競走馬カルテ

2・3歳重賞の出走馬を分析・記録していくブログです。

大阪杯(GⅠ) 出走馬カルテ 2024①

 

こんにちは。

 

今年の大阪杯はドバイMTGの開催週となりました。だからトップ騎手がほとんどいませんね。でも、馬の方はいつも通りトップクラスがドバイに遠征しますから、大阪杯が一流馬勢揃いとならないのは例年通りです。

 

今年出走のGⅠ馬は4歳のソールオリエンス、タスティエーラ、5歳のキラーアビリティ、ジオグリフ、スタニングローズの計5頭。4歳世代のレベルはいろんなところで疑問視されており、5歳のGⅠ馬達もその栄光は既に過去の偉業という感じ。頭数は揃いましたけど、やっぱりちょっと微妙な面々です。

 

ただ、あれ?と思ったのですが発表されている大阪杯のレースレーティングは1位ソールオリエンス、2位タスティエーラ、3位べラジオオペラと弱いとされた4歳世代が上位になっています。やはりこれだけトップクラスが不在になると、4歳馬達の存在感も自然と増してしまうんですね。

 

また、いつも言っている事ですが大阪杯は強い馬が勝つGⅠではありません。強さより立ち回りの上手さが際立つレースであることにがその理由。一昨年のポタジェ、昨年のジャックドールと近年の勝ち馬が以降良いところが無かったこともそれを証明しています。

 

最強馬決定戦と言うよりはちょっと豪華な札幌記念と言う感じ。このようなGⅠレースなら強さに疑問が残る4歳世代でも十分にやれるんじゃないでしょうか?と言うか、今の4歳馬がGⅠを勝つとしたら大阪杯ぐらいしか思いつかないぐらいです。

 

特に、冒頭で触れたようにトップ騎手不在で乗り替わりが多発する中、ソールオは横山武騎手、タスティには松山騎手と勝利実績のある騎手が跨る事もきっとプラスに働くでしょう。‘4歳馬は弱い~'という先入観が配当を引き上げてくれるかもしれません。

 

大阪杯(GⅠ)は31日(日)に行われます。前日の30日(土)には更新を完了します。更新順は年齢毎にまとめて更新していきます。1000文字を目途に2枚目を作成しページを移ります。

 

予想案は各ページの最下部にある専用ページにまとめてあります。ブログカードを貼っておきますのでそちらをご覧ください。

 

4歳馬

 

GⅠ昇級以降の過去7年における4歳馬の成績は【2・3・5・22】となっています。勝ち数、連対数では5歳馬に劣りますが、3着以内に来た数では五分になっています。今年は5頭出走していますが、うち3頭は有馬記念で対決しており、

 

6着タスティエーラが2:31.5

8着ソールオリエンスが2:31.6

9着ハーパーが2:31.6

 

と、タイム差は僅か。この中ではたタスティはちょっと抜けて強かったと思います。13番枠ともっとも外めの枠から運んでいましたし、直線で致命的な不利があり、後方まで下がっていながら6着まで押し上げた伸び脚は見るべき所がありました。有利とされる最内枠を生かせなかったソールオは物足りないとこでしたが、直線で進路がなかったのでまだ酌量の余地あり。前残り決着になっていたレースを2・3番手からここまで着を落としたハーパーはちょっと力差を感じさせます。この3頭の評価順は着順の通りで良いと思います。

 

ソールオリエンス

 

横山武騎手が菊花賞以来の手綱を取ります。菊花賞後にクビの様な形だったと思うのですが、実は中山記念では鞍上を横山武騎手に戻す運びになっていたそうです。ただ、当の横山武騎手がサウジに遠征する事になったので田辺騎手が一時的に騎乗したということのようです。

 

手塚調教師としては有馬記念が最も適した舞台だと考えていたそうで、有馬記念ではオツリなしのメイチ仕上げで勝負に出ています。結果は8着。これでタスティとの対戦成績は1勝3敗と徐々に差が出て来てしまいました。最もベストな条件と考えていた有馬記念の敗戦を受けて、中山記念時には距離適性は1800m~2000mぐらいだろうと適性が修正されています。だとすると中山や阪神の2000mは今のこの馬にベストな条件と言えそうです。

