競走馬カルテ

2・3歳重賞の出走馬を分析・記録していくブログです。

ファンタジーステークス(GⅢ) 出走馬カルテ 2023

 

こんにちは。

 

一昨年の本命馬はママコチャ(3着)で、対抗がナムラクレア(2着)だったんですけど、今年のスプリンターズSで1・3着に走りましたね。それ以外にもレシステンシア、メイケイエール、ベルカントなど古馬になってスプリンターとして大成して優勝馬は多くいます。

 

いかにファンタジーSが短距離馬向きのレースであるかが分かります。阪神JF桜花賞等で結果を出せた馬もしばしばいますが、短距離志向の強い馬が勝ちに来るレースと見る事が出来ます。短距離馬の勝負度合いには注意が必要です。

 

今回も解っているいるだけで短距離の2勝馬が4頭もいて、その他の馬も短距離で勝ち上がった馬ばかり。その傾向は一層強くなるでしょう。でも、短距離戦は力差が分かりにくい面があるのでこの重賞は難しいですね。しかも、フルゲートに迫る勢いで馬が集まっています。輪をかけて難解なレースになると思います。

 

ファンタジーS(GⅢ)は11月4日(土)に行われます。前日の3日(金)には更新を完了します。1勝馬の出走は抽選になる可能性があるので、出走が確定している2勝馬から更新をしていきます。その他は五十音順で更新していきます。

 

予想案は各ページの最下部にある専用ページにまとめてあります。ブログカードを貼っておきますのでそちらをご覧ください。

 

2勝馬

 

キャプテンネキ

 

新潟1400m1着→りんどう賞(京都1400m)1着の2戦勝馬。初戦は新馬戦にしてはペースが速く、それを2番手で追いかけた。単騎で逃げた3着馬を直線の叩き合いで競り落とし、3着馬の追い込みを凌ぐ。ラスト3Fで加速ラップを踏んでいるのは印象が良い。続くりんどう賞では当初ハナを切っていたが、行きたい馬に行かせて2番手に。初戦は行きたがる感じもあったが、りんどう賞ではスムーズに折り合えていたので良かったと思う。5頭が0.1秒差でひしめき合ったハナクビクビクビの接戦を制した。直線では新潟2歳Sの4着馬と叩きあってこれを競り落としており、負かした相手も強かった。ペースは新馬戦よりも若干速いペースで、重馬場でよりタフなレースを凌いでいる。現状はスピードが勝っている印象で、2戦とも同じ立ち回りでレース振りに奥はない。が、タフな競馬で強さを発揮している点は評価して良いと思う。勝負根性のあるところも垣間見え、渋太い走りをしている。マイルに伸びて良い感じはしないが、同距離、同舞台のレースなら引き続き好走可能だろう。あとは相手次第。

 

クイックバイオ

 

阪神1800mでデビューしたが、札幌1500m1着、ききょうS(阪神1400m)1着と徐々に距離を縮めて2連勝中。なんで初戦に中距離を使ったのかは不明だが、ブービーで入線するようではよほど長かったのだろう。直線ではもう全く伸びなかった。距離短縮して2勝だが、いずれも好時計で勝っておりスピードを活かす競馬が向いているのは間違いが無さそう。2歳戦にしてはペースが流れたレースを制しており、スピードを持続させる能力は高そうである。ワンペースな走りをでラストの失速も軽微に留めている。ゴールまで伸びて勝っている点は好感の持てるところ。先行出来る速力もあり、勝負所で持ったままで先頭に並びかけられる機動性も良い。時計的な裏付けもあるので重賞でも通用する可能性はある。ただ、使う毎に前進気勢が強くなり始めている感じがある。追ってギアがグンと上がる感じも無いのでマイルでは評価が下がりそう。現状は1400mがベストなように思う。OP勝ちの馬なので暮れのGⅠは大丈夫そうだが、本番で強味があるようには思えない。狙うなら1400mの前哨戦と言うタイプかもしれない。

 

シカゴスティング

 

