競走馬カルテ

2・3歳重賞の出走馬を分析・記録していくブログです。

ファルコンステークス(GⅢ) 出走馬カルテ 2024

 

こんにちは。

 

1400mで行われるファルコンSは前走1200mの距離延長組がほとんど馬券になれない重賞です。昨年時の過去10年では3着が1回あるだけだったのすが、その昨年は1・3着と走り、4・5着馬も距離延長組でした。来ないと言われた距離延長組が2着以外の掲示板を占めるというとんでもない結果になり惨事となりました。

 

その要因をはっきりとは言えませんが、昨年は出走14頭中7頭が前走1200m組で最大勢力だったことが影響したのかもしれません。それでレースの流れが1200mっぽくなったとかで不利なデータを出走数の多さで覆したのかもしれません。データーにそぐわない結果は常に起こりうるものです。

 

ただ、条件そのもは変わらないですし、今年は若干1400m以上を走っていた馬の方が多い(3/7現在)ので、昨年とは情勢も違います。前走1200m組は昨年の数値を足しても1勝2着3回と圧倒的なマイノリティに変わりありませんから、積極的な重用はやはり避けた方がよろしいのではないかと思います。

 

ファルコンS(GⅢ)は16日(土)に行われます。前日の15日(金)には更新を完了します。出走登録の分かった馬から更新していき、最終登録確認後に追加更新していきます。

 

予想案は各ページの最下部にある専用ページにまとめてあります。ブログカードを貼っておきますのでそちらをご覧ください。

 

オーキッドロマンス

・マイルを2戦して勝ち上がれず、1200mで2連勝だが、マイル戦でもレースには対応出来ていたので短距離馬として決めつけるのは早計。

・ゴンバテカーブース、コラソンビートなどマイル戦の勝ち馬はいずれも重賞馬で相手が強かっただけで良いレースはしていた。中間距離の1400mなら。

・キツイレースの経験が豊富で消耗戦で強い。我慢比べの展開で差して来る。短距離馬にしては体力のあるタフな馬。

・先行力も追走力もあるのでレースの流れにはちゃんと乗れており、2歳馬にしては完成度が高そう。

 

上記が京王杯2歳S出走時のカルテ。

 

適性が無かったと思われるダート交流戦を間に挟んでいるが、府中1400mのOPを続けて走っている。序盤のペースに1秒ほどの違いがあるが、逃げていた馬も、負けた相手も、道中の位置取りもほぼ同じ内容。前走も0.1秒時計を詰めて、レコード決着した京王杯2歳Sと同タイム入線している。この条件で走りにブレがなく、パフォーマンスが高いレベルで安定している。大きな変化は見られなかったが、斤量が1k重くなってもいたので相応の上積みが確認出来たと捉えて良い。

 

ゴンバテカーブース、コラソンビート、ロジリオンなど必ず強い馬がいるので勝ち切れていないという印象だが、並みの馬と比べれば全然強い。また、先行馬の宿命みたいなところもあって、目標になって差されている。瞬発力の要求度が高い府中コースでは仕方ないところか。中京1400mはコース的に似ているが、府中程大箱コースではないので、瞬発力の要求度は下がり、立ち回りの上手さ、先行力の高さで抵抗可能。三度ロジリオンと対戦することになるが、ここまではいずれもタイム差無しで力差がない。コースが変る事で相手の決め手を封じる事は出来るかもしれない。

 

エイムフォーエース

 

船橋所属の地方馬JRAアーカイブに登録があり、デビュー前はこちらに登録していたよう。馬主は大井の三冠馬ミックファイアも所有していて、JRAにも馬主登録がある。

 

地方での4戦は1200m2勝。1500mと1600mも使っているが、コントロールの難しい馬なようで距離の長いところへの適性は弱そう。1200m戦も逃げ切ったり、最後方から差し切ったりとレース振りが定まっていない。近2走はJRAでリステッド競走を走っているが確実に通用している。0.8秒差6着だったジュニアCは10馬身ぐらい離れた最後方ポツンだったので脚を使っても詰め切れなかったが良い脚は使えていた。クロッカスSは後方2・3番手も馬群に取り付いけていたので、0.1秒差4着に接戦できた。2走とも上がりは当然最速で、ちょっと抜けた脚を使っている。ジュニアCも大外から物凄い脚を使っていたし、並みの中央馬よりは末脚が際立っている。距離も1400mが最も良い感じ。

