競走馬カルテ

2・3歳重賞の出走馬を分析・記録していくブログです。

朝日杯フューチュリティステークス(GⅠ) 出走馬カルテ①

こんにちは。

 

昨年優勝したドウデュースがダービー馬になりましたがこれは93年に優勝したナリタブライアン以来の事ですね。この時、ブライアンの鞍上にいたのは南井調教師でしたが来年2月で引退を迎えるそうです。これはちょっと驚きました。93年と言えば、先日調教師試験に合格し騎手を引退することになった福永騎手がまだ騎手ですらなかった時の話です。時間が経つのは早いですね。

 

さて、昨年はここまでに長い距離を走っていた距離短縮組が優勢でそう言う馬が中心になるだろうと話してその通りとなりました。1着ドウデュースがアイビーS(府中1800m)1着から、3着ダノンスコーピオンが萩S(阪神1800m)1着から好走しました。昨年はこういうメンバーが結構い多くいたのでだからダービー馬も生まれたのでしょう。ですが、今年の登録メンバーにそう言う馬はほとんどいません。1800m以上のレースから臨戦してくる馬は2頭いますが、どちらも大きく負けた馬なので主力になる事はないでしょう。

 

距離維持組、距離延長組が中心のメンバー構成です。こういうレースは難しいと思います。少なくともこのメンバーからダービー馬が生まれる事はないでしょう。今年は次世代の名マイラーを探す1戦になると思います。

 

朝日杯FSは18日(日)に行われますので前日の17日(土)にカルテの更新を終了いたします。ページが長くなるようなら1ページ10000文字を目安に2枚、3枚と増やしていきます。更新順は前走毎にまとめて簡単なレース分析を添えて、各馬にフォーカスしていこうと思います。

 

予想案は各ページの最下部にある専用ページにまとめてあります。ブログカードを貼っておきますのでそちらをご覧ください。

 

12/15追記:ページ上段の前説部分は同じものを転用しています。①②の行き来はページにブログカードを貼っておきますのでそちらから移動されて下さい▼

 

◆サウジRC(GⅢ)

 

OP特別だったいちょうSが重賞化され、現レース名になって今年で9年目であった。昨年までの8年の勝ち馬でその後JRAのGⅠを勝った馬を列挙する。

 

14年クラリティスカイ 1:33.5
NHKマイルC

 

17年ダノンプレミアム 1:33.0
朝日杯FS

 

18年グランアレグリア 1:34.0
桜花賞などGⅠ6勝

 

19年サリオス 1:32.7
朝日杯FS

 

50%の確立で勝ち馬がGⅠ馬になっている。これだけでも特筆すべきことだが、いずれも速い時計を記録して優勝している点で共通している。1分33秒台かそれ以上の速い時計で勝っている。アレグリアだけ0.1秒遅いが許容範囲であろう。また、これら4頭以外の年は時計がかかっていて1分33秒台が記録された年はない。この時計でサウジRCを優勝していればGⅠ級の指標と考えて間違いないだろう。今年の勝ち時計は1:33.4。優勝したドルチェモアは有力なGⅠ候補と言えそうだ。

 

このレースは2着グラニットが大逃げしたレースで1000m通過は57.8秒。レースの上がりは35.8で時計がかかっていた。しかし、最速上がりはドルチェの33.4秒と2秒以上も速く、これは上がりの競馬である事を物語るものだ。後続集団の先頭が1000mを通過したのは60.0秒前後なのでやはり2秒以上遅れて追走していたことになり辻褄は合う。グラニットとその他が別のレースをしていたことになる。

 

また、後続集団の先頭にいたドルチェが勝ち、その後ろを走っていた馬が3着となっていて、後続集団の中ではイッタイッタの前残り現象が起きている。これも上がりの競馬だった所以であろう。そう言う見方をするとレース内容は淡泊なものであった。

 

出走していないのであまり触れないが1番人気4着のノッキングポイントは最後方からよく詰めていたということになり、展開負けの要素が強い。サウジRCの敗戦を重く見過ぎてノッキングの次走の評価を下げ過ぎない方が良いだろう。

 

