競走馬カルテ

2・3歳重賞の出走馬を分析・記録していくブログです。

高松宮記念(GⅠ) 出走馬カルテ①

 

こんにちは。

 

自前のブログで予想するようになった17年以降、私が的中出来たのはセイウンコウセイが勝った17年と、ダノンスマッシュが勝った21年の2回だけ。つまり、私が披露した高松宮記念の予想はほとんど負けているという事です。結構負けているなぁという自覚はありますがここまで酷かったのかぁ・・・

 

これはもう無理だと思いますね。根本的な才能不足と言うしかありません。今年こそは何とかしたいという気持ちは当然湧いてきますけど、それも無駄な抵抗の様に感じます。正直、傷は小さく済ませたいというのが本音ですね。

 

さて、スプリントGⅠの現状を確認しておきます。21年高松宮記念が6歳、4歳、6歳の高齢決着。昨年が6歳、5歳、7歳の高齢決着。昨年のスプリンターズSも7歳、3歳、6歳の高齢決着。これだけ高齢馬が走る芝GⅠも珍しいですね。この路線の新陳代謝が進んでいないのだと思います。

 

でも、今年はこの状況に変化が起こるのではないでしょうか?賞金で除外されそうな2頭を除くと、4・5歳の出走馬は9頭、6歳以上の高齢馬が9頭。勢力図は全くの五分。新星誕生の可能性も、古豪が歴戦のキャリアを見せつける可能性も同じぐらいの確立です。何となく盛り上がっていない路線ですがこのレースの結果次第でそのムードにも変化が起こるかもしれません。新旧どちらの勢力に軍配はあがるのでしょうか?

 

高松宮記念は26日(日)に行われます。25日(土)には更新を完了します。ページが長くなるようなら1ページ10000文字を目安に2枚、3枚と増やしていきます。更新順は上記で年齢の事について触れたので若い順で年齢ごとにまとめて更新していきます。

 

予想案は各ページの最下部にある専用ページにまとめてあります。ブログカードを貼っておきますのでそちらをご覧ください。


◆4歳世代

 

過去10年の4歳馬の成績は【3・2・3・20】。複勝率も、馬券対象30頭に占める割合も5歳、6歳と比べて最も低い数値となっています。速さを競うGⅠなので若い馬に有利な印象もあるのですがデータ的にはそうなっていません。原因は高松宮記念がスピード性能を競うGⅠになれていないからだと思います。この10年、良馬場で行われたのは13年、16年、18年、19年の4度しかありません。半数以上が道悪で行われてきたので純粋なスピード決着とはなりませんでした。道悪でも結果を出した4歳馬は何頭もいますが、究極的な速さが求められないと6歳以上のベテラン勢には有利になってきます。高齢馬活躍の土壌がこういうところにあるのでしょう。4歳世代の活躍は天候次第となるのかもしれません。

 

アグリ

 

私が高松宮記念を負け続けていた要因にこういう馬を軽視しがちだったことが1つあると思っています。この馬は当初マイル路線を狙って使われていたのですが適性不足で距離を短縮して来た馬で、1200mは1度使っただけでその時は4着。この馬が唯一馬券圏外に入れなかったレースでした。生粋のスプリンターとして扱ってはいけない馬でしょう。ですが、今の高松宮記念ではこういう馬こそ馬券の中心となっているのが実情です。高松宮記念が1200m初出走だった馬の活躍は近5年だけ見ても

 

19年3着ショウナンアンセム(17番人気)
20年2着グランアレグリア(2番人気)
20年3着ダイアトニック(4番人気)
21年3着レシステンシア(2番人気)
21年3着インディチャンプ(3番人気)
22年2着ロータスランド(5番人気)

 

と、勝ち馬こそいませんがこの活躍ぶりです。高松宮記念はこういう馬こそ買うべきレースなのかもしれません。この手の馬の多くが1400mの重賞を勝っているケースが多く特に阪急杯組は近年良く馬券いなっています。阪急杯勝ちのこの馬にも資格が十分ありそうです。

 

スプリント適性はまだ未知数ですが、近2走の阪神1400mにおける1200mの通過タイムは六甲アイランドSが1:08.1、阪急杯が1:07.6と高松宮記念でも十分勝ち負け出来るスピードで走る事は出来ています。テンの3Fも33秒後半ぐらいで走れているので流れに乗るのはそう難しくないと思います。身体的には勝ち負けに加わる事は可能だと思います。スプリント戦のリズムに対応出来るようなら実績のないこの距離でもやれるのではないかと思っています。

