競走馬カルテ

2・3歳重賞の出走馬を分析・記録していくブログです。

宝塚記念(GⅠ) 出走馬カルテ①

 

こんにちは。

 

2・3ケ月ぐらい前だったと思うのですが、JRAのHPで公開される出馬表に過去走のレースレーティングが記載されるようになりました。宝塚記念の登録馬においてレースレート120以上を記録した馬はイクイノックスの近3走とヴェラアズールのJCのみとなっています。120越えのハードルは結構大きいようでして普通のGⅠ勝ちでも110台後半がせいぜいと言う感じです。また、120を超えたヴェラはその後負け続けているので今は110台もキープ出来ていません。120以上を維持しているイクイノックスの対抗馬として扱えそうになくレート的には超の付く1強体制と言えそうです。

 

そのイクイノックスは天井知らずでレートを押し上げている近況でして、天皇賞(秋)で123、有馬記念で126、ドバイシーマクラシックで129。130に迫る勢いでレートを伸ばしています。このレートは出走馬のレベルに左右されるものなので国内で走る限り130越えは難しいでしょうが、イクイノックスが桁違いで抜けているのは認めざるを得ないですね。今年は非常に豪華な組み合わせとなりましたが力関係はちょっと露骨な感じになっています。相手探しに徹するしかなさそうです。

 

宝塚記念は25日(日)に行われます。前日の24日(土)には更新を完了します。宝塚記念はファン投票の結果で上位10頭が優先的に出走出来ます。更新順もそれに準じようと思います。10頭目までは投票結果の順に更新していき、11頭以下は賞金順に更新していく事にします。

 

予想案は各ページの最下部にある専用ページにまとめてあります。ブログカードを貼っておきますのでそちらをご覧ください。

 

ファン投票順


1位:イクイノックス

 

前走のドバイの勝ち方があんなでしたし、世界ランキングで1位になるしで。能力的な話を今更改めてする必要はないかなと思います。シーマクラシックに参加していた世界のトップジョッキーからも「なんだあの馬は!」みたいな感じでしたから世界トップクラスの馬と言う評価で良いのではないでしょうか?冒頭でレーティングの話をしましたが、イクイノックスの129と言うレートは次位のゴールデンシックスティの125を4も上回るものなので世界レベルで見てもちょっと抜けているほどです。だったら国内では敵無しと考えるのが普通だと思います。ただ、それでもルメール騎手の中ではアーモンドアイの方がまだ全然強いと思っているようですね。

 

でも、イクイノックスはアーモンドが負けた有馬記念を圧勝しましたし、そんなアーモンドが宝塚記念に出ていれば死角は少なくなかったでしょう。中山内回りのGⅠを2着、1着と走っているイクイノックスに阪神2200mの条件が問題になるようには思えません。全盛時のアーモンドが今回出走していてもイクイノックスの方が人気になるでしょうし、勝ってしまうのではないかと思えます。と言うか、引退した名馬と比較するぐらいしか今のイクイノックスの強さを語る事が出来ないのが実情です。今の古馬勢と力関係を議論するのは無意味です。秋になってリバティアイランドと対戦する段階にならないとそう言う議論は出来ないでしょう。

 

今回は初の関西圏での競馬となります。これが死角となりそうですがご存じの通り早い段階から栗東滞在で調整されています。美浦の坂路が改修工事で使えないため、安田記念週の後半には移動しています。移動して来た当初は少しソワソワしていたそうですが今は慣れていて落ちついているそうです。調整も順調そのものとのこと。栗東の人々は間近でイクイノックスを見ることになった訳ですがやっぱりこの馬は凄いねと言う風になっていてこの馬の存在は栗東でも既に際立っているようです。イレギュラーな調整となりましたがこれがマイナスになる事はないと思います。むしろ輸送面の問題をクリアしていると考えればプラス材料の方が多いと言えます。力を出せる仕上がりにちゃんとなっているんじゃないでしょうか?