 

ですが、いつも指摘してきたのですがこの馬が中山コースを攻略出来た事ってないんですよね。京成杯皐月賞と2勝を挙げたコースですが直線勝負がハマっただけで、このコースに必要な機動力や先行力は皆無。3歳春までなら能力差で圧倒出来たりもしますすが、3歳秋頃になると本質的な適性が出始めますから追込み一手の脚質がこういったコースに向いているとは思えません。

 

手塚調教師は「二の脚の無いタイプなので」と先行したり、位置を取ったりと言う事が出来ないと言います。どうしても後方に位置することになり、結果外を回して差し切れないというのが現状です。3~4角で動いて行かないのも京成杯皐月賞での痛い経験があるからです。どちらも最終コーナーで外に膨らんでしまいました。この区間で動かして行き、勢いをつけてしまうと外に飛んで行ってしまうので鞍上も思い切った騎乗が出来ないでいるのです。栄光を勝ち取ったレースが逆にトラウマになっている感じですね。

 

そして、こういうレース運びが大阪杯では一番ダメなパターンです。ブラストワンピース、コントレイル、グランアレグリアと言った名馬がこの乗り方で負けています。後方待機から外を回して勝つには18年優勝のスワーヴリチャードのように3~4角で長い脚を使ってマクり切っておかないと勝ち負けは厳しいと思います。せめて昨年2着のスターズオンアースの様に馬群の狭いところを突いてくれれればと思うのですが、1枠1番だった有馬記念でそう言う競馬は出来ませんでした。器用な脚もないのでしょう。やはり自分の競馬に徹するしかないのかもしれません。今回も乗り難しそうですね。

 

状態面を確認しておきますと、前走の中山記念大阪杯を見据えた仕上げで余裕残しの状態で使っています。状態は確実に上がってくるはずです。また、4着と負けましたが物凄い脚を使って追い込んでいます。余裕残しであの脚はやっぱり凄いなぁと思います。この末脚の破壊力は認めざるを得ません。横山武騎手もどうにかハメたいところでしょう。1800mではちょっと忙しかった印象でしたから2000mなら末脚はもう少し際立つかもしれません。

 

なお、この馬は3歳の頃から成長が足りていない、ポテンシャルだけで走っていると言われていましたが、昨秋の厩舎側はその都度成長の跡を強調しているのですが、レース振りはあまり変わらないですね。

 

これに関しては、前走で騎乗した田辺騎手が興味深い事を言っています。以前と比べて「劇的な変化はなかった」とこの馬の成長力に疑問を呈しているのです。実は田辺騎手はこの馬のデビュー前に調教で跨っています。その当時の感触と比較すると、驚くほどの成長は感じられなかったと言うのです。さらに、もっと良くなる余地があると締めくくっています。どうやらまだ成長しきれていないようですね。

 

タスティエーラ

 

菊花賞が終わった時点で4歳最強はドゥレッツァ!みたいな風潮になりましたけど、私はそうは思わなかったですね。なぜなら菊花賞のレースを見て、やっぱりこの馬強いと再認識したからです。展開、コースなど条件的に向いていたとは思えなかったです。また、立ち回りで勝負する馬と考えていたのですが、菊花賞で見せた鋭い伸び脚はそれまでなかった力強いものでちょっと驚きでした。こういう脚が使えるならまだ強くなると思いました。ドゥレッツァも強い馬ですが、展開を味方に出来なかったタスティも全然負けてなかったと思います。

 

今にして思うと昨秋は思うような調整が出来たとは言えないかもしれず、本調子に持ってこれなかったように思います。当初の予定では菊花賞前にトライアルを1戦挟む予定でいましたが、ダービー激走の疲れがあったので菊花賞直行のローテに変更されています。それでもうまい事調整されていたのですが、実際のところ間に合ったというのが正直のことろで8~9分程度にしか仕上げられなかったそうです。

