競走馬カルテ

2・3歳重賞の出走馬を分析・記録していくブログです。

ジャパンカップ(GⅠ) 出走馬カルテ②

 

こんにちは。

 

久しぶりに外国馬の出走が多く4頭も来日しました。1着賞金が3億円から4億円へ増額されたことが影響したようです。しかし、それだけではなくJRA側の努力が大きかったのだと思われます。

 

日本に到着後検疫を経ることなく府中競馬場へ移動できる国際厩舎を場内に新設しました。これが大きな原動力となったと言われています。強い外国馬を日本に招くためには賞金を上げろ上げろとあさはかな競馬ファンはずっと言っていましたが、輸出入や入国に関わる規制を如何に緩和するかが重要な事でした。その努力は17年からゆっくりと進んでいたそうです。法律にかかわる部分はなかなか難しいですね。

 

ちなみに、来年には賞金はさらに1億円増額され5億円になるそうです。来日のメリットがさらに大きくなります。今年来日した陣営の国際厩舎の評価が良いと来年以降はさらに外国馬来日の流れが加速しそうです。外国馬を買っておけば良いJCももうじき終わりを迎えることになりそうです。

 

その外国馬ですが海外競馬は門外漢なブログなので良く解りません。カルテを作成する事はしませんのであまりお役に立てないと思います。日本馬の分析・評価・寸評コメだけになりますのでご了承ください。

 

JCは27日(土)に行われますので前日の26日(日)にカルテの更新を終了いたします。ページが長くなるようなら1ページ10000文字を目安に2枚、3枚と増やしていきます。なお、外国馬だけでなくダート競走についても門外漢なので次週のチャンピオンズCのカルテ作成もありません。が、チャンピオンズCは予想案だけUPする事に致します。12月用の予想案ページを作成しますのでUP後にそちらでご確認下さい。

 

予想案は各ページの最下部にある専用ページにまとめてあります。ブログカードを貼っておきますのでそちらをご覧ください。

 

11/25追記:ページ上段の前説部分は同じものを転用しています。①②の行き来はページにブログカードを貼っておきますのでそちらから移動されて下さい▼

 

デアリングタクト

 

春の最後に宝塚記念を3着と走ったことからこの秋は陣営も燃えていました。夏の休養を終えて帰厩してから常に順調な調整がされていました。あいにく結果は出ていませんがここまでは脚元の不安もなく順調に仕上げらています。さすがに中1週では強気に推せませんがそう悪い状態にはなっていないと思われます。

 

エリザベス女王杯は1番人気の支持を受けましたが掲示板に載ることのない6着。具体的な敗因を松山騎手は話しませんでしたが、8枠の馬が勝ち、7枠3頭が2~4着、5着が6枠と外側の枠から上位に入った結果を受けて2枠の苦しい枠に入った事が良くなかったみたいな話をしています。確かに松山騎手の騎乗にはそう言う苦労が見て取れれます。発馬後から出来るだけ外へと馬を導きながらスタンド前を通過していきました。レースが動き出した3角過ぎでも外に持ち出そうと運んでいますがその時は既に上記の掲示板確保馬が外をマクリながら進出してきていたのでそれ以上外に持っていく事が出来ませんでした。最終的には馬場の中ほどから進出しようとしてきましたが坂の手前で止まってしまい差を拡げられて敗れます。外差し馬場になっていたようですので枠に見放されてしまったなぁというのは私も感じなくもありません。オールカマーではインの馬に上位を独占されて負けていましたが、今度は外枠の馬に上位を独占されてしまうという皮肉な結果となってしまいました。

 

この内容から言える事があると思います。それはデアリングが何かに左右されてしまう馬になったという事です。それは天気だったり、枠番だったり、展開だったりとするのでしょうが、もう馬の地力だけで勝ち負けを期待出来るような存在ではなくなってしまったということでしょう。好走条件が揃わないといろいろ厳しくなってきた印象です。故障が原因で全盛時の力に戻りきれていないのかもしれませんし、若い馬の台頭で力の優位性がなくなってしまったのかもしれません。松山騎手もオールカマーの感触から無敵だった頃のデアリングにはもう戻らないのだろうという事を悟ったそうです。JCと言えばアーモンドアイ、コントレイルらと死闘を演じたレースですが、あんな走りはもう期待出来ないのかもしれません。

 

