競走馬カルテ

2・3歳重賞の出走馬を分析・記録していくブログです。

有馬記念(GⅠ) 出走馬カルテ② 2023

 

こんにちは。

 

こちらは、

の、続きになります。↑ではジャスティンパレス、タイトルホルダー、ソールオリエンス、タスティエーラ、ドウデュース、ディープボンドを更新しています。こちらのページではそれ以外の馬を更新していきます。有馬記念は24日(日)に行われます。前日の23日(土)には更新を完了します。

 

予想案は各ページの最下部にある専用ページにまとめてあります。ブログカードを貼っておきますのでそちらをご覧ください

 

 

13位:スターズオンアース

 

久々だったJCで5番人気ながら3着。その時の予想で指摘しましたけど、オークスの走りを比較してリバティアイランドとパフォーマンスに違いがなく、おそらく力は同等だろうと話しましたが、そ通りの結果になりました。2kの斤量差で0.1秒差に走りました。最内枠からセコ乗り出来たリバティに対し、17番枠で序盤から脚を使ったスターズの走りは実に立派でした。負けて強しと言う言葉が出て来ます。

 

JCのレース後に元騎手の安藤勝さんや田原さんは揃って同じ事を話しているのですが、リバティの川田騎手は途中から2着狙いの競馬に切り替えていたと指摘されています。だとすると、イクイノックスを負かしに行ったらスターズに交わされていたという事でしょう。桜花賞でスターズを勝たせたのは川田騎手でしたからそれに追い負ける可能性をすぐに察知出来たのかもしれません。

 

また、当時の鞍上ビュイック騎手もこの馬のポテンシャルの高さに興奮気味となり、かなり良い感触を得ていました。リバティアイランドのみならず、イクイノックスも負かせるつもりでいました。さすがにイクイノックス相手にそこまでは言い過ぎでしたが、リバティ相手にはある程度ビュイック騎手の言う通りだったと言えるでしょう。

 

JCの結果は現役最強牝馬の候補が2頭いる事を世に知らしめたと言えそうです。この2頭の対決も来年の楽しみの1つとなるのではないでしょうか?

 

陣営が言うこの馬のベスト条件は府中2400mだとのこと。確かにそれに違わない走りをJCでも見せました。だとすると中山2500mが一番良い条件ではないのでしょう。ですが、秋華賞僅差3着、大阪杯僅差2着と中山内回りと類似するGⅠでタイム差無しの戦線を演じていますから、この条件が悪いという事にはならないですね。また、距離もあった方が良いというニュアンスで2400mと言う言葉が使われていますから、距離の誤魔化せる中山2500mも全く問題を感じません。

 

ベストではないにしろ、状況証拠を積み上げると中山2500mも限りなくベスト条件に見えて来ます。だからルメール騎手もこの馬をチョイスしたのではないでしょうか?名手の理想にこの馬のイメージは合致するのでしょう。目立っていた出遅れ癖もここ2走は素晴らしいスタートを切るようになっていて、好位で競馬が出来ているのも印象点を良くします。

 

また、桜花賞ではとても出て来れないような狭いところを突く根性を見せて勝利しており、勝てはしませんでしたが秋華賞大阪杯でも馬群の中を縫って勝ち馬に迫っています。進路がわずかにあれば躊躇なくそこを突ける器用さはトリッキーな有馬記念のコースを攻略するのにとても重要な素養です。

 

以上の事から、この馬の特徴・個性を確認すると、最も欠点の少ない馬だと言っていいかもしれません。どんな乗り方をしても必ず脚を伸ばしてくれるので、信頼度は抜群に高くなるでしょう。よほどの外枠を引かない限り好走を果たすのではないかと思います。

 

書けば書くほど無敵に思えてくるから不思議です。イクイノックスがいたので、裏街道的なGⅠを歩いてきたので注目度が低い馬でしたが、JCの走りで実はとんでもなく強い馬だったという事がだんだんと見えてきました。少なくともタイトルホルダーやドゥデュースを上位人気にしたファンにはそう実感させたでしょう。ここを勝てば現役最強牝馬のみならず、現役最強馬としてイクイノックスに替わるスターに上り詰める存在にもなり得ます。そうなるといいなぁと私も思っております。