 

これらの事情を考慮すると、やっぱりドゥレッツァとは勝負付けが済んでいないんですよね。4歳牡馬最強の可能性をまだ捨てきれません。

 

なので有馬記念は上積みのある良い状態で使えていたのですけど、上述したように致命的な不利を受けました。勢いがついたところで他馬に拠られて下がるロス。そこから盛り返すのは普通の馬には難しい状況ですが、一瞬で最加速してかなり良い脚を披露しています。このシーンを見ると瞬発力がダービーの頃より上がっているなぁと感じます。菊花賞でもそういう末脚を見せていましたから、3歳春期より末脚性能がかなり向上していると思います。

 

立ち回りの上手さや操縦性の巧みさで勝負していたところがあったので、厩舎からも府中より中山向きと言われていた時期がありましたが、この末脚を使えるなら今はコースを選ばずに好走出来るのではないかと思います。当然、皐月賞の中山2000mと類似性がある阪神2000mも問題ないですね。

 

昨夏に無理をしなかった事で成長が促されました。秋に見せた変化もこれに由来するのでしょう。菊花賞時に堀調教師は「トモのバランスが良くなった」とか、違和感のあった「前足の間接も改善した」など具体的な成長箇所を話しています。また、ダービーでは抜け出してソラを使いましたがそう言う面も解消されその心配も今はイラナイみたいです。

 

この馬も完成は先と言われていた馬でしたが、このように成長の余地が大きく、まだ良くなっていく過程にあります。今のところ調整過程におけるアクシデントは聞こえて来ませんし、昨秋よりは調整もしやすいはずなので、良い状態に仕上げて来れるのではないかと思われます。

 

有馬記念で不利が無ければドゥデュースやスターズオンアースに勝てたとは思いませんが、それも乗り方一つだったりするのではと思います。外枠から乗り方が難しく、馬群の中で思うように動けなかったところがあったとムーア騎手は話しています。この内容を持ってして力負けとするのも違うのではないかと思います。少なくとも末脚自慢のソールオを差し返して6着した内容から、今回の条件でダービー馬が皐月賞馬に負けるシーンは想像しづらいと感じます。

 

安藤勝さんは事あるごとに4歳弱い、4歳弱いと声高に話しておりますが、それが煙幕となってくれるなら配当的な妙味も生まれるでしょう。付き合いかた次第では面白い存在だと思います。

 

ハーパー

 

4歳の牡馬に比べ牝馬のレベルは低くないと思いますし、オークスではタスティ、ソールオのダービーよりも1秒以上も速い時計で走れています。ハーパーの走破タイムもソウルスターリングと同タイムでしたし、ハーパーより速かったオークス馬はアーモンドアイ、ラヴズオンリーユー、スターズオンアース、そしてリバティアイランドと超一流牝馬しかいません。

 

仮に20年時の3歳世代と同じ年に生まれていたとしたら、デアリングタクトの三冠は達成されていなかったかもですね。リバティがいたので目立つことなくここまで来ましたけど、この馬もGⅠ級の力を秘めている可能性がありそうです。

 

昨秋は秋華賞・エ杯・有馬記念とGⅠを3戦しましたが、この当時言われていた事は完成するのは4歳以降と当時はまだまだ完成途上の状態であることを陣営は強調していました。だから、冒頭で触れている有馬記念の結果も力を出し切ってのもとされています。あの時点での力負けと言いうことですね。そこからどこまで成長が伴ったかと言う事になってきますが、相手関係はかなり弱くなりましたから普通に考えれば有馬記念以上の成績を残せる計算は成り立ちます。成長次第で上位に顔を出しても驚けないかもしれません。

 

脚質的にも大阪杯向けの先行力、器用さがありますから条件的には悪くないですね。ビュっとした切れ味はなく、瞬発力よりも持続性で勝負するタイプなのである程度ペースは流れた方が良いでしょう。展開が向けば無くはない。未対戦の馬も多いですから、評価の難しいところもありますが軽視する理由はそんなにないですね。

