競走馬カルテ

2・3歳重賞の出走馬を分析・記録していくブログです。

函館2歳ステークス(GⅢ) 出走馬カルテ 2023

 

こんにちは。

 

函館2歳Sは2歳馬にとって最初の重賞です。新世代の活躍がいよいよ始まります。とは言え、函館2歳Sは本当に難しいですね。新潟、札幌、小倉と夏の2歳重賞はどれも難しいですけど函館は特に難しいと思います。夏の終わりに行われる他の3重賞と違い、函館2歳Sは2歳戦が始まって1ケ月ちょっとで行われるので検討材料が特に少ない。各馬の奥行が見えにくいですね。可能性で予想する部分が多くなるため本筋を見つけにくいなぁと毎年思っています。

 

また、こういう事情を1番人気の成績が象徴しています。この10年で【3・1・0・6】と半数以上が馬券に絡めていません。そして、馬券になれなかった1番人気は近年に集中していて17年1着カシアスを最後としてもう5年間も1番人気の好走がありません。年を追うごとに1番人気の信頼性も低下しています。

 

世代最初の重賞は当てて勢いを付けたいところですけど、これはあまり力んでやる重賞ではないと思いますね。火傷をしない程度に頑張りたいと思います。

 

函館2歳Sは15日(土)に行われます。前日の14(金)には更新を完了します。出走予定馬がまだはっきりとしていないので確認出来た馬からカルテを作成していきます。

 

予想案は各ページの最下部にある専用ページにまとめてあります。ブログカードを貼っておきますのでそちらをご覧ください。

 

コルルディ

 

開幕2週目の函館1200mを新馬勝ち。スタートはちょっと鈍く、押っ付けて二の脚を引き出してハナに立ち逃げ切り。スピード感はそれほど感じさせなかった。隊列的にも単騎に持ち込めてリードを保てたのが良く、4F目に12.6秒までペースを落とせた。結構楽に運べていた。展開のアヤで勝てたようなところはある。その割にはラスト1Fの失速が大きく、2着馬にクビまで詰められている。直線に入ると3馬身ぐらいのセーフティが取れたのにそこから伸びきれなかったのは物足りない。時計的には標準的な感じも受けるが本番では1秒以上も時計を詰める必要がある。レース振りにも際立った強さは感じられないので上積みは大きくないといけないだろう。どれだけ変われるか?

 

ナナオ

 

コルルディが勝った新馬戦で2着。次戦の函館1200mで未勝利勝ち。走破時計は2走とも全くの同タイムだが未勝利は稍重だったので時計的な上積みはあるのだろう。序盤の行きっぷりも初戦より良くなっていたので変わり身も感じられた。2走とも先行集団に混じれていて序盤で良いところを獲れるセンスは感じられる。新馬戦は控えすぎて負けた感があったので、未勝利は2番手から力を余さない乗り方が出来た。先頭に立ってからもしっかりと伸びていて加速ラップを刻んで3馬身差の内容は悪くない。ただ、410k前後と馬格がないので中1週間隔の3走目がどうでるか?2戦とも2k減量が騎乗していたもので定量戦での担保がない。ここまでは力差のある相手関係だったのでモマれる事はなかったが、同レベル相手のフルゲートだと身体の小さい牝馬なのでその辺が不安材料になるかもしれない。

 

スカイキャンバス

 

函館開幕週の開幕日で1000mの新馬戦をデビュー勝ち。逃げ切りだったがこの馬が速かったというよりも他が遅いというだけで猛烈なスピードを発揮した訳でもない。スタートも特別速くなかったし、見た感じ逃げたくて逃げた訳ではなさそうなので番手でも競馬は出来そう。テン3Fは34.5秒とあまり速いものではない。楽に逃げられていただろう。また、開幕日のレースで馬場の恩恵もあったと思われる。それらを踏まえると終いの失速率が大きくなっているのは感心出来ない。もう少し加速出来たと思うので新馬戦の評価としては微妙なレベルに感じる。この程度のペースで失速していて1Fの延長を克服できるだろうか?函館2歳Sではテンの速さも上がるし、叩いた効果で全体的なスピード感が出てこないと厳しくなりそう。

 

チークタイム

 

阪神最終週の1200mを新馬勝ち。2番手から叩き合いで押し切った。ゲートは速かったがダッシュ力は弱いようで序盤からガシガシ押していた。そこまで速いテンでもなかったのでスピードの乗りはあまりよくなかった。3F通過35.4秒とマイル戦並みのスプリント戦だった。函館2歳Sでは序盤のペースが2~3秒は速くなるので新馬戦のスピード感だと流れに乗るのは一苦労と言う感じになる。2走目で素軽いところを見せないといけないだろう。また、終いももう少し伸ばして欲しいところで少々物足りない。直線で数頭の叩き合いになり追って追ってようやく抜け出したという内容は目を見張るような強さではなかった。至って標準レベルな印象。全体的に速さを感じさせなかったので時計のかかる洋芝はプラスに働きそうではるが。