 

状態面はまだ上があるのではないでしょうか?JCも1週前はまだ緩さがあったそうで、当週でグンとよくなったという状況でした。何とか良い状態にもって来れたという印象があったので、今度はもっと仕上げやすいと思います。脚元が弱く、幾度か休養を余技無くされた馬なので、その不安が再燃せず、とにかく順調にレース当日を迎えて欲しいところ。不安材料は馬自身の体調管理のみだと思います。

 

15位:ドゥラエレーデ【回避】

 

19位:スルーセブンシーズ

 

宝塚記念がイクイノックスの2着。単独渡った凱旋門賞が4着。あとはもうGⅠを勝つだけってところまで来ています。しかし、規定通りなら引退の時期も迫ります。遅れてきた超大物牝馬は本当にやって来るのが遅すぎました。サラブレッドにはアンチエイジングも年齢詐称も出来ませんから、春には種付けされてしまうんでしょう。

 

急にスターダムに乗ってしまった印象なので一体どういう馬なのかが判然としません。現時点分かっている特徴は端的に言って2点。長ければ長い程よいと言う長距離馬であること、相当な道悪巧者であることです。

 

3歳の頃から長距離志向は強く、桜花賞を目指すようなローテは組まれませんでした。初重賞制覇した中山牝馬S1800mも距離が短いと陣営から不安材料に挙げられていたほどです。3000m級のステイヤーと言う訳ではさすがにないですが、2400m前後の距離が走りごろと考えられています。有馬記念の2500mは全く問題ないはずです。

 

凱旋網賞を目指すぐらいの馬なので、道悪適性に関してもとても高いものがあり、若い頃から認識されていたこの馬の個性です。オークスに出走した時も道悪ならかなりやれると当時の陣営は語っていました。キャリアが少ないだけあって、国内の道悪経験は3戦しかないのですが、2勝していて、残りの1戦もタイム差無しの2着でした。稍重だった今年の凱旋網賞も後方から差を詰めていました。これは相当なパワータイプでしょう。有馬記念も雨でも降れば評価3割増しぐらいで良いと思います。

 

上記の個性を反映してか、ここまでのキャリアで府中の様な時計の出やすい条件で使われたことは殆どなく、実績もほぼ中山オンリーという感じです。上がりのかかるタフな条件の方が良いので、こういう成績になったのでしょう。33秒台の末脚も1度しか使った事が無く、それも中山で記録しているほどで、このコースでこういう上がりを使えるのだからただの巧者じゃないですね。有馬記念でもこの馬だけ違う脚色で伸びて来るかもしれません。

 

距離、馬場、コースと適性を確認しましたが、まぁ、要するに中山2500mはこの馬の超ベストなコースですね。数を使われていないので、本当は条件を問わない強味もあるかもしれないですが、現状では有馬記念が一番力を発揮出来るGⅠである事は間違いがないことでしょう。

 

問題は遠征帰りの1戦であることですね。こういうローテも昨今珍しくなくなりましたが、欧州の遠征は他の遠征地と比べてもタフさを強いられますから、馬によってはダメージが残りやすい印象があります。キセキやディープボンドの様に強くなって帰ってくる馬もいれば、タイトルホルダーの様に全盛期に戻り切れない馬もいます。一概に言えないところで、判断は難しいですが。

 

ただ、この馬の場合、悲願を背負って行ってくる!みたいな鬼気迫るものはなく、ちょっと行って見ようかな?程度の軽い感じで遠征して、結果も出しちゃった馬なので、案外へっちゃらだったりするかもなぁと個人的には思っておりますが。しかも、凱旋門賞で背負っていた斤量は58kでしたらから、有馬記念の56kなんか軽くてしょうがないんじゃないでしょうか?前走よりはずっと楽な条件だと思います。最終的には厩舎の評価待ちですけど、状態面はあまり気にしなくてもいいような気がします。

 

