競走馬カルテ

2・3歳重賞の出走馬を分析・記録していくブログです。

スプリンターズステークス(GⅠ) 出走馬カルテ① 2023

 

こんにちは。


昨年優勝のジャンダルム、今春の高松宮記念優勝ファストフォースは既に引退しました。地盤沈下と言われて久しいこの路線はなかなかヒーローが出て来ません。昨年のうちにメイケイエールとか、ナムラクレアがさくっと勝っていてくれればよかったんですけどね。そんなこんなで今年も混戦です。絶対的な存在が今年こそ生まれて欲しいと思うところであります。

 

今年の中山競馬場は時計が出やすい馬場状況。レコードも何戦か記録されています。この先スプリンターズSの当日まで雨予報はありません。当日は絶好のコンディションで行われるでしょう。今年は逃げ馬も多い組み合わせなのでレコードに迫る時計もでるかもしれないですね。そう言えば、スプリントGⅠのレコードって高松宮記念(ビッグアーサー)とスプリンターズS(ロードカナロア)とで全く同じ1:06.7なんですね。新しい記録が生まれるでしょうか?

 

スプリンターズSは10/1(日)に行われます。前日の9/31(土)には更新を完了します。更新順は年齢順としますが、頁の関係で1枚目には3・5・6・7歳馬の7頭を、2枚目で4歳馬9頭を掲載します。

 

予想案は各ページの最下部にある専用ページにまとめてあります。ブログカードを貼っておきますのでそちらをご覧ください。


3歳馬

 

セントウルSの時にちょっと触れましたが今年の3歳スプリンターの成績はちょっと微妙そうですね。恐らく今年から1k増の斤量が影響しているのだと思います。古馬も同じように斤量は増えているので相対的に考えれば極端な不利ではないのですが、短距離戦では軽い分だけ速いというのがありますからそれで結果に繋がらないのではないでしょうか?軽すぎて激走と言う機会が減ってしまったのだと思います。

 

例えば、函館SSではソルヴェイグジューヌエコール、ナムラクレアと言った3歳牝馬が50kで出走して好時計で楽勝してしまう事が度々起こりました。が、今年出走したブトンドール、リバーラ、ムーンプローブら重賞実績のある3歳牝馬は52kを背負って振るいませんでした。斤量増が微妙に影響している可能性は否定できないと思います。

 

函館2歳S小倉2歳S、葵Sと2・3歳のスプリント重賞の勝ち馬がそれぞれサマースプリント重賞を走り大敗を続け、世代NO1スプリンターと言われたビッグシーザーまで全く振るいませんでした。これだけの実績馬が挑んだ3歳スプリンターのこの夏の重賞成績は【0・0・0・8】という結果。純粋に世代レベルが低いからで片付けてもいいのかもしれませんが、いずれにしてもあまりにひどい現状です。

 

スプリンターズSも55k(牝54K)で出走出来たものが56k(牝55K)になります。あくまで相対的な問題ですが軽かったから走れていたという可能性もあるので1kぐらいとは言い切れないところです。


ドルチェモア

 

ドルチェ自身も春に安田記念を走り、ドゥラエレーデが宝塚記念を走ったように馬主スリーエイチレーシングはどうもGⅠ好きなようで見込みが無くても出れるGⅠにはイケイケどんどんみたいな感じらしいです。スプリンターズSへの出走もそんな感じなんじゃないでしょうか?狙って獲りに来たという感じはないですね。セントウルSに出走していましたがその時にも真打ち登場!とか、満を持してのスプリント!みたいな感じはなかったです。この路線でやって行こうという気概は感じませんでした。その前走も先行しようにも前に行けず、そうこうするうちにゴチャついて後方に下がるというレース振りで1200mの流れに乗れる感じはなかったですね。最後にガツンとくることもなく、加速もせずにじわじわと言う感じ。適性があるような走りには見えませんでした。それに3歳になってからは競馬を止めてしまう感じになっているので今は集中力がありません。適性、能力以前の問題かもしれません。

 

モズメイメイ

 