 

3走前の船橋戦からこの戦法が取られていて、後方待機の末脚勝負は板についている。脚は確実に使って来るので印を回す価値はあると思う。とは言え、0.1秒差の接戦だった前走は4コーナーでインを突けた事で前との差をあっという間に縮められていたハマり走でもある。同じような競馬が再び出来れば再現もあるが、多頭数の重賞で捌ききれるかどうか?後方待機のスタイルは崩さないだろうから、スムーズに詰めて来れるかが課題になるだろう。ちなみに、船橋戦を見る限りだと器用さがあるようには思えなかったが。

 

エンヤラヴフェイス

新潟2歳Sは周りに馬がいたことでヤル気を失ってしまったそう。メンタル面に不安あり。

新潟2歳Sでは後方から末脚を繰り出すことが出来ていない。新馬戦でもそうだったが、ラストに速い脚を使えない模様。

・デイリー杯2歳S2着の好走要因は揉まれない8枠発走によるもの。スムーズに立ち回れれば力は出せる。

・タフな流れが向いている。瞬発力や切れ味はないのでラストが加速する上がりの競馬はあまり好ましくないと思われる。

 

上記が共同通信杯出走時のカルテ。

 

共同通信杯9着。リズム重視でソロっと乗って初手最後方から向こう正面で徐々に位置取りを押し上げていった。レースの立ち回りとしては良く、ゆったり進められるこの距離も合っていた印象。直線に入った時も手応えは残っていたし、バタっと止まるようなところも無かった。力は出し切れていたと思われ、純粋な力負けとして良い。ここは相手が強すぎた。共同通信杯は62.7秒→11.4-10.9 -10.8と、スローからの上がりの競馬であり、恐ろしい程の超加速ラップが記録された。1・2着馬が32.6秒でとても速い上がりを記録して後続を振り切っている。この馬はこれに対応出来ずに負けたという事で、速い上がりを使えない弱味がモロに出た。新潟2歳Sでも同様にキレ負けており、ラストに速い上がりが記録されるレースではいいところがない。

 

今回は初の1400mになるが、1800mの走りがフィットしていただけに、ここまで短縮するのは忙しい印象も。反面、タフな展開で渋太い末脚を使うのが好走のパターンなので、ハードな流れになるこの距離の方が末脚が生きて来る可能性もある。直線でグンとした加速をする馬ではなく、ワンペースな流れが向いているので、意外といける条件かもしれない。

 

クリスアーサー

 

新馬戦で1400mを大敗し、以降は1200mに特化。新馬戦の内容だけで距離に壁があるとするのは早計だと思うが、1200mの走りが良い事は間違いのないこと。この距離で4戦し、2勝2着1回でOP特別まで勝利している。好走した3走ではスピードを生かして押し切っている内容で33秒台の速い流れを持ったままで追っていけるスピードがあり、4コーナーではマクり、突き放せる態勢を取れている。良い速さを持ち、それを全面に出せた時は凡走がない。前走のマーガレットSは1.1秒差と大きく負けてしまったが、恐らく道悪が良くなかったのではないかと思う。スタートで躓いているし、4コーナーではインの進路がありながら、外に切り替えて馬場の良いところを選んでいるように見える。外に切り替える際の捌きで前とは差がついてしまったのも敗因。重賞好走馬多数で相手も強かったが、いろいろと噛み合わなかった印象でこの1戦で評価を下げられない。

 

スプリント戦なら印を回した方が良い馬だと思うが、1Fの延長をこなせるか?になる。1200mでも折り合いを欠くシーンが何度かあり、気性的にも歓迎とはならないかもしれない。負けた2戦は差す競馬で伸びを欠いていたので、距離延長に慎重になり控えてしまうと味が無くなる可能性も。

 

トミノキラリ

・1200m~1400mを3戦して2勝2着1回。ここまでは短距離馬として成功しているが、対戦成績的やレース内容、走破時計からGⅠで評価出来るような材料がない。

・スピード色は強いが、最後の失速の大きいタイプで、突き抜けるまでの走りは出来ていない。距離延長も歓迎出来る材料ではなさそう。

 