中京マイル3着→新潟1400m1着→フェニックス賞(小倉1200m)1着と1Fづつ短縮しながら2連勝中である。1200mの前走が最も強い勝ち方をしているので短距離適性が高そうではあるが、どの距離でも渋太い走りでくらいつき対応は出来ている。スタートが良く、ポンと出て先行態勢をとり、全戦で逃げ馬をマークする2番手の競馬、その位置からいち早く抜け出して2連勝している。競馬のスタイルがもう確立されている。ただ、直線でグンと加速する感じはなく、ワンペースな走りで決勝点まで走り切っている。なので直線長い中京では負けたが、直線短い新潟内回り、小倉では勝利を手にしている。京都外回りで同じパフォーマンスを発揮出来るだろうか?ただ、ここまで先着を許した新馬戦の1・2着馬も弱くなく、1着馬は新潟2歳S3着馬で、2着馬もその後2・2・1着と連対率100%を維持して勝ち上がっている。負けた相手も上等で相手次第で直線の長いコースでも乗り切れる可能性がまだある。取捨は慎重に。しかし、現状の走りは単調で持ち時計もない。ペースも遅いのでこういう競馬が楽に出来た点で有利であったし、少頭数でモマれた経験もないため、多頭数となり、速力の速い馬と対峙した時に、これまでの様な競馬が出来ない可能性も小さくない。成績は悪くはないし、競馬振りも良いのだが、強調出来ない材料も結構目につく。上を目指せるかどうかはこのレースの結果次第。試金石である。

 

ドナベティ

 

7月の函館でデビューして、札幌に転戦し3戦2勝。1200mを2勝している。2戦目のクローバー賞(札幌1500m)では新馬戦同様一番良いスタートで2番手追走だったが、新馬戦の様には抜け出せず5着。いかにも距離が長いという負け方。スタートは上手い馬で全戦でちゃんと出れていたが、前走のすずらん賞は33.8秒の超ハイペースの流れに置かれてしまい、後方2番手まで下がってしまった。それまで35秒ぐらいの緩い流れを先行していたので、馬が戸惑ったような感じだった。しかし、直ぐに行き脚が付いてそこからはグングンと進出。直線大外ブン回しで豪快に差し切ってしまった。1000mぐらいをほぼ全力疾走した感じ。レース振りには凄みがあった。展開はハマっていたがインパクトのある勝利。序盤に先行していたスピードを後半の末脚に転嫁出来たのは素晴らしい。自在性があるのは強味となりそうで、どんな競馬でも力を発揮出来そうである。こういう競馬が出来れば1400mぐらいまでは何とかなるのではないか?北海道の洋芝オンリーなので中央場所の高速馬場にどこまで対応出来るかが課題。粗削りな面もチラホラあるが、現時点でちゃんと動けているので自身の力は出し切れるだろう。相手強化でどこまで走れるか?

 

1勝馬

 

イツモニコニコ

 

新潟1400m3着→阪神1400m1着。2戦とも出遅れている。新馬戦は動ききれていない感じでモタついたが、2戦目では立ち遅れてからのダッシュが速く、内からスイスイと進出して1F標付近ではもうハナに立っていた。そのまま逃げ切ってしまう。新馬戦では3F35.7秒の速さでも追走しきれなかったのに、未勝利戦では33.3秒でレースを引っ張った。速力が明らかに増していた。レース間隔は中1週だったがガラリ一変した感じ。馬体重が-10kだったので余裕残しで新馬を使ったのかもしれない。この馬は追い出してからの反応が良い。差す競馬だった新馬戦でも沈み込んでから良い脚を使っていて、この時は上がり最速だった。勝ち上がった前走も良いフォームで力強く伸びている。脚質が定まったとは言えないが、終いに脚が使える先行馬ということなら軽視は出来ない。なお、9月の阪神は高速馬場で時計が出やすかったので、この馬の1:21.2はかなり速い。阪神で行われた昨年の勝ち馬リバーラのそれより0.1秒速い好時計。馬場の影響が強いと思うので鵜呑みには出来ないところだが、持ち時計があるのは悪くない。時計勝負ならやはり侮れない。

 

カルチャーデイ

 

