競走馬カルテ

2・3歳重賞の出走馬を分析・記録していくブログです。

マイルチャンピオンシップ(GⅠ) 出走馬カルテ① 2023

 

こんにちは。

 

過去10年では13年~19年の7年間を京都で、20年~22年の3年間を阪神で行われた訳ですが。ちょっと意外でしたが、時計面で優秀だったのは阪神の3年間の方でした。

 

阪神の勝ち時計は全て1分32秒台。京都は10年前に1度だけ。
阪神のレース上がりは過去10年で1・2・4位。京都の方が上がりがかかっている。

 

となっています。

 

特に上がりの速さは阪神の方がより求められていて、3年間すべてでラスト2F目に10秒台まで加速しています。京都で行われた7年間にこういう高速ラップが刻まれたことはありません。京都ではレース上がりが33秒台まで加速したのは1度しかなく、35秒台が記録されることもしばしばあって、34秒台が標準的な上がりタイムでした。

 

京都で行われるマイルCSでは瞬発力や切れ味の必要性が阪神よりも問われません。ロングスパートをかけられるコースレイアウトなのでマイル戦でも一瞬の脚よりも、良い脚が長く使える馬が有利なコースなのかもしれません。

 

なので、上がり最速馬の需要も京都ではそれほど高くなく、カウントした7年間では2勝3着1回と馬券にならない年の方が多くなっていました。それどころかミッキーアイルが勝った16年、ステルヴィオが勝った18年では上がり順1~3位の馬が1頭も馬券になれなかったという年もあったほどです。

 

だから逃げ先行馬に有利かと言えば、そんな事も全くないのですが、極端な末脚勝負型には不向きなレースと言えるのかもしれません。直線長い京都のイメージとはだいぶかけ離れていますので、そこに注意が必要かもしれないですね。

 

マイルCSは19日(日)に行われます。前日の18日(土)には更新を完了します。更新順は年齢の若い順から更新していきます。字数10000文字を目途に、ちょうど良いところで2枚目に切り替わる予定です。

 

予想案は各ページの最下部にある専用ページにまとめてあります。ブログカードを貼っておきますのでそちらをご覧ください。

 

3歳馬

 

エエヤン

 

NZTを勝利して、NHKでも2番人気の支持を受けていました。そこで恰好良く勝利を収めていたら3歳代表として出走出来たのに。現状は重賞1勝馬に過ぎず、大きいレースで連敗中。壁にあたっている印象が強くなってしまいました。NZTで本命にした馬なのでそこまで弱い馬とは考えていませんが、現状はいろいろと厳しいように思います。

 

この馬の出世を阻んでいるのはやはり気性面ですね。エリザベス女王杯に出走した気性難のディヴィーナを上手く乗りこなしているデムーロ騎手でもエエヤンの気性難は御し難い模様。前走も手綱を強く引っ張ての追走で折り合い難は目立っていました。優勝したNZTのように3歳馬同士の重賞ならその手応えでも押し切れるのでしょうが、GⅠだったり、古馬の一線級を相手に折り合いを欠いて突き抜けるのは難しいようです。

 

デムーロ騎手も「道中の行きっぷりが良すぎて、ちょっとスタミナがなくなってしまった」とレース後に話しています。直線では一瞬伸びかけていましたが、直線長い府中では終いまで脚を持続させる事は出来ませんでした。この馬は見るからにパワーが強いので行きたがると抑え込むのに一苦労。鞍上もしんどいのではないかと思います。折り合い面がもう少しスムーズにならないと今回も同じような状況になる可能性は大きいと思います。

 

これだけ折り合いを欠いたのは、前走の仕上げに問題があったかもしれません。毎日王冠で馬をメイチに仕上げていました。馬がデキすぎちゃっていつも以上に行きたがってしまったのかもなぁと思います。厩舎側の言い分ですと、完璧な状態に馬を仕上げて、その状態で古馬にどこまで通用するかを試したかったのだそうです。結果はあいにくなものになってしまいました。この内容なので力以上に負けた印象もあるのですが、古馬との力差は測れないまま本番を迎えることになりました。

 

前走をメイチで使っていますから、マイルCSが本番と呼べるのかも疑わしいですね。2戦目の上積みぐらいはありそうですが、マイルCSを見越した仕上げはしていないので、勝ち負けを意識出来るデキに到達しているとは考えづらいです。

 

エルトンバローズ

 

