競走馬カルテ

2・3歳重賞の出走馬を分析・記録していくブログです。

東京スポーツ杯2歳ステークス(GⅡ) 出走馬カルテ

 

こんにちは。

 

昨年の優勝馬イクイノックスがギリギリでGⅠ勝ちをしたので現在3年連続で勝ち馬が1年以内にGⅠ馬になるというエライ記録が継続されました。昔から出世レースでしたが近年はより一層その凄みを増して来います。そんな背景を受けて昨年からGⅡ競走に格上げされていました。世代の中心を担う馬が高い確率で潜んでいます。

 

府中の2歳重賞はどのレースも直線の脚比べになるのですがその傾向がより際立っているのがこのレースです。

 

・上がり最速馬:過去10年の成績は6勝2着3回3着1回と毎年馬券になります。14年に3頭の上がり最速馬がいたのでその複勝率は100%になりませんがほぼ確実に馬券になっていると考えて差し支えありません。

 

・上がり2位の馬:過去10年の成績は2勝2着3回3着2回。上がり最速馬には見劣りますがこちらも現在7年連続で馬券圏確保を継続中です。なお、7~10年前の3年間は馬券圏内が無かったのでこの傾向が近年で強まっている裏付けとなります。

 

このように最後に速い脚を使える馬が圧倒的に有利です。皐月賞イスラボニータ(13年優勝)が34.1秒(良)、ダービー馬ワグネリアン(17年優勝)が34.6(良)と上がりが34秒台だったのはこの2例だけ。それ以外は全て33秒台以下の末脚が繰り出されています。最速上がりの最速は15年優勝スマートオーディンと21年優勝イクイノックスの32.9秒になっています。

 

一昨年優勝のダノンザキッドは③③③から、昨年優勝のイクイノックスは⑨⑩⑧からと圧倒的な末脚があれば脚質や位置取りは関係ありません。また、不器用なタイプでも最後の脚に見どころがあればここで馬券になる事が可能です。

 

このレースの結果はつまりGⅠ馬の素養として優秀な末脚、脚力の高さが絶対的に不可欠だという事を表しているのでしょう。

 

レースは19日(土)になりますので前日の18日(金)までに更新を完了します。

 

ガストリック

 

府中1800mを新馬勝ち。ここは勝って同条件。スタートで出負け。急かすことなく馬なりのまま最後方追走となる。向こう正面で多少詰めたが番手は変わらずに直線に向く。ラスト2F標から追い出して大外一気。最後は1馬身半抜けた。2位上がりが34.1秒だったのでこの馬の33.3秒はちょっと抜けていた。2k減の永野騎手が騎乗していた恩恵はあったが力は違っていた印象。東スポ杯2歳Sならこういうレースで合格点。しかし、相手が弱かった可能性は高く感じる。37.9-63.2の通過ならもっと速い上がりを記録しても良いペース。レース上がり34.4秒はかなり物足りない。メンバー的には抜けていたが、重賞レベルでは走抜けた存在とはまだ言えない。馬群一塊で進んでいたので前との差がそれほど開いていなかったので差しやすい隊列であったのも差しやすかった要因の一つ。それを思うとこの馬の着差も少々物足りない気がしてくる。パフォーマンスとしては中の上か、上の下かというところが妥当だと思われる。ただ、510kの大型馬で使った効果はかなり見込める。2戦目の変わり身次第で終いのキレもより増す事は想定しておきたい。メンバー次第で勝負には持ち込めそう。なお、ノースヒルズの先輩コントレイルが勝った東スポ杯2歳Sよりは5秒以上遅い勝ち時計。コントレイルの時ほど詰める必要はないが、少なくとも3秒は時計を詰める必要がある。

 

ジョウショーホープ

新馬勝ちのレースはスロー展開の割にラストの失速が大きい。もう少し速い上がりを使えてないと評価は高く出来ない。普通の馬の可能性。

・1500mのクローバー賞を3着とそれなりに走ったが時計は物足りないもの。勝った馬も道営馬でレベルは疑わしく、好意的な気持ちにはなれない。

・短距離中心で使われているので1800mへの延長は課題だが1500mはこなしたので距離限界は保留にしておく。

 

上記が札幌2歳S出走時のカルテ。

 

