競走馬カルテ

2・3歳重賞の出走馬を分析・記録していくブログです。

ジャパンカップ(GⅠ) 出走馬カルテ① 2023

 

こんにちは。

 

凄いですね、パンサラッサは。獲得賞金、収得賞金の額でまだイクイノックスを上回っています。サウジのあれだけでどんだけ稼いだのかって話。そんなパンサも今回のレーティングでは8番目。持っている賞金の額と能力値は当然ながらイコールではありません。あくまで挑戦者の立場になりますね。

 

今回の主役候補はやはり2頭。世界NO1のイクイノックス、そしてGⅠ4勝の三冠牝馬リバティアイランド。ノーザンFはよくこの2頭の対決を実現してくれたと思います。古馬と3歳牝馬の斤量差4kは気になる材料ですけど、今回を逃すと今度いつ実現するかは分からないですからこの2頭の勝負は目に焼き付けておきたいですね。

 

それ以外の古馬勢も強力で見どころのあるレースが展開されるでしょう。天皇賞(秋)に引き続き、トップクラスが直接対決してくれる今年のGⅠシーズンはとてもありがたいですね。

 

さて、今年のJCは登録馬21頭でフルゲート確実です。しかし、上位の馬とそれ以外の力差が余りにも大きい。正直、全ての馬を評価する必要はないと思います。

 

JRAではレーティングが110ポンドを超える馬をGⅠレース毎にランキング形式で発表しています。今回更新する馬はランキングされた11頭の馬を中心にして行けば良いと思います。それ以外の馬は三行半ぐらいの文章にして簡単に終了させて頂こうと思います。なお、外国馬の能力や情報は分からないので掲載は控えさせて頂きます。

 

JCは26日(日)に行われます。前日の25日(土)には更新を完了します。更新順はレートランキング外の馬を簡潔に評価して先にこれらをUPしてしまいます。後は発表されているレーティング順位を上から順に更新していきます。字数10000文字を目途に、ちょうど良いところで2枚目に切り替わる予定です。

 

予想案は各ページの最下部にある専用ページにまとめてあります。ブログカードを貼っておきますのでそちらをご覧ください。

 

レートランキング外の馬

 

インプレス

 

昨年の11月にOP昇格。以降はリステッド、重賞で頭打ち。そんな馬が新潟記念で3着したのは転向する可能性を考慮して、障害を練習していたところ、その効果で馬が良くなったということでした。でもまぁ、障害を視野に入れていたような馬がですからね。大きく見積もる必要もないでしょう。事実、新潟記念で先着された1・2着馬はその後のGⅠ・GⅡで大惨敗。この馬自身も京都大賞典で2.9秒差の大敗。4歳と若いですが上がり目らしいものは感じません。

 

ウインエアフォルク

 

馬は現在3勝クラスに在籍中。映画「優駿」の主人公を演じることになったダービー馬メリーナイス。その鞍上だったのが根本調教師。根本調教師も騎手役でセリフありの出演を果たしています。そんな根本調教もあと3年ちょっとで引退。ダービーと同じ舞台のGⅠに出走するにはゲートが割れた時のJCぐらい。ここは愛弟子藤田騎手を鞍上にエントリー。これは想い出作りでしょう。補欠の2番手でしたが、外国馬コンティニュアスの回避、テーオーロイヤルがステイヤーズSに回るため、繰り上がりで出走出来る見込みになっています。

 

クリノメガミエース

 

21年札幌ダ1700mで新馬勝ち。次戦でジオグリフが勝った札幌2歳Sに出走し5.2秒差殿負け。以降4走して入着ないまま、地方転出。現在園田所属。出走手当目当てとマスコミに揶揄にされて、調教師がキレていたことが話題になっています。現在除外対象で、補欠の最下位です。

 

スタッドリー

 

昨年暮れに3勝クラスを突破して、今年から重賞・OPに出走しています。1月に使った頃が成長期のピークだったようで、だからOPに昇格したような感じでした。年初に使ったAJC杯もチャレンジャー精神でやる気になっており、0.5秒差の6着と頑張りました。ただ、この好走も陣営には力が足りなかったと映ったようで、相手の揃う重賞では厳しいというのが陣営の本音のようでした。なので、以降はタイム差を大きくして良いところがありません。前走のケフェウスS(阪神2000m)は2着と走っていますが、1000m通過57.1秒の超ハイペによる展開ハマりに過ぎません。能力が大幅に足りていないと思われます。スタミナはあるので距離は良さそうですが、ここは相手が強すぎますね。