なお、鞍上はルメール騎手がこの馬を選ばなかったので宝塚記念の時に騎乗した池添騎手になります。この時、池添騎手が選ばれた理由は、父ドリームジャーニーの主戦騎手だったからだそうです。父をよく知っている人を起用したいと関係者が考えたことで声がかかりました。

 

池添騎手は宝塚記念も、有馬記念でも兄調教師の管理馬で、自身も大事にしているプラダリアがいるのですが、躊躇せずにセブンスルーを優先しました。池添騎手もその気になっている証拠だと思います。オファーの理由がジャーニー絡みですから、池添騎手も粋に感じているのでしょう。グランプリ男の血はきっと騒いでいるはずです。

 

20位:ライラック

 

2歳の弟アドミラルシップがホープフルSに登録していますね。馬主の芹澤氏の所有する現役馬はライラックとこの弟の2頭だけ。2頭はどちらも相沢厩舎で管理されています。弟は抽選対象なので出走出来るかは分かりませんけど、この陣営は年末に勝負を賭けて来たようです。

 

それにしても、この馬がファン投票枠で出走ですか。宝塚記念では42位だったんですけど、今回は20位で堂々のランクインって感じです。この半年で何がどう変化したのでしょうか?ダービー馬シャフリヤールより上なんですから、凄い人気ですよ。驚きました。

 

エリザベス女王杯は4着。昨年の2着に続き良く走ったと思います。敗因は枠でしょう。①-②-③の馬番順に決着したレースでしたから。レースも上位3頭はラチ沿いべったり。最終コーナーまでそのまま回って来て直線だけ外と言うレース。俗にいう縦列競馬です。2着にはルージュエヴァイユが入っていますが、府中牝馬Sでも2・3着でライラックとは差がありませんでした。脚質が被っていますから、ライラックの方がこの枠に入っていたら今年も2着だったんじゃないですかね?着差が僅差でしたからたぶんそうなっていたと思います。という事は、力は全く衰えてないですね。

 

さて、今回は牝馬限定GⅠから牡牝混合のGⅠに替わります。能力的な査定は少々辛口にならざるを得ません。宝塚記念では1.5秒差で最下位入線。この条件と同じだった日経賞でもやっぱり1.5秒差で4着。入着は難しいところでした。特に日経賞はこの馬の得意な道悪競馬でしたから4着とは言え、入着出来なかった事実は重いですね。

 

ただ、この頃とは状況が変わっていて、この馬の脚を引っ張り続けたデムーロ騎手はその背になく、変わった戸崎騎手は確実に成果を出しており、成績表を底上げしています。後方追走からの大外ブン回しが定番だったライラックの姿はもうありません。近2走は序盤から先行位に取り付くような良い立ち回りをして、かつ終いの脚もある程度は使えています。

 

前回話したライラックの担当さんに言わせれば、「これまでヘグリ倒していただけで、普通のジョッキーが乗ればこのぐらいはやれて当たり前」と相変わらず強気に話していました。また、戸崎騎手も依頼を受けた当初はノリ気ではなかったそうなのですが、府中牝馬Sの結果を受けて「やっぱり乗りに行きます」と京都遠征の依頼を受けたという裏話があります。関係者の評価は一様に高いですね。

 

混合GⅠで強気になる馬ではありませんが、宝塚記念日経賞でつけられた1.5秒差は大幅に縮めてくれるでしょう。先に話した担当さんは特別な事は何もしなくていいと話し、デキはずっと良い状態を維持されています。今回も過不足なく仕上がって来ると思われます。相手は厳しくなりますが、人気以上に走って来ることは考えられます。人気薄の牝馬は度々有馬記念掲示板に来ますから、案外やれるのかもしれません。取捨は慎重にしたいと思います。

 

賞金による出走確定馬(五十音順)

 

アイアンバローズ

 

適性だけで走れるステイヤーズSとは本当に凄いレースですね。21年3着、22年4着と来て遂にこのタイトルを勝ち取ってしまいました。8番人気と低評価だったので競馬ファンもある程度分っていたのかもしれませんが、厩舎のムードとしても今年は厳しいだろうと見ていました。

