競走馬カルテ

2・3歳重賞の出走馬を分析・記録していくブログです。

京王杯2歳ステークス(GⅡ) 出走馬カルテ 2023

 

こんにちは。

 

今年は久しぶりに函館2歳S小倉2歳Sの勝ち馬が京王杯2歳Sで対戦します。両重賞の勝ち馬が対戦するのは7年ぶりなんですけど、過去10年では4度の対決があり、16年~19年の4年間は毎年のように対戦していました。その結果は,

 

16年:レーヌミノル2着(小)VSレヴァンテライオン12着(函)
17年:カシアス2着(函)VSアサクサゲンキ3着(小)
18年:ファンタジスト1着(小)VSアスターペガサス5着(函)
19年:ビアンフェ2着(函)VSマイネルグリット9着(小)

 

となっています。

 

対戦成績は2勝2敗の五分ですね。どちらか一方は必ず連対していますからデータとしては面白いかもしれません。函館2歳Sを勝ったゼルトザームVS小倉2歳Sを勝ったアスクワンタイム。今回はどちらが先着を果たすのでしょうか?

 

なお、勝ち馬に限らなければこの2重賞の全体成績(過去10年)は

 

前走函館2歳S組【2・2・1・4】
前走小倉2歳S組【3・1・2・5】

 

となっています。あまり大きな違いはないですね。

 

ただ、負け組が京王杯2歳Sで巻き返した例は14年優勝セカンドテーブル(小倉2歳S7着)のみ。それ以外は函館・小倉2歳Sで3着以上に入線した馬でした。基本的に好走馬じゃないと厳しいみたいです。

 

京王杯2歳S(GⅡ)は11月4日(土)に行われます。前日の3日(金)には更新を完了します。把握出来た出走馬から五十音順で更新していき、それ以外は随時追加更新していきます。

 

 

予想案は各ページの最下部にある専用ページにまとめてあります。ブログカードを貼っておきますのでそちらをご覧ください。

 

アスクワンタイム

・2戦目の稍重で34.0秒の通過はかなり速く、直線3番手からの突き抜けは地力の高さの証明と言えそう。5馬身差の圧勝で力が抜けている印象。

・序盤からガシガシと攻めていくタイプではないようで、前を見据えて脚を溜めながら追走していく感じが良い。GOサインからの反応も良く追ってちゃんと伸びて来る。

・初戦からしっかりと動けているので重賞でも現状の力はしっかりと出してくれそう。気になるようなマイナス要素はない。

 

上記が小倉2歳S出走時のカルテ。

 

小倉2歳Sの勝ち時計1:08.6。1分8秒台で走れていれば大体合格点。今年の小倉はここ2年よりも時計がかかっていたのでこの時計で良いのではないかと思う。過去10年と比べても中の中で特に悪くない。ちなみに兄ファンタジストの勝ち時計よりは0.2秒速かった。前半3F通過33.3秒も例年こんなペースなのでレース内容的に過去に劣らない。近年活躍馬をコンスタントに排出しているレースだが、この内容で走れるなら評価を高くして良いと思う。五分の出から馬なり追走で、1F通過後ぐらいには最後方まで下げている。この距離、この速さで脚を溜めながら追走出来ていて短距離適性の高さを感じさせた。後半3Fは11.7-11.7-11.9とほとんど失速の無い流れだったのでこれを後方から追い込みねじ伏せた内容は純粋に強いし、脚力の高さを感じさせる。気性面に問題がなく、控えた競馬も出来るので1F延長も大丈夫そう。脚質的にも末脚比べの府中で強気になれそうだ。兄同様に小倉2歳S-京王杯2歳Sの連勝もあって良いのではないかと思う。

 

オーキッドロマンス

 

府中の1600mを2戦して勝ち上がれず、1200mで2連勝。マイルの2敗はサウジRCの勝ち馬だったり、既にOP勝ちしているコラソンビートだったりと相手も強かった印象でそれらを相手に伸び負けたが、走りの内容は悪くなかった。ペース次第でこなせる範疇なので1200mだけの馬とは言い難い。中間距離の1400mならなんとかなる可能性は感じれる。キツイレースの経験が豊富で、前走カンナSも道悪をハイペで行って最後の我慢比べで差して来た。体力のあるタフな馬。1200mの2勝は馬場の関係で持ち時計は遅いが、マイルの2敗で標準並みの時計で走れているので、時計の速い決着でも対応出来ると思う。先行力も追走力もあるのでレースの流れにはちゃんと乗れており、2歳馬にしては完成度が高そう。目立ったパフォはないが、相手次第で好走の可能性はある。既にOP馬なので走られても不思議の無い馬ではある。不安材料は臨戦過多で既に4戦消化した5戦目であること。典型的なミルファーム。大きな上積みは期待出来ない。