上記が朝日杯FS出走時のカルテ。

 

朝日杯FSは0.4秒差の6着と大健闘。インを突き抜ける勢いで圏内突入もありそうだったが、外伸びした追い込み馬にごっそりと交わされてしまった。この馬も外に進路が取れていたらとは思うが、そういう競馬は選択出来なかっただろう。厩舎評では短距離馬とされており、マイルははっきりと長いらしい。距離適性のない馬にインをセコク乗る以外に選べる方法はなく、外を回していたらあの脚は使えていなかったと思う。結局、これが精一杯だったということで、良く頑張ったとしか言えない。

 

2走前から控えて末脚で勝負するようになっているが、このスタイルも随分様になってきた。朝日杯FSもGOサインから瞬時に加速しており、操縦性は上がっている。インを器用に周った立ち回りも良く、使った上がりは2位上がり。不適正のレースでこれだけ走ったのだから評価は高くしないと行けないところ。ただ、展開はハマっていたので実力以上に走れた可能性はある。上がり1位だった2着馬は共同通信杯で正攻法のレースでパフォーマンスを落としている。本馬も地力勝負でどこまでやれるだろうか?GⅠのレース内容は素晴らしかったが最高にかみ合ったていた印象も。評価を高めすぎ事には慎重になりたい。

 

戦前の話を確認しておくと、マイルGⅠは荷が重いと話しながら「ファルコンSや葵Sなら重賞でもヤレる」との事だった。今回はその名指しされたレースであり、厩舎サイドの意欲は高まっているはず。適距離の重賞なので強気な競馬も出来るが、府中1400mだった2走前の内容もそこまで優秀なものではないため、重い印で扱うにはまだ何か足りない気がする。

 

シュトラウス

・不良馬場の新馬戦を9馬身差の圧勝。2番手から一方的な競馬で圧勝していて、相当な馬力型。厩舎では「体力おばけ」と言う言葉で評価している。

・2戦目のサウジRCまでは何とか我慢させていたが、東スポ杯2歳Sで折り合いが厳しくなってきた。59.1秒と速めの流れでも御しきれていなかった。

・この気性では1800m以上の距離は厳しく、クラシックは難しい。折り合いに気を使わないマイル路線への転戦は吉となりそう。

 

上記が朝日杯FS出走時のカルテ。

 

東スポ杯2歳Sの勝ち馬がここなのかぁと言う残念感はあるが、この馬の事を考えれば悪くない選択にも思う。朝日杯FSは見たまんまの内容だが、補足しておくて2・3F目に10秒台が連発した激流であり、3F通過は34.1秒だが、出遅れ最後方の馬が3F標識前にはハナにたっているのだからこの馬自身は3Fまでに33秒前半で走り切っていると思われる。ペースがスローであったならこんな乗り方でも押し切れてしまえたかもしれないが、この流れをこんな競馬で押し切れる馬はそうそういるものではない。

 

マーカンド騎手の乗り方が非難を浴びたが、そう言う問題ではなく、これだけ速い流れでも折り合えなかった方が問題。それでも直線でバッタリ止まっていないのがこの馬の凄いところ。10着とは言え、0.8秒差とそう大きく負けていないのだから、やはり力があるのは間違いない。

 

この馬の悪いところは折り合えないだけでなく、常時テンションが高いところにあるよう。東スポ杯2歳Sを勝たせたモレイラ騎手もコントロールが難しいと苦笑いしていたそう。現状、誰が乗っても乗り難しい。

 

だったらレース選択で調整するしかなく、1400mへの短縮も仕方なしだろう。皮肉な話だがスピードのあるところは朝日杯FSで証明されているし、それを持続させるパワーもあるので、この距離でも普通に対応出来ると思う。息を入れなくても走り切れる1400mなら押し切れるかもしれない。スタートがまともなら上位には顔を出すのだと思う。2歳秋は使い詰めになったので使う毎に折り合いが難しくなってきた経緯がある。間隔を空けてリフレッシュ効果でもあれば良いのだが。

 

ソンシ

 

