競走馬カルテ

2・3歳重賞の出走馬を分析・記録していくブログです。

共同通信杯(GⅢ) 出走馬カルテ 2024

 

こんにちは。

 

世代の中心を担うべき東スポ杯2歳Sの勝ち馬は朝日杯FSでボロ負けし、ホープフルS牝馬レガレイラが勝ってしまい。牡馬クラシックは確たる主役が不在のまま年を越してしまいました。そうはいってももう2月。皐月賞まであと2ケ月。そろそろクラシックの勢力図が出来上がって欲しいところです。

 

出世レースの共同通信杯ですが、朝日杯FSホープフルSと言った2歳GⅠ出走組の参戦が目立ちます。朝日杯FSの1・2着馬がそろって参戦予定。ホープフルSからも上手く乗っていれば勝ち負けだったとレース後の矢作調教師がお冠だった5着馬ミスタージーティーが参戦。ハイレベルメンバーが一同に会します。

 

マイル組が中距離戦線を席捲する事になるのか?中距離馬が適性の強味を活かすのか?皐月賞に向けてどの路線がイニシアティブを握るのでしょう?興味深い1戦です。それ以外にも重賞好走馬や良い内容で新馬を勝ち上がって来た馬もいて今年のクラシックに期待が持てるメンバーが集まったと思います。

 

共同通信杯皐月賞との関連性が高いことで知られています。後の皐月賞馬がこの中にいるのかもしないですね。

 

共同通信杯(GⅢ)は11日(日)に行われます。前日の10日(土)には更新を完了します。

 

予想案は各ページの最下部にある専用ページにまとめてあります。ブログカードを貼っておきますのでそちらをご覧ください。

 

エコロヴァルツ

コスモス賞の勝ち時計1:48.8はかなり速い。6馬身離された2着馬の時計で標準級なので、この馬の速力だけが抜けていた。

・ゲートが速く難なく2・3番手のポジションが取れる先行センスは好印象。

・道中の走りにも余裕が感じられ、待ったままで最終コーナーを回ってこれる。

・2戦目で前進気勢が強めに出ており、レースを使ったことでちょっとうるさくなってきたのかもしれない。

 

上記が朝日杯FS出走時のカルテ。

 

朝日杯FS2着。スタートをソロっとでて、そこからジワジワ先行態勢に入ろうと武豊騎手も促していたが、そこで接触があり、ズルズルと下がる不利。本来はこれで終了するところ。最後方まで下がり、直線だけで2着まで浮上して来た勝負根性はエライ。これも力がないと出来ない芸当であろう。ただ、それも展開ハマりであり、相手にも恵まれた印象をぬぐえない。2・3F目に10秒台が連発した前掛かりなレースで前傾戦。ラスト1Fの失速は大きく、1.1秒もラップを落としていて、全馬が伸びを欠いていた。前が止まったからあそこまで来れたというのはあり、加えて馬群も一塊だったので交わしやすかったという事情は考慮すべき。よく2着まで来たとは思うが、この走りを持ってして絶対的な存在とするのは気が引ける。キツイペースを先行位置から押し切った勝ち馬の方がパフォーマンスは高いであろう。とは言え、不利なく、スムーズに立ち回っていたらより好走していた可能性もまた高く、地力の高さは素直に評価しておくべき。外回りに不安がない事は分かったし、走り慣れた距離に戻るので条件変わりは悪くない。ただ、厩舎の話では前進気勢が強いタイプとのことで、ホープフルSではなく、朝日杯FSに回ったのもそのため。折り合いを欠くタイプには見えないが、スピードタイプではあるので、再度の中距離で注意が必要かもしれない。

 

エンヤラヴフェイス

新潟2歳Sは周りに馬がいたことでヤル気を失ってしまったそう。メンタル面に不安あり。

新潟2歳Sでは後方から末脚を繰り出すことが出来ていない。新馬戦でもそうだったが、ラストに速い脚を使えない模様。

・デイリー杯2歳S2着の好走要因は揉まれない8枠発走によるもの。スムーズに立ち回れれば力は出せる。

・タフな流れが向いている。瞬発力や切れ味はないのでラストが加速する上がりの競馬はあまり好ましくないと思われる。

 

上記が朝日杯FS出走時のカルテ。

 