「フライング!」と話題になった葵Sの猛烈なロケットスタート武豊騎手も「あれはヤバいと思った」と話しています。でも、このヤバいは「凄い」という意味ではなく、「まずい」と言う意味なんだそうです。文字通りフライング(ゲートを押して飛び出した)に採られるんではないか?と武豊騎手は不安になり、判定の旗が上がっていないか確認したそうです。実際はゲートを押し開けた訳ではないのですが、旗が上がっちゃうとカンパイで再スタートとなってしまうので他の馬にも迷惑かかると懸念したそうです。それぐらいヤバい好スタートだったという事です。もともとスタートが良いので今後逃げる事もあると思いますが、こんなスタートはもう出来ないんじゃないか見たいな感じで武豊騎手は話しています。あのロケットスタートを前提に予想する必要はなさそうですね。

 

さて、本馬についてですが桜花賞の結果を受けてこの路線を行く事になりました。武豊騎手も以前から本質はスプリンターと感じていたようです。その適性を感じさせるように葵Sを勝っています。上述のロケットスタートありきの話ではありますが、2~5Fまでの4区間で10秒台の超速ラップを継続して逃げています。ここまでタイトなスプリント戦も滅多にお目にかかりません。55kを背負っての勝ち時計1:07.1はかなり優秀だと思います。この路線でやっていける資質は十分持っているでしょう。

 

ただ、これも結局はロケットスタートが決まった事が大きく、それで単騎逃げが敵った事が大きいと言えます。距離は違えどチューリップ賞も楽逃げ出来た事が勝因でした。北九州記念の様に逃げ争いを演じたうえに雁行状態で先行した競馬で大きく着を落としているのは感心出来ません。この距離でやっていける資質はあっても、もう少しレース運びにレパートリーがないと厳しいかもしれません。前走を見ると良いスタートでしたがジャスパークローネの方がダッシュ力が上で二の脚も速い。これを相手に楽逃げの展開は望めないと思います。控えた競馬を試みるよい機会かもしれません。そう言う競馬が出来た時に好走の可能性がありそうです。

 

5歳馬

 

この10年では【3・4・2・41】と勝ち数は4歳馬と並んで最多ですが、ハズレも多いので勝率は6歳馬と変わりません。複勝率も3・4歳世代に劣り18.0%はイメージの割にはあまりよろしくないですね。また、近2年で馬券絡みがなく、この10年で5歳馬が全く来なかった年が3年もあります。

 

5歳世代で馬券になった9頭の内訳を見てみると

 

ロードカナロアやダノンスマッシュのような4歳時に既にスプリンターズSで入着していたリピーター
ミッキーアイルレッツゴードンキなど3歳時にマイルGⅠを勝っていたような実績馬
ストレイトガールやファインニードルみたいにその年の高松宮記念で入着していた馬

 

と言った感じです。これに該当しない馬も僅かにいるのでこの限りではありませんが、実績・適性・順調さ・ピーク感と言ったなんかしらの強調材料を持っているタイプが良いというのは言えると思います。

 

今年エントリーしている馬でそう言う強調材料があるかは微妙な感じも致しますが、果たして?そもそも出走数が最も多くないといけない世代なのにたったの3頭しか出走していないという時点で変な話です。結局、この路線が盛り上がっていないのはこの現5世代に原因があると言っても過言ではありません。

 

オールアットワンス

 

1年ぶりのレースだった前走アイビスSDを優勝しています。まるまる1年走っていないですし、それほど数も使っていないのであまり情報がありません。ただ、この数を使っていないところにこの馬のヒントがあります。

 

3歳時にアイビスSDを優勝した後にこの馬はスプリンターズSに出走しませんでした。GⅠをスルーして秋の千直OPルミエールADを目標に調整されていたからです。あいにくこの時は態勢が整わず京阪杯にスライドすることになったのですが。この事から大体分かると思うのですが千直中心にローテを組んでいる為にむやみやらと1200mに出走することが無いのです。

 

管理する中館調教師は騎手現役の時にに千直競馬を25勝もした第一人者でした。なのでこの馬の千直適性に高い可能性をいち早く理解したのでしょう。1年ぶりの久々で結果を出したアイビスSD優勝がそれを物語っていると思います。もう適性だけで走ったという感じではないでしょうか?また、石川騎手もかつて「勝つなら千直しかない馬」と話ていたほどです。新潟直線1000mにのみ強味を発揮する馬と考えて良いと思います。