 

ラソンビート

 

3着・1着・1着と言う成績だが、負けた新馬戦の評価が一番高いかもしれない。勝ち馬はサウジRCで2着だったボンドガールで、2着がチェルヴィニアとレベルの高い新馬戦。この新馬戦では時計も合格点で2歳新馬にしたらペースも速い。道中はボンドのすぐ後ろを追走していて、追い比べで劣ったが、使った上がり33.3秒はボンドに次ぐ2位上がり。このペースでこれだけの末脚を使えていれば脚のある馬と評価する事が出来る。1・2着馬とは力差があったがこの馬の3着も価値が高い。ので、その後の2連勝はいずれも楽勝。次戦は同じ条件の府中マイル。逃げでスピードで圧倒してしまう。2番手でついて来たオーキッドロマンス(既にOP馬)がバテてしまうようなペースで行って、3馬身差の圧勝。続くダリア賞も過去10年では最速の勝ち時計。短距離戦なので着差はつかなかったが、中段追走から大外からまとめて差し切った。3戦全てで優秀な走破時計で、速い流れでもしっかりとした脚を使える脚力は評価が高い。行って良し、差して良し。脚質は自在。ダリア賞の勝ち馬が新潟2歳Sに回らなかったのも好感が持てる。マイルでも十分強い内容だったが、1400mでもパフォーマンスは落ちなかった。しっかりと動けていて、立ち回りに不安な点もない。ここまでの全戦が左回りであり、府中1400mを走るにあたり死角はない。小倉、函館の短距離重賞優勝馬も出走を予定しているが、これらと比較しても明確な力差は感じない。戦ってきた相手を考えればこの馬の方が有利な点もある。有力な1頭。

 

ゼルトザーム

・函ダ1000mを新馬勝ち。1000mをほぼ全力疾走したようなレースだったが追えばもっと伸びそうなところもあり、距離が伸びても大丈夫そう。

ヘニーヒューズ産駒なので芝を如何に効力するかが鍵になるのだろう。

 

上記が函館2歳S出走時のカルテ。

 

函館2歳Sの勝ち馬。ダートで勝ち上がっていたが、もともとそう言う認識がされている馬で、最終週で力のいる馬場なら芝でもと言う意図で使われている。そう言う馬に重馬場だったコンディションは向いていただろう。ハイペの消耗戦だったので終いも上がりがかかっていてパワータイプのこの馬にはいろいろと噛み合っていた。スタートは新馬戦よりも良かったが、そこからの二の脚はダートだった新馬戦の方が良く、スピードに乗れていたとは思えない。徐々に置かれて中団ぐらいまで位置取りを下げていた。道中も随所に気合を入れられていて、最終コーナーも押っ付けながらだった。すぅーと上がっているような機動力は芝の前走では見られなかった。中央場所の高速馬場に対応出来るような感じは受けない。洋芝の重馬場でもやぱっり芝は芝と言う感じで、全体的にスピードの乗りが悪く、速力があったようには見えない。距離の延長は大丈夫だと思えたが、時計の速い馬場は課題となるだろう。2着馬のナナオが京都のもみじSを勝っているので、この馬も対応出来る可能性は否定できないが、そのもみじSも重馬場だったので。この馬も雨が降った際には再考したいが、良馬場で積極的に推せる材料は現状ではない。

 

タイガードラゴン

 

中山マイルを新馬勝ち。逃げ切りだった。重馬場だったので時計もペースも遅く、隊列も直ぐに落ち着いてしまい、展開的にも楽だった。単騎逃げに持ち込めていたのも良い。6Fまでゆっくり運んでいたが、7Fで一気に1.0秒加速して瞬発力で後続を引き離し、一時は5馬身以上抜けていた。2番手以下がこの急加速に対応出来なかった印象もあるが、ビュンと加速出来た一瞬の脚は見どころだと思う。ただ、良かったのはこの点ぐらい。ラスト2Fだけの競馬で地力は問われていないし、永野猛騎手の減量も効いていて牝馬より1k軽い54kだったのも幸いしたはず。強さを保証出来るモノは新馬戦にはなかった。この馬も楽に勝っているのでまだ上があるのかもしれないが、この内容で高い評価をする事は出来ない。もう1・2戦見てからでないと。