1着:ドルチェモア

新馬勝ちが洋芝の稍重だったので時計的な勝ちは未知数だが、レース振りに減点材料は無い。

・この馬の新馬戦は桜花賞2着ウォーターナビレラが勝った新馬戦と同開催同条件で同じもの。内容分析からは誤差がなく、ナビレラと同等の先行力を期待していいのかもしれない。

 

上記がサウジRC出走時のカルテ。

 

サウジRCではゲートをポンと出てこれだけで後続に1・2馬身の差をつけてしまった。主張していたグラニットに行かせて離れた2番手を追走する。上述したようにグラニットは別物のレースをしていたので、グラニットの存在を無視してみるとこの馬の強さが良く分かる。ドルチェが実質的な逃げ馬の役割を負っていたことになるのだが、直線に入ると後ろに構えていた3着馬を見る見る引き離す。最終的に3着馬との差は3馬身3/4差も開いていた。このパフォーマンスだけでも十分凄く、逃げて最速上がりで勝ったようなもの。グラニットを交わしたのはおまけに過ぎない。これで2戦2勝となったが、発馬良く序盤の立ち回りに苦労しない点が強味である。無理せず好位のポジショニングが可能なので後半に力を温存する事が出来る。折り合いも非常に良く、走りに無駄が無いので省エネ運航で道中を回ってこれる。だから後半の脚も力強くなっている。騎手の指示にも従順でGOサインを出してからの反応もとても良い。常に完璧な立ち回で取りこぼしは少なそうな印象。初戦は逃げたが自在性があるのでどんな競馬でも出来ると厩舎は言う。速い時計にも対応したことから現状は不安材料が無い。ウォーターナビレラ並みの評価は間違っていなかったということ。ここも有力な勝ち負け候補になるだろう。

 

2着:グラニット

・騎手の指示にもちゃんと反応しているので操縦性は悪くない。レースではちゃんと動いてくれそうだ。

・勝ちあがった前走からは地力を保証出来るものはない。現状では並の評価で妥当であると思う。

・決め手に乏しい。末脚の性能がガラっと変わるようなら好走もあるが、失速率の大きい消耗戦で好走して来たクチでキレる脚が使えるようには見えない。

 

上記がサウジRC出走時のカルテ。

 

スタートは良かったがそれでもダッシュ力ではドルチェモアに劣り、促しながら主張してハナへ。ドルチェが控えてくれたことで楽に単騎逃げに持ち込んだが、以降も緩めず飛ばして行き34.8-57.8秒の速いペースで飛ばして行く。後続がついて来なかったので大逃げとなった。直線に向いても10馬身開いていたのでさすがに2着に粘りこめた。最初から最後まで全力疾走して結果を出した馬に文句はない。後続のナメ過ぎ感も手伝ったが、このペースで上がり35.8秒ならかなりの粘りであっぱれな内容である。新潟2歳Sで決めて負けした馬だし、こういう乗り方はベストであったろう。弱点を補った鞍上の好判断である。ただ、奇をてらった大逃げはトライアルならではのもので、GⅠでは各馬もメイチ乗りでくるから後続の動き出しは早い。アルテミスSほどのセーフティを確保するのは難しいと思う。また、単騎で行けたからの結果でもあるはずで同型との兼ね合いも発生しそう。ただ、同じ戦法をGⅠで採るかはまだ分からない。要はヨーイドンの競馬を回避出来れば良いだけなので、脚を使い切る競馬さえしていればハナにこだわるような馬ではない。そう言う競馬になれば残り目ナシとはまだ言い切れない。消耗戦で強い所があるので道悪や上がりかかる展開になった時には注意がいる。

 

京王杯2歳S(GⅡ)

 

府中競馬場はこのレースの前週の天皇賞(秋)週からBコースに変わっていた。その天皇賞(秋)で大逃げのパンサラッサが2着に粘っていたようにインコースには若干のアドバンテージがあった模様。京王杯2歳Sは土曜で天皇賞(秋)の翌開催だったので馬場の恩恵はあったのだろうと思う。実際、1・2番手だった馬が2・3着、インポケ4番手の馬が優勝と極端なイン前決着になっていた。10・11番人気が1・2着した理由はこれしか思いつかない。ただ時計的な価値は高い。1:20.9の勝ち時計は過去10年では2番目に速く、1分20秒台で決着しているのもこの2回しかない。これだけの時計を先行馬が記録しているのだから評価しなければいけないところはある。フロックと決めつけて良いものかは難しい。