 

ちょっと気になっているのですが、有馬記念で折り合いを欠いていたから弱点が無いわけではないという意見をちらほらと目にします。また、ルメール騎手自身も前走は少しテンションが高ぶっていたと話していて、だから逃げたところがあったようです。そう言う意味では気性面が100点満点と言うことではないのだと思います。でも、折り合いを欠いてあれなんでしょう?と言うところはあって、その状態で走っても他の馬は敵わない訳です。折り合い面が弱点になるのかもしれませんが、それを補って余りある絶対的な能力差はやはり認めないといけないと思います。

 

不安材料となるのはもうアクシデントだけ。この春はレース中のアクシデントが何件かありましたからそう言う事が無い事を祈りたいと思います。どうかご無事に。

 

3位:ジェラルディーナ

 

重賞初制覇だったオールカマーを皮切りにエリザベス女王杯でGⅠ勝利、有馬記念3着とアゲアゲだった昨秋と比べるととても物足りない5歳春を迎えています。今年の2戦を振り返ると順調さを欠いていると言えるでしょう。

 

この春はスタート時点から躓いてしまっている印象です。大阪杯を目指して帰厩してきてすぐに皮膚病を発症しました。これで調整スケジュールに狂いが生じます。大阪杯は8分程度の仕上がりだったそうです。香港への遠征を見越していたので大阪杯をメイチで獲りに来ていた訳でもなかったのですが完調に仕上げられず叩き台の様相がより強くなってしまった印象でした。

 

それでも香港で結果が出ていれば良かったのですが掲示板に載ることすらできない6着は物足りません。具体的な話は聞いておりませんが、リアルタイム配信をしていたyoutuberさんの動画ではパドックからテンションが高くなっていたという話で冷静さを欠いていたような感じでした。もともと1度使うとテンションが上がりやすいタイプでしたがそういう短所が出てしまったのかもしれません。

 

以上のように、近2走は負けるべくして負けていた感じが強いので結果そのもは度外視すべきだと思います。流れが悪くなってしまった点は気になりますが立て直せていれば侮れない1頭でしょう。昨秋の成績からも力が足りないという事は無いですし、エ杯を勝った同じ舞台でですから適性面を危惧する必要もありません。取捨の判断や印の評価は力を出せる状態にあるかをチェックするだけで良いと思います。昨秋のデキとまではいかなくてもそれに近いところまでもって来れているならOK、そうでないならNG、怖ければ△ぐらいの認識です。中3週で遠征した前走よりは間隔を取れていますから悪い流れをリセット出来ていれば良いなと思います。

 

5位:ジャスティンパレス

 

有馬記念がマーカンド騎手、阪神大賞典天皇賞(春)ルメール騎手と近走は外国人騎手が手綱を負かされてきました。ルメール騎手がイクイノックスに乗る事は明白でしたので予めトップジョッキーを手配することも出来たと思うのですが元鞘と言う形で鮫島騎手が再びこの馬の鞍上を負かされることになりました。この乗り替わりは良いと思います。神戸新聞杯を勝てると思っていなかった厩舎の担当者は鮫島騎手が上手く乗ってくれたから勝てたと鞍上の功績を高く評価していました。この馬の良さを把握している最強の相棒と言えると思います。最近では僅差2着だった桜花賞で川田騎手から「お前に勝たれたかと思ったわ」っと騎乗を絶賛されていたのが印象的です。リズムが今は良さそうです。ルメール騎手からの乗り替わりも大きなマイナス材料とならないかもしれません。

 

前走でGⅠ初制覇となりました。その天皇賞(春)は久しぶりに京都競馬場で行われた訳ですが、前回の京都開催だったのがフィエールマンの2度目の勝利の時でした。勝ち時計はその時より0.4秒速いもであり、稍重で出た結果だったことを踏まえますと時計的な価値はあったように思います。ただ、以前から京都で行われる天皇賞(春)はスローで流れて直線の瞬発力勝負と言うのが相場となっていて今年もその例にもれません。59.7→62.3秒→62.2秒と中盤から後半にかけてしっかりと息を入れらたスロー展開です。よってラスト3Fがオール11秒台でまとめられた上がりの競馬。最後は瞬発力の優劣が勝敗を決めたレースだったと言えます。歴代と比べて特別強かったという内容ではなくあくまで標準級のレースだったと言えるでしょう。スーパーレコードだったキタサンブラックの17年より4秒近くも遅いのは少々物足りなくも感じます。ただ、そのキタサンがレコード走の反動で宝塚記念を1番人気で大敗した事を思うと走り過ぎていない事が吉と出るのではないか?という考えが成り立ちそうです。レースの立ち回りも悪くなかったですし、負かした相手が3年連続2着のディープボンドでしたから昨年のタイトルホルダーぐらいの評価をしても良いのかなぁと言う気はして来ます。

 