 

現在4連勝中ですが、厩舎の話では昨秋から体がしっかりとしてきたという事で能力に成長が追いついて来た事が調子の良い要因だと話しています。だとすると、1200m戦を走った頃は本格化前という事になります。当時とは馬が変わっているのでこの1度の敗戦を理由に評価を下げるのは危険です。また、偶然にもこの時に騎乗していたのが阪急杯で騎乗していた横山和騎手でして、馬の状態が当時とは全然違うと成長を感じ取っています。やはり馬が変わっていると判断して良いようです。今なら1200mで強い競馬が出来るかもしれません。少なくとも管理する安田隆調教師はそう思っているようで本番でも通用すると考えています。安田隆調教師ももう1年を待たずして引退となりますので大きいところを狙ってGⅠの意欲が非常に高くなっています。ここもしっかりと仕上げてくるはずです。

 

ウインマーベル

 

まず前走から振り返っていきます。シルクロードSでは7着。イメージとしては賞金持ちの叩き台ですが、厩舎としては勝って本番に向かいたいとの話でしたからそれを思うと負け過ぎです。ナムラクレアも同じような仕上げで優勝している事を考えると結果としては頂けません。ただ、このレースの敗因についてはいろいろと思い浮かぶものがあります。順に整理していきます。

 

敗因①斤量

 

ハンデ戦だったシルクロードSで課せられた斤量は59k。今年から平等に斤量が1k増えているので昨年までなら58kのイメージです。他の馬も同様に課せられているのでこの馬だけが不利と言うことはないですけど、本馬にしてみればスプリンターズSの55kから一気に4k増は楽ではなかったのかな?と思います。とは言え、ナムラクレアも3.5k増だったことを思うとこれだけを理由にする訳にはいかないところですが。

 

敗因②持ち時計

 

短距離馬としてはそれほど速い時計がありません。高速決着に強いファストフォースが2着しているようなレースでは時計が速すぎました。スプリンターズSでも1:07.8が精一杯だった馬にナムラクレアが記録した1:07.3はちょっと厳しい。遅れること1.0秒はこの馬にしてみれば頑張ったほうかもしれません。

 

敗因③ブリンカー効果

 

5戦しても勝ち上がれなかった馬でしたが、飛躍のきっかけになったのがブリンカーの装着です。前進気勢が弱いので序盤の位置取りが悪くなるような馬でしたが、ブリンカー効果で一変しました。が、矯正馬具は慣れると共にその効果は薄れます。そうならないようにと厩舎も工夫していて、ゲート裏でブリンカーを装着するなど付けておく時間を出来るだけ短くしてきました。しかし、シルクロードSでは久しぶりに出遅れて後方から運ぶ形になりました。好走していた3歳時の走りからすると立ち回りは悪くなってきたかなと言う印象が残りました。ブリンカー効果の賞味期限が迫っているかもしれません。


以上のことから、悪い要素が一気に噴出してしまった感じで力以上に負けてしまったというのは感じます。敗因①~③は解消できるものもありますが、出来ないももあります。定量戦になるので斤量面は改善されるでしょう。ブリンカーの効果については馬に聞いてみないと分からないので頑張りなさいとしか言えません。持ち時計については当日の馬場次第。巻き返せるかは五分五分なのではないかと思います。ただ、当日の天気が悪くなるようならその可能性はかなり高くなると思います。

 

この馬は短距離馬にしてはスタミナがあります。未勝利時代の分析からだとスタミナ面に見るべき所がありました。芝1500m、ダ1800mなど長い距離も走っていたのですが、バテているような感じは無く勝ち負け出来そうな走りは出来ていました。高松宮記念は道悪になる事も多い。タフな条件になると実施距離より長めの距離適性が問われやすくなります。速さ比べの度合いが薄まり、体力勝負のレースになれば浮上のきっかけとなると思います。厩舎も消耗戦が得意という認識を示していますので、時計のかかるコンディションで上がりのかかる展開になれば巻き返してもよいかなと思います。

 

ウォーターナビレラ

 

阪神JF3着、桜花賞2着と世代のトップクラスにいた馬とは思えない現状です。ゲートイン時のアクシデントやそもそもの距離適性など明確な敗因のあったオークスはともかく、以降の3戦は負け過ぎです。この近3走の状況を簡単に整理してみます。

 

