競走馬カルテ

2・3歳重賞の出走馬を分析・記録していくブログです。

エリザベス女王杯(GⅠ) 出走馬カルテ②

こんにちは。

 

昨年は10→7→9番人気の決着でした。今になっても理解し難い結果だっなぁと思います。出来れば今年は普通に決まって欲しいですね。

 

昨年の結果は馬場状況が要因だと思われます。当時は連続開催の6週目のレースだったのでインコースの痛みが目立っていました。加えてレースそのものが58.0秒通過のハイペースであったので余計に先行馬が疲れっちゃったみたいになっていました。それで外差しが誘発されアカイイトが大外からマクり一閃となったのでしょう。重馬場のレースとかでよくありますねこういうことが。これと同じ理屈と考えられます。だから要因としては馬場とペースの2つということになるでしょう。それを今年に当てはめてそれぞれ考えてみます。

 

まず、ペースに関して。逃げ馬としてキャラが立っている馬が2頭登録しています。シャムロックヒルとローザノワールです。シャムロックは昨年の逃げ馬で大波乱の一因となった馬そのものです。この馬がいるだけで昨年の様なペースになりうる可能性を秘めています。それに輪をかけそうなのがローザノの存在となります。中距離でガンガン行くようなタイプではないですが最低人気ながらあわや3着という激走を見せたヴィクトリアMでは58.0秒のペースで1000mを通過しているので行こうと思えば行くスピードがあります。さらに競り込まれて2頭の逃げ争いとなった前走府中牝馬Sでは57.9秒とさらに速いペースで飛ばし、簡単に引かない馬でもあるようです。以上の事から昨年以上の乱ペースもあり得るかもしれません。ただ、シャムロックは現在除外候補なのでそうならない場合もあります。

 

続いて、馬場に関して。エ杯自体がその前年より2秒近く時計がかかっていたので馬場が悪くなっていたのは間違いないでしょう。では、今年はどうでしょうか?前週に行われたファンタジーSの勝ち時計がだいたい昨年と同じ時計で決着しました。ファンタジーSもエ杯同様に昨年は一昨年より1.0秒近く遅いものになっていました。その昨年と近しい時計という事は今年も時計が徐々にかかり始めていると考えていいのかもしれません。馬場差が前週からさらに大きくなることもあるでしょう。また、芝も4コーナー辺りは薄っすらとハゲ初めています。レース当日にはもっとハゲていることもありそうです。どうやら昨年並みな馬場コンディションに近づいてきているようです。なお、マイルCS週までは現行のAコース使用なので馬場状況が良化することは考えられません。

 

以上のことから、人気はともかくレースの決まり手が昨年みたいになる可能性は今年も高いのではないかと思います。だとすると、外国馬はちょっと厄介な存在になりますね。今年の愛オークス馬マジカルラグーンが来日済みですが、欧州の馬なら自然とパワータイプでしょう。消耗戦がいかにもあっていそうです。3歳馬で斤量も軽い。結構やれそうな状況になるのではないでしょうか?なお、外国馬の事は良くわかりませんからカルテの作成はございません。悪しからずご了承ください。

 

エ杯は13日(日)なので前日の12日(土)に更新を完了します。ページが長くなるようなら1ページ10000文字を目安に2枚、3枚と増やしていきます。更新順は整理しやすいので年齢毎にまとめていくことにします。なお、カルテ分析は3歳戦までの方針なので古馬戦は割愛しています。

 

予想案は各ページの最下部にある専用ページにまとめてあります。ブログカードを貼っておきますのでそちらをご覧ください。

 

11/10追記:ページ上段の前説部分は同じものを転用しています。①②の行き来はページにブログカードを貼っておきますのでそちらから移動されて下さい▼

 

◆5歳

 

5歳世代の過去10年の成績は【2・2・1・48】となっています。3・4歳世代と比較して率をグンと下げています。晩成タイプの遅咲きがここで大輪を咲かすのはなかなか難しいようです。ただ、今年は18頭中10頭が5歳馬なので今年の主力がここにいます。データだけで軽視と言う訳にはいかないでしょう。あまり積極的に評価出来ない年齢ですが、それっぽい馬はそれなりに評価するしかありません。なお、馬券になった5例に共通する傾向は見られませんでした。1頭づつを吟味して取捨していく他ないですね。