 

トラストケンシン

 

8歳馬。当初は回避の見込みでしたが、出走予定だった福島民友Cが除外濃厚なので再びJCに出走することに。そんなレース選択あり?ただ、JCには昨年も出走して1.3秒差の13着。18頭立てでしたから結構走ったなぁと言う感じ。2月のダイヤモンドS以来になるので今回は何かの叩き台なのかもしれないですね。

 

チェスナットコート

 

5年前のGⅡ日経賞の2着馬。これを最後にJRAのレースで馬券に絡むことはありませんでした。3年前に地方に転出され、現在は園田所属。今年のオールカマーに出走しており、4.1秒差の大差殿負け。9歳馬が何しにきたの?

 

フォワードアゲン

 

アイネスフウジンでダービーを勝った中野栄調教師は来年で引退。府中2400mは想い出のある舞台。そのGⅠに出走するとしたら今回が最後。アイネスのゴール後に沸き起こったナカノコールは当時の語り草です。このような現象はこの時が始めての出来事だったそうです。ナカノコール、起こるか?一応、6歳のOP馬です。


レーティング順

 

牝馬は4ポンドを加算して順位付けされているので実際の数値と順位が必ずしも一致していません。

 

129:イクイノックス

 

天皇賞(秋)は凄かったですね。1:55.2の勝ち時計には目を丸くしました。コース、レース、日本、世界と全てのレコードを更新する時計。びっくりしました。

 

私には密かな誇りだったのですが、それまでのレコードを保持していたのはジャングルポケット産駒のトーセンジョーダンだったんです。天皇賞(秋)でこれだけのレコードを記録したジャンポケ産駒がとても誇らしかったのです。私の大事なレコードをイクイノックスは大幅に上回り、駆けたのですから、ほんとぐぅの音もでませんでした。

 

天皇賞(秋)の凄さは勝ち時計だけではなく、レース内容にも明確に表れています。イクイノックスが連覇した2年のレースを比較とするとその凄さはよりはっきりと感じる事が出来ると思います。

 

・22年のパンサラッサのペース配分

1000m通過:57.4秒、後半1000m:60.1秒
∟後半が2.5秒遅い

 

・23年のジャックドールのペース配分

1000m通過:57.7秒、後半1000m:57.5秒
∟後半が0.2秒速い

 

ジャックドールが逃げた今年のペースはパンサラッサの昨年と比べて若干遅いのですが、大事なのはその違いではなく、このペースにイクイノックスが3番手で付いて行ったことです。パンサはそこから大きく失速しましたが、ジャックから速いペースを引き継いだイクイノックスはさらに加速して前半より速く後半の1000mを走っているのですからとんでもない話です。

 

バケモノ級と言う表現が陳腐に感じてしまうほど超越的で、こんな走りをされるともうサラブレッドじゃないですね。常識をはるかに超えています。別な生物と認識した方が良いかもしれません。

 

これだけのパフォ―マンスを発揮した事はイクイノックスの競走成績の中にもそうそうありませんが、強いて言えば逃げ切り圧勝だったドバイシーマクラシックの走りが一番近いのではないかと思います。世界の強豪相手に突き放す一方だったレースの凄さは天皇賞(秋)に通じるものがあるように感じます。

 

2410mでもイクイノックスの持続性能に陰りが見られなかったですから、JCでも同様のパフォーマンスを期待して良いのではないかと思います。こんな凄いレコードを2走続けて記録して良いとは思えませんが、最早アーモンドアイの世界レコードも視野に入っているのではないかと思えてなりません。

 

さて、これだけのレコードを記録したのですから当然反動を懸念しなくいけなくなりました。完調前の状態でしたから反動は余計に大きいかもしれません。案の定、泣きの木村哲調教師が1週前に反動はあったと言っていますね。でも、アルテミスSの予想時にも話しましたが、この方のネガティブキャンペーンは基本嘘です。逆に言えば、ネガティブ=期待値の高さと採って良いと思います。