クイーンS

52kで出走出来る事もあり、厩舎も勝つかどうかよりも勝ち方が問題だからと随分図々しい事を言っていました。が、絶好の立ち回りで回ってきた割に伸びきれず0.6秒差の8着。この時の敗因をテンションを上げすぎないように仕上げをソフトにしていたのでもう少ししっかりと調整すべきだったと話していました。

 

秋華賞

厩舎側は2000mまでは持つと思っていたそうです。クイーンSの敗因からも絶妙な塩梅で仕上げも前走以上でした。この時もインポケットの3番手の絶好位でしたが、負け方も前走同様に伸びきれないまま直線は流すだけと言う結果。この時は結局距離が長いんだねと言う事になったそうです。0.8秒差の12着。

 

京都牝馬S

2歳の頃から短距離馬になると言われていた馬なので、牝馬三冠から解放されてようやく適距離のレースへ出走する事になりました。厩舎もこの距離ならと威勢が良くなっていました。馬の成長もあったのか昨秋とはデキが全然違うと巻き返しに自信を持っていました。が、このレースでも3番手から伸びを欠く始末。1.1秒差の14着。この時の厩舎の敗因分析はまだ確認出来ていませんが武豊騎手のレース後談話では「本来の感じではなかった」とのことでした。


と、こんな感じです。その都度敗因らしいものを上げていましたが、この結果を受けるとそれもどうだったのかなぁ?と感じずにはいられません。①→②→③とレースを使う度に着は下がり、タイム差はどんどん大きくなっています。厩舎の仕上げや鞍上の乗り方に問題があった風には思えないので、負けるにしても接戦で負けたとか、勝った馬が強かったとかもっともらしい内容で走っていないといけなかったと思います。力なく失速していく様を見ると、単純に馬が弱くなったという身体的な問題か、馬が走るのを止めてしまっている精神的な問題に帰結した方がいいのではないかと思います。

 

この馬の様に急激な下降曲線を描いてしまう馬はこれまでも多くいましたし、そのままゲーム―オーバーとなってしまう事も珍しくありません。もっと根本的な原因でもない限りはこちらとしては買いづらいですし、仮にそれが判明したとしてもそれを信じる事が出来るかは難しいですね。1200mの出走は今回が初めてとなりますので、実はこの距離で超強いんです!みたいな大劇変を見せる事はあるかもしれませんが、それをいきになりGⅠでやられたくないですね。この馬の熱烈なファンでもない限り手をだせないんじゃないでしょうか?筋立てして買えるような状況ではありません。

 

トウシンマカオ

 

3歳の春まではマイルGⅠに照準を定めなければいけないのでなんとか頑張っていましたが、当時手綱を取っていた戸崎騎手は2歳の頃からこの距離に後ろ向きではっきりと長いと話しています。それでもGⅠで6着、8着と大崩れすることなく走っていますから能力的にはこの馬も強い4歳世代の一角として扱うべきだと思います。距離の呪縛から解放された夏以降は本格的にスプリント路線へ転戦し4・1・1・4着と古馬に交じって常に勝ち負けと言う成績で適性の高さ実証しています。ただ、本当のベストは1400mなんて話をしていた時もあったのでこの距離で常に勝ち負けと言うのも難しいのかもしれません。

 

この馬が本当に良くなってきたのは昨秋の京阪杯からでかなりのパワーアップがあったということでした。デビュー以来最高のデキに仕上げる事ができたので京阪杯で重賞初勝利となりました。厩舎曰く、力が付いたことで終いの弾け方がそれまでと桁違いで良くなったという話です。

 

実際、そのレース内容は強いものででした。京阪杯はラスト3Fの失速が極めて小さい前残りの競馬。2着が逃げ馬で昨年の高松宮記念3着馬キルロードで、3着も先行4番手の馬でした。他の馬の末脚が不発するなかこの馬の決め手だけが炸裂した内容は立派だったと思います。この馬自身も5番手の競馬だったので末脚だけで勝った訳ではないですが、実はこの5番手と言うのがこの馬の成長です。1200mに転戦してからはやはりその流れの速さに負けていて、手を動かしながらの追走でした。それが京阪杯ではすぅーとこの位置取りをキープ出来ていたのです。経験値が上がって流れにも楽に乗れるようになったのだと思います。相手関係は微妙でしたけど、この馬の勝ち方はとても強かったと思います。勝ち時計も1:07.2ならGⅠで通用する速力です。

 