 

1着:オオバンブルマイ

新馬戦(中京1400m)はタイトな展開で先行崩れのレース。先行して抜け出した内容は評価出来る。

・走りがワンペースなので瞬発力が求められた場合に決め手を発揮出来るかは未知数。

・馬券の中心にするだけの根拠には乏しいが、悪い馬ではないので馬券候補に数えて良い馬ではある。

 

上記が京王杯2歳Sのカルテ。

 

府中1400mは新馬勝ちした中京1400mと似たような形状をしているので、京王杯2歳Sも同じようなレース振りで駆ける事が出来た。新馬戦でも時計価値の高いレースであったが、この勝利でタイトな持続戦に強い印象は高まった。走りは相変わらずワンペースでギアの上がる感じは弱いが、スタートセンス、レースセンスはかなり高い。折り合いも非常に良く、ポジションが定まってからの収まりもスムーズで好感度は高い。1Fの延長で馬が戸惑う事は無いと思う。前走のペース・位置取りで34.2秒の末脚を使えていれば脚は十分。終いまで脚を伸ばせた点は地力の高さを表している。インバイアスありきの好走だったことも否定はしないが、この馬の走りは純粋に評価を高く出来ると思う。デビュー前から調教でしっかりと動けていたようで厩舎サイドの評価は悪くない。京王杯2歳Sで依頼を貰った横山武騎手も新馬戦の内容からやれそうな手応えを感じとり結構期待していたみたいだ。そして遂にルメール騎手が依頼を受けた。アカイイト、ヨカヨカ、アネゴハダと地味な馬ばかりの馬主さんだが、その印象やヘンテコな名前を理由にナメない方が良さそうだ。1Fの延長をこなせれば2歳戦なら入着してきても不思議はない。

 

2着:フロムダスク

新馬戦はスロー競馬のイッタイッタの結果で内容的に良い評価は与えずらい。2戦目は騎手による人災で度外視。強いのか?弱いのか?実態が解らないままのレースとなる。

 

上記が京王杯2歳S出走時のカルテ。

 

出遅れ、雑なリカバリーと騎手が原因で負けた2走目のカンナSだったが、松岡騎手から戸崎騎手に乗り替わって見事な巻き返しであった。京王杯2歳Sは五分の発馬から押して主張していく。最初の1Fを追い通しでハナに立っているので、これで距離延長の1400mを良く粘れたと思う。行くとしぶといと言うことだろうか?また、1F通過した時点からゴールまでびっしりと3着馬に馬体を併せられていて雁行状態だったが結局最後まで譲らなかった。かなり図太い勝負根性をしている。新馬戦でも3コーナーでマクられたが先頭を奪い返して勝利していて、並んでから強い所があるようだ。抜かせない個性は認識しておいた方が良いだろう。今回も同型が何頭かいるが、朝日杯FSの鞍上は武豊騎手なのであまり競り込まれる事はなさそう。これまでより楽に逃げる事も出来るかもしれない。距離延長は試練となるが、ハナを取れれば粘り腰を発揮するだろうし、ペースを落としていけるならこなせる可能性はあると思われる。強気に推せる馬ではないが、展開次第でと言う評価にしておきたい。なお、後続馬はこの馬を目標とするだろうが、馬体を併せる事無く一気に抜いてしまった方が良い。並んでしまうと交わすのに手間取り余計な力を使うことになる。そうなるとさらに後方にいた馬の餌食になりかねない。

 

12着:ミシェラドラータ

・器用な脚も使えて、操縦性も高く、地力はありそうに思う。

・未勝利を勝ち上がるまでの2戦のパフォーマンスは良かったが、以降はパフォーマンスを低下させている。上積みらしいものが見られない。

・控えて直線勝負の競馬をしたが前の馬をほとんど交わせず、4コーナーでの番手=着順と言う内容。重賞で通用する脚は無い。

 

上記が京王杯2歳S出走時のカルテ。

 