 

そう言う馬なので1200mで強気になれる材料はほとんどありません。走れないという事は当然ないんですけど、少なくとも強味を発揮出来る条件ではないですね。じゃぁ、なんで出走してきたかと言えば賞金を積んでしまったからでしょう。重賞2勝では斤量が重くなり、軽量有利の千直競馬では不利になります。あれだけの千直巧者だったライオンボスの晩年を見返せばそれは理解しやすいのではないでしょうか?今回はだったらGⅠぐらい使ってみよう!ぐらいのノリではないかと想像します。頂点を目指していた馬ではないですし、いきなりの路線変更にあまり良い印象は持てません。

 

最後に3年連続で出走し続けたアイビスSDから能力面の変化を確認しておきたいと思います。3歳時に優勝した際は51kを背負って54.2秒でした。今年は4k増の55kを背負って54.9秒でした。1k=0.2秒で換算すると大体こんなもんになりますね。能力面の低下は見受けられません。ちなみに6着だった4歳時も55.0秒でだいたい今年と同じです。3歳時から一定の力をずっと維持しているということでしょう。強くも弱くもなってないですね。

 

ピクシーナイト

 

前走のセントウルSは出負けしているので仕方ない面もあります。ただ、直線で追い出した際のモタモタ感は気になりました。追い出してもビュっとした反応はなく、追って追ってようやく加速がついたという感じ。加速してからの伸び脚に良さはありましたけどその辺に本調子に戻り切れていない印象を受けました。32.9秒だった上がりは3位でしたけど、2着アグリの32.4秒や最後方から突っ込んだエイシンスポッターが32.5秒だったので1・2位の上がり脚とは差が大きいように思います。3歳時の唸るような感じは未だみられないですね。

 

3歳暮れの香港で大きなケガをしましたが復帰出来るだろうか?と言うぐらい酷い状況でしたから復帰後の良化がスローと言う感じです。厩舎側も慎重に立ち上げているという感じ。復調の気配を見せた京王杯SCセントウルSも徐々に良くなっているという風にしか話していません。この調子だと今回も絶好調宣言は出ないと思います。今はまだ積極的な評価で買える状況ではなさそうです。

 

ただ、もう下の無い馬だと思うので前走以上の走りは常に期待出来ます。春は順調さも欠いていましたが、秋の始動は順調でようやくまともな調整が出来るようになったそうです。2走目の上積みは当然あるでしょう。前走のモタモタ感も一度使ったことで改善されると思いますし、スタート五分なら圏内の走りは十分あり得ます。今はまだ相手なりに走っているだけかもしれませんが、それでこれだけ走れているならマークは外せないかもですね。

 

メイケイエール

 

安田記念以来になります。GⅠでは直行ローテが主流となりつつありますが、スプリンターズSでは直行で参戦してくる馬はこの馬だけですね。そう言う事をしようと思える素質馬がいないのでしょう。この路線の停滞感がこういう所にも出ているように思いまいます。

 

さて、その安田記念ですがこれは「使うレースが無かったから」「ヴィクトリアMを回避したから」と言った消極的な理由で出走したに過ぎません。本調子にもなく、距離適性もズレたレースは負けて当然。15着大敗は気にする必要がありません。5歳になりステップレースを使わないという方針は決まっていましたが、それだと間隔が空きすぎます。高松宮記念時も暮れの「香港に選出されて良かった。良い間隔でレースを使える。」と話ていました。これと似たような感覚で安田記念も使ったのでしょう。叩き台に近い考えで使ったのだと思います。

 

今年はあまり出走してないので現状の能力把握が難しくなっています。そこで状態メイチで使って負けた高松宮記念の敗因を確認しておきたいと思います。この時はゴチャついたこと、不良馬場をこなせなかったことなどが敗因として上げられています。池添騎手のコメントには力を出し切れなかったというニュアンスが強く出ていました。馬が弱くて負けたという事はなさそうです。能力が落ちた、弱くなったと言える根拠はないですね。近走は強いところを見せれずに負けていますが条件さえ整えばGⅠを勝つ可能性はまだ保持していると考えておく方が良いかもしれません。