また、この馬は今充実期ですね。4歳初戦の阪神大賞典でプラスの16k。これはほぼ成長分であったそうで天皇賞(春)でも増減なし。多少緩かった部分はあったかもですがそれらが血肉となってこの馬をより強くしています。身体的に強化されたことで強い調教を課すことも出来るようになり強さを増している現状です。成長度、充実度ではイクイノックスに引けを取らないかもしれません。ただ、阪神大賞典はその後の事を考慮して賞金加算をしておきたいと休み明けの割には仕上げた状況で馬を使っていました。前走辺りがピークで今回は大きな上がり目はないかもしれません。

 

とは言え、どの馬も目標のレースを使った後の春の最終戦です。上がり目が乏しくなるのはどの馬も同じでしょう。この馬は上昇曲線中の馬なので疲労度を充実度が上回る可能性は十分あります。勝負可能な状態は維持してくると思います。後は展開が向けばと言うことになります。前回も指摘したようにこの馬の勝利は全て上がりの競馬で瞬発力が勝負の決め手となったものでした。天皇賞(春)もこの馬向きの上がりの競馬。ドンズバな展開でした。持続力や機動力が勝負の決め手となる宝塚記念ではそう言うレースになりません。長く良い脚を使える事が重要です。そう言う展開でどこまでやれるか?になります。

 

6位:ディープボンド

 

天皇賞(春)は3年連続の2着。有馬記念も含めるとGⅠ2着が4度もあります。悲願のGⅠ制覇は未だ達成されていません。天皇賞(春)の成績を考えると菊花賞こそGⅠを勝つチャンスだったかもしれません。この世代は総じてレベルが低いことや距離が長かったコントレイルの辛勝だった事実を踏まえると、この馬が菊花賞を本気で獲りに行っていればと言う気持ちになって来ます。なんか可哀想な馬ですね。馬主からはコントの偉業を邪魔するなと言われていましたし、レースではコントの先導役だったりと自分の競馬をさせてもらえませんでした。今となっては本当にもったいなかったなぁと感じます。そんな本馬も既に6歳。残された競走生活も残りわずかとなりました。

 

天皇賞(春)は今年も完璧に乗っているんですよね。位置取りも良かったし、直線先頭で抜け出したレース運びは昨年よりも上手かったと思います。ただ、ジャスティンパレスにマークされていたのは良くありませんでした。最初のスタンド前から1馬身後ろにジャスティンが付いて回っていました。勝負所ではこちらが早めに動いたのですが恰好の的になってしまった印象でこの馬が先頭でいられたのもほんのわずかな瞬間でした。こうなると瞬発力のあるジャスティンが有利ですからあっという間に交わされて2馬身半。この馬もジワジワ伸びて後続を完封していましたが速い上がりを使えない欠点が決め手の無さとなって現れてしまいました。京都コースだとこういう結果になりやすいですからやはりこの馬向きのレースにはならなかったとなぁ思います。立ち回りは本当に良かったんですけど。残念でした。

 

本質体に消耗戦や体力勝負で強さを発揮するので上がりが速くなりやすい条件ではあまり良さが出ません。そう言う意味では阪神に戻るのは良いですね。宝塚記念はキレキレの上がりは要求されません。35秒台中盤ぐらいで決まるならこの馬にも出番があってもいいと思います。

 

ただ、やっぱり距離の2200mはこの馬には短いのかもしれません。4着だった昨年の宝塚記念のラスト3Fは11.9-12.0-12.4とこの馬向きの消耗戦であり、レース上がりも36.3秒と時計を要すものでした。それでも4角3番手から粘り込めませんでした。中距離適性で負けたという見方をして良いと思います。このぐらいの距離だとこの馬のスタミナが活かしにくいのだと思います。レースの流れには乗れていましたが2200mだと中距離適性馬もバテませんからスピード負けする可能性があるのだと思います。直線の追い比べで何かに差されるシーンは今年も想定しておくべきかもしれません。馬券になるには乗り方に工夫がいると感じます。

 

年齢的なことから加齢によるピークアウトが懸念される頃合いですがそういう話は特にされていません。まだ成長していると厩舎は話しているぐらいです。さすがに成長しているとは思えませんが力が落ちているという事もないのでしょう。これまで通りの力を発揮出来るならイクイノックス意外とはそう差が無いように思います。有力馬の失策や展開が向いた時に馬券圏内に入着している可能性は多少残っているかもしれません。

 