 

加齢よる気力の減退が顕著になりつつあるからです。2走前までは行きっぷりも悪く、往時の勢いを失っておりました。にもかかわらず、この結果。コースを走れば馬が勝手に走ってしまうのかもしれないですね、ステイヤーズSと言うレースは。今回の優勝賞金で1年分の経費は十分賄えると思うので、もう1年現役を続けて来年に備えても良いかもしれません。

 

この馬に関していう事はこれぐらい。特にないですね。ちょっと厳しいと思います。前走こそ適性だけで馬は走りましたけど、前走時の厩舎評は評価を下げる理由としては十分です。仮に全盛期の活力があったとしても、GⅠ実績は天皇賞(春)を2度走り、5着、13着ではなんの根拠にもなりません。ステイヤーしか集まらないGⅠの経験はトップクラスの集まるグランプリ競走ではアテにする事が出来ません。

 

なお、ステイヤーズSでは逃げ切りみたいな結果になっていますけど、このレースを最初から最後まで先頭で走り抜けた馬はこの10年ではいません。毎年のように①①①①の馬が馬券になっていますが、いずれも2週目のどこかでハナを奪ったもので、テンからハナを主張していった馬が逃げ残れたことはありません。

 

ので、このアイアンが生粋の逃げ馬という事はありません。有馬記念においてこの馬がハナを主張する事はないと思いますし、先頭でスタンド前にやってくる事も無いと思います。タイトルホルダーの邪魔をする事はまずありえないと思います。

 

ウインマリリン/シャフリヤール

 

賞金順で並んでいることと、共にBC帰りと言う事で、2頭は合わせて話を進めようと思います。

 

レースを見ただけですけど、ラヴズオンリーユーがそうだったように、BCには内回り・小回りが得意で、器用で立ち回の上手い馬に向いているんですね。行われたサンタアニタパーク競馬場は周りの左右を逆転すればほぼ中山競馬場と言う感じです。

 

1周ぐるっと回って大体1600m無いぐらいだと思われ、中山よりもむしろ小さいかもしれません。直線も300mぐらいだと思います。足りない部分は、4コーナーに接続された外付けコースで調整されています。マリリンが走ったフィリー&メアターフは200mぐらいを、シャフリが走ったターフは600mぐらいを第4コーナーに外付けしてコースが延長されています。だから、コース図で上から見ると、有馬記念のコースレイアウトとそっくりな形状をしています。特に距離が近いシャフリのターフは、1周目外回り、2週目内回りの中山2500mに本当にそっくりです。

 

このようなコースで行われたフィリー&メアターフでマリリンが4着、ターフのシャフリが3着と走り、いずれも僅差の競馬をしています。有馬記念の予行演習という考えは的外れだと思いますけど、似たようなコースを続けて走るのはかなり有利だと思います。また、これだけの結果を残せたことで能力的な衰えが無い事が同時に証明されました。この2頭、案外面白いかもです。

 

中山得意のマリリンがこういうコースで好走するのは理解出来ますが、シャフリにこれだけ器用さがあったとは思いませんでした。最内枠から器用に乗って、勝負所の動きも良く、直線入り口射程圏、インを突いて伸びてきました。このレースぶりはかなり意外でした。

 

シャフリはBCの叩き台として札幌記念を走っていましたが、その時もローカルの小回りコースに対応出来るかが懸念されていました。道悪の影響で結果は散々でしたけど、コース適性について陣営は「不器用な馬じゃないし、前に行ける脚もあるので問題ないはず」と当時から不安を持っていなかったのですが、それがBCで証明された格好になります。

 

この2頭の適性、能力は今回のメンバーに入ってもそこそこ評価出来るのではないかと思われます。枠次第で面白い存在になれそうです。

 

問題は状態面でしょうか?メジャーな遠征地だと、帰国後の連戦実績があるので気にならないのですが、米国遠征からの連戦はあまり例がないですね。11年にフィリー&メアターフに遠征し、11着だったレッドディザイア有馬記念に出走してブービー14着でしたが、思い付く例はこれぐらいです。輸送技術が発達しているので遠征地は関係ないのかもしれないですが、これについてはちょっと分からないですね。さて、どうでしょうか?

