競走馬カルテ

2・3歳重賞の出走馬を分析・記録していくブログです。

サウジアラビアロイヤルカップ(GⅢ) 出走馬カルテ

 

こんにちは。

 

いちょうSだったこのレースがサウジアラビアロイヤルカップに名を変えて今年で10年目になります。OP特別時代にはヤマニンパラダイスエアグルーヴメジロドーベルイスラボニータなどのGⅠ馬が出たかつての出世レースでしたが、これで完全に過去になるのかもしれませせん。

 

さて、サウジアラビアRCですがここからいよいよ秋の府中2歳重賞が始まります。他のレースも同様なのですが、これらの重賞は長い直線を意識してペースはスローになりやすく、直線をフルに使った各馬の脚比べになります。この区間でどれだけ速い脚を使えるかで勝負が決まるのです。決め手優秀!脚力上等!そんな馬を狙い打てれば大体大丈夫です。

 

ただ、上がり最速馬は毎年馬券になっていますが、2位(10年中6頭)と3位(10年中0頭)は必ずしも馬券に絡むとは限りません。なぜならこのレースの当日は開幕週の開幕日、先行有利な馬場状況でもあるからです。それにペースもスローなので先行して速い脚(速い上がり)を使えば良いことなので粘り込む馬は少なくありません。直線勝負で良いからと最後方でのんびり構えているようではダメですね。

 

レースは8日(土)なので前日の7日(金)には更新を完了する予定です。それと、今回から予想案の投稿箇所を変更する事にします。レース当日には予想案を毎度更新していますがページ下部に書いているのでそこに行くまでにイライラした方も多いと思います。今回は予想案だけのページを月ごとに1枚設けて、それを都度ページに貼って行くようにします。

 

10月の予想案専用ページはコチラ▼

 

・グラニット

・発馬の上手な馬だがマイルではゴリゴリ押してようやく3番手と言う運び。1800mで勝ちあがった馬でマイルは忙しい印象。

・騎手の指示にもちゃんと反応しているので操縦性は悪くない。レースではちゃんと動いてくれそうだ。

・勝ちあがった前走からは地力を保証出来るものはない。現状では並の評価で妥当であると思う。

 

上記が新潟2歳S出走時のカルテ。

 

6着だった新潟2歳S。この距離では忙しいと見ていたが一番のスタートを決めてインポケの4番手を追走出来た。こういう競馬が毎度出来るならマイル戦でも先行ポジションでレースは出来そうだ。新潟2歳Sは直線でのキレ味勝負になるのだがこの点で秋の府中重賞とイメージがかなり近い。求められる素養はほぼ同じである。ここで相応の競馬が出来ていれば今回も通用の可能性はあった。が、この馬にそれはない。上がり34.0秒は先行馬なら速い方だが新潟マイルでこれじゃダメ。逃げ馬や同列で先行していた馬と同じ脚しか使えていないので前にいた2頭すら交わせなかった。36.6秒で通過したレースなら先行馬でも上がりは33秒台後半で上がれていないと厳しい。この評価はサウジRCでもそのまま転用して良いものなので、同じ競馬をするなら巻き返しは考えられないところだが。末脚の性能がガラっと変わるようなら好走もあろうが、1・2戦目も失速率の大きい消耗戦を好走したクチなので新潟2歳Sの内容はその延長として辻褄が合っている。適性に合っている条件とは思えない。

 

・シルヴァーデューク

 