 

それに、本当に反動があったなら出走を回避するはずです。そうした方が種牡馬的価値が維持されるのですから。出て来る以上は勝ち負け出来ると判断されていると考えて良いと思われます。

 

それに、普通に大丈夫だと思うんですよね。前レコードホルダーのトーセンジョーダン天皇賞(秋)後にJCに出走し、あのブエナビスタを相手にクビ差の2着に激走しています。さらに言えば、そのブエナも天皇賞(秋)でジョーダンに0.4秒遅れただけの4着からJCを優勝しました。レコード明けこの2頭がこれだけ走るのですから、イクイノックスなら全然大丈夫だと思います。調教技術が格段に進歩している現在において、こう言う思考は予想の脚を引っ張るだけかもしれません。(このJCの3着が天皇賞ジャガーメイル。14番人気のジャンポケ産駒。私がどういう馬券を取ったかはご想像にお任せしますが、この時は本当に凄かったです)

 

むしろ、状態面はさらに上げてくる事も考えられます。当時から言われていたように、イクイノックスにとって本線は天皇賞(秋)ではなく、最初からJC(勝てば8億円)の方でした。JCでメイチになるように計算されて調整されていました。レコード走後でも上積みがあって不思議はありません。

 

また、この馬はJCで引退の噂も出ていますよね。だとすると、後先考えない仕上げも可能な訳で、超絶メイチな状態に仕上げてくる事も考えられると思います。終って見れば今回が一番強かったなんてこともあるでしょう。状態面はあまり気にならない材料だと思います。

 

不安材料があるとしたら純粋に相手関係でしょう。ブエナビスタ然り、ジェンティルドンナ然り、JCを走るサンデーRの牝馬は強いですからね。やはり、リバティアイランドこそ最大の不安材料だと思います。

 

120:リバティアイランド

 

秋華賞あたりでちょっと触れていますけど、既にアーモンドアイに匹敵する活躍を期待されています。具体的な目標はまだまだ不明瞭ですが、やはりGⅠ9勝を意識しているのかもしれないですね。阪神JFを勝っているので現時点ではアーモンドを上回るGⅠ4勝。順調なら9勝、10勝と並び超えていくのかもしれません。牝馬はヴィクトリアMやエリザベス女王杯と言った牝馬限定GⅠがありますからいいですよね。GⅠハンティングは牡馬より牝馬の方が絶対的に有利です。

 

桜花賞はイン前有利なレースを外から後方一気でねじ伏せて、オークスは時計的価値の高いハイレベル戦を6馬身差で圧勝するという強い内容でしたが、前走の秋華賞は三冠レースの中で一番楽な内容でした。スローでペースも時計も遅い秋華賞に見るべき点は無く、特筆するような快記録もありません。調教代わりの様な秋華賞だったと思います。

 

でも、アーモンドアイ、デアリングタクトと言った直近2頭の三冠牝馬と比べたら、リバティのレース振りが一番良かったと思います。先の2頭は京都2000mに即した立ち回りは出来ず、脚力と能力差で圧倒しただけの内容でしたが、リバティは先行力、器用さ、機動力が伴い、コーナー4つの条件を正攻法で押し切っています。4角先頭の競馬はアーモンドにも、デアリングにも出来なかった競馬。センスの高さを見せつけたと言って良いでしょう。その後がぱっとしなかったデアリング、府中でしか走れなかったアーモンドと比べれば、リバティの強さは万能的でこれら2頭を上回っていると思えます。この馬ならアーモンドがまるで走れなかった有馬記念でも十分勝ち負けになるでしょう。

 

秋華賞は100%に仕上げてはいません。陣営曰く、秋華賞を勝てるぐらいの状態にあえて留めることにして、メイチな仕上げは施されませんでした。つまり、JCを目標に計画立てて秋華賞を使っていて、今回がピークとなるような調整を最初からしているという事です。秋華賞が厳しいレースにならなかった事はきっとこの陣営を喜ばしたと思います。おかげでとても楽に通過点を通過出来ました。上積みは相当なものを覚悟しておく必要があるでしょう。ここからがこの馬の本番だと言えそうです。

