競走馬カルテ

2・3歳重賞の出走馬を分析・記録していくブログです。

菊花賞(GⅠ) 出走馬カルテ①

 

こんちは。

 

春の勢力図がそのままスライドすることの無い秋の菊花賞戦線。今年もダービー1・2着馬が不在で、3着馬がトライアルを取りこぼしてしまったために確たる主役のいないまま本番を迎えることになりました。出れば可能性はあると考える陣営は多く、登録は23頭と盛況。賞金900万の馬8頭が3つの残枠をかけて抽選となります。

 

京都で行われていた最後の3年は全てディープインパクト産駒が優勝しているように、直線平坦の京都3000mは瞬発力勝負になりやすいのが特徴でした。今年は昨年と同じ阪神で行われるのでそう言う事にはならないでしょう。実際、その昨年は1番人気を含めて3頭のディープ産駒がいましたが好走する事はありませんでした。阪神の3000mでは求められる適性が違います。

 

同条件の阪神大賞典を見るとやはりスタミナ勝負の消耗戦になりやすい条件だと思われます。昨年はちょっと変なレースになりましたが、長距離を乗り切るスタミナ、内回り条件を乗り切る持続力・機動力、立ち回りの上手さ、そして時に必要とされるスピード。これらが阪神菊花賞に求められる素養と言えるのではないでしょうか?総合力が高いに越したことはありません。

 

菊花賞は23日(日)なので前日の22日(土)に更新完了します。ページが長くなるようなら1ページ10000文字を目安に2枚、3枚と増やしていきます。更新は整理しやすいので前走毎にまとめていくことにします。更新順はトライアルから見ていくことにして、出走が確定している1500万持ちの5頭、抽選を突破した3頭の順とします。

 

10/20追記:ページ上段の前説部分は同じものを転用しています。①②の行き来はページにブログカードを貼っておきますのでそちらから移動されて下さい▼

 

セントライト記念(GⅡ)

 

セントライト記念組の菊花賞の成績は過去10年で【2・4・1・46】となります。数の上では神戸新聞杯より大きく劣ります。それでも、昨年は菊花賞でワン・ツーを決めています。まるでダメと言うトライアルではありません。また、神戸新聞杯組の成績を底上げしているのはダービー好走馬によるものです。ダービーの1・2着馬がいなかった今年の神戸新聞杯は恐るるに足らず。3着馬もセントライト記念を出走していたことからも今年は神戸新聞杯組以上のパフォーマンスを発揮する可能性は高いと思われます。

 

見た目のイメージにインパクトの無いレースでしたが、道中は締まった流れで地力の問われる展開であったように思います。まず、勝ち時計が優秀です。良馬場だった翌週のオールカマーより、稍重だったセントライト記念の方が時計にして0.9秒も速い。年齢差も、馬場差もセントライト記念の方が不利なはずなのにパフォーマンスが高いというのはとんでもない話です。古馬GⅡ以上に走った今年はレベルの高い1戦であった事は間違いないと思います。

 

1000m通過60.3秒はこの距離なら速い方で、そこから後半に全体時計を1.1秒後傾させているのでそんなに楽な展開ではありません。2着アスクビクターモアは3番手からタイム差無しに走っていますのでやはり強いです。同じような位置で競馬をしていた4着セイウンハーデスより1.0秒も速い末脚を披露していることからも力差は歴然。上がり2位を記録して直線では完全に抜け出していますのでレース内容は良いですね。

 

1着のガイアフォースはアスクビクターを目の前に置きマークしながら進めていましたが、いち早く前を捉えに動き地力でダービー4着馬をねじ伏せた内容は立派。道中はそれほど離れていなかったのに上がりでアスクビクターを0.3秒も上回れているのも凄いと思います。また、3着だったローシャムパークがアスクビクターと同タイム上がりを記録しているのですが、この馬はガイアをマークしていた馬。それでもガイア以上の脚を使えていません。3着馬との比較でもガイアの末脚性能の高さが浮き彫りとなります。前を行く2着馬をねじ伏せ、3着馬に完封の内容は見た目にも素晴らしいものです。

