競走馬カルテ

2・3歳重賞の出走馬を分析・記録していくブログです。

菊花賞(GⅠ) 出走馬カルテ②

 

こんちは。

 

春の勢力図がそのままスライドすることの無い秋の菊花賞戦線。今年もダービー1・2着馬が不在で、3着馬がトライアルを取りこぼしてしまったために確たる主役のいないまま本番を迎えることになりました。出れば可能性はあると考える陣営は多く、登録は23頭と盛況。賞金900万の馬8頭が3つの残枠をかけて抽選となります。

 

京都で行われていた最後の3年は全てディープインパクト産駒が優勝しているように、直線平坦の京都3000mは瞬発力勝負になりやすいのが特徴でした。今年は昨年と同じ阪神で行われるのでそう言う事にはならないでしょう。実際、その昨年は1番人気を含めて3頭のディープ産駒がいましたが好走する事はありませんでした。阪神の3000mでは求められる適性が違います。

 

同条件の阪神大賞典を見るとやはりスタミナ勝負の消耗戦になりやすい条件だと思われます。昨年はちょっと変なレースになりましたが、長距離を乗り切るスタミナ、内回り条件を乗り切る持続力・機動力、立ち回りの上手さ、そして時に必要とされるスピード。これらが阪神菊花賞に求められる素養と言えるのではないでしょうか?総合力が高いに越したことはありません。

 

菊花賞は23日(日)なので前日の22日(土)に更新完了します。ページが長くなるようなら1ページ10000文字を目安に2枚、3枚と増やしていきます。更新は整理しやすいので前走毎にまとめていくことにします。更新順はトライアルから見ていくことにして、出走が確定している1500万持ちの5頭、抽選を突破した3頭の順とします。

 

10/20追記:ページ上段の前説部分は同じものを転用しています。①②の行き来はページにブログカードを貼っておきますのでそちらから移動されて下さい▼

 

◆その他の出走確定している馬

 

セレシオン

 

今年初頭にちょっと話題になったがダート馬を含む出走馬4頭の実質3頭立てだった梅花賞というレースがあった。3連複は単勝より安く、3連単は270円。その勝ち馬が本馬。そのレース内容は64.3秒の超スローで上がりの競馬。10秒台も含んだ究極的な瞬発力勝負を後方(と言っても3番手)からねじ伏せた点は良かった。脚はそれなりに持っている。

 

また、本馬は13番人気3着ポポカテペトルや10番人気3着ユーキャンスマイルなど菊花賞でしばしば大穴を開けた阿賀野川特別の勝ち馬でもある。09年の菊花賞オウケンブルースリ阿賀野川特別を勝っていて昔から菊花賞とは相性の良いレース。本馬は59.9秒→60.2秒と全体的に淀みの無い展開を2・3番手で進み押し切った。ラストに失速のない加速ラップで突き抜けて3馬身半差。その圧勝は見どころたっぷり。タイトな展開を乗り切り持続性能は標準以上。重賞でも通用しそうな能力がある。セントライト記念は難しかっただろうが、神戸新聞杯だったら勝ち負けだったのでは?

 

ここまで5戦3勝。先行して最速上がりで勝ちきっているので取りこぼしは少ない。負けたのはすみれSとプリンシパルSの2戦。これはいずれも後方に控えすぎていたことが敗戦。この馬のキャラからするとこの乗り方は悪い。2戦で騎乗していたのは和田騎手。クラシックに乗れなかったのはこの人のせい。ただ、この2戦を見ると走りがワンペースでギアが瞬時に上がるタイプではなさそうだ。助走区間を長めにとってジワジワと加速する感じ。早めの競馬を心がければ掲示板ぐらいは期待して良さそう。後は力関係次第。

 

ただ、折り合いを欠くまでではないが気難しそうな場面をレース毎に目にする。操縦性はあまり良くない感じで乗り難しいタイプかもしれない。周りに馬がいると首を上げたり左右に振ったりしているので包まれないように運べるこの枠は本馬には良い気がする。

 

ディナースタ

 