 

バスターコール

 

2歳戦の開幕週に府中1400mでデビューして新馬勝ち。一番外の9番枠からソロっと出て徐々にスピードに乗せて行きハナを奪って逃げ切り。3~5Fをオール11.5秒の持続ラップを刻んでいった。走りがワンペースなようで直線でギアが上がる感じはなくクビ差の辛勝だった。突き抜けて勝った訳ではないので地味に映るが時計面を見るとそうでもない。府中1400mの新馬戦は3鞍組まれていたのだが他の2レースはどちらも勝ち時計が1:22.8と同一だったが、このレースはそれを0.5秒上回る。本馬がタイトなペースで引っ張った事で時計的な価値は高くなったようだ。このペースはこの時期の2歳馬にはしんどかったようでレースは消耗戦の様相を呈している。最後はどの馬も苦しかったよう。本馬の直ぐ後ろの位置にいた馬が2・3着しているようにこれらに脚を使わせなかったと考えると内容がありそうな印象になる。この3着馬が次走で勝ち上がっているようにレベルもそれなりにあったようだ。現状はスピードに優位性を持っているので距離短縮がマイナスになることはないだろう。ペース的には函館の短距離を勝ちあがって来た馬とほとんど変わりがないのでレースの流れには間違いなく乗れる。番手が利くようなら大きく崩れなさそう。

 

ベルパッション

 

開幕2週目の函館1200mを新馬勝ち。スタートでやや出負けしたが軽く促しただけですぅーと反応してリカバー。4番手まで押し上げる。しっかりとした二の脚が使えるよう。最終週コーナーでゴチャついたので仕掛け遅れてスムーズに抜けだした2着馬に差を拡げられてしまう。しかし、追い出し手から瞬時にキレてグイグイ伸びて差し切った。脚の回転が速いので瞬時にトップスピードに加速した。こういう所は序盤で見せた二の脚の速さと同様。仕掛けてガーっと掛かる事もないのも良いと思われ気性的な欠点は今のところ無さそうだった。勝ち時計は今回のメンバーでは速いほうで評価は高く見積もれる。この新馬戦も3F通過は35.1秒と遅いが、ラスト3Fで加速ラップが記録されているので内容的には好感が持てる。その加速ラップを差し切ったという点はこの馬の末脚の良さを感じさせるところ。前向きな評価をしてよさそう。

 

ルージュレベッカ

 

7/1の函館1200mを新馬勝ち。勝ち時計は1:12.2と遅いが稍重で行われたので仕方ないのかもしれない。鈍いスタートだったが二の脚を利かせてハナへ。3F通過36.2とマイル戦でも遅い部類に入る超スロー逃げ。ラスト2F目でラップスピードを上げて後続を突き放し完封した。が、この程度のペースアップに対応出来ないのだから相手は相当弱いと思う。6頭立てでもあったし、かなり恵まれていたのではないだろうか?また、これだけ楽に運べているのにラスト1Fに1.0秒も失速しているのは頂けない。2着馬にかなり詰められてしまった。使える脚が短い印象になるので決め手勝負になると強気に推せない。今回の様に逃げれるかは分からないが控える競馬をしても味がないのではないかと思う。大きな変わり身が必用で上昇度で他馬を上回っていないと厳しそう。中1週でどこまで変われるか?

 

ロータスワンド

 

姉が15年に、兄が19年にこのレースを優勝している。本馬がここを勝てば4年おきに姉兄妹がこのレースを勝つという珍しい記録が生まれる。どうだろうか?その可能性は小さくないかもしれない。函館1200mを勝ち上がってここに出走する馬は多いがその勝ち時計のほとんどが1分11秒台だったりする。この馬の勝ち時計1:10.2は極めて速い好時計と言える。当然開催NO1の速さ。こういうところにこの血統の強味が現れているように思えてならない。スタートをポンと出てスムーズにハナに立つ。初手のスピードの速さは兄ビアンフェを見ているよう。そのまま緩めることなくタイトなペースで逃げて行く。3通過34.6秒は他のレースと比べてかなり速いし、それでいて最後の失速もそこまで大きくない。スピードの持続性が明らかに高い。これだけだと秋の中央場所で心許ないのだが今回のメンバーでは1・2枚抜けている印象になる。他馬の変わり身次第のところもあるがそう言うものはこの馬にもあるだろう。現状は高めに評価しなければならない。

 

アガシ

 