 

あとは個別に見ていきます。

 

マリリンは昨年勝っている香港ではなく、有馬記念に狙いを定めて来たのは面白いですね。ここが引退レースで、中山2500mには日経賞勝ちもあり、中山適性の高い馬ですから、最後に勝ちにきたのかも?反面、行って勝てるならいいですが、そうでなければ輸送コストのかからない有馬記念でいいじゃないか、となったとも考えられます。果たしてどちらでしょうか?

 

6歳の夏以降になると、さすがに加齢の影響が出始めたようで最近は良化がスローになって来ているそうです。夏の札幌記念でも仕上がり切らなかったですし、また、どうもこの辺りから背中に痛みが伴うようになってきて、仕上げが難しくなり始めていたといいます。9月のオールカマーも大して変わりが無く、トーンも上がりませんでした。厩舎的には使いながら徐々にと言う感じでした。BCは間にあったのかもしれないですが、絶好調時のデキに持っていくのが難しくなっているので、今回も仕上げられるかどうかが課題になると思います。

 

ただ、仮に状態面に問題がなかったとしても、相手関係はもっと気になる材料かもしれません。オールカマーは4歳時に1着、札幌記念も5歳時に3着と走れている重賞でしたが、6歳の今年は両レース共に着を落とし、厩舎側からも「今年の相手(GⅠ級)は強いから」といずれのレースでも弱音が吐かれていました。相手関係が好走した時よりも強くなっているようなので、今回も分が悪い印象です。

 

今回出走しているメンバーで札幌記念オールカマーで共に走った馬は多くないですけど、さらに相手は強化されていますので相対的に見てかなり厳しい相手関係と言えます。この相手にガチンコ勝負は厳しく、避けるべきでしょう。紛れて1つでも上になるように良い枠を引いて出来るだけセコく回りたいところです。

 

シャフリは、適性や能力以前の問題になってしまいました。香港回避から急遽の参戦はあまりよい印象になりません。しかも、BCから直接香港に乗り込んでいて、帰国後も検疫厩舎の競馬学校経由で中山競馬場に18日に直接入厩しています。2ケ月間も調教施設で調整されていない現状です。これで果たして仕上がるのでしょうか?準備不足な面は否めないと思います。

 

こんな状況だったので、本当に出てくるのかなぁ?と思っていたのですが、日曜日に松山騎手騎乗で参戦とアナウンスされ、出走の運びになりました。発表の経緯からも、ギリギリまで判断に迷っていたのが分かります。若い頃なら無理しないところですが、おそらくこの馬も引退が間近に迫っているので、そうも言ってられないのでしょう。出資者のいる馬は扱いが難しい。

 

BCの走りを見て、中山2500mも面白そうと思っただけに順調だったならと悔やまれます。が、順調だったら香港で競走を終了していたはずなので、そもそも有馬記念と言う馬ではありませんでした。アーモンドアイによる、香港回避後に有馬惨敗と言う故事もありますから、やはり狙って出走して来た組と比べて状況劣勢は認めざるを得ません。

 

あと、ちょっと関係ないかもしれないですけど、札幌記念で騎乗した横山武騎手の当時の感触は微妙だったみたいです。愛馬エフフォーリアの二冠をかっさらったライバルは果たしてどれだけ強いんだ?と言うのはあったと思うのですが、良い馬と認めつつも、本音の部分でどうもピンと来なかったみたいです。これならアイツの方がとか思ったのかもしれないですね。

 

そして、結局はエフフォも、この馬も、そしてタイホも下の4歳世代にほとんど先着出来なかったですね。現3歳馬のレベルも気になる材料ですが、5歳世代のクラシックホースにパワーマウントを感じれなかったのはちょっと残念です。

 

ハーパー

 

秋華賞3着、エ杯3着と来て、有馬記念と3歳秋にGⅠ3連戦。3歳牝馬ながらハードなローテを歩みます。牡馬と走るのは2着だった新馬戦以来となります。

 