とは言え、日本馬だけならそう卑屈になるような相手関係でもないと思います。むしろエ杯の方がメンバーは強かったかな?とも思えますし、やれて良い相手関係ではあります。勝ち負けはともかく何頭か交わせば馬券圏内と言う事は合って良いのではないでしょうか?ネガティブな印象を持ってしまった松山騎手が騎乗しないのもプラスになると思います。先入観の無いマーカンド騎手なら松山騎手とは違ったアプローチで良いところを引き出してくれるかもしれません。

 

テーオーロイヤル

 

この秋はオールカマーで復帰して5着。特殊な馬場状況の影響を強く受けたものなのでこの敗戦は仕方ないですね。しかし、必勝を期したはずアルゼンチン共和杯では6着と掲示板にも載れませんでした。でも、これも仕方ないですね。逃げていたキングオブドラゴンが直線コースで内側に逃避し内柵に接触、その影響で付近にいた馬に多く影響があり手綱を引っ張る馬もいました。ロイヤルもこの影響は大きかったようです。加速していたスピードを手放してしまい最加速を余儀なくされました。トップハンデ57.5kを背負っていた馬にこの不利は致命的でした。また馬群の中にいたので何頭かと接触してもいます。それでも頑張って詰めてはいましたがさすがに及びませんでした。とは言え、クビクビハナアタマの3着争いには加われていてタイム差にして0.2秒差なら上出来です。この結果も度外視で良いと思われます。天皇賞(春)3着でGⅠでも通用の目途のある馬ですからア共杯の結果が目くらましとなり人気が落ちるなら美味しい穴馬の誕生となります。

 

ただ、この馬も一仕事終えている感があります。秋はオールカマーをステップにア共杯勝負が当初からの予定でした。休み明けを叩いた事で馬はとても良い状態に仕上がっていました。陣営の思惑通りの勝負仕上げで挑んだ1戦でした。それなのにアクシデントで負けてしまったのは痛恨の極みでした。そこから中2週になるので馬がガラっと変わって来るのはちょっと不自然ですね。良くて維持と言ったところではないでしょうか?心臓が強い馬なので距離は長ければ長い程よいタイプなので100mとは言え距離短縮も良いとは言えません。定量戦なので前走から斤量が軽くなるのは良い事ですが買い材料はこれぐらい。状態面、条件面とどちらも好転しているとは言い難い状況。これは認めざるを得ないところです。

 

距離適性を大事にするならJCではなく有馬記念でも良いのでは?と思うのですが、陣営は府中の適性を高く評価しているのでJCを優先させたのでしょう。だとするとオツリを残す必要がありません。上積みはほとんど無いと思われますが現状はしっかりと仕上げられると思います。上がりの競馬になれば出番はないと思うのですが、タフな展開にでもなればそうとも言えません。展開想定上必要であればマークしておくといいかもしれません。

 

トラストケンシン

 

回避に次ぐ回避で結局この馬が出走することになりました。正直な話をすればまだ現役だったのかぁという感じです。最後に馬券を勝ったのはいつだったかな?と思いました。多分、3歳時の青葉賞が最後だったと思います。この時の勝ち馬がゴーフォザサミットで鞍上にいたのは蛯名調教師でした。とても懐かしいですね。その青葉賞で本馬は5着。昔から府中の2400mから2500mは得意な条件でした。理由はどうあれ適性の高いGⅠに出走が適って良かったと思います。10着に入着出来れば800万ぐらいの奨励金がもらえますから頑張ってほしいところです。

 

ハーツイストワール

 

切れ味のあるステイヤーと言う感じなので好走成績は府中競馬場に集中しています【4・4・0・1】。特に府中の2400mは最も得意な条件なのでまだ敷居が高いですが出れるのに出ないという選択肢はないでしょう。また、切れ味が削がれるので道悪はダメなタイプであるようです。3勝クラスで11着、今春の天皇賞(春)で16着と大きく負けています。天皇賞(春)時に騎乗していたルメール騎手も馬場が影響して止まってしまったと話していました。良馬場前提の馬と言う認識で大丈夫だと思います。

 