サウジRC7着後に中3週で京王杯2歳Sを使って12着。サウジRCが3F通過34.8秒のレースで本馬の上がりは33.9。京王杯2歳Sは34.6秒通過で上がりは33.9秒。距離は違えど使える脚はいつも同じ。ペースが前後したところで上位馬との上がり差は相対的な変化しか生まないだろう。今回も控える競馬をしたがサウジRC同様にバテた馬を交わしただけで、追い比べで勝った馬は1頭もいなかった。脚も無いのに控えるなんて無意味だ。清水久厩舎は出れる重賞があれば能力、適性を無視して使ってくる厩舎なので今回もエントリーしたのだろうがさすがに図々しい。通用する根拠は無いが、大敗するであろう根拠ならいくらでもある。この馬の状況はそんな感じ。とにかく地力が全く足りていない。

 

デイリー杯2歳S(GⅡ)

 

前年の覇者セリフォスを軸に馬場差、時計差などから時計面の分析をする。

 

21年マイルCS 1:32.6(グランアレグリア)
22年マイルCS 1:32.5(セリフォス)

 

上記GⅠのこの2年に時計面の誤差はない。少し単純で恐縮だが馬場差無しと言う前提にさせてもらる。次にデイリー杯2歳Sの勝ち時計を比較する。

 

21年セリフォス 1:35.1
22年オールパルフェ 1:33.2

 

時計にして2秒近く速い。このレースは1分34秒台なら標準で1分35秒でもそれほど悪くない。今年の勝ち時計はかなり速いと見て良い。過去10年では2位タイの時計である。馬場差が無かったことからも今年の走破タイムは価値が高いということになる。

 

また、例年はラスト3Fの瞬発力勝負になるレースだが、オールパルフェはラスト4Fから動き出し後傾持続戦に持ち込んでいた。長い脚を使い、且つ瞬発性能も求められたレベルの高い1戦である。さらに、2着のダノンタッチダウンの末脚も特筆できる。昨年のセリフォスは最速上がり33.4秒であったのに対し、タッチダウンは33.1秒の最速上がりを記録した。ペースを考えるとタッチダウンの末脚はセリフォスのそれより何枚も上の評価が可能である。

 

1着:オールパルフェ

・逃げ馬だがロケットスタートで飛び出していくタイプではなく、二の脚を利かせて主張してハナに立つ感じ。2着、1着と好走しているがスロー逃げで展開勝ち見たいなところはある。

・リズム良く、折り合いはついているが前進気勢はやや強めに出ている。現状は逃げた方が良さの出るタイプに見える。

 

上記がデイリー杯2歳S出走時のカルテ。

 

ここまでの好走は楽な単騎逃げであったが、デイリー杯2歳Sは3着馬に半馬身差でついて来られて圧を常にかけられていた。それでも本馬は平然と自分のペースを淡々と刻んでいて後続のプレッシャーに怯まずに走りぬいた。また、最終コーナーまで馬体を併せていた3着馬を直線で突き放し、一端は3馬身も抜け出したのは優秀だと思う。タイトな展開を演出しながら最後にこれだけの脚が残っていたのかと感心してしまう。瞬発的な性能も備えているようだ。スロー逃げで新馬、未勝利を好走してきたがデイリー杯2歳Sでは持続ラップで地力の問われる展開を自ら作り出している。逃げ切りの内容が良くなった。2戦目までは前進気勢の強そうなところが気になったがそう言うこともレース中にはなかった。使いながら折り合いを学んでいる感じがある。記録した勝ち時計は昨年のドウデュースより速く、本番でも通用する好時計。GⅠでもやれて良い下地が3戦目でしっかりと確認出来たのは良かった。ここまでの全戦が逃げだが厩舎の話では控えても競馬は出来るそう。何が何でもハナと言うタイプではなく、二の脚の速さでハナに立っているタイプなのでレースの流れに併せた競馬が出来そうな感じは確かにある。同型や先行馬は結構いるが自分のペースで競馬が出来れば大きく崩れないと思われる。3戦全てでマイル戦を使っているようにこの距離に陣営は拘りを持っている。距離適性は高く見て良い。

 

2着:ダノンタッチダウン

・ダノンザキッドの下になる。取引額2億6400万円の高額馬。ジャスタウェイからロードカナロアに変わっている。

新馬戦は行きっぷりは良くなく、気合をつけながら。それでも好位をキープ出来ず、徐々に下がり置かれ気味。コーナリングも上手いという感じはなかったのでまだまだ完成途上という走りだった。

