競走馬カルテ

2・3歳重賞の出走馬を分析・記録していくブログです。

ホープフルステークス(GⅠ) 出走馬カルテ①

 

こんにちは。

 

>GⅠ昇格以降は1・2・3・4・8番人気の馬しか馬券絡みをしていません。数字合わせで予想すれば出走数がいくらあってもこの5頭のチョイスで完全的中間違いなし。

 

これは昨年のメインページで話した内容をコピペしたものです。なんとなく覚えてらっしゃる方もいるでしょうが、昨年の結果がこの予言通りに決まっていた事を把握している人はいないでしょう。

 

1着:キラーアビリティ(2番人気)
2着:ジャスティンパレス(4番人気)
3着:ラーグルフ(8番人気)

 

ほら、この通り。8番人気のラーグルフとか凄いと思いませんか?5頭で箱買いしておけば3連複は10点で7,680円、3連単なら60点で27,610円。儲けを十分確保できる配当でした。機会がなかったのでしませんでしたが、レース後すぐに自慢したくて堪らなかったのです。こんな予想をしなくてもちゃんと全券種で当たりましたが、昨年はこの予言が的中した事の方がうれしかったですね。さて、今年はどんな結果になるのでしょう?

 

なお、フルゲート18頭に対し19頭だが、既に回避馬が出ているので全馬出走可能になっています。今年は珍しく中距離重賞の東京スポーツ杯2歳S京都2歳Sの上位馬がほとんど出走して来ました。まずはレース毎に更新していく事にして、2勝馬、1勝馬の順で更新していきます。レースは28日(水)なので前日の27日(火)には更新を完了します。ページが長くなるようなら1ページ10000文字を目安に2枚、3枚と増やしていきます。

 

予想案は各ページの最下部にある専用ページにまとめてあります。ブログカードを貼っておきますのでそちらをご覧ください。

 

12/26追記:ページ上段の前説部分は同じものを転用しています。①②の行き来はページにブログカードを貼っておきますのでそちらから移動されて下さい▼

 

東京スポーツ杯2歳S(GⅡ)

 

勝ち時計の1:45.8はコントレイルのレコードには及ばないが、ダノンザキッド、イクイノックスの近2年と比べれば全然速く、過去10年では2番目に速い好時計。それだけにペースは35.2秒-58.9秒と流れていて、ラスト3Fは徐々に失速していく消耗戦。ラスト1Fの失速も大きく全体的にしんどい展開であったようだ。隊列は先行集団と後方集団の2つのグループが距離を取って進んでいたが、1~3着は後方集団の馬が占めた。これら3頭が使った上がりは33.8秒から34.0秒だったがタイトなペースでこれだけの末脚を使えていたのは地力の高さを示していると思われ上位馬の脚力は総じて高い。ただ、先行馬に不利な展開ながらほぼ逃げる競馬をしていた4着ドゥラエレーデの走りは驚異的である。決勝点では馬体を併せて入線していて強靭な心肺機能を感じさせる。一番強い競馬をした馬である事は間違いない事実であろう。

 

ホープフルSがGⅠに昇格してからの東京スポーツ杯2歳S組は相性が良く、コントレイル、ダノンザキッドと2年連続で優勝馬を輩出した。GⅠ昇格以降の成績は【2・0・1・6】となっている。昨年は出走馬ゼロだったが今年は1・3・4・5着の掲示板確保馬が出走してくるので2年ぶりに躍進が期待出来る。なお、面白いデータがある。17年~20年の4年間に出走した9頭で東スポ杯2歳Sで着が悪かった馬が着の良かった馬を逆転した例は1例も無い。今年を例に取れば、3着ハーツハーツコンが優勝したガストリックを逆転することは無く、4着ドゥラエレーデがハーツを逆転する事はないということ。東スポ杯2歳Sの結果はそのままスライドしていて、序列が変化する事はなかった。東スポ杯2歳Sの結果は厳格的に受け止めた方がいいのかもしれない。

 

1着:ガストリック

新馬戦ではメンバー的に抜けていたが、重賞レベルではそう抜けた存在とはまだ言えない。中の上か、上の下ぐらいの評価が妥当だと思われる

・10kの大型馬で使った効果はかなり見込める。終いのキレもより増す事を想定しておきたい。

・折り合いや追ってからの反応など操縦性に特に問題はないが、スタートを出遅れていたので今度はちゃんと出て欲しい。

 

上記が東京スポーツ杯2歳S出走時のカルテ。

 

新馬戦と同じ直線勝負の競馬で東スポ杯2歳Sを勝った。今回も出遅れたが新馬戦ほどではなく、後方集団の先頭ぐらいには位置取っていた。以降は目立つポジション移動はなく、折り合いをつけて馬なり追走。3コーナー付近になると1~3着馬が同じ位置取りとなっていた。2・3着馬が早めに動いて外に進出したのに対し、こちらは追い出しを遅らせていた。直線ではガラガラのインコースからロス無く抜けて来た。使った上がりは2着馬と変わらない2位上がり。最後は同じ脚色となったのでクビだけ耐える事が出来た。勝てた前提として立ち回りが完璧であったことが上げられる。スタートのロスもペース速めの消耗戦で相殺されていた。その上で勝因を上げるならやはり2・3着馬のロスに助けられた面がある。この馬自身のパフォーマンスも良いものだったが、着差もクビで差のない競馬だったことを踏まえるとやはり通ったコースの差が大きかった。これらと勝負付けを済ませて来たとは言えないだろう。まだ候補馬の1頭に過ぎないと思う。これで府中1800m2連勝だが中山2000mでどう乗るか?2戦とも上がり2Fぐらいの競馬をしているだけで使っている脚はそう長くない。操縦性は良いので器用に走れる可能性は感じるが、常に出遅れている馬なので今回の条件でそれをやると厳しくなる。この時期から春先にかけて中山コースはイン前競馬になりやすい。今までと同じ走りでは通用しないのではないか?条件が変わる事でプラスになる材料は現時点では多くない。新味を見せる必要がある。

 

2着:ハーツコンチェルト

新馬戦で8馬身差の大楽勝。これは相手が弱かったから。この着差は過大評価に繋がるのでそこは気を付けた方が良い。

・このペースの2000mで上がり33.9秒なら脚はかなりと見積れる。

・向こう正面でポジション調整をするなどレースに合わせて動けている点も自在性のある証拠。

・大型馬でまだ緩さを残していそうな造りをしていたので叩いた効果はかなり大きいと思う。

 

上記が東京スポーツ杯2歳S出走時のカルテ。

 

東京スポーツ杯は1番人気を裏切る3着。敗因は出遅れによるもの。スタートで小さくないロスを背負い込むレースとなった。序盤はそのまま待機策だったが、3コーナーで中段まで押し上げていた。だが、これも敗因。結果論だがインがガラガラだったので外を回さっずにインから脚を使っていれば前を捉えられていた可能性は高い。使った上がりは33.8秒の最速。このペースでこれだけの脚を使えるなら新馬戦より末脚の精度は向上していたと見て良い。この末脚でイン突きをかましていればもっとやれていたはずだ。1番人気だったからか松山騎手の焦りを感じさせる内容だったと思う。見直しの余地を多分に残した3着だったと言えそうだ。中京、府中と左回りで直線の長いコースで走っていて今回の様な条件は初めてになる。ただ、この馬はこなせそうな下地を感じる。騎手の導き通りに動ける自在性があり、コーナリングも速いので機動力ある走りは出来ると思う。東スポ杯2歳Sでは速さ負けしたようなところもあるので距離が延びるのも悪くないはず。終いはしっかりと脚を使える馬なのでゴール前はそこそこ来ていると思う。

 

4着:ドゥラエレーデ

・芝戦だと直線で脚を加速させる事が出来ていない。バテて止まったわけでもないのの、決め手のある馬に差されて負ける。

・砂への転向初戦を凄い内容で勝ち上がる。ハイペースのキツいレースを持ったままで突き放した様は力強い。能力そのものはやはり高い。

・レースセンスも良く、立ち回りも上手いので走りの印象も良い。

・東京スポ杯2歳Sでは早めの競馬をした馬でも速い脚が求められてしまうのでやはり差されてしまうように思う。

 

上記が東京スポーツ杯2歳出走時のカルテ。

 

2番手の馬がコーナリングで前に出る事もあったが向こう正面でハナを奪っていたのはこの馬。自分のペースをリズム良く進んで、他馬が来ても怯む感じはない。早いペースを積極的に運び、直線に入るところから追い始め、長い直線をずっと追い通し。かなりしんどい競馬をして0.2秒差の4着は実にエライ。ギアチャンジの無いワンペースな馬なので早めに吹かして脚を使い切る競馬。この馬の個性からしたらベストな乗り方であろう。ただ、馬の力を極限まで引き出すムーア騎手の功績も大きかったと思う。馬が力以上に走った感じは否めない。鞍上が変わるので戦力ダウンとしたいところ。だが、新たな鞍上にムルザバエフ騎を迎えた。19年からずっとドイツのリーディングでトップに君臨している方。日本人騎手よりは確実に乗れる方であろう。この方が鞍上なら東スポ杯2歳Sのパフォーマンスを維持する可能性は小さくない。そう仮定すると、GⅠ挑戦も無謀には思えない。条件がこの馬向きに好転するからだ。中山コースはこの馬にとってプラスになる。実際、1周条件の札幌では良い走りをしていて、重賞勝ち馬のドゥーラ相手に良く走っていた。スタートは安定して速いし、先行センスも高い。気性に難しい所も無く、立ち回りも上手い。直線が短いから決め手勝負も回避出来るし、コース的に上がりもかかる。この条件なら立ち回りで勝負できる。先手必勝の走りが確立して来たので今なら粘り込みの可能性は小さくないと思う。東スポ杯2歳Sで先着された馬よりは適性で上をいくのではないか?なお、蛇足だがムルザバエフ騎手はカザフスタン生まれの方なので容姿に欧州人ぽさはなく、見た目はアジア人とに近いと思った。

 

5着:フェイト

・新潟1800mの新馬戦は軽く促したのとヨレそうなところを矯正したぐらいでほぼ馬なりで勝った。

・ペースは流れていて負荷の大きく、上がりのかかるレースだった。この展開でこれだけの脚を使えていれば良いし、脚力もありそう。

・余力たっぷりだったから走破時計も上がりももっと速いものを記録できると思う。

 

上記が東京スポーツ杯2歳S出走時のカルテ。

 

東スポ杯2歳Sの道中は1~3着馬に交じって離れた後方集団で追走していた。この馬も上位に顔を出していないといけない。展開はハマッていたし、追い出しもスムーズで立ち回りに不利は無かった。が、この馬だけ伸び脚を欠いて止まってしまった。5着と掲示板には来たが力差が出た負け方。それに、キツいペースで逃げていた4着馬すら交わせていないのは情けない。新潟1800mの新馬戦で使った上がり(34.5秒)と同タイム上がりだった点も少々物足りない。現状は使える脚に限界がありそうだ。厩舎の話でも完成度が低く、良くなるのはこれからと言うこと。ただ、厩舎内の期待が高いリアルスティール産駒。この馬にはリアルスティールの現役時を担当していた人がついている。これも期待の表れであり、素材的には前走だけで見限れない。とは言え、今の状態では強調材料に欠けそうで前走からの上積みは欲しい。今回の成否は成長次第になる。

 

京都2歳S(GⅢ)

 

レースが行われた日はBコース変わりの初日でイン前バイアスが強く働いていたようだ。勝ち馬は逃げ切り、2・3着馬はインから伸びてきている。勝って当たり前みたいな感じだった1番人気グランヴィノスの敗因は馬場であったのだろう。外目から差しに来ていたので伸びを欠いた感じで負けた。ただ、だからと言って上位馬達が弱かったとは言い難い。60.4秒-60.1秒と前後半差のないバランスよいペース配分。程よいペースから後半に加速したレース内容は悪くない。それなりに地力は問われていたと思う。阪神競馬場で行われた過去2年よりも1秒から2秒弱速い勝ち時計も良い印象を与える。

 

勝ち馬グリューネグリーンは逃げ切りなので特に言う事もないが、ラスト5Fから徐々に加速して最後は良く凌いでいた。ただ、ラスト3Fは失速していたので止まりかけていた。アタマ差まで詰められていたので最後に残せたのは馬場の恩恵が少なからずあったからだと思う。また、2・3着馬にも曰くが付く内容。最終コーナーで2着トップナイフが内から3着ヴェルテンベルクを外に弾いている。コーナー部分でもあったのでこれでかなりの距離差が生まれてしまった。ヴェルテンはそこからよく盛り返して来ていたが脚を余して1馬身1/4差負けた。接触が無ければこの馬も勝ち馬グリューネと際どい走りをしていたのかもしれない。11番人気であったがこの馬も差のない評価が必要だろう。この3頭の序列評価はとても難しいと思う。

 

なお、京都2歳S東スポ杯2歳Sと同じでホープフルSで序列が逆転した事が無いのだが、今年の内容からするとそうとも言い切れない感じは強い。ちなみに過去10年の成績は【1・0・0・4】と相性の良いレースとは言えない。本番のコース形態を踏まえるとこちらの方に分があっていい気はするのだが。GⅠを意識した馬が集まる東スポ杯2歳S組は出走馬のレベルがそもそも高く、隙間重賞的な意味合いが強い京都2歳Sにはそう言う馬の出走は少ない。出走していた馬の能力はシビアに判断した方が良いのかもしれない。

 

1着:グリューネグリーン

新馬戦は上がりの競馬を好走し、未勝利戦は上がりがかかる展開を押し切った。どんなパターンでも好走に持ち込めるのは競馬センスが高いからであろう。

・立ち回りや折り合いなど特に問題点も無く、終いにしっかりと反応出来るので凡走がなさそうなタイプのように思う。

 

上記が京都2歳S出走時のカルテ。

 

3走目で初めて逃げた。スタートが良かった訳ではなかったが、ペースが遅いと見るやすぐさまハナを取りにいった。序盤のポジションセンスは本当に上手い。1~2コナーの中間で最下位入線馬が果敢にせめて来て前に出られるがコーナリングでハナを奪い返していた。以降も3コーナー付近まで絡まれており、この馬も楽な逃げ態勢と言う訳ではなかった。それでもラスト5Fから徐々にペース上げていき、消耗戦に持ち込んだ強い内容である。最終コーナーで今度は4着馬が攻めて来たがこれも直線でつき離して一端は完全に抜け出している。最後は失速して2着馬に詰められたが、プレッシャーの多い中逃げ切った内容は評価出来る。持続性は高そうだったし、大きくバテなかった心肺機能も高いように思えた。2戦目までに見せていたセンスの良さは京都2歳Sでも十分感じられた。2・3着馬も差のない競馬だったので再戦すれば結果は変わりそうだが、逃げない競馬もして来た馬でどんな流れにも対応出来る。今回も乗り方一つ。初対戦の馬も多いので力関係次第だが、再度の好走は全然あると思う。

 

2着:トップナイフ

・レースを使く度にスタートや行きっぷりが良化していった。故に臨戦過多だが、昆厩舎の管理馬なのでこれを問題視する事は出来ない。

・ラストに加速するギアは無い感じ。ワンペースの競馬を常にしている。より速い上がりを記録する馬がいれば負けるし、いなければ好走を果たすといったところ。

・緩急の有るレースよりも、タイトな持続戦で良さが出るタイプと見ていい。

 

上記が京都2歳S出走時のカルテ。

 

決め手に弱い馬なので最後に差し切れなかったのはそんなところも影響したかもしれない。ワンペースなタイプなので持続戦には強いが、京都2歳Sの様な消耗戦でも強さを見せる。やはり、加速は出来なくても減速もしないということだろう。出走したほとんどの馬がバテていたのでこの馬の上がりでも最速を記録する事になった。一定のペースで走りきれる良さが出た感じ。そう言う意味では展開は味方したのだろう。瞬発力の重要性が高まる、府中や京都なら分からないが、中山や京都2歳Sの様な内回り1周条件なら確実に力を出し切れるのではないか?ホープフルSの条件も合っていると思う。ここまで先行策で脚を使い切る競馬をして来たが、中段に控える競馬で結果を出せたのも良い。前走で6走目であったがそれでもまだ上積みがあると厩舎は話していて、レースを使いながら馬を仕上げる昆厩舎の良さが出ている。デビュー5ケ月で7走目なのでさすがに前走以上と言う事はないと思うが、変わり身ならまだあるかもしれない。馬もタフであるようなので状態維持ぐらいで出走させて来れると思う。ホープフルSにはまだこれと言った必勝ローテも無いので、この馬の臨戦過程を不安材料としない方が良さそう。

 

3着:ヴェルテンベルク

・2戦とも上がりは最速で脚力上位の走りを見せている。

・スタートがもっさりしていて発馬は良くない。二の脚でポジション調整出来るので立ち回りは上手い。

・現状は機動力も少々弱い。力がつききっていない感じで動ききれていないように思う。

・素質がありそうな感じはあるが現状では粗さも目立つ。良くなるのはこれからだろう。

 

上記が京都2歳S出走時のカルテ。

 

小倉で未勝利を勝ってから京都2歳Sまでの約3ケ月、この間に馬は急成長を遂げたとのこと。確かに序盤の行きっぷりは良くなっていたし、程よい前進気勢も出ていて未勝利時に物足りなかった面が改善されていた。騎手の指示にも従えていて操作性も高まっていたように思う。ラスト5F標前から動かして行ったので使っている脚も長く、最終コーナーで致命的な不利を挽回して最後に詰めて来た内容は底知れない感じがある。11番人気で世間の評価はとても低かったが、これだけの不利があり脚を余した3着馬にフロック性は見いだせない。前走からの変わり身が大きく、地力の高いところを見せたと思う。同厩に今年の菊花賞2着馬がいるのだが、それと比較しても同等かそれ以上の馬になると厩舎の評価は非常に高い。賞金加算も出来なかった所詮1勝馬ではあるが、大半が同じようなメンバーだしそう気にならない。とにかくノビシロの大きい馬であるようだから、前走以上の走りをされても驚けない。不利なく、スムーズに回ってこれたらいいところはありそうだ。

 

◆2勝馬

 

キングズレイン

 

①函館1800mの新馬戦、洋芝の重馬場で3着②札幌1800mの未勝利戦、洋芝の良馬場で辛勝③府中1800mの百日草特別、高速馬場の良馬場で完勝。①よりも②の方が走りが良くなっており、②より③の方がさらにレース運びが良くなっている。時計が速くなる環境になるにつれパフォーマンスがはっきりと向上している。発馬やポジショニングが目に見えて良くなっていて、追ってからの反応も1戦毎に俊敏になっていった。着差も同様に大きくなっている。使いながらよくなって来たとも言えるが、これだけ変化がはっきりしていると時計勝負、スピード勝負の方が向いているタイプと考えて良いと思う。少なくとも百日草特別の結果からはそう読み取る事が出来る。このレースが1800mから2000mに変更になった過去9ケ年の中で勝ち時計(1:59.7)は断トツで最速であったし、これはエフフォーリアが勝った2年前よりもずっと速い。それに2歳馬が2000mを2分を切って走っただけでも普通にエライ。ラストは流す感じの余裕もあったし、持続戦で強い内容であった。コーナー4つの1周条件も洋芝戦2戦で対応は出来ていたし、ちゃんと動いてくれるだろう。暮れの中山は馬場がタフになるので時計はかかるかもしれないが、遅い分には許容範囲であろうし、北海道のコースよりはずっとマシ。発馬良く、ポジショニングが安定しいるし、馬群の中でも平常心で回ってこれる。ホープフルSはやれる条件と見て良い。相手関係以外に不安材料はナシになる。内枠でも引いたら面白いのではないか?

