競走馬カルテ

2・3歳重賞の出走馬を分析・記録していくブログです。

菊花賞(GⅠ) 出走馬カルテ② 2023

 

こんにちは。

 

こちらは、

 

の、続きになります。↑ではセントライト記念組、その他組の9頭のカルテを作成しています。こちらのページでは神戸新聞杯組の8頭のカルテを作成します。菊花賞は22日(日)に行われます。前日の21日(土)には更新を完了します

 

予想案は各ページの最下部にある専用ページにまとめてあります。ブログカードを貼っておきますのでそちらをご覧ください。

 

神戸新聞杯(GⅡ)

 

ローズSに続き、神戸新聞杯でもレコードが更新された。そうは言っても勝ち時計は2:23.5なので物凄い超速タイムが生まれた訳でもない。そもそも阪神2400mに高額条件のレースは少なく、重賞はこの神戸新聞杯ぐらい。他に京都競馬場改修工事の代替開催で昨年までの2年間京都大賞典がこの条件で行われていた程度。その時に勝ったマカヒキやヴェラアズールよりは速かったが馬場差を考慮すれば許容の範囲でレコードが記録された事で特別扱いはしなくても良いと思う。

 

しかし、神戸新聞杯のメンバーがレコードで駆けた事は価値がある。セントライト記念は勝ち馬レーベンスティールの他、レース前から菊花賞にはいかないと話していた3着シゃザーンなど中距離向きな馬が出走していた。それに対し、神戸新聞杯には距離は長い方が良いという馬が多くを占めていた。スピードに優るセントライト記念組VSスタミナ重視の神戸新聞杯組と言う構図が出来ている。スピードで劣ると思われた神戸新聞杯組が過去最速タイムで駆けた意味はとても大きい。セントライト記念組の優位性に拮抗出来る材料を提供してくれた神戸新聞杯組に不安材料は無くなったと言えそう。

 

レースの流れは長距離戦らしくゆっくりめ。61.2秒と極端にスローではないが息の入れやすいペース。その代わりレースの動き出しが早くラスト4Fから急激に動き出す。11.6-10.7-10.9-12.0と区間中に10秒台が2連発。2000m戦でもここまでの急流はめったに起こらない。ここで力のない馬や速さの足りない鈍足ステイヤーは脱落し始める。持続性の有無で勝敗は分かれた。

 

この激流を作り出し、3着に粘り込んだ逃げ馬ファントムシーフの地力は相当高いし、2番手から押し上げたサヴォーナの力は本物で10番人気でもフロック性がない。また、脚を余した5着馬ハーツコンチェルトが直線でモタついたように見えた区間は10.9秒の超速ラップが踏まれていたところ。それ以上の速いラップを自ら踏めなければ詰めて来るのはなかなか難しい。最後の1Fで1.1秒の失速があったので僅差まで詰められたが切れ味のないこの馬には仕方のない展開負け。

 

同様のことは勝ったサトノグランツにも言えて、ゴール前にグイっとアタマだけ前に出れたのもこの失速があればこそ。展開に恵まれたから勝てたということはないが、直線でのモタモタは春と変わりが無く、この距離でもまだ短いのではないか?と思えるような勝ち方だった。とは言え、上位馬のレベルはどれも高く見積もれる。出走が適うなら5着ハーツコンまで注意が必要になる。

 

1着:サトノグランツ

・直線に入ってからのみ込まれそうな感じで遅れを取るほど。勝負所や追い出してからの反応は良くない。

・その代り追えば追うほど伸びるようなところがあり、エンジンがかかってからの伸び脚に見どころがある。

・3連勝の内容はいつもギリギリ差しが届く感じでゴール前では冷や冷やさせる。ただ、京都新聞杯も含めてそこまで強力な馬を差し切ってきた訳ではない。真に重賞級のメンバーを相手だと勝負所のズブさは後手を踏むきっかけとなる。