小倉1200mを新馬勝ち。勝ち時計は遅いが稍重だったらこんなもので初戦としては悪くない。発馬は普通だったが二の脚が良く、先行集団に交じってのレース。道中の走りに気になる点はなかったが、まだ気合を付けて追走しているので自ら進んで行く感じは弱い。叩いた効果で行きっぷりが良くなっていると良いのだが。直線では包まれてしまい、前が壁で追い出しがかなり遅れた。追い出せたのはラスト200mも無いようなところで、ここから良くさせたと思う。GOサインからの反応がとても良く、一気に加速して前を詰め、1馬身1/4抜ける。必死で前を追う勝負根性を感じさせる走りだった。直線がスムーズだったら楽勝だったように思うと、力は抜けていたのだろう。ただ、次走を済ませた3着馬はその後2走したが着を落として負けていて、4着馬も次走敗退。相手に恵まれていた感じは否めない。稍重とは言え上がり35.9秒もあまり威張れないし、これで差せたのは相手が弱かったからだろう。やはり変わり身次第と言えそうである。が、418kの小柄な牝馬に大きな変化があるかというとそこは難しいかもしれない。ただ、距離は伸びても大丈夫だと思う。

 

キャンシーエンゼル

・1:08.7の勝ち時計は2歳のこの時期には場所を問わずあまり記録される事が無い好時計。時計を少し詰めれば小倉2歳Sでも勝ち負け可能な計算は成り立つ。

・34.2-56.7のペースを2番手から押し切れるスピード能力は優秀だと思う。失速率も小さく止めて、上がり2位で後続に差をつめさせなかった。

・スタートセンスも良く、前進気勢も程よい感じで、立ち回りに問題点は見られない。

 

上記が小倉2歳S出走時のカルテ。

 

小倉2歳S3着。レースを引っ張ったドナヴィーナスは快速系の逃げ馬で33.3秒の速い逃げだった。このペースについて行けない馬はいたし、2番手の馬も押っ付けながら位置をキープしていた程。その流れをこの馬は持ったままの楽な追走で速力の高いところを見せていた。1・2着馬は強い競馬だったし、このペースを3番手追走して着に残しているのだから上々だと思う。評価を高くして良さそう。また、小倉2歳Sの調整中にちょっとした誤算があり、万全と言う感じでもなかったので負けて仕方ない面もある。ただ、コーナーで脹れてしまった点はきになり、敗因はそういうところにもありそう。ただ、コーナーが緩い京都の外回りになるのはプラス材料になりそうで、前走の様な事はないかもしれない。厩舎からはスピードがあり過ぎると評価されていて、スピード色が強いスプリンターと言う感じ。それだけに1Fの延長は課題となるかもしれない。でも、がむしゃらに行くタイプではなく、ここまでの2走も行きたい馬に行かせて控える立ち回りをしている。こういう競馬が出来ればこの時期の2歳戦ならこなせても良い。大物感があると期待されている1頭だけに依然侮れない存在。

 

クリノハレルヤ

 

中京1200mを新馬勝ち。重馬場だったので時計的な評価は難しいが、2着に負かした馬が小倉2歳Sを勝ったアスクワンタイムでこれに3馬身半の圧勝は評価が高い。しかも、スタートを出遅れながらの逃げ切り勝ちである。行き脚付いてからの二の脚はとても速かった。2馬身ぐらいのリードを保った単騎逃げだったので楽な展開ではあったが、追い出してからの伸びも良く、控えて末脚を繰り出したアスクワンと同タイム上がりを記録した最速上がりは素晴らしい。速力は相当高い。良馬場の時計勝負でどうか?1F延長してどうか?の課題はあるが、道悪だったら迷わず印を回した方がよさそう。良馬場でもレースを見る限り無印にする理由は見つけられない。

 

セイウンデセオ

・開幕週の開幕日で馬場の恩恵を味方に逃げ勝った。

・ハナを奪ってからはリズム良く行けていたが、道中のリードを直線で拡げる事が出来ず、最後は詰められていて、持続性に疑問が残る。

・開幕馬場、減量斤量、牝馬限定戦と大いに恵まれており、その恩恵を全て失う重賞ではさすがに厳しいのではないかと思う。

 

上記が小倉2歳S出走時のカルテ。

 