7位:アスクビクターモア

 

天皇賞(春)は本命にしたタイトルホルダーばかり見ていたのでレース中にアスクビクターがどんなレースをしていたかの記憶が全くありませんでした。タイトルが競走を中止した事でもうどうでも良くなっていたので結果もろくに知りませんでしたがまさか11着だったとは。なんか思いっきり負けていますね。

 

でもこれは力負けでもなんでもないですね。レースを見るとタイトルをマークしているようなレース運び。横山武騎は戦前から策を練っていてつかず離れずのところからだしぬけをくらわすつもりでいたようです。しかし、ご存じの通りそのタイトルが故障発生で3角過ぎから失速。ラチ沿いのすぐ後ろでマークしていたアスクビクターもそれにつられて位置取りを下げることになりました。その間に外からどんどん交わされてしまい3番手だった番手が中段ぐらいまで下がっています。こうなるとこの馬のスタイルではないですからもうアウト。差しポジションから必死に追うという姿勢は人馬共にありませんでした。直線に入ってから横山武騎手が入れた鞭は1回。後は見せ鞭で促していただけ。アスクビクターもそれに応える事が無く加速しないまま入線しました。アクシデントの被害馬と言う評価が妥当で力を出すことなくレースを終えています。

 

その前走だった日経賞も出遅れと不良馬場でヤラズなレース。今年の2戦は全く競馬をしていません。凡走ばかりが続きましたが全くの度外視でいいですね。この2走はいずれも力を全く使っていません。ダーメージすらなかっただろうと思うぐらいです。春3走目となりますが8頭出走するGⅠ馬のなかでは一番フレッシュなんじゃないでしょうかね?

 

だとしたら本来の姿をもう一度思い起こして評価する必要がありますね。天皇賞(春)を勝ったことでジャスティンパレスがイクイノックスに次ぐ評価となりそうですけど、元々の評価はアスクビクターの方が全然上であったはずです。ハイレベルのダービーで3着でしたし、菊花賞をレコード勝ちした馬でもあります。世代的にはイクイノックス、ドウデュースに次ぐ評価だったはずです。今でもジャスティン以上の評価が必要な馬かもしれません。

 

適性面にも気になるところはないですね。厩舎側の評価はデビューの頃から本質的なステイヤーと話していました。だから本当に勝ちたかったのは天皇賞(春)の方だったでしょう。でも菊花賞も辛勝でしたし3000mがベストと言う印象はそんなに感じません。2000m以上の中長距離ぐらいがベストのように思います。菊花賞を勝った事で輸送競馬も阪神コースも攻略済み。先行力も機動力もあるので内回りに適した性能もあります。中山コースで成績が良い馬ですから求められる適性が近い阪神コースは京都よりも向いているでしょう。

 

4歳になり目立った成長はないようですが気性面は3歳時より良くなっていてコントロール性が上がっています。かつては常に全力疾走と言うタイプでしたけど今は落ち着いて走れるようになっています。精神面で暴走する心配はもうありません。今年に入って不運続きですが状態はいつも良かったです。天皇賞(春)も勝負所まで手応え十分に進められていました。アクシデントが無ければディープボンドよりいち早く抜け出していたでしょう。勝ち負けまではともかく2着争いには加われていたのではないか?と思います。能力が低下したとか、成長度の高い馬に逆転されたというのはまだ無いと考えておく方が良いと思います。

 

鞍上は前走に引き続き横山武騎手。厩舎としては田辺騎手の方が良かったようなのですがどうも牧場サイドが動いたようですね。今年に入り社台ファームが横山武騎手の依存度を高めているのは有名な話です。アスクビクターも横山武騎手にチェンジする機会をうかがっていたそうです。日経賞の出遅れがそのきっかけとなりました。個人的には田辺騎手の方が良い気もしますが横山武騎手も2度目になるのでより良い騎乗をしてくれると思います。この点に関しては可も不可もない感じですね。

 

10位:ヴェラアズール

 

衝撃的な上昇曲線でJCまで勝ってしまいましたがその後が頂けません。が、敗因はしっかりとしています。JCがピークで上積みのなかった有馬記念。輸送が堪えて到着後の上がり目が乏しくなってしまったドバイWC。近2走は状態面に原因があり絶好調と言う状態で使えなかったようです。近2走の敗戦に捕らわれず正確な評価をした方が良いでしょう。

 

