競走馬カルテ

2・3歳重賞の出走馬を分析・記録していくブログです。

エリザベス女王杯(GⅠ) 出走馬カルテ② 2023

 

こんにちは。

 

こちらは、

 

の、続きになります。↑では3・4歳馬のカルテを作成しています。こちらのページでは5・6歳馬のカルテを作成します。エリザベス女王杯(GⅠ)は12日(日)に行われます。前日の11日(土)には更新を完了します。

 

予想案は各ページの最下部にある専用ページにまとめてあります。ブログカードを貼っておきますのでそちらをご覧ください。

 

5歳馬

 

意外と走っていないのがこの世代。5歳馬の成績は【1・2・1・48】と明らかに少数派。エリザベス女王杯は3・4歳馬中心のレースと見ていいのかもしれません。

 

今年の5歳馬にはエ杯と相性の良い前走オールカマー組が2頭も出走しています。が、このローテで結果を出していた馬は全て4歳馬によるものなのでデータ的にはプッシュしづらい。

 

5歳馬による成功ローテは様々で春のGⅠ以来とか、札幌記念とか格式の高い上級グレードの重賞経由馬になるのですが、この世代でも府中牝馬S組は存在感を発揮していて、4頭中の2例が該当しています。18年2着クロコスミア、20年2着サラキア優勝の例があります。やはり信頼するなら府中牝馬S優勝のディヴィーナという事になるのかもしれません。5歳世代の中心的存在になるのかもしれません。

 

ただ、エ杯にはリピーターレースと言う特徴もあり、無視出来ません。連覇した馬はいくらでもいますし、アドマイヤグルーヴスイープトウショウ、クロコスミアなど3年間馬券になり続けた馬もいます。エ杯で一度でも走った馬はそれだけでも要注意な存在です。昨年覇者のジェラルディーナにはやはり敬意を払う必要があるでしょう。


ククナ

 

2・3歳時に良く推していた馬なんですけど。条件戦からコツコツとOPまで這い上がってきましたが、凡走と呼べたものはなく、OP昇格後も七夕賞2着などある程度通用しています。当時のイメージは切れ味鋭いって感じでしたけど、5歳になった今はそういう馬ではないですね。悲しいくらい決め手がなく、中途半端な強い馬といった印象になります。

 

速い上がりも使えて、消耗戦の我慢比べで脚を伸ばす事は出来るのですが勝ち切れない。また、コース、展開、馬場状況、距離、そして相手関係など、とどんな条件・レースでも上位に顔を出して来る馬すが、とにかく決め手がない。3勝クラスでは5つも僅差で取りこぼしています。要するに使える脚が短いのだと思います。直線ではいつもジワジワで突き抜けが甘くなっています。

 

こういう馬は機動力を生かして1周条件の内回り、小回りのレースが向いているのですが、この馬に限ってはそんなこともなく、直線の長いコース同様に決め手比べで取りこぼし。乗っている騎手もいろいろと工夫している感じなのですがなんかいつも大変そうです。決め手の無さはどんな時でも徹底しています。

 

それでもそこそこには来れてしまうので、2・3着と言う目ならない事もなく、牝馬同士ですし、今回のメンバーでも明らかな力落ちと言う評価も出来ないため扱いは面倒くさいと思います。

 

上述したように、条件問わずにこの個性なのでレースの特徴、コースの特性などから相性の良し悪しを計れません。買えるかどうかは、状態面のジャッジぐらいしか出来ないと思います。が、冬場は硬くなりやすいのだそうなのでこの時期どうでしょうか?また、今年の夏は暑かったですが七夕賞の頃には厩舎・騎手から絶好調宣言が出ていたほどなので、夏場の方が仕上げやすく、走りやすいというのはあるのだと思います。季節的な要因に評価を下げる理由はあるかもしれないですね。

 

ジェラルディーナ

 

余談から入ります。宝塚記念では当初団野騎手が騎乗予定でしたけど、調教に寝坊して陣営の怒りを買ってしまい乗り替わりとなりました。まぁ、寝坊した方が悪いので仕方ないですが。それだけで乗り替わりなんてかわいそうなんていう人も少なくありませんでした。まぁ、1度キリならそう言う考えもアリかもしれないですが。ただ、これは間違った認識による同情でして、団野騎手の寝坊は1度や2度でなく、日常茶判事的な出来事であったようです。怒りを買ったというよりは呆れられたというのが本当のところのようです。だから、次走のオールカマーでは騎乗が許されています。なお、この件で本当に可哀想だったのはジェラルディーナを担当している団野騎手のお父さんです。ほんと恥ずかしかったと思います。