 

1着:ガイアフォース

・脚質は先行で2・3番手ぐらいを折り合い良く進めて安定感ある走り。

・先行馬なのに末脚の性能が高く、確実に上位上がりを記録する。

・ハイペースを先行しても後半にさらに速いペースで後半をまとめてしまう。持続性能が相当高い。

 

上記がセントライト記念出走時のカルテ。

 

セントライト記念を完勝。これで5戦3勝となったが、勝った3勝は全て上がり最速、負けた2戦はいずれも上がり順が2位。脚を使い切る競馬が出来れば確実に勝てる。また、負けた2戦は共にラスト3Fの上がりの競馬。軽い流れの瞬発力勝負だと脚を余して負けてしまう。これでだいぶキャラがはっきりしてきた。持続力の問われる展開、長い脚を求められる展開で強さを発揮するということになる。しかも、先行して最速上がりを記録出来てしまうのだがら競走馬としては無敵。脚を使い切るとここまで強いのがというのがセントライト記念だったと思う。2・3着馬が35.0秒の同タイムで上がり2位だったが、馬場、展開を考えると普通はこのぐらいが限界点だと思う。ガイアは出走馬中ただ1頭だけこの限界点を突破して34.7秒で駆けた。タイトな展開を先行してこれだけの末脚が使えるのは凄い。心肺機能はバケモノ級ではなかろうか?前にいたアスクビクターはまだしも、後ろにいたローシャムは末脚自慢。それすら上回ってしまうのだから脚力も相当高いことになる。見た目のインパクトは薄かったが、強烈なパフォーマンスだったと思う。レースセンスも良いし、立ち回りも上手い。いつもリズム良く走れているので折り合いを欠くシーンは考えられない。高速決着もOK、道悪もOKと馬場も問わない。スピードもあって、パワーもあってと言う事なし。距離に関しては未知数だがそれはどの馬も同じだし、気性面や心配機能の高さから問題には感じない。直線平坦の京都なら瞬発力勝負になるので取りこぼしも考えられるが、阪神ならそう言う事もない。客観的にここまで書いてきたつもりだが、この馬の1強では?と思えて来る。菊花賞は通過点ぐらいにしてもらい、早く古馬との対戦が見たい。有馬記念に出てくるようなら本命候補?

 

2着:アスクビクターモア

・コーナーで上手く加速が出来るので持ったままで直線に向いて来れる。それを可能にする先行力も機動力も高いので1周コースの条件は最適。

・直線の長い府中だと差されるが、直線の短い中山だと立ち回りの上手さで誤魔化せる。直線の長さが問題なだけで左回りに不安はない。

・レース条件が上がるにつれ上位上がりが記録出来なくなっている。末脚勝負は分が悪い。ラストの上がりにも限界がありそうで速くても34秒台がせいぜい。

・力んで走るタイプのようなので距離が延長されるとどうか?

 

上記がセントライト記念出走時のカルテ。

 

負けはしたが収穫の多い1戦。春までは常に全力疾走と言うタイプだったが、セントライト記念ではリラックスして走れていた。それまでは騎手が我慢させながら走っている感じだったが、セントライト記念では手綱を引っ張るようなシーンは無かった。夏の休養で精神的な成長があるとの話だったがその点をレースで確認出来たのは良かったと思う。道中でのタメも利いていたようで追い出してくれビュンと加速するような仕草も見せており、春までのレース振りとは様変わりしている。春までの気性では菊花賞は危ういところだが、これだけ折り合えていれば問題は無いと思う。勝ち馬も凄かったが、ダービーでの走りからこの馬の心配機能もかなり高い。ガイアフォースの強さが目立っていたが、こちらはマークされる展開上の不利があったし、本番を見据えてオツリを残した仕上げでもあった。叩き台としの内容なら悲観するこはない。一度叩いた効果があればより心臓面が強くなるだろう。気性が改善された事をレースで実感できた鞍上の収穫も大きいはず。セントライト記念より強気な立ち回りも可能になってくる。菊花賞でも中心の一角という事で良いと思う。