前走のシルクロードSは+12kの馬体増が示す通り、高松宮記念を見据えた叩き台。休み明けにしては良いデキでしたが、陣営も勝ち負けよりも本番と同じ舞台を使う事の方に意味があったようです。ハンデも重い部類でしたので仕方無い部分もありました。また番手も京阪杯ほど取れていなかったので鞍上の乗り方にも試走感が出ています。その結果、上がりがとても速いレースだったので位置取り的にもキツかったですね。それでも終いの脚は使えていたので悪い走りではありませんでした。斤量減、叩き2走目の本番仕様で上積みの余地は大きい。時計の速い決着を走り過ぎなかったのも吉と出ると思います。

 

最後に気になる点を1つだけ。この距離に転向してから外枠からの競馬ばかりなので内枠に入った時にどのような立ち回りを採るかが少し不明確です。枠番確定後にその辺で頭を悩ます必要はあるかもしれません。それ以外に特に問題は見受けられません。抜けた馬がいない路線なのでこれだけ走れていればこの馬も候補の1頭にあげられそうです。

 

ナムラクレア

 

この馬のパフォーマンスはずっと高いままですね。シルクロードSは馬場も良かったのかもしれませんが時計の速い高速決着。ラスト2F目には10.8秒と言う超高速ラップも刻まれていてスピードを持続させる能力の他に切れ味も要求された上がりのレース。これを7・8番手から差し切るのですからとても強いですね。使った上がりはただ1頭だけ32秒台に突入していました。本当は阪神Cをステップにする案も出ていたようなのですが、本番と同じ中京コースを経験するためにハンデ戦のこのレースを選択したそうです。それで得たものは大きく、重斤量を克服して勝ったことや、1度だけ走って負けた左回りコースを攻略したことなど課題となりそうなものを一気に片付けてしまいました。1:07.3で駆けれたことで高速決着に対応する下地も強固なものとなりました。3歳の始動戦としては文句のつけようのない内容だったと思います。

 

相手関係で問題になりそうなのは進行勢力のアグリと、ちゃんと走れた時のメイケイエールぐらい。ほぼ勝負付けが済んでしまったと言って良いでしょう。道悪も大丈夫なので天候にも左右されませんから、残された不安材料と呼べるものはもうはまなかぐらいしかないですね。

 

北九州記念スプリンターズSと2戦続けてヘグった浜中騎手はさすがに降ろされるだろうと思っていたのですが、継続して騎乗させるのですから関係者がエライと思います。特にこの陣営のエライところはスプリンターズSの敗因を騎手に求めなかった事です。GⅠではあそこからもう一段伸びれるように馬を作っておかなければならないと逆に考えたそうです。

 

なので、それまでは坂路中心の調教メニューでしたが中間にCWで追うようにして基礎体力の強化に努めていました。馬をより強くして本番に挑もうとしています。小倉2歳Sの勝ち馬にありがちな早熟感はこの馬にはありません。馬はさらに強くなってくるでしょうからデキを心配する必要もなさそうです。あとはもう本当にはまなか次第です。

 

フェブラリーSのメイショウハリオは3着に来たのであまり言いたくありませんが、スタート時の絶望感は筆舌に尽くしがたいものがありました。古い話を持ち出せば、マイルCSミッキーアイルの行儀の悪さとか私は未だに根に持っています。だから中々信用出来ないなのですが、ダービージョッキーらしいところをしっかりと見せて、陣営の期待と私の予想に報いて欲しいと思います。

 

◆5歳世代

 

過去10年の5歳馬の成績は【4・3・3・36】。僅かではありますが勝利数ではこの世代が最も多くの勝ち馬を出しています。出走数の数が最も多い世代でもあるので複勝率は6歳世代に譲りますが、馬券に占めるシェア率は全くの五分。古馬になったばかりの4歳世代と違い、古馬にもまれた経験が多く、まだ年齢的に若いこの世代が最も活躍していると言えます。また、4歳世代のところで触れた良馬場で行われた過去4競走のうち、3勝を挙げているのがこの世代で、残りの1勝も4歳世代が挙げたものになっています。やはりスピードが要求される状況だとフレッシュさのある若い世代に有利になると言えると思います。特に、1:06.7のレコードが出た16年は5歳・5歳・4歳の若い世代が独占した結果でした。レースが良馬場で行われるなら4・5歳中心の予想立てが良いかもしれません。

 

グレナディアガーズ

 

阪神1400mがベストとも言える馬ですが阪急杯は伸びを欠いて7着。タイム差は0.6秒差でしたが能力と適性を踏まえるとかなり負けたなぁと思います。阪神Cでは2年とも物凄い脚で差して来ましたが同様の末脚を引き出せませんでした。前に壁を作れなかったので脚を溜める事が出来なかったという事です。それで弾けきらなかったとのこと。