札幌2歳Sで4着。大外枠だったので先行を争いに行く事はなく最初から控える競馬をするつもりだったようだ。3コーナーまで終始3番手。ここから仕掛けて行くのだが他と同じ脚色でマクれない。4コーナーまでに番手を1つも上げれないまま直線を向いた。機動力の無い走りで後半に良い脚は使えていない印象。直線だけの競馬で4着まで追い上げてきたがスピードが鈍った馬を交わしただけと言う感じ。先行していた2着馬の上がりも上回れていないので末脚で勝負して良い馬ではないと思う。近2戦は洋芝戦なので上がりはかかって問題ないが、その前の中京、新潟は速い上がりを使えて良い舞台。そこで34秒台すら記録出来ていないとなると上がりに限界があるタイプと言うことか?洋芝では5着、4着と成績が安定していたことからも上がりがかかる展開が向いている可能性は高い。東スポ杯2歳Sで求められる適性を示せているとは言えない。

 

シルトホルン

 

函館・札幌と北海道で2戦したが勝ち上がれなかった。2ケ月空けて府中1800mで勝ち上がる。ここは勝って同条件となる。新馬戦は不良馬場、2戦目は出遅れと敗因ははっきりとしているが力のいる洋芝で脚が使えているようにも見えなかった。府中の前走で33.9秒の2位上がりで勝利していることからもタフな条件よりは、上がりが速くなるコース・展開の方が向いている可能性はありそう。その前走は6馬身差の圧勝。スローの2番手から直線まで持ったまま。馬なりで逃げ馬を交わし、追い出してからはワンサイド。最後は流す余裕を見せる。1:47.7の勝ち時計はそれほど速くないが(それでもダノンザキッドが勝った時より0.2秒遅いだけ)、最後は流していたので追えば時計はもっと詰まっていた可能性はある。間隔を空けて使った1戦だったので叩いた効果は期待出来、時計を詰められる余地もある。時計的には重賞で通用して良さそう。やはりスピードの問われる展開で良さが出ると見て良いだろう。洋芝2戦の結果・内容は度外視で良いと思う。能力番付をつけるのは難しいが、前で運べる利もあるので後続の決め脚次第で残り目はありそうに思う。

 

シルバースペード

 

2戦目までは1800mを使っていたが伸びきれずに雪崩れ込むだけと言う競馬を続けた。3戦目からマイルに専従し馬券になり始める。マイルだと展開やペース次第で上位の末脚を使えるので1800m戻りには疑問が残る。また一言で言えば、良馬場でも不良馬場でも同じ脚を使う馬ということ。3走前が34.9秒(不)、2走前が34.9(良)、前走が34.8秒と上がりタイムは大体いつも同じ。新潟・中山・府中と全て違うコースでの結果である事からも同じ脚を機械的に使っているという感じ。走りを見ているとキレる脚を使えるような感じはなく、これ以上の末脚を引き出せるイメージは持てない。3着続きで勝ち切れなかった2・3走前は控える競馬をしていたが本馬の末脚では差し切れなかった感じ。その欠点に気付いたのか前走で先行脚質に転換。この馬の末脚でも勝ち切れるポジションで競馬が出来た事が勝因。と言っても、ハナ差の辛勝でなんとか間に合ったという程度。このようにポジションを替えても使える上がりに変化がない。末脚性能に限界がある事をさらに印象付けた。この性能で東スポ杯2歳Sはかなりキツい。34秒後半の脚しか使えないのだから先行してもどうせ差される。ここで劇的な変わり身があればその限りではないが5戦消化の馬にそれを望むのは期待薄。性能も劣り、適性もズレているとなると狙い目は立たない。

 

タイセイクラージュ

 

府中1800mで新馬勝ち。2歳戦にしてはペースは流れていて好時計な勝ちタイム。それでもこの馬は行きたがっていて前進気勢が強い走り。序盤は口を割って折り合いの難しそうな一面を見せる。その割には圧勝の内容。3着馬に8馬身も差をつけた2着馬を2馬身半も突き放した。レースは3番手からの積極策で行く気に任して押し切ってしまった。走りの質はまだまだ粗削りで能力だけで勝ってしまった印象。この結果を受けて続く萩Sでは1番人気だった。ただ、出負けして馬群の一番後ろで折り合いに専念する走り。後半が加速した後傾戦だったので前との差はほぼ詰められなかった。この馬も上がり2位の末脚は使っていたが、勝ち馬とは同タイム上がりだったので位置取りの分だけ負けた4着。末脚勝負だと他の馬と同じ脚しか使えていないので後ろから地力で勝ち切るのは現状難しそうである。気性の問題があるので先行する事が良いかは分からないが控えるよりは現状ベストな気がする。この点で武豊騎手から新馬戦で騎乗した横山武騎手に手が戻るのはプラスになるだろう。この鞍上なら萩Sの様なレースはまず考えられない。御せればの話ではあるが新馬戦のようなレースが出来ればやれないことはない。持ち時計的にも有利な存在である。