 

アカイイト

 

エリザベス女王杯はリピート走が頻繁に起こるレースとして知られています。10番人気での優勝でしたが馬券圏の入着馬で今年出走するのは馬はこの馬だけ。今年も人気は無いかもしれませんが、今年こそ十分注意しなければなりません。ちなみに、管理する中竹厩舎は昨年3着クラヴェルとの2頭出しだったのですが担当レベルの話ではクラヴェルよりはアカイイトの方が強いだろうという感覚を持っていたそうです。そうは言っても、そのクラヴェが9番人気でしたから言われたところで食指を動かすのは難しかったです。ほんと厄介なレースでした。

 

さて、私は当然昨年の勝利をフロックと見ていたのですが次走の有馬記念が7着と走ったことからやっぱり力のある馬だったんだなぁと認識を改めたことを覚えています。年明けの金鯱賞でも3着と走っていて上級レースでもそこそこ走れたことから今は力のある馬と認めている次第です。そんな馬の近走が10着、8着、10着と急に汚れ始めました。ここまで負け続ける馬ではないと思うので近3走の敗因や状況を洗い出して行こうと思います。

 

大阪杯10着

今年に限らず大阪杯はイン前競馬になりやすく、前残りやイン差しの馬で決まるもの。この馬は後方から外をマクる競馬。基本的に阪神内回りでこの乗り方はNGです。エ杯はそれで勝てましたがトップ牝馬がいなかった限定戦であったこと、展開ドハマりであったことなど奇跡的にかみ合ってのも。大阪杯の敗戦はそれを再認識させたということでしょう。大阪杯がこの馬の本当の姿なのかもしれません。

 

・ヴィクトリアM8着

マイル自体はこなせるという事でしたが、上がりがタフになった時にパフォーマンスが上がるタイプなので春の府中の高速馬場はこの馬に向いていませんでした。それでも33.1秒の末脚で14番手から8着まで上げてきており力は出せていたでしょう。外回しの競馬ではこれが限界でした。この馬のポジションから勝ち負けしようとしたら物理的に31秒台の末脚を使わなければいけないのでどうしようもないですね。適性違いと言う認識になります。

 

・府中牝馬S10着

牝馬にしては珍しいですが叩き良化型の馬。休み明けは入れ込みやいので一度使う事で走りの質も変化します。よって、この時は明確な叩き台でした。ちなみに、ここでも良い脚を使っているように府中では33秒台の脚を確実に使って来ます。ただ、位置取りが悪すぎるのでその末脚で府中を攻略するのは難しいと言わざるを得ません。前走や前年がそうであるようにそもそも府中は向いていない。全くの度外視で大丈夫です。

 

と、大敗続きの3戦を簡単に分析してみました。敗因はしっかりとしています。馬が弱いとか、能力落ちなどが理由で負けている訳ではないという事で良いと思います。ただ、勝ち切れない理由もはっきりとしました。やはり極端な脚質がこの馬から安定性を奪っていると言っていいでしょう。大阪杯の稿で触れたように昨年の勝利も展開が向いたからこその結果です。馬場が悪くなっていた事もタフさが身上のこの馬にはあっていました。レースに限らず地力で勝ち切れる能力そのものが足りていないという事になります。せめて中段ぐらいに位置してインを突く競馬が出来てこないと今年も狙いづらいと思います。

 

馬場状況は昨年の状況に近づいていますし、メンバー的に展開が速くなる可能性もあります。昨年と同じ状況が揃いつつあるのが怖いところ。馬自体の能力に陰りはないようですから再度ドハマリする事もあり得ない事ではありません。しかしながら今年は相手が違います。昨年より大幅に強化されています。特に3歳勢力の力は本物でどのレースと比べても現4歳世代より上のパフォーマンスを発揮しています(秋華賞、西宮Sなど)。出走馬のレベルが同じではりませんから、昨年よりも厳しい戦いです。扱いとしては3着狙いぐらいが妥当の様に思います。