 

この馬はこれまでにもNHKマイルCや昨年の高松宮記念などで同様の理由で敗戦しています。脚を溜める乗り方が出来るかどうかが生命線みたいなです。前走の岩田望騎手はテン乗りでしたからこの馬の個性をつかみきれていなかったのかもしれません。2戦目なら違う乗り方でこの馬の脚を引き出すように工夫してくるでしょう。前走だけで見限る必要はないと思います。

 

海外遠征からの帰国後、昨年秋以降はずっと調子もよく、順調に使われています。昨暮れの阪神Cも鞭を落としてしまったためのハナ差負けです。5歳になった今になっても能力減の様な話は伝わってきません。馬は強いままだと思います。

 

ただ、今回は臨戦過程に微妙なところがあります。一般的な見方では阪急杯高松宮記念の叩き台と映るでしょう。しかし、そんな事はないんです。実は、前走時の段階で次走未定となっていたのです。クラブからは阪急杯の次にどのレースを使うかの明確な方針は無かったとのこと。事実、中内田調教師はレース後に「今後は馬の状態を見てになります」と語るにとどまっています。

 

つまり、阪急杯は叩き台と言うよりも勝ちに行ったレースと捉えるのが正解です。叩き台と言う仕上げでは使っていませんから、高松宮記念を狙って獲りに来たという臨戦過程にはなっていないと思われます。2走目の上積みぐらいはありそうですが、勝負度合いは他陣営に劣っていると言えるでしょう。相手候補の1頭ぐらいの評価で今回は妥当の様な気がします。

 

ダディーズビビッド

 

この馬がどれほど強いのかはよくわからないのですが、何頭かいるGⅠ級のどれかが下手を打てばチャンスはありそうです。その他はどんぐりの背比べですからこの馬ぐらい走れていれば入着があってもいいのかな?と思います。

 

前走の阪急杯に関しては厩舎側のトーンはそれほど高くなかったので、それで2着なら厩舎も自信を持てただろうと思います。今回は意気揚々と使って来るでしょう。この阪急杯はいろいろな問題がありまして、それを克服しての好走は収穫の大きい1戦言えます。

 

まずは右回りを攻略出来たことが大きいでしょう。右回りだと外に膨れることが多いので、これまでは左回りを精力的に走ってきました。阪急杯ではインに閉じ込められていたので膨れる事も出来なかったのかもしれませんが右回り重賞で2着出来たことは素晴らしいと思います。

 

次に蹄の問題。この時期は蹄に弱い所が出てくれるので仕上げの難しい時期です。それで攻めきれないという事もあったのですが、レース前の頃になると蹄の状態がマシになって来て普通の装鉄をする事が出来たそうです。それまでは装着装鉄しか使えなかったのですが普通の鉄を打つことが出来ました。これで爪を気にする必要がなくなったので本来の末脚を引き出せたのだと思います。本番を前に痛いところがなくなったのはなによりです。

 

前走は思うような仕上げは出来ていませんから今回の上積み幅は大きく見積もれると思います。暖かくなってきたので爪の問題がぶり返すこともないでしょう。得意の左回りになるので条件面も好転します。重賞で初めて入着出来たのも印象をよくします。以上のように、この馬は全体的に上げ潮ムード。こういう状況でGⅠに出走してくるので侮れない感じが強くなっています。

 

ピクシーナイト

 

久しぶりになるので近況の状況は全く分かりません。休養前のことや、現状のスプリント路線の状況を踏まえて簡単な確認だけになりますがご了承ください。

 

予定していた阪急杯を回避しているので21年12月の香港C以来の出走になります。ノーザンF産のぶっつけローテなので近年の傾向からすると怖い所もありますが、前哨戦を使おうとしていたぐらいですからそう言うローテを採れる状況ではなかったのだと思います。予定に狂いが生じているのは否めません。阪急杯を使うために仕上げていたので馬は走れる状態にありそうですが、ここを勝ったらトウカイテイオーを超えるGⅠロングシュートになりますから常識的には厳しいと思うのですが、果たしてどうでしょうか?