朝日杯FS15着。8枠から先行する形。ハイペースが堪えて直線では余力なし。諸条件が厳しかった。が、負け過ぎな印象も。モマれ弱い馬なので8枠から追走するのは陣営が望んだことであり、瞬発力勝負に弱いのでタイトな流れで上がりがかかるのもこの馬向きの展開であったはず。展開や諸条件はこの馬の好走条件だったのでそれなりに走ってないといけないところ。力なく脱落した負け方は力負けを印象付ける。GⅠレベルが相手になると恵まれないとかなり厳しいと言えそうだ。もともと抜けた存在ではないので、素質馬の揃う共同通信杯でどうだろうか?実際、前走より相手は揃っている印象で厳しそうである。せめて怖がりな気性が改善し、内々でロス無く回れるようにならないと重賞だとこの先しんどいことになる。

 

ジャスティンミラノ

 

11月の府中2000mを新馬勝ち。外枠から先行し向こう正面に入る頃には2番手に付けられた先行センスは良かった。折り合いに問題もなく、追走もスムーズ。追ってからの反応も良く、立ち回りに問題点は見られない。63.1秒のスローから繰り出した末脚33.4秒はやや物足りない感じもするが、2番手から早め先頭にたった馬の上がりとしては優秀だろう。ラスト2F目に10.8が記録されたがこの馬が先頭に立ったのはこの区間。切れ味もあるという事。2歳戦でも2分を切る時計が出たコースなので勝ち時計2:02.0は地味だが、後半1000mを58.9秒で走っているので一定の持続性は備えていると思われる。騎乗していたマーカンド騎手は圧をかける騎乗だったので、もっとソフトな騎手が騎乗すればラストの弾け方も違っていたように思う。変わり身が期待出来る状況で勝ち上がっているので、評価は低く出来ない。なお、友道厩舎はきさらぎ賞にシヴァースを回し、本馬と使い分けているが、使っているレースからするとこの馬の方が評価が高いのかもしれない。

 

ジャンタルマンタル

・スタートも、序盤のポジショニングも良く、仕掛けてからの反応も機敏で、直線で鞭が入ってからグンと加速しており、勝負所からの立ち回り上手く、決め手あり。

・距離は違っていたが、新馬戦もデ杯2歳Sも立ち回りに齟齬がなく、走りは常に安定。着差タイム差もほぼ同様。重賞でも力の優位性を保てている。

・インをロス無く回って、いつも楽に勝っている。全力全開と言う感じにはなっていないので、まだ上のパフォーマンスを引き出せそう。

・2戦目でクチを割って折り合い面い難しいところを見せたのは気になる。厩舎の話でも気難しい面が少々ある模様。当日のテンション注意。

 

朝日杯FS出走時のカルテ。

 

ハイペースの消耗戦を早めに抜け出して押し切った内容は優秀。地力で勝ちに動いて結果を出した内容なのでケチのつけようがなく、メンバー中1・2を争うハイペフォ―マンスであった。が、勝ち時計はギリギリで客観的に見るとそこまで優秀であった訳ではなさそう。ラスト1Fの1.1秒の失速は大き過ぎで、本馬も最後は余力がなかったようだ。この点において、レースそのものに物足りなさを残している。

 

同等のペースだった19年サリオスや21年ドウデュースの年はここまで失速していないし、さらにハイペースだった20年グレナディアガーズは0.2秒の失速に留めていた。3歳以降もそれなりに走ったこれらの名馬と比較するとジャンタルの突き抜けは甘く映る。このメンバーだから勝てたという可能性はありそうで、歴代と比較するとそこまでの存在には現状なり切れていない気がする。

 

また、この馬は全戦で同じ立ち回りをしており、今となってはこれが不確定要素の元になっている。いつも2~3枠から発走し、インでロス無く立ち回り、直線で抜け出すという王道パターン。楽な立ち回りばかりでここまで来た。外枠を引いた際など違った競馬を強いられた時にどの様に振る舞えるかが未知数である。陣営もそこは気になっているようで、破綻があるとしたらそう言う時だと話している。

 

また、近2走は折り合い面に怪しい場面があったので距離延長は不安材料にもなりえる。そして、全3走の上がりは34.6~34.8と同程度の上がりである点も気なる材料。平坦、坂コースの違いであったり、良・稍重と馬場状況にも左右されない末脚は上がりの速さに限界があるのではないかと思わせる。この程度の上がりだと、近年の共同通信杯では3着までが精一杯。せめて34秒前半で上がれないとちょっと厳しいかもしれない。高速馬場の府中に対応出来るかも鍵となるかも。

 

距離延長、初コース、初輸送、高速上がりへの対応、枠など未知な材料が多い。成績的には絶対王者だが、ここは試金石と言う感じ。GⅠ馬で賞金に不安がない存在だし、皐月賞に目途立てばそれで良さそうな雰囲気。