3歳世代では牡馬は菊花賞馬が、牝馬はローズS1・2着馬が春までの既成勢力を上回る活躍を見せました。マイル路線ではこのエルトンがそう言う立場に立つのかもしれません。現在4連勝。絶好調です。あと偶然の産物なのでしょうが、帽子の色は違いますが4連勝の全てが6番枠。凄いですね。このラッキーナンバーを引き当てるる事が出来るかどうか?マイルCSでも6番枠に入るようだともう鉄板になりますね。ちなみに6番枠以外では2着3回、9着1回と言う成績です。

 

1800mの重賞を2連勝中ですが、ラジオNIKKEI賞ではレーベンスティールが、毎日王冠ではソングラインとシュネルマイスターが追い出しが遅れていました。だから勝てたというところはあるでしょう。この距離で強かったという事ではないと思います。むしろ1800mの未勝利(2着3回)は何度やっても勝ち上がれず、短縮したマイルが飛躍のきっかけとなっています。なので厩舎も以前よりマイルでの活躍を期待しています。杉山厩舎では春にマイル路線で活躍したガイアフォースを中距離に回し、マイル路線はエルトンが担うことになっています。中距離重賞を連勝中ですがマイルがベストの条件だと見ておく方が良いですね。

 

この馬は春の後半からどんどん調子を上げて来ていて、1戦毎に強くなって来ています。前走時もめちゃくちゃ状態が良いと西村騎手も相当な手応えを持っていました。今は常にパフォーマンスを上げてきているので前走以上の走りをここでもするのかもしれません。成績にも表れているように今は上げ潮ムードの良い循環でレースを使えています。力上位を示す明確な根拠はないんですけど、こういう馬は非常に怖いですね。今回も無印に出来るような材料は出てこないと思います。

 

特徴としては、基本的にどんな競馬も出来ますがスパっとした脚を使える馬ではないので末脚勝負では分が悪くなると思います。重賞2勝も6番枠からインポケットの絶好位を確保し、そのアドバンテージを活かすという感じ。立ち回りの上手さで勝負して良い所があります。このような競馬が出来るので、操縦性は良いですし、折り合いが気になるような気性難でもありません。不安材料と呼べるのは未知数な相手関係だけだと思われます。先行する馬なので壊滅的なハイペースにでもなったら分かりませんが、そこまでの激流を想定出来るメンバーではないので、良いところで競馬して、直線で良いところを見せてくれるとは思えます。

 

4歳馬

 

セリフォス

 

昨年の覇者ですね。今回は安田記念2着以来になります。安田記念では当初この馬を本命で考えていたんですが△まで評価を下げています。こないと思ったんですよね、正直。ドバイ遠征後の調整が上手くいかなかったので陣営からも弱気な言葉も出ていました。また、レーン騎手も制裁点が溜まっていたので積極的な騎乗が出来ないんじゃないか?と言われていたので、あまり推せる状況ではありませんでした。

 

それでも2着に来るのですから改めて凄い馬だなぁと思った次第です。今回も富士Sを回避しているので順調さを欠いていますが、走れる状態にもってこれているならそれを理由に評価を下げるのは危険かもですね。それに絶対王者的だったソングラインはいませんし、目新しい新興勢力も現れませんでした。安田記念よりも与しやすい相手関係になっています。この時ぐらいのデキにあれば絶好調でなくても上位確定みたいな力関係だと思います。◎には出来ないとしても、〇▲ぐらいにはする必要があると言えるでしょう。状態面、デキ具合などを考慮して印を決めればいいと思いますが、その選択肢に無印はないと思います。なお、富士S回避の理由は夏負けの影響で調子が上がらなかったからだそうです。

 

ただ、やっぱりこの馬も香港に登録していますからマイルCSを使って、レーン騎手が騎乗してくれる香港メイチの筋書きはあると思います。中内田厩舎もこの馬に関しては、川田騎手以上にレーン騎手と密接な関係なのでそちらに照準を合わせている可能性は高いと思われます。勝負を賭けるなら1ケ月後かもしれません。この辺の戦略は情報戦になって来ますので要注意です。

 

セルバーグ

 

夏のマイルシリーズは3戦して12pt獲得の2位。もう少しで夏のマイル王でしたが、この馬以上に数を使ったメイショウシンタケ(4走14pt)にチャンピオンの座を奪われてしまいました。3戦目の関谷記念が終わった時点では首位だったので、もうひと踏ん張りして京成杯AHに出ていれば。でも、こういう事は関係者も当然考えたと思うので4戦目に参戦しなかったのは馬には良い事だったのでしょう。

 