 

ミルテンベルク

・序盤は少々ぎこちなく映ったがスピードに乗ってからはスムーズに先行。

・勝負所では持ったままで並びかけ直線でも軽く促す程度で鞭を使わずに交わし突き放す。3馬身差の圧勝。

・まだ本気で追われていないので全力を出し切ることなく勝ってしまう。全力疾走した訳でもないので時計はまだまだ詰められそう。

 

上記が小倉2歳S出走時のカルテ。

 

小倉2歳S2着。勝ち馬の隣枠から五分のスタートを決めて、出たなりで流れに乗せて行き、中段からの競馬。初戦より前進気勢の強そうな走りをしていたのは気になったが、外目をスムーズに立ち回れた勝負所の運び方など良い面もあった。動きたいところでちゃんと動けていたのも好印象。勝ち馬には屈したが、こちらも展開が味方していた訳ではないので、タイム差無しのアタマ差なら負けて強しで良いと思う。また、藤岡康騎手が勝ち馬に並ばれてから慌てて鞭を入れていた感じだったので、乗り方一つで結果は違っていたように思う。評価は勝ち馬と互角で良いかもしれない。時計も2秒近く詰めたし、3ケ月振りで+14kと馬体の成長も確認出来た。2戦目の上積みは大きかったようだ。普段の調教から馬の後ろで我慢させる競馬を覚えさせていて、小倉2歳Sでは一定の成果が確認出来た。これなら1Fの延長もこなせそうである。厩舎には小倉2歳Sを優勝していた先輩メイケイエールがいるが、素質はこちらの方が上かもしれないという評価がされている。やはりモノも良いのだろう。ただ、デビュー前から調教の動きが良くて評判になっていたほど。仕上がり早の早熟タイプの可能性もあるので、その辺は気を付けたい。

 

アグラード

 

新潟マイルでデビューして3着。出負け気味のスタートだったのでリカバーしようと気合をつけたら引っかかってしまう。38.4-65.8の超スローだったのも良くなかったように思う。そこからは折り合い重視になり、後方のままレースをする事になってしまう。このペースなので前の位置で運べていた馬が有利で、直線で追い込むもクビハナの同タイム入線の3着だった。位置取りの分だけ負けたが、その不利を覆す末脚は使えた。この内容なら負けて強しで良く、折り合いを欠いて使った上がりが33.2秒なら評価して良い。鞭が入ってからの反応も機敏で素質のありそうな感じは受けた。身体的にはマイルも大丈夫そうだった。折り合いを気にしたからか、次戦に1400m戦(府中)を選び、これを勝ち上がる。このレースもで出遅れるのだが向こう正面でグーンと上がってきて中段ぐらいまでポジションを押し上げている。そこで一旦折り合わせて、ラスト1Fでキレる脚を使って差し切った。上がりは33.4秒と末脚は相変わらず良くキレる。2走を見ると、スタートはあまり期待出来ないが、折り合い重視で乗っていれば、終いの末脚は確実のよう。1400mだと折り合いの負担が軽減されていたので現状はこの距離が良さそう。ただ、鞍上がルメール騎手だったので、このようなトリッキーな競馬が出来たが、それ以外の騎手だとこんな風には乗りこなせないかもしれない。気性をコントロールしながら自在性を発揮するのは簡単な事とは思えない。他の中堅どころだと直線の末脚勝負がせいぜいの様な気がする。ルメール騎手がこれだけ絶妙にの乗ってもギリギリ間に合ったというものなので、乗り方に注文が付く以上は頭では狙いづらい。

 

アンバーニードル

 

函館と札幌の1200mを3戦して3・4・1着。初戦は出負けしたが、2走目からはちゃんと出れており、先行ポジションで競馬が出来ている。函館の2戦は差して届かず、行って差されると言うチグハグな内容で物足りなかった。1ケ月半空けて立て直されて馬が良くなった感じ。それまでよりも速いペースの流れにも乗れていたし、渋太く伸びて差し切れた。全体的に小粒な印象で目を見張るような内容や時計はなく、評価を高くするような材料は見れらない。手応え良く直線を向いてくる馬ではないので地力にも疑問。同レベルの相手に真面目に走ったら勝ち上がれたという感じで、この時期の重賞で脅威になるような馬には思えない。ゴール前はあっぷあっぷしている感じもあるので、距離を延長して強味があるようにも思えない。