 

ダノンザタイガー

 

6月の府中1800mでデビューして2着。ちょっと出負けして最後方付近からのスタート。この時期の新馬戦らしく63.3秒のスローのレースだったので ちょっと構え過ぎだったかもしれない。ラスト4Fぐらいから動き出してスムーズに位置取りを上げて来て自在性のあるところは見せていた。直線では1頭だけ際立った脚を使っていたが、長く脚を使っていたので最後の最後で甘くなった。半馬身届かなかった。勝ち馬は2k減の11番人気馬でいろいろと恵まれた感じなので悲観する負けではない。国枝厩舎の新馬戦なので仕上げずに使われていて「60点ぐらいのデキ」だったそうだ。油断と言うか、隙の多い1戦だったのでこの厩舎ならこんなもの。ちなみにセレクトセールで2億9700万の素質馬である(今年はダノンの高額馬が順調に勝ち上がっている)。こういう馬なので2走目であっさりと勝ち上がった。8月の新潟1800mで未勝利脱出。今度はスタートも決まり、中段くらいでスムーズな追走。行きっぷりも良くなっていて2戦目の効果はとても大きかった。直線も待ったままで射程圏に上がって来て、鞭を入れたら瞬時に加速して突き放す。素質馬らしい勝ちっぷりだった。ただ、2戦目の内容を見るとまだまだ完成には程遠い感じがする。川田騎手はもっと楽な感じで勝ちたかったのであろう。鞭を使うのを躊躇っていた様に見えた。新馬戦でも未勝利でも直線を真一文字に伸びた訳ではなく、フラついたり、切れこんだりと未完成っぽさが出ている。使っている上がりもペースを考慮すれば圧倒的な脚でもない。現状のままなら普通の強い馬と言ったところだろう。この状態でも前哨戦ならやれそうなポテンシャルは感じたが、GⅠを目指すならもう一段上の完成度が欲しい。

 

テンカノギジン

 

新潟1800mを新馬勝ち。ゲートを出てから激しく手を動かしていてレースの流れには全く乗れなかった。最後方付近での追走となる。向こう流しでも気合をつけながらの追走で随所にズブい。これで良く勝てたと思う。33.3秒の最速上がりで差し切っているのだが、これはコース取りによるものと考えるのが妥当。開催最終週だったので各馬が内を空けて最終コーナーを回っていたのだが本馬はぽっかりと開いたインコースを突いた。このコーナリングだけで大半の馬を交わしてしまい、直線入り口ではほぼ先頭に立ててしまった。距離ロスがないからタイムロスもない。それで上がりが最速になったという感じ。また、1000m通過64.8秒の超スローで5.2秒も後半が速くなった後傾戦。33.3秒と言う数字は良いが、その他の馬も同等の脚は使えているので突出した末脚性能とは思えない。これだけのスローだからズブさ丸出しの状況でも勝てたのではないか?標準的な時計と比べると3秒は遅い入線タイムで評価は高く出来ない。東スポ杯2歳Sでは4秒近く時計を詰める必要がある。この馬のズブさで大丈夫だろうか?2戦目の変わり身は必須で素軽いところを見せないとかなり厳しそう。

 

ドゥラエレーデ

 

芝を2戦して勝ち上がれなかった。前走札幌ダ1700mで勝ち上がる。阪神1800mの新馬戦で1番人気だった。抜群の手応えで直線を向いたがそこからの加速が無い。バテて止まったわけでもないのだが、決め手のある馬にどんどん交わされて5着。その点を踏まえてか次走札幌1800mで逃げる競馬にチェンジした。決め手勝負を避けるならこういう競馬は良い。ペースを落としてマイペースに持ち込んでいたがまたしても決め手の有る馬に差されてしまい2着。この勝ち馬は札幌2歳Sを勝つ牝馬なので悲観する内容ではなかったが芝での弱点はより明確となった。どうも最後に脚を加速させる性能が弱い。脚質を変えてもダメと言う事でダートに転向したのだろう。転向初戦を凄い内容で勝ち上がってしまった。馬体を併せて入線した馬が1頭いたが3着とは大差がついている。全体的にタフな展開だったが、キツいペースを持ったままで突き放した様は力強かった。やはり能力は高い馬なのであろう。レースセンスも良く、立ち回りも上手い。走りの印象はかなり良い。ただ、ダートでこれだけ強い競馬をしていることからも芝替わりが歓迎材料の様には思えない。東京スポーツ杯2歳Sで求められる適性からもかなりズレていると思う。芝の高速決着に対応出来る素養は全くと言って良い程ない。早めの競馬からどこまで粘れるかという競馬になるのだろうが、このレースではそう言う馬にも速い脚が求められてしまうのでやはり差されてしまうように思う。