 

イズジョーノキセキ

 

12番人気で大波乱を演出してくれた府中牝馬Sの▲馬ですね。大的中に貢献してくれました。

 

昨年の5着馬です。当時は3勝クラスでの格上挑戦。当初は翌週の自己条件に使う予定でした。それがゲート割れだったので出れるなら出ておこうかと言う参戦でした。全くの記念出走だっと言えるでしょう。しかも、距離は1800mぐらがベストだからと厩舎もその気の無い参戦でした。それがなんと5着と掲示板に載る激走を果たします。こんな馬でも掲示板だったのかと改めて昨年の掲示板を確認すると10→7→9→11→12番人気で穴馬から大穴馬で占められていました。今更ながらにとんでもないGⅠでしたね。しかし、この5着は厩舎の自信を深めることとなりました。5着と言っても2着とはクビクビハナの大接戦でしたからその気持ちも分かります。これで来年もう1度チャレンジしようとなり、エ杯に向けて頑張って来た1年でした。

 

しかし、なかなか自己条件を勝ち上がれず4戦目にようやく勝ち上がりました。これが6月の出来事。使い詰めだったことからここで休養を入れることに。ただ、出走馬が集まらなかったので昨年は出走できましたが今年はそう言う状況にありません。ゲートインするには賞金加算が絶対に必要でした。なので休み明ながらメイチ気味の勝負態勢で府中牝馬Sを使っています。結果、見事に優勝し、優先出走権まで手に。堂々と念願の舞台に向かうこととなりました。かなり仕上げていたので上積み幅は大きくならなそうですが、叩き2戦目なのでより走れる態勢にはなっていると思います。また、乗り慣れた岩田騎手の騎乗停止は痛手でしたがルメール騎手をすぐさま確保。厩舎のヤル気は未だ健在です。このレースの為にやって来た馬なので後先考えずのメイチ態勢が濃厚。昨年の再現、前走の再現と注意が必要な1頭です。

 

ただ、昨年の話ではあくまでベストは1800m。エ杯以降の全てが1800m戦だったことも、確実に勝てるところでという意図の表れだと思います。本当に適性があるなら2200mなどより長い距離を自信を持って使っていたはずです。やれない条件では無論ありませんが、府中牝馬Sの様に良いパフォーマンスを発揮出来る条件とは言えないかもしれません。距離に自信のない馬は得てしてインコースをソツなく回ってくるものです。そうなって来るとインの名手岩田騎手でないことも少し影響するかな?と思います。ルメール騎手になることが必ずしも最善ではない気もしてきます。

 

また、この府中牝馬Sオールカマーの様に1~3着馬がラチ沿いの経済コースを走っていた縦列競馬でした。こういうレースは本番と直結しにくいものです。別定GⅡを上がり最速で差し切っていますからフロックと言う事はないですけど、外に回していたら結果は違っていたかもしれません。

 

以上のことから、評価を下げる必要まではありませんが地力で勝ち負け出来るような条件や相手関係ではないと思います。乗り方を工夫したり、ベストを尽くしたり、展開や枠に恵まれたりといろいろと噛み合う必要性を感じます。印は回すことにはなりそうですが、どれぐらいの評価で扱うかは条件が出揃ってからの方が良いように思います。

 

ウインキートス/ウインマイティー/ウインマリリン

 

ウイン軍団が3頭出しです。これらはまとめて整理してみたいと思います。前走はいずれも牡馬混合GⅡを3着していて牝馬GⅠなら好走可能な実績を残していると言えるでしょう。また、この3頭は前々で運ぶ脚質や立ち回りの上手さで勝負するタイプであることなど、好走パターンも非常に良く似ています。どの馬も器用なのでインをそつなく乗って脚を温存し、直線で伸びて来る事がほとんどです。その為出来るだけイン枠を引き当てる事がまずは重要になってきます。さすがに3頭もいれば1頭ぐらいは絶好枠に入ることになると思う(入りませんでしたが・・・)のでこの中から好走馬が出ても不思議はないと思います。それでは各馬毎にチェックしていきます