 

ただ、この馬がスプリンターズSを勝った時はこの路線もまだ充実していた頃でダノンスマッシュ、モズスーパーフレアなど強いスプリントGⅠ馬が何頭かいました。その時と比べると今は相手関係が楽になっているようにも思えます。その時2着だったレシステンシアもいませんし、人気になりそうなメイケイエールもこの時に4着と負かしています。4歳世代とは未知数ながら、それ以外の世代には通用してしまうかもしれません。低迷している路線なので状態不備でも入着の可能性は残しておいた方がいいのかな?と思います。

 

当時の鞍上は福永騎手でしたが、この方がしきりに話していたことがまだまだ成長途上であったこと。本格化は4歳になってからじゃないかと話していました。スプリンターズS勝利後にも勝てるとは思っていなかったと話していたほどです。当時の姿が完成形ではなかったのは間違いないでしょう。順調に使えていたらこの路線の主役を張っていた可能性は非常に高いのではないでしょうか?この馬のポテンシャルの高さは相当高いと見ておくべきだと思います。

 

ただ、大きなケガでしたから完全に緩めてしまったでしょうし、レースを使う事で強くなる部分もあります。福永騎手がアテにした成長曲線は鈍化してしまった可能性もあります。結局、本来の姿にどれだけ近づけているかが鍵となるのですが、それを把握するのはさすがにレースが終わってからでしょう。はっきりと言える事はないですね。

 

メイケイエール

 

若い頃の気性難も徐々に解消されて来て、4歳時はGⅡ・Ⅲで負け知らずの重賞3勝馬と活躍しました。が、GⅠだけが結果が出ずに暮れの香港も含めると3戦して5・14・5着という結果に。

 

特に悪目立ちしてしまったのがスプリンターズS。弾けることなく惨敗。その前走で完璧な競馬が出来たので厩舎からはもう不安材料は無いとまで言われていましたし、仕上げも完璧で、物足りなかった馬体面にも芯が入り、外目の枠も希望通り。あらゆる面が完璧の状況、条件、状態が揃っていて、回って来れば勝てるだろうぐらいだったのですが・・・。それでも負けてしまうのですから競馬とは実に難しい。その難しさは騎乗していた池添騎手のレース後談話によく表れているので全文をコピペで掲載させて頂きます。

 

「急かさずにこの馬のスピードに任せて運びました。無理して出していってませんし、ムキになって走ってもいませんでした。それなのに、今日は前走ほどの反応がありませんでした。普段なら、残り500mくらいから加速していくのですが、それがありませんでした。中2週と間隔が詰まっていたくらいしか、敗因が見つかりません。」

 

との事。池添騎手のやるせなさが良く出ていると思います。とにかく原因不明の敗戦で思い付くのは間隔が短かったことぐらい。今回前哨戦を挟まなかったのはそれを考慮しての事なのかもしれません。

 

幸い、暮れの香港スプリントでは日本馬最先着の5着。負けたのは外国馬が強かったらで、メイケイ自身は良く走っていました。その年の高松宮記念馬も、スプリンターズS馬も寄せ付けませんでしたし、掛かり気味に先頭に並びかけに行った走りは良い意味でこの馬らしい走りでした。能力落ちは一切感じませんでした。5歳以上ではやはりこれが一番強いのではないでしょうか?

 

今回は強かったセントウルSと同条件。ビッグアーサーが保持していた中京1200mのレコードを更新する素晴らしい走りでした。この時ぐらいに走れればスピード能力は抜けているだろうと感じます。

 

同じ中京コースのシルクロードSを勝ったナムラクレアの2着も、セントウルSの2着もファストフォースだった訳ですが、クレアがタイム差無しであったのに対し、メイケイは0.4秒差の完勝。勝ち時計の差は定量戦とハンデ戦の違いによるものだと思うのでこの2戦に大した差は感じませんが、2着馬比較ではメイケイの方が抜けていることになります。人気はクレアに譲りそうですが、ちゃんと走ればまだこちらの方が上と言う可能性は小さくないと思います。

 

なお、中京競馬場は馬主のご当地です。と言うよりも、中京競馬場は馬主の持ち物です。JRAの他の9場はJRAの所有建物ですが、中京競馬場は馬主の名古屋競馬株式会社が所有・管理している物件でJRAが賃貸している形です。その中京競馬場で行われる唯一のGⅠが高松宮記念であり、このGⅠこそどうにか勝ちたいと考えているに違いありません。こう言うチャンスはなかな訪れるものではありません。昨年も同様な話は出ていましたが、本格化している今年こそ何とかしたいところです。

 

ここまでを1枚目とし「高松宮記念(GⅠ) 出走馬カルテ①」とページタイトルを変更致します。「高松宮記念S(GⅠ) 出走馬カルテ②」へは下記のブログカードをご利用下さい▼

 

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