 

ベラジオオペラ

 

前走時は下の弟べラジオボンドが同日の共同通信杯に出走していて、関係者は兄弟同日重賞制覇だとかなり盛り上がっていたんですが、馬主、調教師が当日足を運んだのはオペラが出走していた京都記念の方でした。やはり完成が進んだ兄の方に期待が大きかったみたいです。

 

特に上村調教性は千葉のセリでおねだりして勝ってもらった馬なのでこの馬で大きいところを獲りたいとGⅠを意識して大事に調整してきました。ちなみに馬主の林田氏の所有馬は3頭だけなのですが、それら全てを上村厩舎に預けています。馬主さんからの信頼を勝ち得ていますので、上村調教師も一層力が入るという訳です。

 

昨秋は夏負けが尾を引いたことから早い段階で菊花賞を諦め、整うまであせらずに待ち、それで使われたのが12月のチャレンジC。馬優先に大事位に使われています。結果、+20kの大幅馬体増で復帰するのですが、これらはほぼ成長分と言う話で馬が強くなっていると見て良いでしょう。上村調教師は夏場に休ませたことが良かったと述懐しています。

 

また、3歳春期には良くなるのは秋頃と言われていたものが本格化は来年になってからだろうと陣営の見立ても変化しています。要するに今が成長期と捉えていいのでしょう。前走の京都記念時もどんどん良くなって来ていると話していましたから、心身ともに成長して来ているようです。成長曲線の登り坂に入っているようなので常に前走位以上が期待出来る状況です。

 

良いリズムで使われていますので、状態面や勢いなどは良い評価をして良いいいと思います。今回もちゃんと仕上がってくるでしょう。後はライバル達との力関係と言うことになってきます。ソールオリエンス、タスティエーラとはダービーでタイム差無しの入線を果たしていますので、大きな力差はないとしておくのが良さそうです。これらとはその後の成長力次第という感じですね。

 

この馬の現在地を知るにはやはり近2走を分析するのが良いでしょう。まずチャレンジCですが、大阪杯と同じ条件のレースですから適性面に瑕疵はなし。スプリングS勝ちなんかもありますように府中や外回りコースの末脚勝負よりは立ち回りで勝負出来るこういうコースが良いのだと思います。この時の勝ち時計1:58.8は過去と比較するとちょうど真ん中ぐらい。遅くも速くもないですが、1分58秒台で走れていれば大体合格点で、この時計だけ走れれば大阪杯でも好走可能です。また、このレースには今回出走の金杯優勝リカンカブール、小倉大賞典優勝エピファニーなども出走していて下しています。メンバー的にもレベルは低くありませんでした。これらを同斤で負かして来た点は評価すべきです。

 

チャレンジCの優勝で賞金面をクリアしたことから、京都記念は本番を意識した仕上げ。余力残しで2着なら上々です。勝ち馬プラダリアには1k重い斤量で競り落とされていますので相手には上の評価を与えるべきですが、距離適性や仕上げの問題を考慮すれば逆転出来ない相手ではないですね。また、対プラダとの力差はボッケリーニを物差しにすれば力が全くの同等である事が分かります。

 

オペラは適距離2000mのチャレンジCでタイム差なし、プラダは適距離2400mの京都大賞典でタイム差なし。それぞれ得意距離でボッケを同斤量同タイムで競り落としています。ボッケ比較からすると2頭は全くの同等評価で良いと思います。ただ、この比較は距離適性に左右されていますので、京都記念から短縮する2000mならオペラに分があるという見立てが可能になります。

 

以上の事から能力的には充分やれる相手関係ですし、適性面もベストっぽい感じ。上村調教師のやる気も十分感じられますので勝負気配も高いはず。勝ち負けを見込める重い印の回せる1頭だと思われます。

 

ミッキーゴージャス

 

ミッキークイーン(ディープ)にミッキーロケット(キンカメ)という馬主野田みづき氏の結晶的な良血馬。また、先日解散した安田隆厩舎の最後の重賞勝ちを果たした馬。なにかと特別な存在です。だから昨年のオークスでは西の秘密兵器みたいな感じで結構な盛り上がりを見せていました。