 

キートスの重賞勝ちは21年の目黒記念。その他近2年のオールカマーで2着、3着、今年の目黒記念でも3着。好走しているレースは同じレースばかりと言うのがヒントかもしれません。同じ条件なら同じようなパフォーマンスを発揮します。昨年大敗のエ杯の条件はこの馬向きではないのかもしれません。また、好走した重賞が全て関東圏のレースであることも偶然ではないのでしょう。もともとテンションが高くなりやすいので3頭の中では一番の性悪娘と言う感じです。だから輸送がネックになりやすいのだと思います。輸送競馬は極力避けていて、関西圏の競馬は昨年のエリザベス女王杯が初めてで、以降も走っていません。また、昨年の調整時に馬場入りをゴネていて馬が妙に煮詰まっていたそうです。それが輸送でさらに煮詰まってしまいこの時の敗因とされています。普段は大人しいそうなのですが前走のオールカマー時の調整でも馬場入りをゴネていたそうなので根本的な改善に至ってはいないようです。枠も重要なのですがこの馬の場合気勢面にも注意を払う必要があります。中間の調整をしっかりと確認しておくべきでしょう。ウリとしては長距離馬なので距離は合った方が良いとのこと。2200mは最適条件と言えそうです。3頭の中では最も距離適性のある馬です。

 

マイティーの重賞勝ちは22年のマーメイドS。その他は3歳時にオークス3着、前走の京都大賞典で3着となっています。オークス以降ずっと調子を落としていて、自分から競馬を止めてしまい最後まで走り切るという事がなかなか出来なかったそうです。復調のきっかけは調整方法を替えたこと。ポリとプールを併用するようになってから馬が変わってきてスクむことがなくなり良い状態を保てるようになってきたそうです。3頭の中では最も状態面が安定している馬と言えそうです。そう言う調子の良さは前走でも出ていました。器用さを売りにしている馬なので京都大賞典の様な外回り条件で脚が使えるとは思いませんでした。条件を選ばずに好走出来るようになっていることがこの馬の調子の良さを物語っていると思います。唯一の関西馬なので輸送の心配もなく、秋2走目で馬も走り頃でしょう。オークス以降は強い馬との対戦が無いので古馬になってからの力関係が判然としない難しさはありますが、不安材料は3頭の中では一番少ない馬だと思います。

 

マリリンの重賞勝ちはフローラS日経賞オールカマーとGⅡ3勝。実績では3頭の中で抜けている感じです。実際、クラブ側の期待も一番高い馬のようで、キートスと走った昨年のエ杯時には能力はマリリンの方が上とウイン関係者は話しています。やはりウインの大将格はこのマリリンだと思います。3歳時からGⅠを勝てる馬と関係者の評価は一様に高いものでした。思えば、3歳時は夏の放牧でアクシデントがあり秋華賞は状態を整えられず。4歳時にはオールカマー快勝後に肘が腫れてしまい満足な調整が出来ず。どういう訳かこの時期になると調整が上手くいかなくなります。今年はどうなんでしょうか?この1年は大した問題もなく来ています。アクシデントらしきものもありません。ただ、昨年に痛めた箇所は再発する可能性もあるので思い切った調整がなかなかできずにいました。大阪杯宝塚記念と徐々に使いながらようやく札幌記念で復調の兆しを見せた次第です。関係者も焦らず徐々に立ち上げていたようでして、厩舎サイドからは1年に1度走れれば良いみたいなことを言っていたり、宝塚記念時にはウインの関係者が松岡騎手にエ杯でピークになるようにやってくれと先を見こした指示を出しています。時間がある人はレース動画を確認して頂きたいのですが、実際、レース振りも徐々に良くなって来ています。勝負所で追走一杯だった大阪杯、直線半ばまで粘っていた宝塚記念、しぶとく伸びて3着入賞の札幌記念。徐々にでしたがゴールまでの粘り腰が強化されています。この走りの変化が計画されたものだとしたらここは目一杯の仕上げで挑み、勝負を賭けてくるのは明白です。札幌記念でも完調しきれていませんでしたから、そこからどこまで上げられるかが肝になって来ます。調整面のチェックが重要です。なお、3頭の中ではこの馬が最も立ち回りが上手いと思います。これまでも内枠でなくても素早く先行して最初のコーナ―までにインに潜り込めています。この馬の場合、真ん中前後ぐらいの枠なら大した問題にならないでしょう。