今年の秋華賞戦線を簡単に振り返っておくと、周知の通りリバティアイランドが勝ち、牝馬三冠を達成したのですが、当のリバティにしてみれば、この秋華賞は通過点であり、あくまで目標をJCにおいていました。なので、秋華賞を8分のデキで使っていて、また8分のデキでも勝てるようにとサンデーRはブレイディヴェーグをエリザベス女王杯に回したというのが実のところです。

 

そして、その他の陣営は8分のリバティにすら敵わないと諦めムードが蔓延。春の実績馬の中には守りに入っていた陣営がいくつかあって、白旗を上げているところが多かったです。ハーパー陣営はまさにこの最も足るところでした。秋華賞で勝負するよりも、エ杯で勝負を賭けた方がまだ良い結果になるのではないかと考えたからです。オークスから秋華賞に直行したのはこういう理由によるものです。要はリバティから逃げたということです。結果はどちらも3着でしたが、秋華賞が0.5秒差だったのに対し、エ杯は0.2秒差だった訳ですから、確かに良い勝負にはなりました。

 

まぁ、そう言う訳なので目標はエ杯でしたから、ここは一勝負終えています。おそらく、使った後も順調だから使おうみたいな出走経緯でしょう。そうはいっても秋3走目は気になる材料。目標のレースも追えていますから、臨戦過程に良い印象はないですね。

 

あと、福永調教師が調教で騎乗した際に、春よりは良くなっているけど本当に良くなるのは来年と話していましたので、まだ本格化前と言う状況。成長の余地があるので上昇度はありそうですが、まだポテンシャルの全てを発揮出来る状況には至っていないようです。

 

適性面に関しては、器用さのある先行馬なので今回の条件も向くと思っているのですけど、厩舎に言わせると、秋華賞の内回りより、エ杯の外回りの方が条件は合っていると言います。この馬の長所は長く良い脚が使える事なので、外回りコースの様な伸び伸びと走れるコースで末脚を全開に差せた方がいいのだそうです。だとすると、中山2500mはベストな条件からかけ離れることになります。適正面に問題ありとなってきます。でも、本当に大丈夫だと思うんですけどね。早めの競馬で一早く抜け出せれば面白いと思うのですが。さて、どうでしょうか?

 

でも、距離は長いのだと思います。秋華賞の2000mがベストと友道調教師は話していましたし、2400mのオークスも、2200mのエ杯も伸び負けていますので、あまり長くない方が良いと印象になります。

 

コースも、距離もベストではないってことになりますから、さすがに4k差を持ってしても苦戦を覚悟するところでしょう。エ杯で本命にした馬ですけど、今回は積極的に買う理由が見つからないですね。ルメール騎手も、川田騎手も騎乗しないとなると、怖いと感じる要素もないと思います。ここは来年に向けた修行の場という感じではないでしょうか?

 

ヒートオンビート

 

3勝クラスを勝ってOPに昇格したのが4歳の1月。それ以降は重賞で勝ち負けを演じながら勝てない日々を2年半も続けました。勝ち切れない理由に前の馬を交わそうとしない変な癖があるとのことで、それでずっと取りこぼして来ました。GⅡばかりか、GⅢでも勝ち切れず、実にもどかしい日々を長く続けました。

 

そんな馬が目黒記念を勝利して、友道調教師は6歳になって馬が大人になったからとこの馬の成長を高く評価していました。が、そんな事は全然ないですね。前走のア共杯3着を見ればそれまで以前のヒートンビートです。いったん交わしたはずのチャックネイトに差し返されて3着同着に持ち込まれています。勝ち味の遅さは相変わらず。

 

そもそも、目黒記念の勝利はレーン騎手が馬を遊ばせずに、ゴールまでしっかりと走らせた騎手の功績によるものです。ずっと変わらなかった悪い癖が急に変わることなんてありません。今回も馬は勝つ気を見せないだろうと考えるのが自然だと思います。

 

GⅡ・Ⅲでも接戦の競馬をしているので相手なりに走る馬と解釈する事も出来そうですが、GⅠ級とは明確な力差を示していたレースがありました。

 