・今年のメンバーは「本格化はまだ先」と言うタイプが多い。その中でもこの馬の成長度が最も遅いような気がする。→ひと夏越しての成長は大きいよう。終いの反応も良くなっているという話。

・将来的なポテンシャルは高いと川田騎手も話す。パンとして来れば大きいところに行ける馬であるそう。

 

上記が神戸新聞杯出走時のカルテ。

 

2・3着に逃げ先行馬が残った展開を差し切ったのだから評価を高く出来るし、レコード決着でその価値はとても大きい。ゴール前でちょっとだけ差す勝ち方はこの馬らしいものだが、春とは違う面も垣間見えた。ラスト4Fから動き出した勝負所は10秒台が2連発した速さ。春までのズブさならこの区間でもっと置かれていたはずだが、この区間でも前との差を詰めれていたので、この馬なりにキレる脚を使っていたことになる。夏の休養で反応が良くなっていると厩舎では話していたがそう言う面がこういう所に出ているのだろう。

 

ゴールまで冷や冷やするのはいつも通りだったが、これも直線で狭い処に入っていたからで、右に左に切り分けて進路取りしていたため。進路が空いていたら突き抜けた脚を披露していたのではないかと思う。追えば追うほど伸びる末脚は秋にさらに磨きがかかった印象で、スピードを殺さずに馬群を切り分けた器用さも素晴らしい。着差は僅差だったがレース振りには成長の跡がしっかりと出ていた。

 

レース全体を見ても優等生な立ち回りで、スタートから序盤のポジショニングは上手い。前進気勢と言うものがないので折り合いには苦労しないし、どこまででも走ってしまえそうな長距離馬としての素養の高さも感じられた。

 

仕上げも本番を見据えたもので上積みは期待して良い。春は京都新聞杯からダービーまでの中2週の間にも成長が合ったと川田騎手は話していた。日々成長が進んでいる感じがこの馬にはあるので、神戸新聞杯以降も馬は強くなっているかもしれない。

 

また、京都新聞杯を使う際に、京都の下り坂はこの馬に絶対に合うと厩舎側はコース適性の高さを強調していて、その通りの結果になっている。同じ外回りでも阪神より京都の方が適性が高いと見て良いだろう。成長、前走からの上積み、距離延長にコース替わりと菊花賞はプラス材料ばかりである。

 

ただ、鞍上は不安材料になるだろう。今や日本人騎手NO1の川田騎手には失礼だが、この方の3000m越えの成績はひどい。過去10年では、菊花賞では3着が1度だけで、天皇賞(春)は入着ゼロ。私も18年天皇賞(春)で5番人気サトノクロニクル(12着)、21年菊花賞で1番人気レッドジェネシス(13着)と本命を打ったが、レースの流れに乗れずに力を出し切れなかった。正直、川田騎手のせいで負けたと今でも思っている。

 

また、今年の天皇賞(春)も3番人気だったボルドグフーシュに騎乗していたが6着。ボルドグの充実度や適性、能力からするとあんな競馬をするような馬ではないと思う。鞍上が脚を引っ張たという感じがしてならない。

 

以上の事から、川田騎手の長距離適性には疑問が残る。GⅠ3連勝と言う事で盛り上がるのかもしれないが、リバティアイランドの様に行くかどうか?今は手がつけられないほどの無敵感だが、その充実度でここも頑張って頂きたい。

 

2着:サヴォーナ

・上がりの速い競馬よりも前傾戦で上がりがかかる展開が得意であるようだ。

・2400mに拘った使われ方で2着・2着・1着と成績を安定させている。また、その上がりも2位・1位・1位と常に上位の末脚を使えるようになってきた。距離延長で末脚の優位性を得ている。中距離を走っていた頃とは別馬。

・スタートが悪く、後方から末脚で勝負していた馬が信夫山特別では逃げ切り勝ち。競馬振りもどんどん良くなってきている。

・2400mの持ち時計も速い方でスピードもスタミナも併せ持つ適性馬。

 