小倉1800の新馬戦を3着。負けた相手は3歳牝馬の中心的存在だったナミュールの妹で牧場からは姉以上と言われている逸材。この時も調教だけ走れば勝ち負けと言われていたのでこれは相手が悪かった。これを相手に0.1秒差なのだからこの馬も力は持っていことになり、次戦の新潟1800mであっさりと勝った。ゲートの出も良く、スッと好位に取り付けるスピードがあるので競馬センスは良い。勝ちあがった前走は3番手から上がり最速で2馬身半差の完勝。レース振りはやはり悪くない。ただ、2戦の走りを見ると脚は短いかもしれない。仕掛けてからビュっと反応する瞬発力はいつも良いのだが、新馬戦ではより上位の脚を使った2着馬に伸び負けていたし、前走も63.2秒のスロー展開だったので上がりはもう少しキレていて欲しかった。使える脚が一瞬だと府中の2歳重賞では強気になれない。3戦目でその辺に変化があるかどうかが鍵になりそうだ。ただ、距離的にマイルへの短縮は良い材料になると思う。中距離馬としては現状前進気勢がやや強い。我慢させているシーンが2走ともあったので1Fの短縮で追走面でのストレスは軽減されるだろう。距離が変われば末脚の性能も変わって来る可能性がある。折り合い良く進めることで使える脚の長さに変化が出ても。

 

・ドルチェモア

 

札幌1500mを新馬勝ち。逃げ切りで3馬身差の圧勝。好ダッシュから主張してハナへ。3着馬が序盤絡んできたが慌てる事無くマイペースへ。折り合いに難はなさそうで、ペースを落としながらスローの上がりの競馬に持ち込んだ。3着馬が勝負所で圧をかけてきたが軽くいなして突き放す。この3着馬も既に勝ちあがっておりそんなに弱い馬ではないからこの着差は評価して良さそう。洋芝の稍重だったので時計的な価値は問えないが、減点材料は現状無い。高速馬場をこなせれば好走する事は出来そうである。

 

なお、この馬にはわかりやすい比較対象がいる。桜花賞2着のウォーターナビレラが昨年の同じ開催の同じ新馬戦を勝っている。ナビレラの時は良馬場だったので勝ち時計は本馬が0.8秒遅いが、馬場状況から生まれる誤差は許容範囲だと思う。また、この2頭はどちらも逃げ切り勝ちであり、900m通過も56.6秒と全く同じ。ほぼ同一のペースであり、ニアリーなパフォーマンスだったと見て良い。とても興味深い。ナビレラと同等の先行力を期待いいのかもしれない。

 

・ノッキングポイント

 

2歳戦開幕初日、関東では最初の新馬戦(府中1600m)を勝ち上がる。36.1-61.6の流れはとても遅いが2歳の新馬ならこんなもの。その割に勝ち時計1:35.3はまぁまぁ速い。それだけ上がりの速い競馬になっている。ゲートが開いた瞬間に飛び出したが出たなりで番手を下げて6番手の外目を追走していた。道中に気になるような所はなく、気性に難しい所はなさそう。その番手をキープして最終コーナーを回って来たが、鞍上が軽く促しただけで馬なりのまま先頭に接近し、追い出してから楽に加速して後続を突き放す。3馬身差の圧勝。ラスト3Fが11.4-11.2-11.1の速い上がりで、加速ラップを鞭を使わずに抜け出すのだから凄い。2着馬は逃げ馬だったが本来はこの馬が勝つ上がりの競馬。それをさらに速い上がりで圧倒してしまう。脚力の高さは言うまでもない。この2着馬と4着馬は次戦であっさりと勝ち、3着馬も数戦して勝ちあがっている。相手は弱くなくレベルは高い1戦。そんなレースを本気を出すことなく勝っているのだから力は相当抜けているだろう。1勝馬同士でもそうそう負けないのではないか?スケールも感じるし重賞級という事で良いと思う。レースでもちゃんと動けていたので2走目のポカみたいなものはないと思われる。有力な1頭と言う評価で良さそうだ。ただ、心配な点がある。昨年同じ新馬戦を勝ったのがコマンドライン。レース運びやペースなどはほぼ同じものであり、時計も0.1秒速いだけである。メンバー間では抜けていたが、コマンド並みの走りだったとするとちょっと不安になってくる。コマンドを物差しにすればひとまずサウジRCは勝ち負けレベルと見れるが、それ以降は今回次第という事になる。奥の深そうなところもあるので大丈夫だと思うが、暮れのGⅠや来春まで楽しめるようなパフォーマンスを是非期待したい。