 

あとは古馬との力関係だけなのですが、少なくともリバティ陣営としてはJCも勝つつもりでいました。天皇賞(秋)のイクイノックスの走りを見て、この自信がどのように変化したかは分かりませんが、あくまで妥当イクイノックスのスタンスでJCを使って来るだろうと思います。秋華賞の内容が楽過ぎたのでこの馬の走りも圧倒的なものになっていません。全力を出すことなく勝ちましたから、パフォーマンスも大幅に上がるはずです。圧勝したオークスの舞台ですから条件的にも申し分ないはずです。

 

そう言えば、このオークスにもすごい記録があるようですね。私も言われるまで考えもしませんでしたが、府中2400mのGⅠでラスト2Fを加速ラップで走った馬ってほとんどいないのだそうです。その方の話を借用させて頂きますと、これまで

 

オルフェーヴルのダービー(11年)
・アーモンドアイのJC(20年)

 

の2例しかなく、ラスト11.6-11.5で加速したリバティで3例目となるそうです。この方曰く、良馬場で、展開的にも常識的な流れで加速ラップが発生するのは異常な事だそうです。

 

言われると確かにそうかもなぁと思います。加速ラップを刻むという事はそれだけ余力がないといけないのですが、リバティのオークスの勝ち時計は歴代2位であり、こんな時計が出るという事はペースが遅かったという事はないはずです。普通の馬なら2400mをこの時計で走ってきて最後に余力なんて残りません。ラストに加速しながら入線するのはちょっと不自然だと思います。事実、2着以下が6馬身も突き放されていてこれら普通の強い馬は加速しきれずに負けています。この馬の持続性能もかなり異常的ですね。

 

※他にもマックスビューティー(88年オークス)、ライトカラー(89年オークス)、レガシーワールド(93年JC)らが加速ラップを記録したのですが、あまりに古い記録なので参考外にされています。

 

オークスで発揮した持続性はとんでもないですし、新馬戦で記録した31.4秒の末脚も千直も含めて国内最速の記録とされています。この馬の記録もイクイノックスに負けず劣らずな異常ぶり。この馬も別な生物かもしれないですね。

 

124:タイトルホルダー

 

昨年、宝塚記念を勝った際のレース実況が「空前絶後阪神三冠!」というもの。この実況が阪神巧者のイメージを強くしてしまったように思います。タイトルもこのイメージを定着させるかのうよに、京都で走って負けました。完走する事も出来ないほどに。坂の下りを上手く下れなかったと当時の横山和騎手は話していて、それでバランスが悪くなり、競走を中止しています。

 

阪神以外では中山にも実績がありますが、府中では東京スポーツ杯2歳S2着、ダービー6着と若い頃に2走したのみ。走れないコースではないと思いますし、若い頃の話なので気にしすぎるのも良くありませんが、当時は府中より中山向きと言われていたこともあります。府中が加点材料となる事はないかもしれません。

 

阪神のGⅠ3勝は2週目がいずれも内回りでしたし、中山の直線も短い。先行馬なのでそう言うコースで強いのは当たり前の話ですね。器用さ、機動力と言った立ち回りで勝負して強い馬と言うことでしょう。府中なら完走はしてくれるでしょうが、長い直線をどう乗り切るか?決め手勝負の舞台で発揮される強味はあまり感じる事が出来ません。

 

コース適性以前の問題も重要ではないかと思います。ある時期を境にして、かつての様な圧倒的な存在になり切れていないと思います。結局のところ、凱旋網賞後は本調子に戻り切れていないのではないかと懸念しています。

 

どの馬にも得意な条件や自分の形というものがありますが、この馬の場合は昨年の宝塚記念の様なレースがストロングなところだと厩舎では考えています。この時の様な競馬が出来れば勝ち負け、みたいな話を幾度か耳にしまたし、今回も宝塚記念を勝った時の状態に近づけたいと話していますね(その時の状態にはなっていないということ?)。

 