ただ、京都大賞典の勝ちっぷりはとても良かったですが、JCは出走馬のレベルに疑問が残ります。これは当時から指摘しておりましたが「今年のメンバーなら」と言う前提があってのレースでした。JCの前後に行われた天皇賞(秋)有馬記念と比べてタレント不足なレースだったと思います。だから足りないというのは早計になりますが、超一線級相手に結果を出している訳でもないので能力的な評価を難しくしています。

 

また、JC優勝は鞍上に迎えたムーア騎手の功績が大きい。この馬の特徴として序盤から急かして動かして行くとが出来ません。基本的には後方マイポジションがこの馬のスタイルです。しかし、JCでは中団馬群のインを確保して追走していました。これには現場スタッフも「こんなにも馬を動かせるのか・・・」と驚いたのだそうです。ムーア騎手失くしてJC優勝は無かったと言えるでしょう。松山騎手にこんな騎乗が出来るのか?と言う問題になって来ますが、有馬記念では出来なかったですね。

 

脚質の話が出たのでもう少し補足したいと思います。もう6歳なので後方から競馬を進める現状のスタイルはなかなか変えられないでしょう。今回もそう言う競馬になってしまうと思います。問題はその脚質で阪神の内回りを攻略できるかと言う事になります。芝に転向してからJCを勝つまでは全て最速上がりを記録しているので脚力そのものはあるという認識で良いのですが、如何せん直線ズドン型なので勝ち鞍は外回りや府中の様な直線の長いコースに偏っています。内回り条件の中山2500mは3勝クラスでも取りこぼしています。走りを見ると機動力が弱いようで3~4角で捲り切れず直線入り口で前との差を詰め切れていません。コーナー部分で急かしてしまうと末脚の破壊力もイマイチになっているように思います。阪神2200m向けの末脚を持っているようにはちょっと思えないですね。有馬記念を使う際に厩舎側も広いコースの方が合っているというのは認めていました。宝塚記念も同様に考えて良いと思います。

 

力関係的にもまだ微妙なのに適性の面でも劣るとなると全体的な評価は高くなりません。近2走の敗因は認めても今回は強気になれる材料は多くないのではないかと思います。

 

19位:ドゥラエレーデ

 

2歳GⅠ馬が春の段階で古馬GⅠに挑む。これはマイル路線のドルチェモアと同じです。それもそのはず馬主はどちらもスリーエイチレーシング。でも、使い方がめちゃくちゃな様に感じます。当初のローテになかったところを平気で使って来ます。ドルチェの場合も使う予定の無かったNZTを使ったり、厩舎が使うつもりの無かった安田記念に参戦したりと。このドゥラエも然りで、ケンタッキーダービーを使う予定が脚元の不安で回避。だったら日本ダービーでも使おうかと完調前の状態で出走。それでやれるつもりでいたようです(落ちましたけど)。当然、次走宝塚記念なんて話はありませんでした。ドルチェもドゥラエも使い方が場当たり的で高度な戦略の元に使われている感じはないですね。期待していたのに何で走らないんだ!的なモヤモヤした気持ちを消化できずにいるのかもしれません。それで結果が出るなら良いのですけど安田記念では結果が出ませんでした。宝塚記念では結果が出るのでしょうか?

 

ドゥラエ自身はマイルのドルチェほど弱くはないと思っています。特に凄いなと思ったのは2着だったUAEダービーです。これは本当に優秀でした。距離と時計の帳尻を合わせると古馬のWCを勝ったウシュバシュテソーロの2~3馬身前を走っている計算が出来てしまうのです。それだけ3歳のダート部門は強いんだと思います。先週のユニコーンSを勉強していてもレベルの高さはひしひしと感じました。今年はかなり骨っぽいと思いますね。そこで2着と走れたドゥラエも良い線いっていると思います。だからこそここじゃないだろう?って感じがするのです。2週後のJDDに出走していれば面白かったのではないでしょうか?今年の夏は大井が熱いのに・・・

 

ドバイの比較からするとこの馬は古馬と互角にやれる計算が可能でWCに出ていたジオグリフぐらいには先着するのかなぁ?なんて思ったりもします。でも、芝と砂では力関係が同じではないですから難しいですね。特に芝路線では3歳馬のレベルは懐疑的な世評となっていて私もそうなんだろうなぁと思います。実際、安田記念ではドルチェの他にNHKマイルCの優勝馬が挑んで壁を感じさせました。シャンパンカラーが14着、ドルチェに至っては6馬身差の最下位。4k差があって、適性もあってこの結果。世代格差は感じざるを得ません。カテゴリーの違うレースですから事情は違うのかもしれませんが4k差だけでドゥラエを強く推せる話は出来ないですね。