未勝利を勝ちあがるのに5戦を要したがその未勝利勝ち時に今のスタイルを確立した。序盤はゆっくりと進め後方待機、レース中にラップが最も遅くなる区間で一気に動き1・2番手まで進めてしまう。そこから力まかせに押し切って2600mを連勝中。だいたいのレースで向こう正面から動き出すのだがそれがラスト5~6F区間と言うところ。かなり長い脚を使って勝負を決めに来る。豊富なスタミナに有無を言わせている感じ。見た目の印象はとても強い。

 

2走前は失速率の低い持続ラップを押し切っている。11秒台後半の連続ラップなら脚は持続可能。逆に前走は道悪に加えハイペースで苦しい消耗戦だったが、それでも早めに動いて押し切っている。体力面はかなり高い。このスタイルで競馬をするようになって4戦3勝と成績は安定している。体力のない馬には出来ないレースをしているので、ステイヤーとしての能力は本物だろう。

 

問題はこの2戦の出走数がそれほど多く無かったこと。それでマクりやすかった、捌きやすかったというのはある。菊花賞では5~8頭も出走馬が増えるので近2走の様に一気に動けるか?は分からない。距離は大丈夫なのだろうがGⅠでロスの大きい競馬はあまり歓迎出来ない。そもそもこの手の競馬は阪神内回りで絶対的に不利になる。インでソツなく乗っていた馬の脚は簡単に衰えないだろうから差し返されたり、交わせなかったりはありえる。この条件で入着しようものなら大物ステイヤー誕生となるが、果たして?

 

北海道の2600mを勝ちあがって来る馬は菊花賞でちょっと気になる存在になるのだが、それで馬券になったのはこの10年で14年3着のゴールドアクターのみ。時計のかかるタフなこの条件を好んで使う馬は速い時計に対応出来ない鈍足ステイヤーであるケースは多い。現在の菊花賞はスタミナだけではなく、ある程度のスピード能力も必要な要素。中央場所の中距離である程度のスピード競馬に対応出来ていた方が望ましい。その実績がこの馬にはないのでスピード負けの可能性は否定できない。

 

ドゥラドーレス

・ゆったり構えていて前進気勢が弱そうな印象。故に折り合いに不安がない。

・馬群の中、狭い所でも動じない。鈍感過ぎるぐらいでいつも平常心でいる。

・鞍上の指示に逆らうような面も無く、指示通りにスムーズに動く。GOサインが出てからの反応も抜群。一瞬でトップスピードに加速してしまう。

・ペースの遅い、速いもあまり関係が無い。展開不利な場面でも差し切れてしまう脚力はかなり優秀である。

 

上記が毎日杯出走時のカルテ。

 

毎日杯を勝ってダービーと言う目標だったが馬群に包まれて抜け出せず。脚を余して3着だった。しかし、使った脚にはインパクトがあった。先頭にはとても間に合いそうにない差が開いていたが正味1Fで一気に詰めていた。相手もそれほど強い訳ではなかったが、末脚性能が違い過ぎていたのは間違いない。また、道悪だったことからパワーも兼備しているようだ。洋芝の稍重だった前走を楽勝しているのもうなずける。府中の高速馬場ではキレる脚も使えているので馬場に注文がつかない。上がりがかかってもそうでなくてもとにかくレースで一番速い末脚を使う馬。馬場も、ペースも不問なのだから贔屓目に見てもかなり強い。

 

そんな馬が2走前の条件戦を取りこぼしているがこれは福永騎手のせいだろう。63.6秒のスロー競馬で前との距離を取り過ぎていた。詳しくは書かないが、福永騎手のこういう騎乗は今かなり問題視されている。忘れてしまって良い。狭いところをこじ開けてラスト100mで2馬身半も突き抜けてしまった前走の走りが本当の姿。評価は高いままでよいだろう。

 