実際、この宝塚記念はとても強かったです。この時もパンサラッサが57.6秒で逃げていて、タイトルは2馬身ぐらいの差でこれについて行きました。最後は消耗戦になっていましたが、直線で抜け出しレコードを記録したレースは文句なしです。厩舎としてもこの時のレースが理想形であるようで、いつもこれに近い形のレースをさせています。

 

が、昨年の有馬記念や今年の天皇賞(春)の様に直線を向く頃には飲み込まれるシーンが増えてきました。強かった4歳春の頃には考えられない負け方です。理想の競馬をしたところでその走りに馬が堪えられないのではないかと思います。

 

日経賞オールカマーなどちょいちょい好走するのでやっぱり強いねと力を再認識させられる事はあるんですけど、このGⅡ2戦もレース内容的に特別強かった訳ではないので。これを持って復調したと考えてしまう事に違和感を感じます。本当に強かったあの頃にタイトルは戻れているのでしょうか?凱旋門賞への遠征がこの馬のリズムを崩してしまい、それをまだ修正しきれていないのではないかと思います。

 

また、厩舎の評価も正確さを欠いているのではないかと思われます。有馬記念天皇賞(春)も厩舎の評価はとても良く、勝ち負け出来ると自信を持って送り出していますが、終わってみれば全然そんな事も無くて。厩舎としてはこれで大丈夫と見たのかもしれませんが、馬はそこまでの走りを出来ないでいます。厩舎の評価に瑕疵があるということでしょう。

 

そもそも、入厩当初のタイトルの評価は考えられないほどに低く、この頃から厩舎は能力を読み違えています。3歳の頃は「いつもこちらの想像を超えて走る」みたいな事を言っていましたが、それはつまり自分たちが間違っていたと言っているのと同義。そんな厩舎の評価より、私達の評価の方が正しいのではないかと思います。厩舎が大丈夫と言ったところでそれを信用する気にはなれないですね。

 

この秋はオールカマーから始動して、JCを走り、問題が無いようなら有馬記念までを考えているようです。よって、前走は完全なる叩き台。競走中止明けの1戦でしたから、慎重に調整を進めて、無事に走ってくれればと言うムード。勝ちに拘ったものではないので2着なら上々の結果だと思います。

 

ただ、今年の秋開催が高速馬場だった事を踏まえますと、時計も少々遅く、タイトル自身もラストの失速率が大きかったと思います。状況や相手関係は違いますが、同じ2200m戦だった宝塚記念と比較すると、前後半のペースから繰り出された持続力にはかなり劣った内容です。JCでもパンサラッサが同じように逃げた場合、今のタイトルにパンサの厳しい流れに耐えられる根拠はオールカマーからは見つけられないですね。

 

1度使えばガラリと変わる馬ですが、その変わり身はかなり大きいものである必要があるでしょう。今のタイトルにそこまで変る事が出来るかどうかが肝心要なところです。果たして、唸るような強さを発揮した全盛期に戻る事は出来るでしょうか?それを確信出来ないと重い印で扱えないですね。

 

123:ヴェラアズール

 

昨年優勝馬です。以降は案外な結果が続いています。ただ、敗因は一応明確です。

 

有馬記念10着

ピークアウトしていて状態がイマイチ。内回りコースも合わなかった模様。

 

・ドバイWC13着

輸送の失敗で調子落ち。ドバイのダートも合わなかったという話。

 

宝塚記念8着

勝負所で捌き損ねて最後方まで下がるロス。内回りコースも合わなかった模様。

 

京都大賞典7着

休み明けの叩き台。昨年優勝した京都大賞典時のデキになく、59kの斤量も堪えたか。

 

と、まぁこんな感じです。

 

また、ベストコースで走る機会にも恵まれなかったですね。ドバイはダート質が合わなかったようですし、冬夏のグランプリ2走もこの馬向きの条件とは言い難く、内回りコースで良さは出ません。京都外回りだった京都大賞典でようやくこの馬らしい脚を見せ0.4秒差に詰めています。どんな条件でも強さを発揮出来るタイプではないので、適性に見合った条件以外ではやはり1枚も2枚も足りていない印象です。

 