OP昇格後、馬券圏から漏れたことが5度あるのですが、内2戦が苦手な道悪によるもので、うち1戦が調整を失敗したものです。よって、力を出し切って馬券漏れした事が2度あります。マカヒキが8歳で勝利した京都大賞典であり、もう1つが昨年出走したGⅠ天皇賞(春)です。

 

マカヒキ京都大賞典時の3着がキセキでしたが、クラシックウィナーと共に走って伸び負けています。これが4歳時でしたが、ロートルGⅠ馬と走っても力差は歴然としていました。5歳時に走った天皇賞(春)もタイトルホルダー、ディープボンドと言ったGⅠ級相手に圧倒的に負けています。

 

このように真のGⅠ級と走ると接戦に持ち込む事も難しい結果になっています。6歳になって急成長と言うのも考えづらいですから、この力関係に変化はないだろうと思います。今まで以上の強敵ですから、相手なりに走る事も厳しいのではないかと思います。

 

中間の報道を見ると、デキは良いし、頑張りたいの様な前向きなコメントを多く目にします。しかし、この馬に関しては評価が日和見的です。友道調教師らしくないのですが、結果が良ければ威勢がよくなるし、ダメなら一気にトーンが下がってという事を繰り返していました。この馬に関しては、評価やコメントに信憑性が無いので、そう言うものは目にしない方が良いと思います。

 

東西主要4場のGⅡ競走には全て出走し、そのほとんどで馬券圏に走っていますから、どのコースが一番良いとかは無いと思います。有馬記念の行われる舞台でも昨年の日経賞で0.1秒差3着に走っていますから適性を考える必要はないでしょう。馬券になるかどうかは今回も馬次第。馬にその気があれば掲示板ぐらいには来れても良さそうですが、どこまで本気で走ってくれるものやら。

 

プラダリア

 

この馬も上述したヒートオンビートと同じように詰めの甘さが深刻化していた状況でした。京都大賞典前の3走を比較すると面白いのですが、

 

GⅡ目黒記念0.3秒差
GⅠ宝塚記念0.4秒差
GⅢ新潟記念0.3秒差

 

と、全グレードで同じぐらいの着差で負けていて能力バランスの辻褄が合っていません。よく言えば相手なりに走る馬ですが、パンチ不足な感じは強いですね。

 

しかしながら、上記の目黒記念は休み明けで状態イマイチ、新潟記念は夏負けで状態イマイチと体調面に問題があったようなので、力負けでは無そうです。また、左回りだと手前の替え方がぎこちない時があり、右回りの方がスムーズと言われています。目黒も新潟も左回りでしたから、そんなところも影響したのかもしれません。負けた理由があるので、少なくともヒートオンの様な変な癖で負けて来た馬ではないでしょう。

 

ただ、評価が難しいのが久しぶりの勝利となった前走です。厩舎の話では、馬が本格化して来たからと話しています。確かに、接戦を制した姿は詰めの甘さなど感じさせず、今までにないこの馬の姿でした。馬の成長が伴って、万全の態勢が勝利をもたらしたのかもしれません。

 

ただ、レース前には京都コースがこの馬向きだろうと話しており、コース適性で勝てただけの可能性も感じます。ディープインパクト産駒なので京都の下り坂が合うとか、長く脚を使えるので下り坂を利用したロングスパートがプラスになるとか具体的に話していました。要するに、陣営は詰めの甘さを京都コースで解消出来ると考えていたのです。

 

馬が本格化したから勝てたのか?京都コースだから勝てたのか?そこは判別しかねます。前者であるなら有馬記念でもある程度の活躍を見込むべきかもしれません。逆に後者であったならそれまで以前の詰めの甘さを露呈する場合も考えられます。

 

でも、京都大賞典の前に馬が本格化したなんて話はされていなかったですし、コース変わりに希望を託していたという体でしたから、本格化の話は後付け感が強いのではないか?と感じています。勝った事は良かったですが、勝ち切れない競馬を続けていたので前走だけで評価を上げすぎる事に抵抗を感じます。もう少しレース振りを見てからでないとGⅠで安心出来ない気がします。