 

さて、昨年の勝ち馬です。が、今回は舞台が変わります。そこに気になる点があったりします。意外でしたが、この馬はOPに昇格してから外回りコースや府中などの大箱コースでの経験がないんですよね。なので、この馬の強いところを目にしたのはいつも内回り。直線で豪脚を披露というものではなく、機動力を生かして短い直線で差すシーンばかりなのです。条件戦時代は鋭い決め手も度々見せていたのでそう言う脚が使えない事もないんですけど、相手が違いすぎますからGⅠのメンバーで末脚が際立つかどうかは意外と未知数だったりします。直線長く、決め手の重要性が増す今回の条件で昨年の様な末脚を発揮出来るかどうかの保証はありません。ここが予想を難しくさせるところだと思います。

 

5歳になり、いくつか変化が現れています。以前は使い込むとテンションが上がってしまうので間隔を空けながら慎重に使われていました。ので、緒戦から結構よく動けて、成績も悪くなかったのですが、今はそう言う感じがありません。春は大阪杯、香港、宝塚記念と3走しましたが、一番デキが良かったのは3走目の宝塚記念でした。使い込んでからの方が良く、叩き良化方の兆候が出ています。この秋もオールカマーから始動して負けていますが、今は復帰緒戦から仕上げきれない馬になっているようなので、2走目の今回は良くなる余地があると思います。

 

また、レース振りの変化も顕著です。最近はスタートしてからダッシュがつかなくなってきました。陣営曰く、ズブくなって来たのでテンに行けなくなり、徐々に後方マイポジションな馬になりつつあります。これが今年の4走全てで馬券圏外になっている要因の一つとなっています。厩舎のイメージとしては優勝した昨年のオールカマーの様にポジションを取って運ぶ形が理想だと常々話しているのですが、今のこの馬にそう言う競馬は難しいようです。

 

今年はオールカマー1着→エリザベス女王杯1着→有馬記念3着と走った昨年の様な勢いがないですね。5歳になってからの変化も加齢による影響が大きいので、昨秋ピークでこの時の状態に今はないような気がします。

 

ただ、鞍上がムーア騎手になる事が発表されています。ズブさが出始めているこの馬にこの方以上の援軍はいないでしょう。何しろ、ディーナよりはるかにズブいヴェラアズールにポジションを取らせてJC優勝に導いたジョッキーです。動かしていく必要のある馬に、ムーア騎手の押し込んでいく騎乗スタイルは非常に合っていると思われます。※BCの制裁で今週の騎乗が停止になる場合があるそうです。

 

なお、ネガティブな話がほとんどを占めましたが、能力そのものが落ちたという話はこれまで1度もありません。力を出し切れば上位に食い込む事は普通にある馬だと考えています。鞍上に強力な援軍を迎えましたのでやはり重い印で対応すべきだと思っています。

 

ディヴィーナ

 

デムーロ騎手とのコンビで好走を続けています。それまでとはまさに一変の成績。どうしてここまで変れたのか?この馬が成績を落としていたのは気性の悪さでした。条件戦ではそれでも押し切れていましたが、OPではさすがに折り合いを欠いて勝ち負けという訳にはいきません。この不安材料改善のきっかけになったのがデムーロ騎手。気性を上手に抑え込めているのが好走の要因であるそうです。

 

以前はテンションの高さからゲート入り前からいつも危うい状態でした。パドック、返し馬でそれを感じ取っていたこの頃のジョッキーはそれで慎重になってしまっていたそうです。厩舎の言葉を借りれば、他の騎手だとビビって抑え込む騎乗になっていたので、それで余計に引っかかったり、伸びなくなったりとしていたのだそうです。しかし、デムーロ騎手はビビる事がないそうで、馬の気持ちを削ぐことなく、走りに集中させる事が出来ているのだと語っています。

 

府中牝馬Sの走りを見ると本当にそうなのだと思います。逃げた事のない馬にハナを切らせて逃げ切りました。デムーロ騎手の度胸の良さがこの馬に転機をもたらしたのは間違いない話の様です。力を出せればGⅠ・Ⅱ・Ⅲとグレードを問わず高いパフォーマンスを披露する事が出来ます。馬そのものに高い能力がある証拠でもありますが、デムーロ騎手が唯一その能力を引き出せた。要するに、こういう事だと思います。

 

近走では状態面もずっと良く、いつも力を発揮出来る状況でした。クソ暑かった夏に連戦した事がちょっと気になるところですが、その時が一番馬の状態が良く、元気が有り余っていたそうです。内面の充実度が今のこの馬には感じられます。上げ潮ムードの中でエリザベス女王杯に挑める事は明るい材料でしょう。今の勢いは無視できないと思います。