・レース中ただ1頭末脚を33秒台まで加速して前残りの展開を差し切る。末脚の鋭さに素質馬の片鱗。

新馬戦は素質だけで勝ったという感じ。その状態は6分、7分と言う出来でまだまだ未完成な馬。それだけに変わり身は大きそう。

 

上記がデイリー杯2歳S出走時のカルテ。

 

上がりのかかる展開で33秒台を出したのは本馬だけ。それだけでも凄いが、33.1秒という数字的なインパクトはもっと凄い。この馬の末脚は次元の違うものだった。脚力がかなり抜けていて、この部分だけならGⅠ級の評価で良いだろう。ただ、今はその末脚や能力だけに頼ったレースをしている。デイリー杯2歳S新馬戦と同じように出たなりで後方に下げた競馬。馬自身に前進気勢は無いが、川田騎手もポジション取りへの執着が感じられない。オールパルフェがラスト4Fでペースを吊り上げたところでついていけなくなり手が動いていた。気性的なズブさは目立つ。厩舎の方針でテンションを上げないように調整されているので、レースでも出していかないのかもしれない。また、勝負所の反応も鈍く、コーナーでの機動力はほとんど見受けられない。番手も上がらなかったので、直線に入ったら最後方であった。レース巧者と言うイメージはまるで湧かない。2戦を消化したが、いずれも直線だけの競馬なので末脚以外に褒められる点が無い。デイリー杯2歳Sの2着も勝ち馬がラスト1Fで0.8秒も失速していたから詰められたというのはあり、展開の恩恵は受けていたと言える。それで差し切れなかったのはやはり位置取りとか、乗り方の問題になる。それでも結果を出しているのでこれ以上は言わないが、GⅠで同じ事をされるのは馬券を買う方としては怖い。もう少し何とかならないだろうか?

 

◆その他

 

ウメムスビ

新馬戦は勝った馬が強く、2戦目で完勝と勝ちあがるまでの走りは悪くなかった。が、減量騎手器用の馬なので、定量となったOP特別で4着と敗れている。対等の勝負だと力差が出ている感じ。

・発馬が良いので大体逃げポジション。スピードの違いで行けるので序盤の立ち回りは良い印象。ペースコントロールも出来ているので激流を生むようなタイプではない。

 

上記が小倉2歳S出走時のカルテ。

 

小倉2歳Sでは7着。相変わらずスタートが速い。これまでは好発を決めて先行する競馬だったが、8枠だったので内の速い馬に行かせて中段から控える競馬を試みた。道中でインに潜り直線では最内をついて一端は先頭と言う競馬、新人の角田くんは素晴らしい騎乗。しかし、その角田くんの減量で勝ち上がったタイプ。前走のフェニックス賞同様に同斤の分だけ伸び負けてしまう。この辺りはやはり地力で劣っているのだろう。また、未勝利勝ち以降は思うように時計を詰めれていない。時計の出る馬場よりは時計を要するコンディションの方が向いている可能性は高いかも。前走で重馬場のカンナ(中山1200m)をおっさり勝ったのも偶然ではない気がする。カンナSでもいつも通りの好スタート。今回は先行2番手から運ぶ。逃げ馬にプレッシャーかけながらの追走だった。テン3F33.8秒の通過だったが、32.5秒の通過タイムで勝ち上がった本馬には楽な流れだ。余裕たっぷりに抜け出して完勝した。重馬場で1:09.4なら速い方。他馬が苦しむ分有利になった感じはある。また、決め脚では劣るので先行に戻した乗り方も良かっただろう。条件・展開が上手いこと噛み合った感じ。どんな条件でも強いという風には見えないので相手関係や馬場などの制約を今後受けるのではないか?GⅠで通用する目途は過去走にはない。距離に関しても、ラストの失速が大きいタイプなので2Fも延長して良いとは思えない。条件ハマりだと思われた前走から有利になる条件は無いので厳しい評価をせざる得ない。

 

コーパスクリスティ

 