函ダ1000mでデビューして4着。発馬鈍く中団から。この時の勝ち馬ゼルトザームとはここで再戦となるがこれと比べて動ききれていなかった。この2頭は序盤の立ち回りがほぼ同じなので比較しやすいのだがスピードの乗りも、道中の機動性も、上がりの速さも勝ち馬に劣っていた。4着でもあまり良い印象にはならない。次走は中1週で函芝1200mを使い勝ち上がっている。このレースでも発馬が鈍く、ダッシュも付かなかったので最後方からと完全に出遅れてしまう。ただ、道中の走りは良くなっていてラスト900mぐらいから進出を開始する。スピードの乗りも新馬戦より良くなっていて最終コーナーに入る前にはもう先頭に並びかかていた。1度使ったので変わり身をみせたのかもしれないが、新馬戦の物足りなさはダ―ト適性のなさに起因しているのかも。直線に入ってからは逃げ馬とマッチレースになり交わせそうで交わせない叩き合いを続けた。ゴール前で相手が止まったので差し切ることが出来た。約1000mぐらい脚を使い続けていたので短距離馬としては脚が長い。出遅れ分を考えれば良く頑張っていて、この2着馬も連闘ですぐ勝ち上がっていることから2戦目の内容は評価のしようがある。叩き合いの根性戦を乗り切れるタフさも良いところ。ただ、この時計だから勝てたというのはあって、展開には恵まれていたかもしれない。また、どうも発馬が良くないようなのでこの点をもう少し改善すべきだと思う。少頭数だから良かったが、フルゲートだと前走の様にマクるのは楽ではなくなる。直線でギアを上げられる感じも無いので切れ味勝負になると厳しくなる。早め先頭の態勢を確保するためにもやはりスタートは決めておきたい。

 

カレンナオトメ

 

福島1200mでデビューして3着。1番人気だったので取りこぼした印象。出遅れてしまったので急かしてリカバーしたが1番枠がアダとなりインに進路を見出せず。早めに外に切り替えるのだがせっかくリカバーしたポジションを後方2番手まで下げるというロスの大きい立ち振る舞い。加えて4コーナーで膨らんだ馬をパスするのにさらに大外に振っているのでこれまたロスが大きい。これで良く3着まで押し上げたものだと感心してしまう。直線では良い伸び脚を見せたが右鞭に反応して外にヨレる場面もあり全体的に荒削りなところが目立った。こんなレースなのでまともだったらなぁとは当然思うところである。内容的には無茶苦茶だがこれだけ動けているので操縦性は高いのだと思うし、機動力も自在性もあった。こういう点は評価しても良いのかも。ここは未勝利のままでの挑戦になる。福島の稍重で記録した走破時計は1:11.6。これは洋芝の良馬場で走っている馬とそう変わらないので力量的には差が無い可能性もある。案外やれるのかもしれない。ただ、中1週の函館輸送なのでローテとしては良いとは思えない。上積みは合って欲しいが良い状態を保つことも重賞になる。短ローテの輸送競馬が影響しなければいいのだが。

 

クールベイビー

 

函館1200mで新馬勝ち。牝馬限定戦、6頭立て、減量騎手の2k減という条件面から評価を高くしたいとは思えない。時計的にも標準級か若干下回るという気がするので積極的な買い材料は見つけにくい。レースの立ち回りは良かった。ハナにも立てそうな好スタートから控えて3番手とレースセンスの良さそうな印象は持てる。追い出してからビュっと反応出来ているので鞍上の指示には従順そうで操縦性も良さそう。36.1秒と超スロー戦だったが上がりを35.2秒と伸ばせているのもまぁ悪くない。レースでちゃんと動けているという点は評価しておきたい。斤量増、相手強化、多頭数とレースのハードルが多いのでそれらをどうクリアするか?

 

ゼルトザーム

 

函ダ1000mを新馬勝ち。ゲートは出たがダッシュ付かず後手を踏む事に。そこから急かしたところスンナリと二の脚を引き出せてスピードに乗せてきた。ここで付いたスピードを持続させて息も入れずにゴールまで駆け抜けた感じ。ラチ沿いから徐々に押し上げて4コーナーで4番手まで挽回していた。新馬戦らしく手応えの無い馬が脱落済みだったので馬群はスカスカとなっていたので手綱を引っ張ることなくスピードに乗ったままコーナーを捌けたのは良かった。直線でも失速することなく伸びきっており、ゴール前では手綱を緩める余裕があった。1000mをほぼ全力疾走したようなレースだったが追えばもっと伸びそうなところもあり、距離が伸びても大丈夫そう。スタートが改善するようならもっと楽に好位も取れそうなのでより良いレースを期待出来ると思う。芝を効力出来るかが鍵になるのだろう。開催最終週で力のいる馬場を味方に出来れば。