 

クリノプレミアム

 

ヴィクトリアM出走時に左回りのマイルはベストと調教師は話していましたが15番人気で勝った中山牝馬Sや2着だった福島牝馬Sを見るとそんな事はないですね。むしろ右回りの方が今は走りが安定しています。距離も1800mをこなせていますのでダメと言う感じもありません。中山・福島の牝馬Sでは長い脚を使えていますので阪神の内回りもやれて良いと思います。地味な印象なのでGⅠでは厳しいだろうと思うのですが、昨年優勝のアカイイトもこんな感じで優勝しているのでこの手の馬は今消しにくくなっています。

 

何かヒントはないものか?といろいろ探したところ、ヴィクトリアMと京成杯AHの上がりが全く同じ事に気が付きました。両レースの上がりは34.1秒と言う点で同じです。コースは違いますが9月の中山は高速馬場になるので府中と同一視する事は辛うじて可能だと思います。走破タイムも0.5秒しか変わっていませんので本馬が発揮したパフォーマンスはほぼ同一なものでしょう。しかし、結果まで同じではありません。GⅢでは先行して3着に入着し0.1秒差で駆けています。GⅠでは先行して1.0秒差の16着と大敗。厩舎ではヴィクトリアMの敗因をGⅠで相手が強かったという事になっています。この2走の比較はそれを裏付けるものと言って良いでしょう。同じパフォーマンスで結果がこうも違うのは出走馬のレベルが全然違うからに他なりません。2200mのレースなのでまた違ったパフォーマンスを発揮するのかもしれませんが、GⅠ級の評価をする必要はないでしょう。普通に厳しいのではないでしょうか?

 

デアリングタクト

 

オールカマーは特殊なレースだったので力を出し切れなかった有力馬が多数いたレースでした。だから悲観する内容ではないとも思うのですが、松山騎手はかなりショックだったみたいですね。いつもの様な脚が使えなかったのが堪えたようです。ただ、これは単純に休み明けだからかな?と私は思っています。古馬になってからは休み明けだと動ききれていないような気がしていて、3歳時に見せた圧倒的な強さを見せれなくなっている感じです。その代わり2走目で変わり身を見せるようになっています。金鯱賞2着→QEⅡ世C3着、ヴィクトリアM6着→宝塚記念3着と格の低いレースでは取りこぼしますが、強敵揃いのGⅠでパフォーマンスを上げてきています。ぶっつけだった3歳時の秋華賞ももっと圧勝するのかと思っていたらそこまでではありませんでした。今にして思えば、秋華賞の後に使ったJCは凄かったですからこの頃から既に叩き良化型だったのかもしれません。オールカマーの負け方はだらしないものでしたが、それで評価を落とす必要はないのではないでしょうか?ここは変わり身を期待すべきところでしょう。

 

問題は1年以上の休養から復帰した状態面の方だと思います。3歳時の走りが凄かったですからデアリングの今の姿に物足りなさを感じる人は多いと思います。それは杉山調教師も同じであったようです。復帰戦のヴィクトリアMの調整中にはもう終わってしまったかもしれないと思ったそうです。走りがこじんまりしていて、かつての迫力ある走りが出来なかったからそう感じたのだとか。しかし、一度使ったことで宝塚記念の頃には四肢の可動域が大きくなりストライドそのものが良くなって来ました。そして、ひと夏こしたらさらに良化が進み、オールカマー出走時には春とは別馬との評価で復調気配に著しいものがありました。関係者の話を総合すると状態はかなり戻ってきていると考えて良さそうです。上述したように2走目の方がよい可能性が高いので前走以上の態勢も整うでしょう。今回は復帰後一番の状態に持ってこれるだろうと思います。それで全盛時に及ぶのかは分かりませんが正直これだけ戻っていれば好勝負は間違いないと考えています。