セルバーグの評価は簡単です。厩舎側はいつも自分との闘いと話しています。テンションが高い馬のようです。暴走のトリガーとなるのは周りに他の馬がいるかどうか。ゲート前の輪乗りですらスイッチが入ってしまうことがしばしばなので、レース中は言うわずもがなです。中京記念関屋記念と逃げていますが、モマれることで平常心を失う事を鞍上が危惧したからだそうです。それまで以前はどんな競馬も出来る自在型でしたが、今は逃げる事が力を出し切る最良の手段になっているみたいです。枠にもよりますが、今回も先手を主導する事になるかもしれません。

 

能力的にはGⅠレベルの馬ではないでしょう。条件戦時代に今村騎手を多用していたように減量を活かして昇級してきたようなところがあります。中京記念では55kのハンデに恵まれていましたし、ほぼ同じようなペースで逃げた関屋記念が伸びを欠いて失速、3k増の定量戦で力負けした格好です。この関屋記念に関しては、特に気性がネックになっていなかったようなので額面通りに結果を評価して良いと思われ、このメンバーではさすがに物足りないところでしょう。

 

気性的の不安材料や能力的な力関係から印を回せる余裕はなさそうに思うのですが。

 

ダノンスコーピオ

 

昨年のマイルCSでは優勝したセリフォスよりも人気は上で、この時点でGⅠ馬だったので格も上でした。厩舎サイドもライバル心があったようでもうセリフォスには負けないと息巻いていました。が、あいにくそうはならず、このレースから立場は完全に逆転してしまいました。セリフォスはGⅠを渡り歩きトップクラスの走りを続けていますが、ダスコは夏のローカル重賞すら凡走してしまい。2頭の差は天と地ほどに開いてしまった感があります。

 

それにしても急に走らなくなりました。理由はなんでしょうか?負ける度に敗因がいつも違うので、言っていることに眉唾感があるので理由を特定するのは難しいですね。一応箇条書きしておきますと

 

・狭い所に入って進んで行かなかった→気ムラ
・昔から右トモの具合が悪く、今年に入って症状が良くない→調子が上がらない
・重い斤量を背負った時に走れていない→斤量に敏感

 

などなどです。本当かどうかは分かりませんが、結局のところ心身ともに走れる状態ではないんだろうなぁという印象です。

 

特に気になったのは狭い所に入って進んで行かなかったという理由ですね。これは京王杯SC時に上がった敗因なのですが、その後の安田記念中京記念を見ると、外目を追走していても前に進んで行っていないように感じました。状況に関わらず、馬に直線で加速する気がないように見えます。

 

手応えがあるのにそれ以上の加速を馬が自ら止めているようにさえ映ります。止まってはいないんですけど、雪崩れ込むだけの競馬続いている感じです。身体的な問題よりも、メンタル的なものが理由になるのかもと思われます。ここはチークとか、ブリンカーとかの馬具矯正のタイミングかもしれないですね。その対策を今回してくるようならその際は再考が必要でしょう。

 

このような状況で今はGⅠを意識出来るような感じがありません。GⅢの中京記念ですら陣営のトーンは低いままでしたから、よほどの買い材料が出てこない限り印を回すのは難しいかもしれません。

 

ナミュール

 

富士S優勝からの臨戦になります。富士S組の過去10年の成績は【3・3・2・43】。馬券になった数で言えば富士Sがトップの成績です。富士SマイルCSの連覇を成し遂げた馬は11年エイシンアポロン、22年セリフォスの2例あります。ナミュールも十分勝ち負けの可能性を持つ1頭であるはずですが、これらに続く事が出来るでしょうか?

 

ヴィクトリアMと安田記念は不利があって不完全燃焼でした。ただ、富士Sと2月の東京新聞杯を比較するとこの馬が強くなっていることが分かります。いずれも1分31秒台で走っているのでこれだけでも評価は高くなるのですが、富士Sでは東京新聞杯の時計より0.4秒速い。それだけでなく、

 

東京新聞杯:34.4-57.1の流れに対し使った上がりは34.0秒

富士S: 34.0-56.7の流れに対し使った上がりは33.8秒

 

と、よりタイトな展開になった富士Sの方が上がりを速くしています。末脚の精度が上がっているのは見逃せません。レース内容が良くなっているのですから評価はより高くなりますね。夏を越しての成長が馬を強くしたのかもしれません。


休み明けのフレッシュな状態の方が力を発揮出来る馬なので陣営も意識的にそう言うローテを組んできましたから中3週のローテがまず懸念材料となります。ただ状態的にはちゃんと仕上がる馬ではるようです。ヴィクトリアMから中2週だった安田記念も良い状態に仕上がり、上積みまであったと厩舎は判断していました。当時の鞍上横山武騎手もその点に異存はありませんでした。

 