 

シーウィザード

・瞬時にトップスピードに乗れる馬であるようで行き脚がついてからの脚が良い。

・勝負所の7F目では13.5秒→12.2秒と一気に加速している。瞬発力は相当に高い。

・逃げていたので分かりずらいが決め手は優秀そうである。持続戦や高速馬場への対応等は未知だがその瞬発力は侮れない。

 

上記が新潟2歳S出走時のカルテ。

 

3着だった新潟2歳Sは勝ち馬が2歳GⅠで14着だったが、4着馬は5着だった。このレースは戦前からレベルが低いという前提で話ているが、瞬発力・切れ味だけの勝負になっているので弱い馬向けのレースだったという事が言える。4着だったバグラダスはその後持続戦でタフな底力が求められるレースでパフォーマンスを上げている。このことから、新潟2歳Sは弱い馬に有利な展開でバグラの様な力のある馬が力を発揮出来なかったと仮定する事が出来る。つまり、上位馬は強くないという結論を導く事になる。本馬は新潟2歳S後に中山2000mの芙蓉Sを完勝しているが、この勝利こそがこの仮説を証明している。65.1秒通過の超スローでラスト3F勝負の上がりの競馬になっていた。距離は違えど新潟2歳Sと同じく地力の問われない展開を好走したに過ぎない。これでは印象が良くならない。実際、12月初めに行われた同条件の葉牡丹賞の勝ち時計は芙蓉Sより実に5.3秒も速い。馬場状況は秋開催だった芙蓉Sの方が圧倒的に有利なはずなのでこれだけ時計が遅いのはダメと思う。芙蓉Sでは超スローの流れを3番手で運んでいて、展開は向いていたし、このペースならもっと速い上がりを記録すべきだし、強い馬なら突き抜けていないといけない。それがクビ差の辛勝だと評価の対象には出来ないだろう。新潟2歳Sでもペース的にはもっと上がりを高速化出来たはずであり、この馬の末脚は安定しているがそこまで圧倒的な脚は使っていないという分析になる。成績表は非常に綺麗な馬だが、なにかと恵まれてここまで来た印象が強く、地力の高さを証明してきたわけではない。そう言うレースをしてないだけの可能性もあるので、これだけでこの馬を弱いと決めつけるのはさすがに暴論になるのだが強さが証明されていないのでGⅠで他と比べた時に強調材料がなくなってしまう。強さがあるならカルテを改めるのでここでしっかり見せて欲しい。

 

ホープフルSの予想案はこちら▼

 

有馬記念(GⅠ) 出走馬カルテ②

 

こんにちは。

 

2回目の中間発表ではトップ20位にも入っていなかったヴェラアズールがJCを勝った途端一気に標を獲得したようで18位まで順位を上げました。これでファン投票(ファン投票7位選出)による出走となります。日本最高賞金レースの勝ち馬なのでこの馬が出走除外になる事なんてないんですが有馬記念の意義に沿う形で出走できる事は大きな意味がありますね。

 

皐月賞馬、ダービー馬、菊花賞馬とクラシックウィナーの参戦が無いのは物足りませんが、大阪杯天皇賞(春)宝塚記念天皇賞(秋)、JCと古馬王道のGⅠ勝ち馬は全て参戦しています。GⅠ馬の数7頭と豪華な顔ぶれ。最近はJCより有馬記念の方がメンバーが集まっているような感じがしませんか?本当に強い馬は凱旋門賞に行きますし、そう言う馬は帰国後はJCより有馬記念の方が調整しやすいですからこうなるのかもしれませんね。有馬記念こそ現役最強を決めるレースにふさわしい気が致します。

 

有馬記念は25日(日)に行われますので前日の24日(土)にカルテの更新を終了いたします。ページが長くなるようなら1ページ10000文字を目安に2枚、3枚と増やしていきます。アイウエオ順で更新していきます。

 

予想案は各ページの最下部にある専用ページにまとめてあります。ブログカードを貼っておきますのでそちらをご覧ください。

 

12/22追記:ページ上段の前説部分は同じものを転用しています。①②の行き来はページにブログカードを貼っておきますのでそちらから移動されて下さい▼

 

ジャスティンパレス

 

菊花賞はレコード決着となっています。序盤の1000mが58.7秒でこの距離では超ハイペースでした。以降の1000m毎の通過タイムは62.7秒、61.0秒となっています。中間にさすがに息が入っていますが、それでもタイトルホルダーが勝った前年と比べて各所の通過は速いですから極端な落ち込みは無かったと言えます。逃げ馬と3馬身前後の差を保って2番手を行っていたアスクビクターモアの強さは尋常ではありませんね。心肺機能の高さが物凄い。状態面を見て有馬記念を回避したのは残念ですが、これだけの競馬をしていますからやはり休んだ方がいいと思います。代わりにタイム差がほとんどなかった2・3着馬がアスクビクターの代役を努めることになりました。アイウエオ順なのでまずは3着ジャステインパレスからチェックしていきます。

 

上記のように、今年の菊花賞は長距離をこなす持久力(スタミナ)だけでなく、レコード決着に対応出来る持続力(スピード)も必要とされました。当然、レースのレベルは低くありません。高い総合力が求められたダービーと比較してもそれほど劣らない内容だったと思います。ジャスティンパレスはダービーでは力負けでしたし、神戸新聞杯の快勝は展開と馬場に恵まれたものであったのでこれだけのハイレベル戦に対応出来るとは考えていませんでした。そう考えたのは私だけでなく、管理する厩舎側も同じような見解であったようです。神戸新聞杯は上手くいき過ぎたものと解釈していてその勝利を半信半疑に思っていたそうです。トライアルの結果だけで強い馬と評価して良いものか戸惑っていたので、菊花賞で期待していたのは同厩のガイアフォースの方でした。ジャスティンの方はどこまでやれるだろうか?と最後まで懐疑的だったようです。その菊花賞のパフォーマンスは厩舎サイドをきっと驚かしたことでしょう。同時にこれで本馬の評価も見直され、GⅠでもやれる手応えに変わってくると思います。

 

そして、関係者の評価が急上昇している証拠が有馬記念の鞍上配置にしっかりと現れています。神戸新聞杯菊花賞とどちらも好走に導いた鮫島騎手からマーカンド騎手に変更されました。カツマが上手く乗ってくれたからと厩舎は話していて、近2走の好走は鮫島騎手の功績が大きかったことを認めていました。にもかかわらず完璧に騎乗した騎手を降ろして鞍上強化図りました。関係者がマジになっている何よりの証拠だと思います。本気で勝ちに来ていると考えて良いのではないでしょう?マーカンド騎手もかなり追える騎手であることがもうわかっていますから厩舎の期待はさらに高まっていると思います。

 

条件的にも問題ないと思います。休み明けが理由で皐月賞は凡走しましたが、ホープフルSでは2着と走っていましたから中山コースは問題はないと思います。器用さがウリみたいなところがあるので中山の内回りコースも上手に走ってくれるのではないでしょうか?また、菊花賞で先着されたボルドグフーシュには普通に先着可能だと思います。ハイペースを後方待機だったあちらに対し、こちらは先行集団を形成していた1頭です。着差半馬身ならどちらが強いかは明白です。そして、ボルドは超ステイヤーという評価の馬で菊花賞は条件的に有利なものでした。500mの距離短縮はあちらには不利で、アドバンテージはこちらに移ります。これなら着が入れ替わっても不思議ないと思います。対古馬とは未知数ですが、イクイノックスも含めた3歳馬の中で有馬記念適性が一番高いのはこの馬かもしれません。

 

タイトルホルダー

 

凱旋門賞帰りなので状態面がポイントになりますが、昨年は凱旋網賞組が2・3着と走っていますのでそう毛嫌いする必要はないのかもしれません。でも、有馬記念の叩き台として凱旋門賞を使う馬なんていないのでメイチで使った後の1戦である事は間違いないでしょう。前走凱旋網賞組が有馬記念を勝ったのはオルフェーブル1頭しかいません(JCを挟んで有馬記念を勝った馬ならディープインパクトヴィクトワールピサがいます)。この10年の成績も【1・1・2・3】と言う成績で頭からは狙いづらくなっています。反面、複勝率は57.1%と高い確率で馬券にはなっています。調教技術も輸送技術も上がっていますので遠征そのものをネガティブに捉える必要はなく、2・3着の可能性はアリとして扱う必要があると思います。

 

ただ、今年は非常にタフな馬場状況でしたからその点は気になります。今年の凱旋門賞のコンディションはキセキ、ブラストワンピース、フィエールマンが遠征した19年に似ていたと思います。この時も日本馬にとって非常につらいコンディションでした。その19年の有馬記念ではフィエールマンが4着、キセキが5着でした。好走したとも見れるのですが、馬券に絡めなかった事実をどうとるか?ここが思案のしどころになります。19着だったドゥデュースはレース後すぐにJCを目標にすると言いながら回避していますので、やはり例年よりは疲労の蓄積が大きくなっていた可能性がありそうです。タイトルホルダーも状態面を課題とせざるを得ません。中間の話ではわりと良い感じではありそうですがレース前ならみんなそう言います。終わってから凱旋網勝の影響があってなんて言い訳を使ってくる陣営はいくらでもあるので、シビアに見極めねばなりません。

 

以下では、凱旋門賞以前の戦績からこの馬の能力を再確認しておきます。

 

7馬身差の大差をつけた天皇賞(春)がすげぇ強いなぁと思ったのですが、宝塚記念の強さはさらにすげぇなぁと思いました。このレースで逃げていたのもパンサラッサだったのですが1000m通過は57.6秒の超ハイペースで、2000mの通過タイムは1.57.3でした。分かる人にはもう分かると思うのですが、これはパンサが大逃げかまし天皇賞(秋)でイクイノックスが記録した勝ち時計より速いものです。馬場差を考慮すれば実質的なタイム差はもっと大きいものでしょう。イクイノックスは遠く離れた後方集団で上がりの競馬をしていた馬でしたが、タイトルは2番手でパンサの激流にモロに付き合っていた馬です。どちらが凄いかは言うまでもありません。タイトルが宝塚記念と同じ状態で走れたらイクイノックスがタイトルを差すことはないのではないでしょうか?コース形態もどちらかと言えばタイトル向きなコースですし、普通にやったらタイトルが前に来る可能性が大きいと思われます。これと言った逃げ馬はいないので単騎可能な組み合わせ。自分好みのペースメイクが楽に出来ます。能力、条件、展開などに不安材料はないですね。

 

問題はタイトルが宝塚記念の時の状態にあるかどうか?これだけです。それは経過観察中なので今は何とも言えません。悪い感じではなさそうですが、充実著しかった春の状態までもって来れるかが鍵となります。が、この見極めはとても難しいものです。関係者以外に本当の事は分からないと思います。ただ可能性の話をすれば不可能な話でもないかもしれません。その根拠となるのがこの馬の成長曲線です。この馬は3歳の秋になっても目立った成長がないと厩舎は話していて、3歳春の状態にもって来れていればそれで十分と言う評価に過ぎませんでした。昨年5着だった有馬記念菊花賞疲労が残っていたようで本調子に至らない状態で使い敗れています。

 

しかし、その評価が天皇賞(春)の頃から変わって来ます。タフな競馬だった天皇賞(春)のダメージを厩舎は心配していたのですがそう言うものは一切見られず、さらに上積んで宝塚記念を使えていたそうです。どうもこの頃から馬がグングンと成長し、充実期を迎え始めたようです。成長力がとにかく凄いと厩舎は絶賛していました。天皇賞(春)疲労も有り余る成長力で補ってしまったという感じになっていました。

 

このように菊花賞1着→有馬記念5着の臨戦と、天皇賞(春)1着→宝塚記念1着の臨戦では調整過程に雲泥の差が出ています。マイナス面をプラス面が大きく上回っているのが今のタイトルの状況だと思われます。緩やかだった成長曲線が春だけでピークに至ったとも思えませんのでまだ右斜め上へと伸び続けているのではないか?と思います。凱旋網勝の披露もその成長力が補ってしまう事はあり得るかもしれない、私はそう考えています。

 

あと、他サイトでちょっと気になった書き込みを目にしました。阪神だからGⅠを勝てたみたいに言っているコメントがあったのですが、阪神から中山に変わる事で何かが変わるんでしょうかね?この点を補足しておくと、天皇賞(春)の前哨戦を阪神大賞典ではなく、日経賞にしたのは陣営が中山の方がこの馬には適していると考えたからだそうです。阪神大賞典は勝った菊花賞と同じ舞台。それでも日経賞にしたのは適性が中山2500mの方が合っていたというのが理由です。つまり、日経賞と同じ条件の有馬記念はタイトルにとってGⅠ3勝の舞台よりも適しているという事です。勲章が無いだけでコース適性を判断するべきではないと思います。ちなみに、日経賞はハナ差の辛勝でしたがこの時はGⅠ前の叩き台でデキ7分だったそうです。日経賞の結果、内容の物足りなさは忘れて下さい。

 

ディープボンド

 

昨年の2着馬でタイトルホルダーに0.4秒先着していました。2k差重い斤量を背負っての結果でしたから今年になってここまで負ける馬とは思えなかったのですが、天皇賞春が7馬身、宝塚記念が4馬身+ハナともう一方的に負けています。天皇賞(春)はスタートで不利があり、道中もカラ馬に絡まれたりと不本意な部分もありました。が、宝塚記念は真っ向勝負した結果でしたし、タイトルを捕まえに行く競馬をして出来ず、挙句にデアリングタクトに差されて4着に落ちるという完全なる敗北です。前走の凱旋門賞も1度もタイトルの前に出る事はありませんでした。近3走のローテも同じですから上積み、変わり身などで逆転する要素もそう大きくないでしょう。春GⅠの2戦は阪神巧者のタイトルに向いた可能性もあるのですが、ボンド陣営も阪神コースが一番この馬に向いていると話していますからコース適性で負けたというのも言えません。この対戦成績を覆す根拠を見つける事は不可能で、それぐらい完璧に負けています。ボンドがタイトルを逆転するシーンを思い描く事が出来ません。

 

ここまでの戦績で一番は速かった上がりが3歳時のアザレア賞で記録した34.9秒。短・中距離で上がりが高速化するレースよりも、タイトな持続戦や消耗戦等でタフな展開を好みます。スタミナタイプの馬なので体力を生かしたいタイプです。コントレイルのラビットをやっていたようにレースの流れに合わせて立ち回る事が出来るので、折り合い、操縦性などは抜群です。器用さもあるのでトリッキーな中山2500mでも問題無く立ち回る事ができるでしょう。後半に速い上がりを使えない点からも程よいポジションから積極的に動いていくのが良く、上がりがかかる展開も向いています。この条件は初出走となりますが、潜在的な適性を持っていると思われます。

 

これは昨年の有馬記念特集の記事をコピーしたものです。中山競馬場では凡走ばかりだったのでコース適性が懸念材料となっていたのでそれを払拭するために書いたものです。結果は2着と記事の通りの適性を示し好走しています。上がりのかからないレース。器用さが活かせる条件。長ければ長い程よいステイヤーでもギリギリ走れる守備範囲の距離。タフさが要求される。これらの点で有馬記念の中山2500mはボンドの好走ゾーンに入っていて、むしろ得意条件と見ておくべきでしょう。

 

この馬も今年に入り成長があったのだそうです。だから今年も凱旋網賞にチャレンジしました。昨年より能力が落ちているというのは考えづらいと思います。対タイトルとの分の悪さが目立っているだけで無印に出来るような馬ではまだありません。天皇賞(春)宝塚記念も負かしに行く競馬をしての結果なので最後に詰めの甘さが出ましたが、自分の競馬に徹すれば昨年ぐらいは走れてよいと思います。5番人気だった昨年から人気はさらに落ちそうですからこの馬は盲点になりやすい状況に置かれています。狙って面白い存在かもしれません。2・3着なら可能性はあるかもしれません。

 

なお、この馬も凱旋門賞帰りですから仕上げ、調整は課題になるのですが、この馬の場合それは昨年既にクリアしています。2年目なら不安材料としては小さくなります。この点がタイトルを逆転できる唯一の材料かもしれませんね。タイトルは初遠征でしたから輸送経験の差で状態面を上に持ってくる事はあるかもなぁとちょっと考えています。

 

ブレークアップ

 

3勝クラスではJCを勝ったヴェラアズールと対戦していて1勝1敗の五分の成績でした。特に有馬記念と同じ中山2500mではこちらの方が先着していました。1戦遅れでこちらも3勝クラスを勝ち上がり、1戦遅れでGⅡ制覇。ヴェラと同じ軌跡をたどってのGⅠチャレンジとなります。とは言え、ヴェラが勝ったのは天皇賞(秋)やJCの前哨戦として機能している別定戦で、アップが勝ったア共杯はGⅠの谷間に行われる隙間重賞のハンデ戦。同じ軌跡であっても同列に語っていい程のクオリティがあるとは言えません。ハンデ54kの勝利からGⅠ定量で3k増になり、GⅠ勝ち馬達と互角の勝負が出来るまでの根拠を示せているとは言えません。ア共杯で2着だったハーツイストワールはJCに出走していましたが11着に敗れていて、その時のイストワール陣営もそんなのむりむりぃ~みたいな感じでした。レベルが違い過ぎている事をさすがに自覚していたようです。故に本馬も力関係の面が担保されているとは言えないと思います。