腰が緩い馬だったので出世が遅れたのですがこの点が解消されて6歳の今年2月にOPに昇格しています。これからよくなって来る余地の高い1頭です。ただ、だからと言ってGⅠを展望できるような存在ではなさそうです。初重賞チャレンジだった天皇賞(春)も意欲の高い出走ではありませんでした。本当はメトロポリタンSに出走するつもりで調整していたところルメール騎手が空いていたのでだったら使ってみようかと言う程度のテンションでした。頑張って欲しいというにとどまり、チャンスがあるみたいな言葉も使われていません。夏にOPを勝った勢いも手伝い、適性の高いアルゼンチン共和杯でようやく好走の意欲が出たぐらいです。そこで2着と走った訳ですが55kの手頃なハンデに大本命のテーオーロイヤルが不利で力を出し切れなかったなど噛み合っての好走と判断するのが妥当で接戦の2着争いを先着した程度でGⅠ通用の下地にはなりません。

 

また、ここまでの好走はスローの上がりの競馬が殆どで持続戦やタフな展開ではパフォーマンスを落としています。GⅠのペースに対応出来るかと言えばそこはまだ微妙でしょう。国枝厩舎×武豊×ノーザンFとブランド力はかなりのものですが、それに見合ったパフォーマンスはまだ見せていません。個人馬主の馬ですから4着~10着でももらえる高額な奨励金は出走のモチベーションになります。この辺の着狙いが妥当な存在ではないでしょうか?

 

ボッケリーニ

 

GⅢを5戦した昨年はGⅢの常連馬でしたが、今年はGⅡばかりを4戦しGⅡの常連馬となりました。全戦で堅実に走り3着以下無しの成績です。また、2000mまでの距離経験しかなかった馬が今年初戦のAJC杯で初めてそれを超える距離を経験し、2500mの目黒記念を勝つまでになっています。その距離適性にも変化がはっきりと表れていて、中距離をやっていた時以上の安定感も出て来ました。このようにここ2年を比べると着実なステップアップが感じ取れます。6歳になりながらも地味な成長曲線を描きついにGⅠ初出走となりました。兄ラブリーデイ古馬になって成長したようにこの馬も今がようやくピークの域にあると池江調教師は話しています。

 

春の最後にGⅡ勝ちをしたこともあり、この秋はGⅠを目指すことになりました。大きいところを意識した調整がされています。京都大賞典は2着に敗れましたがここを見据えた叩き台の1戦なら陣営も悲観していないだろうと思います。この時の勝ち馬ヴェラアズールのJC出走は京都大賞典を勝った結果によるものでしたが、この馬は当初からのローテション。上がり目はヴェラを超えて来て不思議ないと思います。

 

この馬のエライところはコースも展開も馬場も問わないところです。なんでもありのオールマイティーな馬と言って良いでしょう。今は京都競馬場の開催がないですが、残り中央3場では全て2着以上の結果を残しています。グレードの高いレースでもこれだけ安定しているのですから競走馬としての欠点は皆無と言って良いと思います。強いて言えば、立ち回りの上手さで勝負するタイプなので外枠だと良さが発揮されない可能性があるぐらいです。でも、長距離の先行馬なので道中で上手くインに潜り込む事は可能なので外枠が即弱点になる訳でもありません。とにかく器用な走りをする馬なので馬群を捌くのが下手な浜中騎手でもちゃんと導く事が出来るでしょう。

 

初GⅠですから力関係的にどんと来いとは言えませんが、今年のメンバーならボッケが馬券圏内に入ったとしても不思議ないと思います。ダノン、シャフリ以外とはそう大きな差を感じません。決め手勝負になりやすい府中のGⅠよりかは紛れもある中山の有馬記念向きと言う感じはあります。狙うなら次かもしれません。それでもJCで無視をしていい馬でもないような感じがしています。今年は同馬主のポタジェがこんな感じで大阪杯を勝っています。ボッケぐらいの力があればやれてもいいのではって思います。外国馬もいるので印整理は大変になりそうですが余裕があるなら押えても良いかもしれません。

 

ユニコーンライオン

 

矢作厩舎はユニコーンライオンでパンサラッサに続いて福島記念を逃げ切り優勝となりました。ほんと個性的な厩舎です。そのせいか矢作調教師のラッパが今回も威勢よく響き渡っている感じです。ですが、その福島記念はとても弱気なトーンでした。同型が何頭かいたのでちょっと厳しいかもしれないと勝ち負けを期待していた感じはありませんでした。それで良くそこまで大きい事を言えるもんだと思います。

 

福島記念の勝因は国分騎手が徹底的にハナにこだわったことですね。ゲートを出た瞬間からリードを確保していましたが、ベレヌス・シャムロックヒル・ロザムールらが次々とやってきて猛チャージ。それにもひるまず国分騎手はハナを譲りませんでした。それに応えて馬も良く頑張りました。59.4秒の速いペースで良く辛抱したと思います。