上記が神戸新聞杯出走時のカルテ。

 

出負け気味のスタートだったがスムーズに加速して3番手に付ける事が出来た。出遅れて後方からの馬だったが序盤の立ち回りが本当に良くなった。このコースは走り慣れているので追走もスムーズ。インポケットで脚も溜められていたよう。もともと末脚で勝負していた馬なのでしまいもそれなりに伸ばせる。2走前はスローの上がりの競馬で展開勝ちだったが、流れの速い後傾持続戦でパフォ―マンスを落とさなかったのはエラい。逃げ馬を交わして先頭にたったところを差されてしまったのは惜しかったが、この走りにフロック性はない。前で受けて展開問わず結果を出せる馬なら安定して上位に顔を出してきそう。

 

クラシックで上位だった馬には先着したし、力関係の不安もこれでなくなった。相手関係はさらに強くなるが距離伸びて良いタイプなので距離適性でなんとか凌ぎたいところ。夏を越した成長も大きかったようで馬がパワフルになってきたと厩舎サイドは目を細めていた。この馬も本番に向けて不安材料がない。今回も人気はないだろうが取捨は慎重にした方が良い。

 

3着:ファントムシーフ

・立ち回りは上手く、最終コーナーでの反応も良い。気性に難しい面もないので乗り方に注文はつかない。評価は高めの方が良いと思う。

・追い出してからの反応は少々鈍く前の馬を交わすのにモタついている。この馬が勝ったレースはいつもそんな感じ。勝った3勝はどこか危うい。決め手があるようには思えない。→使える脚は長いがその末脚を最高速度に高めるには長めの助走区間が必要。

・中山ではGⅠを2戦したが結局中山2000mは攻略出来なかった。一瞬の加速やキレ味が他の馬と比べて劣るのでそれが機動力となって発揮されていない。→厩舎側も中山よりも府中向きとのジャッジ。

・厩舎によるとスタミナ勝負、持続力勝負に持ち込むことが好走パターンとされている。

 

上記が神戸新聞杯出走時のカルテ。

 

1年間この馬を見て来たが要するに決め手のない先行馬ということなんだと思う。これまでの3勝も前の馬を交わすのに手間取っており、走りが良い意味でワンペース。瞬発力勝負やキレ味勝負では味がなくなる。皐月賞の様な上がりがかかる展開や馬場であれば後ろからでも脚を使えるが、ダービーや神戸新聞杯の様に速い上がりになると遅れを取る要因になっている。

 

神戸新聞杯ではその弱点が露呈しないように逃げたが、やっぱり決め手のある馬に交わされてしまった。武豊騎手の前走後のコメントは「やりたいレースはできましたが、この馬には馬場が硬すぎるかもしれません。そこだけです」とそっけないもの。馬場がいいのでキレ味のある馬に交わされてしまったということだろう。2着サヴォーナは元追込み馬で末脚勝負の才能はあるし、1着サトノグランツもスピードに乗ってさえいればかなり速い上がりを駆使出来る。馬場適性で負けたという事になるので力負けではないし、武豊騎手のコメントから距離が長くて負けたのでもないと思う。評価を落とす必要はなさそう。

 

ただ、京都に変わると決め手は余計に問われる。あまり良いコースとは言えない。この馬には一雨降った方が良いかもしれない。

 

神戸新聞杯のレース内容は良かったと思う。長く脚を使える点が長所でスタミナ勝負、持続力勝負に持ち込みたいと以前より厩舎サイドは話している。この良さを生かすには逃げと言う新スタイルは結構向いていたと思う。その逃げ方も強かった。前半はゆったりめのマイペースだったが、ラスト900mぐらいからペースを速めていき、望み通りの持続戦に持ち込んだ。以降の区間で10秒台を2連発するほどにペースをアップして直線一杯に粘り込んだレース運びは素晴らしいと思う。力のない逃げ馬には出来ない芸当である。菊花賞も逃げるかは分からないが、下り坂を上手く利用出来れば残り目は期待出来る。早めに踏み込んで後続の決め手を封じられれば入着の可能性はある。