 

ですが、本馬は今は成長期にあり力が付き始めているところだそうです。成長の跡はレース振りにも表れています。春までは先行して雪崩れ込むだけだったり、粘り切れずだったりと勝ち切れないレースをしていましたが、秋になってからは先行して一脚使えるようになり、決め脚を繰り出せるようになりました。2連勝もその変化が大きく影響してのものでしょう。この春秋の変化から馬が強くなっているのは本当だと思います。ア共杯は出世レース的な側面のあるレースですが、ここから飛躍するタイプは成長が遅かったり、ケガで出世が遅れたりと言うタイプに限られます。ですので、後にGⅠを勝つア共杯馬のほとんどが3歳馬か4歳馬です。成長が遅れてやってきた本馬もまだ4歳。GⅠを勝った先達と同様に扱う必要はあるかもしれません。さらに大きな成長がこの中間にあれば上昇修正が必用になります。少なくとも6歳で上がり目の乏しかった2着馬ハーツイストワールとと同じ扱いにすべきではないと思います。

 

レース振りが際立っていたとか、目立ったストロングポイントとかはないので評価を大きくする事は出来ないのですが、取捨は慎重にした方が良いかもしれません。後は簡単に馬について確認しておきます。

 

適性面については特にこの条件が強いという話は出ていませんが、2200m~2500mを主戦場として14戦連続この範囲でレースを使っています。有馬記念の距離も大丈夫でしょう。いろいろなコースを万遍無く走っていてどこでも無難な成績を残しています。中山2500mの成績も【0・1・2・0】とハズレなしです。適性面は特に問題が無く、力を出せる条件と考えて良いと思います。

 

ただ、先行脚質の馬なので今回のメンバーからすると展開の恩恵を期待しにくいと思います。恐らくタイトルホルダーが逃げる競馬になりますが、この馬について行った馬は天皇賞(春)でも宝塚記念でもゴール前で何かに差されて着を落としています。まともに付き合わない方が良いとは思うのですが、よーいドンの競馬をしてもGⅠ馬達の決め手に敵わないと思うので本馬は早めに踏んでいくしかないでしょう。勝ちを意識して乗るのは難しい立場に立たされると考えられます。そうなると真っ先に沈むのはこの馬と言う事になって来るのですが・・・

 

ポタジェ

 

管理する友道調教師の談話が週初めにあったのですが、曰く決め手勝負になりやすい府中よりは中山の方が向いているという事でした。大阪杯の勝ち方を見ると確かにそう思います。立ち回りで勝負するタイプなので末脚勝負や決め手勝負は避けた方がいいのでしょう。天皇賞(秋)もそんな負け方です。逃げたパンサラッサはハイペースでしたが、遥か後方を進んでいた馬群の本体はスローの上がりの競馬となっていました。この集団で走っていた馬達は速い上がりの末脚勝負になっています。本馬はスタートで接触していたのでポジショニングを失敗し、後方からの追走となっていました。直線ではほとんどの馬が33.4~6秒の上がりを使っています。ポタの使った33.4秒の末脚も周りと同じ上がりにしかならなかったので抜かしたり抜かれたりという事がほとんどありませんでした。序盤で悪くした位置取りのままゴールした感じです。上がりがかかった方がいい馬なのでこのような上がり勝負では他馬を交わす事が出来ないのです。この馬の良いところを発揮しにくいレースだったので結果は度外視としておくべきでしょう。

 

また、原因は他にもありそうでデキも本当ではなかったようです。叩き良化型の馬なので厩舎側は毎日王冠を使った効果に期待していたそうなのですが調教では思ったほど動ききれていなかったと漏らしていました。2走目の上積みが無かった訳ではないのですが、物足りないという感じは強かったようです。絶好調のデキに持ってこれなかったのも陣営の誤算であったと言えるでしょう。

 

このようにレースでのアヤ、馬の状態と敗因は明確なものがあるので巻き返しの余地の大きな1頭だと思います。

 

それでも、初めて走る2500mの適性には疑問が残ります。2000mを中心に走っていた馬でそれを超える距離は今年のAJC杯宝塚記念の2200mを2度走っただけです。AJC杯の時は1Fぐらいの延長なら大丈夫と言う感触だったそうで、宝塚記念の時は特に何も話していませんでした。このぐらいの距離ならあまりシビアに考える必要はないのだと思います。とは言え、掲示板にも載れていないのですから2200mを攻略したと見る事は出来ません。ドンと来い的な距離適性を持っているとは言えないと思います。今回はさらに300mの延長となりますので条件はさらに悪くなるのではないでしょうか?有馬記念の条件もこの馬の力を出し切れる条件ではないかもしれません。内々でセコく乗って距離を誤魔化すしか好走の可能性はないと思います。ここは絶対的に内目の枠を引く必要があるでしょう。

 

ボッケリーニ

 

昨年はGⅢばかりを走り好走していましたが、今年はGⅡを中心に走り好走しました。また、昨年までは2000mを中心にレースを使われていましたが、今年に入り2000m以上のレースが中心となりました。昨年から今年にかけてとてもわかりやすいステップアップです。そして、遂に前走のJCでGⅠ初出走となりました。実際、この2年で馬は随分と成長を遂げたようで晩成だった兄ラブリーデイと同じくここに来て馬がとても良くなっています。春に目黒記念を勝ったことから厩舎サイドも兄と同じ軌跡をたどって欲しいと勢力的に馬を調整しています。だから前走のJCも2・3着は全然狙えると厩舎も一発を匂わせるほどでした。惜しむらくは大外枠を引いてしまったこと。インバイアスが強烈に発生していた展開では外目を追走しながら脚はたまらず、残り300mのところでパタリと止まってしまいました。人のヤル気と馬が好走するタイミングはなかなか噛み合わないものです。ほろ苦いGⅠデビューとなってしまいました。それだけに見直しの余地がある馬だと思います。

 

オールマイティーな馬でコースを問わず安定した着順で走れています。器用な先行馬なので末脚で勝負するよりも、立ち回りでアドバンテージを取る馬でしょう。それでも府中や中京など直線の長いコースでも重賞勝ちがあり、終いの脚もしっかりと伸ばす事が出来ます。いつも安定した取り口で自身の力を出し切れればそこそこに走れる馬です。普通に良い馬と言う評価をしています。器用さを生かすという意味ではJCよりも有馬記念向きなタイプなので前走よりはこの馬の力を出し切れる条件だと思われます。イン枠を引いて上手く立ち回れればマギれ込む事も出来るかもしれません。

 

私はJCでも期待していたのですがさすがに大外枠で消すことにしました。その時から有馬記念で改めて狙ってみようと思っていました。が、JCは出走馬のレベルが高くないからこの馬でも面白いと思ったのが始まりでした。豪華メンバーが揃った有馬記念ではその前提が崩れるので色気たっぷりに推す事はもう出来ません。条件は良いし、状態も悪くないでしょうから、自分の競馬をした際に3着ぐらいならとは言えますが、枠や展開に恵まれないならやはり厳しくなって来ると思います。ガチンコ勝負は避けるべきですね。デキるだけセコく乗り脚を溜める事で初めて可能性が発生します。その上で、有力馬の不発やアクシデントがあればと言うのがせいぜいではないでしょうか?地力勝負で狙らえる存在ではないと思います。

 

ボルドグフーシュ

 

菊花賞の回顧はジャスティンジャスパレスの方でしたので、こちらでは菊花賞組のデータを紹介しておきます。過去10年の成績は【3・1・2・7】です。これは天皇賞(秋)やJCと比較しても優秀で、勝率(23.1%)、連対率(30.8%)、複勝率(46.2%)のどれもトップの成績、しかもいずれも断トツと言って良い数値が記録されています。有間記念では最も相性が良いのが菊花賞と言う事になります。その最先着馬である本馬には期待が大きくなるところです。

 

同世代のライバルたちが皐月賞、ダービーを目指していた頃からこの馬は菊花賞が良いと言われていて、長距離どんと来い的な評価がされていました。スタミナ無尽蔵みたいに言われる事が多く、厩舎も速くから秋を見据えて馬を作って来ました。そう言う個性を菊花賞ではまざまざと見せつける走りでした。また、この距離でこの馬のレース振りそのものに大きな変化がありました。とにかくズブい馬なので序盤からポジションを取るような事が出来ず、勝負所でマクって動く事も出来ないのでいつも直線だけの競馬をしていました。だから中々勝ち上がれずここまで2勝しか出来ていません。そんな馬が菊花賞では後方5番手で馬群の最後方ぐらいには取り付いています。馬群から遠く離れたところをポツンする事も珍しくない馬でしたからこれは大きな進化です。また、ラスト5Fぐらいから早めに踏んで行き、加速がついて3~4コーナーでグングンとポジションを上げていきました。これも今まで見せた事のない機動力。この馬が4角射程圏の競馬が出来たのはこれが初めてです。やはり3000mの距離で行きっぷりに余裕が出たのでしょう。ステイヤーとしての適性を見せたと言って良いと思います。

 

しかし、走りに変化が現れたのは距離だけではないと思います。なぜなら、菊花賞の1000m通過は58.7のハイペース。いつもの本馬なら最後方ポツンをするようなペースです。それでも出して行けたのは鞍上の手腕によるものだと思います。吉田隼騎手は神戸新聞杯テン乗りでしたがそれでクセをつかめたようで、菊花賞は勝ちを意識した積極的な競馬を心がけたそうです。それまで誰も試みてこなかった競馬を吉田隼騎手が上手く引き出したのだと思います。レース振りが追い込み一辺倒だった馬に若干の自在性が見えてきました。吉田隼騎手失くして菊花賞の好走はなかったかもしれません。ナイスファイトだったと思います。有馬記念でもこういう競馬が出来るならチャンスがあって良いと思います。

 

しかし、その吉田隼人騎手は有馬記念でポタジェに騎乗するため鞍上は福永騎手に変わります。これは鞍上弱化と言わざるを得ません。新味を引き出しクセを熟知した騎手が乗り替わるのは普通にマイナス査定にせざるを得ません。それに、これだけズブい馬を福永騎手が菊花賞の様に動かせるかも微妙だと思います。剛腕タイプの騎手なら良かったと思うのですが、ソフト騎乗な福永騎手にどこまでやれるかはわかりません。また、その福永騎手は有馬記念で【0・0・1・12】の成績。ジャスタウェイシュヴァルグラン、ラッキーライラックと騎乗しての結果は重く受け止めるべきところ。逆に、吉田隼騎手騎手はゴールドアクターで優勝経験のある騎手ですから、やはりこの乗り替わりはボルド陣営にはイタイと思います。なお、有馬ラスト騎乗になるから福永騎手にこの馬を用意したという感じは全然ないようです。乗れるなら乗せてあげたいとい温情采配の方が近いようです。これは共同記者会見でご本人が口にしたことそのものでしょう。有馬記念は乗れるだけでも特別なレースですから。これに関しては、勝負の乗り替わりということではないと思われます。

 

有馬記念菊花賞から500mも短縮されるのでこの馬的には条件は悪化する事になります。決してベストなレースとは言えないでしょう。ただ、有馬記念はタフなレースになる事で有名ですからスタミナタイプのこの馬が走れない条件でもありません。乗り方一つで好走する事は可能なはずです。内枠有利のイン前競馬と言うイメージが先に来る有馬記念ですが追込み馬の活躍は近年目立っていて19年3着ワールドプレミア(⑮⑯⑯⑯)、20年2着サラキア(⑬⑬⑬⑫)と3~4コーナーで捲って来た馬が入着しています。前掛かりな展開によってこういう馬がハマってしまうことも起こっています。そうなればの条件付きではありますが、この馬の出番があってもいいでしょう。アタマは難しいと思いますが、2・3着に差し込んでくる事はあって不思議の無い事です。印を回す分にはいいのではないですか?

 

ラストドラフト

 

目黒記念ではボッケリーニの0.2秒差の5着。ア共杯がブレークアップの0.2秒差の5着。府中2500m重賞で同じ結果になっています。ちなみにこの2戦に挟まれた府中2000mのオクトーバーSでも0.2秒差でした。詰めの甘さが目立っています。今季はこの馬なりに状態が良いようで勝てないまでも僅差の競馬に持ち込めています。ただ、目黒記念もア共杯も上手く乗れば、噛み合えばと言った感じの期待度でした。この程度のメンバーでも強気に構えられる馬ではないようです。グレードの低いレースでこの程度の期待度ですからやはり力は足りていのでしょう。

 

また、中位・後位で控える競馬をしている割に上位上がりを記録することがほとんどありません。長い競走生活の中で最速の上がりを使えたのは昨年のAJC杯(アリストテレスが勝った時)の1度だけ。ラストに脚が使えないのに待機策を延々と続けているのは理解に苦しみます。どんなにタメても他の馬と同じような脚しか使えないので上位に顔を出せるはずがありません。コースや距離に特に問題はありませんけどこのメンバー相手に上位の脚を使うのは不可能と言わざるを得ません。バテ馬た馬を何頭交わせるかというぐらいじゃないでしょうか?道中の通過順と変わらない順位で入線出来れば好走だと思います。

 

有馬記念の予想案はこちら▼

 

 

 

有馬記念(GⅠ) 出走馬カルテ①

 

こんにちは。

 

2回目の中間発表ではトップ20位にも入っていなかったヴェラアズールがJCを勝った途端一気に標を獲得したようで18位まで順位を上げました。これでファン投票(ファン投票7位選出)による出走となります。日本最高賞金レースの勝ち馬なのでこの馬が出走除外になる事なんてないんですが有馬記念の意義に沿う形で出走できる事は大きな意味がありますね。

 

皐月賞馬、ダービー馬、菊花賞馬とクラシックウィナーの参戦が無いのは物足りませんが、大阪杯天皇賞(春)宝塚記念天皇賞(秋)、JCと古馬王道のGⅠ勝ち馬は全て参戦しています。GⅠ馬の数7頭と豪華な顔ぶれ。最近はJCより有馬記念の方がメンバーが集まっているような感じがしませんか?本当に強い馬は凱旋門賞に行きますし、そう言う馬は帰国後はJCより有馬記念の方が調整しやすいですからこうなるのかもしれませんね。有馬記念こそ現役最強を決めるレースにふさわしい気が致します。

 

有馬記念は25日(日)に行われますので前日の24日(土)にカルテの更新を終了いたします。ページが長くなるようなら1ページ10000文字を目安に2枚、3枚と増やしていきます。アイウエオ順で更新していきます。

 

予想案は各ページの最下部にある専用ページにまとめてあります。ブログカードを貼っておきますのでそちらをご覧ください。

 

12/22追記:ページ上段の前説部分は同じものを転用しています。①②の行き来はページにブログカードを貼っておきますのでそちらから移動されて下さい▼

 

アカイイト

 

10番人気で昨年のエリザベス女王杯を勝ってからこの1年GⅠを4戦、前哨戦のGⅡを2戦とハイグレードレースばかり6走して来ました。GⅡ2戦は叩き台名目のレースで叩いて使った春の大阪杯、秋のエリザベス女王杯がメイチの出走でした。牡馬混合のGⅠはさすがに力負けの感ですが、牝馬限定のエ杯は4着とさすがに恰好をつけて来ました。ただ、このエリザベス女王杯こそこの馬の現在地を指し示すものでしょう。昨年と今年のエ杯両方に出走していた馬が本馬を含め3頭いますが、本馬が1着→4着、イズジョーノキセキ5着→10着、テルツェットが12着→11着と着を落とすか昨年と同じぐらいにしか走れていません。今年の方がパフォーマンスが良かったという馬がいないですから、やはり昨年は出走馬のレベルが低かったという事に落ち着いてしまいます。昨年と違って今年は道悪競馬でしたのでその影響を考慮しなくもないですが、本馬に関しては時計がかかる条件の方がより良いタイプですので内容・結果はむしろ良くなってないといけません。また、エ杯時には坂路で自己ベストを記録していることからも5歳になって能力減があったとも考えられません。結局、この馬のしたことは1年かけて昨年の勝利がフロックであった事を証明したに過ぎないのかもしれません。4着と頑張たとは言え、最後方追走で末脚勝負に徹した馬の上がりが3位と言うのは威張れたものではないでしょう。中段に構えていたジェラルディーナの最速上がりぐらいは上回っていないと負けて強しとは言えません。レース内容から完敗と言わざるを得ません。この先は展開を味方にした時以外に着が上がることはないのではないでしょうか?現在のパワーバランスからすると地力を見積もりづらくなりました。

 

ただ、有馬記念に関して言えばエ杯ほどパフォーマンスを低下させる事はないでしょう。昨年のメンバーから離脱したのはクロノジェネシスぐらい。代わりにイクイノックス、ヴェラアズールとこの秋の古馬GⅠ勝ち馬がジェネシスの穴を埋めてくれるでしょう。また、昨年の1・2・5着馬が今年も出走していますから昨年並みぐらいのメンバーレベルは維持されていると思います。各馬には能力や状態などの変化がありますから微調整は必用ですが、レースレベルに極端な変化はないのではないかと思います。本馬は昨年も7着と走れていますから勝ち負けはともかく同じぐらいに走れても不思議ではないと思われます。

 

言うまでもありませんが、大目標は前走だったので一仕事終えている状況にあるのは間違いありません。ただ、叩き3戦目だった昨年の有馬記念や、春のヴィクトリアMでも馬は良い状態をキープ出来ていました。上積みがあるとは言えませんが、前走並みぐらいの状態はキープ出来る馬ですね。力を出せない状況ではないと思います。

 

アリストテレス

 

昨年の6着馬ですがタイム差は1.1秒差も開いていて完敗の内容でした。同歳の牝馬アカイイトに0.1秒先着したにすぎまでん。その昨年の状態は良いものでしたからあれがベストパフォーマンスであったのでしょう。その状態からどこまで馬が良くなっているかで評価を決めて良いと思うのですが、以降は春に目黒記念、秋に京都大賞典とGⅡを2走しただけ。どちらも休み明けの1戦だったのでこれを正当に評価して良いかは難しいですが、昨年2着だった京都大賞典は58kであったのに対し、今年は57.5Kで条件面が良くなっていたのに11着の大敗です。昨年より強くなっていると見る事は出来そうにないですね。