 

ショーマンフリート

・自然とスピードに乗れる推進力ある走り。持ったままで進んでいける二の脚は速く、手綱ぴたりと折り合える追走力は素晴らしい。

・中間に少々緩んだが、テン、終いに10秒台を2度も含むレース。緩急の大きい展開にも対応出来るのは良く、コントロール性が高い証拠。

・積極的なレース運びだったが、最後まで余力たっぷり。ラスト2Fは11.6-10.9の加速ラップで突き放す。脚力上位でしっかりとした末脚を使える。

 

上記がシンザン記念出走時のカルテ。

 

シンザン記念が2番人気で5着。人気を裏切った。8枠だったので外々追走はしかたなかったが、レース振りは良く、先行集団の後ろで折り合いをつけて進めていた。4角手前では先行勢力を射程に入れるところまであがって来れており、勝負処の立ち回りも完璧。あとは弾けるだけという状況ながらそこから伸びを欠いた。戸崎騎手のレース後コメントだとじりっぽくなったということ。追い出してからの反応が鈍く、新馬戦の様な末脚を見せることはなかった。これといった敗因は見受けられないが、レース前の陣営からは輸送競馬に不安を感じているようだったので、これが影響したのかもしれない。また、+18kだった馬体増の影響も考えられる。前走も末脚以外はちゃんとしており、レースに注文の付かない良い馬。新馬戦のモレイラ騎手も絶賛した高素材。具体的な敗因次第だが、それがわかるまでは見限るのは早計。4ケ月振りを叩いた効果もあるだろうし、今度は輸送のない関東圏。変わり身の余地は大きいのではないかと思う。1Fの延長に問題がないならまだ侮れない。

 

ディマイザキッド

 

中京・中山の中距離戦を3戦して2・2・1着。負けていた際もタイム差小さく、接戦の内容。敗因はおっとりしていた気性ではないかと思う。テンにもっさりするので後方追走を余儀なくされてしまう。道中で急かしているシーンも度々あり、自ら進んでいく気勢がない。この立ち回りでいつも接戦に持ち込むのだから能力そのものはあるという事になる。後半の立ち回りだけで上位に顔をだすのだから、脚力上等というのは言えそうである。が、ここまでの3戦は上がりのかかる展開だから間に合っていたというのはあり、高速上がりになりやすい府中だと前は簡単に止まってくれないし、相手も格段に強くなるので、余計そうなる。勝ち上がった前走では積極性のある横山武騎手がなんとか動かして中団に馬を導いていたのが功を奏したが、そういう競馬が出来ないと府中の重賞ではかなり苦しいことになる。出来るだけ位置を取って競馬をする事が求められるだろう。

 

パワーホール

・折り合いはついていたがリズムよく、小気味良い前進気勢。それでいながら脚を溜めながら逃げれていたのは印象が良い。

・ここまでの2戦はいずれもスローの上がりの競馬で、持続性が問われていない点で強気な評価が出来ないまま。重賞2着馬にしては経験値が浅い。

 

上記が京都2歳S出走時のカルテ。

 

京都2歳S12着。このレースは勝ち馬がGⅠ2着、4着馬がGⅢ勝ちとその後の活躍が目立つレベルの高いメンバー構成。2歳戦で2分を切る好タイムであり、ペースも速く、先行馬が崩れるようなタイトな持続戦となっていて、レース内容を高く評価出来るもの。しかし、重賞2着馬だった本馬はそのハイレベル戦に対応出来ずに負けた感じである。直線でバランスを崩したことで鞍上は無理をしなかったとレース後に話しているが、そこに至るまでの手応えが既に劣勢であり、経験のないタイトなペースで力をすり減らした感じだと思う。限りなく力負けであるように思われ、中央場所の重賞だとちょっと厳しいのかもしれない。これまで評価していたのは立ち回りの上手さとか追い出してから反応などに過ぎず、地力を担保出来るようなレース経験はなかった。持続性や速力を評価出来る材料は全くない。京都2歳Sの立ち振る舞いはこの馬のも足りなさが全て出たという印象である。そして今となっては札幌2歳Sの評価も微妙で、評価を高める材料が今はほとんどない。京都2歳SはGⅠの叩き台のつもりでいたらしく、仕上げ面に酌量の余地が若干あるが、それどころの話ではなかったようだ。一からまた出直すしかないだろう。

 

フォスターボンド

 