 

なお、前走は一応本番を見据えた仕上げ。上積みが期待出来る。前走以上の状態で出走してくる。夏の成長もあり、馬が大人びたという話。この馬も春よりも強くなっている。

 

5着:ハーツコンチェルト

・長く持続性のある末脚がこの馬の良さ。一瞬で加速する性能は弱いようでヨーイドンの展開は厳しい。

ホープフルS若葉Sの様な小回り1周条件はこの馬には向いていない。コーナーで加速する事が出来ない上、直線も短いので脚を使い切れないまま負けている。

・徐々に加速してスピードに乗せていく方が良いので直線までゆったり追走していける大箱コースの方が向く。府中はGOOD。

・右回りでは厳しい結果。ただ、コナーで加速出来る器用さや機動力に欠けたるだけでコース形態に依存した適性で負けている感じ。右回りの走りに問題は感じない。

 

上記が神戸新聞杯出走時のカルテ。

 

神戸新聞杯も出遅れた。スタートに関してはもう諦めた方が良さそう。ただ、ダービーでもそうだったが距離が長いと道中のどこかでリカバー出来て、調整力もあるので気にしなくても良いところ。向こう正面では中段くらいまで押し上げられている。このようにラップが緩んだどこかで位置取りを改善すれば特に問題にならない。道中は勝ち馬サトノグランツと併走していたが、サトノがインでハーツコンが外。器用な小脚は使えない馬なのでこの選択は仕方ないところ。距離のロス分だけ負けた感じ。

 

直線でのモタつきは回顧部分でも触れているように、10秒台のラップが刻まれていたのでこういう区間で詰められる馬はそう多くない。反応が鈍く見えたのは目の錯覚である。この馬もそれなりの脚は使っているし、それ以上は常識的に無理。外を回したロスを考えればインをソツなく回った馬に遅れを取った事も説明がつく。直線で前を詰め切れなかった理由ははっきりとしていて力負けではない。

 

コナーで加速出来る器用さや機動力に欠けたところがあるので中山、阪神の内回りコースでは立ち遅れるが、外回りだった神戸新聞杯では4コーナーの勝負所でちゃんと勝ち筋に乗せている。右回りだからダメということではなく、コース形態に依存した適性を重視すべき。京都の3000mもコース的には問題ないと考えて良いだろう。

 

なお、前走時は約1ケ月前から栗東に前のりして調整されていて、そこで権利を取れたらそのまま居座って菊花賞を目指すと話していた。が、権利獲得できなくても、懲りずに栗東に居続けたそう。この執念は侮り難し。幸い、回避馬多数で出走には漕ぎつけそうで、陣営の選択は吉と出ている。今回も乗り方一つ。まだ見限れない。

 

7着:ショウナンバシット

・重馬場でのレースが多いので時計的な価値を見出しにくい。実力の程を測りかねてしまう。

皐月賞では道悪適性を如何なく発揮して5着。こういう馬場は相当な巧者。ただ、上位とは力差を感じさせている。良馬場の時計勝負になった際にどうか?