 

厩舎側のムードからすると、出走するグレードに拘りはなく出れるレースに向けて調整して使い、出来るだけ良い状態で走らせようという程度だと思います。欲のない使われ方をしているのが現状だと言えると思います。特に目標のレースも無く、勝ち負けを意識してレースを選んでいる感じはないですね。極端に弱くなったような雰囲気は厩舎から感じられませんが、強くなっている感じもありません。控えて競馬をしても上位上がりを駆使出来ている訳でもないですし、先行しても粘りの無い走りで近2走から良い所は感じられません。叩いて変わり身を見込めるような走りには思えませんでした。3歳秋をピークに4歳以降は尻すぼみな成績で、巷で言う通り早期完結型の馬と言う印象を強くさせていると思います。今は手を出しにくい状況に陥っている感じです。

 

イクイノックス

 

この秋に行われた古馬GⅠで3歳馬が活躍しています。スプリンターズS2着、天皇賞(秋)1着、エリザベス女王杯杯2着、マイルCS1着、チャンピオンズCで2・3着。ダノンベルーガ1頭しか出走のなかったJC以外は全て3着以内に走る好走を果たしています。今年の3歳馬もなかなか強そうです。と言うか、昨年も同様の事が言われていましたからこれが今のスタンダードなのでしょう。秋競馬は3歳馬中心になりがちです。また、こういう風潮が顕著になる前から有馬記念は3歳馬の好走が目立つレースでして過去10年で【4・2・2・16】となっています。勝率でトップ、連対率でトップ、複勝率でトップと有馬記念で最も強いのは3歳馬であると言って差し支えありません。この秋の流れ、これまでのデータと能力・適性以外の諸条件は完璧です。

 

前走はダービー以来のレースでしたが、夏を越した事で馬はパワーアップしているとルメール騎手の口調もなめらかでした。パフォーマンスも圧倒的でこの馬が駆使した上がり32.7秒はちょっと異次元です。これは天皇賞(秋)史上最速の上がりタイムです。古馬でも滅多に使える脚ではないですからそれを3歳馬が記録した意味は大きいでしょう。末脚だけなら現役最強かもしれません。ダービーの2400mは距離が長いと感じていたらしくルメール騎手は後方で脚をタメていましたが、その不安の無い2000mの天皇賞(秋)はポジションを獲りに行く競馬をして中段で流れに乗せています。ダービーの様な競馬では有馬記念は厳しくなりますから、天皇賞(秋)の様なレースを見せてくれたのは良かったと思います。皐月賞は2着だったとはいえ、この馬が唯一上がり最速を記録しなかったレースでもあります。中山コースでは府中の様な競馬が出来ませんから自在性のあるところを見せたのは有馬記念への展望を明るくするでしょう。

 

有馬記念への課題は枠と距離と言う事になります。内枠有利な有馬記念ですから出来るだけ内目の枠を引き当てたいところです。これはくじ運なのでお願い案件では祈るしかありません。距離の適性については微妙なところがどうもあるようです。既にちょっと触れていますが、いいパフォーマンスを期待するなら2000mぐらいが良いという感じは関係者の中にはもともとあったようです。前走時も府中の2000mはベストであるという話が厩舎サイドからも出ています。有馬記念は適距離でない可能性は少なからずありそうです。また、父キタサンブラックは3000m越えのGⅠを3勝もしたステイヤーでしたが、どうも産駒はマイルよりの馬が多いとの現場の声があります。キタサン自信も母父サクラバクシンオーだからと当初は長距離適性に疑問が持たれていました。産駒にはそのバクシンオーの血が隔世的に遺伝しているのでは?なんて言われているようです。ダービーをあの内容で走っているので適性が全くないとは思えないのですが、古馬戦になると本質的な適性が問われてきますので実はダメでしたなんて事があったりするのかも。ただ、現時点ではまだ憶測の域なので有馬記念でそう言う事も分かって来るのではないかと思っています。

 

イズジョーノキセキ

 

この馬もアカイイトと同様でエ杯の成績が昨年より悪くなっています。昨年の5着は恵まれていた印象になってしまいました。ただ、本馬の場合は道悪が割引条件なので必要以上に負けた感もあり、良馬場で少々見直す事が出来ます。また、岩田騎手が競馬を教え込んできた馬だけに本番で騎乗出来なかったのは少なからず影響したはず。代打でルメール騎手を確保出来たのは良かったですが隅々まで熟知した騎手が乗れなかったのはベストではありませんでした。有馬記念はその岩田騎手に手が戻るので戦力UPは間違いありません。

 

馬の状態は5歳の秋になりようやくピークの状態にたどり付いたとのこと。有間記念への出走もエ杯前には決まっていたローテなので前走でガス欠と言う事も考えられません。前走よりは環境が良くなってきているので当日の天気次第で前走以上の走りを期待する事が出来ます。ただ、過去には1800mがベストと話していましたし、強力牡馬を相手に距離適性を大きく超えるレースで入着の期待を持つまでには至りません。ここは地力勝負は避けるべきです。考えられる好走条件は1つだけ。内枠でも引いて、出来るだけセコく乗り、岩田騎手の徹底的なイン突きが奇跡的にハマれば。それで僅かな可能性が残る程度でしょう。ただ、有馬記念は他の騎手もインへの執着が大きくなりますからそれも簡単な事ではないと思いますが。

 

なお、岩手騎手と馬主さんの繋がりは古く、岩田騎手が中央入りする前の地方競馬時代から続いているものです。馬主さんの勝負服は岩田騎手が園田で使っていた勝負服と全く同じデザインだそうです。また、生産者もこの馬の府中牝馬S勝利が初めての重賞初勝利だったそうで、苦節45年とかだそうです。人々の絆を紡ぐ馬という耳聞こえの良いイメージがこの馬にはあります。好走した時には新聞のネタに困る事はありません。

 

ウインマイティー

 

3歳時にはオークス3着などGⅠ実績もあった馬だったので関係者も期待していた1頭だったのですが、以降は長い低迷期に入ってしまいました。その原因は3歳秋の秋華賞でモマれたことがきっかけで馬が臆病になってしまったからだそうです。調整法を四苦八苦してようやく良い方法が見つかり、今は軌道に乗っているタイミングです。だからエ杯も良い状態で挑めていました。それで15着は負け過ぎだったと思います。ただ、このレースは先行総崩れのレースなので気の毒だった感じは多少あります。普通に走れれば京都大賞典3着の様に牡馬に交じってもそこそこやれる力があるので侮れないところは無きにしも。と言いたいところですが、3着とは言え京都大賞典は完敗でしたしその時の1・2着馬が出走している以上はやはり劣勢は免れません。中山2500mはこの馬の適性からすればベストに近い条件なので前走以上の走りは出来るとは思います。しかし、普通にやったら地力は何枚も足りていないのが明白です。好走の条件は有力馬のほとんどにアクシデントが襲うこと以外に考えられません。香港ヴァーズを勝ったマリリンの方が出走していればまだ目も合ったかもしれませんが、ウインの2・3番手では敷居が高いと思われます。

 

ヴェラアズール

 

JCの勝ち時計はコントレイルが勝った前年をちょうど1秒上回っていました。そんな2頭は同期生。この馬が最初から芝を使っていたらコントレイルは一冠も獲れなかったかもしれません。そこまで言うのは言い過ぎでしょうか?すみません、コントレイルはあまり好きじゃないんで。

 

JCは後半3秒近く加速した上がりの競馬。そこそこの時計では駆けましたが、頂上決戦に期待したくなる超高レベルのレースが展開されたとは言えません。また、ペースが流れなかった事で馬群は一塊となり、インポジションを取れていた馬に有利で外目追走で脚を余計に使っていた組は最後まで脚を持続できませんでした。有馬記念にはインで運んで優勝してこのヴェラアズールと外枠から外目追走で脚を失くしたボッケリーニが出走します。後者には見直しの余地が多くあると思われます。

 

こういうレースなので展開の恩恵を受けて勝ったヴェラは過大評価のの対象となるのではないかと思います。しかし、本馬の特徴はスタミナ戦で強いステイヤーと言うのが戦前の評価で、その通りならJCの様な上がりの競馬で結果を出すはずがないのです。ラストの失速が極めて軽微だったレースを後方から差し切った内容はやはり優秀なものです。レースのレベルは低かったと思われますが、それがこの馬の可能性をより大きくしたと言えるでしょう。適性外の展開でも結果を出したことにこの馬の強さを感じざるを得ません。上がりは2着シャフリヤールと同タイムでしたが、ここでも最速上がりは譲っておらず芝に転戦した全6戦で最速上がりを継続中です。瞬発力勝負でも、持続戦でも、消耗戦でもとにかく上がりはいつも1番。万能的な末脚性能は実に素晴らしい。

 

そして、タフなレースになりやすい有間記念はこの馬本来の適性に近くなります。間隔が短い事以外に大きな不安材料はないでしょう。また、内枠有利なレースで有名ですのでそれまでの様に大外一気の競馬では信頼度が上がりませんが、インをこじ開けて差して来たJCの内容はやはりこの馬の可能性を大きくしています。これならインで立ちまわっても勝ち負けに持ち込む事が出来そうです。極端な外目を引かなければ有馬記念も良いところでしょう。

 

状態面もまだ上を目指せると思います。経験が浅い分ノビシロが大きいのでまだまだMAX状態になった感じがありません。だから、当初予定の無かった有馬記念への出走にも踏み切ったのだと思います。また、JCも負担の小さなレースでしたから反動が出るようにも思えません。むしろ力を余して勝った感じもありますから、上積みがまだあっても不思議ないと思います。良い状態でレース当日を迎えられるのではないでしょうか?

 

このように不安材料らしいものはあまり見受けられないのですが、それでも注意すべき点もゼロではありません。

 

まず思い出して欲しいのが今年のJCにはシャフリとデアリングタクトの2頭しかGⅠ馬がおらず、頂上決戦とは名ばかりなレベルが高くない1戦だったはずです。この馬のキャリアで3番人気だった点もそれを象徴していたと言えるでしょう。JCの勝ち方に大きな意味はありましたが、相手が弱かったから出来た芸当とも言えます。凱旋門賞帰りの春の主役とは未対戦ですし、天皇賞(秋)菊花賞などから強力な3歳馬も参戦して来ますのでJCよりレベルは数段も高くなります。力関係に関して未知数な点はまだ多いと考えておくべきではないでしょうか?

 

また、鞍上がムーア騎手から松山騎手に変わるのも戦力ダウンの評価をする必要があるでしょう。腕っぷしの強いムーア騎手だからあそこまで追えたという認識は持っておくべきだと思います。松山騎手に限らず、コロナ禍で外国人騎手が来日出来ないなか台頭した騎手はこの秋活躍出来ませんでした。外国人騎手との力差をまざまざと見せつけられたような気がしています。松山騎手にも奮起して欲しいとは思うのですが、ムーア騎手と同じ事は出来ないかもしれません。

 

エフフォーリア

 

飛ぶ鳥を落とす勢いで頂点まで駆け上がった昨年の年度代表馬でしたが、失速する勢いもこれまた凄いものでした。今年の春は大阪杯が9着、宝塚記念が6着。エフフォの1強体制が続くと考えた人は多かったと思いますのでこんな事態は考えもしなかったことでしょう。私もその一人です。春の成績を受けてまずは疲れをしっかりと取り除き、完全にリセットすることとなりました。秋は無理せず有馬記念一本で調整されています。競馬の世の常ではありますが、その間に新しいヒーローが続々と誕生し存在感が薄くなってしまったGⅠ3勝馬。この馬の取捨は最大の懸案事項です。

 

春2戦の状況を確認しますと共通していたのは1週前の段階では関係者のトーンが良くなく、最終調整を終えてから急にトーンアップしていた点ですね。宝塚記念に至ってはレース当週にブリンカーを使用する始末。それで馬が良くなったと言われてしまうと、これだけの馬ですからそうなのかもしれないなぁと思ってしまいます。今となっては急仕上げ、帳尻合わせの小手先感があったなぁと思います。

 

この馬に関しては、横山武騎手が共同記者会見で馬の状態を点数で表現する事が話題になりました。それを一つ一つ拾っていくと、皐月賞・ダービーが100点、天皇賞(秋)が120点、有馬記念が70点ぐらいであったそうです。昨年の有馬記念時は状態が上がっていなかったようですね、そんな事は言っていませんでしたけど。今年に入るとこの点数評価は無くなったのですが、大阪杯時には「有馬記念よりは良い」と言う事を話していましたが、その有馬記念の点数が低かったのでアテにしていいコメントではなかったですね。すっかり騙されました。大阪杯を叩いて宝塚記念も上向きではあったのですが、どこまで上げられていたかは疑わしいところでした。

 

横山武騎手の評価が低くなった要因は馬がズブくなった事にあるそうです。確かにレースを見ると明らかに動けていないですね。エフフォほどの実績馬なら勝負所の3~4コーナーでグーンと加速して前を飲み込むぐらいの勢いがないといけません。ですが、そう言う感じは全くなくて直線に入って交わした馬はバテた馬だけと言うのが実情です。終いの脚も使えなくなっています。馬がこういう状況にあるなら中位、後位で控えて乗っていたらダメだと思います。フロントポジションから積極的な競馬をしないと馬券になるのは厳しいでしょう。横山武騎手はそう言う騎乗をさせたら上手いので過去のイメージにとらわれず、是非そう言う騎乗をして頂きたいと思います。

 

春の振り返りをするとネガティブな話しか出来ないので、ここからは可能性の話をしていきます。体調面の他に関西圏への輸送競馬が良くなかったかもしれません。今度は関東圏のレースで輸送がありませんから、そう言う心配はなくなります。皐月賞有馬記念とGⅠ2勝の中山コースなら走らないといけない条件です。また、横山武騎手が言うようにズブくなっているというのなら2500mの距離もちょうど良いと思います。有馬記念はリピートしやすいレースなのでこのレースでの激走に注意がいるでしょう。ただ、結局のところ馬にやる気が戻っているかどうかが肝心なところです。調教で馬の調子を整える事は可能だと思いますが、馬自身にその気がないと話になりません。この点の見極めは難しいですね。でも、この点に関しては横山武騎手が全部話してくれると思います。彼は辛口評論家なのでダメな時のニュアンスは分かりやすいです。1週前調教の評価、最終追い切り後の評価、そして枠番抽選会でも機会があるかもしれません。時々のコメントだけを抽出するのではなく、一連のコメントの変化・推移で判断すれば取捨はしやすいと思います。

 

ジェラルディーナ

 

エリザベス女王杯は前後半の差が0.1秒しかなかったほぼイーブンなペースです。理論上では前でも後ろでも互角にわたりあえる展開です。しかし、重馬場だったので先行馬の方が先に疲れてしまい壊滅状態となりました。結局、今年も追込み決着の競馬となり、これで3年間行われた阪神競馬場でのエリザベス女王杯は全部同じ結果となりました。このコースでは道中10番手以降を走っていた馬に有利だったということでしょう(馬券になった9頭中7頭がこれ)。また、勝ったのは全て8枠の馬でその内の2頭が大外枠でした。これが阪神競馬場で行われたエリザベス女王杯の結果論です。こうも結果が同じだと何度やってもこうなるのだと思います。きっと、私が生きている間に阪神競馬場でエ杯が行われる事はないと思うのですが、その時は誰か伝えて下さい「8枠の馬を買え!」と。後世に伝えておきたいデータだと思います。

 

さて、ジェラルディーナですが大外枠からスタートを決めて中段後ろぐらいの11番手を追走していきます。普通の馬場ならロスの大きい立ち回りですが、開催が進んでいた事や、当日の道悪も手伝い外差し競馬となった事が良かったのでしょう。スムーズに追いだして直線力強く抜け出しました。厩舎としてはベストパフォーマンスを発揮するならキレイな馬場で走らせたいと話していましたからタフな馬場状況を良く走り切ったと思います。厩舎の話からすれば良馬場だったらもっと凄い走りを披露していたのかな?と思うとまだ上のありそうな感じが致します。

 

エ杯時に話した事ですが、牝馬限定のGⅢではなく意識的に牡馬混合重賞を使われてきました。いずれGⅠをとの期待から目先のタイトルではなく、経験値を積む事を目的に牡馬の強いところにぶつけて来た経緯があります。今回のような骨っぽい相手と戦うのは初めてですが、これなら馬が臆することはないと思います。性別を理由に評価を下げる事は出来ません。

 

距離に関してはこれまでの経緯を整理していくと一番良いのは2000mぐらいで、距離を短くするよりは長い方が良いという感じでした。2200mはギリギリだったのかな?とも思うのですが、それも2連勝中ですからそんな事もないのでしょう。関係者の思惑以上に距離適性が長い可能性を感じます。2500mでどんとこい的な距離適性ではなさそうですが、オールカマーの様にインをセコく回って来れば距離は誤魔化せるかもしれません。やれない事はないとしておきます。

 

今年はここまで6戦を消化していますが全て重賞競走です。うち最速上がりが5度、2位上がりが1度と常に上位の末脚を繰り出せています。この中にはGⅠエリザベス女王杯や牡馬混合GⅡの京都記念オールカマーと含まれています。これだけグレードの高いレースで常に上位上がりを記録してくるこの馬の脚力は素晴らしいと思います。上がり最速キャラとは言え、キレ味だけで台頭してきたタイプではなく、良い脚を長く使える持続的な末脚です。有馬記念には適している末脚と言えるでしょう。クリスチャン騎手ならこの馬の末脚を存分に生かしてくれると思います。

 

課題はレース間隔が短くなる事だと思います。1度レースに使うとテンションが上がりやすくなるところがあったのでここまで間隔を十分にとって使われています。オールカマーからエ杯までは中6週ありましたが、今回は中5週と若干短くなっています。たった1週短いだけですがメイチ勝負の後ですからそれで大丈夫かはわかりません。有馬記念もエ杯を勝ったから使ってくるようなもので、当初から予定されていたローテションではありません。輸送に問題はないですが、この間隔でテンションを上げる事無く関東までつれて来れるかが重要になりそうです。