 

以上を踏まえますと、計画的にここまで来たという馬ではないですし、場当たり的な出走経緯から勝ち負けを期待出来る状況とも言えません。ポジティブに評価してもここはチャレンジ案件とするしかないので斤量差を活かしてどこまでやれるかと言うぐらいしか言えません。判断は皆様にお任せ致します。

 

条件的には前走よりは好転すると思います。決め手の弱いタイプで持久力や体力勝負で強いので府中2400mよりは阪神2200mの方が向いているとは言えます。ただ、ダービーの2400mでもやってみないと分からないと話していましたから2000mぐらいまでが良い可能性も多少あって2200mも微妙な感じ。ドンとこい的な距離適性でもないのだと思われます。状態面に関しては前走以上と言う認識が持てます。海外遠征後で調整が難しかったこと、脚元の不安明けだったことなどからダービーで絶好調のデキに作れませんでした。叩いた上積みは期待出来る状況で今回の方が良くなっていると思われます。

 

31位:ダノンザキッド

 

この馬の扱い方は間違っていたなぁと今は反省しております。

 

2年続けて大敗した中山記念をはじめ中山コースでパフォーマンスを低下させていたことからコーナー4つの1周条件がこの馬に向いていないと考えていました。本当にそうなら大阪杯で3着する事は不可能であったはずです。実際はそうじゃなかったという事になります。どうも中山で結果を出せなかった事に違う理由が存在していたようです。長距離輸送した時に当り外れがあるらしく、上手くいかないとイレ込んでしまいそれが原因で競馬振りが悪くなっているのだそうです。そう言えば府中の毎日王冠も、前走の中山記念もゲートでテンションが上がりやらかしていましたね。輸送のない関西圏のレースに失敗と呼べるものが無いのがその証左です。だとするとワンターンコースや直線の長いコースに適性があるというそもそもの分析も正確さを欠きます。走りの質の優劣をコースレイアウトに求めるべきではありませんでした。この考えをご破算にする必要がありそうです。

 

そうするとどんな条件でも力を出せる力のある有力馬と言う答えが導き出されてきます。2歳時を最後に勝ち鞍はありませんがGⅠやGⅡで好走を続けたこの馬も上位勢力の1頭に数えるべきなのかもしれません。宝塚記念も勝ち負けはともかく馬券候補になりうる馬として評価を高める必要があるかもしれません。

 

ただ、ここまでの臨戦過程はお世辞にも良いとは言えないですね。本当は中山記念を叩き台としてドバイに遠征するのが当初のプラン。それが中山記念で枠内駐立不良となり、レース後1ケ月の出走停止&停止期間の満了後に発走調教再審査と厳しい制裁を受けることになりました。これによりドバイへの遠征を取りやめて目標が大阪杯にスライドされました。そこで3着と走れたようにリカバープランは上手くいったのですが、再び海外に活路を求めて遠征して失敗します。7頭立ての5着と敗退。暮れの香港Cの時の様な迫力のある末脚は発揮されませんでした。前走も輸送が気性に影響を与えたのかもしれません。GⅠを短期間に2戦もしていますし今季4走目で上がり目なんて期待出来ないと思います。フレッシュ度では一際分が悪い感じです。

 

ここまで何度も触れてきていますが管理する安田隆調教師は今年度がラストイヤーと言うことでこの馬に限らず出れるGⅠには積極的に使って来ます。そう言う事情を深読みするとあまり良い印象にはなりませんね。状態についてもいつもいいよ、いいよと言う感じで今回も悪いコメントは出てこないと思いますが、積極的に買える評価材料は出てこないと思います。

 

なお、輸送の無い阪神コースはプラスになると思いますが、距離の2200mはこれまでの最長距離となります。マイラーよりの中距離馬と言う戦績ですからプラス材料には出来そうにありません。条件的にも半々ですね。

 

39位:カラテ

 