小倉2歳S7着。新馬戦と同じ条件で、走破タイムは新馬戦と全くの同タイムだった。新馬戦が3k減だったので定量で同じ時計で走れたのはこの馬の上積みだと思う。新馬戦を逃げ切り勝ちしたが、小倉2歳Sでは後方に控える競馬。脚質に自在性があったのは良かったと思う。厩舎サイドは控えれば切れる脚が使えるつもりでいたのでこういう競馬になったそう。ただ、末脚が際立つことはなく、上がりも5位タイと平凡。最終日の外差し馬場をイン突きしたのが良くなった面はあるが、距離ロスを省けた利点もあったのでもう少し脚を使えても良かったように思う。逃げた新馬戦でも最後は甘くなり詰められていたし、ラストに使える脚はあまり無い。この程度の脚力だったら末脚勝負には拘らない方が良いと思う。スタートは良いし、操縦性も高い。小脚を使って器用に立ち回る事も出来る。ある程度のポジションから立ち回りの上手さを生かした競馬をした方が良いと思う。乗り方一つで良い所はあるかもしれない。ただ、この馬の脚力では直線が長くなる京都外回りの直線は長い印象。

 

テラメリタ

 

2歳戦開幕初日の阪神マイルで新馬勝ち。出負けしたがスピードの違いでハナに立ち、そのまま逃げ切り。3馬身半の圧勝だった。ただ、これは相手が相当弱かった模様。5頭立てのレースで2着以下の4頭は皆次走を済ませているが勝ち上がった馬はいず、2・3着馬は3走、4走して着を落として負け続けている。ペースも遅いし、その割に使った末脚も遅い。この馬自身も動ききれていない印象だったし、強調出来るようなものは特になかった。次戦に8月下旬のクローバー賞(札幌1500m)を1番人気で走ったが4着。ここでも出遅れて今度は後方から。勝ち馬とは併走していたが、勝負所で置いてしまい、直線でも末脚はジワジワ。差は余計に広がった。道営馬が2着しているので印象はさらに悪い。2走の内容からすると評価を高くすることは出来ない。2走とも稍重だったので持ち時計も無いのでスピード能力もまだ確認出来ない。良馬場だったらキレる脚を使えるのかもしれないが、現状の走りを見る限り、そこまで機敏な走りをするようには思えない。新種牡馬の勝ち上がりと言う事で話題になったが、そこまでの馬ではないように思う。

 

バロン

 

函館1800mの新馬戦でデビュ―しているが2.8秒差の大敗負け。スタートから良い位置につけて4コーナーまではリズム良く走っていたが、周りが仕掛けるなか馬なりのまま交わされていって、追う事も無いまま入線。まぁ、ヤラズなのだろうが、道中はちゃんと走れていたので不可解。中距離がそんなにダメだったのだろうか?良く解らない新馬戦だった。中3週で新潟に転戦。1400mの未勝利を勝ち上がる。このレースは速いながれで前半3Fは33.8秒。この時期の2歳馬にこの速い流れに対応出来る馬はそうはいないので、先行総崩れの追い込み決着となる。本馬は中段9番手。インのラチ沿いを追走し、勢いがなくなった先行勢と入れ替わるように馬群を捌いて先頭に立つ。この時点で失速率は大きくなっていたが、この馬が先頭に立ったことでラスト1Fは加速ラップを記録して終った。この速い流れでも脚を溜められていた事になるので、短距離の適性が強いのは間違いがなさそう。1800mの新馬戦では楽に先行出来ていたので、ペースが遅ければ好位で運ぶ事も出来そう。レースの流れに合わせて位置取りを調整出来そうだ。レース振りは良くなったし、流れが速かったレースで良い勝ち方。一定の力は持っているように思うし、そう悪い馬ではない。ただ、1・3番人気だった2・3着馬が数戦を済ませて未だ未勝利。相手に恵まれていた可能性は考慮しておく必要があると思う。

 

ヒヒーン

・逃げ馬に圧をかけていた感じの2番手で、いつでも交わせる手応えでラスト1Fまでかわいがっていた。良いレース運びで力を感じさせた勝ち方。

・追い出してからはグンと加速して、一頭だけ33秒台を記録した末脚も良かった。

・最後は流し気味だったので本気で追えば突き抜けていたと思う。勝ち時計も標準級で悪くない。

・先行力、追い出してからの反応など時期を考えればしっかりと動けているので印象は良い。

 

上記が新潟2歳S出走時のカルテ。

 