 

テルツェット

 

この馬は面白いですね。クイーンSを連覇していますがその勝ち時計が2年とも1:47.8という。でも、今年は札幌でしたけど昨年は五輪による変則開催だったので函館開催でした。似たようなコースですけど微妙な違いはあるので全く同タイムでと言うのはかなり稀な珍事だと思います。

 

さて、エリザベス女王杯には昨年も出走しています。クイーンCからの臨戦も同じです。4番人気と上位の評価を得ていましたが結果は11着。タイム差は0.9秒で結構しっかりと負けています。インから上手く乗っていたのですが残り1Fぐらいで伸びが止まってしまいました。この時の敗因は距離と斤量とのことでした。力尽きて負けた姿は確かにそんな感じが致します。だとしたら勝ち負け出来る条件と言う事にはなりません。昨年のままでは厳しい戦いが待つだけでしょう。この1年で馬の成長や変化が欲しいところです。この点を整理していくと様々な面で馬の変化が確認出来ます。1つづ確認していきましょう。

 

まず斤量面の問題は解消されたと見て良いでしょう。昨年負けた56kの斤量で前走クイーンCを優勝しています。GⅢで相手が弱かったからと言うのもあるでしょうが昨年になかった実績がある点で昨年よりマシな競馬出来る材料となります。

 

また、春のヴィクトリアMも2年続けての出走だったのですが、昨年は他馬と同じ脚しか使えなかったものが、今年は32.9秒の最速上がりを使えるようになっています。これも地力強化の側面として良いでしょう。

 

そして、連覇を飾ったクイーンSのレース振りにも変化がありました。テンに行けない馬なので昨年は後方から追い込んだ勝利でしたが、今年は内々の中位で脚をタメ馬群を切り分けて優勝しています。ポジションを取れて競馬が出来たことも競馬振りの変化です。

 

昨年と同じレースを走ることが多かったので比較しやすかったのですが、このように昨年と比べてレース振りや内容が良い方向に変化しています。厩舎曰く、体質が強化されたことで馬は確実に成長しているとの話です。レース振りに進化の跡が残るのも馬そのものに良い変化があったからでしょう。距離に関してはやってみないと分かりませんが昨年から前進可能な状況であることは確かなことだと思います。注意が必要そうです。

 

ただ、残念ながら元値はGⅠ級にないのかもしれません。ヴィクトリアMに騎乗していたレーン騎手は本馬を良い馬であると前置きしつつもGⅠを勝てる感じはしないと指摘しています。この発言からすると地力でどうのこうのと言う馬ではないようです。距離適性も不確定なので紛れて3着ぐらいが妥当な評価かもしれません。

 

ホウオウエミーズ

 

レースの当日は雨予報なんですね。予報では午前中からレース頃までしっかりと降るような%になっています。だとしたらこの馬が波乱を演出するかもしれません。ただでさえ道悪が得意というのはあるのですが、降雨中のレースの成績は【4・1・0・2】と言う成績です。逆にレース中に降っていないと【1・3・0・10】と極端に成績が下がります。なので雨予報が出ていた前走の新潟牝馬Sは厩舎も大歓迎していました。あいにくレースの頃に雨はやんでいたのですが。よって、雨降り馬場以外で上げた唯一の勝利がこの新潟牝馬Sということになります。つまり、新潟牝馬S以前は雨が降っていないレースでは未勝利だったという事です。ここまで極端な馬っていますかね?私は聞いた事がありません。きっと雨が降っている事で何かがかわるのでしょう。その方が集中して走れるとか、他馬が嫌がる分だけ有利になるとか。まぁ、いずれにせよレース中の天気で買う買わないを決めればよい馬です。地力は普通に足りていませんが、雨さえ降れば何か起こるかもしれません。