 

そのオークス時に面白い話がありました。戸崎騎手は桜花賞までドゥーラに騎乗していましたが早々にミッキーへの騎乗を決めています。それだけ素質の高さを感じ取っていたのでしょう。また、具合はめちゃくちゃ良いですよ!と話していたのが調教を任されていた斎藤新騎手。戸崎騎手が騎乗していたドゥーラで3着する事になるのですが、この斎藤新騎手でさえ乗れるならミッキーの方に騎乗したかったそうです。関係した2騎手が揃ってドゥーラ以上の評価を与えていたという事になります。ドゥーラと言えば、上述したハーパーとはオークス秋華賞で僅差の力関係です。極論過ぎるのは承知していますが、ひょっとしたらハーパー以上の馬かもしれません。

 

 

そのオークスはさすがに壁にぶつかりましたが、この時点ではまだまだ弱い処があったので、本格化は先とされていました。秋になって成長が噛み合ってきて現在3連勝で重賞まで勝利しています。3連勝中は川田騎手が主戦騎手として跨っていましたが、その川田騎手をして「成長力が凄い」「来年は大きいところを狙える」と絶賛しています。来年というのは今年の事ですからかなり良い状態にあるのではないかと思われます。川田騎手までもがベタ褒めしているとなるとこれは侮れない馬と言うことになります。

 

2000mを中心に走っていて小倉、中山、阪神、京都と内回り、小回りの条件は走り慣れています。機動力のある走りで最終コーナーを力強く回って来れていますから、コース適性はかなり高いと思われます。また、阪神ではチャレンジCと同タイムの1:58.8で勝利、小倉の前走愛知杯でも1:57.9と好時計で勝利。時計面でも力のある所見せています。反面、道悪馬場でも加速ラップを踏めるので道悪適性も相当高いうのでいう事がありません。連勝・道悪と言うワードからレイパパレが重なってくるかもですね。頂上クラス不在のGⅠなら通用してしまうかも。

 

5歳馬

 

GⅠ昇級以降の過去7年の5歳馬の成績は【5・3・2・28】となっています。出走馬数は4歳馬と大きくかわりませんが、勝利数、連対数で5歳馬が上回っています。大阪杯は5歳馬中心のレースと見てよさそうです。

 

ですが、イクイノックスやドゥデュースがいる最強世代をもってしても昨年は4歳時に優勝馬を出ませんでした。これでわかった気がしたのですが、ダービーなどのクラシックを勝った4歳GⅠ馬はドバイに行くものなので自然と4歳馬の層が薄くなるのでしょう。出て来ても予備軍的な馬が多くなるので、メンツの揃う5歳馬に適わないのだと思われます。

 

だとすると、ドゥデュースをはじめ5歳のGⅠ馬が率先してドバイに遠征し、逆に4歳は皐月賞馬にダービー馬と4歳GⅠ馬は揃い踏み踏み。今年は逆転現象が起きています。例年とは違った趣になっていますから年齢データがアテにならないかもしれないですね。

 

エピファニー

 

一昨年のアリーヴォ、昨年のヒンドゥタイムズ、今年のエピファニーとシルクRは3年連続で小倉大賞典勝ち馬を大阪杯に出走させます。私としてはアリーヴォの3着は何で来たの?とびっくりしたぐらいなので、シルクRのこのローテにはちょっとトラウマがあります。エピファニーも怖いですね。

 

未勝利勝ちから3勝クラス突破までノンストップで連勝を続けましたが、OP昇格後は壁にぶつかった感じで4歳時をOP大将的な存在として過ごしました。OP特別勝ち後もGⅢを勝つまでに3戦とクラス慣れが必要なタイプかも?とも思いました。が、実際はそうじゃないですね。この馬も気性の問題で出世が遅れた感じでしょう。

 