新潟2歳S8着。いろいろと力差を感じさせたレースだった。2番手からの競馬は新馬戦と同じだったが、楽に先行出来ていた新馬戦とは違い、その位置に行くのに少々手間取ってしまった。出走馬のレベルがあがったことで他も速く、ポジショニングに苦労した感じ。この位置取りを直線まで維持出来ずに4番手になっていた。逃げ馬を可愛がっていた新馬戦とは程遠いレース運び。最後の直線も加速出来ずに雪崩れ込んだだけという有様。決め手を発揮出来なかったというよりはあれ以上速く走れないという負け方の様に見える。この馬自身は時計を詰めたが、現状は速力不足な印象になる。この負け方では距離を短縮してどうにかなる問題ではないかもしれない。明確な敗因でもあれば考慮はするが、重賞ではちょっと厳しそうな印象になってしまった。

 

ピューロマジック

 

新馬戦を10馬身差で負けたら、未勝利戦を10馬身差で勝った。一言で言えば、良く解らない馬である。血統的にはダート向きだと思うのだが、ダートを走った新馬戦(府中1400m)がタイムオーバーの最下位入線。3着(札幌1500m)、1着(札幌1200m)と走ったレースは芝だった。結果も走りの質も芝の方が断然よい。ただ、その芝2戦がいずれも札幌の道悪。時計のかかる条件を好走したに過ぎないので高速馬場の良馬場を走り切れる保証はない。10馬身差の勝利だった前走も時計的にはどうも標準っぽい。1.7秒差の2着だった馬が、同じ条件、同じ馬場状況の次走を本馬と全くの同タイムで勝ち上がっていた。この馬が特別強かった訳ではないみたい。距離的には1500mだった2戦目が差せず差されての3着と物足りなかったので、1400mぐらいは適距離の様に思われる。ちなみに、この時の1着馬がサウジRC4着馬で、2着馬が函館2歳S5着馬で重賞好走馬と接戦だった。対戦成績からは微妙に重賞でやれそうな根拠があったりするのだが果たしてどうなんだろうか?現状は力のいる芝を好走しているだけなので、明確なプッシュ材料はなく、評価は低くて良いと思うが。ちょっと良く解らない。

 

シュークリーム

 

京都1200mで新馬勝ち。1.1秒差、7馬身差。大楽勝。ゲートを出たらその時点で1馬身ぐらい抜け出せてそのまま逃げ切り勝ち。スムーズに、スイスイと、気持ちよさそうな単騎逃げ。重馬場だったので巧拙が出た感じ。他馬が気合をつけながら追走したり、詰めようと押していたが、この馬だけは持ったまま。時計のかかる道悪を良馬場並みの速さで行け、その末脚もこの馬場で33.8秒の速さ。相当な道悪巧者かもしれない。勝ったことはエライが、この馬場に脚を殺された後続馬が走り切れなかっただけの可能性もあり、着差が大きい事で評価が課題にされないように注意したい。そもそも1380円もついていた8番人気の馬。元値が評価されていた訳ではなく、状況が生んだ勝利・結果である可能性を追及しておく必要はありそう。走りそのもは滑らかで、折り合いを欠くことなく、気になる点はなかった。ただ、前半3F通過36.2とマイル戦でも遅いペースだったのは気になる材料。1Fの延長でも新馬戦以上の流れは確実。その流れでも力を発揮する事が出来るかが課題になる。まだまだ不確定な要素が多く評価は難しい。

 

テイエムチュララン【回避】

・2戦2勝だがどちらも九州産馬限定戦。2勝の勝ち時計はどちらも遅く、標準的なものから1秒は遅い。

・テンのスピードはあるが、ラスト3Fの失速は非常に大きく持続性に弱味がある。

・2戦とも直線ではヨレまくっていて、力強さは感じない。

 

上記が小倉2歳S出走時のカルテ。

 

九州産馬限定で2勝した馬らしく、小倉2歳Sでは一般馬相手に苦しいレースだった。レースの流れにのる事も出来ず、ケツからケツの競馬で最下位。勝負所ではかなり置かれてしまい、地方から参戦してきた地方馬の様な走りだった。力不足は明白。見送り妥当。

 

レディーエンジェル

 