 

4着:セイウンハーデス

・位置的なアドヴァンテージを活かして直線早め先頭から粘り込むのが馬券パターン。スタートから先行するセンスは高い。

・11秒台に加速すると激しく手が動くタイプで、スピードの持続性能はかなり弱い。強制的にスピードを上げる必要がある。勝負所で置かれてしまう事も度々。反面、追ってバテないのは強味で体力面は高い。

・道悪でも走りの質は落ちない。ラップが高速化しない分だけこの馬には都合が良い。

 

上記はセントライト記念出走時のカルテ。

 

上位とは力差を感じさせた4着だったが、GⅠでそこそこだったラーグルフ、オニャンコポン、ボーンディスウェイ辺りの追撃は凌いだ。もっとズブズブになっても良いようなペースであったが良く粘り通したと思う。タフな展開や消耗戦に強いこの馬の良さが出ていた。目立った成長は無いが中身がかなり良くなったという事で春よりは良い状態にある。レース振りは良い意味で春までとブレが無いこの馬らしい走りだった。ポンと出て楽に先行ポジションを取れたこと、トリッキーなコースを器用に進める立ち回りの上手さなどは相変わらず素晴らしい。また、勝負所で11秒台に加速したとたんに手が激しくなり急なペースアップに対応出来ないのもこれまで通りだった。そして、最後までバテずに走りきれたのも春に同じだった。基礎的な力は強くなっているかもしれなが、適性・性能における変化はない。この個性だと阪神3000mの評価は五分五分。バテないという意味では距離延長には対応しそう。また、京都なら瞬発力勝負になるので厳しいが、阪神なら持続力、持久力の方が求められるのでこの馬に向く可能性は高くなる。有力馬の何かがコケれば残り目が合っても良いように思う。反面、阪神内回りは3~4角で11秒台が連発する持続戦になるのでこの馬のズブさでは対応出来ないだろう。手を激しく動かしているうちに脚の有る馬にマクられてしまうと思う。それを回避するには早めに吹かして行き直線の粘り込みに賭けるしかないだろう。バテない馬なので結構粘れると思う。人気も無いので一か八かの勝負をして来れば面白い所はありそうだ。

 

 

6着:ボーンディスウェイ(抽選)

 

抽選突破の場合に更新します。

 

神戸新聞杯(GⅡ)

 

中京2200mはもともと重賞設定の無いコースなので未だにどういうものが標準的なのかが私は良く解っていません。ここ2~3年でこの条件で行われた3歳重賞は神戸新聞杯の他に京都新聞杯があります。ここまで神戸が3年、京都が2年行われています。このうち不良馬場だった21年神戸新聞杯を除く良馬場の4レースを客観的に見比べたところ今年のレースは良くも悪くもないという印象で、これが標準的と言う事なのかもしれません。

 

ただ、春の京都しろ、秋の神戸にしろ中京2200mの重賞からGⅠを好走したのはコントレイル1頭しかいないのであまり良い印象にならないですね。中には昨年の菊花賞で1番人気だったレッドジェネシスがいましたから。この条件からスター誕生を望むべきじゃないのかもしれません。

 

神戸新聞杯組の過去10年の成績【7・4・4・50】は群を抜いて優秀ですが、中京開催になったここ2年でアベレージを低下させていると捉えることが出来ます。この間にセントライト記念組が1勝2着1回3着1回と逆にアベレージを上げている点は無関係とは言えないかもしれませんね。今年もセントライト記念組を中心視するのが良いかもしれません。

 

今年のレースを細かく見ていくと3F通過が34.7秒と中長距離のレースにしては速いペースで流れたのですが、それ以降でペースが緩む区間が2~3Fと続いたので後半に備えて各馬が脚を溜められていた展開だったと思います。その結果、上がり1~3位の馬が上位を独占する結果になりました。上がりの速い順に確認してみると3着ボルドが34.3秒、1着ジャスティン34.4秒、3着ヤマニンが34.5秒となっています。それぞれ0.1秒づつしか差がありません。突出した上がりを使った馬はいませんでした。