あれよあれよという間にGⅠ馬になってしまった馬なのでその後の不甲斐なさだけが目立ってしまいますが、そうは言ってもGⅠですから力のない馬ではありません。条件が揃えば極端に負ける事はまだ無いと思います。府中2400mは昨年勝っているようにやれて良い条件。近走以上の走りは期待出来ると思われます。良い状態に仕上げられている時もあるので能力が落ちているというのもないでしょう。

 

とは言っても、昨年のJCはレベル的に疑問が残るものでした。良い言い方をすれば準GⅠ級、悪く言えばGⅡレベルと言ったところでしょう。今年の主力は正真正銘のGⅠ級が揃っていますから、昨年と同じように扱えないのも仕方ありません。明らかに相手が強く、地力勝負で勝ち切れるとはちょっと思えないですね。好走があるとしたらやはり展開ハマり。パンサラッサが57秒台の超速ラップを2400mのレースでも刻んだ場合に、追込みがハマる可能性が生まれます。ムーア騎手が今年も騎乗してくれるようなので、展開が味方してくれた際の激走はあっていいのかもしれません。

 

120:ドウデュース

 

武豊騎手が乗っていれば天皇賞(秋)を勝てたかと言う問題はさておき、あの負け方についてはピンと来ます。前回ご紹介した動画の中で武豊騎手が話しています。

 

皐月賞の前にディープインパクト記念をこの馬は走っていましたが、先行して2着に負けています。武豊騎手はこの時の印象について話していて、こういう乗り方だと弾けないという感触が残ったそうです。走りに力みも感じられたので先行策はこの馬に向いていないと考えたそうです。

 

なので、皐月賞では馬の気持ちがふわっとするまで馬なりで追走したのだそうです。その状態に至った頃には最後方付近だったと話しています。おかげで力まずに追走する事が出来、物凄い末脚を引き出すことに成功しました。これで道中リラックスさせることが重要であると武豊騎手は考えるようになったそうです。よって、ダービーも京都記念でもそう言う乗り方に終始しています。イクイノックスを撃破したあの末脚は馬がリラックスした状態でこそ発揮されると言うことでしょう。

 

天皇賞(秋)ではここからと言う所で伸びずに負けていますが、レース後の戸崎騎手の「噛んでいた」と言うコメントを聞いた時に、あぁなるほどなと思いました。あの乗り方がまずかったと言う事は言いたくないですけど、馬がその気になって力んでしまったのでしょう。そう言う走りであの末脚は繰り出せません。

 

よって、天皇賞(秋)の敗因はハイペースを追いかけたことで馬が疲れてしまったとかいう物理的な問題ではなく、至ってメンタル的な問題と考えるべきです。無論、この馬の乗り方を感覚で知っている武豊騎手が乗れなかった事が最大の要因ではある訳なのですが。

 

いずれにせよ、誰が乗っても強いという馬ではない事は分かりました。武豊騎手が言う「ふわっと」という状態は極めて感覚的なものなので、馬の力を最大限引き出すためには武豊騎手が必要です。ですが、もう既にJCの騎乗もキャンセルする事が決まっていますので、ある意味もう詰んでしまったと言えそうです。イクイノックス逆転はさらに難しくなりました。

 

ただ、「ふわっと」と言う感じが重要なら、戸崎騎手はこの馬に向いている騎手だと思います。意外の様に聞こえるかもしれませんが、トレセン内では戸崎か福永かと言われていたぐらいでして、このお二人の騎乗スタイルは同類とみなされています。控えて、ソフトな騎乗をする点が似ているのだそうです。戸崎騎手も前走時にそう言う特徴を少しでも知っていればもっと違った乗り方をしていたと思います。2度目なら前走よりは馬の力を引き出してくれるかもしれません。

 

なお、前走時の状態面は全く問題がなかったです。秋は有馬まで使うつもりがあったので余力もあったし、上積みもまだあるはずです。馬のデキは良いと思います。久々を1度使った事でガス抜きも出来たことでしょう。前走よりは走れる状態だと思われます。

 

ただ、今のこの馬に2400mは長いかもしれません。前走時も離したようにベストは2000m辺りで、マイルを走っていても良いぐらいの話もあります。3歳馬同士なら距離適性はごまかせますが、古馬になると本質的な適性は問われますし、それがGⅠなら尚更。こういう所も今回ではっきりすると思います。

 

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