条件戦時代によく騎乗していた戸崎騎手が乗っていて「いつもハラハラさせられる」とか、「落ち着きがないんです」など気性難を良く口にしていました。能力はあるので折り合いを欠いたままでも勝てていましたが、そう言う事ができるのも条件戦まで。OP戦や重賞ではさすがに厳しい。昇格後に成績が安定しなかったのも気性難によるものです。

 

陣営からは折り合いについて口にする事が減ってきていますが、解消しているとはちょっと考えづらいですね。OP昇格後に勝ったケフェウスSと小倉大賞典がどちらも1000m通過が57秒台だったことは偶然ではないと思います。このぐらいの速さで流れれば折り合い面に不安を見せません。

 

が、59秒後半だったチャレンジC、60秒後半だった中山金杯ではガツンとかかっています。チャレンジCではルメール騎手が何とかして4着でしたけど、来日初日だったピーヒュレク騎手は中山金杯で乗りこなせず11着大敗。このように展開次第でピンもパーもある馬です。

 

こういう馬なのでマイル戦を試していたり、重賞勝ちした小倉大賞典が1800mだったように忙しい流れの条件の方が走りが安定して来るというのはあると思います。そう言う意味では小倉大賞典勝ちにフロック性があり、展開が向いた恩恵があったのは否めません。2000mの常識的な展開を折り合えるかどうかが課題となるのではないでしょうか?

 

ただ、ポテンシャルそのものが重賞級であることも間違いがないようで厩舎は当初より期待の高い1頭でした。前進気勢の強さからハミと取ったらかなり強い推進力で力強い追走が出来ます。また、機動力もあり、馬群も捌けるので内回り・小回りの走りはいつも良いですね。舞台適性は高めに見積もれます。ペースが流れて、リズム良く走って来れれば一発かませる可能性は感じます。想定されるペース、気性次第で穴の魅力はありそうです。

 

キラーアビリティ

 

サウジアラビアからの帰国後は白井の競馬学校で検疫中でしたが、外厩や厩舎に入ることなく阪神競馬場に移動して、着地検疫を受けながら調整するそうです。クラブ側が正式に発表しているので出走するつもりなのでしょうが、調整はちょっと難しそうですね。前走後は調教施設での調整がされていないのは気になります。

 

4歳時の昨年でよく言われていたことが、気性難的な評価であったり、前進気勢が強くなってしまったりと折り合いの難しさについてです。なので昨秋にマイル重賞の富士Sに出走するなどちょっと迷走した感じになってしまいました。

 

この気性だと基本的に乗り難しく団野騎手、北村友騎手、横山武騎手と上手く御せずに凡走を続けてしまいました。が、中日新聞杯が0.2秒差4着、サウジに遠征してネオムターフで2着とここにきて好走しています。近2走好走の共通点は腕っぷしの強い外国人騎手が騎乗していたことかなぁ?なんて思うところです。

 

中日新聞杯のムルザバエフ騎手は前に壁のない外目追走でスムーズな競馬運びに成功しています。前走のネオムターフは序盤に行きたがっていましたがクリスチャン騎手が馬群の中でしっかりと抑え込めていたことで最後に一伸びしています。二人の外国人騎手が上手く御しきれたことは間違いのないことで、やはり鞍上次第の評価は必用な感じがします。

 

また、この気性ですから「馬群の中で折り合い重視で乗って欲しい」のようなリクエストはレースの度に出ています。ですから内枠を引く事も重要になって来るでしょう。

 

富士Sに出走した時はマイラーみたいな体形に変って来たと斎藤崇調教師は言っていましたが近2走を見る限りそんなことは無さそうです。中距離適性馬という事で良いと思います。ホープフルSを勝った時のように先行して折り合いが付けば良い競馬が出来ると思いますけど、今はそれをする事が難しいので評価しづらいですね。

 

今回のメンバーなら全く足りない馬ではなく、勝ち負けはともかく2・3着ならという気はします。とは言え、調整面の問題や今回の鞍上北村友騎手が折り合いをつけられるかなど不安要素は結構多い方だと思うので、かなり噛み合わないと厳しいかもしれないですね。

 

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