 

臨戦過程の面から話をすると、エ杯を目標にして新潟牝馬Sを使った訳ではありません。無論雨が降りそうだったからレースを使ったとかもありません。馬の状態がシンプルに上昇していたのでそのタイミングで適鞍を探したらこのレースになったという事です。状態面だけは良い状態を整えてくるでしょう。力のいる馬場は大歓迎というクチなので時計がかかるようになればなるだけ好走確立が上がります。新潟牝馬Sはエ杯を目指す牝馬の為に2年前に創設されたレースです。故に距離も本番と同距離。それまでは2000mまでの経験しかありませんでしたから、模擬レースを勝てたことの意味は非常に大きいと思います。以上、力関係を除けば、条件・状態などはかなりフィットしています。後は本当に天気だけ。レース中に雨が降るようだったら100円ぐらいでも買っておくと面白いかもしれません。

 

ルビーカサブランカ

 

1月の愛知杯で重賞勝ちして以降、牝馬の限定GⅢばかりを4戦して6・5・7・4着とイマイチな成績を残しています。それでもトップハンデだったマーメイドS以外は0.2秒以内に走り僅差の競馬を続けています。3勝クラスを勝ち上がるのに時間がかかりましたが、戦って来た相手はそれなりに強く昨年の1・3・4着馬と共に走りこれらの間を割る3着に好走したこともあります。昨年のレースに出走していたらこの馬も馬券候補だったかもしれません。

 

スタミナに自信を持っているステイヤーで実は天皇賞春の出走も視野に入れていました。そう言う馬なので1800m中心の牝馬限定重賞ではスピードで足りなかったり、忙しかったりと適性面で厳しいところがありました。僅差ながら勝ちあがれなかった理由はこういう事情があります。GⅠとは言え、2200mで行われる牝馬限定戦はこの馬の最も望む条件です。また、コーナー4つのコースが得意で器用な立ち回り、機動力を生かせる阪神内回りは打ってつけの条件です。と言うか、3勝クラスを勝った時が阪神2200mですからコース適性もばっちりというタイプです。これだけ条件が揃うとさすがにナシとは言えないですね。上で触れたように昨年だったら好走していた可能性もある訳なので全くの軽視と言うのは危険かもしれません。印に余裕があるなら押えておくほうがいいのかも。

 

◆6歳以上

 

ローザノワール

 

この馬のヴィクトリアMもそうですが大逃げして粘るというレースが今年は多いですね。そう言う競馬になると後続も乗り方が難しくなりますので予想外の事も起こります。あまりレースを壊さないで欲しいです。

 

同型がいる時はこだわらないという事もありますがそうでなければ必ず行きます。行けば奇跡が起こることもあると厩舎は考えています。これはヴィクトリアMの結果から得た教訓ではなくそれ以前から話していたものです。よって、やる事は1つしかありません。同型シャムロックヒルが賞金足らずでゲートインしていませんからこの組み合わせで行かないという選択肢はありません。行くだけ行って天命を待つのみでしょう。

 

ただ、逃げ馬と言ってもテンに速くなく、ゲートから飛び出していくという感じではありません。毎度手綱をしごいて強引にハナに立ちます。特に前走の府中牝馬Sはそこから本当に行くの?と思うほどスタートが後手になっています。それでも行く姿勢を見せていて、どんな時でも自分の競馬を諦めません。押して押してとにかく押し通してハナを奪います。逃げ馬ならどれだけ楽にそのポジションを取れるかにかかっているのですが、序盤にこれだけ力を使ってしまうのは見た目の印象も良くありません。これで良く粘るなぁとは思うのですがそれも距離が短いからかもしれません。この距離でどうだろう?と言う感じは致します。雨が降って、道悪を味方にしてみたいな事はありそうですが、そこに期待して印を回す余裕は作れないというのが本音です。展開の鍵を握る存在としか言えないですね。

 

◆除外候補

 

コトブキテティス
サンテローズ
シャムロックヒル
ソフトフルート
フィオリキアリ

 

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