 

これはつまり単なるポジションゲームです。使った末脚に違いがないのですから道中の位置取りが大事だったという事になります。このことから言えるのは勝ったジャスティンの3馬身半差はインパクティブに見えましたがこの馬の力が圧倒的であった訳ではないのです。枠や展開が違えば当然違う結果になりますので絶対的な存在になりえてはいないと思われます。2着ヤマニンは武豊騎手が「キメ撃ちしました」とレース後に語ったようにラチ沿いで脚溜めに徹した直線勝負が功を奏した結果でしょう。それで先行していたジャスティンの末脚も上回れないのは物足りないものです。これなら最後方から大外ブン回しで3着まで来たボルドの脚力の方が何枚も上ですね。

 

1着:ジャスティンパレス

・立ち回りの馬い馬だが勝利したレースは少頭数な上、スローの上がりの競馬ばかりでレース内容は質感が薄い。

・タイトなコース設定より、広い大箱コースの方が向いている。ゆったり運べるコースが良い。

・持続性能が高いようには現状見えず、長く脚を使う必要のあるレースは厳しいだろう。

 

上記が神戸新聞杯出走時のカルテ。

 

賞金を持っていたので神戸新聞杯を勝つために仕上げてはいないが、春の成績がジリ貧だったので相手が弱まるここが正念場みたいな気持ちが厩舎にはあった。そう言う意味では勝てて良かった。本番へのオツリは残っているので叩いて良くなって来る。距離適性は分からないがこの馬自身は前走以上の状態になる。

 

直線で本馬が先頭に立ったのは残り1F。逃げ馬が築き上げて来たレースラップを最後の1Fで本馬が引き継いだことになる。しかし、そこから加速ラップを記録したわけではなく、0.9秒も失速しているのでこの馬自身が伸びた訳ではない。見た目ではこの馬だけが突き抜けたように感じるが本馬もしっかりと止まっているのである。それで圧勝となったのは周囲にいた馬が弱いだけある。2・3着が後方待機組であったのも同じ理由。先行~中段でレースをしていた他馬が物足りなさ過ぎる。ラストの失速が大きいものは距離が長かったのかもしれないが、この馬の脚が続かなかっただけの可能性が高い。持続性に弱い点はカルテ通りでもある。この時のラスト4Fのラップは11.6-11.4-11.2-12.1となっている。使える脚は連続する3F区間ぐらいがピークでそこからは失速していき最後まで脚が持続しない。ひと夏越しての成長はあったようだが脚質や個性的なものに変化は見られない。勝てた事はエライことだがこの程度のペースでここまで落ち込むのか?と言うのもあるので地力の高さはさほど感じない。相手が強まるGⅠで強気に推せる様な内容ではないと思う。ただ、上がりの競馬だった昨年の競馬の様に展開なれば出番はありうる。立ち回りの上手さで何とか誤魔化せればよいが。

 

2着:ヤマニンゼスト

・基本的に速い脚が無いのでレースの序盤や、後半で11秒台の速いラップ区間では忙しい。序盤のダッシュ区間では二の脚がないので置かるし、勝負所のペースアップでは手が激しく動きながら置かれてしまう。

・スピードの持続性能に劣るので1周条件だと3~4コーナーのペースアップに対応出来ない。直線の長いコースやワンターンなどがコース的には良く、その上で上がりのかかる展開が理想。

・地力で動く事は出来ないので上級条件で勝ち負けに加わるには基本ハマり待ち。

 

上記が神戸新聞杯出走時のカルテ。

 