 

・フロムダスク【回避】

 

回避の可能性がありそうなので出馬表に名前があれば更新します。

 

・フロムナウオン

 

福島1800mを新馬勝ち。外枠だったためスンナリとは行けなかったが、普通に出て流れに合わせて4番手ぐらい。道中慌てて動くことは無く、勝負所までポジションキープ。ここまでの立ち回りは良く、一定のセンスは持ち合わせている。4コーナーでは何とか射程圏内に取り付いて渋太く伸びてハナ差だけ前に出た。ただ、後半のレース振りには物足りない面が目に付いた。いくら福島でも開幕週のレースならもう少しキレて欲しいところ。37.9-62.8のペースで上がり35.8秒は極めて普通。3~4角でも押っ付け通しで何とか押し上げたという感じでズブい。スーッとまくれるぐらいでないとサウジRCで必要な瞬発力は見積れない。使った事で素軽差が出る可能性があるのであまり悪くは言えないが新馬戦の勝ち方からはインパクトは受けない。1周条件の立ち回りは上手そうだが脚比べになる直線の長いワンターンでどうだろうか?現状は重い印で扱える材料は無い。

 

・ブーケファロス

 

福島の1200mを連戦して2着→1着と勝ちあがり、新潟1400mのダリア賞へ転戦し3着。ここまで短距離中心の臨戦過程。ただ、気性を見ると短距離をやっていくような馬には見えない。がぁーと行くようなところはなく、前進気勢はむしろ弱い。スタートは五分以上に出れるのに先行ポジションへ進もうとしない。いつも先頭とかなりの距離を取って進める。ダリア賞では最後方まで番手を下げていたほど。レース後半に一気に脚を使う差し、追いの馬。1200mの2戦ではレース上がりを大幅に上回る末脚を披露し、ダリア賞も勝ち馬と同じ最速上がり。末脚には威力があり、距離を延長してもその精度が落ちなかった点で印象が良い。また、このダリア賞は狭い所に入り追いづらい不利があってのもので勝ち馬より追い出しのタイミングが遅れた分の負け。それで同タイム上がりなのだからこの馬は脚を余していたであろう。よーいドンで追い出していたらこちらが勝っていたのではないか?マイルへの延長は課題にはなるが、後方からというタイプなのでこなせる可能性はありそう。サウジRCだとテンが36秒台ぐらいだからこれまでとは2秒以上遅くなる。それでも平常心を失わないなら大きく崩れないだろう。ある程度の末脚はここでも使えると思う。

 

マイネルケレリウス

 

府中の1600mで新馬勝ち。中段待機で道中は集中力のある走りで良く折り合えていた。新馬戦らしくスロー展開で前が止まらないレース。失速率の低いラストを最速上がりでねじ伏せた内容が良い。調教で跨った人は皆高い評価を与えていて厩舎の評価がとても良い。先約で乗れなかったがレーン騎手にも声をかけていたほど。その評価に違わぬ勝ちっぷりだった。好素材と言う事で良さそう。ただ、2週前に同条件を勝っているノッキングポイントと比べるとやはり物足りない。2頭の新馬戦の3F通過は全くの同タイムで、1000m通過もコチラが0.1秒速いだけ。ほぼ同一のペースであった。同じ流れで使えた末脚は本馬が34.0秒であったのに対し、ノッキングは33.2秒。末脚の質感が全然違う。追い出してからの反応も比較にならないほどノッキングの方が鋭敏。これと比べるとケレリウスの場合はどうしてもエンジンのかかりが遅く見えてしまう。ノッキングが凄いだけで、ケレリウスも十分強いとは思うのだが。同条件で直接対決となるのでどうしても劣勢は否めない。末脚で敵わないのが解っているのでポジションは前走より下げない方がいいであろう。使った効果でどれだけ変われるかが逆転の鍵になる。なお、ノッキング以外となら差は無く、むしろ上位の評価が可能な馬だろうと思う。有力馬の1頭で構わない。