 

ハーツコンチェルト

 

中京2000mを新馬勝ち。8馬身差の大楽勝だがこれは相手が弱かったから。この着差は課題評価に繋がるのでそこは気を付けた方が良い。1000mを63.2秒で逃げた馬がそのまま2着する競馬で基本的には前残りの競馬。3着までは本馬を含めて直線入り口3番手以内の馬が占めている。そう言う意味ではつまらないレース。相手が弱いとした根拠は2着の逃げ馬が上がり2位を記録(35.5秒)していること。このペースでこの程度の脚しか使えないのは感心出来ないし、それを交わせなかった他も大概。本馬を除けば、レベルはかなり低い1戦だった。実際、2・3着馬は既に数戦を消化しているが着を大きく落として負けている。よって、レースそのものに大した価値はない。とは別に、本馬のレース内容は普通に評価出来る好内容。このペースの2000mで上がり33.9秒なら脚はかなりと見積れる。スローを見こして向こう正面でポジション調整をするなどレースに合わせて動けている点も自在性のある証拠。追い出してからの反応もよくエンジンの性能もよさそうだった。大型馬でまだ緩さを残していそうな造りをしていたので叩いた効果はかなり大きいだろうと期待出来る。相手が強化されるので勝ち負けはともかく、圏内の1頭なのは間違いなさそう。

 

フェイト

 

新潟1800mで新馬勝ち。直線は軽く促したのとヨレそうなところを矯正したぐらいでほぼ馬なりで勝った。2着以下には5馬身の差がついている。ここ出走のダノンザタイガーが2戦目でマークした勝ち時計を0.1秒上回る時計で駆ける。既に触れたようにこれも追ったところなく記録した時計なので本気で追えばもっと時計を詰めれていたはす。本気を出すことなくこの内容なので底知れないところがある。ちょっと行きたがる素振りが出ていたが気にならないレベル。使ったことでガス抜き出来ているだろうから折り合い面もさらに進化しそう。レース序盤に速い箇所があったので新馬戦の割にペースは流れていて負荷の大きいレース。上がりはかかっていた。この展開でこれだけの脚を余力たっぷりで使えているのは評価が高い。現時点でこれだけ動けているので完成度も高そうだ。2戦目でパフォーマンスをどれほど上がてくるか?注目の1頭である。

 

ロッククリーク

 

中山2000mを新馬勝ち。良いスタートを切ったが4・5頭の先行争いでゴチャついた。本馬は控えてラチ沿いをとり、そこからコーナリングでインポケ2・3番手をキープする。ルメール騎手のこの立ち回りはさすが。馬も嫌気を出すことなく狭いところで慌てず騒がずエラかった。器用な立ち回りが出来る良い馬という印象で競馬センスもある。ただ、勝ち時計2:02.6は少し物足りない。高速馬場になる秋の中山開催の初日であったのでもう少し時計面で良い処が合っても良いと思うが。追い出してからの反応も鈍く映る。直線はもたもたしていてなんとか間に合ったという内容だった。また、坂で末脚がはっきりと鈍っていて一瞬止まるのではないか?とも思えた。まだ力が付ききっていないのかもしれない。この時の2・3着馬もそれ以降は善戦止まりなので相手に恵まれた感じは強くなる。馬は良いだけに後ろ髪は惹かれるが、時計、内容共に評価を大きくすることが出来ない。少なくとも東スポ杯2歳Sで求められる決め手の優秀さはまるでなかった。中山から性質の全く異なる府中コースで走りが変わる可能性はあるかもしれないが、それ以前に大きな上積みが前提な馬だろう。終いの反応が進化していないとここも苦しい。変わり身必須。

 

東京スポーツ杯2歳S(GⅡ)の予想案はこちら▼

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