 

上記が神戸新聞杯出走時のカルテ。

 

7着だったが0.4秒差でゴール前の混戦に加わる事は出来ていた。ひとまず、実質ビリだったダービーからは巻き返した。ダービーは全然動けていなかったが、神戸新聞杯では勝負所でもしっかりとチャージ出来ていた。休養を挟んだことで心身をリセット出来たのだと思う。ダービーまでに6戦も消化していたので疲れもたまっていたのだろう。2億8000万もした高馬、さすがにあれで終りにはならなかった。

 

神戸新聞杯の敗因らしいものをレース後にデムーロ騎手はいくつか語っていた。サトノグランツをマークしていたそうだが「将雅がもっと早く動いてくれれば」と暗に川田騎手のせいで負けたという事を言っている。相変わらず仲が悪そう。ただ、サトノはそう言う馬なので動けなかったのも無理はない。デムーロ騎手が言いたい事は要するに、サトノの動きだし遅いから決め手勝負で負けてしまったということらしい。「ヨーイドンの競馬になりすぎてしまった」と妙な日本語で話していたが、瞬発力勝負は苦手と解釈すれば良さそう。

 

また、良馬場だったことも良さが出なかった要因であるように言っている。やはり道悪など力のいる馬場で強味があるということらしい。レコード決着の時計勝負はきつかったのかも。菊花賞も決め手勝負になりやすいが、ロングスパートを決めればもう少し着を上に持ってくる事は出来ると思う。その上で道悪にでもなっていれば僅かながらにチャンスが出てくるかもしれない。

 

ただ、正直トップクラスとは力差を感じさせている。適性のある重馬場だった皐月賞で5着だったが、他馬との立ち回りを比較すると物足りない点がある。条件も揃い、最高に上手く立ち回っての結果なのでこれ以上の走りを期待するのは厳しいと思う。地力だけで上位に食い込むのは難しそう。

 

8着:マイネルラウレア

ズブいタイプで後方で競馬を進めてばかり。勝負所で詰めれる機動力も無く、いつも直線勝負。

・瞬時にビュンと加速することはない。エンジン点火に時間がかかるタイプ。

・最後の1Fだけは異常に速い。ゴール前でグイっと伸びる変な強さがある。→坂を上ってから伸びるという事は平坦巧者か?

 

上記が神戸新聞杯出走時のカルテ。

 

神戸新聞杯の敗因ははっきりとしていて完全に仕上げの問題。調整は遅れていたようで、厩舎側のトーンは非常に低かった。また、成長が遅いようなので全体的に馬は緩い。パンとしてくるまでもうしばらく時間がかかりそう。

 

2走前の京都新聞杯の頃からレースの流れに様になってきた。前々走が中団後方、前走が先団後方と位置取りを取って競馬が出来るようになった。段々と競走馬らしくはなってきている。

 

レースは3~4角の勝負所までは流れに乗れており、サトノグランツ、ハーツコンチェルトと同じような位置で競馬が出来ていたが、10秒台が2連発した区間で置かれてしまった。機動力の無い馬なのでこれはこの馬らしいところで、バテていた訳ではない。坂を上ったところで再び詰めていたので、こういうところがこの馬の弱点。速く、タイトな流れだとこの先も苦しいところが出てくるだろう。

 

ただ、直線の平坦部分で異常にキレる馬なのでオール平坦の京都はこの馬に適している。京都新聞杯ももう少しスムーズに捌けていれば入着があり得た可能性は高い。未完成ながらも一芸のある馬でそれだけで想像以上の走りをする事がある。横山武騎手、川田騎手など騎乗したジョッキーは素質のある馬と評価しているので、馬鹿に出来ないところも。前走からの上積み次第で一考の余地あり。

 

10着:シーズンリッチ

・スタート下手で、出して行くと行きたがり、脚を小出しすると末も甘くなる。乗り方が難しい。→共同通信杯でスタートが改善されて五分に出れた。以降は2・3番手の競馬が安定して出来ている。

・強敵相手に0.5秒差で走れた共同通信杯の内容は悪くないが理想的な競馬が出来ていただけに力差を余計に感じる。

・一線級の参戦がない隙間重賞(毎日杯)なら通用の余地はある。

・末脚上等というタイプではない。加速するというよりもバテずに伸びるという末脚。決め手勝負になるとつらい。

 

上記が神戸新聞杯出走時のカルテ。

 