 

ただ、それで有力馬の1頭に数えて良いかは微妙な問題で、気性の問題、条件の問題、距離の問題を如何にクリア出来るかにかかっています。

 

まず、距離の問題からですが、前走後に急に距離はもう少し伸びても大丈夫と言う認識を示すようになりました。これにはさすがに違和感を覚えます。確かに、デビュー当初は中距離を戦っていたのでフィジカル的にダメと言うのはないのでしょう。また、母ノヴィルシーナは当レースで2着、宝塚記念でも3着と中長距離での好走例は少なくありませんでした。身体的・血統的にはやれて良い下地があったりします。

 

ですが、気性面の問題でマイルを走っていた馬なのでやはりメンタル面で2200mをクリアできる根拠はないと思います。前走の府中牝馬Sも行きたがっていたので行かせてしまったというのが本当のところなので、中距離で折り合いOKの判断材料は残せなかったと思います。また、ハナに立ってからもしばらくは掛かり気味でしたから逃げれば大丈夫と言う問題でもないように思います。

 

60.0秒ジャストの1000m通過の流れもこの馬にはちょうどよく前残りの展開に持ち込む事が出来ていました。暴走せずに走れたのは収穫ではありますが、2着とタイム差なしのハナ差の結果は逆に距離の長さを感じさせたと思います。やはり身体的にはこなせても、気性面からドンと来いと言える条件ではないように思います。

 

また、条件面ですが、これも微妙なところがあります。これはヴィクトリアM時の話ですが、「前走(阪神牝馬S)は右回りの大外枠で外に張ってしまった」と、だから左回りの方が良いと話していました。右回りに不安でもあるような物言いです。

 

そこで調べてみました。この馬がデビューした頃にはもう京都競馬場の改修工事は始まっていたので、右回りは阪神競馬場で走っているだけになっています。その阪神の成績は【0・0・2・3】。勝ち星どころか連対すらしたことがなく、3着2回も2戦目、4戦目の1勝クラスのもので、上級クラスでは掲示板にすら載れていません。

 

阪神だけがダメという可能性もあるのですが、右回りに不安を抱えているとは言えそうです。戦績が府中、中京、新潟に集中しているのも意識的なものでしょう。厩舎の話では右回りも走れないことは無いけど、左回りの方が良いという考えでした。右回りの条件も脚を引っ張ってしまう条件となるかもしれません。

 

以上の諸々を踏まえて、ここまでは左回りのマイルがベスト(特に中京マイル)とされていた事は事実であり、「2200m」「右回り」でドンと来いと言える立場ではありません。今の充実度を持ってして、これらの不利条件を克服できるかが大きな焦点となります。相性抜群のデムーロ騎手となら、とは思いますがこまでの適性ズレ条件だとよほどの神騎乗が求められると思います。

 

ビッグリボン

 

この馬の肩書は菊花賞馬キセキの妹であること。でも、全妹の割にキセキにあった強味がこの馬にはないですね。長距離GⅠ馬の妹にしてはその適性が微妙な感じ。2000mでも終いが甘くなるので1800mぐらいが丁度良いと話していたことがあります。2200mの3勝クラスが6着、2400mの京都大賞典が8着と2000mを超える距離で掲示板に載ることも出来ないでいます。

 

また、ジャブジャブの不良馬場を勝ったキセキは時計のかかるタフな条件で強いところがありました。逆にこの馬は時計の出やすい馬場が良く、スピード勝負に強いところがり、道悪の適性は持ち合わせていない模様。重馬場だった前走の敗因に陣営は馬場状況の可能性を示唆しています。他に不良馬場の経験が1度(3歳1勝クラス)あってそれも1.6秒差の6着。道悪経験はこの2走だけですが、やはりこちらも掲示板に載れていません。血統がまるで同じな兄妹ですが、その適性には大きな違いがあるようです。

 

11戦中9戦で2000mを使われています。府中・新潟の経験はないので、これらの全てはコーナー4つのレイアウト。この条件で目立った凡走もなく、立ち回りの上手さ、巧みな機動力、息の長い末脚などこの条件に必要なストロングポイントは全て兼ね備えています。枠に恵まれる事も少ないので、外々追走から外をマクってねじ伏せるなど力上位を感じさせた勝利も少なくありません。力のある馬である事は間違いないでしょう。

 