それでも、結果が出ていないのは事実なので、気になるところではあります。仕上げる事は出来ますが、馬が2走目は走らないよと決めているのかもしれません。最近は聞かなくなった昔の言葉に2走ボケというものがありましたが、こういう馬の事を言ったものでしょう。馬自らがヤラズを決め込む場合もあるのかもしれないですね。

 

4歳になってからの調整方法は馬の気持ちを重視して調整されています。勝ちを意識して馬を煮詰めてしまわないように慎重に馬に接しているそうです。そうすることでいつでも弾けられるようにしておきたいと厩舎は話しています。なので、前走の富士Sもそう言うデキで使っていますから余力残しです。身体的な上積みは当然あると思います。

 

春は府中府中でしたが、秋は府中京都の臨戦です。輸送が無い分仕上げやすいと思いますし、それで馬も変わってくるかもしれません。状態面を不安視する必要はないと思うので、後は馬が走るかどうかでしょう。そこは終わって見なければ分からないところですが。

 

また、中3週の連戦ローテよりも気になるのはコース適性の方かもしれません。ここまで陣営はあまりにも府中ベストを強調しすぎています。ゆったり運んで直線で末脚を全開させられる府中のマイルがこの馬には合っていると考えているからです。今年4戦が府中マイルだったこともそれを象徴していて、他のコースでどうなの?というのは少し考えてしまいます。京都は未経験なのでやってみない事にはわかりませんけど、あくまでベストは府中のマイルなので今回のコースが最適条件と言う事はないのでしょう。府中マイルと連動性の高い阪神マイルならまだ前向きな解釈も出来ますが、京都マイルがこの馬の走りにどのような影響を与えるかは未知数な材料となります。

 

高野調教師に競馬に携わる動機を与えたのがダンシングブレーヴが勝った凱旋門賞なのだそうです。その血を受け継いだ桜花賞キョウエイマーチの末流であるナミュールには一際思い入れがあると話しています。だから、GⅠを勝てる馬である!とか、そうしないといけない!とかいった話をいつもいつもしています。今回も高い熱量を持ってこの馬に接しているはずです。この馬には高野調教師の執念が乗っています。出来る限りの必勝態勢を整えて挑んでくるでしょう。勝負度合いが小さいという事はまずありません。そう言う意味ではやはり無視の出来ない存在になります。

 

それに勝てるなら今のうちに勝っておかないとダメだと思いますね。今回は得意の府中マイルではないですけど、来春なんか待っていては下の世代の突き上げを食らう事になると思います。今年の3歳牝馬は強いですからうかうかしてられません。特に既にアーモンドアイ(GⅠ9勝)の蹄跡を追うのが規定路線となっているリバティアイランドがGⅠ勝ちを稼ぐのにビクトリアM出走という線もあると思います。こんな牝馬を相手にしたらナミュールだってたまりません。コースが違うとか、叩き2戦目がダメとかは言ってはいられない状況でして、実質ラストチャンスと言っていいと思います。

 

ビーアストニッシド

 

クラシック三冠を皆勤していたので菊花賞までは良く触れていましたが、今回はその時以来なので久しぶりです。元気にやっていたようで良かったです。

 

3歳春ごろには適距離は1800mぐらいではっきりとしていたので菊花賞の3000mはさすがに長すぎました。厩舎の考えでは1600m~2000mぐらいが良いと見ていたようです。しかし、以降の4戦は2000m8着、マイル6着、1400m2着、1800m10着とあらゆる距離を走っています。ただ、一番成績が良いのが好走レンジから外れている1400mなのは面白いですね。この時の勝ち馬がGⅠ馬ママコチャでそれに0.5秒差ですから短距離適性の方が強いように感じられます。

 

若い頃から行きたがる気性難で折り合いをつけるのが難しい馬でしたが、3歳秋ぐらいになるとそう言う問題は薄れていきました。しかし、暴走する事はなくなりましたが、一生懸命走り過ぎてしまう前向きさは変わらないまま。だから道中で溜めがなく、直線で伸びを欠いたり、決め手で負けたりというレースを繰り返していたようです。

 

唯一好走した1400m(安土城S)2着がそれを裏付けていて、ワンペースで行けるレースの流れがこの馬に向いていたのだと思われます。さすがに短距離だったのでテンにはおかれましたが、その代りママコチャを上回る32.8秒の末脚で伸びています。今回はどうかわかりませんけど、暮れの阪神Cに出てくるようなら面白いかもしれません。

 

どんな距離でもそれほど大きく負けている訳ではなく、直線でも良い粘りを見せています。力自体は持っている馬なのでしょう。GⅠでも入着ぐらいには走れるかもなぁという能力は感じれます。それを実現するには道中リラックスして走れるかどうかにかかっています。マイルの流れで溜めを作れるかどうかが重要です。もう4歳の秋、そろそろ落ち着きが欲しい年頃です。