 

 

有馬記念の予想案はこちら▼

 

朝日杯フューチュリティステークス(GⅠ) 出走馬カルテ②

こんにちは。

 

昨年優勝したドウデュースがダービー馬になりましたがこれは93年に優勝したナリタブライアン以来の事ですね。この時、ブライアンの鞍上にいたのは南井調教師でしたが来年2月で引退を迎えるそうです。これはちょっと驚きました。93年と言えば、先日調教師試験に合格し騎手を引退することになった福永騎手がまだ騎手ですらなかった時の話です。時間が経つのは早いですね。

 

さて、昨年はここまでに長い距離を走っていた距離短縮組が優勢でそう言う馬が中心になるだろうと話してその通りとなりました。1着ドウデュースがアイビーS(府中1800m)1着から、3着ダノンスコーピオンが萩S(阪神1800m)1着から好走しました。昨年はこういうメンバーが結構い多くいたのでだからダービー馬も生まれたのでしょう。ですが、今年の登録メンバーにそう言う馬はほとんどいません。1800m以上のレースから臨戦してくる馬は2頭いますが、どちらも大きく負けた馬なので主力になる事はないでしょう。

 

距離維持組、距離延長組が中心のメンバー構成です。こういうレースは難しいと思います。少なくともこのメンバーからダービー馬が生まれる事はないでしょう。今年は次世代の名マイラーを探す1戦になると思います。

 

朝日杯FSは18日(日)に行われますので前日の17日(土)にカルテの更新を終了いたします。ページが長くなるようなら1ページ10000文字を目安に2枚、3枚と増やしていきます。更新順は前走毎にまとめて簡単なレース分析を添えて、各馬にフォーカスしていこうと思います。

 

予想案は各ページの最下部にある専用ページにまとめてあります。ブログカードを貼っておきますのでそちらをご覧ください。

 

12/15追記:ページ上段の前説部分は同じものを転用しています。①②の行き来はページにブログカードを貼っておきますのでそちらから移動されて下さい▼

 

◆抽選対象

 

※登録していたシンリョクカが阪神JFの抽選を突破して出走の運びになった。シンリョが連闘してこなければ下記の抽選対象は全馬出走可能。

 

エンファサイズ

 

阪神マイルの新馬戦を勝ち上がる。前掛かりなレースで序盤からペースが速い。その流れについて行けず、中段の後ろで促しながらの追走となったが結果的にこれが勝因となる。レースの動きだしもラスト4Fからで最後の1Fの失速が大きくなっている。先行馬はみな潰れ待機策の馬に有利な展開となる。レースの中間ぐらいになると本馬もレースの流れに乗れるようになっていたので、レースが失速していくタイミングでトップスピードに到達した感じ。だから、視覚的には力強く抜け出していて強い馬のように感じるが展開ドンピシャでハマった結果でもある。2・3着馬が人気上位だったのだがその分速いペースの流れにある程度付き合っていて、最後に伸びを欠いた。それもこの馬の勝ちっぷりが際立ってしまった要因。強い馬と勝負付けを済まして来たということではないので注意が必要。ただ、レースの流れが速かっただけに勝ち時計1:34.5はとても優秀な走破タイム。近年は1分33秒台の決着になる朝日杯FSだが、一昔前(サトノアレスが勝ったぐらいまで)ならこの走破タイムで勝ち負け出来た。新馬戦からこういう時計で走れてしまうフィジカル面は評価しておいた方が良い。2戦目なら変わり身もあり、行きっぷりも良くなるだろう。勝って同条件も有利なのでGⅠでやれる可能性もゼロにはならないと思う。

 

キョウエイブリッサ

 

新馬戦は府中のダ1400m。6番人気で勝ったがこれがなかなか強かった。後半に1.0秒も失速するハイペを5番手先行で36.9秒の最速上がりを記録して差し切った。37.0秒が2・3位上がりだったがこれらは最後方付近を走っていた馬でレースの流れに乗れていなかった馬達。先行集団に混じって競馬をしていた馬がこの上がりを記録するのは秀逸である。キツい流れを先行して末脚も上等となると評価は自然と高くなる。ので、次戦もそこそこ走った。芝戦の府中1400mを使い3着。この時の1・2着はここ出走のバグラダス、ティニア。道中は1・2着馬と同じような位置取りで競馬をしており、ヨーイドンの末脚勝負で追い負けた。上位2頭のキレ味に屈した形だが、前走ダートの馬が33.8秒の脚を使えれば悪くないと思う。芝は十分こなせていたと見て良い。芝、砂問わず末脚をしっかりと繰り出せるようだし、芝も2戦目なのでさらにキレる脚を使えることもあると思う。今回は直接対決で先着された馬がおり、相手も格段に強くなるので厳しいと思うが、条件戦やGⅢぐらいなら無視の出来ない存在にはなれる馬。

 

スズカダブル

 

2歳戦開幕の6月に中京・府中(いずれもマイル)を2戦して勝ち上がる。ここで間隔を空け9月に復帰する。このタイミングで距離を1800mに延長し2戦。2戦とも逃げたが粘れずに3着、5着とパフォーマンスを低下させている。スローや標準的なペースで逃げているのだが、最後に決め脚を使う事が出来ない。力負けの感が強い。もしくは距離が長いか。発馬が安定しているので安定した先行力があり、気性も安定している。ここまで不利なく立ち回れていて現状の力は出し切れているだろう。1勝クラスでは目立ったパフォーマンスを発揮出来ていないし、先着された馬との力差も大きく感じた。距離短縮で多少粘りを増すこともあるが、持続性能が特別高い訳でもないので大幅な戦力UPが望める馬ではないと思われる。

 

ティニア

 

中京1400mの新馬戦で勝ち上がる。ゲートを滑らかに出て一番良いスタートを切る。先行争いには加わらず控えて中段待機。鞍上の意のままに動いていた感じで印象は良い。追い出してからの反応も良く、ヨレることなく伸びて差し切り勝ち。無難に勝ち上がった。2走目は府中の1400m戦と新馬戦と似たような条件を使ってきた。ここでは出負け気味のスタートとなりポジション取りに失敗してしまう。勝ったのが好スタートを決めたバグラダスだったのでこのロスが最後まで響いた感じ。ハロンタイムの速かった序盤にリカバリングしてしまったので末脚に影響が出たと思う。追い比べで若干劣ってしまった。相手はロス無く立ち回れていたのでその分敵わなかった。バグラとは再戦になるが力差はないであろう。ここまでは控える競馬でラストに上がりの速い末脚で差して来る競馬。2戦とも上がりは最速で不発の無さそうないい反応をしている。折り合いはついており、持続的に流れる1400mでもしっかりと脚を溜める事が出来ている。距離は持ちそうなレースをしているのでマイルはこなせそうに思う。まだまだ良くなりそうな馬体、走りをしているので完成途上という感じがする。本当に良くなるのはこれからだと思うが、それだけに前走からの上積みも大きくなるだろう。相手が強くなるのでここは試金石だが、今後よい所がありそうなので覚えておきたい1頭。

 

ニシノベストワン

 

9月から使い出して3戦目で勝ち上がる。ここは中1週で同条件のレースとなる。不良馬場だった新馬戦は直線で一気に失速していった。馬場の適性か仕上げの問題でこうなったのだろう。2走目からちゃんと走れている。いつもメンバー中1・2のスタートを決めるがそこから控えて中段待機。差し脚で勝負している。近2走はインをついて好走を続けている。ただ、勝った前走は4コーナーで大きな不利がありそれで影響を受けた1・2番人気が大きく外に膨れてしまうレースだった。また、このアクシデントでインがぽっかりと開き、この馬は持ったままで番手を前進させる事が出来た。ラスト1Fだけ追ったら勝てたという内容でラッキーな展開に助けられた面が強い。時計的価値は薄く評価出来るものではないし、これだけ恵まれていたらもっと圧勝しても良いぐらい。強い馬ならそうなっていただろう。2走目に阪神JF出走のハウピアに完敗。この内容からもより強い馬はいくらでもいるなと感じる。評価する材料や、警戒を高めるようなストロングポイントは見当たらなかった。

 

レイベリング

 

府中1600mを新馬勝ち。JC週のレースで来日していたギュイヨン騎手の導きで大外一気の快勝。五分以上の良いスタートだったが、先行争いには加わらず中段後ろの10番手付近を追走。スムーズな追走で折り合いピタリ。先頭とは差が開いていたが勝負所で急かして動く事はなく、しかし手応え抜群に最終コーナーを回って来る。追い出しもラスト2Fまで待ってから。ここまでは余裕たっぷりの横綱相撲である。レースは3F通過36.9秒のスローで逃げ馬が2着になる前残りの展開であった。ラスト3Fも最後に0.2秒失速しただけのほぼ加速ラップ。レース上がりも34.0秒と速く完全な上がりの競馬である。2着馬は完璧に乗っていて普通はこれが勝つ競馬であっただろう。しかし、大外に持ち出した本馬の末脚は次元が違う強さでグングン加速して簡単にこれを交わしてしまった。ラスト100mぐらいで先頭に立つと最後は流す感じで3馬身半差の勝利。新馬レベルでは力が違う勝ち方だった。上がりは当然最速であったが33.1秒の末脚はペースを考慮してもキレ過ぎだった印象。追えば追うほど伸びる感じがあって末脚だけなら上のクラスで通用するだろう。気性的な問題点は見られなかったし、レースセンスも感じられ、鞍上の支持にも従えており、操縦性も高い。相手関係や、阪神への輸送等不安材料はあるが、これが年明けのシンザン記念であったり、1勝クラスのレースだったら紙面上には重い印が結構あつまるはず。取捨は慎重にした方が良いが、新馬戦の内容からは無印にする理由は見つからない。

 

ロードラディウス【回避】

 

朝日杯FSの予想案はこちら▼

朝日杯フューチュリティステークス(GⅠ) 出走馬カルテ①

こんにちは。

 

昨年優勝したドウデュースがダービー馬になりましたがこれは93年に優勝したナリタブライアン以来の事ですね。この時、ブライアンの鞍上にいたのは南井調教師でしたが来年2月で引退を迎えるそうです。これはちょっと驚きました。93年と言えば、先日調教師試験に合格し騎手を引退することになった福永騎手がまだ騎手ですらなかった時の話です。時間が経つのは早いですね。

 

さて、昨年はここまでに長い距離を走っていた距離短縮組が優勢でそう言う馬が中心になるだろうと話してその通りとなりました。1着ドウデュースがアイビーS(府中1800m)1着から、3着ダノンスコーピオンが萩S(阪神1800m)1着から好走しました。昨年はこういうメンバーが結構い多くいたのでだからダービー馬も生まれたのでしょう。ですが、今年の登録メンバーにそう言う馬はほとんどいません。1800m以上のレースから臨戦してくる馬は2頭いますが、どちらも大きく負けた馬なので主力になる事はないでしょう。

 

距離維持組、距離延長組が中心のメンバー構成です。こういうレースは難しいと思います。少なくともこのメンバーからダービー馬が生まれる事はないでしょう。今年は次世代の名マイラーを探す1戦になると思います。

 

朝日杯FSは18日(日)に行われますので前日の17日(土)にカルテの更新を終了いたします。ページが長くなるようなら1ページ10000文字を目安に2枚、3枚と増やしていきます。更新順は前走毎にまとめて簡単なレース分析を添えて、各馬にフォーカスしていこうと思います。

 

予想案は各ページの最下部にある専用ページにまとめてあります。ブログカードを貼っておきますのでそちらをご覧ください。

 

12/15追記:ページ上段の前説部分は同じものを転用しています。①②の行き来はページにブログカードを貼っておきますのでそちらから移動されて下さい▼

 

◆サウジRC(GⅢ)

 

OP特別だったいちょうSが重賞化され、現レース名になって今年で9年目であった。昨年までの8年の勝ち馬でその後JRAのGⅠを勝った馬を列挙する。

 

14年クラリティスカイ 1:33.5
NHKマイルC

 

17年ダノンプレミアム 1:33.0
朝日杯FS

 

18年グランアレグリア 1:34.0
桜花賞などGⅠ6勝

 

19年サリオス 1:32.7
朝日杯FS

 

50%の確立で勝ち馬がGⅠ馬になっている。これだけでも特筆すべきことだが、いずれも速い時計を記録して優勝している点で共通している。1分33秒台かそれ以上の速い時計で勝っている。アレグリアだけ0.1秒遅いが許容範囲であろう。また、これら4頭以外の年は時計がかかっていて1分33秒台が記録された年はない。この時計でサウジRCを優勝していればGⅠ級の指標と考えて間違いないだろう。今年の勝ち時計は1:33.4。優勝したドルチェモアは有力なGⅠ候補と言えそうだ。

 

このレースは2着グラニットが大逃げしたレースで1000m通過は57.8秒。レースの上がりは35.8で時計がかかっていた。しかし、最速上がりはドルチェの33.4秒と2秒以上も速く、これは上がりの競馬である事を物語るものだ。後続集団の先頭が1000mを通過したのは60.0秒前後なのでやはり2秒以上遅れて追走していたことになり辻褄は合う。グラニットとその他が別のレースをしていたことになる。

 

また、後続集団の先頭にいたドルチェが勝ち、その後ろを走っていた馬が3着となっていて、後続集団の中ではイッタイッタの前残り現象が起きている。これも上がりの競馬だった所以であろう。そう言う見方をするとレース内容は淡泊なものであった。

 

出走していないのであまり触れないが1番人気4着のノッキングポイントは最後方からよく詰めていたということになり、展開負けの要素が強い。サウジRCの敗戦を重く見過ぎてノッキングの次走の評価を下げ過ぎない方が良いだろう。

 

1着:ドルチェモア

新馬勝ちが洋芝の稍重だったので時計的な勝ちは未知数だが、レース振りに減点材料は無い。

・この馬の新馬戦は桜花賞2着ウォーターナビレラが勝った新馬戦と同開催同条件で同じもの。内容分析からは誤差がなく、ナビレラと同等の先行力を期待していいのかもしれない。

 

上記がサウジRC出走時のカルテ。

 

サウジRCではゲートをポンと出てこれだけで後続に1・2馬身の差をつけてしまった。主張していたグラニットに行かせて離れた2番手を追走する。上述したようにグラニットは別物のレースをしていたので、グラニットの存在を無視してみるとこの馬の強さが良く分かる。ドルチェが実質的な逃げ馬の役割を負っていたことになるのだが、直線に入ると後ろに構えていた3着馬を見る見る引き離す。最終的に3着馬との差は3馬身3/4差も開いていた。このパフォーマンスだけでも十分凄く、逃げて最速上がりで勝ったようなもの。グラニットを交わしたのはおまけに過ぎない。これで2戦2勝となったが、発馬良く序盤の立ち回りに苦労しない点が強味である。無理せず好位のポジショニングが可能なので後半に力を温存する事が出来る。折り合いも非常に良く、走りに無駄が無いので省エネ運航で道中を回ってこれる。だから後半の脚も力強くなっている。騎手の指示にも従順でGOサインを出してからの反応もとても良い。常に完璧な立ち回で取りこぼしは少なそうな印象。初戦は逃げたが自在性があるのでどんな競馬でも出来ると厩舎は言う。速い時計にも対応したことから現状は不安材料が無い。ウォーターナビレラ並みの評価は間違っていなかったということ。ここも有力な勝ち負け候補になるだろう。

 

2着:グラニット

・騎手の指示にもちゃんと反応しているので操縦性は悪くない。レースではちゃんと動いてくれそうだ。

・勝ちあがった前走からは地力を保証出来るものはない。現状では並の評価で妥当であると思う。

・決め手に乏しい。末脚の性能がガラっと変わるようなら好走もあるが、失速率の大きい消耗戦で好走して来たクチでキレる脚が使えるようには見えない。

 

上記がサウジRC出走時のカルテ。

 

スタートは良かったがそれでもダッシュ力ではドルチェモアに劣り、促しながら主張してハナへ。ドルチェが控えてくれたことで楽に単騎逃げに持ち込んだが、以降も緩めず飛ばして行き34.8-57.8秒の速いペースで飛ばして行く。後続がついて来なかったので大逃げとなった。直線に向いても10馬身開いていたのでさすがに2着に粘りこめた。最初から最後まで全力疾走して結果を出した馬に文句はない。後続のナメ過ぎ感も手伝ったが、このペースで上がり35.8秒ならかなりの粘りであっぱれな内容である。新潟2歳Sで決めて負けした馬だし、こういう乗り方はベストであったろう。弱点を補った鞍上の好判断である。ただ、奇をてらった大逃げはトライアルならではのもので、GⅠでは各馬もメイチ乗りでくるから後続の動き出しは早い。アルテミスSほどのセーフティを確保するのは難しいと思う。また、単騎で行けたからの結果でもあるはずで同型との兼ね合いも発生しそう。ただ、同じ戦法をGⅠで採るかはまだ分からない。要はヨーイドンの競馬を回避出来れば良いだけなので、脚を使い切る競馬さえしていればハナにこだわるような馬ではない。そう言う競馬になれば残り目ナシとはまだ言い切れない。消耗戦で強い所があるので道悪や上がりかかる展開になった時には注意がいる。

 

京王杯2歳S(GⅡ)

 

府中競馬場はこのレースの前週の天皇賞(秋)週からBコースに変わっていた。その天皇賞(秋)で大逃げのパンサラッサが2着に粘っていたようにインコースには若干のアドバンテージがあった模様。京王杯2歳Sは土曜で天皇賞(秋)の翌開催だったので馬場の恩恵はあったのだろうと思う。実際、1・2番手だった馬が2・3着、インポケ4番手の馬が優勝と極端なイン前決着になっていた。10・11番人気が1・2着した理由はこれしか思いつかない。ただ時計的な価値は高い。1:20.9の勝ち時計は過去10年では2番目に速く、1分20秒台で決着しているのもこの2回しかない。これだけの時計を先行馬が記録しているのだから評価しなければいけないところはある。フロックと決めつけて良いものかは難しい。

 

1着:オオバンブルマイ

新馬戦(中京1400m)はタイトな展開で先行崩れのレース。先行して抜け出した内容は評価出来る。

・走りがワンペースなので瞬発力が求められた場合に決め手を発揮出来るかは未知数。

・馬券の中心にするだけの根拠には乏しいが、悪い馬ではないので馬券候補に数えて良い馬ではある。

 