それだけに切れ味を感じさせるようなレースはなく、直線の長いコースで末脚勝負の経験もありません。やっていないだけなので全否定までは出来ないんですけど、京都の外回りで強さを発揮するような姿は湧いてこないですね。エ杯を意識して京都外回りの京都大賞典を使っているのですが、道悪の影響で力を出し切れませんでしたから、良いとも悪いとも言えず。この条件の適性を判断出来ないまま本番を迎えることになります。難しい判断になるでしょう。

 

また、やっぱり相手に恵まれて来た点は否めないと思います。厩舎も牝馬同士ならみたいな条件はいつもつけて来ます。重賞のタイトルも2勝クラスで勝ち負け出来てしまえるマーメイドSですから。エリザベス女王杯も一応牝馬限定戦ですが、GⅠメンバーに威張れる材料はあまりないですね。

 

マーメイドSを勝ってからはエリザベス女王杯を目標として休養に入っています。前走は叩き台の意識が強かったですから、叩いた上積みは期待してよいでしょう。使う毎に強さが増して来たところもあるので、前走以上の状態でゲートインする事が濃厚です。後は、相手関係と「京都外回り」「2200m」と言った実績のない条件でどこまでやれるかと言う事になります。

 

マリアエレーナ

 

この馬が得意と言われている条件に小倉2000mと中京2000mがありますが、よくよく見るとどんなコースでも崩れたことがないですね。前走のオールカマーの中山2200mはトリッキーなコースとして知られていますが、上手に走り0.2秒差の4着と好走。タイトルホルダーやア共杯を勝ったゼッフィ―ロと馬体を併せて入線しています。

 

また、2200mの適性も割とあるんじゃないかと思えます。新潟2200mの新潟牝馬Sで勝利、阪神2200mの京都記念も8着とは言え0.5秒差で大きくは負けていません。コースや距離の制約をあまり受けていない印象です。今回の様な外回りコースの経験はあまりないんですけど、そう言う先入観で評価を落としてはいけないように感じます。

 

そして、この馬は非常にタフですね。臨戦過多と言う意味もありますが、それ以外でも牡馬の強いところと走っても当たり負けしないのですから力強いと思います。昨秋の天皇賞(秋)や今年の金鯱賞など不利を受けることも多々あるのですが、それで馬にメンタル的なダメージが残る事も無く、次走でしっかりと走っていて好感が持てます。

 

強敵相手に常に善戦と言うキャラですから久しぶりの牝馬限定戦はこの馬にしてみたら楽な1戦なのかもしれません。実際、昨年の小倉記念で0.4秒先着、大阪杯で0.1秒先着、オールカマーで0.3秒先着と、3度走って3度負けした昨年の覇者に先着されるイメージを持つことは難しく、今回もジェラルディーナの上にくるのではないかと普通に思えてしまいます。5歳世代で一番強い馬はこの馬だったりするのかも。戦ってきた相手が強いこと、そして崩れなかったこと、それがこの馬の強味と言えそうです。

 

使っている馬なので上積みとかは期待出来ないと思いますけど、状態面に変動の少ない馬なので今回もいつも通りの仕上げで使えると思われます。今年6戦を消化していますが、あまり大事に使われていない馬なので気にする事はないと思います。ただ、夏馬と言う評価はこれまでも何度かされてきたのでこの時期に絶好調の仕上げを施せるかが鍵となるようには思います。状態面のチェックは慎重にした方が良いと思います。

 

なお、この陣営は常に強気に構えて来るので注意が必要です。これまで2戦したGⅠでも勝ち負けになるとか、負ける気がしないとか言っていたほどなので。厩舎側のコメントに捕らわれず、調教の動き等を直にチェックして判断した方が良さそうです。

 

ローゼライト

 

未勝利脱出に9戦。1勝クラス卒業に3戦。2勝クラス卒業に8戦。3勝クラス卒業に5戦。OPに昇格するまでに都合25戦を消化しています。勝ち上がったレースも7・7・8・6番人気と全て人気薄でした。地力でもぎ取ったというよりは、何かに恵まれて勝てたんだろうなというイメージです。

 

よくOPまで上がれたなぁと思います。厩舎側も「ここまでよく出世してくれた」と函館記念の際に話していて感慨深げでした。その函館記念も記念出走と言うか、力試しと言うかそう言う意図で使われていて、勝ち負けの算段はありませんでした。

 

近走を拝見しても力不足は明らか。函館記念クイーンSの2重賞の内容は、他馬が持ったままで動いているところでこの馬は手を激しく動かしていて、手応えには常に余裕がありません。バテて止まったというレースではありませんでしたが、単純に脚力不足で伸び負けていますから、力差を余計に感じさせました。

 