新潟1400m→秋明菊賞(阪神1400)を連勝中の無敗馬。新馬戦では行きたがる素振りがあったが2戦目ではそう言う所は見られなかった。この2戦は1400m戦にしてはペースが遅く、この馬自身控える競馬で直線の末脚勝負だった。この距離で緩急あるレースをしているのでマイルに延長しても問題無く対応すると思う。新馬戦はノーステッキで勝ったし、前走は出遅れ最後方から前残りのレースを差し切っている。強さの片鱗が随所に見られる。しかし、前走に関しては5頭立てのレースで時計的な価値が薄いため、GⅠで通用する根拠は見いだせない。ペースの割に繰り出している脚も速くない。この馬より良い脚を使う馬は多いだろうなと言う感じがする。無敗であることを最大限に評価しても試金石以上の言葉は出てこない。馬が若い印象もあるのでここは経験を積む場になるのではないだろうか?

 

ドンデンガエシ

 

2歳戦がスタートした初日の府中1400m戦でデビューしたが4着。2戦目は間を空けて8月下旬の札幌1500mで勝ち上がる。体重は10k増えていて成長は促されていた。中2週で中山マイルのOP特別アスター賞を連勝する。五分のスタートから二の脚で先行してポジションを取るのが現状のスタイル。前走は逃げ切り勝ちだった。ただ、ここまでのパフォーマンスはこじんまりしている。新馬戦の府中で決め手負けした格好で、以降は決め手の問われないコースで好走している流れになっている。実際、それほど優秀な末脚は持っていない印象。2走目は札幌の稍重だったので仕方ないが、前走は高速馬場になる秋の中山開幕日だったのでもう少し末脚を伸ばせていても良いのではないかと思った。36.7-61.3のペースはかなり遅いものだしそれで上がり34.5秒は平凡に感じる。アスター賞を逃げ切り勝ちした馬が過去に2頭いるがそれらは33秒台の末脚で上がれていた。これらと比較すると相対的な評価は下がる。また、トビの小さい馬なので府中や関西の外回りコースで評価は上がらないと思う。現状は小回り、内回りのコースで器用さが求められる条件を立ち回りで勝負している感が強い。決め脚比べで劣る可能性は高いのではないだろうか?

 

バグラダス

・福島ダート1150mを新馬勝ち。逃げ切りだったが何頭かの雁行状態で行っていたので、消耗しながらのしんどいレースを勝ち切れた点で印象は良い。

・芝スタートでダッシュはついていたので芝はこなすのかもしれないが、切れ味が必要な新潟2歳Sで優遇できる材料はさすがに見いだせない。

 

上記が新潟2歳S出走時のカルテ。

 

ダ1150mで勝ち上がった馬が芝のマイル重賞新潟2歳Sで4着。条件がこれだけ変わったのに良く走ったと思う。サウジRCで大逃げ2着のグラニットを制して逃げ切りを図った。決め手上位の3頭には屈したがそれ以外には影も踏ませていない。相手関係には恵まれていたし、スローの単騎逃げなど恵まれた面は多分にあったが、初芝でこの走りは悪くない。芝に変わってもスタートは決まるし、序盤のスピードも十分だった。戦前は厩舎もお試し感覚であったがこれだけやれれば芝でやっていく可能性が開けた。2ケ月半間隔をあけて府中の芝1400m戦を早速勝ち上がる。発馬が安定しておりポジション争いは相変わらず上手く、今回も好位を確保。ただ、前とは離れた4番手だったので控えた競馬の差しポジションという感じ。直線を向いても追い出しを遅らせるなどして良い末脚を引き出した。こういう形で結果を出せた事は良かったと思う。新潟2歳Sである程度は距離をこなせたが、溜める競馬が成功したことでさらにやれる目途が立ったと思う。ここまでの3戦は砂芝、コース、距離とどれも違う条件。常に結果を出していて、脚質にも幅がある。どんな競馬でも出来る万能的な馬と言う感じになって来た。気性的な問題点も無く、鞍上の思うままに動かせる点は2歳戦では武器になる。地味な印象も強いが馬はとても優秀である。相手が強化されるのでGⅠはチャンレジ案件だが、GⅢなら印は常に必要な馬だと思う。

 

朝日杯FSの予想案はこちら▼