上記が京王杯2歳Sのカルテ。

 

府中1400mは新馬勝ちした中京1400mと似たような形状をしているので、京王杯2歳Sも同じようなレース振りで駆ける事が出来た。新馬戦でも時計価値の高いレースであったが、この勝利でタイトな持続戦に強い印象は高まった。走りは相変わらずワンペースでギアの上がる感じは弱いが、スタートセンス、レースセンスはかなり高い。折り合いも非常に良く、ポジションが定まってからの収まりもスムーズで好感度は高い。1Fの延長で馬が戸惑う事は無いと思う。前走のペース・位置取りで34.2秒の末脚を使えていれば脚は十分。終いまで脚を伸ばせた点は地力の高さを表している。インバイアスありきの好走だったことも否定はしないが、この馬の走りは純粋に評価を高く出来ると思う。デビュー前から調教でしっかりと動けていたようで厩舎サイドの評価は悪くない。京王杯2歳Sで依頼を貰った横山武騎手も新馬戦の内容からやれそうな手応えを感じとり結構期待していたみたいだ。そして遂にルメール騎手が依頼を受けた。アカイイト、ヨカヨカ、アネゴハダと地味な馬ばかりの馬主さんだが、その印象やヘンテコな名前を理由にナメない方が良さそうだ。1Fの延長をこなせれば2歳戦なら入着してきても不思議はない。

 

2着:フロムダスク

新馬戦はスロー競馬のイッタイッタの結果で内容的に良い評価は与えずらい。2戦目は騎手による人災で度外視。強いのか?弱いのか?実態が解らないままのレースとなる。

 

上記が京王杯2歳S出走時のカルテ。

 

出遅れ、雑なリカバリーと騎手が原因で負けた2走目のカンナSだったが、松岡騎手から戸崎騎手に乗り替わって見事な巻き返しであった。京王杯2歳Sは五分の発馬から押して主張していく。最初の1Fを追い通しでハナに立っているので、これで距離延長の1400mを良く粘れたと思う。行くとしぶといと言うことだろうか?また、1F通過した時点からゴールまでびっしりと3着馬に馬体を併せられていて雁行状態だったが結局最後まで譲らなかった。かなり図太い勝負根性をしている。新馬戦でも3コーナーでマクられたが先頭を奪い返して勝利していて、並んでから強い所があるようだ。抜かせない個性は認識しておいた方が良いだろう。今回も同型が何頭かいるが、朝日杯FSの鞍上は武豊騎手なのであまり競り込まれる事はなさそう。これまでより楽に逃げる事も出来るかもしれない。距離延長は試練となるが、ハナを取れれば粘り腰を発揮するだろうし、ペースを落としていけるならこなせる可能性はあると思われる。強気に推せる馬ではないが、展開次第でと言う評価にしておきたい。なお、後続馬はこの馬を目標とするだろうが、馬体を併せる事無く一気に抜いてしまった方が良い。並んでしまうと交わすのに手間取り余計な力を使うことになる。そうなるとさらに後方にいた馬の餌食になりかねない。

 

12着:ミシェラドラータ

・器用な脚も使えて、操縦性も高く、地力はありそうに思う。

・未勝利を勝ち上がるまでの2戦のパフォーマンスは良かったが、以降はパフォーマンスを低下させている。上積みらしいものが見られない。

・控えて直線勝負の競馬をしたが前の馬をほとんど交わせず、4コーナーでの番手=着順と言う内容。重賞で通用する脚は無い。

 

上記が京王杯2歳S出走時のカルテ。

 

サウジRC7着後に中3週で京王杯2歳Sを使って12着。サウジRCが3F通過34.8秒のレースで本馬の上がりは33.9。京王杯2歳Sは34.6秒通過で上がりは33.9秒。距離は違えど使える脚はいつも同じ。ペースが前後したところで上位馬との上がり差は相対的な変化しか生まないだろう。今回も控える競馬をしたがサウジRC同様にバテた馬を交わしただけで、追い比べで勝った馬は1頭もいなかった。脚も無いのに控えるなんて無意味だ。清水久厩舎は出れる重賞があれば能力、適性を無視して使ってくる厩舎なので今回もエントリーしたのだろうがさすがに図々しい。通用する根拠は無いが、大敗するであろう根拠ならいくらでもある。この馬の状況はそんな感じ。とにかく地力が全く足りていない。

 

デイリー杯2歳S(GⅡ)

 

前年の覇者セリフォスを軸に馬場差、時計差などから時計面の分析をする。

 

21年マイルCS 1:32.6(グランアレグリア)
22年マイルCS 1:32.5(セリフォス)

 

上記GⅠのこの2年に時計面の誤差はない。少し単純で恐縮だが馬場差無しと言う前提にさせてもらる。次にデイリー杯2歳Sの勝ち時計を比較する。

 

21年セリフォス 1:35.1
22年オールパルフェ 1:33.2

 

時計にして2秒近く速い。このレースは1分34秒台なら標準で1分35秒でもそれほど悪くない。今年の勝ち時計はかなり速いと見て良い。過去10年では2位タイの時計である。馬場差が無かったことからも今年の走破タイムは価値が高いということになる。

 

また、例年はラスト3Fの瞬発力勝負になるレースだが、オールパルフェはラスト4Fから動き出し後傾持続戦に持ち込んでいた。長い脚を使い、且つ瞬発性能も求められたレベルの高い1戦である。さらに、2着のダノンタッチダウンの末脚も特筆できる。昨年のセリフォスは最速上がり33.4秒であったのに対し、タッチダウンは33.1秒の最速上がりを記録した。ペースを考えるとタッチダウンの末脚はセリフォスのそれより何枚も上の評価が可能である。

 

1着:オールパルフェ

・逃げ馬だがロケットスタートで飛び出していくタイプではなく、二の脚を利かせて主張してハナに立つ感じ。2着、1着と好走しているがスロー逃げで展開勝ち見たいなところはある。

・リズム良く、折り合いはついているが前進気勢はやや強めに出ている。現状は逃げた方が良さの出るタイプに見える。

 

上記がデイリー杯2歳S出走時のカルテ。

 

ここまでの好走は楽な単騎逃げであったが、デイリー杯2歳Sは3着馬に半馬身差でついて来られて圧を常にかけられていた。それでも本馬は平然と自分のペースを淡々と刻んでいて後続のプレッシャーに怯まずに走りぬいた。また、最終コーナーまで馬体を併せていた3着馬を直線で突き放し、一端は3馬身も抜け出したのは優秀だと思う。タイトな展開を演出しながら最後にこれだけの脚が残っていたのかと感心してしまう。瞬発的な性能も備えているようだ。スロー逃げで新馬、未勝利を好走してきたがデイリー杯2歳Sでは持続ラップで地力の問われる展開を自ら作り出している。逃げ切りの内容が良くなった。2戦目までは前進気勢の強そうなところが気になったがそう言うこともレース中にはなかった。使いながら折り合いを学んでいる感じがある。記録した勝ち時計は昨年のドウデュースより速く、本番でも通用する好時計。GⅠでもやれて良い下地が3戦目でしっかりと確認出来たのは良かった。ここまでの全戦が逃げだが厩舎の話では控えても競馬は出来るそう。何が何でもハナと言うタイプではなく、二の脚の速さでハナに立っているタイプなのでレースの流れに併せた競馬が出来そうな感じは確かにある。同型や先行馬は結構いるが自分のペースで競馬が出来れば大きく崩れないと思われる。3戦全てでマイル戦を使っているようにこの距離に陣営は拘りを持っている。距離適性は高く見て良い。

 

2着:ダノンタッチダウン

・ダノンザキッドの下になる。取引額2億6400万円の高額馬。ジャスタウェイからロードカナロアに変わっている。

新馬戦は行きっぷりは良くなく、気合をつけながら。それでも好位をキープ出来ず、徐々に下がり置かれ気味。コーナリングも上手いという感じはなかったのでまだまだ完成途上という走りだった。

・レース中ただ1頭末脚を33秒台まで加速して前残りの展開を差し切る。末脚の鋭さに素質馬の片鱗。

新馬戦は素質だけで勝ったという感じ。その状態は6分、7分と言う出来でまだまだ未完成な馬。それだけに変わり身は大きそう。

 

上記がデイリー杯2歳S出走時のカルテ。

 

上がりのかかる展開で33秒台を出したのは本馬だけ。それだけでも凄いが、33.1秒という数字的なインパクトはもっと凄い。この馬の末脚は次元の違うものだった。脚力がかなり抜けていて、この部分だけならGⅠ級の評価で良いだろう。ただ、今はその末脚や能力だけに頼ったレースをしている。デイリー杯2歳S新馬戦と同じように出たなりで後方に下げた競馬。馬自身に前進気勢は無いが、川田騎手もポジション取りへの執着が感じられない。オールパルフェがラスト4Fでペースを吊り上げたところでついていけなくなり手が動いていた。気性的なズブさは目立つ。厩舎の方針でテンションを上げないように調整されているので、レースでも出していかないのかもしれない。また、勝負所の反応も鈍く、コーナーでの機動力はほとんど見受けられない。番手も上がらなかったので、直線に入ったら最後方であった。レース巧者と言うイメージはまるで湧かない。2戦を消化したが、いずれも直線だけの競馬なので末脚以外に褒められる点が無い。デイリー杯2歳Sの2着も勝ち馬がラスト1Fで0.8秒も失速していたから詰められたというのはあり、展開の恩恵は受けていたと言える。それで差し切れなかったのはやはり位置取りとか、乗り方の問題になる。それでも結果を出しているのでこれ以上は言わないが、GⅠで同じ事をされるのは馬券を買う方としては怖い。もう少し何とかならないだろうか?

 

◆その他

 

ウメムスビ

新馬戦は勝った馬が強く、2戦目で完勝と勝ちあがるまでの走りは悪くなかった。が、減量騎手器用の馬なので、定量となったOP特別で4着と敗れている。対等の勝負だと力差が出ている感じ。

・発馬が良いので大体逃げポジション。スピードの違いで行けるので序盤の立ち回りは良い印象。ペースコントロールも出来ているので激流を生むようなタイプではない。

 

上記が小倉2歳S出走時のカルテ。

 

小倉2歳Sでは7着。相変わらずスタートが速い。これまでは好発を決めて先行する競馬だったが、8枠だったので内の速い馬に行かせて中段から控える競馬を試みた。道中でインに潜り直線では最内をついて一端は先頭と言う競馬、新人の角田くんは素晴らしい騎乗。しかし、その角田くんの減量で勝ち上がったタイプ。前走のフェニックス賞同様に同斤の分だけ伸び負けてしまう。この辺りはやはり地力で劣っているのだろう。また、未勝利勝ち以降は思うように時計を詰めれていない。時計の出る馬場よりは時計を要するコンディションの方が向いている可能性は高いかも。前走で重馬場のカンナ(中山1200m)をおっさり勝ったのも偶然ではない気がする。カンナSでもいつも通りの好スタート。今回は先行2番手から運ぶ。逃げ馬にプレッシャーかけながらの追走だった。テン3F33.8秒の通過だったが、32.5秒の通過タイムで勝ち上がった本馬には楽な流れだ。余裕たっぷりに抜け出して完勝した。重馬場で1:09.4なら速い方。他馬が苦しむ分有利になった感じはある。また、決め脚では劣るので先行に戻した乗り方も良かっただろう。条件・展開が上手いこと噛み合った感じ。どんな条件でも強いという風には見えないので相手関係や馬場などの制約を今後受けるのではないか?GⅠで通用する目途は過去走にはない。距離に関しても、ラストの失速が大きいタイプなので2Fも延長して良いとは思えない。条件ハマりだと思われた前走から有利になる条件は無いので厳しい評価をせざる得ない。

 

コーパスクリスティ

 

新潟1400m→秋明菊賞(阪神1400)を連勝中の無敗馬。新馬戦では行きたがる素振りがあったが2戦目ではそう言う所は見られなかった。この2戦は1400m戦にしてはペースが遅く、この馬自身控える競馬で直線の末脚勝負だった。この距離で緩急あるレースをしているのでマイルに延長しても問題無く対応すると思う。新馬戦はノーステッキで勝ったし、前走は出遅れ最後方から前残りのレースを差し切っている。強さの片鱗が随所に見られる。しかし、前走に関しては5頭立てのレースで時計的な価値が薄いため、GⅠで通用する根拠は見いだせない。ペースの割に繰り出している脚も速くない。この馬より良い脚を使う馬は多いだろうなと言う感じがする。無敗であることを最大限に評価しても試金石以上の言葉は出てこない。馬が若い印象もあるのでここは経験を積む場になるのではないだろうか?

 

ドンデンガエシ

 

2歳戦がスタートした初日の府中1400m戦でデビューしたが4着。2戦目は間を空けて8月下旬の札幌1500mで勝ち上がる。体重は10k増えていて成長は促されていた。中2週で中山マイルのOP特別アスター賞を連勝する。五分のスタートから二の脚で先行してポジションを取るのが現状のスタイル。前走は逃げ切り勝ちだった。ただ、ここまでのパフォーマンスはこじんまりしている。新馬戦の府中で決め手負けした格好で、以降は決め手の問われないコースで好走している流れになっている。実際、それほど優秀な末脚は持っていない印象。2走目は札幌の稍重だったので仕方ないが、前走は高速馬場になる秋の中山開幕日だったのでもう少し末脚を伸ばせていても良いのではないかと思った。36.7-61.3のペースはかなり遅いものだしそれで上がり34.5秒は平凡に感じる。アスター賞を逃げ切り勝ちした馬が過去に2頭いるがそれらは33秒台の末脚で上がれていた。これらと比較すると相対的な評価は下がる。また、トビの小さい馬なので府中や関西の外回りコースで評価は上がらないと思う。現状は小回り、内回りのコースで器用さが求められる条件を立ち回りで勝負している感が強い。決め脚比べで劣る可能性は高いのではないだろうか?

 

バグラダス

・福島ダート1150mを新馬勝ち。逃げ切りだったが何頭かの雁行状態で行っていたので、消耗しながらのしんどいレースを勝ち切れた点で印象は良い。

・芝スタートでダッシュはついていたので芝はこなすのかもしれないが、切れ味が必要な新潟2歳Sで優遇できる材料はさすがに見いだせない。

 

上記が新潟2歳S出走時のカルテ。

 

ダ1150mで勝ち上がった馬が芝のマイル重賞新潟2歳Sで4着。条件がこれだけ変わったのに良く走ったと思う。サウジRCで大逃げ2着のグラニットを制して逃げ切りを図った。決め手上位の3頭には屈したがそれ以外には影も踏ませていない。相手関係には恵まれていたし、スローの単騎逃げなど恵まれた面は多分にあったが、初芝でこの走りは悪くない。芝に変わってもスタートは決まるし、序盤のスピードも十分だった。戦前は厩舎もお試し感覚であったがこれだけやれれば芝でやっていく可能性が開けた。2ケ月半間隔をあけて府中の芝1400m戦を早速勝ち上がる。発馬が安定しておりポジション争いは相変わらず上手く、今回も好位を確保。ただ、前とは離れた4番手だったので控えた競馬の差しポジションという感じ。直線を向いても追い出しを遅らせるなどして良い末脚を引き出した。こういう形で結果を出せた事は良かったと思う。新潟2歳Sである程度は距離をこなせたが、溜める競馬が成功したことでさらにやれる目途が立ったと思う。ここまでの3戦は砂芝、コース、距離とどれも違う条件。常に結果を出していて、脚質にも幅がある。どんな競馬でも出来る万能的な馬と言う感じになって来た。気性的な問題点も無く、鞍上の思うままに動かせる点は2歳戦では武器になる。地味な印象も強いが馬はとても優秀である。相手が強化されるのでGⅠはチャンレジ案件だが、GⅢなら印は常に必要な馬だと思う。

 

朝日杯FSの予想案はこちら▼

阪神ジュベナイルフィリーズ(GⅠ) 出走馬カルテ②

 

こんにちは。

 

函館2歳S新潟2歳S札幌2歳Sと夏の2歳ステークスの勝ち馬がほとんど出走していて、これに牝馬限定のアルテミスSファンタジーSの勝ち馬を含めると重賞ウィナーは5頭にも上ります。2歳重賞は全部で11鞍ありますから半数近くを牝馬が勝ったという事になります。牝馬の方が強い世代と言うのは近年良くありますが今年の牝馬もなかなか強そうです。ともあれ、今年の2歳女王決定戦は豪華な顔ぶれとなりました。出走登録も大盛況でして最終のエントリーは29頭。うち、抽選対象は14頭(抽選で3頭まで出走可能)。現時点ではあれもいいな、これもいいなと思っていて混戦になりそうだなと思っています。

 

また、毎年恒例のことですが阪神JFの当日は香港国際競走が行われるので騎手の乗り替わりが多数発生します。有力騎手が国内で不在になりますのでどの馬にどの騎手が乗るのかも重要な予想のファクターになって来ます。ちなみに、リバティアイランドに騎乗する川田騎手は日本に居残るようですが、現在リーディングトップでこれを何とか死守したいと考えているそうです。有力騎手がいないところで固め打ちを狙っています。この週末は有力馬が集まるでしょうからGⅠ以外にも気を配っておく方がいいかもしれませんね。

 

阪神JFは11日(日)に行われますので前日の10日(日)にカルテの更新を終了いたします。ページが長くなるようなら1ページ10000文字を目安に2枚、3枚と増やしていきます。更新順は前走毎にまとめて簡単なレース分析を添えて、各馬にフォーカスしていこうと思います。

 

予想案は各ページの最下部にある専用ページにまとめてあります。ブログカードを貼っておきますのでそちらをご覧ください。

 

12/8追記:ページ上段の前説部分は同じものを転用しています。①②の行き来はページにブログカードを貼っておきますのでそちらから移動されて下さい▼

◆その他の2勝馬

 

イティネラートル

 