二の脚がないのでいつもの様に出たなりで後方へ。武豊騎手曰く「決め撃ち」の競馬で終始ラチ沿いで死んだふり。直線でラチ沿いを渋太く伸びてきた。コナーがキツい中京の多頭数は直線で外に膨れるので良くインが開くためこういう事もある。騎手はこれに賭けていたのであろう。速いラップ区間では一杯に追っても番手は大して変わらずに食らいつくのが精一杯だったが、ラスト1F標前からレースは減速を初めていたのでこの辺りから前との差が縮まり始める。失速率が大きくなったラスト1Fで一気に浮上した。鋭く上がってきたように見えるが他が止まっているだけでこの馬が加速して浮上した訳ではない。また、上がりのかかる展開となった事でこの馬の末脚が通用したというのはある。ここまでの上がりは34.4秒が最も速く、この時が34.5秒。この馬にはこの辺が限界であろう。神戸新聞杯はハマり度の高いレースで非常に恵まれていた。

 

ただ、神戸新聞杯はフロックであるが菊花賞はこの馬の競馬が通用する可能性がある。この条件なら33秒台の上がりが求められる事はほぼ無く、35秒台ぐらいが標準的なもの。この馬には走りやすいレース。また、本馬自身は気性が良く、折り合いを欠く事が無いので距離延長もこなせると見るべき。そして、騎手の支持に従順なので鞍上次第でレース内容に落差が出るタイプ。長距離戦ではさらに騎手の依存度が高まるので武豊騎手の連続騎乗は魅力的な材料。このように神戸新聞杯よりも菊花賞の方がこの馬の適性には合っていると考えられる。相対的な脚力は評価を低くせざる得ないのでねじ伏せるシーンはまずないが、神戸新聞杯の様なインをセコく乗れるなら可能性がちょっとある。内枠を引けばその可能性はより上がり、有力馬の失策が重なればあるいは。

 

3着:ボルドグフーシュ

・スタートも良くないし、前進気勢も弱いので後方マイポジションな馬。気性的なステイヤーと言う感じ。

・追い出してからの反応も遅いため3~4角でマクる事が出来ない。ペースアップした途端に流れに置かれてしまう。だから直線入り口最後方と言う事がほとんど。地力で勝ちに行けるタイプでは無い

・最後が甘くなっているので脚も言う程長くない印象。

・本質的には2200mでも忙しいと思うので追走が楽になる菊花賞に出走するならその時にはもう少し良い評価が出来る。

 

上記が神戸新聞杯出走時のカルテ。

 

2勝クラスを勝ったのが6月なので菊花賞に備えて夏を休養に充てる。結果的に賞金クリアであったが前走時はまだ安泰と言える状況ではなかったので神戸新聞杯では権利獲りのため十分に乗り込んで結構仕上げている。メイチと言う訳でもなさそうだったが上積み幅は大きくならないかもしれない。それでも夏の成長は大きかったようで厩舎では完全にGⅠを意識する存在になっている。

 

だだ、レース振りに春と変わった面は見られない。スタートから行く気を見せずにいつもの後方マイポジション。ラスト4Fから動き出すがズブいので3~4角で前との差を詰め切れないままいつもの直線勝負。自在性のない走りは春と同じ。これで良く馬券になっていると思うが、それも出走馬のレベル次第なのでGⅠでドンと来いと言う脚質ではない。これで5戦連続上がり最速を記録とその末脚は確実だが、GⅠでその優位性を保てるかは試金石になる。

 

神戸新聞杯と同じ条件の京都新聞杯でも同じ3着だったが、上がりがかかった京都新聞杯の方がタイム差が小さい。直線後方から追い込むので上がりが掛かった方がハマりやすいということだろう。その点で菊花賞はこの馬向きの条件と言える。今までに見せた事のない強さをここで披露する可能性はありそうだ。厩舎の評価も長距離歓迎のスタンスなので適条件と見てよさそう。今まで使った事もない末脚を見せる可能性は高いと思う。ただ、阪神内回りで大外からマクる競馬はやめて頂きたいところ。

 

5着:ヴェローナシチー

・序盤の行きっぷりが悪く、促しても進まず。後方マイポジションな馬。

・レース中盤から動いて行くタイプで使っている脚は長く渋太い。地力で前を捕まえに動いていけるのでこの脚質でも2・3着を外さない。

・器用な馬で馬群の中をスイスイと進んで行ける機動力がある。狭い所にもひるまずに突っ込める精神力も高い。追込み系にしては立ち回りにロスが少ない。

 