角田河騎手のレース後の談話では、瞬発力勝負で良いところを出せなかったと話しているが、そんな負け方ではない。確かに決め手はないがバテない末脚は使える馬。だからダービーも7着に踏ん張れたはず。しかし、神戸新聞杯では直線で早々に手応えが無く、目に見えて脱落している。瞬発力は必要だったがラスト1Fは1.1秒の失速があったのだから最後は踏ん張りが利く展開でもあった。2番手先行からここまで負けるのはこの馬らしくない。ダービーぐらいの着には走っておくべきだったと思う。

 

敗因は後半4Fの持続戦に対応出来なかったこと。持続戦と言っても持久力の方ではなく、スピードを持続させる性能の方。要するに時計の速い決着に対応出来なかった。ラスト4F~ラスト2の区間の速い流れで馬が疲弊してしまったのだろう。レコードが出るような高速馬場の適性も弱いようだ。上がりのかかる消耗戦で良さが出る馬なのでこれは仕方ないが、クラシックは大体そう言うレースばかりだから根本的な問題とも言える。京都も高速馬場になりやすいので、道悪にでもならないと出番はなさそう。

 

この馬はダービーの時も最初のコーナーでクビをあけたり、口を割ったりと折り合いを欠くシーンが目立っていた。神戸新聞杯でも最初のコーナーで同じような仕草を出している。また、3コーナーの手前でも同じような仕草をしていて、コーナーを回る際の操縦性に難があるように思う。菊花賞はコーナーを6度も回るのでこれも心配の種になりそう。優勝した毎日杯のように、馬群の中で我慢させればそう言う所を見せないので内枠からソロっと乗って行く方がこの馬には良いと思う。

 

神戸新聞杯を走ったことで菊花賞への不安材料が一気に噴出したという感じで、展望は暗い。

 

11着:ナイトインロンドン

・末脚はいつも際立っていて4戦つづけて上がり最速を記録している。先行ポジションからこの脚を使っているので取りこぼす感じがない。

・2勝目はダービーの3週間後に行われた同条件だったがダービーより勝ち時計が速い。出ていればそこそこやれていたのかもしれない。

・おっとりしているようで前進気勢がほとんどない。自主的な追走力はないが促されればちゃんと動けて勝負所の反応も悪くない。

・GOサインが出されるまでは反抗することなく無駄がない。レース中のオンオフが出来ていて素晴らしい。

・スタミナに裏付けられた脚力は高く追えば追うほど伸びる感じがある。長距離適性の高さは隠しようがない。

 

上記が神戸新聞杯出走時のカルテ。

 

2・3着馬と同じような位置取りで競馬をしていただけにズルズルと下がってしまった直線の走りは案外だった。ここまで後半が速くなる経験が無かったのでスピードが問われた展開がこの馬には苦しかったのかもしれない。ただ、それも地力がないからこその結果なので力負けということになってしまう。時計勝負で弱味が出た。

 

レース後の談話では馬が真面目に走りすぎていたとのこと。道中で気が入り過ぎてしまったようだ。これに関しては、このレースから装着していたチークピーシズが悪い方に作用してしまったのかも。中間の調整で効果があったそうでレースでも使用するかどうか悩んでいたそうだが使用しない方が良かったかもしれない。もともとおっとりしているのでこういう対策をしたくなる気持ちは理解できるが、効き目があり過ぎてしまったようだ。次はさすがに外してくるだろう。

 

本来は行きたがったり、折り合いを欠いたりがないので、以前の様なマイペースな走りが出来れば巻き返しはあるかもしれない。

 

2走前は中段から競馬も出来ていたのでレースの流れに合わせた競馬も可能。3連勝中は全て最速上がりを記録していて、長く良い脚を使える。ステイヤーとしての資質も高いと思うので、神戸新聞杯の敗因をクリア出来れば前走以上には走れると思う。中間の調整次第で再考の余地は残しておきたい。

 

菊花賞(GⅠ)の予想案はこちら▼