4戦2勝で勝ち鞍はいずれも逃げ切りだった。どちらもマイペースに落としてレース後半は上がりの競馬に持ち込んでの勝利。内容的に評価を高くするようなものではない。特に前走のりんどう賞(阪神1400)は3F通過36.0秒とマイル戦でも遅い部類に入る。ラスト2F目に10.9秒と言う速いラップを踏めたように完全なスロー競馬だった。2着馬が2番手を進んでいたのだが、この程度のペースで捉えられないようでは相手も弱いということ。地力を保証できるようなものはない。デビューの時から体が小さく400k台の小柄な牝馬なので走りにも余裕がなく奥深さが感じられない。ハナを取れなかったり、自分のペースで行けないとモロさもあるようで3戦目のすずらん賞(札幌1200)では直線で力尽き失速。招待馬の道営馬に1.5秒も離されている。この馬の取捨をする上に同型の有無は重要になるだろう。りんどう賞と同じ条件だったファンタジーSの勝ち馬も逃げ馬だったし、GⅠでこの馬の都合の良い逃げを打つのは難しいだろう。道中の圧も強まるので厳しいになりそうに思う。

 

ウンブライル

 

6月の府中1400mで新馬勝ちし、10月のもみじS(阪神1400)を勝ち2戦2勝。3馬身半、3馬身といずれも着差を大きくして勝ち上がっている。未だ鞭を使われた事が無く、ノーステッキで連勝している点は強調点。半年前の新馬戦の2~5着馬は未だ勝ち上がっていないので相手に恵まれていたのかもと思ったが、ファンタジーSより0.2秒遅いだけだったもみじSの結果で十分担保が取れる。重賞級の馬と見て良さそう。ただ、競馬振りはまだ粗削り。スタートが下手でここまでまともに発馬を決めた事が無い。また、全体的にズブく出遅れた前走は常に追い通しだった。それでも前との差が中々詰まらず、交わせたのは先行集団が止まってから。新馬戦の時もそんな感じの勝ち方でギアがトップに入るまでしばらくかかる。こんな競馬でも圧勝の連続になるのだから素質が高いという事になってくる。こういう競馬振りから1400mベストの馬と言う気はしない。マイルへの延長は歓迎だろうけど、それでも短いかもなぁと思う。追ってバテず、エンジンがかかればグングン伸びる走りからすると2000mぐらい合っても良さそう。いずれにしても距離延長は問題ないと思う。また、美浦の馬だが前走で既に阪神への輸送をクリア済み。距離、輸送と不安材料にならないので相手関係以外に問題点はない。スタートをちゃんと出ること、勝負所の動きに対応出来ることなど課題は多いが勝ち負けになる1頭になりそう。

 

サンティーテソーロ

 

福島1800mの新馬戦を2番手から運んで3着。未勝利とサフラン賞はどちらも中山のマイル戦で逃げて2連勝、上がりはどちらも最速だった。逃げた事で勝っているのか?距離を短縮して勝っているのか?両方噛み合ってのものだと思うが、強いて言えば後者だと思う。新馬戦は中距離で行きたがる素振りを見せていてコントロールがちょっと難しいように見えた。距離短縮でペースが速くなった事でそう言う面は見られなくなっている。気性的なマイラーといったところだろう。逃げるようになったのは2戦目からスタートが抜群に速くなったことによる。発馬で1・2馬身のリードが獲れてしまうので先行争いを演じることも無くなった。サフラン賞はロケットスタートで2・3馬身は飛び出しており、それで場内が湧いたほど。これだけ楽にハナを獲れると無駄な力を使わずに回ってこれるので後半にも力がちゃんと残る。ペースも標準的だし、競合する馬がいなければ大体勝てそうな感じ。レースを使うことで折り合い面の進化も確認出来る。サフラン賞は未勝利より1秒近くもタイムを落として逃げれているのがその証左で流して楽勝した感じ。レース振りにも余裕が生まれている。未勝利勝ちが5馬身、サフラン賞が3馬身と着差は圧倒的。ただ、今回の課題はいくつかある。今回は同型が多いこと。この馬ほどのスタートセンスを持つ馬は他にいないのでハナには行けると思うが玉砕覚悟タイプがいればその限りではない。近2走程の楽な競馬が出来るかは分からない。次に馬体重。434kでデビューしたが2戦目で12kも減らしてしまい、3走目でも微減して前走は420k。そう言う馬の初輸送は怖いし、気性に影響しないか気になるところ。2ケ月振りのレースになるので体をどれだけ増やせるかが重要になると思う。権利があるのでGⅠ出走も悪くはないが、1月のフェアリーSだったらかなり有力だったろうにと思う。

 

ミスヨコハマ

・先行して未勝利を脱出した馬だが控える競馬が板に付いてきた。

・内々をロスなく立ち回れており器用にインを突く競馬を続けている。ただ、インをセコク回っている割には終いの脚が少々弱く、外から来る馬にいつも差されてしまう。

 

上記が京成杯2歳S出走時のカルテ。

 

見て驚いたが、ここまでの6走は全て460kの馬体重。体重の変動が全くなく、こんな馬は見たことがない。面白い馬である。京王杯2歳Sインコースの馬が前残りしたレースで、本馬は控えすぎた(⑬⑬)。器用な馬であったので3枠5番の絶好枠を生かして中位ぐらいにつけていれば一発あったのではないか?もったいない競馬だったと思う。ただ、収穫はあった。馬群を切り分けながら差して来ていて器用さを再確認出来たし、2位上がりだった33.6秒の末脚もペースや位置取りを考慮すれば悪くなく、脚力の高い所も見せてくれた。使いながらレース振りに幅が出ているので本馬の印象は悪くならない。次走で赤松賞を勝ち上がったのも納得。ペースも遅く、同条件のアルテミスSより3秒も勝ち時計が遅いので評価は微妙だが、2番手の積極先は京王杯2歳Sの敗因が活かされていると思う。3位上がりを駆使して押し切っていて、脚のあるところを再び見せた。この馬なりの収穫は大きい。府中戦に対応出来ているのも印象を良くする。赤松賞の2着・3着はデビューの頃から評価・評判のかなり高い馬であったのでこれらに競り勝っているのも価値がある。これらに挟まれながら凌いだ内容は数字以上に価値があると思う。ただ、既に6走を済ませた臨戦過多な馬で中1週、中2週の競馬となるのでローテはさすがに厳しいし、上積みはほぼ期待出来ないだろう。美浦の馬なので輸送競馬でもある。今回はかなりハードな状況だ。ここは経験を積む場となりそうな感じだと思う。春に戻ってくる頃に改めて期待したい。

 

ムーンプローブ

 

新馬戦は出負けして負けたが、2戦目からは抜群のスタートを決めて阪神マイルを2連勝中。ここは勝って同条件。前走はファンタジーS3着馬を退けての勝利で悪くない。発馬が安定した近2走は楽に先行ポジションを確保して高いレースセンスを発揮している。折り合い面に問題もなく、レースが加速する勝負所でも持ったままでスムーズに回って来る。直線に入る頃にはいつでも抜け出せるような体制を確実に取れてい立ち回りの上手さが目につく。全体的な印象は良い。反面、追ってからの伸び脚は物足りなさを感じる。いずれも早めに抜け出しセーフティリードをとるが、ゴール前になるとその貯金はほぼ使い果たしてしまう。半馬身、クビ差と辛勝の連続でゴール前はいつも詰められている。先行馬なので上位上がりを記録していないのは普通の事だが、重賞級の先行馬なら条件戦でも最速上がりを普通に記録するものだ。この程度の脚力ではGⅠだと迫力不足になってくる。時計的には合格点だが決め手勝負になると分が悪くなるだろう。いつもの様な競馬をしてどこまで通用するだろうか?

 

モリアーナ

 

2戦2勝の無敗馬。2戦とも上がり最速。前走のコスモス賞は同じ条件だった札幌2歳Sの勝ち時計が全くの同タイム。この時の2着馬もドゥアイズで札幌2歳Sと同じなのたが、ドゥーラが0.1秒差であったのに対し本馬は0.3秒差と着差が若干大きい。ドゥーラは開催後半のレースであり、レースにも余裕が合ったので全くの同レベルとは出来ないが、こちらも相応に評価しておく必要がある。ただ、コスモス賞新馬戦よりパフォーマンスが低下していたと思う。コーナリングは上手くなかったし、抜け出してからの失速率も大きく追って伸びているような感じはない。小回りコース、距離延長がプラスに働いた様には思えず、適性外のレースを能力の高さで押し切ったという感じが強い。このレースをGⅠの根拠とするのは少々危険。が、コスモス賞より強さが光った新馬戦は府中のマイル戦だった。阪神JFに近い条件で良いパフォーマンスを発揮していた点で今回は有力視する事が出来る。ペースが遅いのでラップ的な中身や勝ち時計から評価する事は出来ないが、上がり33.0秒のキレ味は極上の部類に入るだろう。このレースは2歳戦の開幕週である。この時期にこれだけキレるのだから素質は感じざるを得ない。札幌の洋芝で末が鈍ったのもこれで納得出来そうだ。GⅠにより近い条件でこれだけ走れれば評価を高くしてよさそうだ。総じて先行センスが高く、二の脚もしっかりとしているのでポジショニングに苦労しない。折り合いに不安も見られないし、追ってからの反応も府中では鋭敏であった。GⅠでも通用しそうな下地は十分に感じられる。

 

◆抽選突破組

 

エイムインライフ

 

阪神マイルの新馬戦を勝ち上がる。スローの上がりの競馬を3番手から最速上がりを繰り出している。3F通過36.8の低速ペースを33.4秒の末脚なら脚は使える方だろう。ただ、勝負所でレースが急加速するのだがこの際に他よりアクションが大きくなっていて対応出来ていない感じはあった。新馬戦で馬が動ききれていないのかもしれないと思ったが、2戦目を見ると同じ挙動になっており、勝負所で置かれてしまうクセがあるようだ。1勝クラス(白菊賞)でこれなのでGⅠの勝負所ではさらに置かれてしまうかもしれない。また、スローで地力の問われない新馬戦を勝っていたが、道中のペースが2秒近く速くなった白菊賞ではパフォーマンスを落として負けている。触れたように勝負所の反応も鈍いし、直線で脚を伸ばす余力も無いまま負けた。最後はフラフラしながら流れ込んだだけ。相手関係やレースレベルが上がったことで順当に負けた感じで、地力の無さを露呈したように感じた。道中に不利も無かったので普通に力負けとだと思われる。特別な事情や理由でもあれば考慮するが、何もないなら低評価で良いと思う。

 

シンリョクカ

 

抽選に漏れたら牡馬を相手にしてでもやるつもりだったようだ。朝日杯FSにも登録している。GⅠへの意識が相当強いのだろう。それだけに新馬勝ちの内容が素晴らしい。府中のマイル戦で雨降り馬場の稍重だったが33.4秒の末脚で差し切った。36.7-62.9秒通過の低速戦なので時計的な価値は薄いが、走りっぷりにはスケール感があった。3.2秒も後傾した上がりの競馬なので前にいる馬が有利な展開。直線を向いた時点ではやや差が開いていて、先頭を行くのは抜けた評価の1番人気だった2着馬。普通はこの馬が勝つ競馬。最後に0.1秒失速しただけのほぼ加速ラップの展開で2着馬も止まってはいない。これを差し切ったのだから実にエライ。しかも、最後は流した感じの3馬身半差。モノが違っていた印象。関係者がその気になるのも分かる。立ち回りや折り合いに気になるところも無かったし、追い出してからの反応も鋭敏。追えば追うほど伸びる感じで末脚も力強い。クラスが上がってもこの馬の末脚は通用するのではないかと思える。正直、厄介なのが抽選を突破したなと思った。1戦1勝馬なのでGⅠだと荷が重いのは確かだが、これがトライアルやGⅢとからなら重い印が集まる馬だと思う。取捨は慎重にした方が良さそうで人気がないなら狙ってみるのも面白い。

 

ハウピア

 

9月の中京芝1200mでデビューして4着だった。1200m戦にしてはペースが遅く、マイル戦並みの超スロー。最後に速い上がりを求められた上がりの競馬。本馬も33.8秒の脚は使ったが他馬も速く、差を詰め切れないまま入線する。レースレベルは低いもので、この時の勝ち馬が朝日杯FS出走の3頭に完敗の内容だった。相手もそう強い馬ではなく、これを交わせなかったのは能力に疑問符が付く。ただ、当時は仕上げ途上だったのかもしれない。序盤の行きっぷりも悪くこのペースでも追い通しの競馬で流れに乗りきれていなかった。ので、これを叩いた事で2戦目で変わり身を見せ阪神1400m戦を勝ち上がった。新馬戦より1秒近く速いペースで流れに乗れていて2番手を追走した。行きっぷりが格段に良くなっている。直線は後続の追撃を受け3頭併せの我慢比べに。そのまま飲み込まれそうな感じもあったが、坂を登ってグイっと伸びたのはこの馬だった。両隣を牡馬に挟まれて差し返した勝負根性は牝馬らしからぬもの。408kと小柄な事も踏まえると気持ちの面は強い馬のように思う。稍重で記録した走破時計は1:21.6。良馬場だったファンタジーSや、人気を集めるだろうウンブライルのもみじSと比べても優秀で馬場差を考慮するとこれら以上の価値もありそうな気がする。低レベル戦だった新馬戦に見るべきものは無かったが、未勝利の内容は評価材料が結構あって馬鹿に出来ない。ただ、やっぱり相手なりの評価が妥当の様に思う。スピード性能に高い感じは受けないし、前走も一杯々々の辛勝なので余力たっぷりに勝ち上がっている訳ではない。強敵相手に評価を上げるほどの材料はないだろう。紛れて入着ぐらいの可能性がせいぜいだと思う。

 

 

阪神JFの予想案はこちら▼

 

阪神ジュベナイルフィリーズ(GⅠ) 出走馬カルテ②

 

こんにちは。

 

函館2歳S新潟2歳S札幌2歳Sと夏の2歳ステークスの勝ち馬がほとんど出走していて、これに牝馬限定のアルテミスSファンタジーSの勝ち馬を含めると重賞ウィナーは5頭にも上ります。2歳重賞は全部で11鞍ありますから半数近くを牝馬が勝ったという事になります。牝馬の方が強い世代と言うのは近年良くありますが今年の牝馬もなかなか強そうです。ともあれ、今年の2歳女王決定戦は豪華な顔ぶれとなりました。出走登録も大盛況でして最終のエントリーは29頭。うち、抽選対象は14頭(抽選で3頭まで出走可能)。現時点ではあれもいいな、これもいいなと思っていて混戦になりそうだなと思っています。

 

また、毎年恒例のことですが阪神JFの当日は香港国際競走が行われるので騎手の乗り替わりが多数発生します。有力騎手が国内で不在になりますのでどの馬にどの騎手が乗るのかも重要な予想のファクターになって来ます。ちなみに、リバティアイランドに騎乗する川田騎手は日本に居残るようですが、現在リーディングトップでこれを何とか死守したいと考えているそうです。有力騎手がいないところで固め打ちを狙っています。この週末は有力馬が集まるでしょうからGⅠ以外にも気を配っておく方がいいかもしれませんね。

 

阪神JFは11日(日)に行われますので前日の10日(日)にカルテの更新を終了いたします。ページが長くなるようなら1ページ10000文字を目安に2枚、3枚と増やしていきます。更新順は前走毎にまとめて簡単なレース分析を添えて、各馬にフォーカスしていこうと思います。

 

予想案は各ページの最下部にある専用ページにまとめてあります。ブログカードを貼っておきますのでそちらをご覧ください。

 

新潟2歳S(GⅢ)

 

新潟2歳Sから直行した馬の過去10年の成績は【0・1・0・3】。8月の重賞なので直行する馬自体が少ないが成績は芳しくない。2着になっているのは13年のハープスター。とりあえずGⅠ級であることが望ましいのかもしれない。

 

これと言った素質馬の参戦がなくメンバー的にレベルが低そうだという指摘はしていたがレース内容もその通りになったようだ。過去10年の良馬場のレースと比べると断トツに遅い。優秀な時とは2秒は遅いし、標準的なものよりも1秒は遅い。だからレースでの通過タイムも各所で過去最低となっている。このペースなら上がりが速くならないといけないが、今年は32秒台に突入した馬がいない。例えば、21年セリフォスは今年より2秒以上も速い1000m通過タイムだったが32.8秒の末脚を使っていた。今年の最速上がりキタウィングの33.0秒は物足りなく感じる。もう少し上がりを高速化するべきであったのではないか?勝ち時計1:35.9は同条件の新馬戦で衝撃を伝えたリバティアイランドの走破時計より0.1秒遅いもの。GⅢでこれはないだろうと思う。やはりレース内容から評価を高めるのは難しい。レースの見た目は鮮やかだったが過去やその他と比べると劣る点が目につくものだった。

 

1着:キタウイング

新馬戦も後方からとなり、未勝利勝ちのレースも発馬は五分だったが出たなりで追走したら最後方だった。生来的に前進気勢の弱い馬なのであろう。

・追えば追うほど伸びる馬で使える脚は長い。稍重でも33.4秒とキレている。ここまでの2戦も脚力上位の内容で末脚の確実性は高い。

 

上記が新潟2歳S出走時のカルテ。

 

新潟2歳Sは出遅れていつものように最後方追走。勝てたから良いが、もうクセになっているので早めに改善する必要がある。賞金不足の心配がなくなったので今後は強い相手としか戦えなくなるので、スタート段階でロスを抱えているようでは取りこぼしが必ず多くなる。前走後に改善されていて欲しい。ただ、それだけにこの馬の末脚は余計に際立っている。例年にも増してスローな競馬になり、基本的にはポジションゲーム。位置取りが前の方が良いという展開。ラスト3Fには10秒台も含まれた究極的な瞬発力勝負。能力が抜けていないと最後方から差し切れる展開ではない。開催後半で外差し馬場になっている状況でインを切り裂いたのも評価を高く出来る。3着馬が次走でOP特別をあっさりと勝っているように負かした相手は弱くない。出走馬の質や、レース内容を過去と比べた時に物足りなさはあったが、厩舎の評価も小さくなくこれからよくなる馬とのことだった。3ケ月で馬の成長があればパフォーマンスを高める事は可能なので過小に見積もることもまだ出来ない。

 

札幌2歳S(GⅢ)

 

札幌2歳Sから直行した馬の過去10年の成績は【1・0・0・1】。このレースも直線暮れのGⅠに来る馬は少ない。データ的な説得力は弱い。勝ったのは13年の勝ち馬だったレッドリヴェール 。奇しくも新潟2歳Sの例外だったハープスターと同じ年。この13年だけ特別だったのかもしれない。なお、20年の1・2着ソダシ、ユーバーレーベンは間にアルテミスSを挟み本番でも1・2着している。

 

まず、近5年分の勝ちタイムを並べる。

 

18年ニシノデイジー 1:50.1
19年ブラックホーク 1:50.4
20年ソダシ 1:48.2
21年ジオグリフ 1:49.1
22年ドゥーラ 1:50.0

 

単純に1分40秒台に突入していればGⅠ馬、そうでなければ普通の強い馬と言う感じ。1分50秒台の壁が大きいレースで00年にジャングルポケットが始めて1分49秒台を記録して以降まだ9頭しかこの領域に到達していない。ジャンポケ、ソダシ、ジオの他に08年ロジユニヴァースもクラシックを勝っており1分40秒台走破はGⅠ級の目安となる。今年のドゥーラはあと0.1秒だけ速く走っておくべきだったかもしれない。たった0.1秒なので簡単に決めつけるものでもないのだが、たった0.2秒でも勝ち切れなかったニシノデイジーの例もあり結構厳格な指標のような気がする。また、近年は高速化の兆しがあったのでそれに逆行した結果となりこれで良かったのだろうか?