上記が神戸新聞杯出走時のカルテ。

 

神戸新聞杯掲示板は死守したが初めて馬券圏内から漏れてしまった。権利を意識した参戦であったが、青写真通りとの事なので特に目一杯に仕上げたという感じはない。上がり目はそれなりにあるだろう。レースも脚を余して負けているので余力は残っていると思われ、上積みはそれなりにあると思う。

 

この馬も3着ボルドと似たキャラで序盤の立ち回りが鈍く、後方マイポジションである。結構な頻度で上がり最速を記録しているので後半に確実な脚を使える。ただ、こちらには自在性があるのでレース中盤から勝ちに動いていける。残り1000m前から動く事もあるので最後に鈍ってしまう事もあるが、使える脚はかなり長い。外をマクって行く事も、馬群を切り分けながら進出することもありレース中の選択肢は多い。

 

神戸新聞杯は馬群の中から徐々に進出していこうとしたがあいにく3~4角で馬群が固まり前が大渋滞。直線に入るまでに射程圏に入れるいつもの競馬が出来なかった。直線の捌きにもスムーズさを欠いてしまったので踏み遅れてしまう。本来は器用な馬だがその器用さがアダとなった。多頭数になるとこういうケースは増えるので仕方ないので見限る必要はない。京都新聞杯で先着したボルドに逆に先着されてしまったがこれより弱かったようには見えない。巻き返しの余地はある。末脚の後続可能距離が長く、コーナーで加速出来るので内回りの条件はあっていそう。気性的にズブいので距離が延長してかかることも考えづらい。距離がもつなら立ち回り次第で着を上げる事は出来るはず。脚質的に頭からだと狙いづらい入着ぐらいならあって良いと思う。

 

8着:プラダリア

・中距離だとスピードのある馬を差し切れず2着止まりだった。2400mに延長して7馬身差の圧勝。ステイヤーと言う事でよさそう。

・長距離だと先行する事が出来る上、末脚の威力が際立つ。ハイペースで先行しても末脚の威力が落ちない。心配機能も高そうだ。

・オンオフの切り替えが上手い。常に折り合える馬で操縦性は非常に高い。どんなレースでも力を出し切れる馬。

・完成途上でまだ上があるという話。

 

上記が神戸新聞杯出走時のカルテ。

 

この馬の能力なら8着でも大敗。ピリっとしないと池添騎手は馬に活力が無い事をレース前から気にしていた。実際、帰厩後はボケっとしていたようで気持ちの面で戦闘態勢が整わなかった感じのようだ。春は使いながら成績を上げていった馬なので使いながらの方が良いという可能性はありそう。今週の調整で9割以上なんて言葉も出ているので使った効果も期待出来そうな状況。ハイレベルだったダービー5着は伊達ではないと思うので変わり身注意の1頭。なお、夏の成長で目立ったものは無かったが中身の肉付きは変化しており体質はより強化されている。

 

トライアルらしい負け方なのでレース内容に触れることは特にないが、この馬らしいセンスある立ち回りは確認出来た。外枠からの競馬は初めてだったのでその点は気になっていたが池添騎手の誘導が非常に上手く、馬もそれに応えて1周目のゴール前では既にインに潜り込めていた。操縦性の良さは相変わらず素晴らしい。道中もスムーズで折り合いの不安も全く無い。優等性な所は春から変わらない。追ってだらしなかったが闘争心が戻っているなら巻き返せる走りはしていたと思う。

 

菊花賞のコース条件は初めてになるが立ち回りに不安材料が無いので問題ないと思う。長距離実績で言えば上位の部類に入るので3000mを危惧する必要も現時点ではない。気持ちさえ整えば上位に顔を出してくることはあるだろう。

 