 

マテンロウオリオン

 

近2走の走破タイムが面白いですね。

 

安田記念(58k):1:32.3(0.9秒差11着)

富士S(57k):1:32.2(0.8秒差5着)

 

斤量の分だけ富士Sの方が速く走れたようですね。また、この馬を物差しにするとナミュールの走りはソングラインに匹敵するということになります。不利さえなければ春の府中マイルGⅠを2勝していたのはナミュールだったかもしれません。でも、まぁマテンロウオリオンを物差しにしてしまう前提ですから破綻している理論ではあるのですが。

 

今年の初戦だった京都金杯でゲートで頭を強くぶつけたことで調子を崩してしまいます。この影響が大きかったようでメンタル的に力を出し切れなくなってしまいます。春はその影響を徐々に解消していく過程にあり、調子を上げきれませんでした。春一連の敗因には理由があります。

 

4ケ月の間を空けたことで多少良くはなっていたとい言いますが、富士Sからブリンカーを付けていたぐらいですから、まだピリっとしていないんだろうなと言う感じは致します。上述したように安田記念と同じような走破タイムで走っていますから、現状の力は出し切っていたのだろうと推察出来、本調子に戻り切れたという保証は無いままだと思います。だとすると、やはり積極的に評価出来る材料は出て来ないと思います。

 

管理するのは強気なコメントをよくしている昆厩舎なのですが、この馬に関しては威勢の良い言葉が出てくる事はほとんど無くなりました。NHKマイルC2着の実績馬ですが、厩舎のトーンからすると、やはりこの頃の状態に戻り切れていないのだと思われます。

 

今年は京都金杯から数えて前走で6走目。ずっとマイル重賞を渡り歩いており、掲示板があれば御の字と言う成績表。今回出走の馬とは大体やっているので現状のままでは勝負付けは済まされた馬と言えると思います。成長したとか、強さが増したとか言う話も一切ないので力の序列を修正する材料もありません。よほどの買い材料でもあれば考えも変わりますが、特にないなら評価を低くしないといけない馬だと言わざるを得ません。

 

レッドモンレーヴ

 

蛯名厩舎は今週勝負週ですね。東スポ杯2歳Sにも有力馬のシャンパンマークを送り出す予定。蛯名厩舎が開業したのは昨年。意外と頑張っているなぁと思いますが、解散した藤沢厩舎の馬を引き継いでいますので現状は管理馬に恵まれています。その先がどうか?と言うことは結構言われていたりします。この先の厩舎運営を思えばここは頑張りどころでしょう。

 

この馬が本当に強いなぁと思ったのは安田記念です。今年の春はダ卿CTでメイチの勝負を賭けていて、厩舎の初重賞を狙っていました。が、そこで結果をだせなかったので、次走の京王杯SCはギリギリかなぁという状態で出走しています。重賞初勝利はこの時に達成されました。が、そのため安田記念では上がり目なんてありませんでした。それでも3着シュネルマイスターに0.1秒差と走り、ソダシを競り落として6着で入線したのはちょっと驚きました。上がり目の無い状態でこれだけ走れるのはポテンシャルそのもがGⅠで足りているという事なのだと思います。GⅠを目標にしっかりと調整出来ていれば通用する可能性は非常に大きい1頭だと思います。

 

秋1戦目の富士Sでは闘争心に物足りない面があるとの話でした。併走馬を抜かそうとしないので気力の面が充実してなかったようです。その辺は厩舎側も気になっていたのですが、気難しいところもあるので無理に矯正すると機嫌を損ねる場合も考えられたので手緩い調整に留めています。この仕上げ方はいかにもステップレースというもので、本番に向けてはいい叩き台になっていると思われます。

 

そんなとぼけた状態で使いながらしっかりと2着に上げてくるのですから、やはり元々の能力がそれだけ高いという事なのでしょう。叩き2戦目で気力の充実が伴えば、GⅠでも十分に渡り合えるのではないかと思います。

 

このように素質・能力の高い一面は負けたレースからも感じ取ることが出来ます。元々名門厩舎で管理されていた馬で、当時のスタッフにも素質の高さを期待されていました。また、川田騎手がこの馬の事を大変よく評価していて中山のGⅢにわざわざ乗りに来ていた程でした。これから良くなる馬だからと将来性の高さを認めていました。だとすると本当に強くなるのはこれからだという事になります。その素質がここで開花しないとは限りません。激走なるでしょうか?

 

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