 

調整面や適性面で特に気なる事はありません。新潟記念からカウントすると3走目になりますが、叩き良化型なので前走以上に馬は良くなってくると思います。京都でない事に不安はありますが、他コースで走れていない訳でもないのでそれも問題ないでしょう。距離も特に気になりません。後は枠に恵まれるかどうかだと思います。前に馬を置いて走った方が良く、壁を作れていないと手綱を引っ張ることがこの馬にはあるので、外枠だと脚を溜めきれなくなります。出来るだけ内めの枠を引いた方が力を出し切れると思われます。

 

ホウオウエミーズ

 

パンサラッサの最初の重賞勝ち鞍は福島記念でした。まさかこのレースの勝ち馬からGⅠ馬が出るとは思いませんでした。だからといって、福島記念が急に出世レースに生まれ変わるなんてことはなく、翌年の勝ち馬ユニコーンライオンはGⅠ・GⅡばかりを走って全くよい所がありませんでした。これが福島記念馬の本当の姿でしょう。今年の勝ち馬ホウオウエミーズも然るべきだと思います。

 

しかし、そんな福島記念を一生懸命に獲りに行ったのがこの馬。この秋は新潟牝馬Sで復帰して2着。昨年は新潟牝馬Sに優勝してエリザベス女王杯に進みましたが、今年はそうはしませんでした。勝っていたとしてもGⅠへ向かわず、当初から福島記念に回る予定でいたそうです。

 

6歳牝馬で繁殖入りは近く、少しでも価値を高めて牧場に返してやりたい、厩舎はそのように考えて、七夕賞3着と走れた福島の重賞を最大目標に仕上げていました。レースでも勝ちに行く姿勢が随所に見えて、ラスト3Fを待たずして11・12番手から動き出し、最終コーナーでマクりきって、展開ハマりの2着馬の追撃をハナ差凌ぎ切りました。牡馬を相手に横綱がする競馬で押し切った内容は実に偉かったと思います。目標のレースを勝てて良かったと思います。

 

でも、このようにこの馬も大目標のレースを終えており、大きな上積みを期待出来る状況ではありません。ずっと調子の変動が無く使われていた馬なので調子そのものは維持してくると思いますけど、今回は狙って獲りに来たレースでもないので勝負気配そのものは高くないはずです。重賞を勝って有馬記念まで駒を進めたという既成事実が欲しいのではないでしょうか?拍付け行為が目的だと思います。だとすると、回避馬が出てゲートインが適った訳ですから、その目標も概ね達成された事になります。後はケガ無く回ってくる事が大事です。

 

適性面について触れておくと、ここまで何度かベストは1800mで2000mが守備範囲と言う話が出ています。2200mの新潟牝馬Sを2年連続好走していますが、格下牝馬ばかりが集まるレースですので、それでこなせたようなもの。また、2年とも得意の道悪でパフォが上がったというのもあります。よって、適性距離はあくまで中距離。2500mははっきりと長いと思います。

 

好走パターンは上がりのかかる展開を得意としており、後半に12秒台が連続するような流れだと持ったままで上がってこれますが、11秒台のタイトな持続ラップになると手を激しく動かさないと位置を上げていくことが出来ません。

 

有馬記念ではこの馬向きのラップ構造になる事も珍しくないので、勝負所で動いて行く事は出来ると思います。ただ、脚力は大いに足りていません。昨年のエ杯を見ると、ジェラルディーナ、アカイイトなどと同じところから追い出して、伸び負けています。牝馬同士でもGⅠ級相手に脚力が通じていません。この程度となると、牡馬の一線級に抵抗出来る可能性は限りなくゼロだと思います。

 

福島記念を勝ったことで現役中にやり残したことはありません。有馬記念で想い出を作って、無事にゴールインして繁殖に上がり、その血を繋いでいくことが、この馬が今後やるべき仕事です。本当に無事に周って来れればと思います。

 

有馬記念(GⅠ)の予想案はこちら▼