9着:ビーアストニッシド

・前進気勢が強く、気性的に乗り難しい。ハナに立ち闘志に火をつける事で力出し切る競馬で好走を続けた。粘り強い。

・マイペースで行っても2000mだとラストのラップは減速して伸びていない。距離はこの辺が限界っぽい。
スプリングSは道中に12.5秒のハロンタイムを3連発させていてコントロール性が高まっている。暴走する感じはなくなりつつある。
・同型が増えたのでGⅠ2戦では逃げれなくなっている。2・3番手でも競馬は出来ているが脱落するのも早くなった。競り合ってまで先行するのは良くないようだ。
・気性、脚質、体力等を考慮すると一番良いのは1800m戦だった。

 

上記が神戸新聞杯出走時のカルテ。

 

スプリングSを逃げ切りした馬が中段待機の10番手。スタートも良かったし、特に不利も無いのでこのポジショニングは不可解。おそらく試し乗りであろう。もともと気性難の馬で前進気勢に任せて行っていた馬だった。が、夏にその気性が著しく成長したとのことで折り合いの不安はほとんど無くなっていたそうだ。それで控える競馬を試した感じのように思う。序盤から急かして行く事はなかった。向こう正面で多少行きたがっていたが、かつての姿を思えば折り合いは確かに格段に向上している。9着大敗もこれはこれで収穫。岩田騎手にも手応えが残っただろう。ただ、控えたところでラストに末脚を繰り出せていない。ジワジワ伸びて差を詰めた程度。先行していたスピードを後半に転嫁出来なかった。追い出されてからは馬もじたばたしていたので脚の使い方が解らないのかもしれない。慣れてくれば末脚も使えるようになるかもしれないが、本番を前にそれを待つのは得策とは思えない。次は本来の先行策に戻して来そうに思う。折り合いに進化があるので騎手も強気に乗っていける。脚を残して直線を向いて来れる可能性がありそうだ。距離は長いと思うが気持ちの強い馬なので3歳同士なら根性で残り目があっても良いような気がしてきた。

 

10着:アスクワイルドモア

・レースセンスがない。ズブいのでレースの流れに乗る事が出来ないでいつも遅れる。後方マイポジションな馬。

・機動力も無いのでマクる競馬も出来ない。失速率が高く前が止まる展開でないと差しは決まらない。

・速い脚がなく、未だ34秒台も記録出来ずにいる。35秒台で決まるレースでないと出番がない。上がりの速い流れで差を詰めることはなさそうだ。

 

上記が神戸新聞杯出走時のカルテ。

 

出走していたダービー組の中では最も着順の悪い馬であったが、そういう位置付けは神戸新聞杯でも変わらなかった。これが力通りの結果なのかもしれない。また、京都新聞杯で負かしたヴェローナ、ボルドにも逆転されている。この馬自身は不利も無かったのでがこれがこの馬の本当の姿なのかもしれない。

 

毎度自分の脚は使ってくるが、速い脚が無いので上がりがかかる展開でないと着が上がってこない。今まで34秒台すら出せていない馬で神戸新聞杯も35.0秒ジャストと限界を超える事はできなかった。同条件だった京都新聞杯は超ハイペの展開で上がりのかかる展開となり神戸新聞杯より1秒ぐらい上がりがかかっていたのでこの馬の末脚でも炸裂した。また、自在性も無いのでいつも直線勝負になる。そう言う競馬が毎度決まる事もないので成績は不安定。現状はレース中の引き出しが少ない。本番でいきなり脚質が変わることもないだろうから厳しい戦いになる。上がりのかかる菊花賞だとこの馬の好走ゾーンなのかもしれないが直線の短い阪神内回りでどこまで詰めて来れるだろうか?

 

ただ、前走に関しては同情の余地がちょっとある。レースの当日は岩田望騎の復帰初日。騎手の方が上手く乗れていなかった可能性がある。この馬の為に無理して復帰したそう。周囲の人は止めていたぐらいだったので彼自身が不安材料であったかもしれない。また、京都新聞杯の再現を狙ってイン突きを狙ったがそれも上手くいかなかった。直線入り口で外に切り替えるなどレース振りも不細工だった。如何にも負け過ぎだった前走だが本来はもう少し走れて良かったとは思うところ。それらしい敗因はあるので見直せないこともない。前走以上には走れるだろう。

 

 

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