好走したレースもレベルが高いものではありません。4走前の3勝クラスの勝利はペース・展開的にノーマルな流れでしたが、上位人気馬が意味不明に総脱落した事が勝因。流れは厳しくなかったので力を出し切ったら勝ってしまったという内容です。前走の新潟牝馬S3着は出走13頭中の8頭が条件クラスの馬で占められています。この馬も含めたOP馬5頭にはどれも底割れ感のあった馬ばかり。相手関係はかなり楽。相手に恵まれていたのは否定しようがありません。

 

上述したように、この馬の好走にはいつもこういうラッキーがあったのでしょう。そう言うチャンスに巡り合う事がこの馬の好走要因だと思います。GⅠ好走の根拠はまるでなく、敷居は明らかに高い。見送るのが妥当です。

 

でも、こうしてコツコツ頑張ってきたことでGⅠ出走を果たせたのも事実で、これはこれで夢のある話です。馬券要素は全くないですから無印にせざるを得ませんが、この馬の記念出走は何となく微笑ましく感じます。

 

6歳馬

 

6歳と言えばもう立派な晩年です。牝馬が高齢になっても走り続けることは少なく、上級条件であればそれは尚更。出走数自体が少なくなるので、6歳以上の馬齢の馬が当レースに出走したのはこの10年でたった22頭に過ぎません。馬券になったのはクロコスミアの3年目だった19年2着の1例のみ。その前10年でもやはり3年間走り続けたスイープトウショウの07年3着とその他に1例あるだけでした。競馬のあり様は変化が目まぐるしいですが、このように変化しない絶対的な傾向もあります。

 

今年の出走はイズジョーノキセキ1頭だけ。イズジョーも今年が3年目のエ杯となりますが、1度も馬券圏内に来れていない馬に期待出来る事はあまりないですね。

 

イズジョーノキセキ

 

ヴィクトリアMの時にも触れましたが、昨年の有馬記念で引退予定でした。そこで究極的に馬を作ってしまったので以降は立て直し切れていない印象です。

 

もう少しだけと言う感じでヴィクトリアMまで引退が伸びたんですけど、そこからまた引退が伸びました。ここで管理していた石松厩舎と馬主の意見の相違が埋めがたくなってしまったので、転厩。クイーンSから中竹厩舎として出走しています。

 

しかしながら、転厩後の方針は連覇のかかるGⅡ戦府中牝馬Sを大目標にしていました。ここに出走しているという事はまたしても引退を引き延ばしたのでしょう。引退の予定を3度も引き延ばすとは。さすがに酷使の領域だと思います。

 

地方に転出して高齢まで使い倒すという例はよくありますけど、ここまで中央に拘りレースを使ってくる馬は珍しいですね。ここで結果が出なかった場合、有馬記念にも出走させていそうです。そうでもしないと納め時を見つけられないのではなかと思います。

 

このような状況の馬なので絶好調時の力を保持しているとは思えないですし、当面の大目標だった府中牝馬Sを終えているので大きな上積みはないと思います。ただ、中竹厩舎に転厩してからは良い状態で使えているそうです。近2走も外枠を引いた事が敗因と考えられる上に、それほど大きく負けているとも言えません。まだそれなりに走れているなぁというのはあり、馬は健気に頑張っています。牝馬同士の1戦なのでイメージだけで評価を下げ過ぎるのはちょっとだけ怖い感じです。そこでこの馬の好走パターンと能力面を再確認しておきたいと思います。

 

好走する時は末脚が鮮やかに決まる時が多いですが、末脚上等と言うタイプではないですね。使っている脚はそう長くない印象です。3勝クラスで脚踏みしていたころから末脚の優位性を失っているので安定して上位上がりを使える馬ではなくなっています。キレる脚は使えますが、その脚の航行距離は長くありません。

 

よって、距離をロスして外差しが決められる馬ではありません。これも毎度々々のことですが、イン枠を引いてインから差すズルい競馬しか好走する事が出来ません。位置取りに拘りはありませんが、とにかく内々で脚を溜めて短い脚を有効利用するしかないのです。陣営もくどいくらいに内枠を引きたいとレースの度に話しています。今回もこの条件をまずはクリアしてからでしょう。内枠を引いた時に初めて検討のテーブルに置けばよいと思います。

 

ただ、内枠を引いたとしても京都コースはこの馬向きのコースとは言い難いかもしれません。3角の頂上から一気に脚を使わされる外回りコースだといつものように脚を溜めれないかもしれません。だからロングスパートのコースだと言われているのです。昨年までの阪神コースならあるいはとも思えますが、長い脚を使えないこの馬にとって器用さだけで上位に来るのはやはり難しいかもしれないですね。

 

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