馬群の中でも平常心を欠くことがなく、折り合いの不安はほとんどない。追い出してからトップスピードに一気に加速出来るエンジン性能も超優秀。ダービーに出ていても面白かったと思う。距離適性についてはやってみないと解らないが延長自体は問題にならないと思う。大トビの馬なので本質的には広々としたコースが良いと思うが札幌の小回りに上手く対応出来ていたので阪神の内回りもなんとかこなせるのではないか?と思う。おっとりしているので序盤は後方になり勝ちだが積極的な騎乗が出来る横山武騎手がそこを補うだろう。未対戦の馬ばかりなので今回は力関係次第としておくが、ポテンシャルはヒケをとらないはず。

 

フェーングロッテン

 

菊花賞トライアルではなく新潟記念でいち早く始動。本番までに間隔を開けたいとのことだった。レース後に再び休めるからとここで全力投球とか、叩き台のつもりはないとかで新潟記念を勝ちに行っている。3着とそれなりに走ったが余力を残した結果ではない。休養を挟んでどこまで状態を上げる事が出来るだろうか?ちょっと不可解な使い方だと思う。これは本番よりも前哨戦でと言うパターンかもしれない。というのも、厩舎側としては菊花賞は出来れば使いたくないみたいな雰囲気があった。兄がスプリントGⅠ馬なので長めの距離に強気になれていない様子。古馬重賞3着ならGⅠで通用の目途は立つが、距離の適性面で評価を少し下げた方が良いかもしれない。また、菊花賞で外枠を引いてしまったのは気の毒である。

 

年末年始の一時期に成績がひどく落ち込んだがブリンカーをつけた事で持ち直し、以降はクラスを上げながら好走を続けている。逃げて勝ったり、控えて勝ったりしているが総じて先行馬と言う認識で良い。脚質には幅がありペース、展開に合せたレースが出来るのが強味だろうか?いつも手応えが無さそうな感じで直線を向くのだが、それでも必ず詰めて来るので見た目以上に強いのだろう。何かに秀でているようには見えず、ストロングポイントの様なものは思いつかないのだが、相手なりには走れてしまうので地味な強さを感じる。今回はどうかも中距離戦なら印は常にいるタイプ。

 

ポッドボレット

 

2月にすみれSを勝つまでは掲示板を外さない走りで安定感があったが、京都新聞杯で大差殿負けをして以降は良いところがない。2番手先行から超ハイペ―スに巻き込まれてしまった京都新聞杯は仕方ないかもと思えるが、以降の2戦はちょっとだらしない。3勝クラスを走っているのでこれもしょうがないのかもしれないがいずれも完敗なので印象は悪い。

 

特に2400m戦だった2走前のジューンSの内容は情けない。これはダービーの2週後に行われた同条件のレースだが、1000m、2000mの通過がそれぞれ3秒以上もダービーより遅いスロペ。これを先行して脱落してしまうのはちょっと考えられない。ダービー出走馬より3kも軽い斤量でこの内容はもう圧倒的に弱い。勝てないまでもゴール前まで接戦していてもらわないとダービー出走組と比較する事も出来ない。この条件で走れるような馬ではないのだと思う。2月に同条件のゆりかもめ賞を2着に走っていたがこの時から0.1秒しか時計を詰めれていないというのも情けないところ。

 

これは神戸新聞杯11着だったレヴェンジルの時にもした話だが、まだ皐月賞を目指そうという時期の長距離戦は手薄になりがちである。強い馬の参戦も無ければ頭数も揃わない。空き巣レースの弱メン相手に長距離のレースを勝ってもそれを長距離適性と安易に捉えるのは宜しくない。本馬も本質的な適性はもっと短いところだろう。

 

本馬は決め手が無いので先行して早めの競馬が理想のスタイル。だが、中距離だと忙しいので楽に先行出来る長距離を走っていた節がある。でも、長距離を先行しても結局決め手が無いのでクラスが上がるにつれ好走機会は減じている。GⅠで好走を期待出来る材料は見当たらない。条件的にも適性外である可能性が高いのだから厳しいと言わざるを得ない。

 

◆抽選対象

 

以下は抽選結果を確認してから更新します。

 

インプレス(抽選)

 

シェルビーズアイ(抽選)

 