 

ジャスパーノワール

 

小倉1200m6着→新潟1200m1着。スタートはイマイチも二の脚の速さは目につく。スムーズな加速で難なく先行位が獲れる。前走はそのまま逃げ切ってしまった。新潟で3F通過33.8は速く、ラストも失速軽微で走り切り、3馬身半差の圧逃劇。スピードで押し切ってしまった。秀でて速力を感じさせる。この勝ち方を見ると、速さを生かした競馬があっている。新馬戦で負けたのも稍重だったことでこの強味が発揮出来なかったのかもしれない。1Fの延長はどうか分からないが、暴走気味な逃げではなかったし、折り合い良くリズム良く進めていて、鞭も入れずに最後は流す勝ち方で余裕はたっぷり。これなら1Fの延長ぐらいはこなして良いように思う。印を回せる馬かもしれない。

 

タヤスロンドン

・2歳の新馬戦にしては速い流れを積極的に追走してレース振りは悪くないが、終いの走りに粘りがない。最後の失速も大きい。重賞級の持続力があるようには思えない。

・洋芝の稍重でなら時計は悪くないが、速力優秀と言う感じはない。

 

上記が函館2歳S出走時のカルテ。

 

前走のクローバー賞は異常歩様により競走中止。その前走の函館2歳Sが11着。この時の厩舎の話では道悪歓迎で力のいる馬場があうと考えていたようだ。その割には重馬場だった重賞で速力不足を露呈した感じで、流れにも乗れず、追っても伸びずと良いところなく終った。新馬戦ではスムーズに好位を取れていたが、相手強化でそれも出来なくなっている。時計の出る府中の馬場をこなせる材料はなさそうだし、追って伸びる感じもないので直線の長いコースは適性的にも疑問。コスモス賞(稍重)では故障するまで距離延長の分だけ追走が楽になっていた。1400mの方が競馬はしやすそうな印象はある。だとしても大して見積もれる馬ではなく、ここではかなり厳しい。

 

バンドシェル

 

京都1400mを新馬勝ち。出遅れて後方から進める。前進気勢強く、鞍上は押さえながらだったが、それでも前に進んで行く感じで勝負所では中団まで上がっていた。ペースも速かったので普通の馬なら直線でバタバタになる運び方。しかも、終始外々の追走で最終コーナーブン回しと距離ロスも非常に大きかった。こんな雑な競馬で追い出したらビュンと加速するのだから凄い。前とはかなり差があったが、あっという間に差を詰めて、ラスト100mで叩き合いに持ち込んで勝利。最後は詰められていたがラスト2Fを加速ラップで走っているので十分強く、決め手優秀。スマートな競馬が出来ればかなりの強さを発揮するのではないかと思う。2戦目で折り合えるようなら面白い1頭である。ただ、重馬場だったので道悪巧者の可能性もある。それぐらい他馬と脚色が違っていた。良馬場で同じような脚が使えるかどうはまだ分からない。

 

ジリオン

 

勝ち上がるのに3戦を要したが、全戦で力上位の走りだったと思う。1400mを2戦してこの距離で勝ち上がっているがズブいところがあり、短距離では忙しい印象。道中で気合をつけていないと位置取りは下がってしまう。序盤、前半の自主性は弱い。1400mの重賞なのでこの前進気勢の弱さが不安材料になるかもしれない。ただ、その気になってからの走りはいつも良い。直線で追い出されてからはグイグイ来れる末脚に見どころがあり、2敗した時も位置取りの分だけ負けただけで脚を余した僅差負け。前走は最終コーナー手前から持ったままでマクって行く機動力を発揮。息の長い末脚で2馬身半差の完勝。馬は従順で操縦性も高く、乗り方一つでいつでも勝ち負けに加われそうな感じはする。負けたレースだが、新潟マイルの2走目の走破時計は新潟2歳Sの4着に相当するもの。脚を余してのこの数字なら時計面の担保もあるということ。序盤に置かれ過ぎず、良い位置を取れれば好走可能だと思う。

 

 

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