 

ただ、スプリンターズSでその条件が揃うとは言えないでしょう。右回りだと外に張るところがあるので左回りがベストとされています。なので、武英調教師も「ここで勝てなければGⅠには縁がないのかもしれない」と左回りの高松宮記念に全力投球しています。スプリンターズSは3歳時に4着と走ってますし、香港でも5着とそこそこやれていますので右回りでもまるでダメという事ではないと思うのですが、厩舎サイドが強気になれないのは事実なようです。この条件でどこまでのパフォーマンスを発揮出来るでしょうか?

 

最後に気性面の変化を確認しておきます。4歳以降は常に改善傾向が見られ、昔のような暴走を引き起こすことはなくなりつつあります。力んで走ったり、行きたがったりと言う場面は今もありますが抑え込める範囲で何とかやれています。この点に関しては厩舎サイドもからもレースの度に良くなっているという感じの話が出ています。今回に向けての調整でもそう言う兆候は出ているようでして、この馬を御すのに必要な折り返し手綱を今回は使わない方向で考えているそうです。普通の手綱でもコントロール出来るようになって来ているのでしょう。操縦性は上がっていそうです。この馬の最大の懸案事項にして、マイナス材料だった気性面の問題がなくなりつつあります。それは不安材料が軽減されることと同義なのでプラス材料と解釈して良いと思います。精神面の成長が不適正な右回りを克服する鍵となる可能性があると思います。

 

6・7歳馬

 

6歳馬の成績は【2・0・3・29】。7歳以上が【1・1・1・28】。データで見ればはっきりと少数派なのですが、その好走実績は近年に集中しているのが特徴です。昨年が7歳馬ジャンダルムが優勝、6歳馬ナランフレグが3着と高齢馬が上位を占めました。

 

また、高齢馬活躍の傾向は高松宮記念でも見られていて昨年が6歳馬ナランフレグが優勝、7歳馬キルロードが3着、今年が7歳馬ファストフォースが優勝、8歳馬トゥラヴェスーラが3着と走っています。

 

このようにスプリント路線は高齢馬の活躍が顕著です。若い世代の突き上げが甘く、特に5歳世代の低調ぶりが高齢馬に活躍の場を提供しているといった構図です。この背景を考慮すれば今回も侮れない状況です。しかしながら、今年は4歳世代が元気なのでその流れに抵抗出来るかが焦点になるでしょう。

 

 

ジュビリーヘッド

 

函館SSは2年連続出走していずれも2着。函館ではその他に3走して全て3着以内と相性抜群。でも、札幌ではキーランドCを2年連続で掲示板外という結果。一口に洋芝巧者と言いますが函館と札幌の成績は両極端。こういう馬もいるんですね。

 

函館以外では中山の成績が良く、厩舎はこの条件がこの馬のベスト条件と考えています。今春に行われた中山のオーシャンSでは余計なレースを使わずにこの条件で重賞を勝つために超メイチな仕上げでオーシャンSを獲りに来ていました。あいにく望む結果にはなりませんでしたがこの条件で厩舎が燃えない訳がありません。勝負仕上げで来る事はほぼ間違いないと思います。

 

が、それで勝ち負けになるかは別な話。OP昇格後の安定感のない成績は気になります。厩舎がベストと言う中山でも取りこぼすように信頼性が高いとは言えないですね。成績が安定しない理由は立ち回りが上手くないからだと思います。ゴチャついて位置が取れなかったり、ポジションが下がったりして直線を向いた時に圏外と言う事が多く、これがこの馬の負けパターンです。

 

また、末脚も弱くビュッとした脚は使えないので直線で際立つ伸び脚を見せた事はありません。なので4角で先頭に並びかけていないと勝負争いに加わる事は出来ないでしょう。ですが、立ち回りの上手くないこの馬が勝負所で押し上げられている事は稀なこと。なかなか勝ち負けに加わる事が出来ないでいます。

 