1400mを3戦し、府中で2勝、阪神は2着。負けたとは言っても阪神の万両賞はハイパフォーマンス。3F通過33.8秒の激流を2番手から押し切りにかかっている。クビ差交わされたが、ラスト1Fの失速も小さく、心臓面は相当強い。逆に府中の2勝はスローだったが、この流れならノーステッキで勝ててしまう。加速ラップで突き抜けており、ペースが遅いなりに良いパフォーマンス毎度発揮している。ハイペでも、スローぺでも折り合いに難しいところを見せないのも素晴らしい。ある程度先行する事が多いが、中団に控える競馬でも結果を出せており、脚質に幅を見せ始めた。どんな流れでも、どんな競馬でも出来るレースに注文の付かない良い馬だ。持続性も瞬発力も優秀で重賞でも通用しそうな馬だろう。立ち回りに欠点もなく、能力も高いので、勝ち負けになりそうな1頭。いつも行儀の良い馬なので敢えて言う事がないくらい問題がない。

 

ダノンマッキンリー

・2戦2勝。新馬戦は2番手から突き抜けて、秋明菊賞は後方からぶっこ抜いてと見た目のパフォーマンスも良い。いずれも力上位の走り。ここまでは抜けて強い印象。

新馬戦で持続性の高さを、秋明菊賞で瞬発力の高さを見せているので高評価。

・使ったことで気難しい面が出ている。目に見えてクビが高くなり、コントロール性を失っている。直線もかなり外を回した安全策。馬群での中のレースに不安あり。

 

上記が朝日杯FS出走時のカルテ。

 

デビューから手綱を取っていた川田騎手はマイルGⅠでこの馬には騎乗したくないと朝日杯FSの騎乗を断っている。どうも怖くて乗ってられないということらしく、気性に難がある模様。

 

朝日杯FSでも序盤から行きたがり、ルメール騎手も押さえるのに苦労しており、ずっと麒麟走法で走っていて折り合いの付かない様は目立っていた。ルメール騎手による敗因分析もこれに尽きていて、気性的に距離が長かったという事らしい。

 

それで0.5秒差なら適距離ならとも思うところだったが、次走クロッカスS(府中1400m)の内容は朝日杯FSと変わらなかった。ルメール騎手が続戦していたが腰を落として押さえるのに必死。これでは脚が溜まらないので末脚はジワジワとなり、決め手ないまま雪崩れ込んで5着と言う内容。

 

折り合いを欠いたまま押し切れるのは1勝クラスまでという事か?相手が強くなるとしっかり御せていないと勝ち負けまで持ち込むのは難しいかもしれない。2戦目までのパフォーマンスは高いので力のない馬ではないと思うが、現状はその能力を思うように発揮出来ていない。気性次第としておきたいが、短期間で根本的な改善に至るかは疑わしい。なお、厩舎でも将来的には短距離馬と言う評価もされていて、現状では1400mでも長いのかもしれない。

 

ナムラアトム

 

ナムラクレアの弟になる。鞍上は浜中騎手。新馬戦を3着に負けたが、勝ち馬は4k減の馬で、2着馬もこの馬同様にその後2連勝しているので、弱い馬に負けた訳ではなさそう。有馬記念週の阪神1400mを1:21.3で走れていれば時計面は合格だと思う。3番手の積極策から追い出したら末脚がジワジワしてしまったからか、2走目からは中団ぐらいで控える競馬をして2連勝している。いずれも最速上がりで差し切っており、末脚は際立っている。未勝利(小倉1200)は次位を0.5秒上回る末脚だったし、前走の自己条件(京都1400)は直線入り口最後方の一線から大外を豪快に差し切った。控えて末脚を繰り出す形が現状合っている模様。特に前走は前有利な加速ラップをねじ伏せた格好になっているので、脚力の高さは十分に評価出来る。時計的にも標準以上で走れているし、短距離で流れに乗っていけるスピードもある。適性は高そうに思う。まだ騎手に動かされているようなところがあり、持ったままで上がってこれるような力強さはないが、それだけ成長の余地がある。前走以上のパフォを期待しておく方が良いと思う。ただ、姉同様に1200mの方がより強いかな?と言うのはあるので、1400mの重賞はやっぱり試金石だろう。

 