 

タヤスロンドン

 

函館1200mを新馬勝ち。稍重だった。5頭立てだった。この条件にしてはテンから流れていて3F通過は35.0秒と同条件の新馬と比べてペースは速かった。本馬はスタートからこの流れに乗っており、逃げ馬に馬体を併せた2番手でレースを進めていた。直線では丹内騎手が恰好つけていて持ったままで抜けだすのだが思うような突き抜けにはならず、ラスト100mを切った辺りから慌てて馬を追い始めた。もっと楽に勝てると思ったのだろう。2歳のこの時期にこのペースはしんどいようでラスト1Fで1.0秒も失速する事になる。ペースについてこれずに置かれていた2着馬の猛追を受ける事となってしまい終いは少々だらしない。丹内騎手が思うほど強くないのだと思う。稍重下の1:12.1は他馬のそれと比べるとそう変わらないように思うが時計優秀と言うものではない。ただ、このペースを押し切れたのは同類にはない評価材料ではあるので評価を低くする必要もないと思う。

 

ナスティウェザー

 

函ダ1000mを新馬勝ち。6頭立てのレースで上位3頭が競り合ってそのまま決着した内容。それ以下は着差を大きくして負けている。仕上げの程度や力差が大きいレースだったよう。強敵相手に勝ちあがったという評価はしにくい。スタートをポンと出て二の脚も利き本馬がハナを取りレースを主導した。最初の1Fが13.1秒となかなか見れない低速戦で3F通過は36.9秒とマイル戦でも超スロー扱いするようなペースで逃げた。競り込まれることもなく、2番手の馬の手応えはむしろ怪しかったためペースを吊り上げる必要が無かったようだ。ラストが加速する上がりの競馬となり11.6-10.9と終いを伸ばしてフィニッシュ。4馬身差と着差を大きくしての勝利。ダ戦のラストで10秒台まで加速させたところは評価して良いかもしれないが、それだけ余力を残せていたという事でもある。ペースや相手のレベルが低かった事が大きかったとも言えると思う。地力の程はまだ分からない。減量騎手の2k減も勝因のうちだと思うので評価のしづらい馬である。なお、同条件勝ちのゼルトザームの勝ち時計と比べると0.5秒も速いが、重馬場であったことや2k減で合った事を考慮すれば時計はゼルトの方が価値があるのではないかと思われる。

 

ルージュレベッカ

 

函館1200mを新馬勝ち。稍重だった。6頭立てだった。発馬で後手を踏んだがリカバーしてハナを奪う。促してからハナに立つまでのスピードは良いものがあった。ハナに立ってからがあーと行ってしまう事も無く折り合いをつけられていたので印象は良い。立ち回りの面は好感が持てた。ただ、この馬もペースの割に終いを伸ばせていないので物足りなさを感じてしまう。前半36.2秒、後半36.0秒で後半に0.2秒しか時計を速く出来ていない。ラスト1Fに1.0秒の失速は大きい。スピードを持続させる能力に疑問を感じる。3着以下には7馬身とついているので評価出来なくもないがこの程度のペースに対応出来ないのはレベルが低いからであり、相手関係には恵まれていたように思う。積極的には狙いにくい。

 

レガテアドール

 

スカイキャンバスが勝った函館1000mでデビューして6着。一番良いスタートを決めてキャンバスと雁行で行くのか?と言う感じだったが二の脚がなく流れに乗れない。置かれるように中団まで下がってしまった。以降の脚色は他馬と同じだったので前との差を詰め切れずに入線。キャンパスとは1.0秒差だった。中2週で函館1200mの未勝利を使い勝利。2戦目の変わり身が大きかった。テン3F33.6秒と古馬戦並みの激しいラップに対応し先行集団に混じった4・5番手を追走して行った。新馬戦より1秒以上速いペースに対応出来たのは評価したいところ。2歳にしたら超速ペースの流れを押し切っているのも地力を感じさせる内容。インから抜けだして差す形で後続を完封した勝ち方も見た目が良いもの。積極的に評価出来る材料が多い。ただ、スピードに乗るのにかなり急かしていったので自発的なスピードは少々物足りないのかもしれない。新馬戦の内容からも速さ比べのレースよりはタフな展開の我慢比べの方に強味を感じる。この未勝利戦は本番に近いレース内容なのでこの経験値は強味になるだろう。消耗戦の展開を乗り切れる根拠があるのは強調出来る。反面、2歳戦らしくないタフなレースをした反動は気にる材料かもしれない。中2週の3戦目となるとどうだろうか?2戦目の経験が吉にも凶にも出る可能性がありそう。

 

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