つまり、思うような位置が獲れないことも、揉まれ弱いことも、末脚が際立たないことも結局は速力不足だからだと思います。基本的なスピードが弱いので自由自在に動いて行く事が出来ません。よくよく見ると大した持ち時計もなく、好走したほとんどが時計のかかった決着。コース適性が高いとはいえ、速さを競うGⅠでは根本的なモノが弱いように思います。

 

こういう場合は道悪で時計がかかればって話になるんですけど、ノメる馬なので道悪もNGとされています。いろいろな面でちょっと厳しそうですね。差し・追い込みの馬なら展開ドハマりで可能性がありますが、この馬はそう言うタイプじゃないですね。地力勝負でいいところがあるようには思えません。

 

ナランフレグ

 

前走のキーランドC10着は深刻だと思います。時計のかかる洋芝、さらに道悪とこの馬が走れる条件が揃っていました。休み明けの叩き台の割には馬の仕上がりは良く、展開も得意の消耗戦。これでどうして走らないの?と言うぐらいに恵まれていましたが良い所を見せる事無く敗れたのは印象を悪くしますね。外差し馬場のインを突いたことが良くなかったかもしれませんが、ラチ沿いを進み直線もイン突きしているキミワクイーンを交わすことも出来ず、伸び負けてしまっているのは情けないと思います。末脚自慢のこの馬の上がりは上から5番目と脚も使えていません。この馬らしさが鳴りを潜めている感じが致します。

 

安田記念出走時にも指摘しましたが今年の走りには加齢による力の陰りが顕著に感じられます。昨年は

 

オーシャンS2着→高松宮記念1着→安田記念9着(0.4秒差)

 

でしたが、今年は

 

オーシャンS9着→高松宮記念4着→安田記念17着(1.9秒差)

 

と悉く昨年を下回る走りです。やっぱり昨年がピークだったと思うんですよね。陣営からはそう言う話は出て来ませんが結果・内容は明らかに低下しています。

 

ピークアウトを物語る客観的根拠は他にもあります。元々は叩き良化型なのでステップレースを使うのは悪くないんですけど、昨年のスプリンターズSは直行しても馬がちゃんと動けていました。それだけ状態が良かったんだと思います。今年は高松宮記念も、スプリンターズSも以前のように叩いていますし、そうしないと馬が動けなくなっているのだと思います。また、決定的なのは前走でブリンカーを装着した事が挙げられます。馬具で矯正しなくてはいけないほどに馬の行きっぷりが良くないのだと思います。このように能力低下を裏付けるような状況は随所に見られ昨年時の状態に馬がないのではないかと感じます。

 

また、安田記念の負け方も能力低下を判断出来る材料だと思います。マイルは距離が長いので負けた事はどうでも良いのですが、負け方がかなり悪くなっています。馬がピークの状態だと実力以上のパフォーマンスを発揮する事は良くあることです。苦手とされる条件や適性にないレースでも結果を出してしまいます。ピークにあった昨年は0.4秒差の接戦でした。充実感が馬の能力を押し上げてしまったのでしょう。しかし、今年は1.9秒差と大きく負けています。ご存じの通り安田記念はソングラインが連覇しているのでこの2年のタイム差はソングラインとのタイム差です。他馬との比較からもナランが一方的に弱くなっているという事が言えると思います。

 

こういったケースには前例はあります。17・18年に安田記念に出走したスプリンターレッドファルクスも3着→9着とパフォーマンスを低下させています。ファルクスも18年時に7歳になっていてピークを越えていたのでしょう。3連覇のかかったスプリンターズSで9着と大敗したのがその証拠。同じ年齢にあるナランもファルクスと同じ状況にあるのではないかと推察致します。

 

それにこの馬は本質的に中京1200mがベストのサウスポーだったはずです。しかし、ピークだった昨年はオーシャンS2着、スプリンターズS3着と苦手の右回りをこなしていました。これも充実度で適性外の条件を克服していたのでしょう。今はそういう状態になさそうなので、中京1200mがベストな馬に戻っているのかもしれません。右回りのキーランドCの負け方がそう言う事を物語っているように私には思えるのです。

 

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