フェンダー

 

2歳戦開幕2週目にデビューしたノーザンF産のシルクの馬で、阪神マイルで1番人気に支持されていた。素質馬の評価がなされていたのだと思われる。ところがこのデビュー戦で殿負け。ゲートを出ないし、追走力も無く、情けない負け方だった。2戦目からブリンカー装着し、行きっぷりは激変し、4馬身差で逃げ切り圧勝。これで修正出来たと思われたが、9月に復帰してからも勝ち切れず、大事に使われるノーザン系の馬には珍しい秋に4戦も消化されている。近3走はルメール騎手が騎乗しているが着をを下げながら成績をさらに低下させている。前走でブリンカーを外したところ新馬戦の時のように前進気勢がなくなり後方に置かれ、直線で追っても伸びず、ブービー入線。馬にヤル気を感じられなかった。全体的に良いところが無く、能力以前の問題である気がする。好走時の走りを見ても、終いに競馬を止めてしまっている感じ。勝った未勝利もラスト1Fの失速が大きく、最後まで脚を持続させることが出来ていない。終いの甘さを距離が長いと考えたのか、1600→1400→1200と距離を短縮しながら使われているが、結局そう言う事ではなくて、馬が真面目に走っていないだけの様に感じる。これはさすがにアテに出来ない。当初の期待も無いに等しいのではないかと思う。こういう馬はいつ走るかわからないので怖いところもあるがかなり狙いづらい。

 

ジリオン

1400mで勝ち上がっているがズブい処があるのでこの距離では忙しい印象。道中で気合をつけていかないと位置取りは下がり、序盤、前半の自主性は弱い。

・その気になってからの走りはいつも良い。直線で追い出されてからはグイグイ来れる末脚には見どころあり。息の長い末脚が武器になっている。

・どんな競馬でも出来るタイプではないが、順々で操縦性は高い。乗り方一つで勝ち負けに加われそうな感じはある。

 

上記が京王杯2歳S出走時のカルテ。

 

京王杯2歳S2着→クロッカスS1着と府中1400mで好走を続けている。ここ出走のオーキッドロマンスとはいずれもタイム差無しの接戦でいずれも差し切っている。

 

京王杯2歳Sの頃までは気合をつけないと位置をキープ出来ない感じだったが、年が明けた前走では道中の行きっぷりが良くなっていたので、道中の運びが楽になり、ポジショニングは向上している。追い出してからの反応も変わらずよく、上がりもキレる。それまでは位置取りの差で負けていた感じだったがそれもなくなり、しっかりと差し切る事が出来た。

 

京王杯2歳Sではコラソンビートを上回る末脚は繰り出していたが、そのコラソンにGⅠで先着したアスコリピチェーノの主戦騎手北村宏騎手は京王杯2歳S時にロジに騎乗した際に、乗っている感触はアスコリと同等レベルという言葉を残している。GⅠ級の評価が必要な馬かもしれない。

 

前走時に+14kと目方を大きくし、馬体的な成長も感じられ、京王杯2歳S時を上回る時計で走れていることから、3歳になり馬が強くなったと解釈できる。皐月賞という事はないだろうが、既に賞金面をクリアしているのでどんなGⅠにも行ける。タイトル欲しさにファルコンSを勝ちに行くか?それとも先を見越した叩き台か?陣営の勝負度合いが印を決めることになる。

 

なお、器用そうなタイプではないのでコーナーがタイトになる中京で府中の様に乗れるかが課題になると思う。

 

ミルテンベルク

新馬戦では先行策も、小倉2歳Sでは五分の出から中団待機策。ペースに合わせて変わる自在脚質。

・厩舎の先輩、メイケイエールより素質が高いと厩舎は期待している。

・この馬も前進気性は強いので距離延長もプラス材料にはならないと思う。1400m以上を走るようになってからは力負けが続いている。

 

上記が朝日杯FS出走時のカルテ。

 

3走前の京王杯2歳Sの頃から、とにかく抑えてくれとのオーダーが出されるようになっており、折り合い面の課題が大きい。しかし、モレイラ騎手、ムルザバエフ騎手とがっちり抑えられる騎手が騎乗しても完全に御す事が出来ていない現状。特にマイルの朝日杯FSは序盤にずっと首を上げており、折り合いはついていなかった。これでは脚は溜まらないので直線で殆ど抵抗出来ずに最後は流して入線し、最下位となっている。