府中2000mを2戦して2・1着。前にではなく上に向かってゲートを出るので2戦とも出遅れて、後方マイポジションになっている。この立ち回りで成績が安定しているのは末脚性能が高いから。長く脚を使って、追えば追うほど伸びる感じ。上がりの競馬ばかりなのでキレているようには見えないが、ラップが速い区間を詰めてきているのだからこの馬も十分にキレている。勝った前走は11.9-11.6-11.5の加速ラップを後方2・3番手から差し切るのだから脚力の高さは間違いない。ただ、2戦の上がりは33.3秒、33.8秒で末脚勝負だったことを踏まえるともう少しキレ味がある方が良いと思う。強敵揃いの共同通信杯で同じような立ち回りをした場合、この程度の上がりでは後方からでは届かないかもしれない。32秒台の末脚を使うか、スタートを改善し序盤から中団ぐらいで運ばないと入着は難しい気がする。追って、追ってと言うタイプの末脚なので1Fの短縮もプラスではない。条件戦では勝ち負け濃厚でそれなりの強さを備えているが、ここは相手が強く差して届かずのシーンは想定しておきたい。

 

ベラジオボンド

 

23年最終日の阪神1800mで新馬勝ち。馬っぷりの良い馬で、走りにスケール感を感じる。初手2・3番手とセンスある立ち回り、楽についていける力強い追走力も良い。道中折り合えていたし、鞍上も拳だけで意思疎通が取れており、操縦性もとても高い。それでもややズブい感じがあり、まだ動ききれていないようにも見受けられた。追ってからの反応も俊敏とまでは行かなかったし、ノーステッキで勝ってはいる岩田望騎手はゴールまで追い通しだった。3馬身差なので結果的にそこまで追う必要はなかったが、直線の加速力には物足りなさを感じる。ただそれも仕上げ切っていないという感じのかったるさで、叩いた効果は大きそうに思う。この状態でもただ1頭33秒台の末脚を使っていたし、能力上位だったのは間違いない。いきなりの重賞で相手も相当骨っぽいが通用しても良さそうな印象は残した。もっと良くなる馬だと思うのでこの先の重賞戦線のどこかで入着する可能性のある馬だろうし、今回も良いところに来ていそう。

 

ミスタージーティー

・矢作厩舎で最も評価の高い2歳馬。GⅢ勝ち&GⅠ2着のシンエンペラ―より期待度がでかい。

・スタートで出負け、最初のコーナー最後方、勝負処での手応えは劣勢、直線で外に出した際にヨレて追い出しも遅れてと、粗削りな面が目立った。

・口を割って追走し、序盤は前進気勢の弱そうな感じもあったし、勝負処ではズブいしと、所々で馬のやる気に違いがあって、乗り難しそうな印象を受ける。

・63.4秒-58.6秒の後継持続戦を不利な立ち回りから追い込んで勝つのは相当力が抜けていた証拠。ラスト100mでの切れ味は秀逸。

・8頭立てだったのでクリア出来た点も否めず、この馬の立ち回りの雑さは気になる。フルゲートで捌けるか?

 

上記がホープフルS出走時のカルテ。

 

ホープフル5着。大外枠からの発走で位置取り争いには参加せず、出たなりで初手後方4・5番手。最初から末脚勝負に徹した感じ。勝負処の動きで明暗が分かれた。勝ち馬が動いて行った時に動かず、インからインの競馬でドン詰まり。同じような位置にいた勝ち馬が大外強襲で戴冠したように、素直に外に出しておくべきだったのだろう。直線中ほどでは馬群の真ん中を狙うもそこも入れず、進路を切り替えるチグハグさ。ほぼ追えないまま坂を上り、追い出したのはそれから。届く訳がない。脚を大幅に余した入線で、坂井瑠騎手の決め撃ちはハマらなかった。力負けとはならないが、もったいない競馬だった。当初の不安通りフルゲートで後手を踏む形になったと言えよう。新馬戦と同様で立ち回りは上手くない印象だが、ラスト1Fは良い脚を使えていた。長く脚を使うシーンはここまでないが、レース終盤のゴール前でもビュっと切れるのでまだ余力があるのだろう。末脚の量は多いと思う。追っての反応も新馬戦よりは良くなっていたので、スムーズに運べれっばもう少し長い脚を使う事は可能だと思われる。器用さが見られないので、府中替わりはプラスに働くだろうし、少頭数で捌きやすくなるのも良い。長い直線でどれだけの脚を使うのかは見ものである。

 

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