新潟1200mで新馬勝ち。五分の発馬から4~5頭の先行争いを制してハナに立ち逃げ切った。2歳の新馬にしたら速い流れかもしれないが、中盤から後半の速さがないので勝ち時計が遅い。叩き合いの2着馬が次走の同条件をほぼ同タイムで駆けたが勝ち馬に1.3秒差負けているように標準的な速さで駆けれていない。スピードで押し切った形にはなったが相手に恵まれてのものだったようだ。次走のききょうS阪神1400m)でもハナを切ったが新馬戦と同じようなペースで逃げて200mの通過タイムもあまり変わっていない。1度使ってこれなのでスピードを持続させる力が不足している印象。楽逃げの展開で終いまで粘れていないのもその現れであり、相手も強いし、距離も長かった印象。1400mの重賞に必要な基本的な性能が欠けている。かなり厳しいと思う。

 

ロータスワンド

・姉が15年に、兄が19年にこのレースを優勝。血統的にこの条件に強い。

・同じ条件の新馬戦を勝ったが同条件の勝ち馬と比べると、時計にして1秒近く速い。やはりこの馬もこの条件の適性を受け継いでいるようだ。

・スタートをポンと出てスムーズにハナに立つ。初手のスピードの速さは兄ビアンフェを見ているよう。

 

上記が函館2歳S出走時のカルテ。

 

姉も兄も函館2歳Sの勝ち馬で、この馬も函館1200mを良い内容で勝っていたので、函館2歳Sでは3番人気の支持を受けていた。が、最下位。レースの中盤ぐらいから手応えが明らかに怪しく、まともに追えないような感じになっていて、直線は流してなんとか入線したと言う内容。レース後、JRAから「競走中終始内側に逃避しようとしたことについて平地調教注意」という制裁を受けている。まともにレースを出来る状況ではなくなってしまったようだ。度外視と言う事で良いが、敗因は確認しておくべきだろう。姉は函館2歳S優勝からファンタジーS3着→阪神JF3着、兄も函館2歳S優勝から京王杯2歳S2着と走り、姉兄達はその後も中央場所で好走している。新馬戦の内容から上の2頭に劣っている印象は受けなかったので敗因次第で見直しの余地は残しておきたい。

 

ワイドラトゥール

 

秋開催の新潟マイルを新馬勝ち。兄は3歳時に芝・砂の重賞を制したダートGⅠ馬のファラオ。兄同様に初手がスムーズで5~6頭の先行争いに加わるも、そこから控えてこれらと距離を置いた6番手で進む。控える際の挙動もスムーズで鞍上の支持に従順だった。2歳新馬にしてはまともなペースで、序盤からそこそこ流れていたが、この馬は楽に追走していた。先行馬には楽なペースではなかったので前を行った馬達がバテ始めるなか、持ったままで先団の一戦に並びかけていて、いつでも抜け出せる手応え。ラスト2Fから追い出して2馬身半差で快勝する。最後に鞭は入ったが、気合を付けた程度で本気で追われていた感じはない。終始余力十分で、大人び立ち回りは印象が良く、力上位な走りだった。勝ち時計も標準級かそれ以上で評価の対象になる。折り合い難は無かったが、程よい前進気勢があり、初速も速い方でスピードはある。1Fの短縮も問題ないと思う。勝って、中2週のレース間隔が気になるぐらいで、ここでも十分やれそうな印象を受けた。

 

セントメモリー

 

福島1200m1着→ききょうS(阪神1400M)2着。短距離馬としてはズブイ。35.4秒通過でマイル戦並みに遅かった新馬戦でも気合を付けていないとポジションを取れなかった。勝負所でも反応悪く置かれて前との差が大きくなってしまった。前走ききょうSは1F延長したレースだったが、ペース自体は新馬戦よりも速かったのでテンに置かれて最後方。追走力が弱く、立ち回りも不器用さが目立つ。その代わり、末脚には見どころがあり、2戦とも届きそうに無いところから差し込んで連対を果たしている。追い出してからビュっとした脚を使えるので一気に差を詰めてしまえる末脚には注意が必要。ただ、ここまでは少頭数で捌きやすかったが、多頭数だと不利を受けやすい印象もある。なお、厩舎の期待の高い馬で、関東の牝馬が2走目に阪神に遠征したのも阪神JFを見据えてのもの。重賞級のポテンシャルを秘めているらしい。

 

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