レースの流れには乗れるし、ソツなく立ち回れる馬だがラストの脚が並み。クラシックを目指すようなレースでは決め手の無さが露呈してしまう。今は相手が強くない自己条件でコンスタントに賞金を稼ぐような感じである。また、中距離ぐらいだと上がりも速くなってしまうのでこの馬の末脚では対応しきれなかった。2400m以上に延長するようになってから成績は安定する。距離延長でようやく上位の末脚を使えるようになってきた。そう言う意味ではステイヤーと言う評価で良い。ただ、それで強い訳でもなく、現状は2勝クラスで足踏み中。長距離だと他よりは脚が使えるという程度で末脚に圧倒的な優位性はない。基本的にはバテてる馬を交わしているだけなので、地力で差し切れるような脚は持っていないように思う。GⅠだとさすがに強調材料に乏しい。

 

ジェンヌ(抽選)

 

シホノスペランツァ(抽選)

 

この馬も前走2600mの1勝クラスを勝利している。ただ、洋芝の北海道ではなく、時計の速い小倉で勝っている。スピードの持続力が必要になるのコースなので、スタミナオンリーで勝ち負け出来る北海道戦よりは総合力で上の評価が可能になる。本馬が勝った前走もラスト6Fから11秒台の速いラップが連続して長距離戦としてはスピード持続力も試されたレースであった。ペースが速くなっていた分最後は消耗戦となったがそれでも12秒台前半でまとめているので地力がより問われている。1勝クラスとはいえここで3馬身半も突き抜けた本馬の走りは悪くない。

 

勝ち味に遅い馬なので2勝目を上げるのに随分時間がかかったが芝戦に限れば掲示板落ちはなく、安定して走れたいた。距離を伸ばした事で決め手の無さが解消された。レース序盤は中段~後方に控え、向こう正面の中ほどから動きだしロングスパートで勝負する馬。2歳の頃からこのスタイルを確立している。だいたい残り1000mぐらいから動き出して先行集団を射程に捉える。中距離だとスピードのある馬に押し切られたり、この距離の決め手上位に屈指てしまうので勝ちきれなかったが、スタミナの要求度が上がったことでその弱点を克服したと考えられる。長距離適性馬と言う評価で良い。少なくとも北海道を勝ちあがって来た長距離馬には先着するのではないかと思う。後はこの相手にどこまでやれるかに尽きる。強敵相手の経験がないので長距離適性だけで評価を上げる事は出来ない。悪い馬の印象は持たなかったが強調出来る材料は乏しい。

 

タイムオブフライト(抽選)

 

マイネルトルファン(抽選)

 

3戦2勝で負けた1戦もタイム差なしで成績的にはほぼパーフェクト。オークス馬ユーバーレーベンの下で父はオルフェーブル。ここまでの成績、血統などからプロフィール的にはそそられる。ただ、レース振りを見ると随所にズブい。勝負所での反応も鈍いので直線入り口で飲み込まれるように後退する始末。それでも差し返して勝ち負けに持ち込むのだからちょっと変な馬だ。丹内騎手曰く、本気で走っていないとか、ハミをとらないとかで促していないと進んで行かないような馬であるらしい。とにかく、自主性に欠けている。こんな馬がこれだけの成績を残せて来たのはレースの巡り合わせが良いからだろう。2勝の勝ち時計は2分4.9~5.0秒といずれも低速な決着。速い時計にならなかったのでノロくさしたこの馬でも間に合ったというのはあるだろう。それに、こんな時計でしか走れない馬を相手に勝ったところで評価のしようがない。それとも速い流れになればそれなりに走れてしまったりするのだろうか?ちょっとわからない。ズブい馬の距離延長は良い条件ではあるがもう少し自ら進んで行ける前進気勢が欲しい。この中間は馬具で矯正され行きっぷりはよくなっていると言うが、これだけズブい馬がガラっと変わるものなだろうか?その辺も疑わしいところ。正直、この馬だけは抽選で漏れてほしかった。未知が故の可能性がかなりあるので簡単に軽視して良いか悩む。

 

レッドバリエンテ(抽選)

 

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