 

1着:ドゥーラ

・4着だった新馬戦は馬がもっさりしていて馬が動ききれていなかったが、中1週で使った次走でガラリ一変。発馬、立ち回り、追い出してからの反応と格段に良化していた。

新馬戦から時計を3秒も縮めた未勝利は勝ち時計が1:49.1。ジオグリフが勝った昨年の札幌2歳Sと全くの同タイム。

・タイトな展開を2番手から上がり最速で突き抜けた内容はとても濃い。強い馬と言う事で良いと思う。

 

上記が札幌2歳S出走時のカルテ。

 

札幌2歳Sを1番人気で優勝。勝ち時計は未勝利勝ちのタイムより1秒近くも遅いのでこの馬にしてみれば楽な競馬だった。4コーナーでは他馬が仕掛けるところでも急かさずに前との差をキープする程度で追い出しを待っている。2着馬を可愛がりながら完勝し、最後方付近から上がり最速で上がってきた3着馬と同タイム上がりを記録。余裕たっぷりにこういう内容で走ってしまうのだから力が違っている。常識的な話をすれば、1分49秒台と言う時計は札幌2歳Sで記録出来るかどうかという好時計である。それを未勝利戦で記録出来ているのがエライところ。そもそもの地力が高いのだろう。札幌2歳Sはそれを証明したに過ぎないのかもしれない。余力たっぷりの内容なのでパフォーマンスはさらに上げられると思う。課題は距離短縮の適性と決め手の問われる外回りコースでの適性。参考レースが無いので判断は難しいが克服出来そうな下地はある。上がりは3戦全戦で最速を記録しており、ラストに脚を使う能力はしっかりとしていて脚力も高い。また、未勝利時は上がりの競馬にも対応しているので瞬発力もそれなりにありそうだ。近2走は先行して最速上がりを記録しているので、阪神の外回りでもフロントポジションから早めに押し切りを図れれば面白い。イメージとしては2年前のソダシの様な競馬になりそうだ。阪神JFは2歳牝馬には非常にタフなレースなので上がりはそれほど速くならない。13年2着ハープスターと20年2着ユーバーレーベンの使った33.6秒が最速であり、33秒台を記録したのは過去10年で馬券になった30頭中7頭に過ぎない。キレ味ばかりに捕らわれる必要はそもそもないのだ。34秒前半の脚でも十分に目途が立つレースである。粗削りだった馬が徐々にレース振りを向上させている点も良く、馬はさらに強くなっているように思う。若い鞍上がGⅠの雰囲気に飲まれ無ければやれて良さそう。

 

2着:ドゥアイズ

・器用さがあり、操縦性は良さそうで立ち回りが上手い。現状はそれで勝負している感じが強い。

・五分の追い比べになると末脚の性能で少々劣る。ガチンコ勝負の追い比べは避けた方が良さそう。

 

上記が札幌2歳S出走時のカルテ。

 

札幌2歳S2着。勝ち馬は新馬戦で負かした馬だったが逆転を許してしまった。8枠で外目を回るロス。コーナリングでポジションが下がってしまった。それを挽回するために向こう正面で早めの進出と勝負所を前にして余計な脚を使ってしまった点は考慮すべき。これで2着なら悪くない。しかし、勝ったドゥーラも外目の枠で本馬より1頭だけ内にいたに過ぎず、勝ち馬も枠の制約を受けたレースであった。直線ではこちらの方が内を回れていただけにやっぱり完敗と言うことで良い。また、決め手不足な所がある点は前走時のカルテで指摘したがその特徴のままに負けたとも言える。新馬、OP特別、GⅢとステップアップしながらの臨戦だが上がりの順位は2位→3位→3位と徐々に末脚の優位性は下がりつつある。これは脚力の問題なのでレースグレードを下げないとこの弱点は解消されないだろう。GⅠでは上がり3位にも入れないのではないか?現状は立ち回りの上手さで勝負している感が強いので直線の長い外回りのワンターンは適鞍とは思えない。仮に上手くいったとしても同キャラのドゥーラもいるからやはり劣勢は否めないだろう。なお、前走時には雨が降ったり、時計がかかる馬場は良いとの話だった。転向次第で評価を修正出来る点は覚えておきたい。

 

アルテミスS(GⅢ)

 

今年の勝ち時計は1:33.8の好時計。しかし、主だった勝ち馬の勝ち時計を列挙してみると

 

16年リスグラシュー(阪神JF2着) 1:35.5
17年ラッキーライラック(阪神JF1着) 1:34.9
20年ソダシ(阪神JF1着)     1:34.9
21年サークルオブライフ(阪神JF1着) 1:34.0

 

どれも歴史に名を残したがそれほど速い時計で勝っていた訳ではなかった。時計の速さはあまり求められていないようだ。逆に今年の様な1分33秒台で勝った12年コレクターアイテムは4着、18年シェーングランツも4着。どちらも本番で馬券圏内を絶妙に外している。このレースを好時計で勝つ事が本番に直結しているとは言い難い。勝ち時計ではなくレースの中身、発揮したパフォーマンスで力を測らなければならない。

 

とは言え、好時計が記録されているだけあってレースの中身は当然悪くない。1000m通過は上記GⅠ馬が勝った時よりも速く、流れはタイトだ。それでいてレース上がり33.8秒でラストも速い脚が求められていた。この内容で走った上位馬が弱かったという事は考えられない。特に上位2頭は出遅れたり、不利があったりと力通りに走っていない可能性が高い。結果や、見た目の印象をそのまま評価することに異論を挟む余地はないと考えている。

 

1着:ラヴェル

・姉(ナミュール)も2歳時はそうだったが、妹の新馬戦も出遅れはひどかった。

・レース後半は加速ラップとなっていて先行有利のレース内容を後方から差し切ってしまった。長く脚を使っていて脚力の高さは印象に残る。

コーナリングや力んだ走りなど粗削りな面が目立った。新馬戦は素質だけで勝ってしまった感じ。

・強い事は間違いなさそうなので変わり身を期待したい。

 

上記がアルテミスS出走時のカルテ。

 

新馬戦よりはマシになっていたがアルテミスSも出遅れた。前との差を詰めに行く事はせず馬なり追走で後方2番手から。追走面に関しては新馬戦よりも良くなっていた。リラックスして走れていて折り合いもスムーズ。一度使ったことでガスが抜けていたように思う。レース上がりが高速化して他の馬も速かったためこの馬だけが弾けたようにはならなかったが最後方付近から良く差し切った。パフォーマンスとしては十分高く、普通に強い。ただ、2着馬比較をしてしまうとキレ味に差が合ったのは認めざるを得ない。リバティアイランドの川田騎手の下手乗りのおかげで勝てたみたいなところはあるだろう。リバティが馬群に包まれていたので持ったままで交わしていけたのが大きかった。先に抜け出して安全圏を確保出来た。それでもクビ差まで詰められてしまったのは力差を感じさせるところである。この馬の末脚も十分凄いものだったが、対リバティで見るとやはり劣勢に映ってしまう。リバティとの負付けはまだ済んではいえないだろう。そう悲観するものではないが、アルテミアSの走りや新馬戦の内容を振り返ると長く脚を使わせた方が末脚は際立つような気がする。タフな展開になった時にはこちらに軍配が上がることもあるだろう。それに、これらはスタートを五分に出れば全て解決する問題でもある。出遅れて後方からの競馬になると余計な脚を使う事になるので、末脚がもったいない。姉は2歳GⅠでも出遅れていたがそう言うところはもう見習わないで欲しい。


2着:リバティアイランド

新馬戦の上がり31.4秒が凄い。ラスト3Fがオール10秒秒台は記憶にない。馬場や展開ありきの数字だが、こういう脚はなかなか使えるものではない。鞭を抜く事もせずにこれだけキレるだかとんでもない。

・2着馬の上がりが32.4秒であり、これを後方から差し切るのだから末脚に凄みがある。ノーステッキだった点も含めて

・末脚以外のレース振りはまだ幼い。スタートも良くないし、前進気勢も強めに移る。競馬を教える必要はまだ多い。

 

上記がアルテミスS出走時のカルテ。

 

新馬戦では出遅れていたがアルテミスSは五分に出れた。ただ、隣の馬がインから膨れて来たので接触してしまいポジショニングには失敗している。最終的にこれが敗因。道中はインの中段を追走することになったが、馬群が密集してしまい内で包まれてしまった。外に出せないまま直線を向くがそれでもバラけず進路が取れずに追い出せない。この間に付けられてしまった勝ち馬との差を詰め切れないままゴールすることになる。鞍上がちゃんと導けなかったという感じで人災の面が強い。ただ、追い出してからの加速はやたらと速い。一瞬でトップスピードに乗ってしまうエンジン性能は31.4秒の驚異的な末脚を使った新馬戦と同様であった。能力の片鱗は見せていてやはりモノが違う印象をを与える。新馬戦もノースステッキで勝ったし、今回も脚を余して負けている。強さを隠したままGⅠに駒を進めてしまった。この馬の本当の力はまだ誰も分からない。全力で追った場合どれだけ強いのだろうか?可能性を大いに秘めた馬である。まだ未完成な部分も多いが、このGⅠを目標に逆算してローテが組まれているので成長の速度はこれで良いのだろう。本番を見据えた仕上げで上積みも相当であるはず。川田騎手がちゃんとやれば勝ち負けになる。


9着:ミシシッピテソーロ

・スタートダッシュは弱いので中位、後方で折り合って進む。2勝したレースは減速ナシ、加速ラップといずれも前が止まらない展開をねじ伏せている。末脚性能は良い。

・気性面に難は感じず、目立った悪癖はスタートぐらい。それを補う末脚もあるので現状は欠点はない。

・34秒台を切るキレ脚はまだ使えていないので高速馬場でどれだけキレるかが課題となる。

 

上記がアルテミスS出走時のカルテ。

 

アルテミスSは10頭立ての9着。手応え良く直線を向いていたが各馬の追い出しが一斉に始まったところでこの馬だけが伸びず置かれてしまうという内容。力の無さが如実に現れてしまった。スタートは出負け気味であったがここまで負けるようなロスはなかった。道中も自然体で追走出来ていてレース中にストレスがあったようにも思えない。力は出し切れていたと思われる。それでこの結果だから力負けと言うほかない。2戦2勝の頃は最速上がりを使えていたが重賞ではそうもいかず、2勝したレースは相手関係に恵まれていたという事になってしまう。また、33秒台の末脚も使える馬だと思っていたが過去走と変わらない脚しか使えなかった。上がりの速さには限界があるのだろう。完璧なレースをしての完敗だけにゼロ評価が妥当と考える。1・2着馬とも再戦になるし、かなり厳しい戦いになる。

 

ファンタジーS(GⅢ)

 

今年は10番人気の馬が逃げ勝った。時計的には標準並みなものが記録され、スローで展開が味方したみたいな事もない。スピードの持続性はそれなりに問われているレース内容に物足りなさは特に見られない。これを逃げて押し切っているのだから勝ち馬に難癖をつけられるいわれはない。このリバーラを追いかけたのは小倉2歳Sの2・3着馬と小倉のOP特別を勝った3頭の実績馬だった。この3頭は直線は全て力尽きている。競り潰した馬はどれも上等だった。超人気薄が逃げ切ったのでフロックを疑いたくなるが、残念ながらそう言うものは無い。しっかりと評価すべきなのだと思う。

 

ちなみにリバーラの馬主の荒井氏は2歳世代が初めての新規馬主。登録されている所有馬は本馬を含めた2歳馬2頭と来年デビューの1歳馬の3頭がいるだけ。所有馬のレース数の合計はまだ5走にも満たない。この状況での重賞勝ちはかなり凄いし、それが10番人気の馬によるものなのだから驚いてしまう。

 

1着:リバーラ

・器用な走りや操縦性の良さなど印象点はかなり高い。

・初戦が後方まで下がる待機策、2走目は先行策。脚質に自在性がある。騎手の指示通りに動けているので2歳馬にしては信用性が高い。

・ラストにしっかりとした脚を使えるが脚力が特別高いという感じはない。

 

・上記がファンタジーS出走時のカルテ。

 

ファンタジーSを10番人気で逃げ切った。一番良いスタートを決めたが最初から逃げるつもりがあったようには感じない。ハナを主張していた馬はいたが、本馬の方がスピードがあったので行ってしまった感じ。行ってなんぼと言う馬ではないと思う。気性面の良さは過去2走でも見せていたし、操縦性も高いので鞍上次第でパフォーマンスは前後する。待機策、先行策、そして今回が逃げと3戦全て違う位置取りの競馬をしている。レースの流れに合わせた競馬が可能。ファンタジーSは遅すぎず、速すぎずの絶妙なペースで逃げていて石橋脩騎手は好騎乗だった。その石橋脩騎手曰く、勝負根性に見どころがあるとのこと。この長所を生かすならこのような積極的な乗り方の方が良いのだろう。前めのポジションなら常によい走りが出来そうだ。1200mから始めた馬が1400mをこなしただけなのでマイルでどうかの疑問は残るが気持ちで走る馬ならこなせて良いような気はする。決め手の重要性が増す外回りコースなので末脚に長けた馬に有利になる分高い評価は出来ないが、有力馬の何頭かに末脚の不発があればマギれ込めても良さそうだ。

 

2着:ブトンドール

・同日の未勝利と同タイムで新馬戦を勝っている。既走馬と同じ時計で走れたのは優秀。

・他馬が促しながら先行していくなか持ったままで先行していける。序盤の立ち回りは上手く競馬センスの高さを感じる。

函館2歳Sまで稍重のレースしかしておらず、中央場所の良馬場で通用するかどうかが課題になる。

 

上記がファンタジーS出走時のカルテ。

 

ファンタジーSの3・4着馬はバテた馬を交わしただけだが、2着に上がったこの馬は地力で差して来ている。展開的に後方待機の馬にはキツい展開であったから高いパフォーマンスとなる。また、この馬の末脚は出走馬の中でも突出していた。2位上がりを使ったのは5着サラサハウプリティなのだが4コーナーでの位置取りはブトンと同じだった。しかし、ゴールでのタイム差は0.6秒もひらいている。2位上がりを大きく上回っていた。この末脚は素直に評価すべきだろう。デビュー2連勝の馬だが洋芝の道悪競馬の経験しかなかったので良馬場の時計勝負に対応出来るかが課題だったが、ここまでキレる脚を使えるとは思わなかった。新馬戦を先行3番手から勝った馬だったが函館2歳Sから待機策を採るようになり後方からの競馬が板についてきた。完全に末脚だけで勝負できる馬になっている。地味な印象もあるが、坂コースもこなしたし、中央場所の時計勝負でも結果を出した。ステップアップしながら本番を迎えられる状況は好感が持てる。距離に関してだが、1400mに延長した前走段階では折り合いがつくので距離延長は問題ないと鮫島騎手は話していた。さらにマイルに延長するが鮫島騎手は今回も同じ事を言うと思う。こういうステップの馬の距離適性を見極めるのは難しいが、末脚勝負の馬になっているのでマイルもこなせる可能性はある。ただ、適性馬相手に優位性を保てる根拠はさすがにないのでそこは想像の範疇。距離延長で末脚の迫力が損なわれなければよいが。

 

10着:アロマデローサ

・2戦ともに危なげなく立ち回りレース運びは上手い。馬群の中でも平常心でいられるし、折り合いを欠くシーンも無い。

・騎手の指示にもちゃんと従えていて、GOサインからの反応も良い。

・1400mはちょっと忙しく映る。直線でも抜け出す時にちょっとモタつくので末脚も圧倒的なものにならない。

 

上記がファンタジーS出走時のカルテ。

 

1番人気を裏切る結果になったがこれは仕方ない。4コーナーで8着馬がインから斜行してきて接触。また、直線では5着馬がインから斜行くしてきて8着馬を弾き飛ばし、その外にいたこの馬もその煽りを受けて8着馬と再度の接触。これで騎手が競馬を止めてしまった。これだけブレーキがかかると加速をするのは難しい。さすがに度外視しておくべきだろう。ただ、それが無くても追い込んでくる脚があったかは微妙だったと思う。勝負所からグーンと上がって行くような強さはなく、同厩2着のブトンドールの様な一気に加速出来るような瞬発力もない。レースレベルが上がったことで道中のパフォーマンスは相対的に下がってしまった印象。ここまでの内容から弱いと言う事も無いが、相手なりな評価が妥当で立ち回りや位置取り等は工夫が必要になる。2連勝時も上がり最速を記録した事がなく、ファンタジーSもジワジワになっていたので末脚で勝負する馬ではないだろう。ポジションを獲り、早め早めの競馬で脚を使い切る乗り方をしないとこの先は厳しいと思われる。なお、この馬も同厩舎ブトンドール同様1200→1400→1600と徐々に距離を伸ばして来ているので距離延長が課題となるところだが、2頭出しだった池添厩舎内ではマイルより1400m向きの評価だったのでファンタジーSを勝たせたかったのはブトンではなく、アロマの方と考えていたそうだ。言葉通りに受け取ると距離が伸びて良さが出る事はなさそうである。また、これを逆に読めばブトンは1600mはこなせるという考えなのだろう。

 

 

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