったダービーはまだしも昨秋に復帰して以降の6戦は適性のある条件で惨敗を続けています。

 

ただ、昨秋の復帰時はそこまで悪くなかったですね。夏を越しての成長がしっかりとあったので心身ともに良くなっていました。負けた理由もはっきりしていてスワンSは叩き台でヤル気の無いレース振り。きっと脚でも測っていたのでしょう。後方ポツンの大外ブン回し。それでも最速上がりを記録しておっと思えるような伸びは見せていました。マイルCSは外差しが顕著な馬場状況になっていたところで1枠1番の最内を引いてしまいました。インで溜めインを突く逆バイアスの競馬では仕方ありません。外の各馬に伸び負けて0.7秒差負けでしたが、そんな悪い競馬振りではなかったと思います。馬はちゃんと動けていましたし調子が落ちたとか早熟だったとかは無く、悪くない感じで3歳戦を終えました。

 

その流れから今年は飛躍を期していたのですが初っ端で躓いてしまいました。1番人気だった京都金杯でアクシデントに見舞われます。隣の馬が暴れたことでゲート内で頭を強く打ってしまったそうで脳震盪を起こしてしまい、外傷も小さくないものでした。これで馬のリズムが狂ってしまった感じです。

 

前走よりは良くなっているからと言って東京新聞杯、ダ卿CT、マイラーズCと3走使われました。が、大きく崩れないながらも掲示板の際を行ったり来たりと言う感じの善戦止まりが実情です。前走あたりでも完調に至ったという感じは無くて調子に乗り切れていないという感じです。アクシデントから5ケ月経った5走目となりますがそろそろ良くなってくるのかもしれません。でも、GⅠのここで完治!絶好調!と言われてもこれは都合良く聞こえてしまうでしょう。馬券を買う側からしたら信頼出来る状況ではないですね。

 

ただ、気負付けておきたいのは横山典騎手がこの馬を逃げ馬にしたいとずっと思っている事です。アクシデントのあった京都金杯の頃からそう言う事を言っています。その方がこの馬は大成すると横山典騎手は考えています。あいにく積極的な競馬をしづらい状態だったのでまだ出たなりの競馬をしていますがいつ逃げて来るか分からない状況です。そうなったら面倒なことも起こりえますから頭に入れておく方が良いかもしれません。

 

レッドモンレーヴ

 

解散した藤沢和厩舎の最後の勝利を上げたのがこの馬ですね。この時に手綱を取った川田騎手も素質を高く評価しています。成長してくればかなりやれる馬だと感じたそうです。栗東メインの騎手ながら機会がある度にこの馬に騎乗していてメインジョッキーみたいになっていました。よほど気にいっていたのだと思います。馬はその後蛯名厩舎に移っていますが前走で重賞勝利を飾っています。

 

1800mで折り合いを欠いた3歳時の共同通信杯と派手に出遅れたダ卿CT以外は全て連対していてレース振りは安定しています。レース運びにも安定感があり、ペースに合わせて自在に立ち回ります。流れが速くなければ先行しますし、速ければ控えて中団からとペースに合わせてポジションを調整出来るのはいいですね。また、位置取りに関わらずどこからでも上位上がりを記録する末脚を繰り出します。

 

ほぼノンストップで条件戦を駆け上がって来た馬ですがその脚力は重賞に入っても優位性を失いませんでした。出遅れたダ卿CTでは33.0秒の末脚を使い中山マイルでは異次元級の速さだと思います。京王杯SCでは32.6秒まで上がりを高速化してイン前競馬を4角10番手から外差しを決めています。脚力は優に重賞レベルと考えて良く、遅れて来た大物として扱っても良いかもしれません。

 

以上のように素質的には軽視禁物なのですがここは一勝負終えている感が強いかもしれません。2走前のダ卿CTの時がメイチに近かったようで前走の京王杯SC時にはさすがにダ卿CTより上って事はないと話していました。状態を維持していた程度で上積み無しという感じでした。

 

また、厩舎の目的も秋に向けて使いたいレースを使えるように賞金を加算しておきたいという考えでした。安田記念を見据えてという使われ方ではなかったと思います。相手強化の一戦に準備不足は否めないですね。ありきたりですけど勢いでどこまでとしか言いようがありません。秋に向けて力試しという感じになるのではないでしょうか?

 

7歳馬

 

7歳馬はこの10年で【0・1・1・24】と言う成績です。馬券になったのは16年3着フィエロと17年2着のロゴタイプフィエロの時は12頭立ての少頭数で他世代の出走が総じて少なかったことが影響したのでしょう。ロゴは前年の勝ち馬でしたからリピーターでした。馬券になった2例はいずれも特別な事情を確認出来るので高齢馬がしょっちゅう走るレースではないですね。

 

ナランフレグ

 

13年ロードカナロアが優勝、20年グランアレグリアが優勝、22年サリオスが3着と高松宮記念から安田記念を好走する例は無い事もありません。間に京王杯SCを挟んで3着したレッドファルクス(17年)の例もあります。力や適性があるならハナから軽視するものではないのでしょう。本馬も昨年に参戦して9着ながら0.4秒差と僅差で頑張っていました。

 

ただ、本馬の場合はGⅠ馬になってしまった事で斤量的な問題に直面した事がマイル参戦の理由でした。サマースプリントを目指すと酷量を背負わされることになるので使いたくても使えない状況に。適当なレースがないからだったら安田記念を使うことにしたというものでした。安田記念を狙って来た訳ではありません。今年も似たような理由でしょう。

 

タイム差を小さくしていたとはいえ後方から進めてバテた馬を交わしただけであり、且つさらに後ろから仕掛けた馬に交わされて追い負けています。昨年の安田記念のレース振りを見る限りマイルで勝ち負け出来る末脚ではなかったと思います。スプリント戦の様な脚は使えていませんでしたからやっぱり距離は長いですね。かなりハマらないと好走は厳しいでしょう。

 

ただ、今週末の天気次第でこの馬向きの状況が整うかもしれません。ざっと見渡したところ今年のメンバーに道悪ドンと来い!と言う馬が見当たりません。出来れば良馬場でとか、からっきしと言うタイプもいます。それらが道悪で脚を削がれるような事があればこの馬がハマってしまうなんてことも。スプリントGⅠ馬と言っても持ち時計がスーパーと言う訳でもなく時計はかかった方がウエルカムというクチです。不良馬場だった今年の高松宮記念でも1・2着馬が外差しのバイアスに乗った好走だったのに対し、馬場の掘れたインから伸びて来た末脚はかなりの巧者ぶりだと思います。馬場が悪くなればなるだけこの馬の好走可能性は上がってくるかもしれません。

 

でも、それでもやっぱり厳しいかもしれませんね。今年の状態を見ていると6歳だった昨年ほどの充実感を感じません。オーシャンS2着→高松宮記念1着だった昨年に対し、今年はオーシャンS9着→高松宮記念4着と成績を下降させているのもそう感じさせます。去年がピークだったんじゃないですかね?能力が落ちたみたいな話は全くないんですけど勢いは去年の方があったなぁと感じます。

 

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