 

・ミシェラドラータ

新馬戦の2着は展開に逆行した内容で優秀。未勝利勝ちも2.2秒も失速したハイペを自ら動いて前を競り潰し、展開ハマりの追い込み勢を1馬身抑え込んだ内容で優秀。

新馬戦も含めて時計的な価値はメンバー一番だと思う。

・器用な脚も使えて、操縦性も高く、地力はありそうに思う。

 

上記が函館2歳S出走時のカルテ。

 

函館2歳Sは11着と大敗。4コーナー前の斜行で進路が狭くなり大幅に位置を下げてしまい、そこで馬がやる気を失くしてしまう。以降は追っても伸びる気配が無い。大きな不利で度外視は可能だが、行きっぷりや道中の手応えもあまり良くなかった。まともでも勝ち負けに加わるのは難しかったと思う。未勝利を勝ち上がるまでの2戦のパフォーマンスは良かったが、昇級してその優位性を失くしている。地力の高い馬だと思ったが上積みをまるで見せていないのは完成度で勝負していたタイプかもしれない。1500mのクローバー賞5着、1200mのすずらん賞5着と掲示板に載るまでは巻き返しているがいずれも道営馬に負けてきた点で印象は悪い。追って味のある勝ち方をしていたが、その末脚も昇級後3戦は平凡なものになっている。相手強化により相対的に上がり順位も落ちていて、末脚に魅力がなくなってしまった。決め手が重要な好走要素となるサウジRCでプッシュするのは難しい。また、前走の時計は新馬の時より1秒以上も遅くなっている。力が通用しないのはパワーバランスの問題だが、パフォーマンスを低下させているのは体調的な問題。ピークを超えている可能性も高い。既に5戦も消化しているのだから無理もない。距離に関してだが、1500mは意外とやれていたがそれで強かった訳でもなく、控えて乗って後ろの馬に差されているようでは重賞で心許ない。

 

・レッドソリッド

・逃げ切り勝ちした新馬戦は38.4-63.0秒のスロー展開。このペースで行って坂もないのに0.5秒も最後に失速しているのは物足りない。

・時計が出やすい小倉の高速馬場で勝ち時計1:50.1はかなり遅い。同条件と比べると1秒から1秒半は遅い。

・1・2番人気が後ろに構えすぎていたレースでナメられていたような節もあるレース。地力で勝ったという印象は薄い。

 

上記が札幌2歳S出走時のカルテ。

 

札幌2歳S9着。2番手に行けたがダッシュは鈍く主張して何とかという感じ。最初のコーナーに入る頃にようやく単独2番手をキープ出来た。離して逃げていた馬に5F目ぐらいから鈴をつけに行く積極的な競馬。だが、直線に入る頃に力尽きてしまい後は歩く。早めの競馬だったので失速するのはしょうがないが、1000m61.5秒の流れでここまで伸びを欠くのは地力の問題である。体調面に特に問題は無かったので能力査定は厳しくせざるを得ない。本馬と同じところから動き出して脚を持続させられる馬は重賞でもそこそこ走れるものだがこの馬にそこまでの脚の長さは無い。このクラスでやるにはしばらく修行が必要になるだろう。中距離馬としては前進気勢が強い感じを受けるのでマイルの距離は1度試した方がいいと思う。この距離の方が向いている可能性はある。しかし、厩舎曰く走りがワンペースとのこと。上がりの競馬に不安を残すのでスロー展開を回避したい思惑が札幌2歳S時にもあった。これが積極策だったレース運びの理由。ギアチェンジの無い馬に、府中のマイル重賞は厳しいように思う。開幕初日の馬場なので前残りを狙えば無いとは言えないが、逃げ切り勝ちだった新馬戦で小倉の高速馬場にも関わらず大した時計を記録出来なかった馬である。馬場の恩恵を享受出来るかも怪しいところである。

 

 

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