GⅠには昨秋にチャレンジして天皇賞(秋)が6着、JCが8着。タイム差がいずれも0.7秒差だったことからトップクラスとの力差がちょうどこのぐらいと言うことなんでしょう。着差にして3~4馬身。フレッシュな4歳中心の勢力図のなかで7歳馬がこの差を埋めるのは厳しいのではないかと思います。GⅠでこの程度の差で走れていれば悲観したものではありませんが、同様の相手と戦う訳ですからやはり悲観すべき力差だと思います。厩舎側も相手が強いという事は当時認めていましたが府中コースがこの馬に向いているという事でチャレンジ精神で挑んでいたのが実情です。

 

そう言う意味では今回はこの馬向きの条件ではありません。昨秋の挑戦よりも無謀なチャレンジと言う気がします。その懸念を払拭するために前走で阪神2000mの鳴尾記念に出走しました。ここで勝ち負け出来ればと言う条件付きで宝塚記念出走を視野に入れていました。結果は9着でしたがインの狭い所を器用に立ち回れていたのでレース振りは良かったですね。直線は進路が無いので追えずに流しただけと言うものでそう悪い内容ではありませんでした。これぐらい走れればと言う風に厩舎は捉えたのでしょう。これで3度目のGⅠチャレンジとなります。強敵相手にどこまでやれるでしょうか?

 

馬の状態は7歳になっても凹んだ感じはないですね。今年は京都記念から始動する予定でしたが脚をぶつけてしまったので新潟大賞典からとなりました。あまり良い状態にもってこれていなかったのと、59kのハンデから厩舎も楽ではないだろうと考えていたそうです。が、不良馬場をものともせずに勝ってしまいました。この勝利から力は衰えていないと考えて良いと思います。

 

ただ、新潟大賞典にはちょっと曰くが付いています。不良馬場で内を嫌った馬が一斉に外に回したためゴチャついてしまい力を出し切れない馬が多かったそうです。逆にインを突いた1・2着馬はスムーズに周れた事で楽に抜け出す事が出来てしまいました。3着以下が8馬身も離されたのがその証拠。立ち回りが功を奏したというだけでこの馬だけが強かったという事ではなさそうです。6歳時より強くなったという事もないでしょう。GⅠ級との力差に変化はないと思います。

 

なお、この馬もマイラーよりの中距離馬ですが2200mは守備範囲だと思われます。天皇賞(秋)→JCと臨戦する過程で距離は伸びても問題ないとか、ダメだと思ったら最初から使っていないと厩舎は強気に話していました。実際、タイム差は同じだった訳ですから距離が伸びてもパフォーマンスに変化はありませんでした。この距離でもこの馬の力は出し切れるはずです。

 

42位:ライラック

 

(結果的には出走できましたが)滑り込み出走となったプラダリアよりも賞金が無かったですからファン投票選出で出走可能となりました。ファンに感謝といったところでしょうか?阪神2200mはエ杯3着の舞台ですからファンの後押しで良いところを見せて欲しいと思います。

 

そのエ杯でハマればこのぐらいの走りは出来るという所を見せました。後方から3~4角でマクりをかけて直線豪快に追い込ん出来ました。ただ、そうは言っても今年の2戦を見るとなかなかハマりそうにないですね。日経賞も、目黒記念も消耗戦で失速率の大きいラスト3Fでしたから展開的には向いていたのですがエ杯の様には詰め切れませんでした。

 

その理由は簡単で牡馬を相手にすると脚が足りていないのだと思います。いくらGⅠだったとは言えエ杯は牝馬限定戦。GⅡでも牡馬相手では前はなかなか止まってくれませんし、この馬以上の脚持ちも少なくありません。また、エ杯で最速上がりを記録したのはジェラルディーナでして、ライラックの末脚は所詮2位上がり。この馬の末脚が際立っていた訳ではなありません。

 

また、担当者は「どうせまた後ろから競馬するんだろ!」といつもふて腐れていてデムーロ騎手の騎乗スタイルに不満を漏らしています。確かにこの乗り方を続ける限りは勝ち負けは難しい。GⅢぐらいまでレースグレードを下げないと厳しいかもしれません。

 

今回は上がりを上回れなかったなかったジェラルディーナもいますし、イクイノックスはじめ末脚自慢も何頭かいます。この馬の脚力では全く際立たないと思います。よほどハマったとしても掲示板に来れれば御の字ではないでしょうか?

 

なお、状態は4歳になってからずっと良いですね。目黒記念の時はとても充実していたように思います。それだけに乗り方がもったいないという感じになります。もう少し工夫があればと思うのですが。デムーロ騎手、今回はどうでしょう?

 

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