 

よって、年明け初戦は1200mのマーガレットSが選ばれた。ここで4着と一応は巻き返した感じ。やはり短いところだとそれなりに走れる。マーガレットSの敗因は出遅れ。スタートで2・3馬身は遅れを取っている。リカバーするにも出して行くとかかる心配があるからじっくり乗るしかなく、後方2・3番手に控えることに。前残りしたレースなのでこれは苦しい。

 

ただ、これはこれで収穫であり、終い勝負の競馬で最速上がりを記録して、末脚を引き出すことが出来たのは良かったのではないかと思う。後方追走で折り合いがつくならその方が良い。1Fの延長は歓迎材料とはならないが、同じような乗り方で脚を使えるなら侮れないところはまだ残されているのかも。ハマれば凄い脚を使ってくれるかもしれない。

 

アンクルクロス

 

未勝利脱出に5戦、1勝クラス卒業に4戦と9戦を消化。当初は凡走を続けたが未勝利勝ちの時から走りが変わる。そのきっかけは長岡騎手への乗り替わり。前任者たちは行きたがるのを押さえてしまい脚を溜めきれないでいた。長岡騎手の場合、馬の気分にまかせて先行させる事でむしろ脚は最後まで持続するようになってきた。気分よく行かした方がいいのだろう。長岡騎手はよく乗りこなしていて以降は主戦騎手を任されており、凡走と呼べるレースは無くなった。また、こういう気性なので距離短縮路線を採るようになったこともプラスに出たのだろう。気性を気にしすぎる必要が減少したことも連続好走の背景にあると思われる。

 

なので1200mの方がより良いと言うのは言えることで、この距離だと上がりはいつも最速の末脚。1400mも走れている部類だがこの距離だとやはり気性の面で少々ネックとなってくるので終いの脚が少しかったるくなる。1400m戦の上がりは全て3位と末脚の優位性が1200m戦に劣っているのもその表れだろう。やれない距離ではないのだが、ベストパフォーマンスと言う訳にはいかないと思う。

 

ヴァルドルチャ

 

5戦して前走で勝ち上がり、その間2着3回。5戦全てで1番人気だったように当初から評価が高く、走りも悪くなかった。スタート上手くポンと飛び出すので初手2番手の競馬を常にしている先行センスの高い馬。最終コーナーもほぼ同様の位置取りをキープしていた。それでも勝てなかったのは瞬発力がないので一瞬で前との差が開いてしまったり、後続に交わされてしまっている。この馬の末脚もじわじわしているので勝ち馬に抵抗出来ずに2着が精一杯と言う感じが続いた。

 

よって、近2走は4角先頭の競馬をしており、直線長い府中では差されたが、直線短い中山では一早く抜け出せて後続を凌いだ。決め手不足がこの馬の弱点という事になりそうだ。1800m2戦、マイル3戦という臨戦過程だが、どの距離でも折り合えてはいた。が、使う毎に前向きさが出ているのでさらなる距離短縮も悪くないように思う。

 

スピードを持続させる能力も高いほうなので、1400mでも流れには乗れるのではないかと思う。中京のこの条件なら決め手の要求度は府中ほどではないので条件的には悪くなさそう。ただ、3度記録された2着時の勝ち馬は漏れなく昇級後に壁にぶつかっていて、こんな馬に負けていたのかぁと言う処はあるので、能力的には評価しづらい。

 

キャプテンネキ

・スピードが勝っている印象で、2戦とも同じ立ち回りでレース振りに奥がない。

・1400m2連勝の馬だけにワンペースな走り。マイルに伸びて良い感じはしない。

・タフな競馬で強さを発揮している点は評価して良いと思う。スピードを持続させる能力は標準以上。

ファンタジーSは控えて競馬をしたところ末脚がぱっとしなかった。それまで持ったままで上がって来れた勝負処で手が激しく動いていた。→持続性・持久力があるのでギアを上げる運び方をするよりもスピード任せに運んだ方が好走するのではないか?