 

ただ、ユニコーンのパフォーマンスは強いと思うのですがそれも普通の福島記念と比較しての話です。異常な強さだった昨年のパンサにはまだまだ劣っていると思います。パンサが逃げたペースは57.3秒でユニコーンよりも2.1秒も速いもの。だから後続も潰れてしまい4馬身もの大勝となった訳ですが、今年は後続もそこまでつかれていませんから1馬身半差にまで詰められています。パンサと比較してしまうとユニコーンのスケールはやはり小さかったと言わざるを得ません。普通の福島記念馬と言う評価が妥当で常識的にGⅠでは評価の対象にはなりえないと思います。過去に宝塚記念2着のある馬なのでGⅠ級ではあるのかもしれませんがパンサほどの凄みを見せた訳でもないので、イチ福島記念馬として過分な評価は避けるべきでしょう。

 

また、ユニコーン京都大賞典にも出走してそこでも逃げていました。4コーナーでは手応えが怪しく、宝塚記念の距離を超えたラスト1Fでぱったりと止まっています。そこからはズルズル下がり2.1秒差の13着に大敗。厩舎曰く、京都大賞典の敗因は距離が明らかに長かったというものでした。JCは京都大賞典と同じ2400mのGⅠです。同距離をより強い相手と戦ってパフォーマンスを上げる余地なんてさすがにないでしょう。逃げたら止まらんとパンサみたいな事を矢作調教師は吹いていますけどそう言う根拠はないですね。

 

そもそも休養が長い馬で徐々に良くなっている最中です。ローカルGⅢでは何とかなってもGⅠに対応出来るほどの完調さはまだ無いのではないかと思われます。ペースの鍵を握る馬としか今は言えないですね。

 

ユーバーレーベン

 

春に遠征したドバイから帰国した復帰戦が札幌記念でした。そんな悪い調整ではなかったのですが蓋を開けてみたら出国前に466kだった馬体重が498kになっていました。馬もそれで動けなかった感じで札幌記念を敗退します。この頃から厩舎は懸命なシェイプアップに努めることになりました。天皇賞(秋)では-22kのダイエットに成功します。それでも目方が減っただけで馬の状態は完調手前だったと言います。厩舎の話では8分かそれを満たさないかと言うデキでトーンは良くありませんでした。そんな状態なので前走も勝負気配に乏しい出走でJCで良い状態になるようにと叩き台の位置付けでした。

 

その天皇賞(秋)の結果は8着と大敗と言う着順でもありませんがこの馬本来の末脚は使えていなかったと思います。上がり33.3秒とかなりの末脚を使ってはいましたが、このレースは逃げたパンサラッサと2番手だったバビットの2頭以外全ての馬が33秒台以上の速い上がりを使っています。ユーバーの末脚も上がり3位にも入れていない極めて平均的な上がりと言って良いでしょう。後方2番手の待機策で使った上がりとしてはやはり物足りないものです。馬がデキていなかったというのは本当の様です。

 

よって、今回は前走時からどこまで状態を上げてこれるかが焦点となります。札幌記念天皇賞(秋)と目標をあと倒しして来ただけにそろそろ良くなってくれないと面目が立ちません。もともと叩き良化のタイプなのでそろそろ怖い頃合いだと思うのですが。近走は凡走ばかりなので能力番付でどの辺にいるのかはよくわかりませんが、ドバイでは2410mのシーマCでシャフリヤールと僅差の競馬。ペース、展開等を勘案すればユーバーの方がパフォーマンスは上であったと思います。その時の状態に近づいて入れれば好走可能な馬ではあるでしょう。とにかく状態次第です。

 

地方馬

 

リッジマン

 

18年のステイヤーズSを勝利して、ブラストワンピースが勝った有馬記念に出走して1.2秒差の12着でした。以降は平地競走での勝ち鞍はなく、昨年21年の1月から障害に転向し7戦目で初勝利となりましたが次戦のOP特別で落馬競走中止。これが中央最終戦となり、7月に盛岡に転籍。3戦して7着、4着、4着の成績。全盛期でも普通に足りない馬でしたが現状こんな感じです。勝ち馬から3秒以内で走れたら好走だと思います

 

 

JCの予想案はこちら▼