 

上記がフェアリーS出走時のカルテ。

 

ファンタジーSが0.5秒差、フェアリーSが0.4秒差。どちらも極端に負けている訳ではないので重賞で通用していないということはない。新馬戦で負かしたロゼフレア、りんどう賞で負かしたセキトバイーストはトライアルでそこそこ走れており、対戦比較からも重賞で通用する可能性はまだある。

 

ファンタジーSは位置取りが後ろ過ぎたこと、フェアリーSはワンペースなこの馬にはつらい加速ラップの展開になっていることなど敗因らしいものはある。どちらもバテてはおらず、この馬の勝ちパターンから逸脱したものだったので力を発揮しづらかっただけかもしれない。自分の形に持ち込めたら好走の可能性はまだ残っていると思う。

 

スピードが勝っているタイプなので直線で加速して突き放すというのは難しい。タフな競馬で強味があるので、消耗戦になれば頑張れる。距離短縮も本来の適性距離に戻るので条件好転としておきたい。

 

ただ、チューリップ賞にも、フィリーズrvにも登録が無かった牝馬。それまでの使い方からしてなんでここ?と言う疑問は残る。調整が間に合わなかったのかもしれない。ここ出走の意図は把握しておきたい。

 

タイキヴァンクール

・1400mの近2走で2・1着と距離短縮してパフォーマンスを上げている。前進気勢のある馬なので1400mの方が向いているように思う。

・10月の復帰時に馬体を大幅に増やし、500kを超えた大型馬に。走りも力強くなり、脚も威力を増している。

・重馬場だった2走前と良馬場だった前走で走破時計がほとんど変らないのは気になる。パワータイプの道悪巧者かもしれない。→厩舎からも同様の評価がされていて、道悪希望の声が出ている。天気・馬場次第で評価を調整すると面白いかもしれない。

 

上記がシンザン記念出走時のカルテ。

 

シンザン記念10着。テンに速かったレースを積極的に追いかけていたので終いの脚を残せなかった感じか?控えて乗った朝日杯FSよりはしんどいレースになったのでその分パフォを落としてしまった。バタリと止まりはしなかったが雪崩れ込むだけになってしまった。本質的な距離適性が出てしまった印象。1400m向きの前進気勢がり、この距離なら差しポジションから力強い末脚を使える。強調出来るほどの結果は残していないが、近2走よりはこの馬向きの条件になるだろう。前走以上にはやれそうである。なお、厩舎からは道悪歓迎の話は良く出るので、天気次第で評価を調整した方が良い。

 

ハクサンイーグル

 

マイル戦と1400m戦を交互に2戦づつ消化して、前走の1400m戦で勝ち上がる。ここまで馬券圏入着3回、5着1度と掲示板を外す事はなかったが、マイル戦ではどちらも1.1秒差と着差を大きく負け、1400mでは僅差の競馬となっている。このことからも分かるように1400m戦の方が最後まで脚が持続しており、適性はこちらの方にある。緩急のある走りは出来ていないので、マイル戦ではジワジワとしか伸びず、瞬発力のある馬に交わされていったり、詰め切らなかったりとしている。スピードを持続させるだけで良い1400mの方が勝ち負け出来る公算が大きい。

 

しかしながら、1400mで強い競馬をしているかと言えばそんなこともない。前走は3馬身差の圧勝だったが、府中戦なのでペースは遅く、その割には後半の伸びが平凡で時計は標準よりちょっと良い程度のもので特記するまでのスピードや持続性を発揮してはいない。

 

また、ここまでの3F通過タイムは1・3・4走目が全て35.3秒で、2走目も35.6秒と同じような通過タイムになっている。この区間で2・3番手の先行ポジションに落ち着けてくるので、この馬はいつも同じリズムで競馬をしているに過ぎない。ファルコンSでは33秒台の通過がざらにある前傾ラップになりやすい傾向があり、遅かったとしても34秒前半で推移する。これまでのペースよりも1~2秒は速い流れに確実になるので、それに対応して、なお強さを示すことが出来るか?ということになる。恐らく置かれた位置取りになると思うが、そうなると末脚が際立つタイプではないので直線で巻き返して来る姿はちょっと想像できない。

 

ファルコンS(GⅢ)の予想案はこちら▼